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天界からの贈り物

体がフワフワする。

頭の中がぽーっとする。

周囲は見えているのにどこかもやが掛かっているように見える。

進みたいと思えば進むけれど、前にも後ろにも空中にもどこにでも行ける。

しかも、脚を動かしている感覚はない。



多分これは夢の中なんだろうなと思う。

お船で出会ったお姉さんたちが夢のようだと言っていたことに関して質問したときに教えてもらったことだ。



その場所は、雲の上のようだった。

ふわふわな真っ白な地面が広がる。

その上に、色のついた雲のドームの形をしたお家がいくつも並んでいる。

色は単色だったりマーブルだったりしましまだったりチェックだったりと色々ある。


その中で一際大きな雲のドームの一角にその人たちはいた。

1人は、黒に近い紫の髪を伸ばしたおっぱいの大きい美人の女の人

もう1人は、純粋な黒髪のショートでありつつさらさらで、優しい笑みと雰囲気がとても似合う細身のイケメンなお兄さん

物語に出てくる王子様ってこんなお兄さんですねと言いたくなる感じですね。


お母さんと神様だ。


「そういえば、ペチュニアさんのその髪は地毛ですか?それとも、こっちの世界に来たときに?」

「あぁ、これ?実は地毛よ。地球にいた頃からね。」

「え?日本人・・・・だったんですよね?」

「生まれはね。けど、祖母が日本人だったし、生まれと育ちは確かに日本人よ。けど、父は外国人で、母がハーフよ。祖母が外国人と結婚して日本にそのまま残って、気に入ったからそのまま日本に住んじゃえ!って祖父がそうなったらしいわ。」

「と言うことは、ペチュニアさんは日本人としてはクォーターなんですね。ちなみに国は?」

「えぇっと・・確か・・・祖父も父もヨーロッパの方だったのは確かよ。2人共、国はそれぞれ違ったらしいけど細かい部分は、さすがに忘れちゃったわ。社会人数年目ってところで幼女になってこっちの世界に転移してから記憶が一部抜け落ちてるから。」

「そういうことでしたか。クォーターと言っても髪色以外は日本人そのものですよね?瞳は黒と言いますか焦げ茶ですし」

「そうなのよ。日本人の血は祖母だけだって言うのに、不思議ねーってずっと思ってたのよ。」

「なるほど・・・さぞモテたのでは?」

スタイルも良いし、明るい性格ですし、美人ですからね。

おまけにあの髪はすごくきれいです。

私の髪は神様と同じで真っ黒です。

「あぁ・・うん・・。」

「どうしてそんなに複雑そうな顔を?」

「確かにモテたわ・・。中学校の頃は数ヶ月に何人かって感じで、高校では人数が倍になって・・大学と社会人としていた頃はストレートな告白はなくなった代わりにほぼ毎日のみに誘われたり、旅行という名のデートに誘われたりとね・・まれに貢ぎ物もあったけど。」

「すごいですね。私が日本にいた頃はペチュニアさんほどではありませんでしたよ。」

「あんたもイケメンだし、似たようなモノだと思うわよ?王子様オーラがぷんぷんするモノ。」

「お、王子様オーラ・・・そ、それで、どうして複雑そうな顔を?」

神様は微妙に引きつった顔になってます。

「私の性格知ってるでしょう?」

「えぇ、それが?」

「その告白した人数の内、男子は4割だったわ。」

「男子・・・”は”?・・・て、まさか。」

「えぇ・・残りは全部女子だったわ。私の性格ってどっちかというと男っぽかったから女性陣からモテたのよ・・。むしろ女子相手の方が危なかったわ・・。男子より肉食だし、女同士という部分もあってスキンシップがあからさまなのにぶん殴れないし、リアル病弱キャラだったから抵抗しようにも体力もねぇ・・。ある意味では、男子相手の方が楽だったわ。私の性格をさらっとスルーして体調面を心底心配して気を使ってくれてたし、荷物を持ってくれたり捜し物を手伝ってくれたりと。」

「あぁ・・・告白する男子は主にあなたを守りたいという純粋な思いから・・女子はしいて言うなら百合で肉食系だったと。・・・肉食系な男子からのお誘いなどはなかったのですか?」

「不思議となかったのよね。仲が悪いわけでもなかったし、普通におしゃべりもしてたし。・・・そういえば、そう言う輩は大抵私の体調を心配してる男子グループを大抵呼んでたわね。」

