流星の里での再開?
岩の魔物を倒してから私たちは先に進みます。
魔物の出現率は岩の魔物の影響でしばらくは少なかったのですが、今も少ないです。
その代わり、賞金首の連中がホイホイ出てきているので私の体質が絶好調なので、全員殲滅している現在です。
「えぇっと・・あ、チェックされてますね。」
「へー、不正を働いて追放された元騎士のチームか。」
「確かに剣などの接近戦に強そうでしたよね。」
「まぁ、その実力が発揮する前にリアの遠距離攻撃で一撃だったから実際はよく分からなかったが。」
「まぁ・・運がなかったんでしょうね・・。」
「だなぁ・・。」
何をしているのかというと、とあるファイルを見ています。
このファイルは、あの国の宰相さんがくれた物です。
このファイルには、指名手配されているいわゆる賞金首の人たちの用紙がファイリングされているんです。
で、賞金や特徴、新たに追加される指名手配犯などもいるので教会に立ち寄ったときは必ず更新して下さいと言われています。
そして不思議なことにこのファイルには魔法が掛かっていて、誰かが倒すとその指名手配犯の用紙の部分に【討伐済み】と表示されます。
自分が倒したか他の人が倒したかの区別は用紙の端っこに「●」が表示されるのでわかりやすいです。
マークされている方が自分が倒したという証です。
後、お金を既に渡しましたっていう証として●のとなりにペケのマーク・・レ点のチェック?がつきます。
これで、お金を1回分だまし取るなんてことはないらしいです。
この本のあるなしで賞金をもらうときの手続きはすごく楽になるんです。
この本は個人の冒険者、もしくはパーティに登録する形になるので他の人がその本を持って私たちが倒しましたと言っても、登録されていない人たちが余所のパーティの本を持っていると言う事実にしかならないからです。
後は、ホントに自分たちが倒したのかとか、そいつらだって言う証拠は?とかそう言う確認もほとんどする必要がなくなるから凄く便利なんです。
ちなみに過去に倒した分も登録した段階でまとめてドバーッと登録済み●になったので、びっくりしました。
私も渡してくれた宰相さんも。
こんなにたくさん討伐してたんですねと苦笑いで。
「それにしても、おかしくありませんか?」
「魔物が出てこないってとこか?」
「えぇ。翠さん。もうあの岩の魔物の影響はなくなっているんですよね?」
-そーだよ?-
「なのに、賞金首ばかりが・・・。」
「現状の推測だと魔物はそいつらが。で、賞金首は俺等を・・って感じか?」
「現状だとそうとしか言いようがありませんね。」
-後は、この周辺は元々魔物が少ないのかも-
「魔物が多いスポットがあるのとは逆という認識で?」
-そーだよ?魔物はどこにでもいるけど、全くいないところも、多すぎるところも、少ないとこもあるし、強いのばっかりだったり、弱いのばっかりとか、サイズがバラバラ、おっきいのばかり、ちっちゃいのばかりとか属性ごとだったりって色々あるからね。-
「なるほどな。」
「まぁ、襲ってくれば全員潰すだけなんだがな。」
「そうですね。主に自主的にリア様が。」
「あぁ・・うん。」
だって、私の体質である”悪心撃滅”が反応しちゃうんですもの。
それに、反応して潰したら全員指名手配犯だったんですもの。
気にしない気にしない。
で、ほとんど魔物狩りではなく、賞金首狩り・・えぇっと、バウンティハンターって言うのになってる状態です。
ラウさんが言うには、賞金首を狩ってお金を稼ぐことを専門とした人たちのことらしいです。
魔物も狩りますけど、確かにそっちの方が正しいかもしれませんね。
だというのに、面白いくらいホイホイ集まってくるのでホイホイ潰しまくってます。
それが、私の称号である【変態紳士ホイホイ】が影響して、無害な生き物と認識されてるらしくそれでよってきてるみたいです。
まぁ、ハディちゃん以外はみんな見た目で強いとはよくわかんない子たちばかりですからね。
私を含めて。
それはさておき、あの国を出てから20日たたないくらいで、あの岩の魔物を倒してから5~6日ほど経った今現在です。
ギリギリ2桁くらいの人数から40~50人までの間くらいの人数の賞金首たちがわっさわっさと沸いてくるので、片っ端から全員殲滅しています。
だって、1人残らず殺らないと落ち着かないんですもの。
