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お船の旅-交流会-

翌日

空腹で目を覚ますという最近の恒例行事で目が覚めてから身仕度をシャスティたちが嬉々として速攻でしてくれてから朝ご飯を食べに行きます。




で、やってきた場所はいつもの食堂です。

お船の中ですしね。

ここは、ちょっと前にも言ったようにおっきなお部屋にたくさんのテーブルを並べるタイプと、その奥に個室がいくつかある感じなので最初に目に入る場所はたくさんの人たちがご飯を食べていたり、ちょっとだけご飯を作っているコックさんたちの姿くらい。

後は、入口で案内とかしてくれる店員さん(ここだと船員さん?)たち



いつもならここにやってくると多少は静まりかえるんですけど、それでもある程度は声が聞こえてるんです。

おしゃべりとかの



何を言ってるかと言いますと、


・・・うん。

ご飯を作っている音がカチャカチャ、ジュージューとなっている以外は一切音がありません。

そして、全員のおめめが私に向いてます。


そっと扉を閉じました。

{カルナ・・昨日より静かでみんなどうしてこちらを見るのでしょうか?昨日と何か私・・変わりましたか?}

「ん~。特に変わってないけどな。」

「にゃう(とりあえずもう一度開けてみましょう)」

(コクリ)

シャスティに言われてもう一回扉を開ける。



パタン



やはりみんなこっちを見てました。

そして、やっぱりご飯を作ってる音以外は何も聞こえません。


「リア様・・とりあえず、スルーしましょう。特に害はないでしょうし、相手をする暇が面倒ですし、お腹も空いたでしょうしね?」

(コクリ)

それもそうですね。


で、再度扉を開けるとやはりたくさんのおめめが私に向いていてお料理を作ってる音以外は無音です。

ラウさんは問答無用で

「個室の大部屋へ案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「っ!は、はい!か、かしこまりましたぁ!」

にっこりとほほえみながら目が笑ってないという器用なことをラウさんはしながら丁寧に言いつつも強引に案内させてました。



ご飯はいつも通りおいしかったですし、お腹一杯になれたので満足でした。





「さて・・・どうするか・・」

「あの注目ですよね・・何があったというのでしょうか・・・はぁ。」

とりあえず気にせずにお部屋に戻ってのんびりしましょうかとか考えつつ食堂を出ようとしたら食堂にいたお客さんたちが全員なぜか地面で正座をして私たちの進路の邪魔をしていました。



「はぁ・・何をしているのでしょうか?」

「えっとな・・予定だと船は明日の昼過ぎには到着するだろう?」

「らしいですね。」

意外と早いですね。

どうやら春の大陸まで結構近いところにあったことと、海の流れが良い感じになってた?とかで思いの外早く進んでたらしいです。

「で、どうせなら今日1日くらい交流会というか、飲み会というか集まって軽く騒ごうかってことになってな?それで、どうせならお嬢ちゃんたちもどうかなってことになったんだよ。」

「はぁ・・そういうことなら早く言って下さい・・まったく・・」

「あはは・・スマン。何と言うかそういうことに気楽に誘えるほど仲が良いわけでもなかったし、そういうのに誘っても大丈夫なのかと悶々としててさ・・。」

「リア様、いかが致しますか?」

{どうする・・とは?}

「ご飯を食べたり飲み物を飲んで楽しみながら色んな人たちとお話ししたり技を見せ合ったりするんですよ。」

(コクリ)

「かしこまりました。良いですよ。」

「そうこなくっちゃな!場所は、一番でっかい大広間を間借りしてる。おまけで廊下側の壁と扉も取っ払ってるから更に広いぞ?」

「そんなことして大丈夫ですか?」

「あぁ。そこの大広間の廊下側の壁と扉は元々取り外せるようになってるんだよ。それに、その周辺は騒がしいのが苦手なメンツは近寄るなって言ってるから問題なし。まぁ、そんなメンツはそうそういないがな。むしろその場で商売をしようとか考えてるのもいるから・・そういう癖のあるメンツばっかなんだよ。がっはっは!」

