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閑話-クランメンバー-

--ダン--

・・おう。


クラン:ポレール・ジュレを設立させた、パーティ:ヴァニタスリーダーだ。


イリス様の元で特訓とギルドで依頼を受けまくってる日々を送っている。

そのおかげで、実力もかなり上がったし、ギルドランクも全員めでたくAランクにまで昇格した。


治安維持活動に積極的というのもあるが、イリス様からの実技試験のような扱いで結構難易度の高い依頼を何度かこなしたり、騎士たちに混じって巡回や、やっかいごとの対処など色んなことをしていたこともある。

それと、他の冒険者連中ともそれなりに仲良くやれていることも原因だ。

ギルドの連中が言うには、他の冒険者たちのいざこざの仲介をしたりすることが多々あったことに加え、それらが欲などもなくただ単にやっかいごとを抑える為だけだったという善意のみの行動というのがポイントが高いらしい。


それはさておき

「なぁ・・アン」

「どうしましたか?ダンさん。」

「確かにさ・・クランは設立させたし、フリージアのためってこともあるから色々頑張ったしさ、イリス様にも協力してもらって他にもメンバーを集めたし、実力も結構上がってるから良い方向に向いてると自分でも思うんだ。」

「そうですね。ダンさんは頑張ってますよ。皆さんから頼りにされてるじゃないですか。他の冒険者の方々は特に相談を受けたり依頼の手伝いを頼まれたりされてるんですから。」

「ありがとう・・けどさ・・なんで、このクランはこんな・・・・色ものばかりになったんだろうなぁ・・」

「そ、それはぁ・・・ふ、フリージアちゃんを楽しませるためってことですよきっと!!ね?」

「あぁ・・・そうだよな・・悪い連中じゃないし、実力も確か。イリス様が認める人格者。おまけに・・・うん。」

「あはは・・毎日が楽しいって良いことだと思いますよ?」

「ありがとう・・元気出た。」

「このくらいのことは当然ですよ。か、彼女なんですから//」

照れながらも俺のことを慰めてくれるアンにすごく和んだので頭を撫でる。




で、何を悩んでるかというと、クランのメンバーだ。


まず、クラン:ポレール・ジュレ

リーダーは空席

サブリーダーは、俺。

サブリーダーは、場合によっては変わる可能性があるが今は俺ってことだ。

そして、パーティ:ヴァニタス

アン、リリ、ゼル

パーティ未所属:アリス


そこに、新たにメンバーが追加された。




やってきたのは、数日前。

彼らは、世界をあちこち回りながら彼らの技によって周囲を魅了し、お金を稼ぎ、そのお金を孤児院など恵まれない子供たちへ寄付するという活動をしているらしい。


パーティ:シルク

リーダー:ピエロ(男性)

メンバー

ルート(男性)

ディオン(男性)

ハル(女性)



メンバーはそれぞれ自身の名前に近い楽器を扱っているらしく、

ルート(男性):フルート

ディオン(男性):アコーディオン

ハル(女性):ハープ

という感じらしい




大雑把に彼らの紹介をしておく。

リーダーのピエロは、鼻からおでこまである真っ白なお面をつけており、そのお面には頬辺りの位置に星と雫の形の模様が描かれている程度だ。

それ以外は、灰色の短髪で、緑をベースにした服を身につけており、所々に丸や三角四角、星形に雫型、肉球マークと色んな小さな模様が色んな色で全身に散らばったように描かれている。

