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閑話-流星への誓い-

-ダン-

久しぶりだな。

神子様守護部隊とか言われてるメンバーのリーダーをしているダンだ。

今は、クラリティ王国の第一王子であり、フリージアの実の父親のイリス様の下で色々と学ばせてもらっている。

同じメンバーのアン、リリ、ゼルも同様にそれぞれが目指すモノのために日々特訓を重ねている。




俺は、主に物作り

リリは、護衛

ゼルは、あらゆる方面の戦闘技術

アンは、戦闘面でも、私生活でもありとあらゆる方面でのサポート。


簡単に言うとそんな感じだ。

まぁ、全員それぞれの戦闘スタイルに合わせて実戦経験も重ねているが。


一応イリス様直属の部隊と言うことになっているが、世間ではそう言う部分は秘匿されている。

まぁ、それほど大げさなモノじゃない。

直属部隊にしたのは、ただ俺たちがあのお城の中でどういう立ち位置かを決める形式的なモノなだけだ。

だから、身分が上がったとかそういうわけじゃないし、そう言うので偉ぶるつもりはない。

そんなのは、フリージアのために頑張る俺たちにはあってはならないだろう?


で、俺たちは城勤めになってる人たち(メイド、執事、騎士など)とは、まあまあ良い関係を築けていると思う。

と言うのも、最初にこの城にやってきたとき・・あのドラゴンに文字通りポイ捨てされたときだが、あのときの軽いやりとりの部分によって印象はまあまあ良かったからだ。



そんな中、俺たちのパーティ名は正式に決定した。

”ヴァニタス”

決めて下さったのはイリス様だ。

神子様親衛部隊とか呼ばれてる故に、そのままパーティ名になるのだろうかとか考えてたら

「それだと、親衛隊とかと似たり寄ったりでしょう?それなら、名無しから虚無・・そして、ヴァニタス!ペチュニアさんから虚無はヴァニタスとも言うんだって教わったんだよ。」

と言って下さったからだ。

異世界にはいくつかの国があり、それぞれの国によって言語が全く異なるんだそうな。

そのため、他の国へ行くにはその国の言葉や文字を一から学ぶ必要があるからかなり大変なんだとか。

その内の1つの意味としてヴァニタスという呼び方を教えてもらったんだとか。

俺たちは詳しいことは分からなかったが、音の響きも良いし、イリス様につけてもらった名前だ。

それに、間接的だがペチュニア様にもつけてもらったようなモノ。

フリージアのためと考えるととても縁起が良いと思っているから、俺たちは正式にヴァニタスとパーティを呼ぶことにした。

だから、ギルドカードにもパーティ名は、空白ではなくきちんとヴァニタスと表示されている。

ギルドカードに出ている部分は、正式に決定した場合だからな。

二つ名とか周囲が認識して表示される分もあるから全部とははっきりと言い切れない部分はあるが、だいたいはそんな感じだ。

後は、俺たちはパーティの信条として”どんな状況、どんな相手に対しても先入観を持たない”と言うことにしている。

先入観を持たないと言う部分を無いという意味合いから虚無・・そしてヴァニタスって感じだな。

正式に決定したきっかけはさっきも言ったようにイリス様のおかげだ。

なぜ、それを理由にしたかというと-あいつがそんなことするわけがない-とか-あいつのことだからどうせ嘘だ-とかそう言う考えや話しは信じないようにすると言うことだ。

実際、そう言ってまともに調べずに死んだ奴だって少なくはないからな。

そう言う機会に巻き込まれたことがない故に噂程度でしか聞かないが、フリージアとの件もあるからこそ、そう言う意見は信じないと俺たち4人は決心したんだ。



で今、俺たちは特訓と任務を兼ねてとある場所に向かっている。

馬車もなしに全力疾走で。

向かっている場所は、”流星の里”と呼ばれている場所だ。

そこは、元々フリージアが幼少期を過ごしていた(正しくは監禁だが)あの町の跡地だ。

現在は、1つの建物を残してそれ以外は城壁以外全てなくし、薬草や草花が生い茂るとてもきれいな場所になっている。

そしてそこには、ペチュニア様・・フリージアの母親であり、流星姫と呼ばれていた方が眠っている地でもある。

そんなペチュニア様のお墓を守る墓守として過ごしているのは、かつて英雄賢者と呼ばれた英雄の唯一弟子となった”魔法の探求者”と呼ばれる人物の子孫たちだ。

カルナたちが言うところの強面兄ちゃんがいる家族らしい。


特訓は、察したとおりだ。

そして任務とは、そんな彼らと仲良くなることと、かつてのやりとり・・フリージアがどんな目にあっていたか、ペチュニア様と共に集めたありとあらゆる情報などを教えてもらうため。