「・・やはりそう言うグループが固まってるんですね。・・この船でお会いした方々も非常に愉快と言いますか個性的と言いますかそんな方々ばかりでしたし。」

「だろうな。普通はこういうことなんてなかなか無いからある意味運が良いんだな。」

「でしょうね・・毎回そんなことになっていては船員さんたちが大変でしょうし。」

「違いない!がっはっはっは!とりあえず、会場に行くか!実は船員たちも交代で休憩しながら参加するらしいからな。各自で材料は調達済みだし、現地で調達してたりもするからな色々あるぞ?」


そして、私たちは大広間へやってきました。



そこは既にすごいことになってました。

屋台?という簡易的な建物すらなく、地べたに鉄板を敷いてお料理してたり、マットのようなモノを敷いてそこにモノを並べて売買をしてたり、買ったモノをそれぞれが交換しつつ食べ合いながらだべってたりと。


カルナが言うところのフリーマーケットと自宅の飲み会を混ぜ合わせたような非常にはっちゃけた状況です。

なんとなくお母さんが生きてたら好きそうな雰囲気だと思うなぁと思いつつ。



で、その中でボッカンボッカン爆発音がしてたり(多分ポン菓子の?)、とても楽しそうな高笑い(お絵かきしてる人かな?)が聞こえてたりする。

そして一部では歓声。(ピエロさんのかな?)



「何このカオス」

カルナがぽつりとつぶやく。


「お!主役のお出ましだぁ!」

そんな声が上がると同時に

「おぉ!キタキタ!こっちこっち!おいしいのを色々と揃えてるよ!」

おいしいモノとな?

それは行かねば。



と、ホイホイされてその場へふらふらと近寄る。

ラウさんたちも苦笑いしながら付いてくる。


普通なら流されるなとか食べ物につられてどこかに行くなとか言われるんですが、私の目の力と体質のことを十分知ってるから大丈夫と判断してるようです。

おまけに毒とか入ってても勘で避けることが出来るしね、精霊樹の巫女の力で。




で、ホイホイされた場所には新鮮なお野菜が食べやすいようにスティックにしてあり、近くにはそれらに使うドレッシング。

そして、色んなお肉やお魚が鉄板で焼かれているまさしくバーベキュー。

その近くには、色んなデザートも揃えられている。


なんて幸福な場所なんでしょうか。


で、そこに集まっていたメンツはこの船で出会った人たちとお姉さんたちと船員さんたち。

餌付けされつつももぐもぐしてたんですが、周囲の人たちは非常に濃い性格だったらしいです。

らしいというのは、カルナたちがそう言ってるから。



「はいあ~ん。」

お姉さんその1(ゆるふわな赤い髪のCなおっぱいさん)が焼けてほどよく冷めたお肉を私にそう言いながら差し出してくるのでそのままぱくり。

おいしいですね。

お味噌?という調味料をそのお姉さんはどこかで購入してたらしくそれをつけてくれてたようで、おいしいです。

ここで使っても良いのかちょっと疑問でしたが、買うときに色々と騒動があったらしくお詫びとしてエグい量をもらったんだとか。

で、もぐもぐしてると

「あぁんもう!!かわいい!!」

「ハイハイ!あ~ん!」

お姉さんその2(水色の髪で毛先だけがくるんしてるBなおっぱいさん)がトマト?とかいうお野菜を渡してきたのでそのままぱくり。

んー

この酸味と歯応えは、お肉を食べた後に良い感じですね。

「キャー!!かわいいぃぃ!!!」


その後も、気づけば自分で食べることなく合計6人のお姉さんたち(お胸のサイズも髪の色も髪の癖も色々でした)が、私にあ~んさせてはキャーとうれしそうに声を上げるを繰り返し、その間そのお姉さんたちに順番にお膝に抱っこされ、撫で回され抱きしめられてを繰り返してます。



で、ラウさんはさりげなく気配を薄くしてそれらの騒動を避けつつ色んなのを食べ周り

ハディちゃんは、私の近くでお兄さんたちに餌付けされつつ、尻尾で力比べをしてます。

ハディちゃんは力持ちさんですからね、全戦全勝ですよ?

