魔法の探求者の子孫
「ペチュニア様が幼女になって生き返ったぁ!?」
そう叫んだお兄さん。
そして、私を抱っこしてすっごいにらめっこしてます。
「うん・・どっからどうみてもペチュニア様だ・・。けど、すっごい静かだ。あの方ならまず最初に言葉のマシンガンが襲い掛かってくるはずなんだが・・。ま、まさかペチュニア様の暴走癖は幼女の頃からではなく、幼女から少女になった辺り・・もしくは、胸がデカくなっていくのに合わせて!?ペチュニア様のアレは胸のデカさとイコールで育ったのかぁ!!なんてこった!」
何か色んなことを言ってます。
「ペチュニア様は幼女だった頃はこんなにおとなしかったのか!なぜ!なぜこのまま素直に育ってくれなかったんだ!!いや、あの明るく姉御肌の状態のペチュニア様も良かったんだが、その分振り回されてたし、気苦労を考えるとやっぱりこのままおとなしいままで育って欲しかった・・そうすれば、もうちょっと・・いや、止めておこう。だが、そうなるとあの素晴らしい胸は、巨乳ではなく虚乳・・それは、嫌だな。」
おーい。
お兄さん落ち着いて下さいな?
後、私とにらめっこしながら悩むのはやめて下さい?
「おーい。兄ちゃんとりあえず落ち着け-。」
「あ、悪い。だが、ペチュニア様が幼女になったんだぞ!?しかもおとなしいんだぞ!?落ち着いていられるはずがない!!」
「だから落ち着け!!この幼女はペチュニアさんとは違う!!てか、事情を説明するから落ち着け!!」
「・・・・・はぁ。スマン。落ち着いた・・・てか、お前・・・あのときの喋るカラスと、尻尾の長い猫か!!」
「やっぱり知り合いか・・けどスマン・・・どこで会ったか思い出せないんだ。」
「あぁ・・あのときは外は暗かったし、まともに喋らずにさっさと使い捨ての転移魔法の魔道具で飛ばしたしな・・。」
え?
それって・・
「それって・・・まさか・・」
「にゃう?(もしや、あのときの?)」
「リアを助けてくれた強面兄ちゃんか!?」
「おぉ!やっぱりそうか!久しぶりだな!元気そうで何よりだ!」
「まぁな。おかげさまで楽しく旅をしているよ。」
「ここには何しに?」
「偶然通りがかった。後、あちこちできれいなとこだって聞いたから立ち寄ったんだ。」
「へぇ。あのときの腐れ町より、すっげぇいいとこになったぜ!バカどももきれいさっぱり処分しておいたからな!」
大変素晴らしい笑顔でサムズアップしてます。
そして、おろしてもらいました。
「おう・・相当はっちゃけたみたいだな。」
「まぁな。・・・・・てことはまさか・・。」
と言って、私の方へ視線が向く。
「あぁ。ペチュニアさんそっくりだろ?中身は相当おとなしいがあのときの幼女だぜ。名前はフリージアだ。ペチュニアさんがリアが持っている写真に仕込んでた手紙にあったんだ。正真正銘ペチュニアさん命名だ。・・いつどうやって仕込んだんだか。」
そういうことになったようです。
ホントのことは無闇矢鱈とおしゃべりしたら駄目なんだそうです。
「そうか・・・」
そう言いながら私と同じ視線の高さになるようにしゃがみ込みすごく泣きそうな顔でうれしそうに私の頭を撫でる。
「そうか。そうかそうか・・よかった。やっぱりあのとき、あのやり方で助けて良かったんだな。・・ホントは心配だったんだ。無理矢理飛ばしたし、飛ばした場所で魔物に襲われてないかとか、変な奴らに襲われてないかとか。俺があの転移魔法の魔道具を使わずに抱えて夜逃げすれば良かったのかとか色々悩んだんだ・・。」
「兄ちゃんそこまでして。」
「当たり前だろ。ペチュニア様の忘れ形見なんだ。・・・けど、よかった。元気そうで・・それにホントにペチュニア様そっくりだ。久しぶりだな。フリージア。」
このお兄さんは、あのとき私を転移魔法で飛ばして助けてくれたお兄さんでした。
そっか・・。
ここが、私がかつて生きていたあの町なんだ。
まぁ、今は町じゃなくなってこのお兄さんの家族以外誰もいなくなってるし跡形もないからいやな思い出とか以前の問題ですが。
あのつらい記憶は確かに残ってますよ?
