特訓と魔法オタクの血筋
精霊樹の種が立派な木に成長してごたごたした後、私たちはお家でお茶をしながら、バレクおじいちゃんにとある提案をされていました。
「フリージア様、よろしければしばらくここで暮らしませんか?」
(?)
「ムリして頂く必要はありませぬが、我々であればよりフリージア様のお力となれるとお約束致しましょう。」
「我々独自の見解で、もしかするとその義手はより手軽に扱えるようになるかもしれません。」
「少し調べさせて頂く必要はありますが、きっとお役立ち致しますわ。」
「それに、数日でもペチュニア様と一緒にいてやりたいんだろう?そのついでって感じでも構わないし、数十日過ごしても好きにしてくれても構わないんだ。」
そんなことを言われました。
リードさんにクリアさん、ギリさんも揃ってそう言い出した。
みんな嘘はついてませんし、急ぐ旅でもない。
それに、少し長めにここにいたいと言う気持ちも本当。
ちらりとラウさんたちを見つめると優しく微笑みながら
「リア様のお好きなようにして下さって構いませんよ。元々ここには長期間滞在するつもりだったのですから。」
「俺等のリーダーはリアだ。リアが好きなようにして良いんだ。むしろリアの願い事を我慢せずにいって欲しい。それが俺たちにとってはうれしい。」
・・・うん。
-どれほどの期間一緒にいることになるか未定ですがよろしくお願いします。-
そう言って頭を下げると。
「こちらこそよろしくお願い致します。」
私たちはしばらくここ、流星の里でお世話になることになりました。
で現在、私の左腕をフォルシェンの皆さんが揃ってすっごい至近距離で見つめております。
隠すための長手袋も外した状態です。
と言うより外されました。
「ふむ・・その国の宰相や国王が言っていたことは確かのようじゃが・・」
「中途半端に伝わっていたようだね。」
「そうですわね。」
「使うごとにそんな細々したとこまで全部イメージしろとかなんて無駄が多いんだとか思ってたが、やっと納得した。」
「と言うことはやはり、毎回ではなく」
「魔力回路を創り出すためにしばらく細かいイメージで魔力を流す必要があると言うことだったようですわ。」
「そうだね。」
「おーい。」
「む?すまないな。つい夢中になってしまった。」
「いや・・良いんだけどさ・・結局どういうことなんだ?」
「確かにこの義手を扱うためには、事細かなイメージが必要じゃ。しかし」
「しかし?」
「それは、腕を動かすたびに毎回ではなかったのじゃ。」
「どういうことだ?」
「人や魔物など、魔力を扱う者たちには全員血が流れる流れのように魔力が流れる部分が体の中全体にある。それは魔力回路と言われるモノじゃ。」
「基本的に心臓が魔力回路の核。そして、そこを中心に体全体に魔力回路が広がっているんだ・・そうだね。血の流れと同じイメージで良いと思うよ。魔力回路は血管のようなモノだ。」
「なるほど・・」
「その流れで心臓からの部分で強い回路があると、そこはその人の体の中で最も優れた部分となるのじゃ。目に行けば魔眼・・と言う風にな?」
「そういうことだったのか・・」
「話を戻すぞ?この義手には分かっているとは思うが魔力回路は存在しない。」
「だから、動かすたびにそう言う部分までイメージしろっていうことじゃないのか?」
「間違ってはいないが情報が不足していたのじゃ」
「どういうことだ?」
「毎回ではなく、しっかりとした魔力回路が出来上がるまでの間限定だったんだよ。」
「え?」
