初めてのお船--愉快なお友達?--
私たちが案内された大部屋はかなり上の階の一角でした。
高級ホテルのような設備や大きなベッド、ふっかふかの広々としたマット、壁一面がガラスで出来ており、外側からは内側が見えない。
他にも、ハディちゃんと一緒にお風呂出来るくらいの広いお風呂
そのどれもがきれいなのに、居心地がとてもいいです。
お船が出発するまで20分はあります。
私は、ラウさんと並んでハディちゃんに寄りかかり、みんなを撫でたりしながら一緒に仲良くお昼寝です。
お外からふんわりと温かい太陽の光が差し込んできてすごく心地が良いんです。
それに、リラックス出来る不思議な良い匂いが部屋中にします。
それと、このお部屋の天井はいわゆる魔道具らしく、お外のお空をそのまま映し出すことが出来るんです。
不快にならない程度の明るさに自動調整されるので、まぶしいとか暑いとかそう言う心配はいらない優れものです。
はぁ。
このまったりとした時間が最近好きです。
ハディちゃんも実はのんびりするのが好きだったりするんですよ?
まぁ、みんなが言えることがですが。
まぁ、と言うよりもお船の中には訓練出来るようなところはないのでのんびりしか出来ないんですけどね。
出来るとすれば、筋トレ?っていうのと、魔力の制御の練習くらいですかね。
あぁ、一応開けた場所はあるから人がそれほど集まってなかったら杖の素振りとかが出来ますね。
そのくらいですかね。
カルナたちもたまには怠けろって言ってたので杖さんの練習と魔力の制御の練習くらいに止めておきます。
それにしても、港でみた海と海岸で見た海と、今お船の上から見ている海はどれも同じはずなのに全く違うように見えますね。
すごく不思議です。
どれが良いかと言われてもどれもそれぞれの良さも楽しさもありますから、悩みますね。
ぼんやりと海を眺めているのもどことなく楽しいです。
しばらくすると、ぼーっという音が鳴り響く。
どうやら、お船が動き出すようです。
そして、数分ほどするとゆっくりと動き出しました。
方向転換して、進む方に向いたところで進み出す。
ゆっくりと離れていく港町をみているとちょっとだけ不思議な気持ちになります。
今まで出会った人たちとの思い出が頭の中を通り過ぎていく。
あぁ。
初めての旅に初めての出会い、とにかく初めてがいっぱいの大陸でした。
そして今も初めてのお船の旅。
多分、私にとってはここからが本当の旅の始まりではないかなと思います。
これまでも確かに旅をしていたのですが、あの大陸では旅をするための練習や本格的に旅をするための準備をしながら進んでいた。
そんな感じがするんです。
うん。
またいつか、遊びに行きますね。
私は心の中で離れていく大陸へ別れを告げた。
すっかりさっきまでいた港町がちっちゃくなったところで改めて外を見渡すとどこまでも海が続いて、水平線が見えます。
なーんにもないですし、どこまでみてもお水なんですが、どことなくいつまで眺めていても飽きないのはとても不思議です。
しばらく眺めつつ、ゴロゴロしていたところですが、なんとなくお散歩をしたくなった気が・・・しま・・す?
で、起き上がりのびーっと背伸びをしているとラウさんが
「表に出ましょうか?海風に当たりながら海をみるとまた違ったように見えますよ。」
(コクリ)
そして、私たちはお船のお外のところに行きました。
たしか、船首っていうんでした・・っけ?
まぁ、何でも良いですね。
で、やってきました。
独特の匂い(磯の香りと言うらしいです?)とともに港町よりも強い風にさらされる。
けど、どこか楽しい。
でも、私はちっちゃいので海がお船の壁?塀?で見えないです。
なので、ラウさんに
{ラウさん}
「いかがなさいましたか?」
{だっこ}
「ぐふっ!」
なぜか口を押さえてぷるぷるしてます。
と言うよりお顔が赤いです?