だというのに、向こうは私の見た目に騙されてホイホイやってきます。
そして、私の体質が反応して1人残らず殲滅。
数人くらい殺っちゃうところで青ざめて逃げようとしてるけどそんなコトさせずに殲滅。
それを淡々と繰り返してる状態です。
普通数グループくらい殺っちゃうと他のグループは警戒して近寄らない気もするんですけど、私の見た目はそう言う考えをきれいにポイさせる威力があるらしいです(ラウさん談)
そんな中、先に進んでいくとそいつらが出てくる頻度は減りました。
むしろ、近づくな!絶対に!って感じのようです。
「はぁ・・やっと落ち着いてきたな。」
「そうですね。出てくる頻度ががくっと下がりましたね。なぜでしょう?」
「何か、向こうには下手に近づくなって感じだったよな?」
「そうですね。後は逆にかなりの人数を集めてからじゃないと・・って感じでしたね・・まぁ、リア様の餌食になってそいつらの召集場所が地獄への入口になってましたけど。」
「リアに見つかるあいつらの運が悪い。」
「そうですね。」
「なぁ、ちょっと良いか?」
「はい?・・どうしましたか?」
野営で、夕ご飯を食べ終え、日課である夜空を眺めているとお兄さんたちのグループ(20人くらい)がやってきました。
「いや、この近くで野営する予定だったからさ、ご近所へのご挨拶的な感じか?」
「構いませんよ。いざと言うときに互いにフォロー出来ますし。」
「助かる。実力はそれなりに自身はあるんだが、盗賊どもの相手にみんなへとへとでな。まぁ、どうにかしてきたが。」
「そちらもですか。」
「やっぱか・・て、まぁ・・理由は分かる。」
夜空を眺めながら果物をもぐもぐしている私を見て納得した顔になってます。
「まぁ・・そんな感じで向こうがホイホイやってきましたので、遠慮なく殺りました。」
「なるほどなぁ。兄さんもだが、そっちの獣魔たちも強そうだしな。」
「そうですね。とても頼りになりますよ。」
で、なんとなく切ってある果物(色んな種類がてんこ盛り)をお兄さんにお裾分け。
「あ?くれるのか?」
(コクリ)
「良いのか?」
「構いませんよ。」
「じゃあありがたく。」
「お嬢ちゃんありがとうな」
(コクリ)
「お、旨い。じゃあ、礼代わりにちょっとした情報でも」
「助かります。なぜこの辺りは魔物が少なくアホどもが多いのでしょうか?」
「魔物に関してはここら辺は元々少なかったんだ。最近だと盗賊連中が少ないのに狩ってるから余計に少なくなってるんだがな。あいつらの場合、俺等みたいな獲物がいないときの食料って感じだが。」
「なるほど・・」
「で、盗賊が多いのは、まぁ、さっきも言ったように魔物が少ないからここら辺を拠点にしてる奴らが多いって言うのもあるが、流星の里が出来てからそこを避けるように集まってるから余計にここら辺は多いんだ。」
「流星の里をなぜ避けるのでしょうか?」
「あぁ・・あそこにはあの地を守る一つの家族がいてな?そいつらがすっげぇ強いんだよ。おまけに、盗賊連中は1人残らず刈り尽くしてやるぜ!って感じで。まぁ、魔物もいれば残らず殲滅する気満々だったけど。」
「言い方を悪くすれば戦闘狂なのでしょうか?」
「否定はしないが、どっちかというと余計な虫がここに近づくなぁ!って感じか?」
「門番・・いや、守護者という言い方の方が良いのでしょうか?」
「そっちだろうな。てなわけで、盗賊どもにとっては究極の天敵がいるから避けてるし、通りすがりの俺等を狙った方が良いってわけだ。まぁ、やられる連中も結構多いからなぁ。俺等みたいに負けることがない強いのが少ない。」
「いくつかのグループを潰した後に他のグループにやられると言うパターンで?」
「そういうことだ。そちらさんも経験したんだろ?やけにまとめて襲って来たり、一定の間隔で襲って来たりとか」
「あぁ、ありましたね。・・まぁ、俺等が対処する前にリア様が自主的に先手必勝とばかりにとどめを刺してたので敵が強いかどうかが分かりませんでしたが」
「リア様?」
「あぁ・・こっちの幼女様です。」
「え?幼女様強いのか?」
「接近戦は見た目通りに弱いですが、遠距離戦・・と言いますか、魔法戦に関してはとんでもなく強いですよ。」
「へぇー。」
「魔力量がすごく多いなぁとは思ってたがすごいな幼女様。」
「じゃあ、そちらさんは流星の里を目指して?」