何と言うか、道化師らしいと言えばらしい格好な気がする。


ルート(男性)は、クリーム色の髪をした若干小柄で優しい雰囲気だ。

ディオン(男性)は、藤色の髪をした少々がっちりとした体格で、少々威圧感のある雰囲気を醸しているがとても気が利く奴だ。

ハル(女性)は、ピンク色の肩辺りまである髪で、おしとやかと言うか穏やかな容姿と性格をしているが、胸はおしとやかではなく、Dとなかなか自己主張している。

まぁ・・アンもリリもそれと同レベルかそれ以上の代物を持ってるからなんとも言いにくいが。





彼らは、さっきも言ったようにあちこちで技を披露している。

その技というのがこの楽器とピエロだ。

ピエロが技を演出し、メンバーがそれぞれの楽器を使って魔法を発動させつつ演奏をする。

彼らは、楽器を使って戦うんだ。

音撃を中心とした感じだが、ハープだと魔法の矢を弓矢のように奏ながら飛ばしたりしている。

音によってメンバーを魔法的な補助をしたり、相手の意思を翻弄させたりと結構多才だ。

で、その中でピエロはすごいの一言だ。

本人曰く、岩にヒビを入れる程度の威力以上の魔法は出せないらしいが、火、水、土、雷、風はどの魔法も扱えるらしい。

おまけに、幻覚を見せたり、天井でも水上でも平気で走ったり出来るようだ。

確かに1つ1つの威力は対して強くないが、その種類の多さもアリ、かなりの多芸だ。

おまけに、料理も旨く、アンも暇があれば料理を教わってたりする。



何気にピエロの顔を見たいんだが、見せないらしい。

なぜと聞くと、色んな意味で騒動になる故に避けたいんだと。

特に犯罪を犯したわけでも良い意味でやらかしたわけでもないらしいが、素顔は周囲が大変面倒くさいことになるから避けているんだとのこと。

後は、素顔を見られるのは恥ずかしいらしい。

かなり気が使えるし、性格イケメンだからモテると思うんだがなぁ。

それに、見た目で接し方が変わるような連中はここには集まらないしな。


ちなみに、結構な頻度でアンが料理を教わってるわけだが、ピエロからもアンを狙ったりはしないから安心してくれと言われた。

おまけに、アンもピエロから料理を教わった後は、必ず浮気じゃないですからーとすごい必死に説得してた。

・・最初から疑ってないからあまり気にしなくてもいいんだがとは思うが、他の男と仲良くされると若干もやもやするのは確かだ・・それに、そうやって俺のことを思ってくれてるんだと分かってうれしくもある。

まぁ・・そう言う日は大抵、夜は、アンに性的に襲われるんだが。


・・・初夜のあの日は、俺からだったが(アンが誘ったのはさておき)、それ以降はアンが俺を襲うということが増えた。

増えたと言うより7割くらいの確率でアンから襲われる。


まぁ、それはさておき。




何かと彼らは、色々と面白い。

町をうろつくときも楽器の練習らしくうろちょろしながら演奏してたりする。

そのため、町の連中からは楽劇団でも始めたのか?と言われる始末。

ピエロが色々とワザを披露してたりするから余計にそう思われるんだが、本人たちも周囲のメンツも楽しそうだし、そうやってもらったおひねりは毎回孤児院へ渡されてるっぽいし、特に気にしなくてもいいか。






「へぇー、じゃあピエロさんは、フリージアちゃんと一緒にこの大陸に来たんだ?」

「えぇ、出会いは偶然でしたが大変ありがたい縁に恵まれました。」

「けど、この国まですっごい離れてるけど、日にち的にたどり着いてるのおかしくない?」

「パーティメンバーとは、この国で合流することになってましたし、私自身は言わば俊敏極ぶり状態ですから。素早さには自身があります。」

「そういえば、ピエロさんってすっごい速かったね。」

「魔法の威力が弱いですので、素速く死角からやるしかないので。」

「だとしてもすごいと思うけどなぁ。それだけの種類の属性を扱えるんだから。」

「大変ありがたい言葉ですね。」

「そういえば、サブリーダー。」

「なんだ?」

「イリス様からの依頼って何だったんですか?」

「依頼と言うよりお使いだな。」

「何それ?」

「まず、予定では数時間もしないうちにその団体さんがこの国に来るらしいが、言葉が種族的に通じないからピエロの出番ってことらしい。」

「ピエロさんが?」

「えぇ、人ではないらしいので。」

「人じゃないって・・何なの?」

「さぁ?」

「だが、イリス様が言うにはフリージアからのお願いと、ラウさんからの依頼らしいぞ?」

「フリージアちゃんの?」

「どうも、彼らは穏やかに過ごす場所が欲しかったらしい、で、本人たちからとれる素材を提供してくれるのと同時に、本人たちの能力を状況に合わせて使っても構わないと言うことを条件に安全な土地が欲しいってことらしい。」