「この義手は、何度も魔力を流すことによってその流れに合わせて魔力回路を形成するように出来ているのじゃ。そして、その回路を形成するためには人の体で言うところの血管から骨、筋肉や神経などと言ったありとあらゆる部分のイメージが必要となってくる。魔力回路も色々あるからのぉ。」
「人の体は血管だけで動いているわけではないでしょう?それ以外にも、骨、筋肉って色々あるのよ。それぞれに合わせた形で魔力回路は存在するの。」
「だからこそ、血が流れるイメージに、筋肉や骨に染み渡るようなイメージと魔力を流し込むイメージは別々にしていただろう?そういうことだよ。」
「ただ魔力を流してもその部分に適した流し方じゃないと半分以上が無駄になっちまうからな。」
「なるほど・・じゃあ、今リアが練習で魔力を流しながら細かいイメージをして動かそうとしても動かないのは、練習とかイメージが足りないんじゃなくて・・。」
「魔力回路を形成している段階だから動かす以前の問題だったんだよ。」
「ですから、何度も練習すれば近いうちに動かせるようになると言うことになったのでしょうね。」
「そんな感じじゃからこうした意見の食い違いが出来るのじゃ・・ったく。」
「ちなみにリアのイメージと魔力の流し方は実際どうなんだ?」
「フリージア様自身も素晴らしいが、そのきっかけとなった魔力の流し方を教えたモノの教え方も良かったのじゃろうな。素晴らしいモノじゃ。」
「えぇ。後は数をこなしていけば自ずと上達しますわ。」
「口で説明するほど指摘する点はないよ。」
「じいちゃんたちにそこまで言われるってことは誇って良いぜ?じいちゃんたちも親父たちも言葉を濁すなんてしないからそう言う点は誰に対してもはっきり言うしな。」
「そういうことじゃ。フリージア様、今の調子でいけば数十日ほどで動かせるようになりますぞ?」
「一度きれいに動かせるようになれば、普段魔法を操るのとほとんど変わらないほどイメージする負荷はなくなりますわ。」
(コクリ)
「うむ。」
この義手を動かすための細かいイメージは、動かせるようになるための準備期間限定だったらしく、その準備が出来る・・つまり、魔力回路が隅々まで形成されれば後はほとんどイメージしなくてもなんとなくで私の右腕と同じように動かせるようになるらしいです。
焦らず頑張りましょう。
ちなみにその後は、主に私の観察が・・・・すごかった。
「ふむ。この手の紋章はあの精霊樹に刻印されていたものと同じじゃな。」
「そうですわね。精霊樹との結びつきに関するモノなのでしょう。」
「契約・・か?」
「言い方としてはそれが近いだろうね。けど、そんなモノよりも親密で、親愛的なつながりだと思うよ。」
「なるほど。」
とか
「フリージア様の影が通常よりも暗い・・なるほど。闇属性の系統の余波じゃな。」
「確か陰魔法でしたか?」
「確かそのはずじゃ。」
「てことは、上位級ではなく闇属性に近い全く新しい属性と言った方が正しいのかもしれないわ。」
「フリージア様固有の魔法が、偶然闇属性に近い、影の属性だった・・ただそれだけか。」
「過去のことが影響して自然と上位級に昇華した可能性も否定はせぬが、扱う魔法のバリエーションからすると固有魔法に近いのじゃろうな。」
「それに、フリージアは賢者だろ?魔法使いじゃないし、その辺りを考えるとただの闇属性でバリエーションが豊富なのに昇華した・・って言うよりもフリージア固有の魔法で、複数の属性を持たない代わりに1つの属性で自由度の高いあの魔法になったって考えた方がつじつまが合うんじゃないか?」
「確かに、その考えの方が筋が通っておるな。」