{ラウさん?}
「い、いえ・・何でもありません。良いですよ。喜んで」
と言って抱っこしてくれました。
おぉ。
お部屋で見たときよりも迫力がありますね。
で、ラウさんがぶつぶつとつぶやく。
「リア様の抱っこアピール・・・おまけに上目遣い・・・無表情でも破壊力がすごすぎる//」
んー
気にしないでいいですね。
それから、しばらく海を眺めているとカルナたちが言うところのシャチさん?が数頭通り過ぎながらこんなことを私を見ながら言ってました。
精霊樹の巫女の力で動物さんたちの言葉が分かるので。
「よう!嬢ちゃん!今の時期なら白身魚が旨いぜ!」
白身魚というお魚がおいしいらしいです。
「海は見えている以上に広いから色んなのがあるが、気をつけろよ!危険な海流とかもあるんだからな。まぁ、その船が行ってる進路は穏やかな海流だから大丈夫だがな!」
「海は面白いがその分危険なところもある。保護者の言うことを聞いて無闇矢鱈と海で勝手に行動するんじゃねぇぞ!じゃあな!」
親切なシャチさんたちですね。
とうんうんと頷いてるとラウさんが
「リア様、シャチがどうかなさいましたか?」
{白身魚というお魚は今がおいしいらしいです。}
「なるほど・・世間話をしてたのですね・・。」
どうして苦笑いなのでしょう?
その後、海鳥さんたちが通り過ぎながら
「やっぱり、魚は成長しきる前くらいが良いよな!」
「でかくなりすぎると大味になるんだよな。何事もほどほどが一番だ、うん。」
と言ってたりしてました。
んー
どの動物さんたちもお魚を食べるのが好きなようです。
その他にも、イルカさんとか鯨さんとかその他の種類の鳥さんたちが通りすがってはおさかなについてお話してました。
で、そのたびにラウさんに報告してみたところ
「・・・今の時期は成体になる寸前の白身魚が最も人気が高いということがわかりましたね。彼らによっては時期など関係なく好みがあるようですが・・。」
ほとんどの子たちは白身魚がおいしいと言ってましたけど、青魚が好きとか、軟体動物?というたこさんイカさんとが好きとか色々いました。
で、そんな感じでおさかなに関してやけに詳しくなってしまったラウさんなわけですが、途中からお船で働いてるお兄さんたちが近くで聞き入るようになり、最終的におさかなに関してのお勉強会のようなことになってたりしました。
最後には、
「いやぁ!兄さんのおかげでいい勉強になったよ!お礼にお嬢さん、これどうぞ。じゃ!」
白身魚のフライをてんこ盛りでくれました。
おいしかったですよ?
ハディちゃんやラウさんたちみんなで食べました。
ちなみに言うと、ラウさんは教えているつもりはなかったようです。
ただ、私が言ったことを復唱しつつ、それに対するリアクションをとっていただけ。
なので、おいしく頂きつつも複雑そうな顔をしてました。
にしても、どうして鳥さんたちはそれぞれのおさかなの絶妙な火加減とか、どういう加工が最も向いているかとかそれぞれのお魚がどういう調理法が最もおいしいのかとか、どの部位が一番いいとか詳しいのでしょう?
部位とかそういうのはともかく、鳥さんたちは自分たちでお料理でもするのでしょうか?
生が好きというわけでもないようです。
ふむ。
動物とは不思議な生き物ですね、うんうん。
「いや・・リア・・それは多分盗み見だの盗み聞きだのしてたから詳しかったんだと思うぞ?料理してる動物なんぞ見たことないぞ?」
「いやカルナさん・・あなたの隣に普通に料理する動物がいますよ・・」
「にゃ~う?(火を使った料理は手伝って頂く必要がありますが大抵のモノなら作れますが何か?)」
「あぁ・・・シャスティは除く。これは普通じゃない。」
-普通にしゃべってる時点でカルナも人のこと言えないと思うよー?-
「うぐ・・・」
「ニャー?(この中では、俺が一番普通?)」
-ある意味そうかも-
なんか周りが妙なことになってますが気にしません。
で、そろそろお部屋に戻ろうかなーとか思っていると
「お嬢さん!!ぜひ!!ぜひ!!私にあなたを描かせては下さいませんか!?お礼にこれを差し上げますので!!」
と売り込みに来た通りすがりの絵かきさんなお兄さん(スライディング土下座で)
で、くれるらしいものを見ると何かの種でした。
おっきいですね。
直径5センチはあります。
にしても、精霊樹の巫女としての何かがうずきます・・何でしょう?
