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ヴァニタスとの再会と、シャスティとノクス団長さん

「・・失礼致しました。」

(フルフル)

リリさんたちと再会して、お外で服を脱がされそうになりつつリリさん自身も服を脱ぎ出すというとんでもないことが起りそうになってましたが、途中で気づいてくれたシャスティが瞬時に巨大化してりりさんを尻尾で殴り飛ばして私を瞬時に捕獲してくれました。

リリさん・・掠り傷はありましたが、ダンさん曰く、

「自業自得だ。むしろその程度で済んだことを幸運に思え。」

だそうな。



で、私は現在アンさんのお膝に抱っこされ撫で回されてる最中です。


夕ご飯やお風呂は済みました。

相変わらずお風呂には攫われましたし、ご飯はあ~んでしたけど。



「にしても、まさか専属絵師になってるのがあのビルドアーティストとはねぇ。」

「様々な縁に恵まれました。」

「おまけにピエロと知り合いだったとは。」

「偶然だったのですよ。お久しぶりです。」

(コクリ)

「あのときの報酬は無事に孤児院へ届けました。」

-それなら良かったです。-

「はい。」


「後・・フリージア。育ったなぁ・・と言うより・・」

「あぁ、ますますペチュニア様にそっくりになった。」

「相変わらずかわいいけど、美人の割合が圧倒的に増えたわよね。」

「少女から大人の女性に変わりだしてる証ですし、とてもきれいになりましたね。」

-お二人も相変わらずきれいですよ。-

「ありがとうございます。」

「あまり気にしたことはないんだけどね。」



「それで、あなたがラウさんか。」

「えぇ。リア様の身の回りのお世話と護衛をしております。」

-騎士さんですが、自称護衛執事の護衛が出来る専業主夫さんです。-

「リア様!?」

私が内心で思っていた兄さんの評価をそのまま暴露してみたところ兄さんから凄い表情でツッコミが入りました。

「うん。ラウは専業主夫だ。身の回りの世話も執事とかよりもそっちが近い。」

「カルナさんまで!?」

「そういえば、ラウさんのご飯ってやけにホッとする味だったね。」

「思わず実家を思い出した。」

「ちょ・・皆さんまで!?」

「ちなみに私の旦那様です。」


「っ!?」

「ちょ!?」

「え!?」

「いつの間に!?」


姉さんが兄さんへ色々言っている間にしれっと今回の最も大きな衝撃をもたらしました。

「いつの間に!?」

「ラウに会って1時間足らずです。」

「早いよね!?早すぎるよね!?」

「互いに一目惚れのようなモノでした。正しくは意気投合と言った方が正しいかも知れません。」

「確かにそんな感じでしたね。ですが、運命的なモノを感じたのは確かですよ。」

「えぇ。」

どこか楽しそうに見つめ合いながらほほえみ会う二人。

確かに長い間夫婦として一緒にいたと言われても違和感を感じませんね。



それから主に女性陣による質問攻めが続きました。


「ふぅ・・ある程度予想通りでしたが・・やはり疲れますね。」

姉さんが微妙に疲れた表情になってます。

-それも仕方がないのでは?-

「そうですね。リアさん、明日はいかがなさいますか?午前中は勉学や訓練に身を注ぐとは思いますが。」

-午後からノクス団長さんという方に会いに行こうと思っています。-

「そうでしたか。一度は話をしておくのは良いことです。それに、そう言う場所を見ると言うことはそれだけでも良い勉強になりますし、思わぬ発見がありますよ。」

-そう言うモノですか?-

「そう言うモノです。」



さて、歯磨きも済ませましたし、いつものように屋根の上に行きましょう。

「いつものですか?」

(コクリ)