「では、協奏師は、魔物使いの部類の最高峰のモノ・・という考えはどう思う?」
「元々闇属性に適性があるから陰魔法が生まれた・・なら、魔物使いとしてのモノは闇属性に近いんだろ?確か?」
「そうじゃな」
「だからって言い方もあると思う」
「後は、多くの加護もあると聞いているし、賢者としての影響と、ペチュニア様の娘だから・・この可能性があるのでは?」
「彼女は確か4属性を扱っておったな?」
「えぇ」
「扱う属性の多さ・・まぁ、父親の方は知らぬがそっちが特殊な属性を扱っていたのであればその影響で生まれたこれもフリージア様固有の魔法では?」
「ふむ、確かにその方が正しいのやもしれぬ」
「後は、本人の魔力の質が魅了魔法と近いモノの影響があるのでは?」
「強制的に魅了させる魅了魔法ではなく、相手との精神的な距離が近くなる・・もしくは、敵対されにくくなると?」
「なるほどのぉ・・その考えは新しいのぉ。」
「魅了魔法はかなり強引だ。・・と言うより、ペチュニア様も魔物使いの部類の職業はなかったけど、動物とかに囲まれてたし、元々そう言う血筋だったんじゃないのか?」
「あぁ・・動物や人・・様々な者たちと仲良くなりやすいと」
「それがもっともな理由じゃろうな。」
「てことは、フリージア様の場合はそれらが偶然重なってこの2つの職業になったってことか?」
「だろうね」
「その見解が最も正解に近いですわ。」
「追求はし続けるが現状ではそれが正解と言うことにしておこう。」
「えぇ」
「だな」
「そうだね」
・・・・私のことをこれでもかと調べまくってお話ししまくってます。
何と言うか活き活きしてます・・おめめが。
楽しそうなので気にせず魔力操作の練習でもしましょうかね。
と、きれいにおじいちゃんたちをスルーして練習を始めた私ですが、そんなフォルシェンさんたちはそんなのお構いなしで今度はシャスティとカルナをターゲットにしたようです。
「ふむ・・どう思う?」
「確かに元々は普通の動物か、少々魔力量の多い動物だったのは確かですわ。」
「そして今は、妖精族・・・いや、この感じは・・」
「もしかしてこれが、幻獣って奴か?」
「やはりそう思うか?」
「えぇ」
「同じく」
「妖精族にしては感じる力が強すぎるから勘だけどな。」
「うむ。ワシも同じ意見じゃ。」
「まさか、実物をお目にかかれるとは思いませんでしたわ。」
「ペチュニア様のことを考えると彼らがこんなことになるのは当然かもしれないね。」
「あー。確かに。ペチュニア様だったら無自覚に動物まで徹底的に鍛えそうだもんな。」
「それか、あの方の最初で最後の願いであったフリージア様のことを頼まれたが故に彼らの頑張りの後押しを神様がしてくれたのやもしれぬな。」
「ふふ♪そうですわね。」
と、そんな感じで嬉々として観察する彼らにカルナたちは軽く引きつった表情のままフリーズしてたんですけど、そんなのお構いなしで次はハディちゃんに向かう。
「ふむ・・やはりドラゴンの血を引いておるな」
「やはりそうでしたか。この頑丈さ等はその影響でしょうね」
「後は、フリージア様の影響なのか何なのか魔力操作が異常に上手い。」
「魔力量もそれなりに多いようだしね。彼の頑張り次第ではまだまだ強くなれるね。」
「確かにのぉ。」
で次に翠ちゃんとラナちゃんに
「ふむ、ゲル種の中でも一際魔力量が多いとは思っておったがやはり妖精族じゃったか・・じゃが。」
「えぇ。普通であれば幻獣かそれ以外の何かに進化していてもおかしくありませんわ・・もしや・・」
「なんだ?お袋」
「彼女の進化はそれほど大きなモノと言う可能性が?それとも、妖精族と分類されてはいるけれど、実際はそれに近いだけでまた別の種族?」