「そうですね。きれいな場所だと聞いているので見せてあげたいと思いまして。」
「それは良いな。中まで見せてくれることはほぼ皆無だが、入口から覗かせてはくれるし、あの地がどんなとこかの説明はしてくれるから、見れなくはないぜ?」
「中には入れないのですか?」
「何か、連中が言うにはあまりよそ者には立ち入らせたくない。流星姫であるお方が眠る地でもあるからなとさ。」
「全員ではなくとも、墓荒らしだの何だとと言う部分を警戒してと言うことでしょうか?」
「らしいぜ?俺等も納得したさ。流星姫って言えば魔法職の人間からすれば憧れの的だし、各地ではあの方に救われた連中も少なくないしな。そんなお方の墓だ。観光地どころじゃなくなるだろうから門前払いで正しいと思うぜ?」
「あのきれいな花畑とかが踏み荒らされたり観光地になるのはちょっとなぁ・・て思うしな。」
「なるほど。」
「にしても、幼女様はよく食べるなぁ・・だとしても、すごくおとなしいんだな?」
「だよな。俺の知り合いの幼女てか、同じくらいの年の子だったら場所なんて関係なしで走り回るし叫ぶしうっさいったらありゃしないぜ?」
「それに、きれいに食べるよなぁ・・同じく知り合いの子なんて食い方が汚いのなんのって。その子の母親が頭抱えてたし。」
「保護者がしっかりしてるので。それに、リア様は過去に色々あってしゃべれないのですよ。」
「そうか・・悪い。」
「いえ。本人は気にしてないので。」
「そうか。本人”は”なんだな?」
「えぇ、過去のことを聞けば誰もが過ぎたことで考えたくありませんよ。」
「おいおいおい・・・あえて聞かないけどさ、そんなんでよく素直で良い子に育ったな!?」
「俺もそう思いますよ。精神力がとんでもなく強いみたいです。普通の人間が同じ経験をすれば自殺してるか精神が壊れて植物人間になってるのはほぼ必須だったらしいですし。」
「マジかよ・・すげぇな・・・。」
「なので、今は、本人に生きたいと思って頂くように各地を回っていろんなものを見せて回っているんです。後は、リア様の両親がかつて何をしていたのかを見聞きする旅でもありますね。」
「へぇー・・・・・・・もしかして両親は・・。」
「母親は難産で・・父親は・・行方不明です。誰かもほとんど分かりません。」
「過去が暗すぎないか・・・おい・・。」
「なので、俺も含めて非常に過保護ですのでお気をつけ下さいね?」
「お、おう。」
ラウさんの笑顔は素敵でしたが目が笑ってませんでした。
ちなみにハディちゃんたちもです。
「それで、そちらの皆さんはどのような?」
「あぁ、俺等も流星の里を目指してるんだ。」
「同じ目的地だったのですね。どうりで、色々知っているわけです。」
「まぁな。と言っても定期的にお使いに行ってるようなモノなんだよ。」
「そうなんですか?」
「言ったろ?そこの連中はとにかく盗賊だの何だのを潰しまくってるって。」
「えぇ」
「だから、その分を俺等が回収して近くの町で換金して、それを届けてるんだ。報酬としてその一部をくれるってことでな。」
「信頼されているんですね。」
「ありがたい報酬だし、あの地は定期的でも見てたいからな。そのついでだと思えばメリットしかない。」
「なるほど。でしたら、そこまでご一緒しませんか?」
「良いのか?」
「えぇ。盗賊続きでリア様が色々とお疲れのようなので少しはおとなしく・・コホン、ゆっくりとして頂きたいので。」
「そうか・・もしかして、幼女様っておとなしくない?」
「一定条件を満たすと敵限定で暴走します。」
「あぁ・・把握した。是非協力しよう。」
「報酬と言ってはなんですが、これどうぞ」
「あ、良いのか?」
「その代わり色々と教えて頂ければ幸いです。それと、野営中もしっかり守りますよ。」
「じゃあ、ありがたく。・・っ!?ちょ!?」
「どうしましたか?」
「これ、クマもどきの毛皮じゃねぇかよ!しかも、何つぅ数を・・」
「以前、そいつらの群れに襲われて一掃したのですが、その時のあまりです。」
なんとなく残しておいたクマもどきの毛皮(8枚)です。
「てか、俺等にくれずとも売ればかなりの金額になっただろうに・・。良いのかよ。報酬にしてはデカすぎるぜ?」
「リア様には色んな経験をさせてあげたいのですよ。ですので、色んなことを教えたり見せてあげて下さい。」
