閑話-神子様守護部隊-
少々長いです。
後、色々と暴露されてる回でもあります。
-ダン-
俺たちは今、クラリティ王国というところの王宮の・・王様の前にいる。
その前に軽く自己紹介だな。
俺はダン。
仲間のリリ、ゼル、アンの4人でパーティを組んでる。
一応俺がパーティのリーダーをしている。
あぁ・・・こう言えば早いか・・
俺たちはテュルマドッグの群れに襲われていた幼女・・・フリージアたちを助け、カタクリの町でしばらく共に生活をしていた。
まぁ、結果的に長期の依頼を受けている間にフリージアたちはどっかに行ってしまったがな。
・・大変だったぞ?
主に、リリが。
依頼に行くのをすっっっっごい嫌がってたのに加え、フリージアに会いたい一心で頑張って帰ってくればフリージアはとっくに旅立った後、
おまけに俺たちが不在の間にエンシェントゴーレム率いるスタンピートが発生しているし、カルナとシャスティの活躍で町は救われ、死傷者はいなかったんだからな。
結果としてリリはキレた。
だが、誰これ構わず大暴れしてはいけないという考え程度は残っていたらしくパーティ内にどうにかとどめることができた。
・・主にゼルがサンドバッグになり、なぜかアンを性的に襲ったりと。
俺?
俺は、一方的にやられたりするような趣味はないからな、模擬戦をリリに挑む形である程度最低限に抑えた。
ちなみに言うと、その後は毎回リリはゼルの治療をしてあげつつ膝枕してあげてたり、色っぽく荒い息を吐いてぜーハー言ってるアンの介護をしてる。
ゼルは幸せなのか不幸せなのか非常に言葉に悩むが・・アンもか。
アンがぽつりと「リリさん・・すごすぎる//」とかつぶやいてたのは聞こえないことにしよう。
一応言っておくが、ゼルは弱いわけじゃないぞ?
ただ、リリが涙目でゼルに寄り添って体重を駆けたり寄りかかったりして甘えたあとに不意打ちよろしくぼっこぼこにするという流れが幾度となく起きただけで。(リリは情緒不安定だったとも言う)
俺もだがゼルだって男だ。
スタイルは良いし、美人なリリやアンにそういう思いを持っていてもおかしくはない。
・・俺の場合は、手のかかる妹がいるような感覚だから問題ないが、ゼルの場合はリリに惚れてるからな。
おまけに普段は強気なリリが弱って、はかなげになってたためにギャップにゼルはフリーズし、おまけに肩や背中に体重がかかった程度でもその状態での身体的な接触(一応)は、かなりの大ダメージだ。
結果として、そこから反撃なんて到底無理だ。
ある意味ゼルは天国と地獄を同時に味わってるわけだが。
その後は、アンが苦笑いを浮かべつつもどこかさみしそうにしながら倒れるゼルに膝枕をしてあげたり手当をしたりとしている。
ついでに言っておくと、リリもゼルを意識しているようだ。
後、アンは・・・自意識過剰かもしれないが俺を意識しているような気がする。
まぁ、俺なんかをアンみたいな良いやつが・・なわけないな。
で、話を戻すがどうして俺たちがクラリティ王国にいるかというと・・・端的に言うと拉致された。
ドラゴンに
意味が分からない?
仕方ないだろう?
実際そうだったんだから。
一応時系列で説明するぞ?