けど、大丈夫。
カルナもシャスティも、翠ちゃんもラナちゃんもハディちゃんもラウさんもいる。
ここにはいないけど桜華さんもお母さんも天界から見守ってくれている。
だから大丈夫。
このお兄さんは正真正銘私の命の恩人だ。
お兄さんがいなかったら私は既にこの世にはいなかったのだから。
「じゃあ、改めて。俺の名は、ギリ。ギリ・フォルシェンだ。」
「こちらこそ改めて、この子はフリージア、フリージア・エトワール。俺はカルナ、こっちはシャスティ、ゲル種が翠、肩にくっついてるのはラナ。ワニはハディ。で、ラウだ。」
それぞれが鳴いて挨拶しました。
「よろしくな。で、ラウ・・お前さんは何もんだ?悪いやつじゃないのは分かるが。」
「クラリティ王国の騎士であり、今はリア様専属の護衛執事を務めております。」
「ほう?やっぱり、あの国からか。」
「やっぱりとは・・知ってたのですか?」
「そっちの国からちょいちょいお使いに来る連中がいるんだよ。元々俺等はクラリティ王国で過ごしてたしな。」
「そういえばそうでしたね。」
「立ち話も何だし来てくれ。歓迎するぜ。」
そして、中に案内してもらいました。
中に入ると、思った以上にきれいなところでした。
どこまでも続くお花畑と薬草の数々。
それらの組み合わせが天国を彷彿とさせるほどとてもきれいな場所。
それに、色んなお花や植物の匂いがしてます。
私はこの香り好きです。
「予想以上にきれいな場所ですね。」
「だろ?薬草としての効果も抜群だし、見た目的にもすごいだろ?俺等はこの草花の世話をしつつ、周囲にいるアホどもの殲滅を主にしているんだ。後は墓守だな。と言うよりそっちがメインだ。」
「墓守・・やはりペチュニア様のお墓はここに?」
「そういうことだ。悪いが、とりあえず家族に紹介したい。」
「急いでないから大丈夫だ。な?」
(コクリ)
「そうか。さて、ここだ。」
2階建ての木造の建物でした。
壁には蔦などの植物が絡んでたり、屋根のとこにもお花が咲いてたりしてるけど、きれいです。
メルヘンな感じです。
「じいちゃん、お客さんだぜ?」
「今日は誰か来るとは聞いてはおらぬが?」
「あぁ。アポなしだが。とんでもないお客さんだぜ?」
「は?」
「とりあえず、会ってくれればすぐ分かる。」
「わかった。上がって頂きなさい。」
「りょうかーい。とりあえず上がってくれ。あ、靴は脱いでくれ。そう言うとこなんだ。」
言われた通り靴を脱いで上がります。
-和室なんだね。-
畳っていう木ではなく、藁?っていう細い植物で編んで作ってあるものらしいです。
すごく落ち着きますね。
独特な匂いはしますけど嫌いじゃないです。
案内してもらった部屋には、かなり鍛えられていると分かる筋肉のあるがたいの良いおじいちゃんと、細めで鋭い雰囲気だが脚が鍛えてあるっぽいお兄さん(ギリさんより年上ぽいからお父さんかな?)、おっとりとして優しそうで見た目はすごく細いけど、魔力量は結構多い感じがするお姉さん(ギリさんのお母さんかな?)
ギリさん家族「・・・」
私と目が合った瞬間目が点になってぽかんと口を開けたままフリーズしちゃいました。
(?)
「あぁ・・やっぱりそうなるよな。」
「それって、ギリさんがリアを見た瞬間暴走したのと同じ理由か?」
「まぁな。呼び捨てで構わねぇよ。」
「そうか。確かにリアはペチュニアさんそっくりだからなぁ。俺等はずっと一緒にいたから多少慣れてるけど、初めて丸洗いされた後は確かに驚いたもんな。」
「へぇ。」
「・・あの、大丈夫なのでしょうか?」
「あぁ、なんとかなるさ。フリージア。とりあえずあのじいちゃんの膝の上に座っとけ」
(?)