そして、それが表向きであり、俺たちにはもう1つ任務・・がある。

任務と言うよりは、個人的な要件だ。

それは、ペチュニア様への墓参りだ。




クラリティ王国に来て数ヶ月経過しているか否かと言うほどしか現在は経過していないが、特訓は順調だと思う。

と言うよりもイリス様の秀才は予想を超えていた。

1分1秒を無駄としないスケジュールにみっちみちに特訓が組み込まれているのだから。

そのおかげで全身へとへとになるのは毎日当たり前だ。

筋肉痛に襲われる毎日だと初日は思ったが、それは思い過ごしだった。

なにせ、メイドさんたちがマッサージを手早くしてくれるからだ。

正直ものすごく気持ちが良い。

ただ体をほぐしているだけではなく、体のゆがみや魔力の流れである魔力回路のゆがみを治してくれているらしく、とても調子が良いんだ。

アンに関しては、そのマッサージ術も教わっているようだ。

詳しくは知らなかったが、宮廷の魔法使い(騎士の魔法版のようなメンツ)たちが言うには、魔力回路は全身を血液と同じように流れ、巡っているらしい。

で、その発生源は心臓。

それを聞いたときにふと思ったことを聞いた。

最初から全身を魔力が流れているのであれば、最初から身体強化が施された状態だったり、魔力制御を無意識にしていたと言うことなのか?と。

聞くと、半分正解半分不正解らしい。

無意識に行なっているのは確かだが、それは血液と同様生きるために必要な分を体に巡らせているだけらしい。

生きるために無意識に行なうこと・・心臓が鼓動する、爪や髪が伸びる、お腹が空く、眠くなる・・そう言ったあれこれだ。

そんなのを意識して行なっていては人なんてあっさりと死んでしまうだろうし、生まれたての赤ん坊なんぞ、もっとヤバイだろう?

で、全身を巡っている魔力は心臓に集中している魔力の割合から言うとかなり少ないらしく1割ほどだとか。

そして、魔力は心臓にため込まれている状態で、そこから魔力を引き出し体のどこかへ動かすことで魔法を扱うことが出来るというのが、俺たちが魔法を使える仕組みらしい。

その心臓からの魔力の受け渡しの道・・つまり回路が太くなり、無意識のうちに心臓からその回路を通した先にある部分に魔力が行くようになると目だと魔眼、腕や脚だと通常より強かったり、喉や口にいくと声に関する能力が発動したりするんだとか。

魅了やそういう他者を誘惑する魔法もフェロモン?と言うのがその魔力の流れによって誘発されて発動していることが多いらしい。




クラリティ王国から流星の里までは馬を全力で走らせる速度で休みなしで移動した場合(戦闘などの邪魔も一切なしだと)、最短で10日は軽く超えるほどの距離だ。

実際、そんなこと出来るはずもない故、予定としては20~30日程度で到着するだろう。


戦闘メインで鍛えているアン以外の3人は毎日のスケジュールでかなりのトレーニングがあるから体力は以前よりずっと増えているが、アンに関しては別だ。

最低限、そう言う特訓はあるが戦闘でも非戦闘でも私生活でもどのジャンルに関してもサポートメインの為、俺たちよりずっと学ぶことは多い。

そのため、俺たちよりずっと体力は少ない。

と言っても一般女性と比べれば体力はある方だが。


で、大抵は体力的にやばそうだなと判断したところで俺がおんぶして走ってる状態だ。

メンバーの中では俺が一番体力とパワーがあるからな。

そのたびにアンは申し訳なさそうにしているが気にしないで欲しい。

と言うより、むしろお礼を言いたい。


まぁ・・あの豊満な胸がこれでもかと言うほど押しつけられてる状態だからな・・・これは不可抗力だ。

そして、アンがそのたびに幸せそうに俺の背中に頬をすりすりしてたり自分から胸を押しつけてたりするような気がするのは、気のせいと言うことにする・・・俺のことを兄と思って慕ってくれてるんだろうしな。





で、野営時

「にしても、以外だったわねぇ・・」

「何が?リリ」

「だってさ、イリス様があれほど強いってことよ。」

「あぁ・・・確かに。体力とか力勝負とかそういうのは年相応と言うくらいだが、あの技術と魔法の行使はすさまじかったな。まぁ・・・見た目が異常に若いから実年齢は正直よく分からんが。」

正直20歳ギリギリいってない位にしか見えないほど若く見える・・そういえば、ペチュニア様も写真でしか顔は見たことないがそんな感じだったな。

フリージアの年齢からすると30歳前後だと思うんだが・・聞けない・・。


「まさしく防御と遠距離攻撃の魔法と遠距離の物理攻撃・・イリス様の魔法と使う武器の相性が良すぎるわ・・アレは。」

「そうだよね。でも、すごくきれいな魔法だよね。」

「それは思った。イリス様もすっごいきれいな人だから余計にきれいさって言うかそういうのが増すよな。」

「と言うよりも、あの魔法は正直みるのは初めてだったな。俺は最初見たときは氷魔法かと思ってたが。」

「うんうん。冷気とかが全く無い氷魔法って珍しいなぁとか、冷気を出さないようにコントロールしてるってすさまじすぎるとか思ってたらまさかの”結晶魔法”なんだもの。」

「確か土魔法の上位にあたるんだっけ?」

「確かそのはずだぞ?」


イリス様が行使する結晶魔法は、名前の通り結晶を自身が思い描く形で作り出す魔法だ。

見た目は氷魔法と同じだが、氷ではなく結晶だから冷気なんてないし、熱で溶けることもそうそうない。

あるとしても破壊するか、超高温で熱するかだ・・・熱するほどの炎を扱えるほどの火の魔法に優れた人はそうそういないと思うが。


イリス様が言うには、結晶と言うより水晶を創り出す魔法らしく、純度を高くすればするほど硬度が増す分、込める魔力量も必要らしい。


おまけに、イリス様が得意とするのは弓矢だ。

自身の身長と同じ長さの弓は、実は仕込みがあり、両サイドから刃を出すことも出来るため、両サイドに刃のある薙刀のような、両側に刃のある反りのあるヤリのような形になる。