「ホントに良いのか?」
「えぇ。あいにく困っていないので。ここに来るまでにかなりの数のアホどもを狩ってきたので。拠点らしき場所を5~6箇所ほど。」
「おいおい・・じゃあ、遠慮なく。」
「じゃあ、ちょっとの間になるがよろしく頼む。俺たちは”ブレインズホーク”だ。」
「よろしくお願いします。おそらく流星の里では長期間周辺にとどまることになると思うのでそこまでだと思います。俺たちは”ハリーファ”です。」
「そこに用事だったのか。了解。」
そうして、私たちはお兄さんたちと一緒に流星の里に行くことになりました。
その翌日から、ご飯も一緒で移動中はハディちゃんはお馬さんくらいの速さになりました。
理由は、お兄さんたちが馬車を持っていたので、それに並走する形になったからです。
「にしても、速いな」
「でしょう?ハディさんはとても頼りになる存在ですよ。」
「いや、そっちもだけど、お前さんもだよラウさん。」
「そうですか?」
「いやそうだろ。馬車と並走してるだけでも十分速いだろ。」
「あぁ。鍛えてるので。」
「あぁ、そう。それと、幼女様強すぎるだろ・・。」
「えぇ。ですので、リア様がゆっくり出来るようにして下さいと言ったでしょう?」
「・・・もしかして、幼女様が先手必勝をかます前にやれと?」
「本人はおとなしく守られている性格はしていないので。」
「何つぅ高難易度だ・・。いや、確かに接近戦は苦手なのは分かるぜ?けど、遠距離戦が得意ってレベルじゃないだろ。早すぎるし正確すぎるだろ。」
「結構な修羅場をくぐり抜けてきましたので。」
「あぁ・・なるほど。」
お兄さんたちが反応する前に私の体質が反応して、さっさと【射撃】して頭を打ち抜いてるので、お兄さんたちがうなだれてます。
おとなしくしてろと言われましても、体質が反応して条件反射として動いてるんですよね。つまりは無意識での行動ですので無理です♪
なので、後ろを着いていく感じで走る形になりました。
前が見えなきゃとりあえず大丈夫だろ的な感じで。
ちなみに馬車は3つで2つはお兄さんたちが、1つは荷物を入れて数人が一緒にって感じのようです。
と言っても、マジックバッグをいくつか持っているらしいのでそれでも収まらないかいざと言うときの空きを作ってるだけらしいですけど。
お兄さんたちは3割がナイフと、剣と槍。
4割は火と水と土の魔法使いさん。
残りが弓矢や投擲術って感じでした。
何気に他の人たちと旅をしたことがなかったのでこうした実戦を見るのは初めてかもしれません。
いや、騎士さんたちと一緒に依頼を受けたりはしたんですけど、基本的に接近戦メインのお兄さんたちでしたから遠距離攻撃というのが弓矢以外では、魔法ではほとんどなかったんですよね。
後、スタンピート戦とかでも一緒してましたけどそれどころじゃなかったですし。
「はぁ、お疲れさん。」
「お疲れ様です。」
「なんとなく分かってたけどさ・・ラウさんもだが全員強いよな。俺らは、一番上がBで、一番下がDなんだが・・そっちは?」
「俺がB、リア様がCですね。」
「一緒くらいだったのか・・いや、幼女様が意外とランク高くて驚いたが。」
「リア様自身の実績でもありますが、獣魔たちとの連携を含むとかなりのモノですから。」
「え?ラウさんの獣魔じゃなかったのか?」
「えぇ、全員幼女様の獣魔ですよ?」
「まじかぁ。優秀なんだな」
「世界に愛されてますから。」
「すっげぇ納得する。」
「そういえば、俺等の戦いをじっと見てたけどどうかしたか?幼女様」
・・ここでも、幼女様の呼び名が定着してしまいました。
私が見てたのは魔法で遠距離攻撃してるお兄さんたちです。
「ん?あぁ、リア様は自分以外の魔法での遠距離戦をほとんど見たことがなかったので気になるのでしょう。」
「そうだったか。そこまで得意ってわけじゃないが、このくらいは出来るぜ?」
そう言いながらお兄さんたちは、火の玉や水の球を宙に作りだしてくるくると動かしたり、地面を弄って地面の形を変えたりゴーレムを作ったり地面から土の弾丸を飛ばしたりして見せてくれました。
ほう。
他の属性の魔法ってこんな感じだったんですね。
「そういえば、幼女様の魔法ってどんなのなんだ?あまりにも早業でよく見えなくてさ。」
と言われたので、見せてあげました。
にょ~ん
お兄さんたち「・・・・」
(?)