「あの・・何がどうなってそうなったのか説明をしていただけませんか?・・・とりあえず、土下座は止めて下さい」
「失礼しました。私、リカルと言って、各地を転々としながら旅をしているのです。で、趣味で絵を描いているのですが、お嬢さんを一目見た瞬間、私の中の何かがビビビッときました!!」
予知みたいな第六感のような能力があるのでしょうか?
それとも、ビビビなので雷ですかね?
「なるほど・・それで、この種は?」
「祖父からいただいたものですが、祖父が言うには渡されるべき相手に渡せと言われただけなんですよね。ですが、それを渡す相手は人生を大きく変えるとても大事なものだからその機会を見逃すなとも。・・何かビビっときました。これは、お嬢さんが持つべきものです。ですが、私自身も、あなたを知りたい。相手を知るには絵を描くのが一番なんです。お願いします描かせてください!誰にも公開せず、私の自己満足にとどめますから!」
どこまでも自分にまっすぐだった。
それに全く嘘がなかった。
(コクリ)
「え!?良いのですか!?」
(コクリ)
「リア様、よろしいのですか?」
(コクリ)
私も勘ですが、あの種を求めている気がします。
それに、私は何もせずに眺められるだけなんですよ?
それでもらえるなら良いではないですか。
それと、この人は信用できますし。
と言うより、このお兄さんは見ていて面白いので飽きませんし。
ラウさんはそれでうなづいてくれました。
「それでポーズとか何かありますか?」
「いえ!その辺りでおとなしくしていただければお昼寝していただいても、何か食べていても構いません!ですが、どうせですから移動しませんか?ここでじっとしているのは落ち着かないでしょう?」
「それもそうですね。我々の部屋に行きましょうか」
「良いのですか?」
「えぇ。メンバーがこれなので、大部屋を借りてますから」
「なるほど。では、お言葉に甘えて」
と言うわけで、ハディちゃんに寄りかかりつつシャスティたちを順番にもふもふしたりブラッシングしてあげたりとスキンシップをやりながらお外をぼんやりと眺めたり、読書したり、杖さんを磨いたりと動かないで出来ることを色々やっています。
まぁ、普段していることなんですけどね。
元々私って、訓練するとき以外は必要がなければ動かずにじっとしてることがほとんどですし、全く苦になりません。
で、リカルさんをチラッと見ると手元が見えませんでした。
何と言いますか、手らしきモノは見えているんですよ?
けど、あまりにも速すぎて手がいっぱいあるように見えてたりぶれまくってよく見えなかったりするだけです。
後、紙にはものすごい速度で私たちが描かれていく・・。
すごい。
絵ってあんなに素速く出来るモノなんですね・・。
とか思ってたらラウさんに即、否定されました。
どうやら、普通は何日も何十日もかかるモノなんだそうです。
すごいなぁと思いつつぼんやりとリカルさんを見てみると目が爛々と輝きながら口元もにーっと笑ってました。
なんとも楽しそうに・・と言うより、何かに取り憑かれたかのようにケタケタと笑いながらすごい早さで絵を描いていってます・・なるほど・・。
絵を描くというには、とても大変なことのようです。
「なぁ・・あの兄ちゃん大丈夫か?・・色んな意味で」
「ある意味手遅れかもしれませんが、大丈夫でしょう。おそらくトランス状態の一種でしょうし」
「あぁ・・・そういうことにしておくか・・少なくとも絵を描いてないときは普通っぽかったしな。」
「そうですね。・・それにしても、リカルさんですか・・・」
「何か知ってるのか?」
「どこかで聞いたことがあるんですよ・・どこだったのか思い出せないのですが・・・」
「有名人ってことか?」
「そんな感じだったとは思うのですが・・まぁ、その内思い出すでしょう。」
「少なくとも悪い方の・・じゃないんだろ?」
「えぇ。出なければリア様の体質の餌食になってますよ。」
「それもそうだな。」
