ショートクさん大活躍
流星の里まで案内してくれたお兄さんたちと再開した翌日
お兄さんたちと共に朝ご飯と朝の特訓、そして薬草やお花たちの手入れやお世話、お母さんのお墓のお掃除にお参り、精霊樹へのお祈りを一通り済ませました。
まぁ、元々精霊樹へお祈りするのは私とフォルシェンさんたちくらいだったのですが、ラウさんは私が祈ってるし自分も祈っておこうって感じで参加し、お兄さんたちはみんなやってるし俺たちもやった方が良いんじゃない?って感じで参加してました。
昨晩、お兄さんたちが真剣な表情でお母さんのお墓にお祈りをしていた理由を朝ご飯を食べているときに教えてくれたのですが、どうやらお兄さんたちは昔、故郷の町を救ってもらったことがあったらしいです。
町を丸ごと占拠してた盗賊グループがたくさんいたらしいです。
おまけに1つではなく3つのグループで、それぞれのグループが平均100人という大規模で冒険者ランクで例えてもBとかAレベルはあるくらい強い人たちだったそうな。
で、そのグループが町を占拠しながらグループ同士で町中で縄張り争いとかをしてたのでそれはもうひどかったらしいです。
そこにお母さんがふらりと現れてお得意の魔法の雨あられを町丸ごと潰す勢いで放ちまくったのに加えて、しれっと事前に町中にトラップを仕掛けまくったり、町から外に出られないように門や壁、その付近の地面などを弄ったりとしてたらしいので丸ごと盗賊たちは1人残らず潰したらしい。
ちなみに、町の住人たちは事前にさりげなく通達があったらしいので緊急時用の地下室が各地にあるらしくそこに隠れてたらしいので無事。(町がとりあえず滅ぶから地下に避難してね♪とだけ言われてたらしい)
一通り暴れ終わり、外が静かになったところで町の住人の中でもそれなりに力に自信があるメンツが優先的に出てきて確認ついでに町中をうろちょろして、お母さんと協力してしっかりと盗賊たちにとどめを刺して周り、無事制圧・・・と言うより殲滅戦は終了。
その後、仕掛けたトラップ全ての説明書を渡した後、
「片付けがめんどいから後よろしく!その代わり、そこらに転がってるのはそれなりに金になるだろうし、全部上げるからそれでチャラにしてね♪」
と告げた後、さっさとその町から去って行ったらしい。
その時に退治された盗賊グループはかなりの賞金が掛かっていたのに加え、討伐依頼が掛かっていたりとかなりの額になったらしいです。
おまけに、お母さんが仕掛けたトラップ類もなぜか好評(どんな罠だったんだろう・・)で盗賊たちの引き取りとお金を渡していた人たちがこの仕掛けを是非使わせて欲しいと説明書を複写させてとなったらしい。
で、駄目という理由もなく、その人たちが善人だと判断出来てたので、複製を許可。
後に、その分のお礼として、建物の建築などでに優秀な人たちを無償で派遣してくれてあっさりと町は無事復活。
で、落ち着いた頃に改めて余ったお金を確認すると予想以上に余りすぎたらしく、お母さんに渡そうにもどこにふらっと行ってしまったか後の祭り。
へそくりにするにもねーってなった結果、町の警備や、子供に勉学をさせたりと町の色んな方面での強化に力を注ぐことにしたらしい。
と言うのも、救ってくれたこの町で再び似たようなことを起こさないようにするためと言うのもあったらしい。
そんな大規模なことを無償でしてくれたお母さんはまさしくお兄さんたちにとっては英雄であり救世主。