リリによる暴走が落ち着いたころ、カタクリの町はなぜか神子様生誕の地と言われるようになった。
どうやら、フリージアは教会関係者からは神子様として崇められてるからそう言われているようだ。
で、俺たちはパーティ名を決めずにパーティを組むという世間的には珍しいチームだったりしたのだが、いつの間にか俺たちのパーティ名が神子様守護部隊という名前になっていた。
フリージアを最初に助けたからなのか、フリージアとの出会いをきっかけにリリが幼い子供や動物に対して許されないことなどをしている輩を片っ端から叩き潰して守っていたからなのか。
リリがそういうことをする理由はフリージアのようなかわいそうな子を生み出さないようにしているからだろうな。
・・フリージアの経験した5年間はあまりにもひどすぎた。
それに、あの子の精神は恐ろしいほどに強いと思う。
俺が同じ状況だったら迷わず自殺していただろうしな。
というよりもあれを耐えられたとしても悪の道に走っている可能性が高い。
そうならなかったのも、そばで守り続けていたカルナやシャスティのおかげなんだろうな。
それはさておき、
町中が神子様で盛り上がりまくってるときに一匹のドラゴンが飛んできた。
と言っても危険はない。
なぜならそのドラゴンは伝書ドラゴンだからだ。
異世界人が言うところの伝書鳩のドラゴンバージョンだ。
どうしてドラゴンをチョイスしたというツッコミが来るだろうから一応説明すると、鳩などの鳥を使った伝達手段は確かにあるし、人を使った荷物運びなどもある。
だが、人の場合信頼出来ないと大事な荷物をそうほいほいと預けることもできない。
どうでもよかったり、ついでに届ける程度ならいいが、ものによってはそうはいかないものだってある。
一応高ランクの冒険者に頼むという手段もあるが、そうだと金がかかるし、他の指名依頼で引っ張りだこだからいつ対応してくれるかも不明。
そんな中、発案されたのがドラゴンだった。
鳥などを使った連絡手段は確かに便利だが、小さな荷物程度しか対処できない。
他の大型獣を使った伝達手段もあるが、陸地の生き物であればその大陸以外はできないし、水辺の生き物ならば水がなければ無理。
それに陸続きの場合、襲われ荷物が略奪される可能性だってある。
まぁ・・普通ならそう簡単にやられるような生き物はチョイスしないが。(ないとも言えない)
一方でドラゴンは下級でもAランク冒険者が数人は必要なほど強力だし、空を飛べる。
空中戦という条件だとランクなど関係なく戦いを避けることだってできる。
飛行手段は少ないからな。
まだまだ全大陸あちこちで使われている手段ではないが金に余裕がある国などは取り入れている。
卵から育て、荷物を運ぶように色々と教育を施すらしい。
で、カタクリの町に伝書ドラゴンがやってきたため、ギルマスが代表として荷物をいったん預かった。
ギルマスだから強いし、身分的にも信頼できるから大抵のところはギルマスが初めにあずかるようになっているのさ。
そしてドラゴンが持ってきたのは俺たちあての手紙だった
初めは驚いたさ。
手紙を渡すのにドラゴンを使ってるって部分でもな。
おまけに、クラリティ王国の第一王子からだぞ?
国王ではなく王子という部分に若干疑問を浮かべたが。
手紙にはシンプルに神子様であるフリージアを救い、人並みの幸せや一般的な生活を共に過ごしたりと、心身ともに癒した功績を称えたいから国に来てくれということだった。
後、それ関連で直接依頼をしたいとも。
フリージアの件は教会経由で聞いたのだろうな。
教会の腕輪を渡された人物に関してはなりすましなどの防止も兼ねて渡された直後に全国の教会関連に伝達されるからな。
そこでどうしてクラリティ王国なのだろうかと思ったのだが、手紙にしっかりと説明する(全部は難しい)とあった。
もちろん拒否しても全く問題ないと書いてあったが、それを読んだ後、リリが
「行きましょう」
と即答した。
当然理由を聞いたさ・・
そしたら
「フリージアちゃんにとって大事なことであり、重要な場所な気がするからよ!」
「勘かよ・・・」
「当然じゃない。それに、神父様に大いなる使者からの誘いは未来を明るくする、探し物が見つかるきっかけになるってお告げをもらったもの。」
「あ、私も同じようなことをお告げとして聞きました。・・まさか大いなる使者がそのままの意味だったとは思いませんでしたが」
アンも同じことを聞いてたのか・・。
けど、カタクリの神父様のお告げはよく当たるんだよなぁ。
俺も幼いころはあの神父様からのお告げをきっかけで今こうしてリーダーとして頑張っていられるんだしな。
でも確かに大いなる使者と聞いたら普通は身分とか経歴とかがえげつないとかそっち方面で思うが、まさかの物理的に大きい、お使いに来たドラゴンとは思わないよな。
俺自身もその手紙には誠意が込められていてとてもいい人なんだろうなと雰囲気で分かった。
アンもゼルも行くことに同意した。
だから、行きますという手紙をそのドラゴンに預けようとしたのだが、手紙にはなぜかドラゴンに直接行くか行かないか言うようにと走り書きで書いてあった。
・・一応手紙を用意しつつ、言われたとおりに
「俺たちは4人全員行くことにした!!」
と言ってみた。
ドラゴン相手に何言ってんだとか内心では思いつつ。
するとドラゴンはうなづいた後、俺たちを捕まえ、背中にポイと軽く投げて乗せ、そのままドラゴンと空の旅をすることになった。
・・・1つ隣の大陸に加え、海を一直線と言ってもかなり距離があるというのにドラゴンのハイスピードのおかげでまさかの半日で到着した。
道中は色んな意味で大変だった。
主にドラゴンから振り落とされないようにする為に必死になったりして。
ちなみに、俺とゼルはドラゴンにしがみつき、リリはゼルに、アンは俺に抱きついていた。
ゼルはゼルでうれしいとか色々と悶々としつつも、自身の理性と戦ったりと色んな意味で忙しそうだ。
俺も、ゼルと似たような感じだがポーカーフェイスはゼルよりは得意だから表にはそう言う感情を見せないようにしつつも背中に思いっきり押しつけられているアンの胸をひっそりと堪能していた。
・・アン、お前また胸、でかくなったか?