「ふふふふふ・・はしる・・迸る・・・ふふふふ・・・駆け巡る・・・血が滾る・・滾りますよぉ。良いですねぇ!素晴らしいですねぇぇ!これこそ運命!これこそが我が使命!!ふはは!ふははははは!!魂が高ぶる!あのお方の絵を描けと我が魂が叫ぶ!求む!我自身も!!さぁ!描こうではないか!我が生涯最っっ高!!傑作を!!我が名の下に!!ふははははははぁあああ!!!!」
「・・ほんっっとうに大丈夫か?アレ・・普通に手遅れだぞ?てか、何か取り憑かれてるぞ!?」
「あ、思い出しましたよ。彼、絵師の中でもかなり有名な方ですよ。」
「そうなのか?」
「えぇ。”ビルトアーティスト”と呼ばれている方でして、彼が懇願するほど描きたいと願われ、描かれた絵はこの世のモノとは思えないほど素晴らしい作品になるそうです。ですが、ご覧の通り描いている最中は取り憑かれたかのように異世界人が言うところの中二病のような状態になってしまうのですが、それが現れるというのはそれほど彼が深くトランス状態になっているということなんです。」
「それほど有名ってことは、あの兄ちゃんが描いた絵が売買されてるってことだろ?大丈夫なのか?リアの絵を売ろうとかしないだろうな?」
「それに関しては心配ありません。彼は一度言ったことはどんな身分の人が脅そうとも必ず約束を守ることで有名ですから。それと、売るモノは売る前提で描きますので、彼の場合は風景画が有名なんですよ。」
「なるほど。人を描くときは、本人の許可が出ているのに加えて、本人が出したいと思ったときだけと。それと、確かに風景画ならそう言う心配はなさそうだな。」
「絵師からすれば彼は憧れの的なんだとか。まぁ・・弟子をとるような人でもありませんし、見ての通りとても素直な方なので。」
「あぁ・・けど、その風景画は見てみたいかもな。」
「後で見せてもらってはいかがですか?あればですけど。」
「そうだな。」
どうやら、リカルさんはすごい絵師さんのようです。
今は、とても楽しそうにすごいスピードで描いてますけど。
「滾る!滾るぞぉ!これほどまでに我が魂が高ぶることはあっただろうか!否!!さぁ!描かせろ!!描かせてくれ!あなた様の聖なる輝きをこの絵画へ!!!さぁ!さぁ!さぁぁ!!ふはははははは!!!」
数時間後
「ふぅぅ。けほ!けほ!!どうしていつも絵を描き終えると喉がいがいがするのでしょうか・・それと、描いているときの記憶がいっつもないのはどうしてでしょうか?描いていたという感覚は残ってるのに不思議ですねぇ?」
お外が暗くなり、そろそろ夕ご飯の時間だなぁと言うところでリカルさんは元に戻りました。
ですが、描いているときの楽しそうにしているときは覚えていないようです。
不思議ですね?
「いや・・不思議で済む話しか?」
「リア様にとってはそうなのでしょうね・・それほどまでにトランス状態は深いのでしょうね・・色んな意味で。」
「あれ?どうしましたか?そんな不思議そうな顔して」
「いえ、出来上がったのですか?」
「えぇ。」
「モノクロ画なんですね。」
「えぇ、これに関しては色をつけてはいけない気がしたんですよ。」
そして見せてもらった絵はすごかった。
墨?炭?で出来たペン?だけで輪郭も明るさとか暗さも描かれていてすごく上手。
しかも、そこに描かれている私やカルナ、シャスティたちは誰が見ても私たちだと分かるほどそっくりで、どれほど仲良しなのかも見てすぐに分かった。
けど、不思議なのはそんな描かれている私たちのそれぞれの表情がどの表情にも同時に見えるんです。
楽しそうにも見えるし、さみしそうにも見える。
すごく不思議な絵・・なのに、すごく惹かれる。
「どうですか?私としては良い感じに出来ているのですが・・普段描くモノとは全く異なった感じだったので新鮮な気持ちですけどね。」
「すごく素晴らしいと思いますよ。私たちの心そのモノを映し出したかのように感じます。」
「喜んで頂けて幸いです。あ、お礼の種です。」
(ぺこり)
あの不思議なおっきな種をもらいました。
「それと、出来ればこちらもどうぞ」
それは、30センチほどの大きさの絵でした。
たくさんのお花があちこちに咲き誇っている草原と湖、そして周囲には岩山や森が広がる。