どうりで、あんなに真剣な表情でお祈りしてるはずですよね。
納得です。
で、今日から私の特訓は武器を使ったり使わない状態での戦い方を覚えることになりました。
と言うのも、私の【影纏】と言うワザは、イメージした通りの形にすることが出来ます。
けれど、形が変わるだけで実際にその形の武器をきちんと扱えなければ意味がありません。
なので、私が扱いそうな部類を一通り教わることになりました。
一応リストはこんな感じです。
【刀】【剣】【短剣】【鞭】【槍】【薙刀】【棍】【棒】【鎌】【斧】【かぎ爪】【合気】
一番最後のは、武器ではなく合気道という相手の力を受け流すっていうワザらしいです。
これは、コツがあれば良いだけなので力が弱い私にぴったりなワザらしいので、チョイスされました。
まぁ、武器に関しては使わない可能性がある形もチラホラありますけど、知っていて損はないし、似たり寄ったりなのが集まってるから一応覚えましょうと言うことになりました。
なので、これからの訓練は魔力制御の練習は当然のことで、左腕の制御と並行して、さっきのリストの分を一通りとりあえず扱えるようになるというのが目標です。
とりあえず扱えるようになるとギルドカードにワザ名として表示されるらしいです。
今その類いであるのは杖術でしたね。
で、表示されるようになった後は、杖さんと同じく毎日練習するだけ。
上手になるためには、日々の努力が必要らしく、継続は力なり・・だそうですよ?
よし
頑張りましょう。
で、運が良いことに今ここにいる人たち全員がそれぞれのワザや武器をある程度把握しているとのことで教えてもらうことになりました。
ちなみに鞭だけは、シャスティです。
って言うのは、尻尾が扱い方とかが似てるからと言うことでした。
とはいえ、数がとても多く、教えるメンバーも多いですし、お兄さんたちはずっとここにいるつもりはないので、時間も限られてきます。
その結果、
-皆さんが知っていることを全て内容が被っていてもお構いなく、同時に早口で構わないので教えて下さい-
と言ってみました。
当然分かるわけないでしょうと言われましたが、私のとあるワザを説明すると・・一応やってみるかぁってなりました。
そのワザは、これ
【ショートクさんの耳】
複数のありとあらゆる音を同時に聞いても全てを同時に把握することが出来る。
その技はまさしくタイシさん
普段は、あまり使われないモノですが、こういうときは非常に役立ちます。
で、全員がまとめてすっごい早口で喋り始めました。
聞くことに集中するために目を閉じて耳だけに集中
おぉ。
すごい。
全部同時に色んなことをすごい早口で言われてるのに全部分かります。
そして、私が持つ考えることに関連する能力をフルで活用して頭の中でそれぞれの武器や動き、扱い方をイメージします。
いわゆるイメージトレーニングって言うやつですね。
おまけに、1つのことを複数人がそれぞれの考え方で教えてくれるのでもっと情報が手に入ります。
途中から、近くに住んでいる動物たちもやってきて、かつて冒険者たちが戦っている姿をみたことのある動きでどんなのがどうだったとかも言い出してました。
で、動物の言葉が分かる私なので、聞くことに更に集中する羽目になりましたが、思った以上にたくさんの情報が集まりました。
1つのことを数人が喋るとその分多く知ることが出来ますね。
と言うより、ショートクさんの耳・・すっごいです。
お?
