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セイとユウとノクス

試験を受けたら当日で合格が決まってしまうと言うまさかの自体。


とりあえず、きちんとした理由だったから良かったし素直に良かったねと言うことになりました。

「でも、予想以上に時間余ったね。」

「どうする?フリージアさんは何か用事あった?」

-騎士さんたちの元に行く予定でしたが。-

「あのお城の?」

(コクリ)

「何か用事?」

-そこで、シャスティたちが騎士さんたちと訓練をしてるんです。預かってくれる代わりに訓練に参加するという約束で。-

「へぇー。・・それ、着いていってもいい?」

-戦ってるだけですが?-

「良い。むしろ参加出来ればしたい。」

「ユウってば、騎士団長さん目当てなんでしょ?」

-ノクスさんですか?-

「フリージアさん知ってるの?」

-シャスティは今剣を学んでるのですが、その相手をしてくれて、教えてくれるのがノクスさんなんです。-

「へぇー良いなぁ。」

「どんな人?」

-努力して強くなったときがうれしくて、共に頑張って成長したってうれしさを共有出来るのが好きな向上心の塊の正義の味方って感じの方ですよ。-

「へぇー。訓練大好きとか戦闘狂予備軍とか聞いてたけど実際は違うんだ?」

-勘違いされやすいんだそうです。ですが、本人は言い訳をするのは良くないと考えてるらしく。-

「あぁ・・なるほど。じゃあ、お邪魔じゃなければ私も」

-頑張り屋さんは大好きな人ですから大丈夫ですよ。-



と言うわけでお城へレッツゴーです。






で、お城にやってきました。

「クテン様、本日は入試では?」

-予想以上に早く終わったと言いますか、まさかの当日で合格を頂きまして。-

「さすがですねおめでとうございます」

-ありがとうございます。-

「シャスティ殿たちですか?」

(コクリ)

「ちなみにそちらのお二人は?」

-学園で一緒に試験を受け、一緒に合格を頂いた友人のセイさんとユウさんです。剣を持ってる方は男です。-

「っ!・・・失礼勘違いしていたようだ。」

「いえ・・よくあるので。」

「あぁ・・頑張って下さい。自分たちの友人や知り合いには伝えておきますので。」

「正直助かります。」

「では、お二人も共に?」

-構いませんか?-

「クテン様ですし、構いませんよ。訓練場以外には立ち寄らないですよね?」

-そこ意外に用事はありませんし、そちらに迷惑が掛かりますから。-

「感謝します。どうぞ。」

-ご苦労様です。-

「あ、ありがとうございます」

「お、お邪魔します。」



そして、中に入ってしばらくしたところで

「フリージアさん・・凄いね、あんなに堂々として・・。」

-そうですか?-

「そうだよ・・正直失礼がないようにするのにいっぱいいっぱいで。」

-おじいちゃん相手には普通にしていたようですが?-

「んー。あの人は何と言うか、緊張しなかったんだよなぁ・・。」

「あぁ、分かる。僕も失礼がないようにするのに精一杯だったよ。」

-私は、あぁ言う方々や冒険者の方々など大人以外の方と関わったことがありませんので。-

「あ、そっか・・。」

「ねぇ、訓練場ってアレ?」

「うわぁ・・すっご。さすが騎士様たちだ。」

あっちこっちでバトってます。



その中でも

「アッチすっご・・」

「すっごい砂煙と音が・・」

シャスティってば盛り上がってるなぁ。

後、ハディちゃんも。


カルナは、研究者の方々とおしゃべりしてますね。




「ねぇ、あそこで戦ってる動物ってフリージアさんの?」

(コクリ)