そちらの技術も非常に上手く、純粋な技術だけなら手も脚も出ない。

そして、弓の技術だが、イリス様の集中力と技術はそのヤリ?薙刀?よりも得意らしく、狙った相手は100メートルほどであれば百発百中と言えるほどの命中率。

それの9割が的のど真ん中を狙えるほどだ。


その弓の矢だが、イリス様の結晶魔法で矢の形で結晶を生み出し、それを使う為、魔力が切れない限り矢の補充の必要もなく、矢を取り出し、構えてという動作が一切必要なくなる。

矢を弓で構える状態でその位置に創り出すだけだからな。




で、非常にすさまじいことにイリス様は体力はそこそこで力とスピードが若干劣る代わりに魔力量がすさまじい・・普通にSを超えているらしい。





「イリス様の場合は、命中精度とかがすさまじいから全く油断出来ないし・・敵にはしたくないタイプだ」

「確かに」

「でも、さすがフリージアちゃんのお父さんだなあって私は思ったわ。」

「あぁ。そういえば、魔法はかなりの才能があるって話しだったなフリージアは。」

「それに、ペチュニア様もそうだったから」

「究極の魔法のハイブリッド・・・やべぇ。フリージア、魔法の才能の塊だ。」

「仲間も増えて、実力もつけてるらしいから再開するときまでに頑張らないと私たちが守られちゃいますね。」

「あぁ・・否定出来ない・・。」

「うん・・・頑張ろう」

「だな。・・・それで1つ思ったんだが・・」

「どうしたのダン?」

「フリージアのあの噂・・どう思う?」

「あのって・・・あぁ、”神子様の逆鱗に触れると神子様の影に潜む守護神様によって神罰が下る”って話し?」

「あぁ・・確かに神子様と神の娘、愛娘とか呼ばれているが本当なのかどうかちょっと気になってな」

「絶対ないと言いきれないのがフリージアちゃんですよね・・実際人でも人じゃなくても相当愛されてるみたいですし。」

「後は、影に潜むタイプの獣魔・・あぁ、家族が増えたとか?」

「可能性としてはそれがあり得るよな・・まぁ、怒らせないと被害は無いし、その辺りはおいおい・・だな。」

「そうですね。」






そんな感じで俺たちは休憩はそこそこに先に進むことを優先する。

戦闘も避けられる範囲は避けるようにし、休憩時間も出来る限りムリをしないギリギリの時間の長さにする。

今回は、鍛えるためではなくスピード優先で対応しているからだ。


これは、護衛として危険を避けることを優先させることが大事なため、その練習のようなモノだ。

護衛対象がいる状態で敵がいるからと言って突っ込んで殲滅では、万が一を考えるとよろしくない。

隙を見てやられるなんてこともあり得るし、戦闘中は護衛対象から離れることになるし、護衛も手薄になるからだ。



そんな俺たちの戦闘陣形は、アンとリリが遠距離、中距離で俺、近距離でゼルだ。

その中で、俺は全体のフォローをしつつ指揮を執っているという理由と、アンとリリの護りでもあるからだ。

ゼルは近接戦闘メイン、リリは遠距離攻撃メインと、ゼルのフォロー、そしてアンが全員のフォローだ。

細かく言うと、ゼルが戦場で大暴れし、俺が撃ち漏らしの対処という感じだ。

もう1人指揮を執れる奴がいれば俺も近距離として戦闘に加わってもいいのだが、遠距離攻撃の相手を狙うというパターンは戦闘面ではよくあることだ。

そうなると俺は離れるわけにはいかない。

例えリリもアンもそれなりに戦えるとしてもそれは魔法メインだし、リリは剣術を学んではいるが、魔法と剣術を両方同時にやりつつアンを守るなんて芸当はまだまだ難しい。

と言うよりも、リリは、アンを護りながら戦うという役割だからこそ、ムリして魔法で戦いながら剣で戦うなんてムリはする必要はないと伝えている。






で、そんな感じで進みつつ道中にある町や村には、材料の調達をする程度で泊らない。

基本的に野営をメインにしているからだ。

理由としては、イリス様から向かっている最中の宿でのお泊まりは禁止というちょっとしたルールを言われているからだ。

特訓の一部ってことだ。

そして、帰りは宿に泊って問題ないと言われているし、帰りは急ぐ必要はないから羽を軽く伸ばしておいでとも言われている。


ざっくりというと、行きはスピード解決、帰りは急ぐのもそこそこに旅を楽しめば?という感じだ。





魔物との戦闘を何度か避けきれずに対処したりはあったが、盗賊などのようなアホどもはいなかった。

で、俺たちは到着したのだが

「アレ、だよな?」

「えぇ。城壁に囲まれた花畑・・・言われたとおりですし。」

