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偉そうじゃなくて偉い人でした

「・・・にしても、よく食べる幼女じゃな」

「栄養失調だった分が、体力などがついてきたこともあり一気に食欲が増えたようで・・・おまけに本人が食べるのが好きらしく」

「それで、アレか・・」

「えぇ・・将来的に大食いっ子になる可能性は否定出来ませんが・・まぁ、太ったりという心配は無いと思いますし、俺を含め、獣魔たちと共にそうはさせませんから」

「・・・まぁ、ほどほどにの?」

「はい」

「それと、あの年頃と考えると非常に物静かじゃな?それに、表情が硬いというか何と言うかのぉ・・」

「無口無表情がやはり気になりますか?」

「はっきりと言えばのぉ。あのくらいの子であれば、走り回ったり大声を上げたりとおとなしくさせる方が大変じゃとメイドたちを通じてよく聞くからのぉ。」

「おそらくはご存じかもしれませんが、リア様は過去のことが原因で喋ることが出来ないんです。今は、リハビリ中です。それと、無表情なのは感情を表に出すと言うことを知らずに、内面に押し込めることが当たり前だと自己防衛として覚えてしまい、それが当たり前になってしまったからなんです。」

「噂程度に聞いておったが、それほどまでにひどい扱いじゃったのか・・」

「えぇ・・ですが、無口でも無表情でも楽しそうにして下さってますし、あぁして素直に行動して下さるのはとてもうれしいです。」

「雰囲気はどことなく柔らかいからのぉ。今宵はゆるりと楽しんでくれ。」

「ありがとうございます。」


偉いおじいちゃんと団長さん、メイドさんや執事さんたちと共にご飯を食べてる私たちです。

今回は無礼講?と言うことで身分とかそういうのは一切無視して楽しく食べましょうと言うことでこうなったらしいです。



・・にしても、この偉そうなおじいちゃん何者なんでしょうか?

なんとなく、他の人たちは誰だか分かってるみたいですけどおじいちゃんが言わせないようにしているっぽい台詞がちょいちょい混じってますし。



んー

まぁ、気にしなくてもいいですね。

悪い人じゃないですし、特に問題ないでしょう。





「で・・あの者たちも楽しそうじゃのぉ・・・」

「あぁ・・気持ちは分かります。」

「確かにのぉ・・」




「お嬢様、こちらは喉に大変良いのですよ、あ~ん」

ぱくり

もぐもぐ

「こちらは少々見た目がアレですがおいしいですよ」

もぐもぐ

「その後にこちらを頂いて下さいな。相性が良いですわ」

もぐもぐ

「かわいい//」

「それに、この猫耳のような髪もとても愛らしいですわ//」

「素晴らしいですね。」

「それにしても、これほどお世話したくてたまらないのは国王様以来じゃないかしら?」

「そうねぇ。ですが、国王様に関しては憧れが強いですが、こちらは母性本能をくすぐられるといった方が正しいのでは?」

「そちらの方が強いですわね。」

「それに、こんなにかわいくておとなしくて礼儀正しい。・・お嬢様ほど構いたくて仕方が無いと思うのはそうそうないわ。」

「わかるわぁ・・・何なのかしらこの気持ち・・母性本能とは少々異なるような・・その・・溢れんばかりのこの気持ち」

「確か異世界人がおっしゃるには、萌えというモノじゃなかったかしら?」

「萌え?・・とは?」

「かわいいモノが好き、獣人の猫耳をもふりたくなる、母性本能のようなモノがくすぐられる、構ってあげたくも、お世話してあげたくもなる。ずっとそばで愛でていたくなる・・こんな気持ちのことを総称してそう言うらしいわ。」

「すっっっごい分かるわ。」

「今ならすごく分かりますわね。」


ちなみにメイドさんたちは、無礼講と言う言葉をしっかりと受け入れ、私を順番に膝にのせて愛でつつあ~んをローテーションしている状態です。

で、そんな光景をおじいちゃんやラウさんたちはほっこりとした表情だったり微妙に呆れた表情だったりしています。



「それにしてもお嬢様は、よくお召し上がりになるわね。」

「ムリはしていないような感じは全くありませんし」

「えぇ。」

「私もそう思いましたわ。」

「お嬢様、ムリはせずに遠慮なくおっしゃって下さいね?」

(コクリ)