「ホント強いんだ・・。てことは、あの戦ってる赤い髪の人が?」

-ノクスさんですよ。-


「あの人が・・」

「噂通り・・いや、それ以上に強い。」

「よくあの動きを普通に対処してるよね・・。ほとんど見えないわ。」



しばらくすると休憩なのか戦いは終了し、シャスティがすっごい勢いでこっちに走ってきた。

で、私の前で軽やかに到着。


で、すっごい喉をゴロゴロ言わせながら甘えまくる。

私は撫でてあげつつ、途中で追いついたハディちゃんも撫でてあげます。


セイさんとユウさんは巨大化シャスティとハディちゃんの迫力に驚いて軽くフリーズ。

-紹介します。向こうでおしゃべりしてる鳥さんがカルナ。こっちのにゃんこがシャスティ、こっちのワニさんはハディちゃんです。-

「え・・・シャスティさんってにゃんこだったの?」

-言ってませんでしたか?-

「聞いてないよぉ・・」

「てっきり人だと思ってた。まさか、にゃんこ・・・コホン、大型獣とは。」

-今は大きい姿ですが、普通のにゃんこサイズになれますよ?元々そっちのサイズが普通です。-

「へぇー。そう言う能力なんだ。」


-シャスティ、ハディちゃん、ついでに聞こえてるか知らないけどカルナ。この二人は受験で仲良くなった友人のセイさんとユウさんです。ユウさんは男です。-

「にゃ、にゃう(そうでしたか、正直男性でよかったか不安になりましたが。)」

「よろしくお願いします。」

「予定より早かったのだな?フリージア殿。」

-ノクスさんこんにちは。予定外のことが起こりまして。-

「何か問題が?」

-模擬戦は行わずに面接も立ち話で終わってしまい、その場で合格になり、この通り-

と、ギルドカードに追記された生徒の証を見せます。


「なるほど。見て実力がわかり、立ち話と何気ない会話の中から必要な情報を手に入れ、合格基準に十分達していると判断したのか。とても合理的だ。特に君たちであれば下手に模擬戦はさせない方が良いだろうな。余計な注目を集める。かなりの実力者であろう?俺は、ノクス、ここで騎士団長をしている。」

「は、初めまして、ユウと言います。」

「セイです。回復や治癒がメインです。」

「なるほどな。どうせここに来たんだ。戦っていくか?」

「え!?良いんですか!?」

「構わないぞ。教えることも必要なことであり、教える側も利がある。そちらの・・セイも怪我した連中の治療をしてやってはくれないか?そういうのは実践あるのみなんだろう?」

「良いんですか?」

「してくれた方がこちらは安上がりだ。それに、その場で対処してくれればその分訓練が早く再開できる。利点の方が多い。」

-ノクスさんは嘘も遠まわしのことも言わないのでほんとのことしか言いませんよ。-

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて。」

「胸を借りるつもりで参ります!」

「よし、来い。怪我をした連中はそこの少女の元へ行け。治してくれる。」



で、戦いは開始され、セイさんは早速集まってきた騎士さんたちを治してました。


回復の魔法を間近で見るのは何気に初めてかもしれません。

大抵される側でしたから。


ふわりと暖かい光に包まれると怪我したところが徐々に小さくなっていき、やがて消えていく。

すごく不思議な気分です。

他の魔法とは何か違う感じですね。


「すげぇ。」

治療してもらっている騎士さんが、感心するような驚くような表情でつぶやいた。

「動きに違和感はありませんか?」

「・・ないな。助かる。腕がいいんだな。」

「ありがとうございます。」





「ほぉ、筋がいいな。」

ノクスさんも思った以上にユウさんが強くて感心しつつどこか楽しそうです。

「ありがと・・ござい・・・ます!」

ユウさんは、ノクスさんが理想通り強くて苦戦しつつもどこか楽しそう。

「だが、実践経験が足りないな。数をこなせばもっと強くなれるだろう。」

「はい!」

「多くの種類の戦いを経験すると良い。様々な相手と戦い、どんな時にどんな戦い方が最も適しているか戦いながら分かるようになれ。常に頭を回せ、思考を止めるな。日々の努力は継続し、基礎をおろそかにしてはならない。」