アンは何かと変なところでこけることがある。
で、その時は大抵俺が支えるんだが俺に抱きつく形になる。
だから知ってるだけだ。
至って揉んでるわけじゃない・・出来れば幸せだろうがな。
コホン。
で、リリは特に気にせずに景色を楽しんでるようだが、アンはどこかうれしそうに俺の背中にほおずりしている。
それはともかく
俺たちはクラリティ王国の門前ではなく、王宮の中にある広場の真ん中にそのままの意味で放り投げられた。
しかも、つかんで投げて・・ではなく、尻尾で払いのけながら体を大きく振り回して。
俺たちはそれぞれの魔法や身体的技術でどうにか怪我無く着地したが、そのドラゴンに文句の1つでも言ってやろうとした時にはドラゴンはとっくに空のかなた向こうの方へ気ままに飛んで行っていた。
その後、騎士たちに囲まれどう説明するかと思ったのだが、俺たちの自己紹介を先にしたところ流されるように中に案内された。
既に騎士たちに俺たちのことを伝達済みだったらしい。
・・断る可能性がないとそこまで想定済みだったってことか?
だとするとかなりすごいぞ、この王子様。
で、身だしなみを整えることも衣服をそれなりのものに変えるといったのが全く皆無でそれなりに戦い続けていたせいでピカピカとは言えない防具類に空の旅をしていたおかげで髪は全員ぼっさぼさ(女性陣は速攻で直していたが)のままで。
王子様は王様、どっちと話すことになるかは知らないが少なくともこんな格好で会うのはさすがに失礼じゃないのかと案内する騎士たちに聞いたのだが、
「イリス様曰く、そのままの姿を見たいそうです。普段の身だしなみなどで大体のことはわかるから・・だそうです。」
そのイリス様というのが第一王子様らしい。
・・そのイリス様・・かなりの秀才のようだな。
と、騎士に言ってみると同意してくれた。
どうやら、騎士たちやメイドなどの城勤めのメンツを決めるときはイリス様が決めているらしく、面接も身だしなみや装備を整える暇など与えずに突然開始され(イリス様が面接する相手の方へ突然赴くらしい)、全身を数秒ほど見た後に合格か不合格か言って終了らしい。
面接というよりも、選別と言われるほどのハイスピードかつ一方的だが、説明を求めると答えてくれるらしい。
しかも、その説明による分析は9割方当たっているという。
これほどの秀才かつ天才はすさまじいの一言しか出ないな。
とつぶやくと騎士たちやメイドさんたちは全員強くうなづいていた。
そして、話の冒頭に戻る。
俺たちの目の前には、国王様と王妃様、そして王子が2人と姫が1人
おっそろしいほどの全員美形だな。
「あぁ、楽にして構わない。」
そう言われ、立ち上がる。
すると片方の王子様が前に出て話をする。
服装から男性だとわかるのだが、下手すれば男性とも女性ともいえる中性的な表情で男女どちらの服装でも化粧要らずで着こなしてしまいそうなかなりの美形だった。
それに、白銀のサラサラの髪はとてもきれいだ。
そうか、タイミング的にこの方が
「なんとなく察していると思うけど、僕がイリス。この国の第一王子で、君たちをここに呼んだ張本人だよ。ごめんね?かなり雑な扱いになったみたいで・・あの子優秀なんだけどちょっと雑なんだよね・・・」
「いえ・・あのくらいは問題ありません。」
ちなみに自己紹介は必要ないと言われた。
「ならよかった。じゃあ、悪いけど内緒の話になるから他のみんなは退室してくれるかな?宰相もね」