「それは、あなたが病弱で下手なことをして体調を崩すと申し訳ないと言う気持ちでそうなっていたのでは?」

「言われて見るとそうだった気がするわ。ぶっきらぼうでも荷物運びは手伝ってくれてたし、口調は激しくても気を使ってくれてたし。お礼を言ったらどこかうれしそうにしてるところがかわいいなぁって思ってたし。休みの日とかに会うと挨拶はするけど私のムリはさせないようにしてくれたし、逆にナンパよけのためにワザと近くにいてくれたときもあったわね。」

「楽しそうな学生生活ですね。」

「えぇ。けど、女子グループが怖かったわ・・何と言うか、虎視眈々と獲物を狙ってる感じとか、男子グループに黒いオーラ飛ばしてたりとか。・・・私の初めては女性に奪われるかと当時は思ってたもの・・守り抜いたけど。」

「男子グループは肉食系な感じの方でも、中身は紳士で、見た目も中身も草食系って感じの男子だけだったんですよね?」

「えぇ、今更に思うけど女子グループにはあんたたちに言われる筋合いはない!ってなるわね・・てかなったわね・・・男子側の意見を代行すると。・・ギリギリ言わなかったけど。」

「そうなりますね。私も同じ立場にいたらそう思います。」

「それにしてもかわいいわぁ。」

「教会に泊るのはフリージアさんは初めてでしたね。まさか、この部屋で休むことになるとは・・」

「気持ちは分かるわ。あの部屋は正直きれいだもの。太陽の光が差し込むステンドグラスも太陽じゃなくて月光でも幻想的だもの。」

「確かにそうですね。」

「あ!そうよ!思い出したわ。」

「どうしましたか?」

「あんたの杖、無駄に目立ちすぎじゃない?」

「うぐ・・その杖が原因でフリージアさんが狙われかけてますからね。私が英雄賢者と呼ばれていた部分がこうも有名になると思わなかったんですよ。」

「て、思ったけどあの杖自体が強いの?」

「いえ、あの杖はご存じの通り使う相手を選びます。選ばれなければ決して触れることも干渉することも出来ません。能力自体は、契約者に負担にならない程度の能力向上と、魔力回復速度の向上。後は、契約者の思いと努力、ステータスの高さに比例して上昇する。言わば、契約者と共に成長する代物なんです。」