「はい!」

そんな、絶対なる強者のアドバイスを必死に記憶しながらノクスさんへ戦いを挑み続ける。

ノクスさんもそんな一生懸命な姿がとてもうれしそうです。




ユウさんもすごく活き活きしてますし、ノクスさんもそんな頑張るユウさんがうれしいのかとても楽しそうです。

私は、にゃんこサイズになったシャスティをお膝にのせてブラッシングしてあげつつ、ハディちゃんを撫でてます。

騎士さんたちは甘えまくるシャスティとハディちゃんにまだ慣れないらしく目を白黒させてます。


あ、シャスティの愛剣である”黒月”ですが、胴体に伸縮自在な特殊なベルトを着け、それにつける感じです。

剣用のホルスターのようなものらしいです。

色は、シャスティの体の色に合わせているらしく、濃い青です。



「リア、お帰り。それと聞こえてたぞ。おめでとう」

-ありがとうございます-

「クテン様、おめでとうございます」

-皆さんもありがとうございます。シャスティの剣、ありがとうございました。-

「いえ、こちらこそ貴重な経験をさせていただいたのに加え、余った素材を頂いただけでも十分ですよ。むしろお金をこちらが払いたいくらいです。」

-必要ありません。-

「えぇ、存じておりますよ。あの方々はご友人ですか?」

-えぇ。偶然知り合い、仲良くなりました。-

「とても真面目で、いい子ですね。クテン様、頑張ってくださいね。」

(コクリ)

「ですが、あちらの剣を扱うユウさんは、まさか男だったとは。」

「俺もなんとなく違和感があったが・・まさか男とは思わなかった。よくリアは気づいたな?」

-違和感があって、失礼を承知で最初に謝ってから聞いてみたら当たってました-

「なるほどな。で、剣を扱っててリアがここに顔を出すと聞いてノクスさんと戦ってみたいとなったって感じか?」

-断られるのを前提としてついてきてましたよ。-

「普通はそう思うだろうな。けど、ノクスさんはアレだからな。」

-頑張り屋さんが大好きな方ですからね。-

「まぁな。どっちも楽しそうだな。」

-やはりそう思いますか?-

「思う。どう見ても楽しそうだ。」

「あぁいう風に見ていると剣を教える親子ですよね。」

「言われてみれば確かに。そう言われても違和感がない。」

それだけ仲が良いと思われるということらしいです。


「はぁ・・ちょっと休憩」

魔力が減ったことで少々お疲れな表情です。

-セイさんお疲れ様です。治療は終わりですか?-

「うん。今のとこ一通り終了。次怪我したら私のところに来てくれることになったの。・・って、ホントに普通のにゃんこサイズだったんだ。」

-とても器用な子なので、調合もできますよ。-

「すご・・。」

「セイでよかったよな?俺はカルナだ。改めてよろしく。」

「しゃべった・・」

「そういう種族なんだ。」

「そっか。翠さんもそうだしそんなものか。よろしくね。戦いはあまり得意じゃないけど、回復や治癒とかは得意だから。」

「完全なサポーターって感じだな。」

「そんな感じ。フリージアさんは魔法がすっごいって聞いたよ?」

「確かにすごいな。その分身体能力はからっきしだから、たぶんセイより劣るぞ?」

「え?私より?」

「あぁ。だから極端なんだ。」

「なるほど・・。カルナさんって物知りなんですね。」

「俺とシャスティはリアの保護者筆頭だからな。」

「あ、確か産まれて5年間は大変だったって聞いてたけど、そのころから?」

「聞いてたのか。あぁ、俺らはリアが産まれる前から知ってる。リアの母親には良くしてもらってたからな。」

「そっか。いつか、そのお母さんのお参りに行きたいなぁ。」

「セイたちなら喜んで、今度里帰りするときに一緒に来いよ。ユウもな。」

「良いの?」

「騒がしい方が好きだからな、あの人は。きっと喜ぶ。」

「うん!」

「だから、リアと仲良くしてやってくれ。リアにとっては友達はお前らが生涯で初めてなんだ。」

「あ、過去が過去だったから・・。」

「そういうことだ。まぁ、本人はスルーしてるからさらっと流してやってくれ。こっちが考えてばかりだと暗くなっちまうからな。」

「そだね。」

「あぁ!強い!!ノクスさん強すぎ!!!」

凄く疲れているようですが、とても満足そうに嘆いてるユウさんが戻ってきました。

「ユウお疲れ」

「そっちもね。フリージアさん、ホントにありがとう。」

(?)

