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クラリティ王国-再会-

おじいさまと荷運びのスペシャリストなお兄さんたちと共にクラリティ王国へ向かって進んでます。



「そういえばクテン様、その髪飾りって思い出の品とかなんですか?」

髪飾り・・あぁ、これですか。

-冒険者登録をしたときにいた受付のお姉さんに頂いたモノなんです。魔法の練習を手伝ってくれたりいろいろ教えて下さいました-

「へぇ。良い人なんですね。」

(コクリ)

-それがどうかしたのですか?-

「いやぁ、あまり高いモノでもなさそうだけど大事に使ってるっぽいし何か大事なモノなのかなぁってなんとなく思いまして」

-そうですね。確かに高いモノではないですね。けれど、私にとっては初めて人に優しくしてもらえた方の1人でしたし、本当の姉のような存在でした。-

「あぁ・・クテン様の過去って・・すさまじかったですもんね。」

「アレを知ってるとすっごい納得する。」

「けど、それなしでもそこまで優しくしてくれる受付嬢って普通にそうなると思うけどなぁ。・・俺なら惚れる」

「確かに」

「あ、そういえばクテン様。」

(?)

「今、クラリティ王国で妙に有名なクランがいるの知ってますか?」

-いえ。-

「ポレール・ジュレって言うんですけどね?ランクは中級レベルだけどバラバラで、受ける依頼もバラバラなんですが、マーチング部隊というか、移動式サーカスみたいな感じなんですよねぇ。」

-統一性が見当たらないのですが・・-

「気持ちは分かります。けど、全部本当なんですよ。町にいるときは楽器を演奏しながら練り歩き、依頼を受ければ内容はその時次第でどれを受けるかは全く想像着かないから。」

やけに不思議な人たちもいるんですね。

「噂では、あの国の王子様の親衛部隊だって話もあるし。」

「あ、俺も聞いた。後、どこかの誰かを守るために立ち上げたとか。」

-その方って誰なんですか?-

「それが、分からないんですよ。」

「誰と何も言わないし、連中は流星に誓うとか一番星のためとか言ってるだけでそれ以外は全くの不明。」

流星に誓う・・お母さんに憧れてる人たちなんでしょうか?

「まぁ、悪い人たちじゃないっポイし、放置しててもその内知り合いになると思うけどなぁ。」

-出会ったときは出会ったときと考えることにします。-

「それでいいと思いますよ。」

「けど、あのチーム・・すっげぇ美人が多いんだよなぁ。」

「あぁ、それ分かる。」

「てか、スタイルもやっばい。」

おっぱいが大きくて美人さんが多いクランのようです。

で、私をみた後

「けど、クテン様よりは美人じゃないよな。」

「何を当たり前のことを言ってんだよ。」

「そうそう。クテン様より美人ってちょっとやそっとでいるわけないだろ。」

「スタイルは数年後に期待!」

「確かに!」

「流星姫様のことを考えると非常に期待出来る!」

「・・お前らそこまでにしとけ。変態扱いされたくない。」

「はっ!そうだな。」

「確かに、クテン様に変態扱いされたくない。」

「けど、クテン様に蔑まれたらそれはそれで何かに目覚めそうな・・。」

「やめろぉ!それだけは止めてくれ!!後々が怖い!!特に周囲のメンツからの視線が怖い!!」

本当に楽しいお兄さんたちですね。

内容はよく分かりませんでしたけど。




「だとしても、クテン様魔法の発動がすっごい早くなりましたよね・・。」

(?)

時折影から爪サイズの球体を作りだして、サクッと敵の脳天を貫いてます。

片手間に。


「そりゃそうだろ。あれから何年たってると思ってんだよ。クテン様はあの頃から既に強かったんだし、何より努力家だ。こうなるのも当たり前だろ。」

「それもそうだな。」

それで納得しちゃうんですか?


