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陰の支配者-私の保護者は猫と鳥-  作者: ミコト
フォルシェンファミリー
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学園に通うために呼び名もどうにかしましょう

特訓やお勉強を挟みつつも自由気ままに流星の里で過ごしている私です。


で、色んな目的と願いを抱えて学園に通いたい。

私はそう願いました。

結果として、10歳になったらクラリティ王国にある学園に通えるようになるようです。

お金はここに来るまでの間にいっぱい稼いだ分を貯金してたのでその分である程度はどうにかなると思います。

後は、ちょいちょい稼ぎながら学費を払っていけば大丈夫でしょう。

よくあることらしいですし。



私の目的

お母さんの娘としてふさわしくなりたい。

私の心にある隙間・・それを埋める何かを探すこと。

私と同郷である勇者さんと聖女さんの子孫の方々と会って話をしてみたい。

私が賢者の正統後継者となった理由を探す。


まぁ、正統後継者になった理由は強い魔物がいるのは確かですが、どういう魔物かもどのくらいいるのかも、そもそも魔物なのかも分かりません。

少なくとも悪い生き物がいるからそれを倒さないといけないってことなんですけど。




けど、必要なのはお金だけではないらしく試験?って言うのを受ける必要があるらしいです。

どのくらい勉強出来るかとか、どのくらい強いのかとか、どんな人なのかとかそういうのを調べるらしいです。

なぜ?

と聞くと、そうやって調べてある程度人数を減らさないと多すぎるんだそうです。

学園に入ろうとする人数が。




「まぁ、知識とか実力とかに関してはそこらの冒険者と普通にやり合えるし全く問題ないな。」

「それは言える。じゃなかったら、その子供怖ぇよ。」

「確かに。」

{では、お金以外に何が必要なのでしょうか?}

「あー・・まずは、周囲の連中の呼び方だろうな・・リアの。」

「あぁ・・確かに。」

(?)

呼び方?

幼女様とか、神子様とかそう言うのですか?


首をかしげてるとちょうどお兄さんたちがやってきた。

「お届け物ですよー」

「お~う!って、ちょうど良かった、ちょっと付き合え」

「何だ?」

「お、幼女様久しぶり」

(コクリ)

「相変わらずクールだなぁ。」

「で、ギリさんなんだ?」

「お前らもだが、教会の連中とかがフリージアを色んな呼び方してるだろ?」

「幼女様とか神子様とかか?」

「だな。ごく稀に魔鏡姫って呼んでるくらいか?」

「それは、リアの二つ名だから問題ないんだが・・」

「カルナ?何か呼び方で問題あったか?」

「リアが、10歳になったら学園に通いたいって言ったんだ。」

「おぉ!学園ナンバーワンは間違いなしだな!」

「だな!」

「で、何か問題が?」

「その呼び方だよ・・特に神子様とか呼ばれてたら学園内でも浮く可能性があるだろ・・。教会の腕輪をつけてるから意味はないかもしれんし、外す気も腕輪を隠す気もないけどさ。」

