受験日
「大丈夫か?忘れ物はないか?」
-大丈夫です-
「本当か?勉強も実力も大丈夫か?」
(コクリ)
「体調は大丈夫か?お腹は空いてないか?睡眠はしっかりとったか?」
-おじいさま落ち着いて下さい。大丈夫ですから。私は元気ですし、忘れ物もありませんし、ご飯もいっぱい食べましたしいっぱい睡眠もとりましたから。-
「じゃが・・」
すっごいしょんぼりしながら心配しまくってるおじいさま。
あ、おはようございます。
本日は学園への受験日です。
で、しっかりお勉強もして忘れ物もなく、ご飯も睡眠もしっかりとって準備万端!
ってところで、おじいさまがすっごいオロオロしながら心配しまくってます。
・・・受験を受ける本人よりオロオロしてる保護者って、色々と大丈夫なんでしょうか?
けど、翠ちゃんが言うにはどこの家庭も似たようなモノらしいです。
「あぁ・・リア様。バレクさんのことはしっかりこちらでみておきますから。」
「お嬢様。頑張って下さいね。終わりは夕方前のおやつの時間でしたよね?」
(コクリ)
「大丈夫ですよ。落ち着いていつも通りにすれば大丈夫です。」
-行ってきます-
「行ってらっしゃい」
受験用の指輪を指にはめれば必要なモノはありません。
必要なのは自分の体。
筆記用具類は準備してますが、学園側が用意するらしいですので、念のためです。
で、通りすがるたびに受験頑張ってと声をかけられ、餌付けされてる感じです。
周囲にはすっかり食いしん坊扱いされてますが・・まぁ、気にしません。
「お、いらっしゃい。ちゃんと証もあるね。ようこそ。頑張ってね」
(コクリ)
「クールだねぇ。会場はアッチにまっすぐだよ。」
(コクリ)
学園の門番さんと軽く挨拶して中に入れてもらいます。
門をくぐり、言われた方向へまっすぐ進んでいくと目の前にそびえ立つ建物の入口に遭遇。
張り紙に受験生はこっちって書いてありますね。
扉を開けて書かれていた方へまっすぐ進むと名前の頭の文字が~の人は~号室に行ってくれと書いてありますね。
私は、”ふ”ですからアッチですね。
中に入ると名前の2文字目の文字が~の人はどこの席に座れとあります。
そこが同じなら3文字目がという感じのようです。
ちょうど窓際なんですね。
お、獣魔はここにってありますので、翠ちゃんとラナちゃんをそこに置きます。
翠ちゃんたちも余計な詮索をされないように静かにしてます。
お話しは学園を出てからですね。
机の上には、説明書きがありました。
ふむ?
時間になるとテーブルの上に紙が出てくるからそれに名前を書いて問題を答えなさいと。
なるほど。
周囲にはのぞき見防止の結界が張られているみたいです。
これなら安心ですね。
と、目を閉じて意識を落ち着かせているとテーブルから魔法の気配がして目を開けると紙がちょうど出てきました。
受験開始ですね。
名前はフリージア。
ファミリーネームは書かなくて良いですね。
色々勘ぐられても面倒ですし。
で、問題を順番に答えますが・・・・これ、簡単すぎませんか?
図鑑に書いてある凄く初歩的なことだったり、この国で軽く観光すれば分かるようなことだったり、軽い読み書き計算。
後、軽く推理するような、短い文章があり、その中で誰がどうだったか答えなさいとかそんな感じのばかりでした。
最後に死と言われて何をイメージする?
私にとっては死は解放ですね。
理由も書かないといけないんですか?
んと・・これ以上苦しまなくて済むから・・と。
問題数は100と結構あるなと思いましたけど、以外と少なかったですね。
軽く見直しもしましたが、間違いようがありませんね。
書く場所のミスもありませんし。
お、早く終わったらここに魔力を注げってありますね。
じゃあ、そこに魔力を注ぐと・・おぉ。
紙が消えました。
先生方に送信されたのでしょうね。
数分ほどすると、そのまま部屋を退室してもらって大丈夫と書かれており、更にお昼を過ぎたくらいに訓練場・・中央の広場に集まるようにとも書かれてますね。
じゃあ、とりあえず部屋から出ましょう。
あちこちうろちょろしたいのは山々ですが、まだ部外者なのであまり不用意にうろつくのは良くないですね。
それに、ネルさんにご挨拶にいきたいですけど、受験中ですから会わない方が良いですね。
むぅ・・。
行くとこないです。
「お嬢さんや、お暇かな?」
振り返ると白いおひげいっぱいのおじいちゃん。
(コクリ)
「では、あそこに行ってはどうかな?」
指さされた方をみるとちょうどこの学園の魔方陣が描かれている最も高いところにある展望台と言いますか、それっぽいところ。
-まだ部外者ですが、よろしいのですか?-
「構わないよ。あそこに立ち入っても何もないからのぉ。ほっほっほ。」
-では、お言葉に甘えさせて頂きます。-
「見晴らしは抜群じゃ。そのままそこでご飯でも食べれば良い。」
(ぺこり)
「では、またの。」
そう言って去って行くおじいちゃん。
誰だったんでしょうか?