「あ、それがあの城壁を拡張した壁に囲まれた牧場みたいなところ?」

「らしい。」

「へぇー。」

「フリージアちゃんって噂でしか聞いたことないけど、どんな子だったの?ピエロ。」

「大変素直で一生懸命で獣魔の家族にお世話されてる大変かわいいお方ですよ。」

「え?」

「獣魔”を”お世話じゃなくて?」

「えぇ、獣魔”に”お世話されてます。」

「えぇ・・」

「ピエロの言うとおりだ。」

「サブリーダー?」

「前にも言っただろう?フリージアの保護者は、獣魔だって。」

「その後もメンバーが増えたらしいけど、ほとんど兄妹のような仲らしいし。」

「それに、フリージアちゃんの場合はそれで納得しちゃうんですよねぇ。」

「そういうものなの?」

「あの子に対してはそう言うモノ。」

「それと、教会のみんながあれ以上のかわいい生き物はいないと断言出来るほどかわいいの?」

「それはもちろん!!アレは、かわいい以外の何物でもない!!」

「あぁ・・言わばイリス様レベルでかわいいってことだ。イリス様は性別不明レベルだが、フリージアは、女の子としての方面特化だからある意味ではそれ以上かもしれん。」

「なるほど・・あれ以上・・ゴクリ。」

「ちなみに言うと、フリージア様の笑顔は大変破壊力があります。直視した人はあまりのかわいさに気絶し、チラッとでも拝めば膝を折り、鼻から赤い熱意を噴き出すほどです。」

「マジか・・そんなレベルかよ・・。」

「見たい!超みたい!!それで出血死しても構わないから見たい!!キャー!!」

「リリは落ち着け・・」

「コホン。で、そんな彼らの通訳としてピエロが抜粋された。」

「なんで、ピエロさんそんな謎種族と会話が出来るの?」

「なぜと言われましても、生まれつき大抵の動物などの言葉が分かるだけですが?」

「ピエロさんだしなぁ。」

「それで納得するのか?」

「うん。私たち、ピエロさんと言わばお兄ちゃんみたいなモノだし。」

「俺等、3人は幼なじみで、そんな俺たちの面倒を見てくれたのが兄貴分でもあるピエロさんなんだよ。」

「なるほどな。」



今俺たちは、イリス様からとある依頼を頼まれ、城壁の外側で待機している状態だ。

イリス様からは、「30頭くらい来るらしいから。」

としか言われていない。

どこか楽しそうにほほえんでたから何か悪戯か何か考えてるのだろうか?

と言うより、何かを試すような感じか?


まぁ、何が来てもきちんと対処しよう。





で、待っている間、シルクのメンバーは演奏をしてるので路上ライブのようなことになり、順番待ちしているメンツからは歓声が上がっており、時折おひねりが飛んでいる。








「ん?」

「リリどうした?」

「いや、何か地響きが・・」

「え?・・ん?確かに・・てか、何か近づいてるような感じ?」

「ゼルもやっぱり感じる?」

「言われてようやくって感じだけどな。」


リリとゼルとそんなことを言っているうちに俺もようやくその地響きに気づいた。

と言うよりこの地響きは・・

「何かがこっちに近づいてるような感じでしょうか?」

「やっぱりそう思う?」

「あの、ダンさん。」

「ピエロどうした?」

「向こうから白くて巨大な何かが見えるのですが、気のせいでしょうか?」

「え?・・・・・確かに」

言われた方を見ると確かに白くてデカい何かの大群が迫っていた。

そいつらが近づくのに合わせて地響きも大きくなっている。


・・つまりアレが原因か。


てか、何だあれ?