「じゃあ、契約者が変わればそれまで上がっていたレベルもどきもリセットされるってこと?」

「レベルもどき・・そうですね、そう言うイメージです。」

「いっそのことアレ、改造出来ない?アレなら私も協力するわよ?」

「出来ますかね・・ちょっと調べますね・・・・・ほう。」

「どう?出来そう?」

「いけますね。フリージアさんがあの杖の契約者であることと、常に持っていてくれているということ。後は、精霊樹の巫女の影響で干渉出来ますね。」

「そういえばあの杖って精霊樹から出来てるんだっけ?」

「えぇ。その巫女なのでつながりがとても強い・・では、協力して頂けますか?」

「もちろんよ。」

「まずは、姿形を変える必要があるのですが」

「大きさはあのままで良いと思うわよ?歩くときに支えにしてるっぽいし、今更指揮棒サイズにしちゃったらバランスが合わないわ。」

「確かに。体力面がおぼつきませんからね。」

「後、色もあのままで良いと思うわ。気に入ってるようだし。」

「確かにあの色はきれいですよね。生の木の青さが残ったままで加工するというのは本来の木工品としてはあり得ないんですけどね。」

「湿度の違いで曲がるのよね-。」

「えぇ、さすがファンタジー」

「なら、変えるとしたらあの上のまるっとした頭?のとこじゃない?」

「そうですね。では、私とペチュニアさん2人の魔力をあの杖に流し込み、中に内包しているフリージアさんの魔力と混ぜ合わせ、形を変えます。」

「ついでに、認識阻害のを組み込んだら?」

「それは良いアイディアですね。ついでに、翠さんの中で放置されてるアクセ関係と宝石類も使わせて頂きましょう。」

「えぇ、カルナちゃんが何か言いそうだけど、なんとかなるわよ。」

「後、フリージアさんの支障が無い程度に魔力を拝借させてもらって」

「杖の方にかなりリアちゃんの魔力がたまってたから対した量じゃなくて助かったわね。」

「そうですね。では、始めましょう」

「えぇ、リアちゃん。このくらいのことしか出来ないけどいつも見守ってるわよ。」

「神という位の影響もあるので全面協力とは言いませんが、出来る限り協力しますよ。私たちの子孫よ、いつまでも見守っていますよ。」


そんな会話を聞きながらなんとなく私は魔力を握ったままの杖さんへ流し込む。


「!?フリージアさんから魔力があり得ないほど流れ込んでくるっ。」

「え!?無理矢理引き出してるわけじゃないわよね?」

「えぇ、確かに引き出してますがほんのわずかでした・・ですが、勝手に流れ出して・・もしやフリージアさんは無意識に?」

「さすが私の娘!かわいい!最高!素敵!!キャー!!」

「落ち着いて下さい。」

「はっ!あまりにもリアちゃんがかわいくてつい!」

「分かりましたから落ち着いて下さい。雑念が入りますよ。」

「おっと、それはいけない。リアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃんリアちゃん・・・」

「怖い・・・純粋すぎて怖い。」

「やかましい!正常よ!」

「ヤンデレの怖さを知った気がする・・」

「何か言ったかしら?」にっこり

「・・何でもありません」引きつった顔で冷や汗だくだく




しばらくして作業は終わったらしい。

「ふぅぅ。久しぶりの感覚ですね。」

「えぇ、魔力切れの感覚。けど、これって・・」

「ペチュニアさんの名前は、向こうの世界で同じ名前の花があったのでそれをモチーフにしました。」

「きれいな花ね。」

「おっと、そろそろフリージアさんたちが起きる時間帯ですね。」

「あら、ホント。私たちも一休みしてお仕事再開しようかしら。」

「そうですね。」

「そういえば、あの杖の名前はどうするの?」

「そのままフリージアの杖にしようかと思っていましたが」

「かわいいけど、もうちょっとひねりが欲しい」

「えぇ・・」

「そういえば、あんたって名前何なの?」

「すごい今更ですね」

「だって、今気になったんだもの。」

「名字は異世界転移の時に忘れてしまいました。名前は、桜華おうかですよ。ペチュニアさんは漢字はないのですか?」

「ないわね。父が外国人だからそのままそうなったのよ。ペチュニアは地球にいた頃からの本名よ。」

「そうでしたか。・・今更ですが、エトワール家とは?」

「あぁ、あれ?アレって幼女として転移した私を育ててくれたおばあちゃんがエトワールって世間で呼ばれてたのよ。で、そのおばあちゃんは森の中でひっそり暮らしてたんだけど、私が10歳を超えたくらいの頃に寿命で亡くなってね、色々やっていく内に、イリスと出会ってヤルことやっちゃったんだけど・・・・コホン。とりあえず、あっちこっちで色々やっていく内にファミリーネーム使って良いよーって話が合ったから、おばあちゃんの名前であるエトワールをファミリーネームにしたの。」

「そうでしたか・・そのおばあさんは何者?」

「聞くと、クラリティ王国の先々々代の女王だったらしいわよ?」

「女王様そんなところでなにやってるのですか・・。ではなぜ城ではなく森の奥に?」

「隠居生活は森の中でゆっくりとしたいってずっと思ってたらしいわよ?後、世間がうるさいから静かに死にたいとか。」

「なるほど・・。じゃあ、そのおばあさんはエトワール・クラリティが本名?」

「て、ことらしいわよ?」

「クラリティ王国の元女王に育てられたペチュニアさんと、その国の****であるイリスさんとの娘ですか・・とことんクラリティ王国に縁がありますねフリージアさん。」

アレ?一部よく聞こえませんでした。

「ホントそう思うわ。」

「そのことをイリスさんたちは?」

「イリスとその家族だけは知ってるわ。超超超極秘事項だとか。」

「なるほど。」

「で、名前よな・ま・え!!!」

「全員花にちなんだ名前ですし、神子様と呼ばれてますし、聖華の杖はいかがでしょうか?」

「セイカ・・・聖なる花、花で華、聖華の杖ね・・良いんじゃない?」



そんな穏やかな会話を聞きながら私の意識は薄れていった。

















目を覚ますと優しい太陽の光がステンドグラスを通じて差し込んでくる。

すごい不思議な夢でした。

アレは本当に・・・夢?