-謎のおじいちゃん-
仕事に一息ついて学園内をうろついておると流星姫の忘れ形見の・・えぇっと、そうじゃフリージアがおった。
ずいぶんと早いのぉ・・おそらくは筆記試験を終わらせた後どこに行けば良いのか迷っている感じかのぉ。
で、話しかけ、とりあえずあの高台へ案内してみた。
あそこは見晴らしが良いだけでホントに何もないからのぉ。
ちょうど良いと思ったがあちらもちょうど良いと思ったらしい。
それにしても、近くで見るとやはり流星姫そっくりじゃのぉ・・・中身は真逆じゃったが。
それにあの内包する魔力量にそばにいた獣魔・・どっちも半端じゃないのぉ。
これは、これから楽しみじゃ。
ワシの学園で面白いことを期待しているぞ?
学園長としてな、ほっほっほ。
-フリージア-
通りすがりのおじいちゃんに言われた場所にやってきました。
確かに遠くまでよく見えます。
そして、ホントに何もありません。
-良い眺めだね。-
{そうですね。}
-近くで見てたけど、筆記試験。どこも間違っているところはなかったよ。-
翠ちゃんがそういうなら安心ですね。
-とりあえず、ご飯にしよう?早いけどたまにはこの景色を眺めながらゆっくり食べるのも良いと思うよ?-
そうですね。
と、兄さんと姉さんが作ってくれたお弁当を食べます。
最近食欲がすごく増したのでちょっと大変です。
なのに、お腹とかが出たりというおデブちゃんにはならないので不思議。
・・一体どこに消えてるんでしょうか?
それはさておきご飯、おいしいです。
「おぉ。見晴らし良い。」
「そうね・・って、ごめんなさい。」
「あ、ごめん。先客がいた。」
-そちらが気にしなければ構いませんよ。-
「そっか。良かった、試験が思った以上に早く終わったけどどこにも行くと来なくてさ・・」
「で、通りすがりのおじいちゃんにここを案内してもらったのよ。」
凄くかわいい女の子2人です。
どっちも黒髪ですが、剣を腰につけてる子は髪は凄く短くかわいいけど、どこか鋭い感じがします。
で、杖を持つ子は髪を背中の真ん中くらいまで伸ばしてるふわっふわの髪で包容力のありそうな感じですけど、はっきりとした意見を言いそうと言いますか言ってる子です。
ですが、どっちも優しい雰囲気に溢れてます。
・・・ん?
-失礼なことかも知れませんが、質問よろしいですか?-
「良いよ?何?」
-剣を持っているあなたは・・・・男性ですか?-
「っ!」
「うそっ!?」
なぜか驚かれました。
いやぁ・・何か違和感があったんですよ。
勘ですけど。
そして、なぜか剣を持ってる子が凄く感動してるのか何なのか私の手を握りながら
「ありがとう!!初対面で分かってくれたのはあなただけだ!!僕の女神!!」
「まさか、初対面で見破る超人がいるとは・・さすが学園・・世界は広いわぁ。」
-男性であってましたか?-
「そう!僕は男なんだよ!!本当にうれしい!」
「落ち着きなさいよ。」
「はっ・・ごめん。つい興奮して。」
-構いませんが、女性に間違われやすいと認識しても?-
「そうなんだよ・・服もどっちかというと男性らしくて結構普通でしょう?なのに・・髪も短くしてるのに。」
「見た目もだけど雰囲気も普段は柔らかいから女の子に間違われやすいのよ。あ、あたしはセイ。こっちはユウって言うの。あなたは?」
-私はフリージア。頭の上の子は翠ちゃんで、肩にいるのはラナちゃんです。-
「テイマーなの?」
-そんな感じです。-
「実際の職業は入学後の楽しみってことにしておこうかしら。」
「改めてよろしくねフリージアさん。」
-よろしくお願いします。-
「・・誰かと来てたの?」
-翠ちゃんたちだけですがどうしましたか?-
「いや・・結構な量のご飯だなぁと思って。」
-私1人分ですが?-
「多くない!?」
(?)