「え?これ?」
(コクリ)
「実戦でやってたのとちょっと違うような気が・・・」
あぁ。
同じのが見たかったんですね。
地面から触手さんを数本伸ばして見せたら微妙な顔してたのはそういうことだったんですね。
で、今度は影の球体を上空にいくつか創り出す。
「これは・・闇属性か?」
「正しくは陰魔法です」
「え!?既に上位級!?」
「だとは思いますが、最初からだったので特殊形か上位系かの区別がつかないんですよ。」
「なるほどなぁ。珍しいタイプだし調べようにも俺等も見たことも聞いたこともないし。見た目的に闇っぽいと思った程度だし。」
「やはりそうですよね。」
「あぁ。けど、面白いなこれ。」
「プニプニしてる。」
面白そうに触ってるのでワザと硬くしてみる
「お!?硬くなった。」
「すげぇ。」
ついでに形を色々と変えてみるとお兄さんたちは楽しそうにしてくれました。
「すげぇ多芸だなこれ。」
「発想が面白いな。てかこれさ。ワザと触れない霧状とかにしたら面白そうじゃね?」
「どういうことだ?」
「だってさ、硬さは自由自在っぽいし、霧状ってか、俺の火みたいに実体を持たないタイプにすればちょっとした目くらましに使えそうじゃね?これで直接縛り上げたり目にくっつけても良いけどさ。霧状にした方が広範囲で出来るし。」
「あぁ!そういうことか。確かに面白そうだな。ここら一帯を黒い霧で覆って、混乱しているところを死角から狙い撃ち!」
「暗殺者っぽくてカッけぇ!」
「それに、逃げたりするときとか余計な争いをする前に相手を混乱させるのにも良いよな。」
「それは言えるな。町中でドンパチするわけにはいかないしちょうど良いかもな。」
なるほど。
確かに。
考えたことありませんでしたね。
じゃあと試しに出している影の球体を火をイメージして作ってみます。
「お?早速?」
「どれどれ・・温度はないな。そこは属性の違いでどうしようもないか」
「だな。で・・うん。実体はない。」
「湿気もない。」
「手で仰いでも飛んでいかない。お?すげぇなこれ。」
「霧をイメージしてても、その場にとどまるようにイメージすることで風とかで飛ばされないようにしてるのか、なるほど。賢いな。」
いえ。
そこまで考えてません、偶然です。
その場にとどまってる状態から硬さとかそういうのを変えただけなのでそうなっただけです。
けど、その場にとどまるようにイメージさせれば手で払ってもそのまま・・目くらましにすごく良いですね。
「これ、俺等の勉強にもなるな。」
「確かに。」
「で、今更だけどさ。幼女様左腕怪我してるのか?全く動かしてないけど」
「あぁ・・まだ動かせないんですよ。練習中なので。」
「練習?リハビリ?」
「いえ、触って頂いた方がわかりやすいかと」
「え?幼女様ちょっと失礼。・・あ」
「どうした?」
「これ、義手だったのか。触るまで気づかなかった。」
「マジで?」
「まじまじ。すげぇかてぇし。」
「よく出来てるな。」
「偶然暗殺者を潰したときに救った相手がやんごとなきお方だったのでお礼にと下さったモノなんですよ。」
「へぇ。で今はその義手を動かす練習中ってことだったのか。そんなに大変なのか?幼女様はすげぇ優秀だから意外。」
「えぇ、他の義手は知りませんが、これはかなりイメージが細かくなければ動かないらしいんです。魔力操作だけで全てをしなければならないらしいので。」
「・・・」
「全てって・・まさか、俺等が何気に動かしてるこの動き全部をイメージと魔力操作だけでやれってことじゃないよな?」
「そういうことらしいですよ?」
「それ、難易度高すぎるだろ・・義手ってそんなに大変だったのかよ。」
「いや、他のはそうでもないぞ?軽い魔力操作で動かせるのもあるし。」
「じゃあそれって、パチモンじゃないのか?」
「これ、かなり特別なモノで、リア様の成長に合わせてこれも姿形を変えるらしいんですよ。」