・・とりあえずスルーしておきましょう。




で、野営中

ほとんど習慣になっている歌を歌う。

それを聞いてるお兄さんたちは

「あの頃よりもハスキーボイスが良い感じになってるせいなのか、より良い感じになってるよな」

「わかる。この言葉に出来ない感動とか」

「この歌聞くとすっごい心が癒されるんだよなぁ。」

色々言ってますけど、まぁ、気にしなくてもいいですね。



「にしても、ホントに報酬はそれだけで良かったのか?」

「てか、これ以上の代物はないし。俺たちにとってはどんなに大金を積まれてもこっちを選ぶぜ?」

「そうか・・まぁ。喜んでるならまぁいいか・・」

お兄さんたちがクラリティ王国まで連れてってくれる報酬として精霊樹をバックに花畑が広がる土地で私を描いた絵を渡されることになりました。

サイズは、はがきサイズの2倍くらいで、当然リカルさん作。

色もしっかりつけられているリカルさん自慢の一品です。


「てか、カルナ。軽く言ってるけど、これ・・世間じゃどんなに大金を積んでも手に入らないんだぜ?」

「そうなのか?」

「あぁ。渡す気はさらさらないけど。」

「うんうん」

「んで、なんでそんなにレアもの扱いされてるんだ?」

「そりゃあ、これ描いたリカルさんって何者だって考えれば分かると思うんだが。」

「確かビルドアーティスト・・あぁ。そういえばそうだったな。」

ビルドアーティスト

リカルさんは、世間ではそう呼ばれているすごく有名な絵師さんで、リカルさんが心の底から描きたいと願い、描いたモノはどんなモノよりも素晴らしい作品なんだそうな。

で、リカルさんが一度他人に売らない、渡さないと決めたらどんな身分の人相手にも決してその意思を曲げることは皆無と言われることで有名なんです。

「おまけに、クテン様だし、流星の里は観光地レベルですごく良いとこだし、そんな最高の組み合わせだぜ?」

「なるほど・・。」

「あ、思い出した。クテン様、教会のメンツにクテン様と呼ぶようにお願いした魔道具覚えてますか?」

(コクリ)

「あの後、ちょっとむせてたじゃないですか。」

(コクリ)

ちょっとムリしちゃったのでむせましたね。

「実はその時のやりとりから、カルナの説教というか、心配してたり、俺等がムリしてた?とか聞いてるやりとりまでアレ・・・全部映ってたらしくてさ・・・。」

え?

「そのせいなのか何なのか、教会メンツが全員その魔道具をしっかりと安置して神様に祈りを捧げるように毎日祈られるほどの代物になってたりする・・。」

えぇ・・。

「それ、大丈夫なのか?色んな意味で。」

「あぁ・・一応大丈夫だ。ただ・・」

「ただ?」

「喉に優しいモノや、喉に良さそうなモノをやけに集め出すようになってたけど。」

「・・・・・聞かなかったことにする。」

「わかった。・・俺たちは覚えていないし、そういうことを喋った記憶はない・・いいな?」

「おう」

「了解」

・・妙なことになってるようですね。

教会の皆さんは大丈夫でしょうか?

色んな意味で





「あ、そういえば」

「カルナ、どうした?」

「国の門をくぐるとき、俺等はどうすれば良い?このまま馬車に乗ってて良いのか?」

「あぁ、そのまま乗ってて大丈夫だぜ?俺等にとっては、馬車に色んなのや色んなメンツを乗せてるのは結構よくあることだし。」

「荷運びから、人運びまでするしな。」

「たまに引っ越し業者と間違われることがあるけどな。」

「あぁ、あるある。」

「まぁ、普通に受けるけどな。」

「なるほどな。なら良いか。何から何まで手間かけるな。」

「気にすんなって。ホントお世話になりっぱなしなんだしさ。」

「そこまで気にする必要はないんだけどなぁ。」

「俺等の気が済まないだけなんだ。俺等のためと思って気にしないでくれ。」

「あまり無茶はするなよ?」

「おう!」




「にしても、この馬車あまり揺れないくせに結構速度でてるよな?・・馬は大丈夫なのか?」

「あぁ。この馬車は揺れないように色々と改造してるしな。それに、俺等が連れてる馬はぱっと見普通の馬なんだが、実は魔物なんだぜ?」

「そうなのか?翠」

-そうだね、アレはラヴィテスホースだね。-




ラヴィテスホース

一見ただの馬だが、スピードや力、スタミナは通常の馬の何倍もあり、走ることは生き甲斐。

一度懐けば非常に忠実だが、下手に敵対されればとことん嫌われるため初対面時のリアクションで相性が分かることで有名

彼らの蹴りは非常にヤバイので後ろに立つときは骨が数本折れることを覚悟しておきましょう。





なるほど。

すごくこのお兄さんたちにぴったりなお馬さんですね。

「てことは、この馬車を引いてるのは全部か?」

「あぁ。ちょっと前にこいつらみたいな馬や牛とかの魔物関連をまとめて扱っている牧場っぽいとこまで依頼で行ったことがあってな?その時に報酬とかお礼とかで譲ってもらったんだ。」