「あぁ・・その呼び方で近寄りがたいって感じになってぼっちになるのは確かに避けたいな。」

「それに、幼女様順調に成長してるからそろそろ幼女様って呼べなくなるしな。」

「確かに!順調に育ってるしな!」

と言いながらお兄さんたちは順番に私を高い高いしてくれる。

「確かに、立派に成長した大人顔負けの子に幼女様呼びは・・・避けたいな。」

「色んな意味で痛い・・主に呼んでる側が。」

「じゃあ、新しく呼び方を考えようぜ!」

「え?フリージアじゃ駄目なのか?」

「えー。普通に名前を呼ぶんだと名前を呼べるってありがたさが薄れるじゃん。」

「なんで?」

「例えばさ、カルナたちは幼女様を愛称で呼んでるだろ?」

「まぁな?」

「それをさ、知り合ったばかりの奴らが普通に使って幼女様と話をしてるのを想像してどう思う?」

「・・・ちょっとイラッとするな。なれなれしくしやがって・・」

「どうどう・・落ち着け・・な?それと似たような感じだよ。それよりはランクは下がる感じだけどさ。」

「あぁ・・言いたいことは分かった。」

よく分からないですけど、分かったらしいです。


「じゃあ・・・・よし!クテン様にしよう!」

「様付けは固定なのか・・」

「当然!むしろお嬢って呼んでも違和感なし!」

「でもお嬢だと面白みがない!!」

「なら、クテンってなんだ?どっから来たんだ?」

「幼女様って黒い天使とか呼ばれてるだろ?」

「呼ばれてるって言うか、ここを覗いている連中が勝手に言ってるだけでリアと同一人物だと分かってないぞ?」

「まぁ、ざっくり言うと黒い天使って呼ばれてるし、ならそれを略してクテン!良い感じの名前じゃね?」

「お前天才だな!」

「だろ!?」


「はぁ・・お前ら自由だな。」

「リアは良いのか?勝手に呼び名が決まってるが。」

{呼び方は自由では?返事をするかは私の気分次第ですが。}

「それもそうだな。」

{それに、神子様呼びよりは目立たないんですよね?}

「それは確実だ。お嬢も色んな意味で目立つしな。」

お金持ちの子供とかと思われる可能性があるんだそうです・・お嬢って呼び方は。




「と言うわけで、幼女様改めクテン様誕生!」

わーっととても楽しそうですし、とりあえずサービスで【影翼】を発動。


バサァッと黒い翼を広げます。

ちなみに天使の羽はあちこちに飛び散ったりはしません。

それは、魔力が周囲に散らばるのと同じですから無駄です。


「おぉ!まさしく黒い天使!クテン様!」

「クテン様万歳!!」

「喜ぶのも良いが、しっかり教会連中に説明して呼び方を修正してくれよ?」

「それは良いんだが、どうやって納得させれば良いんだ?俺たちがいきなり神子様はこれからはクテン様と呼ぶように!とか言ってもこいつら何ほざいてんだ?とかしか思われない気がするんだが。」

「あぁ・・・」

「じゃあ、これ使うか?」

「ギリ、それなんだ?」

「映像と音を録音する魔道具だ。ただ、数分1回限定でしか登録出来ないほとんど使い捨てのモノだが。」

「十分だ。リア、一言、神子ではなくクテンと呼んで下さいって言ってくれ。」

(コクリ)

「で、お前らは一緒にそばにいた証として後ろで姿が映るように静かにしてろ。」

「うーっす」

「うぃーっす」





で、

「神子・・では・・なく・・・クテン・・と・・呼んで・・くだ・・さ・・い。」

と頑張って声を出して言いました。

まぁ、ギリギリ音は拾えたのでOKだったんですけど・・

「ゲホッ!ゲホッ!!ゴホッ!!ゴホッ!!!」

「っ!リア!ムリしやがって・・ムリして声を出そうとするからだ・・あぁ・・ほら、これ飲め・・な?ゆっくりだぞ。」

限界まで大きな声で喋ろうとしてたのはすっかりカルナにはバレてました。

で、速攻でみんなが私を看病しながら飲み物をくれたり喉に良さそうなのを持ってきたりしてました。

ちなみにお兄さんたちは近くですっごいオロオロしてます。





「ケホッ・・」

「落ち着いたか?」

(・・・コクリ)

「はぁ・・驚いた・・。ガチで驚いた・・。」

「もしかして、クテン様・・あの声の高さでも結構ムリしてた?」

「あぁ。長文を喋ろうにもあの長さが限界で、声の高さも出せるのは近くで耳を澄ませて一応聞こえる程度なんだよ。」

「マジかよ・・クテン様、ムリしなくて大丈夫だったのに・・」

「けど、その一生懸命なとこが俺は格好いいなって思うぜ?」

「それは分かる。それに、万が一声が拾えなくても唇の動きで何を喋ってるのか理解出来るのもいるから、いざとなればムリして声を出さなくても大丈夫だぜ?クテン様。」

そんなすごいことが出来る人もいるんですね。

「けど、すごいかわいい声だよな。」

「かわいいって言うか、若干ハスキー?まだ、幼いからキーは素で高いからあんまり分からんけど。」

「多分な。クテン様が成長して普通に喋れるようになった頃には多分すっごい良い感じのハスキー声になるんじゃね?」

「あぁ、分かる。」

「声だけで虜にされそうなくらいにな!」

「分かる分かる。」

「俺・・・・あの声でお願いされたらどんな内容でも、叶えてやろうって思う・・てか、どんなことでも実行してると思う。」

「否定出来ないなぁ・・同じコトしそうだし俺も。」

「魔性だよなぁ・・」

「それが良いんじゃねぇか。」

「・・・・頑張って良い子に育てて、とんでも娘にならないように頑張らないとな・・。」

カルナがすっごい真剣な顔で何かつぶやいてましたけど・・魔性とか傾国のなんとかって何のことなんでしょう?