周囲が静かになりました。
全員しゃべり終えたらしいです。
頭の中をしっかりと整理して忘れないように記憶する。
・・よし。
目を開けると全員が大丈夫か?って顔になってました。
「リア・・どうだ?」
理解出来ましたとピースしてみると
「おぉ・・」
「すげぇ・・」
と言う言葉があっちこっちで聞こえます。
動物たちはちなみにいませんでした。
私が目を開ける前にどこかに行ってしまったようです。
さて
これから初の特訓方法ですがやってみましょう。
私は、私の身長半分くらいの大きさの影の球体を大量に創り出します。
そして、それらを全て私の・・というより人の姿に変えます。
と言っても、人の形をしたお人形と言った方が正しいですが・・表情とかも何もないですし。
必要がないので創ってないだけです。
周囲が何やってんだ?って顔になってますがスルー。
そして、適当に木の枝をそれぞれの人型の影さんたちが手に取り、それぞれを様々な武器の形にします。
武器を扱わない影さんは作りません。
私は、その場に座って目を閉じて集中。
そして、それぞれの影さんたちをそれぞれが持つ武器やワザなどの動きの練習を同時に開始します。
すっごい集中力が必要ですが、これまで魔力制御の練習をメインにしていたおかげで今回練習する分を一通り同時にすることくらいは平気です。
ただまぁ・・私自身も練習出来ればもっと良いのですが、私はそれぞれの影さんたちを動かすのにいっぱいいっぱいなのでこうして座って魔力制御に集中しています。
「おぉ・・さすがフリージア様」
「義手の制御の練習がこのような形で役に立つとは・・さすがじゃのぉ。」
「マジかよ・・」
「半端じゃねぇ・・」
何か聞こえるけどスルーして集中集中。
お昼休憩を挟んだ後、お兄さんたちは帰って行きました。
ちなみに私はと言うと、もうちょっと小規模に出来ないか?と言われちゃったので、影さんたちのサイズを手のひらサイズに変更して練習中。
大きさが大きさなのでお人形の劇のようになってます。
サイズをかなり小さくしたおかげなのか、更に追加で5体分増やせたので苦手そうな武器のを練習。
途中、影さんたち同士で武器を交換させてその武器の練習をさせたりという無駄なことをさせてみたりしてます。
この大きさだと他の作業をしながらでも継続可能だったので、しれっと続けています。
ただまぁ・・魔力は影さんたちを呼び出した後は特に消費はほとんどないので構わないとしても集中力と言いますか、頭の方に負担が掛かるのでそっちの限界が中止の合図です。
私自身はいつも通りに特訓やお勉強、お遊び、お昼寝おやつなどをこなしてますよ?
さすがにお昼寝の時は魔法は発動無理なので休ませてますが。
後、ご飯だったりおやつだったりとお休みしているときですね。
休んでるときはするなって言われちゃったんですもの。
私にとっては、魔法の練習も武器の練習も十分面白いんですけどね。
出来るようになるって感覚と、新しいことを知ったときの快感とか、強くなってもっとカルナたちの為に動けるようになったって実感出来たときとかうれしいですし。
恥ずかしいので言いませんけど・・//
で、冗談半分で影さんたちもそれぞれ休憩させてみたところ
「・・それは休憩にはならん。魔法は解除して初めて休憩していると言うんだ」
とジト目でカルナにツッコミを食らいました。
むぅ・・。
しっかりお昼寝させる子と、遊ばせること、ゴロゴロしてる子たちってしっかり休ませたのに。
ちなみにシャスティたちからは褒められました。
それも、カルナに呆れさせる要因になってたりするのはここだけの話。
それはさておき、そんな練習方法は私にとってはとても良い練習だったらしく、魔法の制御も同時並行で特訓出来ていたのに加え、武器の扱いなどのような体を動かして覚える。
つまり、頭で覚えると言うより体で覚えるタイプの特訓は、私にとっては非常に苦手な範囲。
なのに、モノの5日ほどでこの通り。
名前:フリージア・クラリティ・エトワール(悪心撃滅体質)
ランク:C(二つ名=魔鏡姫)
パーティ:ハリーファ(リーダー)
性別:♀
年齢:7
種族:半異世界人
職業:賢者、協奏師
称号:絶望を知る者、幻獣の家族、変態紳士ホイホイ、英雄賢者の正統後継者、神子