「・・イリス様が言ってた我慢しなくなったってあぁ言うことなんだな・・。」

「モノの見事に山積みね。」

到着はした。

場所も間違いなく流星の里だった。

けど、入口脇辺りに大量の人が山積みになっており、その上に1人の青年がたたずんでいた。

両手にガントレットをつけている様子からおそらく闘拳士やそういう武器を使わない類いの職業だろうな。

あと、ものすごい強面だ。


・・人のことは言えないがな・・俺も世間的には結構も強面だし。

「ダンさんは格好いいですよ!」

「アン、ありがとうな。」

「えへへ//」

軽く落ち込んでたらアンが慰めてくれた。

素直にうれしかった。

それはアンも同じらしくぎゅっと俺に抱きついてすりすりと頬をこすりつける。


「・・・好き」

「ん?何か言ったか?」

「な、何でも無いです!」

「そうか」

気のせいか?






で、アンがさすがに人前でおんぶは恥ずかしいと言っておろしてからそんな彼の下へ向かった。




近づくとその山がかなり高い山だと改めて認識する。

「これ・・結構大規模なグループっぽいよな?」

「3桁単位でしょうね。ほぼ確実に」

「ん~あ、名前忘れましたけど彼ら指名手配してる賞金首のメンツですよ。」

「言われて見ればそうだった気がするな。」

「確か、何かしらやらかして追放されたりした元騎士とか元冒険者とかの荒くれ者たちが集まったグループで、強欲で残虐非道って言われてたはずです。」

「あぁ、思い出した。”アバリシア”ってグループだ。各地を巡ってるせいで拠点がなく、とらえるのが非常に大変だとイリス様が言ってたグループだ。」

「それですそれです。・・そのグループがこうもあっさりと山積み・・。さすが魔法の探求者の子孫の方々。」

「お?俺たちのことを知ってるのか?姉ちゃんたち。」

人の山の上から降りてきた強面の青年。

「軽く自己紹介だな。俺たちはクラリティ王国から任務でやってきたヴァニタス、リーダーのダンだ。順番にメンバーのリリ、アン、ゼルだ。」

「おう。あんたたちは問題なさそうだな。俺は、ご存じと思うが、魔法の探求者の子孫のフォルシェンファミリー。俺は、この家族の一番年下でギリって言うんだ。よろしくな。」

「あぁ、よろしく頼む。」

「ここで立ち話もアレだし、来いよ。対したもてなしは出来ないがな。」

「気にしないでくれ。こんなきれいな花畑を拝めるだけでも十分来たかいがあった。」

「気に入ってもらえて良かった。こっちだ。」


俺たちは、ギリの案内で花畑の中を進んでいく。

ちなみに、あの山積みになった賞金首たちだが、毎日様子見に巡回してくる冒険者たちがいるらしく、彼らに丸投げしているんだとか。

彼らは、ここの花畑を気に入っているからこそ、こういうことをしてくれているらしく、処分した後の金などもわざわざ食料や備品などに買い換えてから持ってきてくれているんだとか。

その分報酬としてその賞金首の半額は渡すようにしているらしい。

まぁ、だいたいは3割ほどしか受け取ってもらえてないらしいが。




ここの花畑は見渡す限りどこまでも広がっているが、人が2人ほど並んで進めるほどの幅の道があちこちに網目状に広がっている。

なるほど、こうすれば花畑を踏まずに進める訳か。




「んで、ここが俺たちが住んでる家だ。まぁ、あまり広くはないがな。入ってくれ」

1家族である5~6人が住むなら十分の広さのある2階建ての建物だ。

「じいちゃん。お客さんだぜ?」

「・・大丈夫なんじゃろうな?」

「しっかり確認してるから大丈夫だって。それにここの花畑を気に入ってくれてたし、普通に自己紹介してくれてたし。」

「ふむ。なら良いじゃろう。お前さんたちも適当に座りなされ。靴は脱ぎなさい。」

「失礼致します。」

部屋の中は和風とか言われる土足厳禁な場所だった。

あまり経験したことのない部屋だな。

でも、どこかホッとするな。



それから、部屋には俺たち4人と、ギリの家族の祖父と両親の計4人が揃った。

祖父は、バレク

両親は父がリード、母が、クリアと言うらしい。

そして、その息子であるギリ

ファミリーネームは、”フォルシェン”


祖父であるバレクさんは、かなり鍛えられていると分かる筋肉のあるがたいの良いおじいさんだ。

リードさんは、逆に細めで鋭い雰囲気だが脚を中心にかなり鍛えられているし、クリアさんはおっとりとして優しそうで見た目はとても華奢だが、内包している魔力はえげつない。