「フリージアさんに知り合ったからこうしてノクスさんと仲良くなれたし、いろんなことを経験できた。僕たちにとっては、こうして普通に仲良くできる友達って何気にいなかったから。」

「あぁ・・確かに。大抵何か企んでるかろくでもないのばっかだからね。」

「だからさ、妙なこともなく普通に接してくれるからうれしい。改めて友達になってくれる?」

「私からも」

-とっくにお友達だと思ってますよ。ユウちゃん、セイちゃん-

「よろしく、リア。」

「よろしくねリアちゃん。」


「・・ちなみになんで僕をちゃん付け?」

-私は性別関係なく仲良くなったらちゃん付けしてますが?-

「そうなの?」

「ちなみに、リアがハディと呼んでるワニは、オスだぞ?」

「ほんとなんだ・・」

「そっか。なら良いよ。・・女の子に間違われるからちゃんづけにはちょっと敏感になってて」

-ちゃんづけはやめた方が良かったですか?-

「ううん。リアならちゃん付けで呼んでほしいな。リアのちゃん付けは愛称みたいな扱いと一緒なんでしょ?」

(コクリ)

「ならいいよ。」


私は、お友達が増えました。

今日はいい日ですね。




--学園長--

あの子たちは、思った以上に面白かったのぉ。

特にフリージア。

あの子がかつて戦った相手で最もやばかったのはまさかのニーズヘッグヴァンパイアと災厄扱いされるえっぐい魔物じゃったのは予想外じゃったが。


元々あの3人をあの場所に案内したのは、何もない故に支障が無かったことも確かじゃったが、髪色も同じじゃしくっつけば良い友達になると思っておったが思った以上に仲良くなれたようでよかったわい。

特にフリージアにはきちんとした友達がいた方が良いからのぉ。

なんとなくあの無表情の顔も楽しそうな雰囲気じゃったし良かった良かった。



・・・じゃが、あんな短時間でアレを満点合格されるとは思わなかったが。

そんなに普段の勉強って凄いの?

それに、本人から簡単すぎて悩んだと言われて微妙に困った。


確かに基礎中の基礎を並べただけじゃったし、ちょっとうろつけば勝手に知ることが出来る範囲でもあった。

・・けど、アレ全部を満点って普通に無理だと思っておったのに。

範囲が広すぎるからのぉ。

広い故にどのジャンルを知っているか、どの方面が得意かを調べるモノじゃったのじゃが・・・満点。


それに、あの2人もじゃ。

しれっと最後の部分を覗いて満点だしとるし。


何?

黒髪って天才の証なの?

実力に関してもあの対応で間違っていないとワシは思っておる。


・・じゃなければ受験生も間違いなく巻き込まれてとんでもない目に遭うか、戦いの迫力で受験生が怖じ気づくか、教師たちが少なくとも当日は使い物にならない状態になりそうじゃったんだもん。


そんなめんd・・・大変なのはいやじゃ。





「で、直接話した感想はどうだったんですか?」

ネルがおった。

「そうじゃのぉ。ネルとほぼほぼ同じ意見じゃ。ホントに性格が真逆じゃのぉ・・。それに、礼儀正しさも既に大人顔負けじゃし、あの堂々と凜とした態度は、あの子の娘にふさわしい。」

「ですよねー。まさか、俺のことあそこまで信頼してくれるとは思わなかったし。あの2人もだったけど。」

「お主のくたびれた見た目はガン無視じゃったのぉ。そんな感じで理解者が増えれば嫁の1人や2人・・。」

「それ、まだ言ってたんですか?」

「当たり前じゃ。もったいないじゃろう。お主みたいに優秀なのは。」

「えー」

面倒くさいと顔に書いたネルに呆れるが実際ネルは優秀じゃ。

この学園ではワシの次に継ぐ実力者じゃし、知識も十分。

ネルが本気を出せば冒険者ランクはSは軽くいけるほどじゃ。


・・本人が日銭が稼げればそれでいいやという感じのため、ランクはCのままじゃが。

はぁ・・ホントにもったいないのぉ。


こやつ・・ホントにやる気を出せば料理も普通においしいし、手先も器用じゃから大抵のことは出来る。


なのに・・なのに!!