最後まで教えてくれず、お兄さんたちも楽しそうに高い高いしてくれたり頭を撫でてくれるだけでした。





私は、クテンって呼ばれることになったようです。



「で、名前はこれで良し。次はな・・リア。学園に通うときは、翠とラナだけにしろ」

(?)

何をですか?

と首をかしげると

「さすがに学園に俺等も含め全員でぞろぞろ着いていくのは良くない。場所を取り過ぎるからな。とはいえ、誰も連れて行かないのはあまり良くない。だから、翠とラナだけ連れて行くんだ。状態異常の対策にラナを、知識を含め、どんな場所でも自由に戦える翠がいれば問題ない。」

(コクリ)

「で、メンバーはそれで良し。次は、リア、お前は学園では協奏師として通うんだ。」

{賢者って言うことを隠すためですか?}

「あぁ。リア自身の実力は十分だし、魔鏡姫の名もあるからおそらく何も言わずともリア自身の実力は既に知られてる可能性が高い。だからといって賢者と素直に言えば絶対に周囲が大騒ぎになる。今の時点で目立ちまくってるのに加え、あの心技体の伝説の正統後継者だと知れると大陸中どころか世界中が大騒ぎだ。」

{協奏師として翠ちゃんたちがメインで戦うということにして、私自身は魔法でサポートしてるということにするのですか?}

「その通りだ。まぁ、普段の俺等の戦い方と全く同じなんだが。」

「それでいいと思うぞ?」

「ギリ?」

「協奏師っていうテイマー職の中でもかなり上位職なのは確かだし、それはそれで目立つ可能性があるが、フリージア自身の魔法の実力を考えるとテイマー職が上位レベルだから普通に扱う魔法のレベルも高いって思われる可能性が高い。さすがにテイマー職がランクが低いのにフリージア自身の魔法の実力があのレベルとなると、実力と職業のバランスが悪いから確実に何か隠していると思われる可能性が高いからな。それに、カルナたちも獣魔だって言わずともフリージア自身の噂で知られてるし、テイマー職の高位ランクだって納得するだろ。カルナたちほど優秀なのがホイホイいるんだ。」

「確かにな・・なら、噂話とかの分を含めると協奏師としていた方がある程度はごまかせるってことか。」

「そういうことだ。てか、翠だけでも十分何だけどな。翠の知識の量は半端じゃない。それに、翠ががち戦闘すれば町の1つや2つ数日でなくなるだろ?」

-私に疲れは存在しないから、やり方次第では出来ると思うよ?面倒だからやらないけど・・リアの敵なら別だけど-

「そうやって、しゃべれるほどの知能もって部分も含むしな。テイマー職の獣魔は確かに優秀だが、カルナとかシャスティたちみたいに普通に俺等人間と同じように会話のやりとりが出来るほどの知識、知能の持ち主なんて早々いない。いたとしても、ハディくらいだろうな。」

「ニャー?(俺?)」

「ハディのことを悪く言ってるんじゃないからな?ハディは、しゃべれないが意思疎通は態度とかで表現してるからむしろ高すぎるくらいだ。それでもすごいのに普通に喋ってたり文字を書いたりしてる時点で分かるだろ?」

「あぁ・・なるほど。」


と言うわけで、私は学園では職業は協奏師としていることになりました。

てっきり、魔法使いと協奏師の2つという扱いなのかと思いましたが、協奏師はテイマー職っていう獣魔たちと一緒に頑張れる職業の中でもかなり高いランクらしく、そっちがすごいから私の魔法の実力もすごいんだってことで、納得出来るかららしいです。


・・私の魔法の実力は個人的にはまだまだなんですけど、魔法の反射をしてるだけで十分ランクは高いらしいです。


むぅ。

私にとってはなぜ反射が難しいのかが分からないです。

最初に思いついた防御しながらの攻撃方法だったのに・・。

元々は、結界を張ったまま触手さんたちを出して攻撃が出来なかったから結界で攻撃する方法を思いついた結果がアレだっただけですもん。









ちなみにお兄さんたちは、ここでお昼ご飯を一緒に食べた後に帰って行きました。

早速私の呼び名を改めるために活動するかららしいです。


一応お礼として、何かしたいって言ったら、歌って欲しいと言われたので歌いました。

それだけで良いの?