「それにしても静かですわね。」

「騎士たちもモリオン様も一切声を聞いたことがないと伺いましたわ。」

-リアは、しゃべれないからね-。今はリハビリ中-

「あ、翠様。そうでしたの?」

私を愛でつつも普通に翠ちゃんも愛でながら餌付けしてるメイドさんたちです。

初めは驚いてましたけど、あっさりと納得して私共々愛でてます。

-様付けはしなくて良いよ。-

「かしこまりましたわ。翠さん。」

-まぁ、いいや。リアは、カタクリって町の神父さんに喉を治してもらったんだよ。でも、しゃべるための筋力とかは皆無だからムリさせない程度にリハビリ中ってわけ。-

「そうでしたの・・さすがカタクリの神父様ですわ。」

-あの町の神父さんは有名人なんだね?-

「えぇ、回復魔法や治癒魔法に関して言えば世界的にもかなりの上位ランクのお方ですから。」

-へぇ~-

「あ、翠さん。質問をよろしいですか?」

-いいよーなに?-

「お嬢様が好んで食べるモノって何ですか?ただの好奇心ですの。」

-好き嫌いはなくどれも色々食べてるけど、定期的によく食べてるって言うなら、シャスティが作るお団子かなぁ?-

「シャスティ様・・あのお連れの猫様でしたよね?」

-そーだよ?-

「噂程度に伺ったことはありましたが噂以上に器用なのですね。」

「その方が作るお団子ですか・・どんなモノか少々気になりますわ。」

-食べる?-

「あるのですか!?」

-定期的にまとめて作ってるし、それを私が保管してるから。いっぱいあるよ?-

「頂いてもよろしいですか?」

-どうぞ-

「ありがとうございます・・・見た感じは草団子ですわね。」

「匂いもそれに近いですわ。」

「では、とりあえず頂きましょう。」

メイドさんたちが頷いて私の近くにいた人たち全員がぱくりと食べる。


「んー。すごく不思議な味ですわね。」

「しいて言うなら、果物のジュースとお野菜のジュースをほどよいバランスでブレンドした味ですわね。」

「それが一番近いですね。」

「私はこれ・・好きかも」

「実際はどうなのでしょうか?」

-ざっくり言うと薬草とか山菜とか野菜とか果物とかを栄養バランスと味を考えつつシャスティが独自にブレンドして作り上げた栄養剤代わりのお団子だよ。元々は、過去に色々あってほとんど口に出来ないくらい小食で栄養が足りてないリアのために食べやすいようにって作ってあげてたんだよ。今は、習慣みたいな感じになってるけど。-

「確かに、小食で出来る限り栄養をとってもらおうと考えたのだとすればこれは最も効率的ですわ。」

「それに、味もとても食べやすい。」

「やり方次第では、料理の一部としてそのまま使っても良い味を出しそうですわね。」

「ちなみに・・レシピなどはおわかりになりますか?」

-と言うよりも、味とかでハズレのない薬草をメインに野菜や果物で味を整えた感じだからきちんとしたのはないらしいよ?-

「なるほど・・聞いた私も私なのですが、あっさりと教えて下さってよろしかったのでしょうか?」

-特に秘密にしてるわけでもないし、これで儲けたりとかそんなこと考えてないし。それに、悪用する気も儲けるつもりもないんでしょう?-

「当然ですわ。常日頃から国民のために頑張って下さっている陛下の為に料理の一部として使わせて頂ければと思っていただけですのでこの城の中以外では話すつもりもございません。」

-ふーん。良いんじゃない?後は、そっちで研究すればもっと良いのが出来るんだろうし、専門の人たちにまかせれば良いと思うよ?わざわざブレンドする中身まで同じにする必要は無いんだしその方が良いでしょ?プロなんだし-