属性:陰
体力:C
魔力:S+
攻撃:D
防御:E
俊敏:D
練度:SS
攻撃技1:【影操作】【射撃】【影纏】【影翼】【人形劇】
攻撃技2:【魔力反射】【物理反射】【性質変換】
攻撃技3:【杖術】【刀】【剣】【短剣】【鞭】【槍】【薙刀】【棍】【棒】【鎌】【斧】【かぎ爪】【合気】
補助技:【念話】【奉納】【心意加増】【精神統一】【アクロバティック】
自動技1:【圧縮記憶】【思考速度上昇】【並列思考】
自動技2:【心の瞳】【ショートクさんの耳】【心の歌】【騎乗】
覚醒:【侵食】【拡張】【守護者召喚】
衣類:精霊のストール、精霊樹のローブ
装備品:聖華の杖、教会の腕輪(EX)、幸運のイヤーカフ、聖木の義手
写真:フリージア・エトワール、ペチュニア・エトワール
契約
【幻獣】八咫烏:カルナ
【幻獣】ガルディエーヌ・キャット:シャスティ
【妖精】オニキス・ゲル:翠
【??】ウールスフィア:ラナ
【魔物】クロコディルガーディアン:ハディ
加護
母の溺愛、流星姫の過保護
元英雄賢者/現神様のお気に入り、桜華の子孫
下位精霊の親愛、上位精霊:リフの溺愛、精霊樹の巫女
【刀】【剣】【短剣】【鞭】【槍】【薙刀】【棍】【棒】【鎌】【斧】【かぎ爪】
扱う武器が変わること以外は、【杖術】とほとんど同じ
【合気】
相手の力を利用して、受け流すワザ
日々努力することで自身の体力の消耗を減らすことが可能となる。
【杖術】
杖を使用したありとあらゆる技の総称。
戦いに使うか、防御か、魅せる技か、どう扱いどう使いこなすかはあなた次第。
日々努力することで練度と攻撃、場合によっては防御が上がりやすくなる。
モノの見事に覚えていました。
おまけに練度も1段階上がってますし。
・・・・それもそうですよね。
制御関連をすっごい練習してましたし。
それにしても、武器を扱ったりする体を動かすタイプのワザをこうもあっさりと覚えちゃった理由は何なのだろうかと思ったところ、おそらく扱う武器が魔法を使用した接近戦という扱い・・つまり、魔法の練習という扱いになったのかもしれません。
そうなるとあっさり覚えたのが納得です。
と言うよりも、頭でイメージして、影さん(魔法)で実際に操ったり動かしたりしたことで自分の体を動かすよりも(自分限定で)覚えやすかったことも理由の1つでしょうか?
きっとそうなんでしょうね。
頭で覚えるタイプの人と、体で覚えるタイプの人がいるって聞いたことがありますけど、私は頭の方だったんですね。
とはいえ、ワザ名が出たと言うことはとりあえず扱えるようになったと言うこと。
つまりは、これでスタートラインに立ったような状態です。
ここから先は自身の努力でより上手に扱えるようにならないといけません。
そう言う部分があるので、武器関連のワザの名前は表示があるからその武器が得意とか強いとは安易に答えは出せないんです。
さっきも言ったように、武器とかのが出てきたのはとりあえず扱えるようになったとき
つまりは、とりあえず扱えるほどの実力者なのか、玄人とか達人とか言われるレベルの人なのかは分からないんです。
その辺りは、見る目を養え?とか言ってました。
その人自身の強さを感じ取れってことらしいです。
魔法関連だと分かりますけど、そっち系はちょっと苦手ですね。
なんとなく強い人かそうじゃない人かは分かりますけど。
数字で例えると、表示があるとようやく1で、なければ0、もしくは0から1の間という感じ。
どんなに上達させようとも1がなければ数字は上がらない・・と言うことのようです。
で、1つ妙なワザが増えてます。
【人形劇】
自身の魔法で複数の生物を創造した際、それぞれを自由に個性を持たせ、操ることが出来る。
その個性に関しても特に意味はなく、この魔法を発動させた者を裏切ったりするようなことはない。
あるとすれば絶対無比の忠誠心のみ。(対象は、発動させた相手のみ)
喋ることは出来ないが、【心の歌】を使用している際、その歌に合わせて輪唱してくれるが、やはり意味はない。
最小手のひらサイズ、最大自身の半分ほどの大きさでアリ、その子たちが見聞きしたことは共有することが可能。
そして、その子たちが経験したことも半分の精度で共有することが出来る。
ふむ?