「マジか・・」
「彼女の今後に期待ですわね。」
「そうじゃな・・・そして、まさか謎としか言いようがないこの種族も直接お目にかかれるとはのぉ・・・」
「さすがフリージア様の一言だよなぁ。」
「さすがフリージア様と言いたいところだが、彼らの種族としては少々変わり者やもしれぬな。」
「やはり、人に懐くと言うことが・・と言うことですか?」
「あぁ。もしかすると彼がもし進化すると全く新しい種族になる可能性だってあるのやもしれぬ。種族とは昔からこうした変わり者や、他とは特色の違う者たちがなっていたことが非常に多いからのぉ。」
「なるほど・・それは楽しみですわ。」
「にしても、フリージア様が来てくれて研究が・・というより、知識欲が刺激されまくってるから忙しくてたまらないな!」
「楽しそうじゃな?」
「じいちゃんも、親父もお袋もな」
「当然じゃろ?」
「そうですわ」
「それが、我々の血筋だ。・・そうだろう?」
「まぁな。魔法の探求者とか言われてるが、実際はただの魔法オタクだしな!」
「否定は出来ぬな。」
「そちらの方が私達をわかりやすく表現しているとは思いますわ。」
「そうだね。」
それはそれは楽しそうに観察しまくってました。
「あ、そういや。なんで、リアの杖は姿形が変わってるのに賢者の杖だって分かったんだ?やっぱり魔力とか込められてる魔法とかでか?」
「その辺りもそうじゃが。我々は、元々賢者の杖を先祖代々受け継ぎ、次代の賢者様に授けるために守り続けてきた。姿形が変わろうとも我々の中に流れる魔法の探求者としての・・英雄賢者様の弟子の子孫としての血が気づかせてくれるからのぉ。」
「なるほどなぁ。」
「じゃが、確かに今の形の方がフリージア様には扱いやすくなっているようじゃな。」
「えぇ。基本的な部分は変わっていませんが、姿形が変わったことはもちろんのこと、魔力の質などもフリージア様専用に改良されているようですわね。」
「魔力の質が変わるとやっぱり違うのか?」
「えぇ。魔力の質が異なると精神的に無駄に疲れてしまいますわ。」
「基本的に影響はないんだが、武器に込める魔力だけは違うんだ。」
「そうなのか?」
「あぁ。武器に込める魔法は基本的にそこらを漂ってる何の属性もない魔力じゃなくて、属性を帯びた魔力が込められている。だから、火の魔法が強化される武器とかそういうのしかないだろ?後、身体強化とか状態異常の耐性とか」
「つまりは、使う用途じゃない魔法をそれらの魔力を込めた武器とかで戦っても強化されたとしても精神的に負荷が掛かるってことなのか?」
「細かく言うとまた色々あるんじゃが、その通りじゃ。まぁ、その人個人専用で作られているか有象無象専用に作られてる安物と比べるとやはり差はある。100と150くらいの差はあるんじゃぞ?」
「・・かなり差があるな。」
「防具だってオーダーメイドか否かでかなり差があるでしょう?アレが、魔力を扱っている中で似たようなことがあるのですわ。」
「そういうことか。どうりで、リアが杖が変わってから魔力の通りがスムーズになったとか言ってたのか。」
「ふふ。そういうことですわ。」
そんな感じで結構な頻度で観察されまくってる私たちですが、訓練もご飯もお勉強もお花畑の散策もお母さんのお墓参りも精霊樹の下に遊びに行ったりと色々と楽しく過ごしています。
ですが、どうしてでしょうか?
行なっていることはこれまでとさほど変わらないのにいつもより楽しいです。
「では、我らがフリージア様へ指導致しましょう。」
(?)