「それまで連れてた馬はどうしたんだ?」

「実は、そこに着いた直後にすっごい体力が限界って感じの老夫婦とその娘夫婦たちがいてさ・・・見ていられなくて馬を全部譲ったんだ。一応目的地まで着いてたし、後のことは後で考えようってことになってさ。」

そのご夫婦たちはそのおかげで無事に目的地まで到着し、お礼はいらないとお兄さんたちから言われていたこともあり、大事にその馬たちを育てることにしているそうな。

良い人たちに出会えたんですね。


「お前ら、親切だな・・てか、よくそこでそんな決意をしたな?少し待ってもらって馬車に乗せるって手段もあったろうに。」

「いやぁ・・何か勘なんだが、急いでる感じっぽかったし、みていられなくてさ・・。」

-他人思いなんですね。-

「ただの自己満足っすよ。」

「そんな他人思いなお主らだからこそ、ワシはお主らを弟子として認めておるんじゃ。」

「師匠!ありがとうございます!」

「これからも頑張ります!」

「うむ。」

お兄さんたちは不定期だけど、おじいさまに鍛えてもらってるので一応弟子入りという扱いになってるそうです。


「で、そんなやりとりをみてたその牧場のお偉いさん相手に俺等は、手持ちの金でどうにか馬を譲ってもらえないか交渉したんだ。当然、金が足りなければ仕事の手伝いだってするって言ってさ。」

「そしたら、感動したのか何なのか無償で、譲ってくれたんだ。」

「条件として、俺等と仲良くなったのがいたらって条件だったんだけどな。」

「で、仲良くなれたのか。」

「あぁ、ホント運が良かったよ。だから俺らさ、時折そこに仕事の手伝いに行ってるんだ。せめてその分の代金分くらいは働いて返したいからさ。・・・金を渡してもモノを渡しても受け取ってくれなさそうだから、馬たちの里帰り扱いで、そのついでに手伝ってるって扱いにして。」

「ほどほどにな?あまり苦労は背負い込むなよ?」

「分かってるって。」




「お、見えてきたぜ?」

馬車から顔を出して指さされる方向を見るとありました。

おっきいですね。

-すごく大きなところなんですね?-

「おう!王国だしな。」

「それに、大神殿レベルのでっかい教会には王立の図書館があるし、何より学園もある。」

「それと、あの国のお城はさ一種の観光地でもあるんだ。」

「城が?」

「あぁ。中には入れずとも遠くから眺めるだけでもすごくきれいな建物なんだ。教会も同じく。」

「内装は、教会の方がすごいよな。」

「あぁ、確かに。あのステンドグラスにどこまでも並ぶ本に天使の石像に女神様の石像とかが並んでるのはすごく神聖な場所って感じがするし、俺等ですら見えない何かが清められるような癒されるような気持ちになるんだ。」