うん・・間違いなく魔法の探求者の子孫たちだ。

魔法よりも肉弾戦特化になりかけてる気がするが気にしないことにしよう。



「それで、おぬしたちがここに来た目的を教えてくれるかのう?」

「俺たちは、クラリティ王国第一王子であるイリス様からの依頼でここにやってきました。内容は、フリージアがかつてここにあった町でどのような目にあっていたか、どのような人物と町で言われていたかの再確認です。」

「っ!」

「本当のようじゃな。その名を知っておるし、どれほどひどい状況だったかも分かった上で訪ねに来たのじゃな?」

「はい。後個人的な要件もありまして・・・」

「なんじゃ?まとめて言いなされ」

「俺たちは、フリージアのために戦い、フリージアを守るために今イリス様の元で鍛えている最中です。それで、ペチュニア様の墓参りをしたいと思いまして・・。お願いします。」

俺たちは全員静かに頭を下げた。

「頭を上げなさい。」

言われたとおりあげる。

「お前さんたちは、フリージア様と直接の面識があるのじゃな?」

「はい。」

言ってないのにどうして分かったのだろうか?

「分かるよ。目を見ればわかる。お前さんたちはフリージア様の過去を知って憤っている。そして、ペチュニア様に意思表示にでも、お礼にでも来たのじゃろう?」

「おっしゃるとおりです。」

すげぇな。

ぴったり当たってる。

「じゃあ、早速だが、ペチュニア様の元に参るとするかい?早く行きたのじゃろう?」

「気を使ってもらって申し訳ありません。」

「気にせんでよい。ペチュニア様はとても明るく、楽しいことが本当に好きな方じゃった。故にな。儂らも毎日ペチュニア様の元に向かい、今日あったことを色々と話すのじゃよ。騒がしいことをとても好んでおったからのう。」

「俺は、あまり面識する頻度は少なかったが、それでも会ったときはかなりよくしてもらったもんさ。何と言うか、姉ってあんな感じかなと思ってた。」

「かなり強引な性格じゃったがな。確かにそんな感じじゃった。いつも笑顔の絶えないとても良い方じゃった。ついたぞ。」

そこには、とてもシンプルに十字架のお墓があった。

その場所は、他の場所に比べて若干高い場所にありこの里の入口と比べると5メートルほどの高さだ。

「シンプルで意外じゃろう?」

「えぇ。てっきりもっと豪勢にしているのかと・・・かなり慕っていたと伺ってたので。」

「敬語じゃなくて良いぞ。」

「ありがとうございます・・では、ペチュニア様をかなり慕ってたと聞いたからさ。」

「それでよい。ペチュニア様はそういう豪勢とかそういうのは堅苦しくて鬱陶しい邪魔、嫌いとはっきりと何度も言っておったからなぁ・・。」

「なるほど。なんとなく気持ちは分かる。」

「そういうことじゃ。ペチュニア様、フリージア様のご友人ですよ。」

俺たちは、順番にお墓の前で祈りを捧げながらどんなことがあった、どんなことをしたとフリージアとのやりとりや今までの行動などを話した。

4人それぞれが話したから半分くらいは被っているがその辺りは軽く流して欲しい。

こうした形でもペチュニア様と話をしたいと思ったのは俺を含む4人全員なんだから。


一通り話し、決意を示した後俺は

「ペチュニア様、俺たちはこれからの人生をフリージアのために捧げたいと思ってます。フリージアの障害となるモノを排除し、フリージアの笑顔のために世界を敵に回します。その決意をペチュニア様を示す証である流星に誓います。俺たちパーティ”ヴァニタス”は、クラン”ポレール・ジュレ”を設立し、フリージアを世界から守る部隊として日々の研鑽を積むことを誓います。」

そう

俺たちは、ポレール・ジュレというクランの名にした。

これもイリス様経由で教わったことだが、ポレールは異世界のどこかの国の言葉でとある星を示す言葉で、ジュレは、誓いを示す意味らしい。

とある星は何かと聞くと、夜空に一番最初に輝く星空の中で最も強い輝きを持つ星のことらしい。


それで俺たちは、その一番星をフリージアと見立て、ペチュニア様の証である流星に誓う。

ヴァニタスの信条が先入観を持たない、周囲の意見を鵜呑みにしないだが、

ポレール・ジュレは、一番星であるフリージアを守ることを信条にする。

そして、流星に誓うは俺たちの意思の表れであり、俺たちが進むべき道を誤らないようにするための言葉。

俺たちのクランは、流星に誓おう。

頑張って頑張って頑張り抜いたペチュニア様が安心して死後の世界で過ごしてもらうために俺たちがその代わりとしてフリージアをありとあらゆる障害から世界を敵に回しても守ろう。

その誓いを流星に誓う。



これから俺たちの合い言葉は、流星に誓うとなった。








「横で聞いておったが、本当にフリージア様の世話になったようじゃな。」

「そんなことないさ。俺たちは、確かにフリージアを助けた。けど、俺たちも逆に助けられた。俺たち自身も成長する良い機会になった。そうじゃなきゃ、今俺たちはここにいないし、クランを設立なんてしていないさ。パーティ名も決めずにのらりくらりしてたんだからさ。」