「そうですか。シャスティさん、私も一緒に行きたいのですがお願いしてもよろしいですか?」

「にゃう(構いませんよ)」

尻尾でOKと返事をしつつ私に着いてきました。




シャスティが巨大化して背中に姉さんが乗り、そのままぴょんと屋根の上に移動。

その時にシャスティが巨大化したことや、私が黒い翼を出したことに関しては色々とツッコミ祭りリアクション祭りでしたがスルーします。



「星空をこうしてゆっくりと眺めるのは初めてかも知れません。ですが、屋根の上ですと空を近く感じますね。」

-ここは明るいですのでこのくらいですが、流星の里のように周囲に明かりが少ないともっとたくさんの星が見えますよ。-

「それはさぞきれいなんでしょうね。今でさえ凄くきれいなんですから。」

-きれいですよ。元々は、空を眺めること以外にすることも私が縋ることも何もなかったんですけどね。-

「リアさん・・」

-お兄様に助けてもらい、ダンさんたちに出会い、姉さんに、兄さんと色んな方々に出会い、ハディちゃんたち家族に会いました。それから、唯一縋るモノではなく、純粋に趣味になりました。あの頃のことは忘れることはありません。とはいえ、怖くて体が動かないと言うような恐怖に襲われることはありません。私はきっと心が壊れているのだと思います。怖いから体が動かないと言う気持ちも、楽しければ自然と笑えるという気持ちも、子供らしさも大人らしさも分かりません。感情から産まれる無自覚による体の動きが私にはありません。

世間的には、それは凄いことだと、優秀な冒険者の力だと言いますが、カルナたちにとっては強さよりも子供らしさを求めてくれます。気持ちは凄く分かりますし私のことを思っての意見なのでうれしいのですが、私には根本的な部分・・子供らしさ、やりたいことを素直に口にするという行為の意味が分かりません。-

「私もリアさんほどではありませんが、似たようなモノでしたよ。他の方々のように笑いが止まらない、怒りで周囲が見えなくなる・・そう言う感覚が分からなかったので、子供らしくない変な子供と扱われていました。大人からは、冷静なんだなとしか言われませんでしたし、そう対して大変な目にも遭いませんでした。それでも、私と仲良くなる方々はゲスな思いで近寄るアホとある程度の距離まで仲良く放ってもそれ以上に近い距離感で仲良くなる方はいませんでした。

無自覚だったのですが、おそらくさみしかったのでしょうね・・私がかわいい物好きになった理由はそこなんだと思います。」

-そこで、兄さんですか?-

「えぇ。凄く不思議だったんです。初めて会って話をしたときに他の方々と違ってごく普通の会話が楽しくて心地が良かった。そして、握手をしたときに私の中の何かが埋まっていくような、満たされていく気持ちになりました。きっと、心にはいっていた傷が埋まっていく感覚だったのだと思います。」

-まさしく、運命の相手だったんですね。-

「この気持ちは、きっと言葉にするには非常に難しいので共感出来る方はほとんどいません。だから私は、一目惚れと言いました。あながち間違ってはいませんから。」

-似たような気持ちは私にもありますよ。心にぽっかりと穴が開いたような感覚・・それは、兄さんやおじいさま、ハディちゃんたちや姉さんたちのおかげで小さくなりつつありますが、まだ穴は開いたままです。

私がこの学園に通いたいと思った理由の1つにこの心の穴を埋める何かがあるのか知りたいという気持ちもあるんです。-

「ありますよきっと。信じる心はいつでも純粋に願う者の味方なんですから。」

(コクリ)


そんな会話をしながらも私たちは星空を眺め、それから部屋に戻り休みました。

その時、私とシャスティ、姉さん、ラナちゃんに翠ちゃん以外は誰も近づきませんでした。


話の内容を察したカルナが近寄らないようにさりげなく誘導してくれたのだというのは私が知らない話し。







-ラウ-

昨晩は疲れた・・主に精神的に。

アリスがリア様と個人的な内面についての話をしているようだったから離れていたが、その間、ずっとアリスに関してのあれこれを質問されまくった。

・・女性は恋バナが好きという話しは本当だった。

アレは好きというよりは、獲物に群がるといった方が正しいレベルだった。


だとしても、もうアリスの初めては奪った?とか気持ち良かった?とか聞く範囲がおかしいだろう!!

例え、そう言う行為をしてたとして話すわけないだろう!?

何!?

女性ってそんなことも普通に会話するの!?



怖い・・女性怖い。

まぁ・・アリスはそういうことは話さないって分かってるし、俺自身も話すつもりはないから適当にごまかしておいたけど。

・・一応言っておくが、そう言う行為はまだしてないからな?

興味がないわけじゃない。

けど、アリスが求めたときはしっかり求めようと思う。

そういうことがしたいから結婚したのではないのだから。


俺自身も無自覚だったが幼い頃からイリス様と出会うまでに気配が薄いことに関するあれこれで見えない部分に怪我をしてたんだとアリスと出会って実感した。

あのとき、会話をして握手をした。

その行為だけで内面の何かが癒された気がしたんだ。

実際、気持ちが軽くなった。


アリスもおそらくは同じことを感じたんだと思う。

俺とは違う理由だとしても、きっと内面にある怪我は似たような感じだったんだろう。


だから俺は、アリスと夫婦になりたいと思ったし願った。

俺のそばにいて欲しい。

そして、この人のために頑張りたい、一緒に頑張りたいと。


そして、二人で揃ってリア様を愛でたいと!!