「それは楽しみだな。」

「そういえば、クテン様たちは5年間どこで暮らすんすか?」

-向こうに着いてから考える予定です。・・教会の方々に伺ってみる予定ではありますが。-

「なるほどなぁ。」

「そういや、学園には寮とかあるのか?」

「あぁ、ありはするけど、学生だけだし、クテン様みたいに獣魔とかいると狭いからあまりおすすめはしないな。」

「そうなのか?」

「あぁ。だから、寮を使うのはそれほど場所をとらない奴らだけなんだ。後は、家族と一緒に住まないメンツだな。」

「なるほど・・まずは住む場所を探すところからだな。」

「学園に通うための試験まではそれなりに余裕があるしゆっくり決めたら良いと思うぜ?」

「そうだな。」




そんな話をしている間にクラリティ王国に到着です。

門は、2箇所あり、歩行者用と馬車用です。

要するに大きい門と小さい門があります。

と言っても小さい方でも高さが2メートルはありますし、大きい方だと5メートルもあるんです。


すごいですよね。

で、ちょうどたどり着いた時間が人が多い時間だったらしくすごく並んでます。

小さい門も大きい門も両方とも。



で、私今・・すっごい注目されてます。

お兄さんたちの馬車は、屋根と壁の部分がすごく丈夫な布で出来ており、その部分は収納することも出来ます。

なので、その布は馬車の床の辺りに仕掛けがあるらしくその中にきれいに収納されてるので屋根なしの馬車に大変身です。

と言うわけでお外がよく見えます。

と言うより、日差しがひどいとき以外はその屋根とかの布は張らずに収納されてたりします。

お外をみながらの馬車が楽しいからです。



で、やけに注目されてるなぁと思いつつ、見えないことにして甘えまくってるシャスティを中心に愛でてあげます。

基本的にシャスティが一番甘えん坊さんなんですよね。

その分、お世話もしてくれますけど。



「あぁ・・やっぱり注目されるかぁ・・。」

「だよなぁ、クテン様美人だし。」

「言える。」

「けど、その大注目をきれいにスルー出来るとかさすが、そんなクールなとこにしびれる憧れる!」

「わかるわかる。クテン様基本的にクールだよな。そこがかっこいいんだけど。」

「だよなぁ。で、調子に乗ったりわがままだったりとかそういうのは皆無だし、すごく他人想いで優しいし、最高すぎるだろう!!!」

「わかったから落ち着け。どっちかというとよいしょしてるお前らの方が目立ってる。」

ちなみにしっかりとツッコミを入れているカルナもそんな注目されている要因の1つだったりするのですがスルーします。

いつものことですし。

やはり、どこにいてもしゃべる鳥さんは珍しいようです。


で、そんなツッコミの内容に思わずうなづく人たちも多数いたりしますし、お兄さんたちのよいしょに強く同意してたりそうなのかぁとなぜか話を聞く方面で落ち着き始めてるメンツもいたりします。



「なんかさ!なんかさ!!こう注目されてると芸を見せないといけないかなって思うのは俺だけかな!?」

「気持ちはわかるが落ち着け。お前はそんな魅せる芸なんてできるのか?」

「見せる技はあるが、魅せる技はない!!なぜならば!!俺は、容姿も強さも器用さも何もかも普通だからだぁ!!!」

「堂々ということがそれかぁ!!」

どどーんという音が背後から聞こえた気がしました。


それを聞いて、なぜかおぉーと感動?してる人たちもいたりする。


というよりもお兄さんたちのやり取りがすっかり漫才扱いされてる気がします。

「な、流れ的に今度は俺か!?俺なのか!?俺は、そんなネタもないんだが・・・で落ちキャラ!?落ちないとだめなのか!?ネタがないから馬車から落っこちるべきか!?」

「いや、普通にネタ出てるから。てか、無理して落ちる必要ないから。というより、頑張って流れについてこようとする気持ちは評価するが無理するな。俺らは芸人じゃないんだから」

「そうだよな・・うん・・俺なんかを見て面白がってくれるやつが世界中を探しているわけがないよな。」

「そこでなんでネガティブになるんだよぉ!!もうヤダこいつら!!」

そこで、シャスティがぽてぽてとやって来て尻尾で頑張れとかどんまいみたいな感じでポンポンと慰める。

その時のシャスティの表情が生暖かかったりするのは気のせいじゃないと思います。




で、すっかり周囲からは芸人扱いされてるようです。



・・・で、どうしてそこでシャスティは今こそリア様の実力を見せるとき!ってどや顔になってるんですか?