「あれ、もしかしてスリープシープじゃないですか?」

「言われて見れば確かにそうかも・・」

「あんなに爆走してるって、誰か追ってるのかな?」

「そんな人影とかはないぞ?」

「それよりも・・あの羊たち、この国にまっすぐ向かっているように見えるのは気のせいですか?」

アンが引きつった顔でそう言う。


・・言われて見れば確かにそうだな。


で、俺等は全員撃退する構えになっていた。

戦うにしろ戦わないにしろ、激突させないようにしないとならないしな。

だが、ピエロは俺たちを止めた。

「皆さん抑えて下さい。」

「だが、ピエロ!あのままだと間違いなく突っ込んでくるぞ!?」

「彼らからは敵意を感じません。なんとかなりますから落ち着いて下さい。」

「・・わかった。」

「ピエロを信じるからな?」

「ありがとうございます。」



それから俺たちは武器を構える準備だけはしつつ様子を見ていた。

どんどん近づいてくる巨大な羊たち。



ついにぶつかるか!?と言うところで羊たちは速度を落とし、俺たちの前で立ち止まった。




「え?」

「止まった?」


メェーと1回鳴かれた。



・・どうすれと?



「ん?その巾着ですか?」

「メェー」

ピエロが羊と話をしている。

巾着という単語を聞き、鳴いている羊を見ると首元にくくりつけられている。


それを、取り外し中を開けると。

「手紙だな」

「誰宛ですか?」

「イリス様宛に・・フリージアからだ」

て言うか、裏に描いてある絵は誰が描いたんだ?

フリージアと、ペチュニア様らしき2人がかわいく描かれているが・・すごいそっくりだ。

「え?・・てことは」

「この羊たちが今回の話に出ていたお客さん?」


「みたいだな・・」


そう言ってる間にもピエロは羊と話をしている。



「えぇ・・」

「予想外なお客さんだー」

「そういうことでしたか。とりあえず、皆さんのこれからの住居へ案内するのでついてきて下さい。」

「メェー」

「皆さんでも十分羽を伸ばせる広さだと思いますよ。」

「メェー」

「お気になさらずに。」


よく分からんが普通に話は通じてるっぽいな。

てか、ピエロすごいな。

みんな予想外なお客さんに軽く驚いてるのにサクッとスルーして普通に話を始めたぞ。

ルートたち曰く、ピエロは昔からだいたいそんな感じらしい。

大抵のことは驚かないんだとか。



しばらくして俺たちは、羊たちを新しく作られた広場へ案内した。


あのデカい羊30頭がとてものびのびと出来るほど十分な広さだった。

どことなく羊たちも満足そうだ。


「何かあればこちらに来るので。」

「メェー」

「えぇ、ではまた。」









俺とピエロの2人でその手紙を届けるため、イリス様の元へ向かう。

「なぁ、ピエロ。あの羊たちはなんて言ってたんだ?」

「大まかに説明すると、フリージア様に偶然遭遇し、相談してみた結果、ラウさんという男性にここを案内してもらったらしいです。」

「イリス様から聞いてた通りの状況だな。」

「フリージア様も彼らを布団代わりに大変気に入っていたらしくあの毛並みを眠気など全く気にせずに堪能していたようです。」

「状態異常が効かないのか?」

「フリージア様には、ウールスフィアのラナさんと、ゲル種の翠さんがくっついていたのでどちらかが状態異常に対抗する力があるのでは?本人から聞いたわけではないのでなんとなくですが。」