シャスティも同じく私の近くでご飯食べてますが、こっちは仕方が無いなぁって感じで私を撫でる順番待ちなお姉さんたちに撫で回されてる。

翠ちゃんとラナちゃんはいつものように私にくっついたままで、翠ちゃんは私同様お姉さんたちに餌付けされて楽しまれてる。

カルナは、私のそばにいつつも色んな人たちとお話をして楽しみつつ色んなのを食べてる。




そんな光景を、あの絵描きのお兄さんがフハハハハ!と高笑いしながら私たちの姿や周囲の光景をお絵かきしていて、

占いのおばあさんは、なぜか若いお兄さんたちを占いながらアドバイスしたり慰めてたりする。


ポン菓子のおじさんはポンポンとせっせとお菓子を作りながら周囲を盛り上げつつ商売をしてる。

ピエロのお兄さんは、なぜか天井を駆け回りながらご飯を食べつつサーカス中。


そんな中で1人、7割くらい寝てる状態でご飯食べてるお兄さん・・・あれ?

あのお兄さんってこの間夜に楽しそうに壁を駆け回ってたみんなの安眠?を守るーって言ってた人だ。


「あぁ、彼が気になる?彼は気にしなくていいわよ?元々夜型の子らしいし、特にアレで問題があったり犯罪に巻き込まれたりとかは全く無いらしいし。」

そう言うモノなんですね。


「はい、あ~ん」

あ、次はお魚ですか。

もぐもぐ






「・・・って、ちょっと女性陣ストップ!」

「何よ・・・癒しの時間を邪魔しないでくれる?」

あ~ん、もぐもぐを繰り返してると1人のお兄さんがお姉さんたちをストップした。

非常に不機嫌なお姉さんたちのジト目(ささやかに殺気付き)に軽く逃げ腰になりながら。

「いや・・気持ちは分かるけどさ・・お嬢ちゃん、結構な量を食ってるから大丈夫かって心配になったからさ・・。」

「そういえば・・・」

「言われて見れば・・」

「それなりの回数あ~ん出来てたわね。」

「私たち全員で」


「えっと・・・フリージアちゃん・・お腹大丈夫?」

「ぽんぽん痛くない?ムリしてない?」

(?)

ムリとは何を?

とコテンと首をかしげてると

「あぁ・・・もう//かわいいなぁ!!!!」

「気持ちは分かるけど落ち着きなさい。」

「はっ!あまりのかわいさに!」

「気持ちは分かるわ!」

「でしょう!?」

「いや、だから落ち着きなさいって。・・気持ちはすっごい分かるけど」

「あ・・失礼・・ホントに大丈夫?お腹いっぱい?」

(フルフル)

まだいっぱいじゃないですよ?

まだまだ食べれますよ?


最近たくさんご飯が食べられるんですよね。

不思議なことに。


「ムリはしてないみたいね・・無表情だからよくわかんないけど。」

「無表情でも超絶美幼女だからモーマンタイ!!」

「それは当然!」

「気持ちは分かるけど、だから落ち着きなさいって。」

「フリージアちゃん、ちょっとお腹触るわね?」

(コクリ)

「んじゃ失礼して・・・ほわぁ//プニプニ、すべすべ//」

「いいなぁ・・」

「まじめにやりなさい。」

「はっ!・・・・ほう」

「・・・どう?」

「ホントにいっぱいじゃないみたい。」

「え?」

「幼女にしては結構な量を食べてたわよ?」

「でも、パンパンにふくれてるわけでもないし・・というよりまだ余裕はありそう」

「ホントすごいわね・・色んな意味で」

「じゃあ、気にしなくていいわね。」

「お腹いっぱいになったら言うのよ?」

「いらないならいらないって拒否して良いんだからね?それもまたかわいいから是非!言ってね!?」

(コクリ?)