捜そうと思えばどこにでもありそうなそんな景色が描かれている風景画。
けど、私は好きだった。
理由は分からない。
けれど、私は心が惹かれた。
「よろしいのですか?」
「はい。私がそうしたいのですから。」
「ありがとうございます。リア様がとても気に入っているようですし。」
「それは良かった。こちらこそありがとうございました。」
「どうしてお礼を?」
「これほど絵を描いて幸せな気持ちに溢れるのはとても久しぶりなんです。この絵は誰にも見せず、誰の手にも渡しません。この絵を見ているとどこか心が洗われる気持ちになるのです。」
とても穏やかにほほえんでるお兄さん。
心もすごくキラキラしている。
「はぁぁぁ。とても良い時間を過ごすことが出来ました。本当にありがとうございました!では!」
背伸びをしてお礼を言った後、お兄さんはあっという間に去って行きました。
あんなに幸せそうで、満足そうな表情を見るのは初めてかもしれませんね。
いつか私もあんな感じに自然に笑うことが出来るのでしょうか。
ちょっとだけ幸せそうに心の底からほほえんでいたあのお兄さんがうらやましくなりました。
さて、ご飯ご飯。
このお船では、ご飯は決まった場所で食べる決まりらしいです。
たくさんのテーブルなどが並ぶ大部屋と小部屋と選べるらしいです。
まぁ、大抵の人は大部屋を選ぶらしいですが・・どうして小部屋は選ばないのでしょうか?
「色んな人と交流したいと思っている人が多いですからね。」
「情報収集をするなら食事や飲んでるときの方が効率的なんだよ。」
なるほど。
まぁ、私はそんなことするつもりはないので小部屋を選びます。
そして、やってきました食堂。
「いらっしゃいませ。小部屋と大部屋、どちらに致しますか?」
「この人数が収まるほどの小部屋はありますか?」
「ありますよ。ではこちらへどうぞ。」
案内された部屋は、和室?という畳というのが地面に敷き詰められている靴は脱いで入るお部屋でした。
ハディちゃんたちはしっかり手足を洗いましたよ?
10分もしないうちにご飯はやってきました。
お魚メインでしたよ?
お魚と言うより海鮮メインという感じでしょうか?
軟体動物?とかのプニッとしたのだったりと色々ありましたし。
フライや、お刺身、焼き魚にと、いろんな種類でした。
主食は、ご飯でした。
白ご飯と、炊き込みご飯と2種類でした。
調味料もいっぱいありました。
他にも、お野菜や海藻とお魚以外の海鮮を使ったサラダもありました。
と言うよりも、サラダの種類の多さにはびっくりしました。
おいしかったですよ?
色んなのを色んな食べ方をしながらお話ししてすごい満足です。
それにこのお部屋の壁もガラスになってるのでお外が見えます。
夕焼けから、夜空に変わりつつあるお空に、その下には静かに波打つ海。
すごいきれいですね。
で、もぐもぐしていると
「お食事中失礼致します。」
お姉さんがやってきました。
お姉さんと言いますか、30代くらいのみんなにお母さんと呼ばれてそうな人で優しそうです。
女将さんと言うらしいですよ?
お宿じゃないのに女将さんというのはこのお船で働いてる人たちが勝手にそう呼んでるからそうなっちゃっただけなんだとか。
なので、本当は料理長らしいです。
「本日は、家の従業員たちが大変お世話になったとか・・ありがとうございました。それと、申し訳ありません。」
「お世話・・・・・・・あぁ、魚の話しの・・・でしょうか?」
動物たちが色々とお魚について語りまくってたのをラウさんが私経由で喋ってたあのときですね。
どうやら、あのときお礼を言っていたお兄さんたちのことに対してのようです。
「えぇ。おかげさまでこちらも大変勉強になったようでした。せめてものお礼としてこちらをどうぞ。」
たくさんの種類のクッキーや、ゼリーでした。
「よろしいのですか?」
「えぇ。彼らからのお礼だそうです。是非受け取ってあげて下さい。」
「ありがとうございます。」
「では、失礼致します。」
クッキーは翠ちゃんに収納してもらって後でデザートとして頂きました。
ゼリーはここで食べましたよ?