良いの?と首をかしげると。
「構わん。むしろ喜ぶし、どういう反応するか楽しみだから是非。」
(コクリ)
よく分かりませんけど了解です。
あぐらをかいてるおじいちゃんのお膝にとりあえず座ります。
おぉ。
意外としっくりしますね。
てしてしと足とかお腹とか叩いてみますが、すごい鍛えているのかカチコチです。
にしても、固まったままですね。
あっちこっちてしてししたりつついたりほっぺを引っ張ってみますけど固まってます。
-リア。とりあえず鼻を塞いで。しばらくしたら復活するから-
言われた通りに鼻をつまんでみました。
数十秒後。
「ぶはぁ!!・・はっ!」
あ、生き返った。
「お、もどった。とりあえず、自己紹介してくれ。いつまでフリーズしてんだよ。」
「あ、あぁ。ワシは、バレク。こっちがリード、そっちがクリアじゃ。で、そっちは既に紹介は済んでいると思うがギリ。ワシらフォルシェンファミリーはかつて英雄賢者様の唯一弟子となった魔法の探求者の子孫と呼ばれる存在じゃ。英雄賢者様が亡くなった後、次の後継者にその杖を渡すために先祖代々続いてきた一家じゃ。」
「では、改めてこちらはフリージア様。俺はラウ、順番にカルナさん、シャスティさん、翠さん、ラナさん、ハディさんです。・・・リア様が英雄賢者の正統後継者だと知っていたのですか?」
「まぁの。賭みたいなモノじゃったが、ペチュニア様の娘であるフリージア様であればもしやと思ってな。と言うことはその杖のことは気づいていたのじゃな。」
「まぁ。」
私がお膝に乗っているのは華麗にスルーされてます。
と言うより、何事もなかったかのように普通に自己紹介が始まりました。
・・・良いの?
あ、気にしないでいいんですね。
「安心しなされ。ワシらはそういうことは他言する気は一切ない。・・・・それにしても驚いた。」
「あぁ・・」
「えぇ・・ペチュニア様に瓜二つなんですもの。幼女になって生き返ったかと思いましたわ。」
「確かに」
「ワシも同じく驚いた。まぁ、ペチュニア様よりも非常におとなしいが。」
「それは言える」
「そうですわね。」
「では、改めて。フリージア様お会い出来て光栄です。今代の英雄賢者様。我らフォルシェンファミリーはあなた様に忠誠を誓います。」
そう言いながら私に向かって跪く皆さん。
え?
え?
私どうすれば良いのでしょうか?
とりあえず、頭を順番に撫でてあげる。
「我らは影ながらお守りするのみ。」
-ここにお母さんのお墓があるのは本当ですか?-
「えぇ、本当ですわ。」
-では、私の代わりにお母さんのお墓を守って下さい。-
「はっ!光栄の極み。」
「で、じいちゃん。いつまでフリージアを膝に乗っけてるんだ?」
「こら!フリージア様を呼び捨てにするでない!!」
「気軽な感じで接して欲しいんだとよ。良いじゃねぇかよ。普通の幼女として扱ってやろうぜ?疲れるだろ?互いに」
「ならぬ。ペチュニア様の愛娘であり、今代の賢者様じゃ。ワシらにとっては崇拝すべき相手じゃ。」
「はぁ・・まぁいいや。で、いつまで膝に乗っけてるんだ?」
「・・・・・・」
おじいちゃんと私がにらめっこ。
と言っても私は上を向いてるのでお顔は上下逆さまです。
すると、おじいちゃんはデレッとした表情になって頭をなでなで。
で、お膝に乗せたまま。
「さて、ちょうど良い時間じゃ。飯にしよう。」
「スルーかよ!てかそのままかよ!!」
「はーい。今日はお祝いですわね。」
「手伝うよ。」
「ありがとうあなた。」
「あんたらもスルーかよ!!この親共はぁ!!・・・・・てか、じいちゃんのデレ顔初めて見た・・。と言うより、デレ顔で孫かわいがりのくせに忠誠とかそういうのはそのまんまとか器用だな・・。」