「ウールスフィアか・・あの謎生物にも懐かれるんだな・・・さすがとしか言い様がない。」

「そうですね。さすがは神子様です。」

「たどり着いたな行くぞ。」

「えぇ。」



門番に軽く説明し、俺とピエロは中に入り、イリス様がいる部屋にやってきた。


「イリス様、ダン、ピエロです。」

「どうぞ」

「失礼致します。」

「失礼致します。」


「とりあえずお疲れ様。無事に案内は出来たみたいだね。」

「はい。・・ですが、相手がスリープシープとは・・・知ってたのなら教えて下さっても良かったのに・・。」

「あはは!ごめんごめん。先入観を持たないんだろう?それなら、今回は良い例かなって思ってさ。」

「・・だろうとは思いましたが。ですが、良い経験が積めましたありがとうございます。」

「良いよ。それで?報告だけってことじゃないんだろう?」

「えぇ、彼らより手紙を預かっています。」

「もらうね。」

「はい、どうぞ。」

「ふふ♪」

イリス様がとてもうれしそうだ。

「どうしましたか?」

「ん?あぁ、何がうれしいか気になる?」

「はい。」

素直に返事しろと言われているので遠回しな言葉もいらんと言われてるんだよな。

だから、素直に答える。

「この手紙誰が書いたと思う?」

「え?そのラウさんという方では?」

「実はね?これ、リアちゃんが書いたんだよ?すごいでしょう?」

「え!?」

確かまだ5歳か6歳だったよな?

学園に通ってる上級生のがきんちょ連中が書く文字と比べると若干劣るが、それでもそこらの奴らよりとてもきれいに書かれている。


・・さすが保護者筆頭であるカルナさんとシャスティさん。

「ふんふん。ラウが言ってたとおりだね。何と言っていたか一言一句全部きれいに書かれてるから、すごくわかりやすい。・・なるほど了解。ダンたちもありがとうね。」

「いえ。イリス様からの頼まれごとですから喜んで。」

ちなみに手紙に書かれていた内容は、どういう風にフリージアたちがあのスリープシープたちと遭遇したか、その後どういう話をしてここに案内することになったのか書いてあった。

イリス様もラウさんから通信用魔道具で事情は説明されていたらしく、内容の確認と言うだけのようだ。

なので、手紙自体は正直なくとも大丈夫だったらしい(羊の言葉が分かるピエロがいた故)が、今回は手紙の練習と言うことでこういうことになったようだ。



書き始めも終わりもシンプルだが手紙としてはとてもわかりやすくて良いととてもイリス様はうれしそうだ。

「それにしても、この絵はよく描けてるね!」

確かにそれは思った。

かわいくデフォルトされているが、どう見てもフリージアとペチュニア様だった。

「イリス様、その絵は誰が描いたか分かりますか?」

「んー、シャスティちゃんみたいだね。端っこに軽く走り書きになって書いてある。・・この字はラウだね。」

「シャスティ・・確か猫だったはず・・でも、保護者だし、フリージアに文字を教えたのも、身の回りの世話もシャスティがしてたしそんなモノか。」

「聞いてた通り器用みたいだね。ピエロ君。」

「はい。」

「リアちゃんに会って正直どう思った?」

「神子様にふさわしいお方だと思います・・ですが。」

「が?」

「イリス様よりフリージア様の過去は大まかに伺っておりますが、その時の影響なのか恐怖や、生物としての危機感知能力が薄いと言うより、ないように感じました。」

「へぇー?恐怖に耐性があるって話しは聞いてたけど、君にはリアちゃんは、そういうのに対する反応の類いが壊れている・・そういう風に感じたのかい?」

「はい。普通であれば怖ければ怯えるか、怒るか何かしらの反応がほんのわずかにでもあるのですが、フリージア様には全くありませんでした。」

「そういえば、俺等が初めてカタクリの町に連れてきたときも周囲からの視線や、殺気には何も反応しなかったな。カルナたちからあの5年間の恐怖より弱いから感じていないだろうと聞いてたが・・。」

「相手の感情は目を見るととてもわかりやすいです。どんな達人でも、一切怯えずとも戦闘態勢に入るか、敵として観察するか何かしらの切り替えなどがあります。そう言うモノすらも何も感じませんでした。ただまぁ・・逆鱗に触れると過剰に反応してましたが。」