「なんじゃい、お前さんたちパーティ名を空白にしたままだったのかい。だがまぁ、健やかにフリージア様が過ごしていらっしゃるのならば儂らはそれでいい。・・今日はもう遅い、家に泊っていきなさい。」

「良いのか?」

「あぁ。部屋は余っておるからな。じゃが、部屋割りはこちらから決めさせてもらうぞ?拒否権はない。」

「え?」

「部屋は2部屋、1部屋ずつリリとゼル、ダンとアンじゃな。」

どこか楽しそうにそんなことを言い出した。

「え?え!?」

「家のルールとして、隠しごとはなし。それぞれで気持ちを全部ぶちまけなさいカッカッカ!」

えぇ・・・・何と言うか、ペチュニア様にどこかそっくり・・・実は親子じゃないだろうな?

血のつながりはないとはっきりと聞いてるが、親子と聞いて俺はそのまま信じるぞ?





そして、夕飯を食べ風呂を済ませてバレクさんと、ニヤニヤしている親子3人に俺たちは部屋に放り込まれた。


ご丁寧に鍵を外から閉められた・・なんで内側に鍵がないんだよ。



はぁ・・・仕方が無い。

実は話した振りをしてさっさと寝てしまおうとか、思ってたんだが、部屋の隙間から紙がすっと入ってきた。

「だ、ダンさん・・な、何が書いてあるんで・・すか?」

緊張でがっちがちになってるアンを優しく頭を撫でながらなだめつつ紙を読むと


-儂らに嘘や偽りは効かぬぞ?そんなことをすればおぬしたちの内心を適当に外にぶちまけるぞ?-


と書いてあった。

「ダンさん?何が書いてあったんですか?」

俺が固まっているとアンがそう聞いてきたからそっと渡した。

すると同じように固まった。



黙ってることかぁ・・・あるとすれば異性のあれこれだよなぁ・・・。

てか、それしかない。

アンも同じ意見のようだ。

顔の色が真っ赤だ。

「・・・で、なんでベッドがダブルベッド1つだけ何だよ。」

「うぅぅ//・・・よ、よし!や、やってあげるもん!」

「アン?」

「だ、ダンさん!!」

「お、おう!」

「わ、わた・・私・・・だ、ダンさんのことが・・・ずっと前から・・・その・・えと・・・・・す・・・好きです!!大好きです!!異性として大好きです!!ダンさんの子供が産みたいです!!」


・・・何か、最後にものすごいのが紛れてなかったか?


ツッコミを入れようにもアンは顔は真っ赤で緊張マックスという感じでこれは、ツッコミを入れても受け入れる余裕はなさそうだな。




・・・そうか。

アンは、俺のことを兄として慕ってるわけではなく純粋に好きだったんだな。

思えばアンはかなり積極的にアピールしてたのにな・・俺は鈍いなぁ。



俺は、優しくアンを抱きしめて

「あぁ、俺もアンのことが大好きだ。異性として大好きだ。こんな俺で良ければ今後の人生を一緒に歩んでくれるか?」

実はこのときに、俺の子を産んでくれと言いそうになったが、それを俺が言うとアンはオーバーヒートしそうだったから速攻で修正した。

「はい!よろしくお願いします!」

で、ギューッと抱きついて幸せそうにほおずりしている。

「アン・・結構今更だが・・当たってるぞ?当たってると言うより押しつけられてるぞ?」

そのリリが言うところのボインが。

「え?あ・・//ダンさんなら好きにして良いんですよ?そ、その・・ダンさんの硬いのも当たってますよ?」

仕方が無いだろう?

好きな相手が抱きついてて、ボインが押しつけられてるんだから。

「しょうが無いだろう・・アンは魅力的なんだから。」

「//ダンさん・・」

「どうした?」

「今晩は・・その・・・私を・・・大人にしてもらえませんか?」

「一応確認するが、意味は分かってるんだよな?正直俺は、理性を抑えるのがそろそろ限界だぞ?」

「大丈夫です。間違ってません、私の初めてをもらって下さい//」

俺は、そこでぷっつんしてベッドにアンを押し倒した。



翌日に部屋が色々とすごいことになって後片付けに苦戦したが、正直気持ち良かったし、アンもすごくかわいかったのでそれもまた良しと言うことにした。






-リリ-

アンの気持ちは分かってたし知ってたけど、ダンもなんとなくそうかなーって思ってたけど、やっぱり相思相愛だった訳ね。

・・・で、さっきから聞こえるぎしぎしというベッドの音とアンの嬌声・・アレ、部屋の中の音を外に漏れにくくする魔道具を発動しててこれって・・・相当ハッスルしてるわね。



で、目の前にはゼルが顔を赤くしたり青くしたりしてすっごいオロオロしてる。

正直な気持ちかぁ・・。


時折ストレスで暴走してアンをおいしく頂くことはあったけど、男性経験は皆無なのよねぇ。

正直、ゼルのことは私は好きなんだと思う。

明るくてバカをよくやらかすけど、どんな時も隣にいてくれて戦闘では敵に自ら突っ込んで守ってくれる。

それに、さりげなく私に優しくしてくれる。


「り、リリ」

お?