よくわかんないけど分かりました。

頷きつつも首をかしげてると

「キャー!!カワイイィィ!!」

「もうかわいすぎる!!」

お姉さんたちはとても楽しそうでした。


「はいあ~ん」

あ、次はたこさんのすっぱいやつですか。

これはこれでおいしいですね。

もぐもぐ。



「好き嫌いしないのもホントすごい良い子だわぁ。」

「それに、食べさせてる状態でもすごく上手にこぼさずに食べてるよね。」

「保護者の育て方が良いのよ。それに、フリージアちゃんも良い子だし。」

「確かに!」

「はい、次私が抱っこ!」

「はいはい。」

「はぁ//この抱き心地が最高の癒し//」



「って・・あれ?」

「どうしたの?」

「えと・・フリージアちゃんきれいな腕輪ね?」

(?)

腕輪?

あぁ、教会の腕輪ですね。

「これ・・・・もしかして・・・教会の腕輪だったり・・する?」

(コクリ)

「マジかぁ・・・」

「ってことは・・え!?フリージアちゃんってあの神子様!?」

「え!?マジ!?」

「あ!言われて見ればそうじゃん!」

「何が?」

「噂に聞いた通りってことよ。」

「えぇっと確か・・・脚が3本のカラスと尻尾の長いブルームーン色の猫を連れた黒い髪の超絶美幼女で、無口無表情・・・・・」


「・・・・」

「・・・・」

女性陣「まんまじゃん!!」

「なんでわからなかった私たち!」

「聞いたまんまじゃん!!」

「それに、シスターさんたちがあれほど力強くあれ以上にかわいい生き物は存在しないって断言してた理由はすっごいわかるわぁ・・・。」

「後、ついサービスしたくなるって言われるのもすっごいわかる。」

「実際私たち今やってるしね。」

「てさ・・」

「ん?」

「そんな神様の愛娘と呼ばれてる教会の秘蔵っ子を猫かわいがりしてる私たちってさ・・すっごい罰当たりなことしてる?」

「・・・」

「・・・」

「・・やっぱりそう思う?」

「て、なんでそれを早く言わなかったの!?」

「だって!わかってても!!わかってたけど!!我慢できなかったんだもん!!こんなかわいい生き物を目の前にして抱っこもあ~んも我慢できた!?」

女性陣「無理!」

「でしょう!?」


「あぁ・・とりあえず落ち着け女性陣。それと、無礼とかそういうのにはならないから。むしろほどほどにかわいがってあげてくれ」

「あ、噂通りしゃべれるのね。カラスさん」

「まぁな。リアは過去に色々あって甘やかされるっていうのを全く知らないからその分かわいがってやってくれ。」

「色々・・・」

「その・・言いにくかったらいいんだけど・・フリージアちゃんのご両親は?」

「父親は知らんが、母親は難産でな・・」

「あ・・」

「それで、カラスさんが保護者を?」

「保護者というより教育係兼護衛って感じだな。保護者ってそれを世間では言うのかもしれんが、俺たちでは甘やかすにも限界がある。人のぬくもりは教えることはできないからな。」

「うん・・」

「ってあら?フリージアちゃんおねむ?」

カルナとお姉さんたちがおしゃべりしている最中私はお腹も程よくいっぱいになりウトウトしてました。

「翠、さっさと口の中きれいにしてやってくれ。」

-はーい-

翠ちゃんがササっと体の一部を私の口の中に入れて歯磨き代わりに汚れを溶解してくれました。

-サクッとかんりょー-

「サンキュー、リア、我慢せず寝な。おひるねのじかんだろ?姉ちゃんたちも悪いが・・」

「良いわよ?むしろ喜んで」

「ありがたい。そういうわけだ気にせず寝な?」

(コクリ)

促されるがままに私はお姉さんたちに抱っこされたまま眠りました。








-カルナ-

「ヤバいわぁ・・寝顔も超絶かわいいわぁ//」

「普段は無表情だけど、寝てるときはどことなくあどけない感じね。」

「ねぇ、カラスさん。詳しくは言わなくていいんだけど、フリージアちゃんって過去にかなりきっついこと経験してたりする?しゃべらなかったり片腕なかったりするのって・・」