「魔法の扱いなどは、フリージア様の場合多くのモノを見聞きし、魔力操作などの基礎的な部分の特訓を続ければ自然と伸びますわ。」
「だから俺たちが教えるのは、体の効率の良い動かし方と護身術だ。」
なるほど。
つまりは、弱くても体力がなくても遅くても魔力が扱えない状態になったときに、上手に自分の身を守れるようになれるように特訓してくれるってことなんですね。
(ぺこり)
よろしくお願いしますと気持ちを込めて頭を下げると
「お任せ下さい」
とても誇らしそうに頷いてくれました。
で
フォルシェンさんたち「・・・・・」
「あぁ・・やっぱ、こうなったか。」
「ですよね・・」
みんななんとも言えない表情で固まってます。
何でかと言われましても、いつも通り準備運動とか柔軟体操とかを織り交ぜたオリジナルの運動をしているからです。
回ったり体をくねくねさせたりフラフラさせたりと
翠ちゃんからは、酔拳
カルナからは、状態異常を起こしそうな謎の踊り
ラウさんからは、何かよく分からないモノを召喚する儀式
とか、とにかく色んなことを言われてます。
けど気にしません。
「・・アレは一体。」
「あぁ・・本人曰く柔軟体操と準備運動、バランス感覚を鍛える運動を織り交ぜたモノらしい・・細かいところはよく分からん。」
「なるほど・・言われて見れば納得する。」
「ですが・・」
「あぁ・・目に見えない何かが削られていくこの気持ちは何だろうか・・」
「お、おぉ・・効率的だが、他人様の前では遠慮したいもんだな・・うん。」
それはさておき
おじいちゃんやギリさんたちに順番に教えてもらった結果
クリアさんが専属で教えてくれることになりました。
理由は、体力も力もないということで最も私と状況が似ていたからです。
「えぇ、そうですわ。ムリして力を入れる必要はありませんわ。風の吹くまま周囲の状況に合わせてなんとなくで振って下さいな。」
杖さんの素振りを行なっているところです。
ラウさんが教えてくれた突き、薙ぎ、払い、振り上げ、振り下ろしなどの基本的な動きだけは軽く教わっていたので一応基礎?は出来てたらしいです。
なので今は、杖を振うときの力の込め方や、その感覚を教えてもらっています。
無理して力を入れない。
するとなんとなくですが、杖さんと心が通っているような感覚になる。
目の前に敵がいることを想定して杖さんを振う。
突きをする。
避けられるのでクルリと体を回転させながら横薙ぎ。
やはり避けられるのでそのままクルリと体を更に回転させて斜め上に振り上げる。
当たるけど軽い。
そこで、突き。
そんな感じで杖さんを振うときは相手がいることを想定してその想像する敵の動きに合わせて体を動かす。
私の場合は杖さんを振って当てたとしてもほとんどダメージを与えることは出来ないと思います。
けど、その分の時間稼ぎの間でカルナたちが来てくれるか魔法を放ったりと出来るらしいです。
そっか。
時間稼ぎのために杖さんで攻撃って考え方がありましたね。
後、クリアさんが言うには私には魔力を視る力があるのでその力を組み合わせれば相手が魔法を放つ前に邪魔をして時間を稼いだり魔法を発動させないようにすることだって出来るらしいです。
・・そこまで体が上手く動くか分かんないのでそう出来るように練習ですね・・とりあえず。
「それにしてもフリージア様は毎日素振りをしていたこともアリ基礎はある程度出来ているせいなのでしょうか?」
(?)
「それとも、無駄な力が入らず、他の方々の棒術などの余計な知識がないせいでしょうか・・杖を振う姿はまるで踊っているようでしたわ//」
うっとりとした表情で私を眺めているクリアさん。
んー?
首をかしげると幸せそうに私の頭を撫でながら気にしないでいいと言われてしまいました・・・まぁ、どうでもいいですね。
体を動かした後は魔法の練習です。
と言っても、基礎的な魔力操作の練習がメインです。
実戦あるのみとか、ギルドのお兄さんたちは言ってましたが?
と、聞いてみたところ
「フリージア様は実戦は既に十分経験しているのであえて基礎の練習と心を落ち着かせることが必要と判断しましたわ。」
だそうです。
心を落ち着かせて穏やかにさせるのが大事らしいです。
なぜ?
と聞くと、私は今、1つ1つをものすごく細かく考えすぎているらしく、その部分をどうにかしようというのが今回の練習らしいです。
だから、頭の関連のワザがいっぱい覚えてたんですね。
で、そんな細かく考えている部分を無意識になんとなくなで把握出来るようになって欲しいんだそうです。
その方が、よりスムーズにより効率的に魔法が扱えるらしいです。
後は、頭に掛かる負担がかなり減るんだそうです。
と言うよりも、今の私だといざって時に固まって何も出来なくなる可能性があるんだそうです。
で、なんとなくで魔法を扱えるようになるとついやっちゃったとか、そういうことが出来るようになるんだそうです。
いわゆる反射的に対処・・は、今の私、出来ないんですよね。
それは、生まれてからの5年間の影響で私の何かが壊れているせいなんだそうです。
だから、今のままだと非常に危険・・らしいです。
よく分からないですし今のところ困ってないんですけどね?