「逆鱗?」

「家族を馬鹿にすることですよ。」

「あぁ、なるほど。」

「そうか。ありがとうね。」

「いえ。」

「さて、お疲れだろうし、今日はもう解散で良いよ。」

「かしこまりました、失礼致します。」



そして、俺たちは家に帰った。

ちなみに、シルクのメンバーもあのデカい家で暮らしている。



「お帰りなさい。お風呂にしますか?ご飯にしますか?そ・れ・と・も・・・・電撃を食らいますか?」

「風呂にする・・後、最後のは是非遠慮するぞ、アリス。」

「うふふ♪私自身を差し出すわけないじゃないですか。」

「まぁ、差し出されても色々と困るというのが本音だが・・」

アンがいるし。

「分かってますよ。ですが、そう言う反応が来れば遠慮なく電撃を食らわせますが。」

「うん・・分かってる。」

分かってるから笑顔で手のひらに電撃を集めないでくれ・・。

そんなことしないから・・。




それから風呂に順番に入り、食事をしながら今日のことを話す。

ちなみに、風呂の時だが、女性連中はよく一緒に入っている。

俺等はサクッと終わらせるから早々長風呂はないがな。

で、アリスはメンバー内では胸は少々小さい。

と言っても俺等からするとデカい方なんだが、女性としての悩みは色々多いらしい。

そのためなのか、何なのかアンが言うには、風呂にアリスと入ると結構な頻度で揉まれるらしい。

おまけに揉むのが上手とかなんとか。


コホン

それはさておき。


「では、今日お迎えしたお客さんはフリージアさん経由でやってきたスリープシープの群れだったんですね?」

「あぁ、色々と驚いた。」

「さすが、カルナさんにシャスティさんですね。」

「やっぱりそう思うよなぁ。」

「いつ聞いても不思議なんだよなぁ・・そこらの人間より賢い獣魔かぁ・・」

「テイマー系の職業が少ないからね。それに、いたとしても意思疎通がほとんど出来ないから命令したことに返事する程度らしいし。」

「と言うより、知能の高いのを獣魔に出来る奴が早々いないってことなんだよな。いなくはないが、かなり少ない。」

テイマー職は、言わば数千人に1人くらいの割合だったりする。

おまけに、獣魔にするには、服従させるか仲良くなるかのどちらかだ。

ただし、服従させた場合は、意思疎通は”はい”か”いいえ”しか出来なくなるからな。

おまけに、仲良くするなんてもっと難しい。

出来たとしてもかなり弱い生物だから、戦闘職ではなく非戦闘員として過ごすことがほとんどになってしまうのが現状だ。

だから、冒険者のテイマーとなると更に少ない。


と言うよりも、獣魔を家族として扱おうなんて考えるのが意外と少なかったりする。

いなくはないが、獣魔側がそれほど知能が高くない場合が多い。

知能が高いとそれだけの強者であると言うことだからな。

と言うよりも、テイマーだからといって獣魔の言葉が全部分かるというわけではないらしい。

テイマーにも色々と種類があるらしく、なんとなく気持ちが分かる程度だったりするのがほとんどで、相手の言葉も気持ちもはっきり分かるのはテイマーの中でもかなり上位の職業らしい。



テイマーにも色々あるんだなと改めて思う。


そう考えると、フリージアはすさまじいってことだよな?