私が自由に遊ばせてたことが今のように細かくイメージしなくてもなんとなくそんな感じ?くらいでも十分良い感じに個性を出してくれるようです。
それと、凄く便利ですね。
見聞きしたことを共有出来るのであれば各地にバラバラに移動させたらまとめて広い範囲を知ることが出来ます。
それと、精度の半分を共有出来るというのは、翠ちゃんに相談したところ、経験したことは全て私も経験したことになるけど、その1つ1つがその子たちが経験したことよりも上手には出来ないと言うことのようです。
その子たち(影さんと命名)が1つのことを100%出来るようになれば50%程度・・つまり、2倍頑張らないと同じくらい出来るようにならないと言うことのようです。
普通にしてたら半分くらい下手になると言うことですね。
でも、何もしないよりはいっぱい経験出来るのですごいですね。
で、影さんたちを出しているうちに分かったことは、小さくすれば負担は小さいのでたくさん出せますが、大きくすると負担が大きいので数が少なくなります。
現状は最大サイズで12体で、手のひらサイズ(つまり最小サイズ)だと2倍くらいです。
もっと頑張ればもうちょっと数は増やせそうですが、普段はそんなにたくさん出すつもりはないので手のひらサイズで12体です。
で、杖さんの特訓を私がして、影さんたち12体がその他の武器を練習って言う感じです。
と言っても私自身もその他の武器などの練習はしますよ?
その間に他の武器などを影さんたちで練習させたり遊んだりしてます。
経験したことは共有出来ると言っても、体力とか身体能力がアップしたりというのはないみたいです。
しいて言うなら、魔法を発動させてるので魔力と、練度くらいでしょうね。
ちなみに、影さんたちはフォルシェンさんたちがすごく興奮してすっごい調べまくってました。
まぁ、みんなすごい自由なので自分から構って!と突撃する子もいたり、捕まらないように逃げたり、じゃれついたり、寝てたりぼんやりしてたりじっと座ってるだけだったりとすっごい自由です。
と言っても、根はまじめのようで、やることはやってます。
ただ、やりながらでも微妙にその個性?のようなモノが影響しているのか、頑張り具合に違いがあったり、同じ武器でも扱い方が微妙に違ったりするのでちょっと面白いです。
まぁ、私には絶対忠誠!みたいな感じっぽいので必要なときはこんな自由なことは絶対にあり得ないようです。
あくまでも今のように何をしてても全く問題ないときだけです。
ただ、この子たちにとっては12体出してても8体出してても、私は出してもらえなかった!とかそういうのはなく、魔法として発動したときだけこの自我?のようなモノが産まれ、魔法を解除したときにはきれいになくなります。
どうやら、私の意識の一部が分かれて影さんたちの自我として定着しているようです。
どうりで、私は出してくれないの!?みたいなことがないわけですね。
で、私が歌うと書いてあった通り輪唱してくれました。
声は私と全く同じ・・と言うわけではなく大きさが小さい分声のキーが微妙に高いです。
小さければその分という感じですが、全く違和感も耳障りな声の高さとかそう言うのはないみたいです。
むしろ、歌に感動が増したとか色々言ってましたけど気にしません。
「そういえば知ってるか?」
「何がだ?ギリ?」
「最近、フリージアはちょいちょい歌ってるだろ?」
「だな。喋る練習の延長戦みたいな感じでな・・で?」
「後、飛ぶ練習もしてるだろ?カルナがコーチとして」
「コーチ・・まぁ、な?俺は鳥だし」
「どうも、ここ最近ここを見に来る連中が多かったのは知ってるか?」