と思ったら、十分すぎると言われました。


まぁ、翼を出したまま歌って欲しいっていうよく分からないお願いもされましたけど。

当然しましたよ?

なぜか、ナムナムされましたよ?



満足してくれてたようですし、良いですけど。


カルナも、私の歌はそれだけ価値があるって言ってましたけど・・とりあえず、私自身が出来るお礼が思いつくまでは歌うことにしましょう。

気にくわなければ、何があるか聞けば良いんですよねうんうん。






{・・では、学園に通うためのお勉強は何をすれば良いのでしょうか?普段の分で十分と言うことですか?}

「あぁ・・確かにそうなるな。」

{今の私の知識では、学園で置いてけぼりになるようなことはないですか?}

「ないな。教えた俺等が言うのもアレだが、リアの知識はとっくに学園でも上級生レベルを超えてる。冒険者として必要な部分として考えると十分過ぎるくらいだ。」

「てか、むしろそこらの冒険者の連中より頭が良いな。・・と言うより、中級にすらなれない下級の冒険者はアホだからランクを上げられないんだよ。」

ふむ?

どうやら私は学園に通うための試験では、知識や実力は大丈夫そうです。

後は、面接?っていう、学園の先生とお話しするところだけのようです。


その辺りは、礼儀正しくすれば相当ひどくなければ大丈夫らしいです。

「まぁ、そこら辺はぼちぼちやっていけば十分だ。」





「ふぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」


「・・何だ?」

「・・ちょっとみてくる。」

流星の里の入口辺りから奇声?が響く。



で、木陰に隠れてひっそりとその光景を観察。

「ふぉぉぉ!!これこそ!!これこそまさしく!!我が絵画によって収めなければならぬ光景なり!!!」

「あぁ・・兄ちゃん落ち着け。」

「はっ!ここの管理者の方ですね!!」

「お、おう・・だから落ち着けって。」

「是非!!是非!!!ここの光景を絵に描かせては頂けないでしょうか!!?お礼に!!お礼に・・・っ!!なんて言うことだ!!」

「どうした・・」

ギリさんと叫んでるお兄さんの温度差がすっごい。

ギリさんがお兄さんをなだめるのを飽きたらしくスルーして呆れた表情で質問する。

「我は!!我はお礼に何を渡せば良いのだ!!!何と言うことだ!!許されぬ!!並大抵のモノではここを描かせて頂くための代物が我が手元にない!!これは!!これこそは!!!我の手持ち全てを差し出し、隷属するしかないか!!」