とか思ったら、いつどんなことがあるか分からないから是非やっとけとカルナたちからいわれました。
で、魔力操作と言ってもいつも通り左腕に集中させてるアレなんですけどね。
慣れてくれば左腕を含めた全身をまとめて魔力操作で体の中の隅々まで魔力をみなぎらせ、巡らせた方が良いんだそうです。
というのは、一箇所をするよりも魔力回路のつながりがより良くなるからだそうです。
聞くと、義手にだけ集中させるよりも全身にした方が全体のバランスが保てるからだそうです。
要するに、左腕だけ魔力回路が細かすぎて右腕よりも強くなっちゃったとかそう言うのは良くないらしいです。
その方が強くて良いんじゃないのかな?と思ったけど、それは体に悪いんだそうです。
魔眼のように能力として顕現すれば良いらしいですけど、中途半端なことをすればバランスが悪いから体調も崩しやすかったりと言うこともあるんだそうです。
翠ちゃんが歯並びがずれると姿勢が崩れるって言ってましたけど、何のことなんでしょう?
そんな感じで特訓続きになってるせいなのかフォルシェンさんたちがみんなムリはするなとか言ってます。
定期的におやつタイムにしたりお昼寝タイムにしたり絵本を読んでくれたりお花畑の散策をしたりって言うのをすっごいこまめにしてくれます。
で、そんな休憩などの時間はほとんどお母さんのお墓のところにいることが多いです。
なんとなくですけど、精霊樹さんの近くにいた方が安らぐんですよね。
それは、私が精霊樹の巫女だからその影響なのではないかと、翠ちゃんが教えてくれました。
そんな感じで比較的穏やかに過ごしていたある日
魔力操作をいつも通り行なっているとカチリと何か私の中でつながったような妙な感覚に襲われた。
首をかしげていると
「フリージア、どうしたんだ?」
ギリさんが心配してくれました。
今日はギリさんが魔力操作を教えてくれてるんです。
-何かが私の中でつながったような不思議な感覚がしまして-
「つながる・・つながる・・・・・・・あ!もしかしたら!フリージア!一度左腕に魔力を流して動かしてみてくれ。フリージアのあの触手っぽいのを動かすくらい軽い感覚で良い。」
(?コクリ)
言われた通り細かいイメージをせずに右腕にしているようにただ魔力を左腕に流してみます。
そして、右腕を動かしているように何気なく左腕を動かすイメージをすると
すいーっと動きました。
「動いた・・そのままクルリと大きくまわしてみてくれ。」
(コクリ)
ただ上に掲げただけだったのでそのままクルリと大きくまわすイメージ。
クルリと動きました。
「おぉ!じゃあ、指を親指から順番に広げて、とじてくれ。」
(コクリ)
親指から人差し指と続いて小指まで広げた後、逆の順番で小指から親指までとじる。
右腕を動かすよりはちょっとだけラグがあるけど動きます。
「おぉ!おぉぉぉお!!!動いた!!!ついに動いた!!」
「ギリ!お主は何を騒いでおるのじゃ!!」
「じいちゃん!!動いた!!動いたんだよ!!」
「何がじゃ何が」
「ほら!見てくれよ!!ほら!!」
そこには、左腕の指を順番に動かす練習中の私。
「・・・・っ!!こうしてはおれん!!リード!!クレア!!宴じゃ!!今日は豪勢にするぞい!!!」
「お父様は何を騒いでいるのですか・・」
「全くだよ・・」
「何を呆けておる!!ほれ!!」
そして、指さす方向には万歳したり左腕をぷらぷらさせて練習中の私。
「っ!!あなた!!」
「あぁ!今日は記念する日だ!!」