「してるな・・たぶん、リアじゃなかったら誰であろうとも確実に自殺してるか精神が壊れてるだろうな。」

「・・・・」

「カラスさんたちが過保護なのもなんとなくわかったわ・・」

「だから俺たちは、リアに幸せを知ってほしくこうして旅をしているんだ。」

「そういうことね・・・それだったら、クラリティ王国は良いところよ?」

「あそこは書籍関係がすっごく多くて有名だし、教会もすっごい大きくて大聖堂って言えるレベルなのよ。」

「なら、大聖堂じゃないのか?」

「えぇ、大聖堂な建物で、普通の教会よ?その分、中の一部は図書館みたいになってるのよ。」

「教会と図書館は別々じゃないのか?」

「本の管理を教会がしてるのよ。持って帰ることも借りることもできないけど、その場でなら好きなだけ読んでいいってことになってるし、かなりの種類があるから王立図書館って名前がふさわしいレベルよ?」

「それで教会が大聖堂レベルになってるのか?」

「そういうこと。」

「ほかにも、あの国っておっきな学園があるのよ。」

「学園?」

「そうそう。10歳から入学出来るとこで5段階に段階を分けてて、1つの段階ごとを1年経験して、一定基準をクリアしたら次の段階に進んで、5段階をクリアしたら無事卒業ってわけ。」

「最速5年間か・・何を学べるんだ?」

「文字の読み書きから計算、地理とか魔物、植物、過去の偉人たちについて、それと実践練習ね。」

「最初のあたりは把握した。実践は具体的にわかるか?」

「えぇ。1段階・・学園では1年生って言い方になるんだけど、1年生の段階では基礎中の基礎を学んで、2年生から肉弾戦と魔法戦、回復やサポートの大きく3段階と、戦闘自体をしないで使用人とかギルドの職員とかシスターさんとかそういうのを学ぶ全部で4つに分かれるの。その先は学年が上がるごとに非戦闘の方は細かく分かれるらしいけど詳しくは知らないわ。戦闘の方は魔力の量とか実力の合計でいくつかのクラスに分けてるらしいわ。教え方が変わってくるとかで」

「なるほどな。」

「だから、フリージアちゃんのお友達を作る機会としても、いろんなことを学ぶいいところと思うわよ?」

「それに、学園へ通ってる間はそこの教師とか学園で教えているメンツが守ってくれるからある程度の安全は確保できるわ。身分とかガン無視するっていうのが学園の基本だし。」

「へぇ。クラリティ王国以外で学園ってあるのか?」

「あるらしいけど、クラリティ王国が一番人気よ?王立図書館並みに本が揃ってる時点でなんとなくわかるでしょう?」

「なるほどな。」

「入学するときに、簡単な試験があるらしいけどね」

「試験?」

「どのくらい勉強できるかとか、どのくらいの実力があるかとか、学ぶ気があるのかって判断するためっていうのと、志望する人数が多いからふるいにかけてるってわけ。」

「なるほど。」

「フリージアちゃんなら年齢はともかく、今の段階でもいけると思うけど」

「そうか?」

「えぇ。町での噂をちらっと聞いてたけど当たり前のようにできてたあぁいうのの軽い延長戦レベルだもの。」

「まぁ、油断させないさ。」

「じゃあそこに通わせるの?」

「一応予定だ。フリージアが通いたいと言えばだがな。後は、あの国には一度寄っておきたいんだ。そこで誰だから知らんが会う予定の人がいるんだ。」

「へぇ。そこから先は個人的な部分だろうから聞かないわね。」

「そうしてくれ。結構プライベートな部分なんだ。」

「・・っていまさらだけど、カラスさんホント物知りねぇ・・・というより、賢すぎ。」

「さすが教育係。」

「それ聞き飽きた・・」

「察した・・あっちこっちでそう言われてたわけね。」

「しょうがないだろう?見るもの聞くこと何もかもがリアにとっては初めてのことだし、見て聞いたときに教えるのが一番頭に入るだろう?そのタイミングを逃すわけにはいくかよ。」