「無自覚!?」
-他にも色々ありますが、ご一緒にどうですか?-
さらっとツッコミを流してみました。
「良いの?」
(コクリ)
「じゃあ、お言葉に甘えて・・」
順応能力が高いのかスルー力が高いのか普通に食べ始めました。
「頂きます。っ!おいしい。」
「ホント・・おいしい。」
兄さんたちのご飯はお気に召してもらえたようです。
「私たちも結構早い方だと思ったけど、フリージアさんはもっと速かったのね。」
-思った以上に簡単すぎて。-
「あぁ、分かる分かる。実家で習ったことが予想以上に先に進みすぎてたんだよね。」
「フリージアさんもそんな感じ?」
(コクリ)
「やっぱりそうなるよね。」
「私なんか、まだ足りないとか思って結構頑張って普段の勉強以上に頑張ったのに拍子抜けよ。」
私と同じようです。
「それと、聞いても良い?」
(コクリ)
「その・・しゃべれないの?」
-リハビリ中です。-
「そうなの?」
-物心つく前に喉を潰されて、5才の頃に治して頂きましたが、しゃべるための筋肉が皆無だったらしく、今はしゃべるための練習中です。1言2言ならどうにかなりますがムリするとむせるので。-
-リアの場合は、しゃべりすぎると吐血するからムリしたら駄目。-
はい・・
「・・て、翠さんはしゃべれるの?」
-私は長生きだからね。-
500年から先は数えてないらしいのですっごい長生きです。
「そうなんだ・・凄いなぁ。こんなにスムーズにしゃべれる子を獣魔にするなんて。」
「・・にしても、本当だったんだ」
(?)
「いや、あの量が1人分って話し。」
「あぁ・・うん。ホントに食べ切っちゃったよこの子」
-お二人が食べるのが少ないのでは?-
「逆だよ逆。フリージアさんが多いんだよ。」
そう言うモノでしたか。
「けど、ごちそうさま。おいしかったよ。」
「なんかすごいホッとする味だったわ。」
-私のお世話をしてくれる人が作ってくれたんです。新婚さんです。-
「へぇー・・・血のつながりがなかったりする?」
-父親は知りませんが、母親は私を命がけで産んでくれました。-
「あ・・ごめん。」
-いえ。大丈夫です。-
「結構苦労したんじゃないの?さらっと流しちゃったけど、結構しゃべれなくなった理由の部分ヘビーだったよね?」
-過ぎたことですから-
「強いなぁ・・私ならムリだよ。」
「そうだよね、ある意味憧れかも。その心の強さ。」
-ここは学ぶための場所らしいですから一緒に頑張れば良いのでは?-
「そうだね。なんかフリージアさんとは凄く仲良くなれる気がする。」
「同じく。」
-お二人は仲良しですね。-
「幼なじみなんだ。」
「ユウが私のところに越してきてね。」
-幼なじみというのは、幼い頃から兄妹のように仲良く共に過ごした間柄という認識で良いですか?-
「そうなるね。」
-ところで、セイさん。-
「ん?」
-どうして私は膝枕されながら撫でられてるのでしょうか?-
「かわいいから!」
「あぁ・・セイがごめん。」
-慣れてるので大丈夫です。-
「似たような行動するのが近くに?」
-まだ、セイさんは大丈夫な範囲です。この間は、出会って速攻で攫われて玄関の近くの外で服を脱がされながら自分自身も脱ぎそうになってました。-
「ぶふっ!」
「それ、とんでもない野郎ね!!許せないわ!!」
-ちなみに女性で、翠ちゃんが止めてくれて、シャスティが殴り飛ばしました。-
「女性だったんだ・・てか、シャスティさんナイス。」
「・・凄い親近感がある。」
-ユウさんも脱がされた経験が?-
「あぁ・・・脱がされてはいないけど、似たようなことがチラホラ。」
微妙に遠くを見てます。
とりあえず頭を撫でておきましょう。
「うん・・ありがとう。凄く癒される。」
「はぁ//こんな妹が欲しかった。」
-同い年だと思ってたのですが。-
「気持ちの問題!」
-そう言うモノですか?-
「そう言うモノらしいよ?僕も似たような扱いだったし。最近は落ち着いてきたけど。」
「さて、そろそろ午後の会場に向かった方が良いかしら?」
「そうだね。フリージアさんも一緒にどう?」
-お邪魔でなければ。-
「邪魔なわけないよ。行こう?」
(コクリ)
で、二人に手を引かれながら
{翠ちゃん・・これがお友達というモノなんでしょうか?}
-そうだよ。-
そっか・・これがお友達なんですね。
「ありがとう・・私の最初のお友達」
「・・・・フリージアさんさっき喋った?」
-聞こえてましたか?-
「うん・・ギリギリ。」
-そっか-
そう言いながらふんわりとほほえんでおきました。
すると固まる二人。
おや?