「ありがとうございますわ。」

-ほどほどにねー-

その後は、何事もなかったかのようにお腹いっぱい食べさせてもらいました。









「本日は本当にごちそうさまでした。」

「気にするでない。儂らも楽しかったし、彼女たちもリラックス出来る良い機会だったしのぉ。」

「そう言って頂ければ幸いです。」


「申し訳ありません!失礼致します!!」

「なんじゃい。後にせんかい。お客さんを送ってるところじゃ」

「申し訳ありません!ですが、大至急の案件がありましたので・・」

「一分一秒を争うほどかのぉ?」

「はい・・申し訳ありません。」

「はぁ・・まぁ良い。なんじゃい。」

「囚人どもが脱走しました!」

「アホか!!!何をすればそうなるんじゃ!!!」

「はっ!どうやら囚人の内の1人が脱走するためのワザをつい先ほど思い出したらしく・・・その・・対処する前に脱走しました」

「思い出した・・・そやつはアホか?」

「否定しません・・と言うより、ずっとそのワザを発動させるための準備を密かにしていたようです。」

「魔力などを封印するための枷はつけていたはずじゃが?」

「体内に魔道具を仕込んでいたらしく・・」

「はぁ・・なぜ気づかれなかったのじゃ。」

「それが、裏ルートで仕入れたモノだったようで感知されづらいモノだったようです。」

「はぁーーーーーーーーーーー。今後そのようなことがないようしっかりと強化をしておくのじゃぞ?」

「はっ。人も道具もそのようなことが今後起らないように致します。」

「さて・・お嬢さんたちすまないのぉ。このアホが堂々と喋ってしまったせいで思いっきり国の恥を暴露し、聞かせてしまって・・。」

と、その騎士さんの頭をぺしぺしと叩きながら申し訳なさそうにするおじいちゃん。

「あぁ・・よろしければ手伝いましょうか?」

「いいのか?」

「えぇ。幸いなことに俺も獣魔たちもそういうのは得意なジャンルですので。」

「それは助かる。報酬はしっかりと弾ませてもらおう。モリオン」

「はっ!」

「急ぎ騎士団の連中を召集し、対処させよ。暗部には既に対処させてはいるが漏れの可能性がある。魔術師団には既にこの城の敷地内全体に結界を張らせた故、城から逃げられることはないが、2日も3日も長続きはせぬ。」

「かしこまりました。失礼致します。」

団長さんがドレスの格好のまま颯爽と去って行った。



・・・あの格好で大丈夫かな?

ちょっと動くのが大変そうだったけど・・それと、おっぱいがぽよんぽよん弾んでて大変そうでした。

騎士服はある程度ぽよんぽよん揺れないように仕掛け?があるらしいです。

・・メイドさんたちが嬉々として寄せて集めて?して盛りに盛ってましたしねぇ・・。


まぁ、団長さん強いですし大丈夫でしょう。


「では、お嬢さんは安全な場所で待機させるようにしよ・・・・う?」

「そうですn・・・・・・・」

どうして、おじいちゃんとラウさんが途中で固まったかというと、私がとある方向をじーっと見つめたまま一切視線を逸らさなかったからです。


「リア様?そこには何もありませんよ?」

私が見つめる場所は壁

正しくは部屋の角っこの柱


何ででしょうね?

なぜか、そこから私の中の何かがムズムズさせるナニカがある気がするんですよね。



「む?お嬢さんの瞳に魔方陣が?初めて見る現象じゃな・・。」

「え?なぜに?リア様?何に反応してるんですか!?」

「アレは何じゃ?」

「えぇっと・・・しいて言うならリア様が精神的に高ぶってるときに出てきます。」

「・・柱を見て高ぶってる幼女にワシはどうリアクションすれば良いんじゃ?」

「・・・・・スルーでとりあえずお願いします・・様子見で」

「う、うむ。そ、そうじゃな。」


{シャスティ、どう思いますか?}

「にゃう(なんとなくですがリア様と同じ意見です)」

なるほど。

シャスティもそう言ってるならこの勘も間違っていないってことですね。


とりあえず私は影を球体にして宙に十数個ほど呼び出し、その柱を全方位から思いっきり【射撃】する。

すると、その柱はヒビだらけになったり、べっこべこにへこんだりした。

そこで、シャスティが素速く柱に近づき、尻尾で思いっきり横薙ぎ




「がはっ!!ぐえっ!」



「なっ!?」

「柱から人が!?」


そうです。

柱の中に誰か隠れてたんです。

で、私の体質である悪心撃滅・・これが反応する人だったんです。

それで、シャスティに一応聞いたら人の気配がするって言ってくれました。


なので、とりあえずその人の周囲を固めている壁の破壊のついでに中の人をボコボコに出来ればなぁって感じで足下から頭辺りまでと思われる範囲を広範囲で攻撃して、中の人がひるむか良い感じにダメージを食らっているところでシャスティが尻尾で横薙ぎにべしん!とはじき飛ばして柱から強制的に放り出す。

そこで、逃げられないように空気を読んだハディちゃんが尻尾で転がってきたその人を上から下に死なない程度にたたきつぶしてそのまま尻尾を乗っけたまま捕獲。


って感じです。


で、それから翠ちゃんがその人の身ぐるみを全て【溶解】して溶かして(パンツは一応残してるみたいです)、メイドさんたちが縄を持ってきてからぐるぐる巻きに縛り上げて完了です。

コルセット?って言うのを付けるのになれてるらしく縛り上げるのになれてるみたいでした。

・・そんなにきついくらい締めるの?