「落ち着け!!お前はいらないから」

「はっ!そうですよね!?我なんか必要ありませんよね!でしたら、我を奴隷市で売れば!!多少は!!」

「だから落ち着け!!!!」

「ぐはっ!・・・はっ!」

「落ち着いたかよ・・」

「はい・・・失礼しました。」

ギリさんはキレてお兄さんの頭を殴った。

「で?ここを描きたいってお前さん絵描きか?」

「はい!私リカルと申します。それで、全身にビビビと来るほどここはとても素晴らしかったので描きたかったのですが、お礼にふさわしいモノが何もなく・・」

「で、あぁなってたのか。」

「はい・・」

「ぶっちゃけ、お礼とかなくても絵くらい好きにしてもらってもかまわないんだけどなぁ。」

「え!?ですが!」

「だってさ・・ここは元々薬草が有名な場所で、それだけだと映えないと思ったから花畑にしたんだし。ていうより、俺等は墓守としてここにいるわけだし。」

「なるほど。そのお墓の方のためにこの花畑があるのですね?」

「まぁ、そんなところだな。」





で、そのお兄さんをみながらふと思い出す。

{カルナ。・・あのお兄さん}

「あぁ・・俺も思った」

「にゃう(船にいましたね)」

「ニャー(あの精霊樹の種をくれた人)」

-ラウがビルドアーティストとか言ってた人だね。-

「ですね。こんなところにいたんですね。」

「て言うより、リアの絵を描くときに精霊樹の種をくれたのはアレを渡さないとお礼としてふさわしいってことだったんだな。」

「それほど高い評価を頂いてたんですね。納得します。」





「ですが・・・っ!」

知ってるお兄さんと分かったので隠れるのを止めてお兄さんのところへやってきました私たちです。

すると、目を見開いて私をみてフリーズしてるお兄さん。

「ん?お~い。」

「はっ!お嬢様!ご無沙汰しております!」

と、片膝ついて頭を垂れるお兄さん。


・・絵描きさんのはずなのに、行動は騎士さんや執事さんにしか見えません。

「・・フリージア。この兄ちゃん知ってるのか?」

{一緒にお船に乗ってきました。}

「この絵を描いた奴で、なんか絵描きとしてはかなり有名らしいぞ?」

と言って、翠ちゃんがお船でもらった絵をギリさんへ見せる。

「ほぉ?いい絵だな。」

「あ・・まだ持っていて下さったんですね。」

「当たり前だろ?こんなに良い絵なんだからさ。」

「喜んで頂けて幸いです。」

すごく幸せそうにほほえんでます。

「うん。やっぱり、報酬は受け取れない。」

「どうしてですか!?」

「フリージアに幸せな思い出をくれた相手に報酬をもらうわけにはいかない。むしろ、そのお礼としてここで好きに絵を描いてもらって良いと思うほどだ。」

「本当ですか!?」

(コクリ)

「お嬢様、ありがとうございます!」

「リカルさん久しぶりだな。」

「カルナ様お久しぶりです。」

「向こうにあるでっかい木があるだろ?」

「はい。とても生命力に溢れていてあの木も是非描かせて頂きたいと思っておりました。」

「アレな?船でくれたあの種なんだよ。」

「え!?・・・ご先祖様が言っていたことは本当だったんだ・・こんなに素晴らしいのですから。」

すごく幸せそうにほほえむリカルさん。


やっぱり、リカルさんはすごく幸せに包まれた人ですね。

こっちも幸せになれます。




その後、クリアさんたちが騒ぎに気になってやってきたため、事情を説明するととりあえず家に来てもらうことになりました。





「ふむ。では、1つ頼みを聞いて下さらぬか?礼としてここで共に過ごすのはいかがじゃろうか?」

夕ご飯を食べているときにバレクさんがそう言った。

「え!?ど、どういうことなのでしょうか?」

「とりあえず落ち着け。」

「はっ!・・失礼しました。」

「構わぬよ。」

「はい・・それで、頼み事とは?」

「うむ。この地で起きたことを絵本にしてもらいたい。」

「え?・・それは、ここの流星の里の歴史を絵本に・・この私が?」

「それには、フリージア様のことにも大きく関わってくるのじゃ。」

「お嬢様の?」

「そうじゃ。そのことについては、世間にはあまり他言してもらいたくないのじゃ。」

「・・分かりました。教えて頂けませんか?」

「わかった。」

「その前にこちらからも質問をよろしいでしょうか?」

「構わぬよ?」

「私は、戦闘は非常に苦手で争いごとを避けてこうしてここまでやってきましたし、私が売るつもりのないモノたちを狙う輩も稀にいます。そうなると皆さんもそれに巻き込まれる可能性だってあるんです。」

「ふむ・・そういえばビルドアーティストは、売る絵と売らぬ絵があると聞いたことがあるが、それほどまでにそちらの方は?」

「では、1つだけお見せ致します。これは、お嬢様を船で描いたモノですので皆さんでしたら大丈夫ですから。」

他の絵は他の人たちのものなので見せるわけにはいかないそうです。


で、お船で私を描いた絵をみたバレクさんたちは

「ほう・・素晴らしいのぉ。」

「これほど心のこもった絵を見たことがないね。」

「とても不思議な絵ですわねぇ。それでも、目を離せない魅力がありますわ。」

「お主の心意気気に入った。我らにも守らせてはくれぬか?」

「よろしいのですか?」

「ここから外へ行くことがほとんどないが、それでも構わなければのぉ。稀にここを訪ねる者たちは色々いるがのぉ。」

「ありがとうございます。・・聞かせて下さい。」


それから、私が流星姫であるお母さんの娘であること。

お母さんと仲が良くて、魔法の探求者の子孫であるフォルシェンさんたちのこと。

この町の出来事も全て語られた。


私が賢者の正統後継者と言うことは上手く伏せられました。






「・・・・そういうことでしたか。道理で・・。」

とても複雑そうな表情でそう言いながら目を閉じて俯くリカルさん。


「お嬢様、私、リカルはあなた様専属の絵師になってもよろしいでしょうか?私は絵を描く以外何の才もありません・・・。それでも、これからの人生をお側で見守らせてください。お嬢様のこれからの人生を1つ1つ丁寧に描いていきたいのです。」