何か分かんないけど決意したようね。

顔はすっごい赤いけど

「リリ!俺は、リリのことを愛している!!これからの人生!俺と一緒にいて欲しい!家族として!!」


え・・・ゼルが私のことを好き?


じゃあ、ゼルがずっと好きだっていってたのって・・私?

私はゼルがずっと他の人が好きだからっていっぱい言ってたからあきらめようとしてたのに・・私のことだったの?

「わ、私なんかで良いの?・・私、暴走癖あるし、男らしいとか言われてるのよ?」

結構な頻度で暴走して暴れ回るから他の女性陣(赤の他人)からは男らしいって普通に言われてるほどで、男性陣(赤の他人)からも見た目とスタイル以外は中身がムリって言われてるのに。

「そんなことはない!俺は、自分にまっすぐでいつも活き活きしてるリリだから好きなんだ!!」

「本当に?」

「あぁ」

「嘘じゃない?」

「こんなところで嘘なんて言うかよ」

「ストレス発散でゼルにはいっぱいひどいことしてるのに?」

「特訓の延長戦だって思ってるから気にしてない。」

「アンを時折、おいしく頂いてるのよ?」

「その分を俺が全部受け止める。」

「良いの?私・・正直になっても良いの?」

「あぁ!俺が全部受け止める。リリのどんな気持ちも俺が!!」

「私・・・ゼルが好き・・」

「ホントに?」

「うん・・・ずっとあきらめようと思ってた・・・ゼルはずっと他の人が好きだって思ってたから・・・私のことだって気づいてなかっただけだったけど。」

「うん」

「私の思い・・重たいよ?」

「分かってるから大丈夫。」

「それと私・・性欲かなり強いよ?」

「どんとこい!俺は【精豪】持ちだし・・ずっと持て余してたから無駄になってたし、自分で処理するのも無駄に大量に出るから大変だったけど・・コホン。何でも無い。」

「良いの?我慢しなくて良いの?」

「しなくて良い。俺が全部受け止める。」

そして私はゼルを押し倒した。

「私、アンは食べたことあるけど男性とは初めて。ゼルは?」

「俺も初めてだよ。けど、初めては俺がリードしてとか色々と悶々としてたけど、リリに襲われる形なんだな。」

「私らしいでしょう?それとも、そんな私をめちゃくちゃにしたい願望ある?」

「無いとは言わないけど、リリに襲われる願望の方が強いかもな。」

「じゃあ遠慮なく。」

「え?いきなり?・・あ、アッーーーーーー!!」




翌日、ゼルがげっそりしてたけど、私はとても気分が良かった。

部屋の中はすごかったけど。


と言うより、ゼルってばアッチ・・すっごい//


癖になりそう・・というよりなってるかも。





-ダン-

翌日朝食を食べている俺たちだが、どこかぎこちない。

まぁ・・・俺とアンがヤッてる最中にリリたちの部屋からも同じような音がしてたから同じことをしてたんだと察してるが。




で、ニヤニヤしてるじいさんと親子3人が軽くうざい。


食べ終わった後、何事もなかったかのように俺は今回の依頼内容であるフリージアのことを教えてもらった。

かなり大雑把だったが。


と言うのも、詳細は、日誌として毎日気持ちを吐き出すために書き留めていたらしく、それらを全て譲ってくれたからだ。

冊数が10冊は優に超えているし、1冊1冊もかなり分厚い。





「じゃあ、またな。」

「あぁ、また来るよ。いつになるかはわからんがな。」

「そうだな。気楽に待ってるさ。」


そして俺たちは、クラリティ王国へ各地の町へ立ち寄りながら向かう。














「-と言うわけで、こちらが受け取った日誌全てです。」

「うんありがとうね。後で確認するよ。お疲れ様。今日はもう休んだら?明日からまたいつものスケジュールを再開するから。」

「分かりました。」

俺たちはその後、行きよりも急ぐのをそこそこに通りすがりの町で1泊ずつ泊りながらクラリティ王国に戻ってきた。







「ただいまぁ。」

「皆さんお帰りなさい。食事はどうしますか?下ごしらえまでは済んでるのですぐにでも作れますが。」

「じゃあ軽くお願いしようかな。」

「あ、アリスさん、私も手伝います。」

「ありがとうございますアンさん。」

俺たちはイリス様がいるあの城ではなく、その近くにある2階建てで部屋が10ほどあるなかなかの豪邸に住んでいる。

庭もそこそこ広いため、軽く稽古するにはちょうど良い広さだ。

そこには、カタクリの町から異動してきたアリスも一緒に住んでいる。

アリスは、ギルド職員だが並行して冒険者も時折やっている。

それもあり、俺たちと一緒のパーティではないが、俺たちのクランに加入している。


まず、アリスは俺たちがこの国に滞在することが決定したあの日から5日後にやってきた。

俺たちと同様に、あのドラゴンに攫われて。

その時に俺たちと違ったのは、空中でポイと捨てられるわけではなく、きちんと地上に降りて優しくおろしていたことだ。


・・なんとなく、アリスには絶対服従という雰囲気が醸し出されていたがあえて聞かないようにした・・なんとなく背筋がぞぞっとする。


それと、この豪邸だがここは俺たちがフリージアを助けたことを称したのに加え、これから俺たちがギルドでの依頼とは別にイリス様からの直接の依頼の報酬としてもらったんだ。