「知ってるぞ?無理矢理入り込むわけでもなく、外側から壁に寄りかかる感じで休憩する連中が増えたな。後は、入口からのぞき込んでたりとか。」
「無理矢理入ってこなければのぞき見くらいは勝手にしてくれって昔から言ってるからいつものことなんだが、それが増えてるだろ?どうも、フリージア目当てみたいなんだ。」
「は?リア?」
「あぁ、フリージアの歌って妙に響くだろ?遠くまで」
「あぁ、耳障りというわけでも声がデカいわけでもないのにやけに遠くまで届いてるな。」
「それもあるから、壁越しでフリージアの歌を聞きに来るのが多いんだ。」
「それで、壁越しにいる連中が多かったのか・・それと、おひねりもどきとか」
おひねりもどきって言うのは、魔石を1個入口のとこに置いて行ってる人が増えてるんですがそれのようです。
「で、フリージアが空飛ぶ練習してるせいなのか、流星の里には黒い天使が舞い降りたとかなんとか。」
「・・あながち間違ってはいないから否定しづらいな。」
「まぁ、俺も深くは言わずにスルーしてるけどな。世間的には、天使族だとか言われてるが。」
天使族って言うのは、天使の羽を背中に生やした人たちのことのようです。
お耳が長くてとがってるエルフ族っていう人たちとか、猫耳、猫尻尾のある猫族、わんこのお耳と尻尾のある狼族とか、色んな種族の人たちがいるようです。
私は、一応人族の扱いです。
まぁ、正しくは半異世界人ですけど。
そういえば、その人族とかの種族?私で言うところの半異世界人って部分は進化するって噂がありましたけど実際どうなんでしょうね?
まぁ、特に気にしてませんし今のところ困ってないのでスルーしますけど。
「そういえば、フリージア。」
(?)
「フリージアは学園に行くのか?」
{学園・・ですか?}
「あぁ、適当なとこでクラリティ王国に行くんだろ?」
(コクリ)
「あそこは、知識や噂、とにかく色んな情報が集まるから教育の場としてもすごく有名なんだ。そこの学園にいくのかなぁと思ってな。」
{同じくらいの年の子たちを一箇所に押し込めて実力と知識を刻みつける場所にですか?}
「・・・間違っていないが、何か微妙に悪意を感じるその意見はどこから聞いたんだ・・。」
{お酒を飲んでる冒険者のお兄さんたちがどこかの町でぼやいてました}
「はぁ・・それはスルーしなさい。保護者、説明」
「はぁ・・あいよ。リア。学園って言うのは同じくらいの年の子たちが安全に育ち、共に鍛え、共に知識を集め、仲良くしたり、色んな人たちと関わることで心身共に鍛える場所だ。後は、将来何になりたいか、何をしたいのかをじっくりと考える良い場所だぞ?」
{お母さんや桜華さんも学園って言うところに行ったのですか?}
「桜華さんがいた頃は学園があったかは、分からんがペチュニアさんは通ってたぞ?そこに通ってたからこそ、ペチュニアさんみたいに体が弱くても知識を集めたり実力をつけたり出来たんだ。学園には体が弱くともそれに対抗する為の部分も教えたり手伝ってくれるからな。」
{知識も実力もここにいるだけでそれなりに集まりますが?}
「あぁ・・リアの場合は同じ年の子たちと仲良くなれるぞ?」
「にゃう(リア様の同郷・・今代の勇者と聖女にも会えるかもしれませんよ?ペチュニア様は、学園生活は楽しむモノだとおっしゃってましたし)」
-学園には学園で通わないと見えない世界もあるよ。-
{見えない世界ですか?}
-子供の気持ちは子供にしか分からない。大人の気持ちは大人にならないと分からない。絶望を知るには絶望しないと分からない。それと一緒で、冒険者にならないと冒険者の気持ちは分からないし、学園に通って学生にならないと知ることが出来なかったこともあるかもしれないよ。-