顔の前で手を振っても動きませんね。
ほっぺを引っ張ってみる。
みょ~ん。
おぉ、もちもち。
抱きついてみても無反応。
仕方がありませんね。
二人揃って口と鼻を塞ぎます。
「ぶはぁっ!!」
「ケホッ!ケホッ!」
お、生き返った。
-生き返りましたか?-
「あ、うん。」
-では、行きましょうか?-
「はい・・・」
「どうしよう・・予想以上に破壊力があった。」
「うん・・やばいわ。アレはやばいわ。おまけにあの声もやばいわ。一歩間違えればころっと逝くわ。」
「気持ちは分かるけど・・逝かないでよ?」
「うん・・・頑張る。」
-何か言いましたか?-
「ううん。何でもない。」
「さぁ、行こう!行こう!」
ごまかされた気もしますけどまぁ良いでしょう。
「そういえば、フリージアさんって得意なのは何?」
-魔法での防御でしょうか。基本的に翠ちゃんたちにお願いしてる感じなのでサポートメインです。-
「へぇ。僕は見ての通りこれだから接近戦オンリーなんだよね。」
「私は、戦うことはほとんど出来ないから回復とか治癒とかその辺りだけね。まぁ、戦おうと思えば戦えるけど杖術とか棒術とかそういうのは習ってるし。」
「セイはそう言ってるけど、セイの棒術はエグいよ?普通にそこらの魔物なら棒術だけで殺るからね。」
「ちょっ!妙な言い方しないでよ!!」
「嘘言ってないだろう?」
-頼もしいですね。-
「うん、その素直で余計なことを言わないあなたが好き。」
-私も好きですよ。-
「っ!・・正面からそれを美少女に言われるのは効くわぁ・・。」
(?)
「あぁ、きにしないで?」
(コクリ)
-ですが、お二人も格好いいですしかわいいですよ?-
「っ!・・・・おまけに無自覚系のタラシかぁ・・。」
「うん・・色んな意味で凶器だね。」
ふむ?
結局詳しいことは教えてくれませんでした。
さてさて、
実戦の試験ですね。
訓練場に集まると各々が準備運動を始めてるようです。
とりあえず、端っこに集まって3人で軽く準備運動をします。
準備運動だけで良いらしいのでそれだけです。
しばらく周囲を観察したりセイさんたちとおしゃべりしてると先生たちが集まってきました。
どうやら始まるようです。
あ、さっきのおじいちゃんとネルさんがいます。
こっちに気づいてくれてにこりとほほえんでくれましたので小さくお辞儀だけ。
「おじいちゃんの隣にいる眠そうな人と知り合い?」
-試験を受けるための話しを伺った際に対応してくれたネルさんという方です。-
「へぇー。」
「試験は、ここにいる職員がそれぞれ受験生を1人1人模擬戦を行なう。結果は、その戦いぶりをみて判断するため、勝っても負けても結果は同じ。その戦いの結果の際に併せて午前中の試験の結果も出す為、そこで1次試験の合格かが決定する。どの職員を選んでも結果は同じだ。それと、見た目で判断するような受験生はその程度と言うことだ。」
なるほど。
しっかりその人の強さも気付けと言うことですね。
「私的には、あのおじいちゃんとそのネルさんって人があの中でダントツで強そうだと思うんだけど二人はどう思う?」
「僕も同感」
-おじいちゃん、ネルさんという順番だと思います。-
「やっぱりそうだよね。見た目で分からないってホントだね。特にネルさん。」
-怠けていて寝るのが好きだとご自身で言ってましたけど、説明はとてもわかりやすかったですし、とても親切な方ですよ?-
「そうなの?」
-それに、話しをする時に感じたのは、距離感が凄くほどよかったです。-
「精神的な距離がってこと?」
(コクリ)
「なるほど・・じゃあ、あの服装は面倒なのか、アレが気に入ってるかのどっちかって感じかな?」
「そうじゃない?ちょっともったいない気がするけど。・・多分あの人イケメンだよ?」
「ユウもそう思った?」
「なんとなくだけどね。」
「実は私も同感。」
やはり同じことを考えてたようです。