「あぁ、確かに。」

「教えるのもタイミングも素晴らしいわね。」

「さっきまであっちこっちで情報収集してたっぽいし。」

「情報は戦いでもそうじゃなくても重要で大事だからな。万が一の場合を想定するためにもまずは情報が必要だしな。」

「おぉ。カラスさんみたいな頭のいい子が家のメンバーにいてくれればいいんだけど・・」

「そういや姉ちゃんたちは女性だけのメンバーなのか?・・みんなしっかりしてると思うが?」

「ありがとう。そうよ。わたしたちは女性だけのメンバーなのよ。今は、春の大陸に依頼で行ってるのよ。」

「へぇ。俺たちは目的地はないからな。」

「いろんなのを見て回るんだよね?」

「世界には、いろんなことがあるからな。とにかくいろんなものを見せて、世界はこんなにきれいで素晴らしいんだってわかってほしいんだ。」

「良いわねぇ。」

「頑張ってね、保護者さん。」

「おう。そっちも、アホな連中には気をつけろよ?」

「大丈夫よ。そういうのには慣れてるから。」

「油断はしないようにな。」

「えぇ。で、思ったけどフリージアちゃんってテイマー系の職業なの?」

「テイマー?」

「あぁ・・獣魔を扱う職業のこと。」

「あぁ、そうだな。基本的にはそうだ。リア本人は遠距離攻撃って感じだが。」

「杖持ってるし、近接戦闘とかは正直無理っぽいと思ってたからやっぱりそっか。」

「体力とか力とかなさそうだもんね。」

「幼女様だし。」

「にしても、カラスさん含めてそのメンバーってすっごいわよね?カラスさんに猫さんはなんとなくわかるし、布団代わりになぜかなってるこの・・翠ちゃんだっけ?と・・・・・・・・うん・・・この子と、あのワニさん・・かなり強いわよね?」

ラナは、スルーされた・・それもそうか。

一応、ラナのことは話してるが皆あぁ・・としか言えなかった・・謎すぎる生物で有名でそれ以上は何も知られてないことで有名だからだ。

ちなみに、翠がリアの布団代わりになっている理由を聞かれたから簡単に教えた(適温に保ったり寝ずに番が出来たりとか)ところ今後、そう言う生き物や能力がある子を探そうとか言ってたな。

「リア以外はみんな肉弾戦ばっかで、俺はサポーターって感じだけどな。」

「まさしく司令塔だよね。」

「ぴったりと思うわよ?空から全体を把握して指示する。司令塔としては高いとこから見て判断するからそれなりの目と思考が必要だもの。」

「ありがとうな。」

「気にしないで。何かと私たちもこうして癒されてるわけだし。・・フリージアちゃんも猫さんも。」

「私たちも何かお友達になってくれる魔物か何かいればいいわよね。」

「そういうのを探すのもいいかも。」

「そういえば、獣魔ってテイマー系の職業がなくてもできるものなのか?」

「えぇ。だたなりやすいだけって話だもの。仲良くなればいいんだから。」

「それもそうか。」

「そうそう。話の流れからカラスさんたちは職業とか関係なく仲良しになってるんでしょ?」

「テイマー系の職業だって知ったのが大分後だったしな。」

「そういうこと。」



「て、思ったけど男性陣はなんでワニさんを囲ってるの?」

「ん?あぁ、力比べだろ?」

「見た目強そうだって思ったけどあんな何人も同時に軽くやり合えるほどだったの?」

「正直強いぜ?アレで素だからな。」

「てことは、身体強化とかそう言う類いのを?」

「ざっくり言うとそう言うことだ。で、本人はアタッカーじゃなくて防御中心のカウンタータイプだ。」

「すごく頼もしいわね。」

「ついでに言うと走る脚も結構早いからそこらの馬より丈夫でどんな足場でも軽くいけたりする。」

「で、あのパワーだと大抵の荷物もそれなりに持てるわけでしょ・・・すごいわねぇ。」

「みんなリアを守って、そばにいたいって思って集まった家族だからな。」

「良い家族ね。」

「俺もそう思うよ。これでも、あの頃よりリアは感情豊かになったし、いつも楽しそうだしな。」

「え?今以上に無表情だったの?」

「あぁ。纏う雰囲気が最近だと結構柔らかくなってるんだよ。・・あの頃は、纏う雰囲気も一欠片も感情がなかった・・人そっくりな人形って言われた方がおかしくないほどにな・・。それに、いつ死んでも構わないって常に思ってる状態だったからな。」