・・親ばかもどきとか言うな。

実感してるから。





で、それはさておき午前中は翠さんとアリスがリア様の勉学の教育、そして今日は依頼が休みらしいダンたちが特訓に付き合ってくれるらしいのでせっかくなのでまかせてきた。

ちなみに午後からは軽い依頼をこなす予定なんだとか。

町中のお手伝いみたいなものらしい。



で、俺たちは朝から夕方までみっちりとノクス団長たちと特訓だ。


と言うより、本格的な特訓は午後からで午前中は研究者のメンツがカルナさんたちと話をしたいとのことでそれに了承した感じだ。


訓練場へ行くとノクス団長とその他の面々が揃っていた。

「すみません。遅くなりました。」

「いや、つい先ほどこちらもメンツが揃った。気にするな。」

ノクス団長はごまかしなどはせず真実しか言わない。

本当にそうなんだ。



まぁいいか。

「ならよかった。午後より、リア様がノクス団長に会いに来るそうです。カルナさんたちを預けるので、主として挨拶はしておかなければならないからとのことで。」

「そうか。しっかりとした主のようだ。まぁ、獣魔たちからみてなんとなく察していたが。でなければ、これほど優秀にはなるまい。実力も礼儀正しさもな。」

「まぁな、俺たちがしっかり育ててるからな。」

「・・そうか、君たちの主はそうだったな。」

軽く過去のことは話しているから獣魔が主を育てていると言う部分を察してくれた。


「では、早速大丈夫か?」

「あぁ、俺等は構わないぜ?」

「では・・迷惑はかけるなよ?」

「はい!」

「もちろんです!」


研究者のメンツが早速とばかりに挨拶し、本人たちに許可を取ってから体を撫で回していた。

で、ぶつぶつと言いながら何かメモしている。


シャスティさんは面倒になったのかなんなのか巨大化してふせをした。

すると、目を輝かせて撫で回しが強化。



で、カルナさんが途中途中で翻訳してを見ている中でふと団長がつぶやく。

「・・カルナ殿のように意思疎通が出来れば良いのだが。」

「リアがいれば別なんだが・・。」

「君たちの主かな?」

「あぁ、リアは動物と話が出来るから通訳を普通にしてくれるんだ。実例が、ほら向こうにスリープシープがいるだろ?その時のやりとりもラウがしたけど、その翻訳はリアルタイムで【念話】でリアがしたんだ。」

「なるほど・・おい」

「いかがなさいましたか?」

「確か、意思疎通用の魔道具があったはずだな?」

「え?あぁ!ありましたね。」

「それを持ってきてくれ。実用試験も兼ねれば一石二鳥では?」

「そうですね!少々お待ち下さい!!」

と言ってすっごい勢いで去って行く。

5分後戻ってきた。


・・早すぎないか?

「持ってきました!!」

「ノクスさん、それは?」

「これは、翻訳用の魔道具だ。まだ試作品故になかなか研究が進んでいないんだが、せっかく翻訳出来るカルナ殿がいるのに加え、他2名も意思疎通はしっかり出来る。とても良い機会だと思ったんだ。」

「危険だったりはないよな?」

「ない。しいて言うなら魔力が消費される程度だ。」

「なら構わないぜ?リアたちと話すに関しては特に支障は無いが、それで力になれるなら。」

「助かる」


ベルト式になっているそれは腕、もしくは首に巻き付けて使う魔道具で、取り付けた対象が喋るとそれと同時に魔力を少量吸い込み、喋りたいと願った内容を話す相手の種族に合わせに翻訳してくれるというモノ。


ただ、どれほど翻訳出来ているのかと言う確認が、言葉が分からない生き物ばかりなのに加え、そんな相手がほいほいいるわけもなくなかなか研究が進んでおらず、成功しているかどうかも微妙なモノだったんだ。