で、私以上に喜ぶフォルシェンさんたちにカルナたちは
「リア、おめでとう」
「おめでとうございます」
「にゃう(良かったですね)」
-リアおめでとう。-
「ニャー(おめでとう)」
ラナちゃんもおめでとうを伝えてくれる。
{ありがとうございます・・どうしましたか?}
なぜか、苦笑いのカルナたち
「いやぁ・・俺たち以上にテンションが爆上げしてる連中がいて一瞬どう反応すればいいかわからなくなってな。」
「普通に褒めるだけで良いのかどうか分からなくなってしまいまして。」
なるほど。
ちなみにその後、
「この地を明け渡せ!我らは”ザ-」
「記念するべき日にやかましいわい!!」
「邪魔をするなぁぁ!!」
「地獄へ沈めぇ!!!」
「滅びなさい!!」
3桁は軽くいる柄の悪い連中が襲ってきましたが私の体質が反応する前に逆ギレしたフォルシェンさんたちが瞬殺してました。
・・やっぱりすごく強いです。
ギリさんはガントレットをつけて身体強化をして殴り飛ばしまくっており、
リードさんは、足に炎を纏わせて蹴り飛ばしたり蹴りの衝撃波で炎の薙ぎ払いをしてたり
クリアさんは水の弾丸をものすごい数を作りだして周囲一帯に目で追うのもやっとな勢いで放ちまくってたり
バレクさんはでっかいハンマーを振り回したりその余波で地面から土の槍が辺り一帯を襲ってたりと
とにかくすごかったです。
どうやら、ギリさんは身体強化メインの近距離、
リードさんは魔法による近距離、
クリアさんは遠距離
バレクさんは近距離と中距離を併用出来るようです。
すごくガンガンタイプな感じです。
ちなみに言うと、バレクさんは攻撃よりも防御の方が自身があるらしいです。
と言うのも、バレクさんが作る土の壁は並大抵の攻撃ではぴくともせず、下手な武器だと武器の方が壊れちゃうほど硬いんだそうです。
で、それでガードしている間に土をとがらせるか、ハンマーで吹き飛ばしてるんだそうです。
それと、ギリさんは火と風の2つの属性を操れるらしく、拳に纏って戦うんだそうです。
普段は、使わないらしいです。
なぜなのかと聞くと、かなり威力が高いからなんだそうです。
そっとクリアさんが教えてくれたんですけど、防御に関してはバレクさんがトップで、スピードに関してはリードさんだけど、ギリさんは攻撃力が最も高いらしく、火と風を複合させて火力を倍化以上にさせる”爆裂”と言う名称の魔法は、一撃で辺り一帯を軽く吹き飛ばすほど強いらしいんです。
なので、本気のギリさんが大暴れすると辺り一面が焼け野原になるらしいのでちょっとやそっとの時では使わないらしいです。
で、現在はその火力の制御か、余波をどうにかして敵だけを消し飛ばす方面で特訓中なんだとか。
そして、立ち位置的にバレクさんは、ハディちゃんに似てるかも?
防御主体で咆吼で動きを封じて尻尾の薙ぎ払いでドカン!
にてますね。
後、ラウさんはリードさんとギリさんと特訓することが増えたりしてます。
そして、シャスティたち獣魔たちはバレクさん相手に戦ってることが多いです。
ハディちゃんはもちろん戦い方が似ていますし、他のメンバーは元々私を守りながら戦うことをメインにしているので立ち位置としては一番目指すべき場所だったようです。
まぁ、と言っても他のメンバーとも戦ったりしてるんですけどね。
同じ人と戦い続けてると、下手すれば変な癖がつくらしいですよ?
よく分からないですけど。
で、私はクリアさんに教わりつつ実戦形式では3人に教わる感じです。
そんな感じで私たちはとても楽しく過ごしています。