「では、好きな相手に好きなタイミングで挑みなさい。ただし、戦わなければ失格とするから注意するように。」
と言われて、颯爽と集まる受験生。
「ねぇ・・どうする?」
「今言ってもまとめて先生にやられるか、他の受験生に巻き込まれてまともな戦いが出来ないだけだよね?」
-その受験生ごとやっちゃうのは、やはり駄目ですよね?-
「僕もそれ思ったけど、多分受験生の邪魔をしたとかで面倒ごとになりそう。」
-やはりそうですよね。-
「ん?」
「セイどうした?」
「いや・・ほらアッチ。」
指さされた方をみるとおじいちゃんがおいでおいでしてました。
で、私たち3人は揃って自分を指さして首をかしげると
指を3本立てて頷き再度おいでおいで。
「・・どう思う?」
-私たち3人はあのおじいちゃんのところに来いと言うことだと思いますが。-
「やっぱりそう?」
「ここで待っててもしょうがないし行こう?」
(コクリ)
で、言われておじいちゃんの元へ。
「3人とも来たようじゃな。」
-お昼前にあの場所を教えて頂きありがとうございました。-
「あ、ありがとうございました!」
「おかげでお友達が早速出来ました。」
「ほっほっほ。そうかそうか、それは良かった。何もなかったが良い景色じゃったろ?」
-はい。-
「実はワシもあそこは気に入っておる。以外と近寄るモノがあそこは少ないからの。ゆっくりと休憩が出来る。」
-そうでしたか。それで、何かご用でしたか?-
「そうじゃったの。お主ら3人は合格じゃ。」
「え?」
「なぜ?」
(?)
「お主ら普通にあの連中をまとめて倒せるじゃろ?」
「まぁ、やろうと思えば出来ますね。」
-同じく。-
「私は自信ないんですけど・・1人2人ならともかく。」
「セイとか言ったかの?お主は補助と回復専門じゃろうが。それなら十分過ぎる。」
「知ってたんですか?」
「ワシは学園長じゃからの。」
「あ、学園長だったんだ。」
「何じゃと思っておったんじゃ?」
「長年先生として勤めてる1人とか。」
「間違ってはおらぬな。」
-ですが、戦わずにそのまま合格にして問題が出ませんか?贔屓をしたとかなんとかで。-
「それはない。」
(?)
「そもそもお主らは、みただけで強者じゃと分かる。ユウは、どう見ても剣の玄人じゃし、セイは回復のエキスパート、それにフリージア。お主自身の噂や二つ名だけで十分過ぎるじゃろ。」
「フリージアさん既に二つ名があったんだ?」
-知っていたのですか?-
「知らぬ方がおかしいわい。のぉ?クテン様?それに、魔境姫よ?」
「ちょ!?」
「フリージアさん・・まじで?」
-クテンはともかく、魔境姫まで知ってたんですね。この国に来てからは、まだその技を見せてなかったのですが。-
「わしは学園長じゃからの。他の町から聞く噂話や旧友からの話で十分すぎる。それに、他にも獣魔が3体おるじゃろうが。」
「え?まだいたの?」
「お主1人でも厄介なのに他にもえぐい強さを持つあの連中が揃ったらわしでも難しいわい。お主1人ならともかく・・ぎりぎり。」
「えぇ・・そんなに強いの?」
「一番強かった敵ってどんなだった?」
-5歳のころにカルナたちと戦ったニーズヘッグヴァンパイアでしょうか?-
「ちょっ・・」
「それ・・・確か災厄レベルじゃなかった?」
「ランクで言うところの普通にSSは越えるのぉ。そんなの相手に勝ってるような幼女が今やさらに成長して実力をつけておる・・戦う以前の問題じゃろ。おまけに試験は史上最速で満点じゃし。」
「マジで!?」
「最速って・・どのくらいで終わったのあれ・・」
-20分もかかりませんでしたよ?-
「うわぁ・・・私たちですら40分くらいはかかったのに。」
「僕50分くらい。」
「そっちの2人も十分早いわい。普通は2時間はかかる。おまけにお主ら2人の結果も余裕で9割を正解率は越えておる。」
「よかった。できてた。」
「でも惜しかったのぉ・・2人とも1問だけミスというかもう少しじゃったのじゃが。」