で、シャスティさんとハディさんに取り付けられた。

「・・では、何か一言喋ってはくれないか?」

「何を話せばよろしいのですか?」

「思いつかない。」


「おぉ!成功だ!!」

「喋ってる!言葉が分かる!!」

「カルナ殿、どうだ?」

「あぁ、翻訳されてる内容と実際に喋ってる内容は一言一句あってるぜ?」

「そうか。この場所から持ち帰ることが許されぬ品故申し訳ないが。」

「気にしないでくれ俺たちはそれで慣れている。」

「恩に着る。」



「シャスティ殿!その巨大化は一体」

「リア様と契約していることで出来るモノです。」

「おぉ!その効果とは!」

「体格が大きくなった分身体能力が増加しただけですが。後は、私の場合は斬撃と飛ばせますね。」

「なるほど。一時的な成長させる能力と考えて良いみたいですね。」

「ブラッシングをして抜けた毛でよろしければ差し上げますが。」

「本当ですか!?」

「えぇ。ブラッシングが上手でしたら爪も適当に差し上げますが。」

「頑張ります!!」



「カルナ殿もシャスティ殿と同じことは出来ますか?」

「出来るな。巨大化した分の身体能力の増加と、俺の場合は斬撃を飛ばせない代わりに毒を全身から飛ばせるようになる。普段は爪で傷つけるか嘴から飛ばすくらいだからな。」

「なるほど。カルナ殿は昔からしゃべれるのですか?」

「昔からじゃないな。元々俺とシャスティは魔力が多少多いただの動物だったんだ。後々に無自覚にリアと契約していることが分かるんだが、その辺りから気づいたらしゃべれるようになってたな。」

「契約した故の結果か、もしくはカルナ殿自身が成長したかのどちらかでしょうな。」

「だろうな。」

「それと・・・毛繕いのお手伝いをさせて頂けませんか?」

「あぁ・・分かった。適当に抜けた羽は好きに持っていけ。」

「ありがとうございます!」



「ハディ殿は、分類では魔物でよろしいので?」

「一応。翠が言うにはドラゴンの血が混じってるらしいけど」

「翠殿・・あぁ、獣魔仲間ですね?」

「一番物知り。」

「なるほど。ハディ殿の頑丈さは、そのドラゴンの血が影響している可能性が高いですね。」

「バレクたちも言っていた。」

「バレク殿・・とは?」

「リア様の後見人」

「なるほど。それと・・・」

「鱗が欲しいのか?」

「差し支えなければ・・」

「背中辺りのがそろそろはがれそうだから適当。」

「よろしいのですか?」

「微妙に色が薄くなってるのは生え変わるのだから手伝ってくれれば全部良い」

「喜んで!!」






「楽しそうだな・・あいつら。」

「あはは・・・。」

「あれだけ意思がしっかりしてたんだな。なんとなく察していたが予想以上だ。」

「皆、リア様の教育係兼、護衛ですからね。」

「なるほど。」




「シャスティ殿は、その尻尾はどこまで動かせますか?」

「薬の調合などを良くしているので大抵のことはできますよ。」

「なるほど。では、戦いで武器を扱ったりはしないのですか?」

「・・・考えたこともありませんでした。」

「そうなのですか?きっと向いていると思いますよ?人だって、拳一つで戦ったり武器で戦ったりしているではありませんか。あんな感じでバリエーションを増やすことは良いことだと思いますよ。」

「リア様も確かに、多くを学んでましたね・・」

「でしょう?主様のためでしたら出来ることは多く学んでおくべきですよ。きっとどこかで役立ちます。」

「あなたもそう思いますか?」

「えぇ。私研究者ですが、兼任で使用人としても働いておりますので。」

「なるほど・・午後の訓練で試してみる価値はありますね。」

「俺も、同じ意見だ。」

「ノクス?」

「俺は剣一筋だが、武器なしの武術もたしなんでいる。剣がないときでも戦えるように拳も足も扱えるようにな。それに、シャスティ殿、あなたの尻尾は確かに強い。だが、打撃だ。場合によっては爪以外でも斬撃攻撃が出来るようにしておくべきだと俺は思う。」