{学生ではないと分からない?}
-リアは強いから問題ないけど、普通は強さを求めるには危険がいっぱいなんだ。その途中で死んじゃうことだって珍しくない。そうならないために学園はあるんだよ?死なないようにサポートしてくれて、向いていること向いていないことを一緒に考えてくれたり、自分の将来を楽しくするために色んな人と仲良くなって強くなる。友達同士だからこそ笑い合ったり出来る。友達はいっぱいいた方が楽しいよ。ペチュニアさんもカルナたちが言うには、友達はたくさんいたらしいよ?友達がいたからこそ、体が弱くても強くなれた。それは、強くなろうと頑張っている間にそばで支えてくれる人がいたからなんだ。-
{私に足りないモノが・・・学園で見つかると思いますか?}
私の心の中にいつもある足りない言葉に出来ない何か。
カルナたちと出会って、翠ちゃんと出会って、ハディちゃん、ラウさん、ラナちゃんにその他の色んな人たちと出会ってその隙間は少なくなったけどまだ足りない・・。
それと、
{お母さんの娘としてふさわしくなる為のモノが・・桜華さんのチームだった勇者さんと聖女さん・・その人たちの子孫・・その人たちにも会えるのでしょうか}
-正直会えるかどうかは分からない。けど、会えなかったとしてもそのための情報も学園には集まるかもしれないよ?-
私がどうして賢者の正統後継者になれたのか。
私が正統後継者にならずに私の子供か子孫が正統後継者になることだってあったかもしれない。
けど、私は正統後継者になった。
きっと、この世界で困っている人がいるのだろう。
そして、勇者さんと聖女さん・・・私と同じ立場にあるその人たち・・その人たちと会って気持ちを知りたい。
そうすればきっと私の中にある足りない何かが分かるような気がするんです。
「私、学園に・・・行きま・・す。行・・きた・・いで・・す」
自分の声で私はしっかりとそう言った。
「あぁ、分かった。」
その時のカルナはすごく柔らかくて優しい声だった。
その時だけは、カルナがお父さんのように見えた気がしました。
「じゃあ、しっかり稼がないとな!学園に通うためのさ!」
「あぁ、それに関しては多分問題ない。」
「そうなのか?まぁ、確かにここで殺った分の一部をしっかり現金で渡してるしな」
「んにゃ。そうじゃなくて、ここに来るまでの間に稼いだ分をしっかり貯金してるんだ。それに、」
「お、それ指名手配犯のファイルじゃねぇか。それがあれば、証がなくても別で金がもらえるな。証拠があれば二重で手に入るし、ってことはここで殺った分の更新をしてないからその分ももらえるし、結構増えるな。」
「あぁ、だから全く問題ない。一応、学園に通いながら隙間で稼ぐつもりではあるんだけどな。お金の大事さも知って欲しいし。」
「さすがだよなぁ。」
「俺も協力しますよ。当然です」
「ラウ、サンキュー」
「いえ。いっそのこと、クラリティ王国に到着した後、城で働きますか?」
「は?」
「学園に通っている間、さすがにカルナさんたち含む獣魔全員を連れて通うことは出来ないでしょうし。それなら、城で預かる代わりに騎士たちとの特訓相手として雇ってもらえれば下手に獣魔だけで町中をウロウロするよりは安全で、鍛えられ、おまけに働いた分は多少なりとも稼げます。」
「そんなこと勝手に良いのか?」
「なんとかなりますよ。カルナさんたちは強いですから。あの国でも騎士相手にがっつり戦ってたじゃないですか。アレと似たようなモノですよ。」
「あぁ・・」
そんな感じで私は学園に通うことになりました。
お金もどうにかなるようです。
とはいえ、通えるのは10歳になってからですので、まだまだ先ですね。