「そんなことは置いといて下さいよ。」

「えー」

「えーじゃないですよ。俺は、このくたびれたゆったりとした服が好きなんですから。それに、下手に色んなのが集まらないので気楽で良いじゃないですか。」

「そこは同感するが・・・」

「ですよね?このくたびれた感じ良いですよね?」

「そっちじゃないわい。人が集まるという部分じゃ。」

「ですよねー。フリージアさんみたいにスルーするか周囲が押し避けてるかとかあんな感じで極端だったらアレですけど。」

「うむ・・確か影の親衛隊じゃったか?」

「確かそうです。フリージアさんに悟られず、陰から見守り、遠回しに支え、遠回しに手助けを行ない、近寄るアホは絶対排除・・でしたか?」

「じゃな。大抵の輩はフリージアさんの獣魔か、そばに着いている執事もどきさんたちがやっちゃうらしいが。」

「執事もどきって・・確かに、絵描きさんでしたが。」

「弱者ではないが、強者の匂いもしなかったのでとても不思議だと思ってたんじゃよ」

「俺も同意です。強いと分かるのに強いか弱いかどっちか判別が難しかったんですよ。」

おそらく戦えばかなりの強者じゃ。

じゃが、あの絵師は弱いとも強いともどちらか判別が着かなかった。



「けど、ホントはフリージアさんたちと学園長戦って見たかったんじゃないんですか?」

「ワシがと言うより、戦っている姿を間近で見たかったのは確かじゃの。」

「俺も正直興味ありました。まぁ、下手に受験の時に注目されるよりは入学式の後の方が多少はましと言う判断であの対応は賛同しますけど。」

「じゃろう?」

「他の教師たちは何か言ってました?」

「さすがにフリージアの魔力と獣魔の強さを感じてはおったが、他2人の方が微妙じゃったからフリージアと同等レベルじゃとはっきり言ってやったら速攻で黙ったわい。」

「そりゃそうでしょ・・魔鏡姫の二つ名だけで十分でしょ。アッチの2人に二つ名がないのが逆に不思議ですけど。」

「あやつらは、人目が着かぬところでの戦いが多かったようじゃ。故に、そんな名をつけられる機会がなかったのじゃろうな。」

「でも、時間の問題だと思いますけどね。」

「じゃろうな。フリージアのそばにいるわけじゃし。楽しみじゃな。どんな二つ名がつくか。そして、この学園でどのような結果を出すのか。」

「同感です。それにしても学園長・・楽しそうですね。」

「まぁのぉ。あれほど知識も実力もはっきりしたのは久しぶりじゃった。」

「知識・・アレは驚きました。20分ほどで紙が送られてくるから受験生がミスったのかと思ってみたら全部埋まってるし、回答すれば全部正解・・おまけに、答えとしては満点としか言いようがないものばかり。更にその後で2枚来たのも一番最後のアレ以外は同じく正解。・・色んな意味で規格外ですよ。」

「おそらくは、この学園で学ぶことは授業程度じゃとないじゃろうな。友人や人間関係、後は学園生活を経験しに来たという感じじゃろう。」

「そうですね・・けど、心の穴・・あれって・・。」

「うむ・・あの絵本のやりとりがあったのは本当のようじゃな。おそらくはその時の部分なんじゃろう。」

「心の穴はなんとなく分かるんですけど、心が壊れてるってどういうことか分かりますか?」

「なんとなくじゃが、感情と行動が一致しないと言う部分じゃろうな。」

「え?どういうことですか?」

「例えば、怒れば思わず殴ってしまった、怖ければ足がすくんで動けなくなった、痛ければ身動きがとれず、泣かずにはいられない・・それらは、感情に体が支配されてしまうというのは分かるじゃろう?」

「あぁ、要するにフリージアさんの場合は怒っても殴るかどうかは自分で判断出来る、怖ければそう思うだけで足がすくんだり動けなくなるわけでもない・・・。危機察知能力が皆無という方が近いのでしょうか?」