そうか。

シャスティさんの戦いは尻尾がメイン。

爪での攻撃もあるが、アレは使う頻度が少ない。

というのも、4本足で移動するため、そのうちの1つか2つを使うとなるとその後の動きに支障が出るから頻発できないんだ。

「確かに、尻尾で剣を学び、斬撃での攻撃が出来るようになればプラスが非常に多いですね。ノクス、午後、お付き合いいただけますか?」

「もちろんだ。まずは、慣れるためにその姿で行ってはいかがだろうか?」

「そうですね。私の剣がどのような扱い方が向いているか検討する必要があるので、ラウ。あなたも付き合いなさい。」

「わかりました。」

・・何というか、拒否できない威圧感を感じる。


にしても、シャスティさん・・すっごい声が美人だな。

カルナさんが言ってたのは本当だった。

確かに美人だ。




「さて、そろそろ昼だが、どうする?食堂へ案内しようか?おごらせてもらうぞ?彼らの分の礼もある。」

「団長様・・よろしいのですか?」

「構わん。その分俺も楽しませてもらっている。ゆえに、お前たちはお前たちで結果を出せるように全力を尽くせ。」

「はい!喜んで!」

「あぁ!研究がはかどる!!」

と、去っていこうとしたところで

「あなたたちお待ちなさい。」

「シャスティ様いかがなさいましたか?」

様付にランクアップしてる・・。

「これを食べていきなさい。」

と1人小さな袋を1つずつ人数分シャスティさんは何かを投げ飛ばした。

器用に受け取って中身を見た彼らは

「草団子?3つ?」

「私がリア様のために改良して作った栄養剤の団子です。剣のアドバイスの礼です。後で食べなさい。」

「~~~~っ!!ありがとうございます!!ありがたく頂きます!!」

と感謝感激という感じで頭を下げて去っていった。



相当うれしそうだな。

ちなみに俺も時折食べているがいつ食べても不思議な気持ちになる。

シンプルで素朴なのでなぜか癖になる。


すると、突然1個その栄養団子をノクス団長へ投げ飛ばした。

で、危なげもなくキャッチ

「これは?」

「気になっていたのでしょう?」

「ありがとう。ありがたく頂く。」

シャスティさんって、なんていうか姉御だよな。

うん。




「そういえば、俺ら、普通に食堂に向かってるけど大丈夫なのか?人間じゃないが。」

ちなみにシャスティさんは、普通の猫サイズに戻ってる。

「構わない。それであほを言うような輩はこの国に必要ない。」

「スパっというが普通は難しくないか?」

「よそではそうかもしれんが、この国は・・とくにこの国のこの城を守るモノの1人として、そういう意見は決して許されない。それは、この国の初代陛下様から続いている。」

「へぇー。なら良いか。」

「それに、俺に意見するゆかいな輩がいるかな?」

どこか楽しそうににやりと笑うノクス団長。

微妙に殺気が漏れてる。

あぁ、これは、そんな一言を言うかそんな反応を見せた瞬間に模擬戦で徹底的にいじめられるな・・。

で、そのキツさをよーく知ってるのはこの国のメンツはほぼ全員のためそんなことはない。


「しっかりと調教しているようで何よりです。」

「そう言ってもらえて光栄だな。」

どこか楽しそうに会話するシャスティさんとノクス団長。

あの・・調教発言はスルー?


・・・この2人たぶん同類だ・・。

シャスティさんがリア様以外に最も仲良くなれる存在はこの人だけな気がする。


その証拠としてシャスティさんは普通にノクス団長の肩の上にいるし。

「シャスティ殿とは、とても仲良くできそうだ。」

「奇遇ですね。リア様の次にそう感じますよ。」

「それは光栄だな。」


あぁ・・やっぱりそうか。

それに、どこか楽しそうなんだよなぁ、ノクス団長。


まぁいいか。




で、食堂へ到着し団長が適当に数種類選んでくれた。

色々食べさせるつもりなんだろう。


「ラウは弁当か?」

「えぇ、妻が作ってくれたので。」

アリスがどこか恥ずかしそうにくれた手作りの弁当だ。

そんな光景を見てほほえましくなったりうれしくなったりして思わず玄関だというのにもお構いなしで濃厚なキスをしてしまったのは余談。

まぁ、その後しばらく放心状態で動けなかったアリスだが、幸せそうだったので他のメンツに任せてきた。


弁当の中をあけるとおかずとサンドイッチが並んでいた。

どれもボリュームたっぷりで、なおかつ栄養バランスも考えられていた。

アリスらしい。

それに、すごく気持ちがうれしい。


内心でアリスにお礼を言いながら食べる。


うん。

おいしい。

味もすごく程よい。



するとノクス団長がなぜか驚いた表情で俺を見ていた。

シャスティさんたちはあれこれ言いながら食べてる。

周囲で食べてた他のメンツはそんなシャスティさんたちを面白そうに眺めてる。


「団長、どうしましたか?」

「いや・・お前のそれほど穏やかな笑顔は初めて見たからな、驚いてしまった。」

「そうでしたか?」

「あぁ。元々穏やかだが、どこか心の底からはそう思っていなかったような気がしてたんだ。」

言われてみれば確かに心の底からうれしいとか感じたことはこれまでなかったな。

「かもしれません。」

「本当にお前の嫁になった相手は良い人のようだ。安心した。」

もしかして、俺のこと心配してくれてたのか?