ぐえってなるレベル超えてるような気がしますよ?



とりあえず、気にしません。


「えぇっと・・お嬢ちゃん・・其奴は悪者かな?」

(コクリ)

「ラウ殿・・・状況を教えてはもらえぬか?後、悪者という証拠などがあれば・・」

「あぁ・・ベルさん、俺が説明するよ。」

「カルナ殿・・じゃったかな?」

「あぁ。端的に言うとリアは悪者が近くにいるととにかく撃滅したくなる体質なんだ。」

「む?・・つまりは、その柱の中に潜んでいた悪者に悪者をボコりたくなる体質が反応したお嬢ちゃんが偶然いた・・結果がこれ・・・と言うことかの?」

「そういうことだな。」

「我々にとっては運が良かった程度じゃが、其奴からすれば運がなかったのぉ。」


「ぐっ・・くそ・・なんでバレたんだよ・・」

「起きたか。」

「ちっ・・もうちょっとで計画は上手くいったってところだったのに。」

「その計画とやらを教えてはもらえぬかな?」

「けっ!誰が教えるかよ!」


イラッ♪


私はおもむろに触手さんを呼び出しそいつを縛り上げる。

「うぐっ!!・・その程度で屈するかよ」


徐々に力を強める。

ちなみにそいつの背中側に私がいるのでそいつからは幼女である私が縛っているとは分かっていません。

「ぐっ・・くっ・・!」

次に縄をワザとほどいて両手両足を大の字になるようにそれぞれの触手さんで引っ張る。

力は当然徐々に力を強める。



確か、こういうお仕置きがあったとか誰かが言ってたような?

まぁ、どうでもいいですね。



「だ、誰が教・・えるか!」


で、頑張って耐えてるその人の元にシャスティがぽてぽてと近づく。

そして、ちょこんとお座りする。

場所はちょうど両足の間


「な、何・・だ?」

真上を向いてる状態なのでかろうじて宙をふりふりしているシャスティの尻尾が見えてる程度。

その尻尾は徐々に振う速度が速くなっていき、とある場所に近づいていく。


するとなぜかその人は顔を青ざめていく。

「ま、待ってくれ!な?猫ちゃん!?な!?」

するとシャスティはぴょんとその人のお腹の上にジャンプして真正面からお顔を見ながらかわいくにゃーんと鳴いてから



おもむろに尻尾を上にかざした後










思いっきり”おまた”に向かって振りかざした。

それはもう何度も何度も。


そして、振りかざされるたびにその人の悲鳴は響き、近くにいた男性陣は全員内股になりながら顔を青ざめ涙目になっていく。





それから、とどめとばかりにそれはもう最後は全力!って感じでシャスティの尻尾がオマタを狙い撃ちして

「アッーーーーーーーーーー!!!!!!」
















それからその人はそれはそれは素直に喋ってくれました。

メイドさんにオマタにぶら下がってるのをにぎにぎされてる状態で左右と後ろからもメイドさんに捕獲された状態で。

男性ならうらやましい光景らしいけど、オマタはにぎにぎと言うよりも、握りつぶしましょうか?と目が笑ってない状態でにぎにぎしてましたし、両腕も関節が決まってる?らしい(翠ちゃん談)状態だったので、その人はずっとお顔を青白くしてぷるぷるしてました。

興奮?は、する以前の問題だったらしいです・・よく分からないですけど。

私、それないですし。



どうやら、この人幻覚を見せると言いますか、そんな感じの魔法が限定的ではあるらしいけど使えるらしくそれをさっき大声で今回のことを暴露してた騎士さんにその魔法をかけて囚人が脱走したーと思わせていたらしいです。