「相手の心理を見る問題とか一番最後のですか?」
「うむ。正直一番最後の部分の問題は答えはなかった故に、わしらが納得するか賛同できる内容であれば丸を与えたんじゃ。」
「そっか・・アレ微妙だったんだよねぇ。」
「満点ってことはフリージアさんは丸だったんだ?」
「フリージアの答えは正直普通の人間は答えるにはほぼ不可能な答えじゃ。ちなみにどう書いた?」
-私にとっては、死とは解放です。-
「解放?」
「理由は?」
-死ねばそれ以上苦しまなくて済みますから。-
「それって・・・」
「実際にそういう体験か、目撃をしなければ決して出ない答えですよね・・。」
「じゃから言ったじゃろ。普通は無理じゃと。」
「ち、ちなみにその答えは・・実体験じゃないよね?ね?」
-生まれてから5歳になり、ランダム転移の魔道具で逃がしてもらうまで続いた実体験ですが?-
「うわぁ・・・・」
「悲惨すぎる・・。」
「正直具体的何があったかは聞かぬ方が良いぞ。」
-おじいちゃんは、知っているのですか?-
「まぁのぉ・・あの絵本のまんまじゃろ?のぉ?エトワールさんや?」
「フリージアさんファミリーネームあったんだ?」
「へぇエトワールかぁ・・いい名だね。」
-お母さんのことをご存じなんですか?-
「うむ。かつてこの学園に通っていた生徒じゃったよ。お主と性格が真逆で見た目はそっくりじゃったが、思い出すのに時間が掛かったわい。」
-よく言われます。-
「フリージアさんの見た目そのままで、性格が真逆・・・・」
「どうしよう・・全く想像出来ない。」
「アレは、直接知らなければムリじゃよ。」
「そう言うモノですか?」
「うむ。そのくらいギャップが激しかったし、本人は非常に病弱じゃというのにトラブルに自ら突撃するからのぉ・・周囲が色んな意味でカオスじゃったよ。」
「うわぁ・・大変そう・・周りが。」
「大変じゃった・・周りが。本人はトラブルに突撃して影に隠れていた悪いことをとことん表に出しまくって魔法の雨あられで敵を滅ぼしまくるというのに、笑いながら吐血するし・・。その後片付けにおわれたり、吐血するその子を介護する連中と続いてのぉ・・・」
-母がご迷惑をおかけしたようですみません。-
「アレはアレで今となっては良い思い出じゃ。その結果、彼女は英雄じゃからのぉ。凄かったぞぉ?今のフリージアを超える魔法の実力で4つの属性を操っておったからの。」
「4つを自在に!?」
「すご・・。」
「とはいえ、お主ら2人も結構やらかしておるのぉ?」
「うぐ・・・」
「・・・」
「とある町の伝染病をたちまち全快させたり、町を占拠する輩を1人残らず倒したり、スタンピートを2人で殲滅したりとのぉ?」
「・・なんで知ってるんですか。伝染病のも誰にも言わないでって言ったのに。」
「スタンピートを町の連中が気づく前に頑張って2人で終わらせたのに・・町のアホ連中は別として。」
「ほっほっほ。旧友があちこちにおるからのぉ。」
「えぇ・・・」
-2人も十分英雄さんですね。-
「何を他人事を言っておるか。アクアゲルの殲滅に、クマもどきのスタンピートをたった1つのパーティだけでの殲滅、それに、カタクリの英雄?」
「カタクリの英雄・・聞いたことがある。確か、幼女の2体の使い魔が大活躍して圧倒的不利な状況を誰も死傷者を出さずにスタンピートを殲滅させたって。」
「幼女・・獣魔・・・あぁ。フリージアさんだ。」
-クマもどきの件は誰も知らないはずなのに・・-
「ほっほっほ。」
怖い・・おじいちゃん怖い。
「安心しなされ。ワシはギルドマスターと旧友の親友なだけで他言する気はない。」
-本当ですか?嘘は私には絶対通じませんよ。-
「知っておるよ。魔眼保持者?」
「フリージアさん魔眼保持者だったの!?」
「オッドアイは魔眼って噂本当だったんだ・・。」
「確率は半々で微妙じゃがの。・・大丈夫じゃ、嘘はつかん。」
(コクリ)
ならば良し。