「それ・・重すぎない?」

「これでも、優しく言ってる方だぞ?」

「え?ちょっと待って?・・どれだけのつらい経験をフリージアちゃんは経験してるのよ・・」

「だから言っただろ?生やさしくて精神崩壊、普通に自殺、精神が普通だったとしても快楽殺人鬼だって」

「比喩じゃなくてそのままの意味ってこと?つらさも何もかも・・」

「あぁ。その元凶は今はどっかで奴隷として過労死させるために淡々と何かやらされてるらしいがな。精神的な部分も肉体的な部分もとことん。」

「元凶をどうにかしてるんなら良いけど・・・それ・・・フリージアちゃんがこうして優しい子になってるのってホント奇跡レベルよね?」

「あぁ。だから、精神的な強さだけは誰よりもリアは強いぞ。まぁ、家族を馬鹿にすればすっごい短気だが。」

「その気持ちも分かるけど・・フリージアちゃんが怒ってる姿が思い浮かばないんだけど・・どうなるの?」

「んーあまり正直言うとリアの技とかをバラすことになるしなぁ・・んー・・強いて言うなら威圧と撲殺と惨殺を同時に複数人同時に徹底的に殺れるくらいか?」

「わぁお・・・」

「なんとなくフリージアちゃんの内包する魔力量は結構多いと思ってたけど・・それらをそのままの意味でやれると想定したら・・私たちじゃ敵わないわね・・・」

「あぁ・・身内びいきするつもりはないが、ただではすまないだろうな・・だから、気をつけろよ?そう言う台詞とか」

「えぇ・・そんなつもりはないけどそうするわ。」

「にしてもかわいいわぁ//」

「それに、きれいな髪よねぇ。」

「シャスティたちがせっせと毎日手入れしてるからな。」

「シャスティちゃんってあの猫さんのこと?」

「あぁ。」

「フリージアちゃん本人じゃなくて猫さんがやってるんだ。」

「基本的に世話をするのはシャスティ、教育が俺、それらを両方こなすのがラウって人間の保護者だ。そっちの翠にハディ、ラナは、常にそばに控えてるって感じかな。相手をしたりこっちから構ったり、周囲の警戒とか色々と対応するのはな」

「ざっくりとしたイメージ、親ポジションがカラスさん、猫さん、人の保護者?、兄姉ポジションが翠さん、ラナちゃん?ワニさんってこと?」

「あぁ・・そのイメージが近いかもな。」

「で思ったけど、人の保護者さんは?」

「あ?そこらに紛れてないか?影が薄いのか、そっち系の技が得意なのか探すのに一苦労するんだがな・・そんなのをサクッと見つけるのがリアだ。」

「マジ?・・ホントすごいわね。」

「俺ならここにいますよ。」

「ひゃう!」

「いたの!?」

「えぇ、先ほどから。一通り食べて満足したので。人間の保護者のラウです。一応執事見習いです。基本的に護衛役を務めております。」

「なるほど・・・目の前にいるのに気配が読みにくい・・下手すれば途中で見逃しそうになる。」

「よく存在ごと忘れられてスルーされることが多かったので。そんな気配が薄いことに良い意味で目をつけられ、それらの技術を学び今に至りますから。」

「なるほど。しっかりフリージアちゃんを守ってよね?私たちの分まで」

「こんなかわいい子、しっかり守らないと執事失格よ?」

「承知しております。より一層頑張りますよ。」

「よしよし。」

「で、リア様は満腹でお昼寝ですか?」

「そんなところよ。」

「ホント穏やかですねぇ。あの港街に着くまでフォレストロードの中ではホントトラブルに巻き込まれまくったので」

「あの中をそういえば通ってきたのよね・・」

「そうなんですよね。良い経験を積むことが出来たという言い方も出来ますが、もう少し穏やかに森の中を堪能させてあげたかったという気持ちもありましたね。」

「あぁ・・あそこは植物系の魔物が活発なのよね・・」

「ホント疲れてるのよ・・・特訓にはもってこいだけど」


そんな感じで俺たちは、眠るリアを見つつ談話して時間を潰していった。

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