なので、誰1人として脱走はしていなかったらしいです。

まずこの人は、たくさんのお金を払えばどんなことでもしてくれる悪い人らしいです。

で計画では、騎士さんに囚人が脱走したと叫ばせてお城の中を混乱させ、お城の敷地内全体にかけている結界の効果が切れて脱走した人たちが見つからなかったりともっと大騒ぎしている隙を見て囚人たちを野に放とうとしてたらしいです。

それと、どさくさに紛れて王様を殺そうとしてたんだって。



それで、他に協力者はいないらしくこの人1人だけらしいです。

元々1人で動き回る人だったらしいです。







それからその人は、通信用の魔道具で事情を把握した団長さんの部下である騎士さんたちに引きずられていきました。

ちなみに余談ですけど、あの格好で颯爽と駆けていった団長さんですが、騎士さんたちは軒並み鼻から赤いのを噴き出して親指立ててぐっじょぶ?っていうのをされたらしいです。


・・その場で殴り飛ばさなかった理由は囚人たちを捕まえないといけないからという理由で、事情を把握して落ち着いたところで改めて騎士さんたちは殴り飛ばされたとだけ言っておきます。




で、そんなごたごたもあったので、念には念を入れて私たちはお城でお泊まりすることになりました。



その翌日

朝ご飯をメイドさんたちから頂いた後、おじいちゃんに呼ばれてやってきました。

場所は、謁見の間?っていう王様とお話しするための広ーいお部屋。

その王様が座る場所におじいちゃんが座ってる。


「改めて礼を言おう。お嬢ちゃんたちがいなければワシは死に、この国は大混乱になっていたであろう。助かった。ありがとう」

おじいちゃんが死ぬところだった?


・・あの捕まった人は、殺す予定だったのは王様だって言ってましたよ?


て・・まさか?

「やはりベル様は国王様だったんですね?」

「そういうことじゃ。国王としてではなく、1人のじじいとしてお主たちとは仲良くしたかったからのぉ。」

楽しそうに笑うおじいちゃん・・・王様でした。

偉そうな人じゃなくて、偉い人でした。





「で、結論から言うと昨日お嬢ちゃんたちによって捕まったあやつは、どこぞの裏の組織の暗殺者だったようじゃ。いろいろを情報を搾り取った結果、其奴の組織の拠点をいくつか判明し、上位ランクの冒険者や他国の騎士たちを含めた者たちと連携し、潰すことになった。」

「そのようなことを我々に伝えてもよろしかったのでしょうか?」

「構わぬ。おぬしたちのおかげじゃからな。それとこの件に関しては、お嬢ちゃんたちに参加を希望する気はない。これは儂らの問題故な。」

「かしこまりました。」

「それで、対した礼にはならぬが報酬を渡そう。」


金貨が5枚と・・・・・・・・・



「あの・・・これは?」

「腕じゃ。」

「・・・・詳しくお願いします。」

腕と言うには、とてもわかりにくかったです。

関節?らしき曲がる箇所が2箇所ある木の棒です。

指?らしきところもない状態の。

「これは元々、聖木せいぼくと呼ばれる、聖なる魔力を帯びた木で出来た義手なんじゃ。それにこれは、少々特殊でな。」

「特殊?」

「うむ。これは、使う相手を選ぶのじゃ。」

「世間的に言うところの魔剣などと契約するアレにちかいモノと認識しても?」

「それで構わぬ。まぁ、選ばれねば触れられないだけなんじゃが、お嬢ちゃんであればいけそうな気がするのじゃ。試すようで申し訳ないが、選ばれたときは使ってはくれぬか?」

「とても貴重なモノなのでは?」

「ワシの祖先から引き継ぐモノじゃが、同時にふさわしい相手に渡せとも言われておる。これまでは誰もピンと来る相手がいなかったのじゃ。」


「それはありがたいのですが少々質問をよろしいですか?」

「構わぬよ?なんじゃ?」

「リア様はこれから成長します。・・そうなるとサイズが合わないのでは?・・と言うより腕として使えるのでしょうか?」

指ないし・・とつぶやくラウさん。

「それがこの聖木せいぼくの義手の不思議なところでな?話しによると契約が成功するとこれに宿る魔力は契約者と一体化し、契約者にふさわしき姿へと変化するらしいのじゃ。その分、完璧に扱えるようになるまで努力が必要らしいのじゃが。」