・・・・




・・夢じゃなかったようです。

杖さんが変身してます。

杖さんの上のとこの丸いとこが宝石で出来たお花になってます。


鑑定とかそういうのは出来ないので、カードさん分かるなら教えて下さい。













ランク:C(二つ名=魔鏡姫)

パーティ:ハリーファ(リーダー)

名前:フリージア・クラリティ・エトワール(悪心撃滅体質)

性別:♀

年齢:6

種族:半異世界人

職業:賢者、協奏師

称号:絶望を知る者、幻獣の家族、変態紳士ロリコンホイホイ、英雄賢者の正統後継者、神子

属性:陰

体力:C-

魔力:S+

攻撃:E

防御:E-

俊敏:D

練度:S+


攻撃技:【影操作】【魔力反射】【物理反射】【性質変換】【杖術】【射撃】

補助技:【念話】【奉納】【心意加増】【精神統一】【アクロバティック】

自動技:【圧縮記憶】【思考速度上昇】【並列思考】【心の瞳】【ショートクさんの耳】【鳴く】

覚醒:【侵食】【拡張】【守護者召喚】

衣類:精霊のストール、精霊樹のローブ

装備品:聖華の杖、教会の腕輪(EX)、幸運のイヤーカフ

写真:フリージア・エトワール、ペチュニア・エトワール


契約

【幻獣】八咫烏:カルナ

【幻獣】ガルディエーヌ・キャット:シャスティ

【妖精】オニキス・ゲル:スイ

【??】ウールスフィア:ラナ

【魔物】クロコディルガーディアン:ハディ


加護

ペチュニアの溺愛、流星姫ペチュニアの過保護

元英雄賢者/現神様のお気に入り、桜華おうかの子孫

下位精霊の親愛、上位精霊:リフの溺愛、精霊樹の巫女






桜華おうかの子孫

異世界人が神にまでなりあがった者の子孫に贈られる

第六感が鋭くなる






わお

ホントに賢者の杖が聖華の杖になってます。

それと、加護の部分がまた微妙に変化してますが効果はやはり変わらないみたいです。

・・ちょっと長いですね。

とか思ってたらちょっとだけ見やすくなってますね。


あ、杖さんのことでした。

カードさん教えて下さい。







聖華の杖

賢者の杖を元英雄賢者/現神様と、流星姫ペチュニアの協力によってフリージア専用として魔改造された代物

青さを残した生の木そのものの色の180センチの長さのある杖。

頭部に当たる丸い部分は、フリージア、英雄賢者、流星姫の魔力が結晶化した魔宝石で出来た、八重咲きのペチュニアの花が1輪咲いている。

グラデーションに外側から内側にかけて淡紅色から浅緑色に変わっており、非常に純度が高く透明度は高い。

契約者以外の人間は誰1人として触れることも干渉することも出来ない。

契約者の負担にならない程度の思考関連の能力、魔法の威力、発動速度、魔力、練度、魔力回復速度を向上させる。

契約者の思いと努力、ステータスの高さに比例して向上比率は上昇する。

契約者が心の底から認めていない相手と、邪念、悪心を持つ相手には、この杖は世間で大量販売されてる一般的な魔石をはめ込んだ木の杖と認識する。

※この花は、夜になるとつぼみとなり、日が昇ると開花するが、特に意味はない。










この宝石みたいにキラキラしたお花はお母さんと同じ名前の花なんですね。

すごいきれい。

それに、神様・・・えと、桜華さんのことも知ることが出来たし、お母さんのことも色々知ることが出来た。

この杖も、私のために私専用として作り替えてくれた。


ありがとう

私、精一杯頑張ります。


ちょっとだけ魔力を流し込んでみると以前よりもスムーズに流れる。

おぉ。

すごい。

それに重さは相変わらず羽のように軽いです。


「リアおはよう・・・・説明を頼む」

とりあえずおはようございますと挨拶をしてから夢で見た出来事を一通り話した。





「あぁ・・なるほど。わかった。とりあえず、杖による注目はしなくなったってことで良いなうん。」

-だから、私の中で放置されてた貢ぎ物とかがごっそり消えてたんだね-

カルナは深く考えるのは止めた疲れたとつぶやいてました。

翠ちゃんは荷物が減っていたことに納得してくれました。

みんなきれいだねって言ってくれました。

ちなみに、そんな話をしている最中に杖さんの花は私の目の前で開花しました。

その咲いているときはすごくきれいでした。



ちなみに、シスターさんも神父さんも私の杖が変わったことでどうしたのかと言われたので、ざっくりと夢の中で神様が杖さんで目立たないようにしてくれましたとだけ言いました。

で、目を覚ますとホントでしたと。


嘘はついてませんよ?

で、みんなさすが神子様とナムナムされました。


なんとなく、ナムナムされるのになれてきた私は何なんでしょうね?