ギリさんは元気よくツッコミを入れてるけど、全員スルーしてました。
そんな光景をカルナたちは唖然として固まってました。
で、おじいちゃんのお膝の上にいたままご飯です。
時間はちょうど夕方。
お野菜とかが中心のヘルシーな感じですけどおいしいです。
「気に入って頂けたようで光栄ですわ。」
「そうじゃな。フリージア様、こちらも旨いですぞ?」
もぐもぐ。
おいしいですね。
「はぁ//ペチュニア様は大変美しい方でしたけど、幼少期はこんなにも愛らしいなんて!」
「庇護欲をそそられる感じと言っても過言ではないね。どうりで神子様ファンが増えるわけだ。」
「えぇ。むしろ当然ね。」
「そうじゃな。・・・さて、互いに情報交換といこうかのぉ?」
で、大雑把に教わったことを箇条書きにすると。
・おじいちゃんたちはクラリティ王国で王様たちの手助けをしながら暮らしてた
・お母さんがあの領主の影で悪いことをしてた部分の証拠集めを独自にしているとどこからか情報を入手
・その手伝いのためにスパイとして今のこの場所が町だった頃に潜入
・と言うより、お母さんはその人が裏でやらかしていることが相当ひどかったことが気にくわなくて結婚することになったそうな。
・その人がやらかしていたことは、作っちゃ駄目なモノ(麻薬?と異世界人が言ってるぽいもの)の売買や、違法奴隷の売買に、盗賊などを雇い、商人さんたちを襲わせたりなどなどエトセトラ。
・影ながらお母さんと連携して悪いことの証拠集め
・私が生まれてお母さんが死んじゃった
・それでも途中で投げ出したらお母さんの頑張りが無駄になるから頑張る
・私を転移魔法の魔道具でどこかにポイ
(ついでに、英雄賢者の正統後継者の可能性あるし杖もまとめてプレゼント(勘))
・逃げられないように建物から脱走出来ないように完全封鎖(ついでにお仕置き)
・それに併せてクラリティ王国にそれらの証拠を全て提出(暗殺者とか雇われてた盗賊等々の生き証人もまとめて提出)
・町に住んでた人たちも噂で翻弄されやすいアホ共だったしまとめてお仕置き&社会的な死をプレゼント
・そのことを聞いたクラリティ王国も連携して悪は徹底排除。(関連してたモノは内容問わず問答無用で全て)
・領主だった男は、お母さんと赤ちゃんが出来ることは一切なかったよ(確実私と血のつながりはなし)
・手すらも繋げず、結婚と言うよりはお母さんは知識を提供、そいつは育ててる薬草の一部を提供という約束で結婚したようなモノらしい(実際は同居に近い)
・その男は、搾り取れるだけ情報を搾り取った後、今はどこか危険な場所で奴隷として強制労働と共に精神的も含めて過労死させる罪を実行中(去勢済み)
・お母さんのお墓があるし、自分たちが過ごす建物以外はいらないよね!
・建物1つを残して全て完全破壊
・どうせだからこの地一体を花畑にしちゃおう。
・ついでに、薬草も有名なとこだったしまとめちゃえ。(きれいだしね!)
・城壁は守るのに必要だしそのままで
・他の奴らにはまかせられないしお母さんのお墓は私たち家族が守る!
・近寄る害悪は塵1つ残さず殲滅あるのみ!!!
・なぜか観光目的の人が増えたよ?
・憂さ晴らしにあの男のやらかしたことを盛大に暴露してやれ。
・どこのどいつか分からん奴らにこの地を見せるつもりなどない!(入口から覗くだけならOK)
・潰したアホ共を通りすがった冒険者が預かり換金して、お金を持ってきてくれた
・どうせだから一部をあげる代わりにお肉とかお野菜とかお買い物よろしく(定期的に率先して対応してくれるようになった)
・ここから出なくても過ごせるし、困らないから墓守に集中しよう!