て、本人に言っても何も言わないだろうし、内心で感謝しておこう。



「では、シャスティ殿は学ぶのは剣でいいのか?」

「えぇ、その方が向いていそうです。」

「確かに。」

「では、シャスティ殿専用の剣を考えねばならないな。」

「そこらにあるものではいけないのですか?」

「悪くはないが、今の姿とあの大きな姿。その両方で同じ長さの剣を扱うとなるとな。」

「言われてみればそうですね。それに、どの剣を使うかも検証する必要がありますね。」

「その辺りは午後の訓練である程度分かるだろう。」

「そうですね。ご指導お願いいたしますね?」

「ふっ、もちろんだ。」

ホント息がぴったりだなぁ。




そして、午後。

いざ訓練を始めようとしたところでシャスティさんがクルリと門に体を向けて爆走しだした。

全員がなんだ!?と驚いてるとリア様がいた。


あぁ・・さすが。


で、さっきまでの凛々しい感じはどこ行ったとツッコミを入れたくなるほどベッタベタに甘えまくってる。

その光景は誰がどう見てもマタタビに酔っぱらう飼い猫。


まぁ・・あながち間違っていないか。


そんなギャップの激しさに全員が驚いている。

実際、ノクス団長も目が点になってフリーズしてるし。









-フリージア-

「リア様、リア様。あぁ//リア様。」

なぜか、普通にしゃべってる巨大化シャスティに甘えられてるのでなだめ中。


お城の門で何と説明して通してもらおうかなーと思ってたら、ちょうど門番をしている人は私のことを知ってたらしくサクッと話が通り、訓練場まで案内してくれました。



-シャスティ、お話しできるようになったのですか?-

「はい。会話をするための魔道具の作動試験ということでこの場限定ですが。」

なるほど。


「リア様俺も。」

ハディちゃんもなんですね。

と、撫でまわしてあげてると


「君が彼らの主か。」

声がしてふと上を向くとワインレッドの髪がきれいなイケメンなお兄さん登場。

すごく強そうな雰囲気がします。

それに、正義感の塊っぽい感じです。


あぁ、この人が

-フリージアです。初めまして、ノクスさん。話はカルナたちから伺っております。-

「やはりそうだったか。シャスティ殿がそれほど甘えていたのでそうではないかと思っていたんだ。俺は、ノクス。この国の騎士団長をしている。」

-改めて、カルナたちを預かっていただき感謝いたします。-

「それは、こちらも同じ意見だ。こちらにも利は多くある。」

-それならよかったです。これからよろしくお願いします。まぁ・・まずは私が試験に受からなければならないと始まらないのですが。-

「何をおっしゃいますかリア様。リア様はそこらのごみ屑共なんかと同レベルなわけがないではありませんか。」

「シャスティ・・ごみ屑って・・。」

「間違っていませんよ。私にとってはリア様以外は害虫です。」

「あぁ・・・とりあえずリア。心配するな。今の実力と知識だけで十分いける。それでだめなら全力で抗議してやる。」

-ありがとうございます。やりすぎてはいけませんよ?-

「安心しろ。俺らよりもやっばいのがいるだろ?色々と。」

-・・そっちの方々にはばれないようにお願いします。おそらく、学園そのものが消滅します。-

いましたね・・過保護な人たちがたくさん。

主に、今住んでるお家にいる人たちの大半が。


「あぁ・・やりそうだな。」

「大丈夫ですよ。目撃者も1人残らず消しておきますので。」

「お前は黙ってろ・・それよりも、シャスティ、先に頼みたいことがあるんだろう?」

「うぐ・・」

ほう?

シャスティがお願い事ですか?

珍しいですね。



「ま、まぁ、俺とそれほどしっかりと意思疎通ができているんだ。学園の入学試験くらいは問題ないだろう。そうでなければ、何かしら俺は一言言っている。」

「リア様、彼はとても正直で嘘や遠まわしの意見は言わないので、もし足りない部分などがあればその場でズバッと言ってますよ。」

なるほど。

そういう方なんですね。

わかりやすくていいですね。


それと、シャスティのお願い事とは何でしょうね?

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