「なるほど・・装備する相手のサイズに自動調整される防具と同じようなモノ・・もしくは、それ以上のものと言うことなんですね?」

「そういうことじゃ・・どうじゃ?お嬢ちゃん・・いや、流星姫の娘よ。」

「っ!?」

「なぜそれを知っているのでしょうか?」

ラウさんがすっごい鋭い視線でおじいちゃんを睨む。

同時に、そばで控えていた騎士さんやメイドさんたち(団長さんもいます)はすごくびっくりした顔になっています。

「ワシは、元々流星姫・・いや、ペチュニア殿のことを知っておるのじゃよ。それに、エトワールの名であるファミリーネームは世間ではあまり知られてはおらぬがペチュニア殿だけに許された名じゃ。」

「ペチュニア様をご存じだったのですか?」

「本人は知らぬかもしれんが、彼女の行動によってワシも救われたことがあるのじゃよ。」

「え?」

「昔、この城に使える多くのメイドたちが卑怯な手で捕まり奴隷として売り渡されそうになっておった・・からの」

「もしや、ペチュニア様が大陸全土を大騒ぎさせた奴隷解放のあの大暴走のときに?」

「まぁの・・彼女たちの代表としてずっと礼をしたかった・・じゃが、彼女は突然姿を消した・・彼女の正体を知ったときには既に彼女は亡くなったと噂で聞いていたからの・・・」

「それを経由してリア様のことを知ったのですね?」

「そういうことじゃ。元々騎士たちの訓練の後に礼の1つとして食事に呼んだのも少しでも彼女の娘さんであるフリージア殿にお礼をしたかった・・それに、本当にそっくりじゃった。遠くから見てもすぐに分かる・・フリージア殿は間違いなく彼女の・・・流星姫の娘じゃ。性格は真逆かもしれぬ・・じゃが、たたずまいにその容姿・・魔法の才能・・何もかもそっくりじゃ・・代わりに礼を受け取って欲しい・・ワシを助けてくれてありがとう。」

本当にうれしそうに・・そしてさみしそうにしているおじいちゃんに私は近くに行き、抱きしめ、

「お母さん・・代わり・・ありがとう・・・・おじいちゃん」



耳元で言っても聞こえなかったかもしれないほど小さな声だったけど頑張って伝えました。

すると、すごく泣きそうな顔でうれしそうに抱きしめてくれました。







そして私は、その義手を受け取ることにしました。


契約出来るか分からないけど。


どうすればいいのかわからないのでとりあえず指でつついてみます。

つんつん


・・木ですね。



つんつん





んー


握ってみる


にぎにぎ



やっぱり木ですね。





「・・・フリージア殿・・魔力を流してはもらえぬだろうか?」

なぜか口元を抑えてプルプルしているおじいちゃん・・じゃなくて王様。

メイドさんたちはなぜか互いに体を支え合ってる状態で足腰に力が入らない!って感じでお顔が赤くなってますし、騎士さんや団長さんたちはなぜか幸せそう。



・・・?



まぁ、気にしないでいいですね。

言われた通り魔力を流してみる。


すると、この木の中に内包されている魔力と私の魔力が混ざり合っていく。

そして、どんどん魔力を流し込み続けると次第に内包されていた魔力は私の魔力と一体化して私の魔力に染まったようです。


それから、ふわりと浮かび上がったかと思うと、私の左肩にぴたりとくっつく。

そして、グネグネとうごめきながら形が変わっていく。



最終的に私の腕と指に関節部分・・何もかもが同じ私の左腕になりました。

色や見た目、触った感じも全て木ですし、そのままですが形はかつての私の左腕と全く同じ。


右手でその腕を触ると触れられている感覚は当然無いです。

けど、しっかりとくっついている・・と言うより、一体化してるので継ぎ目は一切ないです。


普通に左腕を動かす感覚で使おうとしても動きませんけど。


ちなみに翠ちゃんは空気を読んで肩の上に移動してました。


「おぉ・・見事じゃ。」

「リア様、おめでとうございます」


「リア。動かせるか?」

(フルフル)

「そうなのか?なぁ、ベルさん。動かないらしいんだが?」

「あぁ・・普通の腕を動かすのと少々異なるんじゃよ。・・その方法を授ける故しばらくこの城に滞在してもらえぬだろうか?」

「ご迷惑でないのでしたら是非よろしくお願い致します。」


私は、義手の扱い方を学ぶため、しばらくこのお城で過ごすことになったみたいです。


しばらくよろしくお願いしますね?

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