「という感じじゃな。」
「毎日ゴミ掃除が大変ですが、とてもやりがいがありますわ。」
「そうだね。害虫駆除はとても大事だからね。」
「良いサンドバッグだよな。後は金だな。」
「世間的にも礼を言われるしね。」
「自主的に換金してくれる人たちもいますし、お礼代わりのお金も大して受け取らない優しい方々ですし」
「良いことづくめだな。」
翠ちゃん曰く自重しなくなったらしいです。
我慢は良くないですからね。
「あぁ・・充実してるならいいや。」
「では、俺たちも一応。」
で、これまでどんなことがあったのかを事細かに説明しました。
ただし、リフさんや神様のことなどはある程度ぼかしました。
その辺りはさすがに盛大にバラすのはちょっとアレらしいので。
「なるほど。それで、左腕がこうなっているわけじゃな?」
「えぇ。今は練習中で時間をかけてやればその内出来るようになるだろうと言うことで先に進むことを優先しました。」
「なるほどのぉ。」
「それで、その占い師に言われたモノを見せて頂けませんか?」
私は、ポケットからあのおっきな種を見せました。
「これは・・もしや」
「えぇ・・」
「これは、精霊樹の種じゃな。」
「え?」
まさかの精霊樹の種だったんですか?
「え?これは、精霊樹の種だったのですか?」
「そうじゃぞ?かなり濃度の高い魔力と聖なる何かを感じる。この感じは精霊様に近い。ほぼ間違いなくそうじゃろうな。」
「お父様がそうおっしゃるならそうなのでしょうね。私としては、フリージア様の魔力をかなりの量を吸収しているように感じますわ。」
「クリアがそういうならそうなんだろうね。俺はその辺りはちょっと苦手だけど、その占い師が言ってた通りこの土地と相性が良さそうだと感じるよ。」
「親父がそう言うならそうなんだろうな。なんて言うか何かきっかけがあれば一気に成長しそうな感じだよな。」
「さすがだな。魔法の探求者の子孫と言われるだけあるな。」
「調べるのは趣味じゃからの。」
「だとしてもそう感じるだけで実物を見るのは初めてですわ。」
「そうだね。本の知識だけだがホントに聖なる力を感じるよ。」
「精霊ってこんな感じなんだな。下位の妖精ならここにちらほらいはするんだけどな。」
そういえば、お花畑の近くで不思議な何かを感じたのですがそれだったのでしょうか?
「ギリって精霊が見えるのか?」
「下位だけな。と言うよりも、うすぼんやりと感じる程度だぜ?」
「だとしてもすごいと思うぞ?」
「そうか。まぁ、気にするな。」
「・・そうか。そこはスルーするのか」
あっさりとした性格のようです。
「では、フリージア様。この種はこの地に埋めますか?それともそのままお守りとしてお持ち致しますか?そのまま持っていても十分フリージア様のお力になるでしょう。」
-埋めます。なんとなくですが、ここで埋めてお母さんのお墓を守りながら一緒に見守っていて欲しいんです。-
「承知致しました。我らフォルシェンファミリーが全身全霊でお守り致します。」
「とはいえ、もう遅い時間じゃ。埋めるのは明日朝食を済ませた後に致しましょう。」
(コクリ)
その後、クリアさんと一緒にお風呂に入り(率先して拉致されました)、リードさんとサンドイッチになって一緒のベッドで寝ることになりました。
ちなみにクリアさん、おっぱいはC寄りのDでした。
で、バレクさんは表情はデレデレなのに言葉は偉い人相手にお話しする感じで言葉と見た目があってない状態でした。
翌日
朝の身仕度や軽い運動(普段やってること)と朝食を済ませた後、お母さんのお墓まで案内してもらいました。
少しだけ高い位置にある十字架のシンプルなお墓でした。
声だけはお祈りするときにいつも聞いているけど、直接会うことになるのは初めてだ。
産まれてから今ここに来るまでの間で一度もお母さんのお墓に来たことがなかったのですから。
私は、ぺたんと女の子座りをお墓の前でしてお祈りする。
お母さん
直接会うのは初めてですね。
私を命がけで産んでくれてありがとう。
私、この命を無駄にしないで精一杯生きます。
そして、今代の賢者としていっぱい頑張ってさすが流星姫の娘だねって言われるくらい頑張りますから。
だから
・・だから
いつか私がそっちに行った時によく頑張ったねっていっぱい褒めて欲しいな。
だから今は優しく見守ってて欲しいな。
あれ?