「それすげぇってレベルじゃねぇぞ。」
「そりゃあ、操作も大変になるか。幼女様頑張れ。」
「応援しか出来ないが頑張れ。」
(コクリ)
「しゃべれないからっていうのは知ってるが、クールだねぇ。」
「て言うより、モノの見事に無表情だな。」
「それも、過去の出来事で?」
「そういうことです。」
「ふぅん・・・・・・・なぁ、ラウさんや。」
「どうしましたか?」
「この幼女様の右腕に着いている腕輪が教会の腕輪に見えるんですが気のせいですかな?」
「気のせいじゃありませんよ?」
「しかもEXに見えるのも気のせいでしょうか?」
「それも気のせいじゃありませんよ?」
「・・・・」
「まさか・・」
「なんとなく知ってたけど・・やっぱりそうなのか。」
「この幼女様が神子様だったのか・・。」
「えぇ。お気になさらず」
全員「お気になさるよ!!」
「さらっと流せないだろそこは!!」
「本人はどうでも良さそうなのでお気になさらず。」
「おいおい・・」
「それでいいのかよ。」
「余計な人間が近寄らないようにするためのお守りくらいにしか思っていませんので。」
「幼女様さすがだな・・あ、神子様」
「改める必要はありませんよ」
「けどさ・・」
「それは周囲のメンツが勝手に呼び出しただけなので、それにそれで気にするような人間だったらとっくに矯正してますよ」
「あぁ、確かに。じゃあ、改めてよろしく幼女様」
(コクリ)
「とか言ってる間に、アレが流星の里だぜ?」
「おぉ。」
「聞いてた通りに街を囲う城壁に、中には1つだけの建物と草花が生い茂る場所だ・・。」
「な?まんまだろ?・・・今日も多いなぁ。」
「え?あぁ・・アレはいつも?」
「いつものことだ。そんな感じで俺等はしょっちゅうここと近くの町を行ったり来たりしてるんだ。」
入口の近くには山積みになった人と装備品。
私の体質が反応するから悪い人ですね。
けど、既にとどめを刺されてるから動く必要はないのでスルーしてますけど。
「なるほど。ここまでありがとうございました。」
「いやいや。こっちこそ礼を言いたい。色々と勉強になったし、まさか神子様である幼女様と一緒に旅が出来たなんてな。」
「全くだ。」
「またどこかで会ったら遊ぼうなー。」
(コクリ)
「相変わらずクールだなぁ。」
「そこが良いんじゃねぇか。」
「まぁな。じゃあな」
そう言ってお兄さんたちは去って行きました。
と言っても、食べ物とかお金とか色んなのをポストっぽいのの中に突っ込んでました。
見た目以上にいっぱい入ってたので設置型のマジックバッグのようです。
で、何かさらさらっと紙を書いたのを入れて、入口で山積みになってるのを回収して私たちに手を振ってから去って行きました。
もちろん手をふりかえしましたよ?
すごくうれしそうでした。
「さて、門前払いされるかどうかは分かりませんがとりあえず行ってみましょう。」
「だな。」
お兄さんたちが去って行くのを見送ってから私たちは流星の里の入口に近づきました。
そこには、どこか見たことのある人でも食べてそうな怖い顔のがたいの良いお兄さん。
それは、カルナとシャスティも同じらしく見たことがあるらしい。
どこで会ったんでしょうか?
「んー?すっごい記憶にあるのにどこで会ったか全く思い出せん。」
「にゃう(ずいぶん前だったのは記憶してますがどこだったのでしょうか・・)」
「リア様、知ってる方ですか?」
{見たことのある人なのですがどこだったか覚えてません。}
「あぁ・・なるほど。」
「そちらさんは家になんかようか?・・・・ん?ん!?」
そのお兄さんが私たちに声をかけた後、私を二度見した後、カルナとシャスティも同じく二度見してました。
「ぺ・・・」
ぺ?
「ぺ・・」
「ぺ?」
「ペチュニア様が幼女になって生き返ったぁ!!!!!」
いきなり私を見てそう叫ばれました。
・・・なぜ?