カルナとシャスティは普通に俺等と会話が出来るし。

シャスティの場合は、書いたり尻尾の動きで判断する感じだが、それでも俺等に合わせて意思疎通をしてくれてる節もある。




まぁ、あの2匹の場合からするとフリージアは、ペチュニア様の忘れ形見のようなモノだろうし、余計にかわいく感じるんだろう。






「そういえばサブリーダー」

「どうした?ルート」

シルクの連中は俺のことをサブリーダーと呼ぶ。

「このクランのリーダーは結局どうするんですか?フリージアさんって幼女もこのクランに入らない可能性だってあるんでしょう?多分入るんだと思うけど。」

「と言うよりもー、サブリーダーでよくないかしら?」

「ハルもそう思うよな?俺も賛成だ。皆に頼りにされてるしっかり者だ。」

「ディオン・・お前らもか・・なんとなくだが、俺はリーダーにはふさわしくない気がするんだよ。」

「またそれですか?」

「俺等は賛成だぞ?」

「私もよ-?」

「と言ってもなぁ・・アリス・・アリスはどう思う?」

「私ですか?・・正直に言ってもいいですか?」

「是非頼む。」

「イリス様なんていかがですか?」


全員「は?」


アリスがとんでもないことを言い出した。

「ちょ、ちょっと待ってくれ!なんでイリス様!?確かに強いし、リーダーシップもすごいと思うが!あの方は王子!しかも第一王子だぞ!?継承権第一位だぞ!?」

「そうだよ!アリス!!町のみんなも次期国王はイリス様で決定だーって言う話しがすっごいあっちこっちで聞くよ!?」

「私の推測ですが、イリス様は王位を継ぐ気がないような気がするんですよ。」

「理由を聞いても良いか?」

アリスがそう言うと言うことは何かきっかけがあったはずだ。

「まず、ダンさんたちヴァニタスのメンバーを招集し、クランを設立させました。どうしてクランなのでしょうか?」

「え?」

「ですから、ダンさんたちのパーティにフリージアさんを加入させるか、逆にフリージアさんのパーティに加入し、ヴァニタスを解散させる。または、パーティを組まずに共にいる・・これらの方法があったはずです。」

「あ・・」

「言われて見れば・・」

「次に、ダンさんたちの推薦とは言え、私がこの町に異動になり、ギルドの後見人という形でダンさんたちと共にいます。次に、ピエロさんたちシルクのメンバーです。」

「私たちですか?」

「はい。イリス様が認めたと言うこともありますし、皆さんの希望もありました。ですが、このクランに加入する必要はなかったはずです。パーティが違っていても共にいることなんて出来るのですから。」

「確かに・・」

「それと、ダンさんたち4名はイリス様との連携も訓練に組み込まれていますよね?鍛えるだけならばその必要はないのでは?」

「そうだな・・」

「次に、シルクのメンバー全員ではありませんが、ここにいるメンバーはほぼ全員がフリージアさんと直接の面識があり、それなりに仲良しでした。」

全員「あ!」

確かにそうだ。

ピエロたちもクランに加入するようになったのは、元々はピエロもフリージアと面識があったからだ。


「そんなメンバーが同じクランにいるのは偶然でしょうか?それに、王族が神子様を救った、ただそれだけの理由で自身の懐刀のような扱いにするでしょうか?たとえイリス様が人を見る目が合ったとしても、わざわざ呼び出す必要はないはずです。」

「それは、フリージアちゃんのことが大切だったからじゃ・・?」

「だとすれば、呼び出さずにギルドを経由するか、騎士を派遣して褒美を渡して終わりで、よくありませんか?」

「言われて見ればそうねー。例え、フリージアさんの為と言ってもーそこまでする必要がないほど弱い獣魔じゃないんでしょー?」

確かにそうだ。

噂に聞く強さだけでも、かなり強いと聞いている。





「とはいえ、本人に確認するわけにもいきませんし、あくまでも私の推測ですから。ただの過保護という理由もありますし、言い方を悪くすれば、王族としては少々変わり者という理由だけかもしれませんし。私の考えすぎかもしれませんからね。イリス様は天才ですから。」

「そう・・だな。」


ちょっとしたもやもやする気持ちになりかける話になったが、最終的にシルクメンバーの演奏を聞きながら皆で盛り上がり、そんな話しは頭の隅の方に追いやられた。






まさか、イリス様が王位を捨てて冒険者になるなんてこと・・ない・・よな?

イリス様は、この国をとても大切にしてるしな。


ないない。

そんなわけない。

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