目から涙が止まらない。
拭いても拭いてもあふれ出してくる。
やっぱりさみしいよ。
少しでも良いから一緒にいたかった。
一緒に笑いたかった。
一緒に思い出話をしたかった。
たまに喧嘩して謝って仲直りもしてみたかった。
褒めて欲しかった
叱って欲しかった。
ほほえんで欲しかった。
抱きしめて欲しかった。
ほっぺにキスをして欲しかった。
笑って欲しかった。
色々教えて欲しかった。
さみしいよ
どうして・・
分かってる。
どうしようもなかったことだって
私を産まなければお母さんはもっと長生き出来てたはずなのに産んでくれた。
そのことだけを感謝するべきだってことだって分かってる。
だから・・
だから・・・
今だけは泣かせて下さい。
頑張るから
精一杯頑張るから。
だから
「愛して・・るって・・・一言・・・言って・・・欲しかった」
かすれた声で私の口からそんな言葉がこぼれる。
そこで、ころんと私のポケットから精霊樹の種と羊さんからもらったマジックストッカーっていう魔力をためるビー玉みたいなのが転がっていく。
涙を浮かべたままその光景を眺めているとコロコロとお母さんのお墓のちょうど後ろ側の辺りになぜかちょうど穴になっていた場所(モグラさんが掘ったのかな?)にコロンと入り込む。
思わずその穴の中を覗くと偶然私の涙が種に当たった。
すると、ほわんと暖かな光を種が放った後、
ブワァッ!!!
よく分からない衝撃波が迸り私は吹き飛ばされた。
「リア様!大丈夫ですか!?」
ちょうど後ろで構えていたラウさんが私をキャッチしながら後ろに転がるとちょうど倒れ込むところでハディちゃんがかばってくれた。
「ハディさん・・ありがとうございます」
「ニャー(気にするな)」
「な!?何だ!?何が起きた!?てか何が起きているんだ!?」
ギリさんが困惑しまくってる。
そして、1度だけ放たれた謎の衝撃波の後、パキンと硝子が割れたような音が鳴った後、ものすごい勢いで精霊樹の種が成長していく。
あの割れた音はマジックストッカーが砕け散り、内部に内包されていた魔力が精霊樹の種に吸収されたときの音だったと、後ほど知ることになります。
ぐんぐんと育っていく精霊樹の種。
呆然と眺めていると高さ50メートル、幅が4メートルほどはあるすごく大きな木です。
でも、この温かい感じは間違いなくリフさんのとこで経験した精霊樹さんと同じです。
で、お母さんのお墓はきれいに精霊樹さんに埋まってました。
けど、文字とかが書いてあるとこはきれいに露出されてるから後ろ半分が埋まってる感じぽいです。
そして、なぜかお母さんのお墓の真上に私の手のひらにある精霊樹の巫女の紋章がきれいに刻印されてる。
・・思わず涙が引っ込んじゃいましたよ。
そして、なんとなくですが精霊樹さんは私を慰めてくれているような気がします。
それと、最初の衝撃波か精霊樹さんが育つときに私にぶつかるからワザとそうしてくれてたみたいです。
私は、ヨロヨロと精霊樹さんに近づき寄りかかるように座り込んで優しく幹を撫でる。
ありがとう
私はずっとお母さんのそばにいてあげられないので、代わりに一緒にいてあげて下さい。
どことなく分かったと言ってくれたような気がしました。
「ほぉ・・・」
「きれいですわ」
「見事じゃのぉ。まさかこんな貴重な瞬間に立ち会えるとはのぉ。」
「素晴らしいですわ。」
「まさしくこの地で墓守として頑張らないとならないね」
「だよな。すごい生命力を感じるし、元気をわけてもらえる気になるな。」
「同感じゃのぉ。」
そして、
-リアちゃん、愛しているわ。-
どこからかお祈りしているときによく聞くお母さんの声が聞こえた気がしました。
「え?」
「にゃう(さっきのは・・)」
「マジか・・」
「あなた・・お父様・・」
「あぁ・・聞き間違えるはずがない」
「うむ・・じゃろうな・・。」
どうやら、さっきの声はみんなにも聞こえていたようです。
再度耳を澄ませても聞こえませんし、どこからどうやって聞こえたかも分からない。
・・ありがとう。
私も愛しているよお母さん。
私が心の中でそっとそうつぶやくと
「リア・・さっきの・・・聞こえたか?」
カルナがそうおそるおそる聞いてくるので私は、何も言わずにふんわりと笑みを浮かべました。
その笑顔は写真を撮るときと同じように心の底から自然と出せた笑顔でした。
ちなみに、その笑顔の余波で私以外全員がフリーズしてしまったのは余談。