ちなみにクッキーは海藻類を使ったモノから普通のプレーンのモノまで色々ありました。
ゼリーは、フルーツ系から海藻系まで色んなのがありました。
どれもおいしかったです。
ふぅ。
お風呂から上がり、歯磨きも終わりました。
それにしても、お船に乗ってからずっと食べてますね。
運動は一応してます。
おデブちゃんは嫌ですから。
お勉強もしてますよ?
サボるわけないじゃないですか。
カルナがしっかりしてくれてますから。
それからは、ぼんやりとみんなと並んで夜空を眺めます。
実は、夜空を眺めている間はほとんど会話がないんです。
誰が言い出したわけでもありませんが、みんな無意識のうちに静かに夜空を眺めるのが好きなようです。
私も、静かに寄り添ってくれてるみんなと一緒に見る星空は昔のように1人で眺めていた頃よりずっと大好きです。
そして、いつものように星空を眺めながらいつの間にか夢の世界に旅立つんです。
翌朝
身支度を整えて準備完了。
ですが、普段食べてるご飯の時間よりもお船の朝ご飯は遅いらしく、2時間くらい余裕があります。
なので、その間お部屋の中で出来る範囲で特訓です。
魔力制御や、魔法の操作、筋トレとかですね。
ちなみにラウさんは、ハディちゃんの尻尾を重りにして筋トレ中です。
そのくらいはほどよいらしいです。
ハディちゃんもなんとなくお手伝いしてるので微妙に尻尾に力を入れて重さを上げてたりします。
まー。
その他にシャスティがラウさんの背中の上にいたりとか顔の前で尻尾をゆ~らゆらしつつ地味に集中力が乱れそうなことをしてたりします。
「へくしゅん!」
時々お鼻がムズムズするらしくくしゃみしてますが、それはそれで集中力を鍛えるためと前向きに考えてそんな地味や嫌がらせ?に抵抗中。
それとは別に、私は毎日行なっている準備運動があります。
ラウさんからは、不思議な踊りとか言われてますけど。
何をしているのかって?
全身をくねくねさせながら千鳥足でふらつかせつつ適当に体をくるりんくるりんと回りつつ、腕とか脚を回したり上に上げたり下げたりとよく分からない動きをしています。
一応説明すると、全身の柔軟体操とバランス感覚を鍛えるのと、三半規管?と言うのをまとめて同時に行なっています。
これ、翠ちゃんと家族になって数日したくらいのときに翠ちゃんに教えてもらった運動で、元々は翠ちゃんの動きをまねてたんですけど、そうしている内に今の私の動きみたいになっちゃった運動です。
これを、あちこちの町で毎日やってたのですが、見ている人たちが全員無言になってしまうんです。
どうしてでしょうね?
時折、まねして一緒に踊ってくれるお兄さんとかお姉さんとかいるのに不思議ですね。
ちなみに言うと、まねして踊ってくれる人たちからは意外と高評価をもらってます。
先ほど説明した3つが同時に鍛えられるから準備運動にちょうど良いって言ってもらえました。
だから今では、私は毎日行なってる準備運動です。
これをした後はすごく調子が良いんですよ?
周囲の人たちはこれを目撃するとほとんどの人たちは微妙な顔になってますが気にしません。
でも、一緒に踊ってくれるメンバーは私、翠ちゃんくらいで、ハディちゃんとシャスティは尻尾だけでしてくれてる感じです。
カルナとラウさんは笑顔で拒否してきます。
ラナちゃんは、私にくっついてるので、よくよく見ると全身の毛をふよふよさせて一緒に踊ってたりしますが、私とかではないと決して気づかないだろうなぁと思うくらいです。
そんな感じでお部屋の中で出来る特訓を終了して、軽く汗を流してからご飯です。
お腹空きました。
次回はいつも通り日曜日投稿です。