「そんな感じじゃろうな。冒険者としては非常に優秀じゃがそれは・・人としてはとても恐ろしいモノじゃ。」

「それって・・」

「おそらくあの子は、腕を切り落とされようとも一切泣かずに戦い続けることが出来るじゃろうな・・。」

「確かに優秀ですし、凄いと思いますけどそれ・・・悲しすぎますよ。」

「じゃから、獣魔たちやその周囲のメンツが過保護になっておるのじゃろう。」

「なるほど・・。何かフリージアさんっていつ死んでも構わないみたいな感じを一瞬醸し出してる気もしたんですよね・・その気持ちが心の穴なんでしょうか?」

「じゃろうな・・死すらも救いの一手と自らの経験でそう悟ってしまったが故に恐怖心などがなくなったのじゃろう・・。お主、出来る限りそばで支えてやりなさい。学園内では獣魔たちも全員はおらぬし、あの執事もどきたちもそばにいないからのぉ。」

「もちろんですよ。ホントにお茶しに来そうですし。」

「ホントにあの子たちはお主を信頼しておったのぉ。良いことじゃ。・・・どうにかして、こやつをまともに見えるような服を用意してはくれぬじゃろうか。」

「聞こえてますよ・・あ、お茶でもどうですか?フリージアさんからお菓子?を頂いたんですよ。」

「ほう?何じゃ?」

「それが、草団子なんですよ。中身がアンとかそういうのがないタイプの。」

「面白いのぉ。頂こう。ちょうど良さそうなお茶もあるようじゃしの。」

「この間取り寄せたんですよ。確か緑茶とか言う種類だったと思いますけど。」




それからワシは、ネルと共に緑茶とその団子を食べた。

とても不思議な味じゃった。

何と言うか、野菜のジュースと果物のジュースを良い感じでブレンドしたようなモノ。

けど、ワシ・・これ以外と好きかも。

「不思議な味ですけど、おいしいですね。」

「そうじゃの。この団子を何かフリージアは言っておったか?」

「確か、栄養剤代わりのお団子らしく、幼少期・・あの5年間はほとんど食が通らないフリージアさんの為にシャスティという獣魔が作ったモノだったらしいです。今は習慣化してるのでおやつになってますが。」

「あぁ、栄養剤の扱いじゃったのか。ではこれは、栄養のあるモノをメインに味は食べやすいモノに改良した・・つまりはそのシャスティの愛情が込められておるのじゃな。」

「それを俺等に渡して良いんですかね?」

「旨いからのぉ。分かち合いたいのじゃろう。後は、栄養がある故に頑張れという応援なんじゃろうな。」

「そっか・・ホント良い子だったなぁ。あれほど会話が楽しいのは久しぶり。」

「お主もそう思うか?」

「はい。フリージアさんも同じ意見だったようですが、俺もフリージアさんとは凄くほどよい距離感で会話が出来るので精神的にも心地よかったんですよね。」

「それは良かった。良かったのぉ。ワシ以外に飲み仲間が増えて。」

「酒飲みさんみたいな言い方止めて下さいよ。」

「ほっほっほ。とりあえずのあの3人は、あのクラスで決定じゃな。」

「そうですね。・・あの3人以外にそのクラスに入りそうなのはいますか?」

「おらぬな。まぁ、訓練では合同でやる故どうにかなるじゃろ。」

「なら、俺が担任になりましょうか?」

「珍しいのぉ?自分からそういうのは。」

「あの子たちをそばで見守りたいと思ったんですよ。それに、学園長がつくわけには行かないでしょう?」

「そうじゃな。では頼むな。」

「はい。Sクラス担任として。」








--フリージア--

-お二人はどこで過ごしているのですか?-

「私たちは、宿だよ。お金は通りすがるたびに色んなのをボコってたからそれなりにあるし。まぁ、節約も兼ねて同室だけど。」

「けど、僕だから良いけど普通、ベッド1つの部屋に男女2人で泊るとか考えないよね?」

「えー良いじゃん。それとも、そう言うことしたいの?」

「し!しない!!・・嫌じゃないけど。む、むしろ・・」

「正直でよろしい。まぁ・・私も否定しないけど。そ、それどころか・・」

-仲良しですね。-

「ま、まぁね。」

「う、うん。」

どうして顔が赤いんでしょう?