-そうなると私に縛られると言うことなのですよ?私はきっととんでもないトラブルや戦いに巻き込まれます・・。そうなると命の危機があるのですよ?-

「はい。構いません。私は自分の命が尽きるまであなた様を見守りたいのです。力が必要なのであれば努力します。知識が必要であれば学びます。私が邪魔でしたら一言そう言って下さい。すぐさま離れ、二度と会わないように致します。」

リカルさんの心に嘘偽りはなかった。

どこまでも純粋でどこまでも力強い思いだった。




「わかり・・・ました。」

「っ!」

「けほっ」

軽くむせたので後は魔法でお話し。

-私はさしのべられた手をふりほどくことは致しません。リカルさんが私から離れたければそう言って下さい。リカルさんの思いを妨げたりはしません。リカルさんは自由に純粋な思いのままでいて下さい。-

「かしこまりました。私は私がそばにいたいのでそばにいます。お嬢様の力になりたいので勝手に学び、鍛えます。それでよろしいでしょうか?」

(コクリ)

私は、よろしくと言う想いを込めてふんわりとほほえみました。





ちなみにリカルさんは、その後何も喋らずに高笑いもせずにもっくもくと私を描いてました。



白っぽい茶髪で、まじめそうで優しそうな感じのお兄さん

リカルさんが私専属の絵師になりました。







その次の日から、リカルさんは非常に楽しく暴走してました。

「すごいのぉ・・・」

「楽しい人だね。」

「楽しそうで何よりですわ。」

「あぁ・・最初の奇声にすごい納得した気がする・・。」

「カルナよ・・リカルは、船でもあのような感じじゃったのか?」

「あぁ。」

「なるほど・・。」


何を言っているかと言いますと、まず私をとにかく描きまくってました。

朝寝ぼけてる姿から、食事しているところ、勉強中に魔法の特訓中、遊んだりお昼寝したりお花畑でたたずんでたりと私の1日の行動全てがみてるのが楽しくて仕方がないという感じで描いてます。


絵本を書くというのはとりあえず、リカルさんが落ち着いてからにしようと言うことになってます。


それから、精霊樹にお母さんのお墓、花畑など、敷地内の隅から隅までがリカルさんにとっては、心をときめかせるらしいです。


朝昼夜

外の明るさが異なると同じ場所でも非常に異なる世界を見せてくれるのがお外の世界。




で、絵を描き終えて落ち着いたところでカルナがふと質問する。

「そういえば、その絵の具とかペンとかはどうしてるんだ?てか、どこから出してるんだ?と言うより筆・・と言うかペンは1本しか使ったことないよな?」

「あぁ、それは、私の唯一出来る力なんですよ。」

「そうなのか?」

「えぇ。実は、このペンは魔力を注ぐと無色透明な特殊な液体が出てくるだけなんですよ」

「え?特殊な液体?」

「水と油の間くらいのようなもので、非常に粘り気があるだけなんです。」

「じゃあ、なんで色がつくんだ?」

「それが私の能力で【着色】と言うんです。」

「名前からすると、色をつける能力か?」

「えぇ。そして、【質変換】という能力も使うんです。」

「質・・何を変える力なんだ?」

「このペンの液体を変えるのですが、しいて言うのであれば水彩画と油絵、鉛筆画のような感じなのですが。」

「粘り気を変えたり、そもそも硬くしてしまったり出来るってことか?黒い液体をさらさらにしたり粘り気のある奴にしたり、木炭にまで変えられるっていうってことか?」

「そういうことです。・・ね?戦いに向かないでしょう?」

「なんて言うか、とことん絵師にぴったりな能力だな?」

「ありがとうございます。絵を描くのは昔から好きだったんです。」

「そうか。リアは、10歳になったら学園に通うことになるんだがどうする?」

「ついていきます!身の回りの世話も出来るように頑張りますし、護衛術も頑張ります!!」

「そ、そうか。」

「じゃあ、鍛えてやろうか?」

「ギリさん、よろしいのですか?」

「構わねぇよ。むしろ、リカルの魔法に興味があるし、そこら辺を教えてくれれば十分おつりが来る。魔法の研究は俺等の趣味なんだ。」

「なるほど。よろしくお願いします。」



そうして、リカルさんは特訓もすることになったようです。

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