世間的には、教会の腕輪を授けられた幼女を善意で見返りを求めずに救ったことと、その他にも町の治安維持に大きく貢献したことを表彰されたんだ。

まぁ、協会側からのお礼がすさまじかったが。

理由としては、俺たちが助けたときはスラムの子供と間違えるほどひどい状態だった・・そんな子を善意のみで救ったことが原因だ。

後、イリス様からの報酬という部分に関しては、毎回依頼を達成するたびに褒美をもらうには毎日鍛えてもらっている俺たちにとっては非常に申し訳なかったことと、いつまでも城の一角を占領するのもいかがなモノかということになり、この豪邸を渡し、それ以降は相当大きな貢献をしない限りは報酬は食料や特訓するためのあれこれの提供だけと言うことになっている。


・・それらの提供だけでも正直すごくありがたいが。


一応言っておくが、食料とかに関しては俺たちが個人的に依頼を受け、その報酬でこなしてるんだぞ?

だから、毎回もらっている訳ではなく1ヶ月に1回適当な量をもらうという感じだ。


まぁ、アリスが言うにはフリージアが正式にこのクランに加入すれば冒険者に専念するため、ギルド職員は辞めるつもりらしい。

と言うより、正しくはギルドの補佐役のような立ち入りになるんだとか。

つまりは、冒険者として活躍しつつも、職員を見張り、教育するような立場だ。


一部からは、冒険者でありながらそんな役職だと職権乱用だとか色々と問題があると声が上がったが、イリスさんが

「彼女はあり得ないね。逆にそんなこと言う君たちの方が怪しく僕は見えるね。」

とにっこりと即答していた。


イリス様の人を見抜く力はこの国でもかなり有名なため、誰も言い返すことが出来なかった。


実際、アリスを慕う人たちは多く、彼女よりも先輩であるはずの職員たちも時折アリスに相談している状態だ。



ついでに説明しておくとアリスが扱う魔法は雷で、魔力はそれほど多くないが、技術は非常に優れているため、細かな操作がすさまじい。

そんな細かな操作で魔物の意識を錯乱させながら一気にドカンとやるため、意外と強い。

ステータスを見ただけで判断するには非常に難しい人物だったりする。


彼女の見事な金髪ストレートな背中の真ん中辺りまで伸ばしている髪は雷を扱っているときとあわせると非常に美しかったりする。

かなりの美人で、物静かで優しい雰囲気を纏いつつもクールで冷静な性格をしているのに加え、ほほえむと見惚れる奴らは多数のため、告白するメンツは結構多い。

だが、即答で拒否されるため、難攻不落とも言われている。

まぁ、無理矢理迫ろうとすると彼女による雷が物理的に襲い掛かるため下手なことをすると冗談抜きで死にそうな目に遭う。


で、チラッとアリスに好みのタイプはいるのか聞いたところ

「さぁ、どうでしょう?私の第六感が反応する人でしょうか?ふふっ。」

とのこと。

どうやら、直感というか一目惚れというかそう言う人物が良いらしい。




で、どんなことがあったかなどを夕飯を食べながらアリスに話す。

「今回の依頼はそうでしたか。いかがでしたか?」

「あぁ、すっごいきれいなところだったし、フォルシェンファミリー・・えぇっと、魔法の探求者の子孫たちもすごく良い奴らだったし。」

「実力もかなりのモノだったわ。直接見たわけじゃないけど」

「けど、ほとんど肉弾戦に偏ってる感じでしたよね・・あはは。」

「出来なくはないんだろうが、肉弾戦を好んだ感じだったな。」

「なるほど。彼らが良しとするなら良いのではありませんか?」

「それもそうだな。」

「アリスは、いつも通りギルドで?」

「えぇ。最近はほとんど職員の教育などがほとんどですよ。」

「本格的に補佐役として切り替えてるんだな?」

「えぇ。前々から話しは上がってたんですよ。各地を巡りながらそれぞれのギルドの監視と教育をお願い出来ないかと。」

「そうだったんですか?」

「えぇ。どうやら私は、他の人の意見に流されることもなく、私の意見もすんなりと通ることが多かったので。それと、いざと言うときは昏倒させるのも結構楽ですから。」

「そういえば、アリスさんの話しはどんなことでもあっさりと信じちゃったなぁ、私。」

「それと、アリスの雷は何か知らないけど防御しきれないんだよなぁ。」

「確かに。」

「ふふっ。なんとなく防御しにくい部分が分かるだけですよ。」

「そういうものか?」

「勘が良いらしいですよ?」

「そう言うモノか・・さて、そろそろ寝ようか。」

「だなぁ。明日も特訓だし。」

「充実してるが、かなり疲れるからなぁ・・頭も」

「確かに」

そして俺たちは、体をきれいにして歯磨きを済ませ早々に休んだ。

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