「ちなみにお主らがここに入学したいと思った理由を聞いても良いかのぉ?」
「私は、ユウと一緒に世界中を回って助けられるだけ助けたい。救える命があるのならこの命尽きるまで。」
「僕もセイと一緒だ。セイは癒し、僕は戦う。」
「そうか。フリージアは?」
-私は、私の心の穴を埋める何かをここに探しに来ました。-
「ほう?」
-おじいちゃんは知っていると思いますが私は過去5年間の影響なのか心が壊れています。その結果か何かかは分かりませんが、心に見えない穴があります。その穴は色んな人たちと出会って小さくなりつつありますがまだ穴はあります。それを埋める何かがここにあるか探しに来ました。後は、お母さんの娘としてふさわしくありたい。ご先祖様の頑張りを私が引き継いでその子孫として世界中の悪を滅ぼします。-
「そうか。フリージアにとっては母はどのような存在じゃ?」
-命の恩人で、憧れ、目標で最も大好きな人です。-
「そうか。うむ、3人とも合格!」
「え!?面接は!?」
「ここでだべってただけだよね!?」
「俺も合格で良いと思うよ。」
振り向くと。
-ネルさんお久しぶりです。-
「フリージアさんヤッホー。実力はみて分かったから学園長と同じ意見だし、面接もさっきのやりとりだけで十分と思うよ?何か言われたら俺のとこにおいで。どうにでもしてあげるから。それに、そんなときは3人が訓練場で模擬戦をすれば良いんだよ。戯れ言を言いたい気持ちもなくなるから。あはは。」
「よろしいのですか?」
「いいよいいよ。気持ちはありがたく受け取っておきなって。だから、暇なときはお茶しに俺の部屋においでよ。だべるのは好きだし、ある程度は力になれると思うよ。こんなだらしない人間がいやならムリは言わないけど。」
「いえ!お邪魔します!」
「同じく。」
-私もネルさんとは気が合うと思いましたし。-
「そう思ってくれる?うれしいねー。とりあえず、指輪回収するね。」
指輪を渡します。
「で、ギルドカード見せて。」
で、見せるとタグの上からひょいと魔法をかけられる。
「ほい、完了。裏を見てごらん?」
みると、学園のあのマークがありました。
「それで、今度からはここの敷地には自由に入り放題。入学式は今日からちょうど10日後だね。場所は門番が教えるから。必要なのは特にないけど、ご飯くらいじゃない?なければお金だけでも良いよ、食堂あるし。俺の部屋で食べても良いよ-。ついでにご飯くれると喜ぶ。」
「あはは!ネルさんって面白いね。」
「そう?基本的に気楽な性格してるよ。」
「確かにフリージアさんが言ってたみたいに、ほどよい距離感だね。」
「そう?まぁ、何でも聞いてよ。それと、合格おめでとう。」
「ありがとうございます」
「頑張ります」
-ありがとうございます-
「説明はネルが言った通りじゃ。何か言われれば訓練場でお主ら同士で模擬戦をすることになると思うが、まぁその時はその時じゃ。むしろ、実力を測れなかった故に減点じゃな。」
「学園長。そろそろ受験生が軒並みやられますよ?」
「そういえば、ネルさん戦わなくて良かったんですか?」
「良いよ。既に終わったし、俺の手が空いたときは既に他の先生たちのとこ行ってたしね」
「なるほど。」
「入学式の後に教科書とか必要なのを渡すよ。後、制服は朝渡すことになるから。」
「サイズとかは大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫大丈夫。勝手にサイズ変わるから。・・ちなみに男用と女用どっちが良い?」
「男!!!!」
「あはは。フリージアさんとのやりとりで聞いてたから知ってるよ。一応聞いただけ。」
「はぁ・・。」
「気にしない気にしない。じゃあ、俺は疲れたからまたね。」
「と言うわけじゃ。後は自由にして良いぞ。寮を使う場合は入学式の後からになるからの。」
そんなわけで、まさかの当日で合格が決定しちゃいました。
次回はいつも通り日曜日です。