「にゃう!!(今こそリア様の実力を見せるときですよ!!)」

・・ほんとに言いましたよ。

「今度はお前かよシャスティ・・」

「にゃうにゃ~う!!(何を言いますか!!リア様のすばらしさを大いに広める大チャンスではありませんか!!!)」

「場の空気に流されてるふりをしてしれっとリアを目立たせるな!!」

-リア。ここで、芸を見せるときだよ。-

翠ちゃんがそう言いました。

「ニャー(リア様ファイト)」

ハディちゃんもですか。




はいはい。

やりますよ~っと。



で、すくっと立ち上がりお兄さんの隣に立つ。


注目していたメンツがお?という感じで私に注目する。

その大半がなぜかうっとりしてる気がするのは気のせい気のせい。


私は、陰から手のひらサイズの影さんたちを12体呼び出します。



全員がなんだ?なんだ?という感じで注目してくれます。

で、馬車の手すりの上に全員よじ登ってきれいに並びます。


-番号-

そうボードに書くと

全員が1から順に12番まで番号を手の部分を伸ばして数字の形にします。


で、12番まで出たところで

陰さんたちがピラミッド状に縦に積み重なり、一番上に立った子が俺が一番!みたいな感じでポーズをとってる。


おぉーという感じで拍手が起こり、器用に頭を下げてお礼をしつつもよろけて笑いを取ってる影さん。


そこで、私が杖さんを構え、手先でクルクルと回したり宙へ回転させながらポンと放り投げ、回転させたままキャッチしてその場でくるりと回ったりとパフォーマンス。

それに合わせて陰さんたちがそれぞれ近くで拾ってきた小枝を構えて私と同じようにそれぞれ技を見せます。



そんな光景が続き、最後に影さんたちが枝を思いっきり宙へ放り投げる。

そして、陰さんたちは数体の子たちがお辞儀をした形でしっかりとその場で構え、その後ろに数体ずつ並び、一列になって走り、お辞儀の体制の子の背中を思いっきり踏み台にしてジャンプ。

次々とジャンプしていく中、最初に跳んだ子が宙でくるりとあおむけになり、後ろから続いてジャンプした子たちを両手で足場を作ってさらに上空へ放り投げる。

次々と宙へジャンプし、ジャンプした先で最初に跳んだ子が踏み台となって宙へ放り投げる。

一番最後に跳んだ子がジャンプした後、宙を舞っている枝を2本キャッチした後、ラウ兄さんが使う双剣のような形へ変化させ、宙を舞う枝を全て切り刻み、最後に自身が扱っていた双剣も宙へ放り投げ、私が【射撃】できれいに打ち抜く。


ジャンプした子たちが空中をクルリくるりと回転しながら上手にしゅたっと着地。

そして、合わせて影さんたちが全員ゆっくりとお辞儀をした後、ぴょんと飛んで私の影の中に飛び込んでその場から姿を消す。

そして最後に私がゆっくりと頭を下げて終了。





わぁぁああああ!!!!


と、盛大な歓声が上がりました。

良かった。

喜んでもらえました。

-リア、ばっちり!100点満点-

翠ちゃんから高評価をいただきました。




そこで、まさかのおひねりが飛んでくる。

で、翠ちゃんが上手に体を伸ばしてキャッチ。

それもパフォーマンスの1つとして扱われ喜ばれました。




「お嬢ちゃんよかったぞぉ!!」

「そのおひねりは俺たちからのお駄賃だ。礼代わりに受け取ってくれ!」

「それで、うまいものでも食べな!!俺たちのおごりだ!!」

「いやぁ!良いものがみれてまじでラッキー」


ちなみにリカルさんはというと、非常に大興奮という表情で絵をかいてます。

「さすがクテン様!俺たちの芸が良い踏み台になったな!!」

「ま、まさかお前は・・そこまで考えてたというのか!!」

戦慄した表情で1人のお兄さんが驚いている中。

「そんなの・・・・・・ただの偶然に決まってるだろ!俺は、いつでも行き当たりばったりな人生を歩んでいるからな!!」

ビシッと親指を立てて非常に良い笑顔でそんなことを言いました。

大声で。



全員「偶然かよ!!てか、行き当たりばったりだったのかよ!!」

まさかの、周囲の人たちも全員でツッコミを入れるという珍事件が発生しました。




「お?まぁ、気にしない気にしない。結果としてよかったんだし。終わりよければすべてよしってな!あっはっは!!」

「はぁ・・・まぁ、深くは考えないようにしよう・・うん。」

なぜか観客となったみんなもうなだれてるお兄さんを可哀そうな人を見る目で見ながら頷いてました。



「あぁ・・・次ー」

「お、俺たちの番だ。思ったより進んでたな。」

「思ったよりじゃなくて、お前らが無駄に騒ぐからそう感じただけだってぇの。」

「まぁ、まぁ、気にすんなって。」

「お前ら相変わらず元気だな・・今回は、依頼は受けてなかったよな?」

門番さんとは顔なじみのようです。

「あぁ、俺らのお得意さんがこの国に用事があるっていうから日ごろのお礼にここまで護衛を兼ねて連れてきたんだよ。」

「ほぉ?お得意さんねぇ・・どこのお嬢様だい?」

私を見てそういう。

「聞いて驚け見て驚け!!!そして、驚けあっはっはぁ!!」

「どんだけ驚かせれば済むんだよ!!」

「ナイスツッコミ!」

「はぁ・・・」

「で?」

「この子こそが!!この超絶美少女こそが!!!!あの!!!!!あのぉ!!!!あのぉぉおおお!!!」

「どんだけ、引き伸ばせば済むんだ!!」

「ぐはっ!!」

我慢の限界を迎えたらしくお腹に良いパンチが入りました。

周囲からはナイスツッコミとサムズアップされてますけど。


「ごほっ・・き、効いたぜ。」

「あほ言ってないで結論を言え」

「はい・・この子は、クテン様です。」

「へぇ~・・・・・・・て、教会の超絶秘蔵っ子じゃねぇかよ!!そこはなんでさらっというんだよ!!あんだけ引き伸ばしておいて肝心なことをさらっとちょっと買い物に行ってくるねーみたいなテンションで言うんだよ!!」