まぁ、気にしないでいいですね。

「リアちゃんはどこに?」

-この国でクランに入ったのですが、その方々の拠点にお世話になってます。-

「へぇー良かったじゃん。」

-一応住む場所は探しているのですけどね。-

「何で?」

-いつまでも居候はご迷惑になりますので。-

「まじめだなぁ。」

「けど、僕は気持ちはすっごい分かる。」

「あぁ・・私の実家ではユウはそんな感じだったね。」

「うん。そういうのも何かあれば協力するよ。」

-ありがとうございます。-

「だとしても、ホント強いよね・・リアちゃんの獣魔たち。」

-私の育て役兼、教育係ですから。-

「そっか。そう考えると納得出来るかも。」

「そういえば、翠さんって長生きって聞いてたけど具体的にどのくらい?」

-翠ちゃんが言うには、500年から先は数えてないので分からないそうです。-

「ご・・!」

「長っ!予想以上に長っ!」

-大抵のことは知ってるのでお二人も気になったことは普通に聞いて良いですよ?知らないことはほとんどないらしいですので。-

「えと・・良いの?翠さん」

-二人はリアの友達だから良いよ。-

「じゃあ、何かあればよろしくお願いします」

「お願いします」

-まかせてー-


「ホント頼もしいね。あ、そういえばリアちゃんの職業って何?テイマーでもどのランクかなって。」

-協奏師ですよ。-

「あまり聞かないかも・・」

「ちなみに、僕は刃の申し子で、セイは治癒師と回復師なんだ。」

-セイちゃんのはどう違うのでしょうか?-

「傷を治すか、状態異常を治すかの違いらしいよ?で、その関係の上達が早くなるって感じ。」

なるほど。

-ユウちゃんのは、職業なんですか?-

「職業なんだよ。刃を使うような武器関係だと相性が良いらしくてそう言う武器とかを使った修行とかをすれば刃のないタイプよりも上達するのが早いんだ。」

そんな職業もあるんですね。

「ちなみに、リアのって簡単にどんな感じ?」

-仲良くなって絆が強くなればそれだけチームプレイなどが凄くなるというモノです。-

「へぇ。上下関係があるそこらのテイマーと違って完全に対等な感じ、おまけに心の絆の強さがチーム全体の強さとイコールなんだ。すっごいリアちゃんらしい。」

-そうですか?-

「そうだよ。実際仲良しだし」

「リアが獣魔たちを手下とか格下扱いするのは想像つかないしね。」

-本当は獣魔として契約するのも縛っているような気がしてあまり気が乗らないのですが、みんなは私との繋がりがあるのがうれしいらしいですし・・ちょっと複雑です。-

「あぁ・・分かるかも」

「リアのイメージでは首輪に鎖つけてる感じってこと?」

(コクリ)

「ならさ、イメージを変えれば良いんだよ。」

「ユウ、どういうこと?」

「だってさ、リアのイメージだと確かに縛りたくないって気持ちになるけど、リアの職業は絆の強さ何でしょ?」

「だね」

「なら、手と手を繋ぐってイメージが正しいんじゃないかなって。絆が強くなればそれだけ手と手はよりしっかりと握り合うし、初めはお互いおそるおそる握手してる感じ。ほら、そっちが近いと思わない?」

「あ、確かに。それだと縛るイメージもない。」

本当ですね。

-ありがとうございます。そのイメージ凄く素敵ですね。-

「ぼ、僕がそう思ってるだけだよ?イメージはその人の自由なんだし、魔法ってその人のイメージが凄く大事って言うからさ。」

どこか照れてる感じでユウちゃんはそう言いました。

-ユウちゃん、セイちゃん、私は魔法に関してはそれなりに自身があります。ですので、何かあればいって下さい。模擬戦でも情報提供でもどれでもお手伝いしますから。模擬戦ではバリエーションは豊富ですし、シャスティたちがいるのでもっと色んなことが出来るので経験すると言うことに関しては良いと思いますよ。-

「そうだね。うん、その時はよろしくね。多分すっごいお世話になると思う。」

「その分、何かあれば私たちが支えるからね。」

-よろしくお願いしますね-



そんな感じでセイちゃんとユウちゃんとお話をしながら頭の端っこでなんとなく思いました。

かつての桜華さんたちもこんな感じで和気藹々としてたのでしょうか。

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