「神子様、行ってらっしゃいませ。我々はいつでもあなた様の身方です。何かございましたらこちらへお越し下さい。」

(コクリ)

「お世話になりました。」

「こちらこそ。神子様のお世話というとてもありがたい経験をすることが出来ました。ここ数十年の間、教会の腕輪を授かったモノは誰もいなかったので。カタクリの町の神父様が最高ランクのEXを授けたのもとても頷けます。かつてないほどの神聖な魔力で、どこまでも純粋で雑念がない。素晴らしいですよ。」

「そうですか。また来ますね。」

「えぇ、その時は是非また。」


そう言って私たちは朝食後にご挨拶をしてから教会を出ました。





町中を通り抜けながら門へ向かって行くと途中でちらほらと餌付けされつつ先に進む。

もぐもぐ。





「お、出るのかい?」

「えぇ、昨日出発する予定が思った以上に買い出しに時間が掛かってしまったのでこれからなんですよ。」

門番さんがそう言って、ラウさんが軽くお話しをする。

「確かになぁ。町同士はそれなりには慣れてるから買い出しとかすると結構時間が掛かるんだよなぁ。じゃあ、気をつけなよ。余所のちっこい島と比べると普通の魔物もサイズが違ったりするからな。」

「らしいとは聞いてましたが大型相手の戦闘を念頭に置いた方が良さそうですね。」

「だなぁ。群れるのも多いからほどほどって感じだがな。」

「なるほど。ご忠告感謝します。」

「頑張りな。お嬢ちゃんもな」

(コクリ)

「クールだねぇ。頼もしい仲間もいることだしそんなもんか。・・ほい、手続き完了。」

「ではまた。」

「おう。また来な!」



それから私たちは、港町を出発しました。





初めてのおっきな大陸です。


とはいえ、これまでいた大陸もそれなりにおっきかったのでよく分かりませんが、確かに広いところです。

どこまでも地平線が続いてますし。

この辺りは草原のようです。

生えている草木がもっさもっさと生い茂ってたり、短かったりと場所によってまちまち。

道となっているところは、これまでの大陸よりも広くとってある。

私たちがいた大陸の道は、おっきな馬車が1台と隣を人が数人横並び出来るほどの幅でした。

ですが、ここはおっきな馬車が2台は余裕を持って並べるのに加えて、人も数人並べるんです。

大まかに2倍くらいあるんですよ?


広いでしょう?

まぁ、道じゃなくて草原に良ければいい話なんですけどね。









私たちは、いつものようにハディちゃんの背中に乗って先に進みます。

急いでないし、食料もいっぱい用意してるし、現地でそれなりに調達出来るのでハディちゃんに全力疾走ではなく、お馬さんがぼちぼち走ってるなーくらいの速さで走ってもらってます。

ラウさんは鍛えているとのことで疲れて休憩するとき以外は隣で並走してます。

シャスティは走って並走したり私と一緒にハディちゃんに乗ってたり、カルナは空を飛んだり同じくハディちゃんの背で休んだりと結構マイペース。




出てくる魔物も色々います。





タイラントボア

全長平均5メートルのイノシシ

一度敵と認識すればとことん突進してくる大変パワーとスタミナがある。

獲得部位:魔石、毛皮、肉、稀に牙



デンジャラスオックス

全長平均10メートルの牛

2メートルはある頑丈な角を持っており、脚力がかなりあるのに加え、パワーとスタミナが豊富なので一度敵と認識されるとやられる前にやらなければあっという間にやられる。

だが、まっすぐにしか進めない。

獲得部位:魔石、角、肉、稀に牛乳



ハイドバード

あらゆる感知関連の魔法で認識しずらい全長平均4メートルの鳥

空から気配を消したまま突っ込んでくる。

獲得部位:魔石、肉、嘴



アサルトイーグル

全身の羽をマシンガンのごとく乱射してくる全長平均7メートルの鳥

羽は急速に生えてくるので、弾切れは魔力切れとイコール

獲得部位:魔石、羽、肉



フレユールラビット

見た目も魔力も何もかもが威圧感溢れる全長平均3メートルのウサギ

かなり気性が激しく、足蹴りは大木を簡単にへし折る

獲得部位:魔石、肉、稀に毛皮



パラサイトプラント

様々な魔物に取り憑く蔦状の魔物

取り憑かれた魔物は通常より1.5倍ほど魔力量が増え、狂暴的になる。

獲得部位:魔石、稀に頑丈な蔦



ボムフルーツ

様々な果物の姿をしており、果物に紛れ込み、相手が手にするか食べようとした瞬間に大爆発する。

その爆発力は、半径3メートルは軽く吹き飛ばす

獲得部位:魔石、擬態した姿の果物(爆発しません、普通の果物です)