門番さんが我慢できずにすごい勢いでツッコミました。

ちなみに周囲の人たちは目を見開いたままフリーズしてます。


「ん?どうした?どうしたどうした?ん?んー?かわいいだろ!美人だろ?すごいだろぉ!!」

「うざっ!お前超絶にうざっ!!!」

「やーねー。冗談じゃないよ。」

「冗談じゃないのかよ!!」

「だって、実際美人だろ?あと数年が非常に期待されるだろ?」

「あぁ・・うん・・・。もうヤダこいつ・・俺疲れた・・。」

門番さんがうなだれました。

そこで、さっきまでテンション高く話してたお兄さんは奥まで引きずられていきました。


そこで、頑張れの意味を込めて頭を撫でてみる。

「あぁ・・お気遣いありがとうございます。・・・すごい癒される。さっきまでのあほを相手していた後だから余計に癒される。」

「気持ちはわかるから帰ってこ~い。」

「・・そうだった。念のためギルドカードを見せてもらってもいいだろうか?」

で、見せました。

「確かに。ようこそ、クラリティ王国へ、クテン様。」

(コクリ)

「な?癒されるだろ?美人だろ?すっごい内面も美人だろ?な?な?」

「お前は黙ってろ。あれ以上門番さんを疲れさせるな。・・・俺らはどうする?ギルドカードみせるか?」

「あぁ、いや。いい。お前らのことは知ってるし、周囲のメンツもお前らのことは知ってるしな。」

「俺有名人?まじで!?まじでぇ!?」

「荷運びで、パーティーとしてなー。で、お前はとりあえず静かにしてろ。じゃあ、通って大丈夫か?」

「あぁ。」

で、馬車を門をくぐらせて先に進む中、後ろから。

「クテン様またねー」

「先ほどのパフォーマンス素晴らしかったです!!」

とかいろんな言葉が聞こえてました。







「とりあえず、先にギルドに向かって良いか?俺らの馬車はかなり特殊だし、この馬車の有無で、指名依頼を出すかどうか決めてるメンツもいるらしいから、そこに置くように決めてるんだ。」

「なるほどな。構わないぜ?」

通り過ぎていくと近くにいた人達が決まって私を見ては固まるを繰り返してましたが、気にしません。




そして、ギルドに到着。

歩きではなく馬車なので早いですね。

「あら、ブレインズホークの皆さんお帰りなさい。」

「ただいま戻りました。アリスさん。」

「個人的なお使いは終わったのですか?」

「あぁ、今戻ったんだ。」

「どこのお得意様ですか?」

「いつもあっちに行ってるだろ?」

「流星の里ですね?」

「あぁ、そこのお嬢様だ。今年、学園に入学するために試験を受けに来たんだ。」

「あらそうだったのですか。」

「アリスさんはいつものか?」

「えぇ、これから休憩ですよ。それで、お得意様を放置して私と話をしていていいのですか?」

「あ、そうだった。クテン様、紹介するよ。このギルドで補佐官として、ギルド職員の教育係をしてるアリスさんだ。受付嬢としても働いてるからばりっばり仕事ができるし、美人だから超絶モテてる人です。」

「間違ってはいませんが、少々盛りすぎではありませんか?」

「嘘は言ってないし、で、アリスさん。こっちが、俺らのお得意様でクテン様。その祖父のバレクさんだ。・・・・・・・アリスさんどうした?」

「てか、クテン様もどうしました?」


今、私の目の前にいるアリスと呼ばれている人を見て、私とカルナ、シャスティは固まっている。

そして、アリスと呼ばれている人も私と目があった瞬間目を見開いたまま固まっている。


金髪ストレートの美人さんで、私が初めてギルドカードを作ったときや、魔法の練習と非常にお世話になりまくったあのカタクリの町にいたアリスさんでした。





時が止まるような思いとはまさしくこんな感じなんだろうかと頭の端っこでそう思いつつも、思いがけない再会がありました。

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