ボムフラワー

様々な花の姿をしており、近くにターゲットが寄ってくると爆発する。

威力は、半径2メートルは吹っ飛ぶ。

獲得部位:魔石、お花(爆発しません)



インクリースマッシュ

花粉を飛ばし、くっつけた相手から魔力を奪い、奪った魔力によって自身を増殖させる全長平均1メートルのキノコ

稀に花粉がくっついた瞬間に爆発する。

獲得部位:魔石、キノコ(安全に食べれる)



スリープシープ

半径4メートル以内の生物を問答無用で眠らせようとする魔力をまき散らす全長平均8メートルの羊

毛でふくれているため非常に大きく見えるが、実際の肉体は半分以下である。

眠らせるからと言って眠らせた後、襲い掛かることは敵と認識されるか怒られなければ基本的に穏やかな性格をしている。

実は怒らせると非常に危険で、突進されると数百メートルは軽く吹っ飛ばし、走る速度は馬の全力疾走が子供の駆け足程度に思えるほど速く、怒らせた相手に最低でも一撃入れるまで追いかけてくるので気をつけましょう。

獲得部位:魔石、毛皮、稀に肉、稀に眠り毒袋



プラントバイパー

全長平均10メートルの毒蛇

かまれると丸1日は痺れる毒に掛かり、縛り上げる力は鉄を軽くへこませる。

獲得部位:魔石、革、稀に毒袋



ポイズンゲル

全長平均3メートルはある毒で出来たゲル種の生き物

毒の種類はその個体によって様々だが、極々まれに毒の種類は媚薬だったりする。

獲得部位:魔石、稀に毒袋






どれもとんでもなくおっきいです。

ですが、魔物だけではなく採取する薬草や木の実など、植物関連も倍以上おっきいです。

なので私たちはまるで小人さんになったような感じまでしました。

だって、木もとんでもなくおっきいんですもの。

私が、草原の中に入ったらあっという間に頭の上まで埋もれますよ。


なので、シャスティやカルナがおっきくなっても意外と普通サイズに思えるほどです。

まぁ、緊急時以外はおっきくなりませんが。




相手がおっきいので、戦いも連携して対応することが増えました。

なにせ、相手がおっきいので急所も深くやる為には1対1では大変なんですよ。


大変な分、採れるモノはおっきいので大量です。

ホントに翠ちゃんがいて助かってます。

じゃないとこんなにたくさん持って行くなんて到底ムリですよ。


マジックバッグがあるので大丈夫かもしれませんが、アレは高ければその分いっぱい入るモノなので、安いモノだと普通よりはたくさん入っても限界はあります。

けど、翠ちゃんは日々強化してる(自主的)のでその分たくさん収納出来ますし、腐ったりという心配も普通よりずっと長持ちなので心配なし。

植物関連に関しては、土に植わった状態でそのまま収納したり、お肉とかは冷す魔道具で冷したりきちんと処理したりしてより長持ちさせてたりとかですね。


後は、長期間とどまってるときに植物とかお肉とか干して乾燥させることもあります。

そういうときは数泊ほどその場にとどまりつつ、特訓をメインにしてたりします。




「あの町で聞いてて助かったな。」

「そうですね。植物も魔物も何もかもがスケールが違いますね。」

「あぁ、サイズがアホみたいにでかい。まぁ・・幸いなのは、翠がいてくれることだな。」

「そうですね・・じゃないと、あんなに大量のを収納するマジックバッグなんてどれほど高価な物を買わなければならないか・・」


と言うわけで、基本的に魔物は襲って来たときだけ倒すと言うことになってます。

じゃないと、とんでもないことになっちゃうので・・荷物が。

ご丁寧なことに出てくる魔物さんたちは、どれも食べれる関係が多いですからね。



そんなこんなで、野営グッズのテントとか結界を張る魔道具などは、通常よりもかなり頑丈に出来てたりします。

・・じゃないと、感知されずとも魔物に押しつぶされるなんてことが冗談抜きであり得ちゃうんですよ。

・・何もかもおっきいから。




大陸がおっきいと土地がいっぱいだからどんなモノでもおっきくなっちゃうだなぁと思いつつ、私たちの新しい場所での旅は再び開始です。


大変だけど色々と楽しみです。

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