「一般の冒険者・・しかも武器を取り上げることもない状態で退室はさすがに見逃せません!」
宰相と言われた青年はそういった。
・・そういえば武器は持ちっぱなしだったな。
それに、宰相の言うことはもっともだ。
「大丈夫。彼らは問題ないよ。」
「ですが!」
「僕の目が信じられないのかな?」
「っ!いえ・・何かあればお呼び出し下さい」
そう言って全員退室した。
その場に残っているのは王族の彼らと俺たちだけ
にしても、イリス様のさっきの冷たい笑みは怖いな。
美形ゆえに迫力がある・・それに殺気がすさまじかった。
イリス様はかなりの手練れだろうな。
「ごめんね?彼は優秀なんだけど色々とうるさいんだよ。」
「イリス兄さま、それは仕方がありませんよ」
「そうですよ兄上。」
お姫様は、庇護欲をさそうようなはかなげでかわいらしい方だ。
イリス様の弟である第二王子はかなりのイケメンだ。
物語に出る王子様とはこんな感じではないだろうかと思うほどだ。
どちらもイリス様と同じ白銀の髪が素晴らしい。
男でもきれいな髪だと思ってしまう。
「そうなんだけどね・・で、これからいうことはここにいるメンバー以外にはどんな人にも言ったらだめだよ?言ったら即死するほどの猛毒を僕が飲むからね?」
え!?
情報を漏らした相手じゃなくイリス様が飲むのか!?
・・・ってことは、さっきからイリス様の胸ポケットから見えている毒々しい色の液体の入った小瓶は・・・毒!?
ちょ!
ダメだろう!
色々とだめだろう!!
「あはは!僕を殺させないでくれよ?かわいいリアちゃんに生きて会いたいんだからさ」
「それは、私も同じですわ兄さま。」
「そうですよ。兄上の娘さんであの方の忘れ形見なんですから。」
兄妹共にかなり仲がいいらしい。
それは良いことなんだが、王様も王妃様も全くしゃべらないな。
何というか傍観してるだけって感じだな。
まぁ、俺たちがとやかく言えることじゃないが
「あの・・失礼ですが、俺たち・・・我々を呼び出した要件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
敬語は苦手なんだよなぁ・・。
「そうだったね。リアちゃんを助けて、治安維持に積極的な君たちだから頼みたいんだよ。」
ん?
「あの・・・そのリア様・・というのはどなたのことなのでしょうか?イリス様のご息女だと皆様の話から伺いましたが・・」
「え?あぁ、リアちゃんは愛称だよ。正しくはフリージア。僕の妻だったペチュニアさんとの愛の結晶さ」
俺たち「え!?」
ちょっと待ってくれ!!
え?
え!?
同姓同名がこの世界に全くいないことはないし、ただ偶然同じ名前という可能性もあるが、親子そろってどっちも同じ名前というのは偶然にしては無理があるよな。
それに
「我々が知っているフリージア・・様は、確かにペチュニア様のご息女ですが、どこかの町の領主だった男との子だと聞いていたのですが・・・同姓同名の別人ではないのでしょうか?」
この時点で誰にも言えない内容だといやでも理解した。
「いや、君たちが言うフリージアは僕たちが言っているフリージアと同一人物の、フリージア・エトワールだよ。」
ファミリーネームまで一致してるし
「教会の腕輪を授かった魔法に長けた黒髪のかわいい子でしょう?尻尾の長い猫と脚が3本あるカラスの獣魔という名の保護者とともにいる」
「・・・確かに同一人物ですね。」
「ちょっと待ってください!フリージアちゃんの父親は気に入らないけどどこぞの屑領主と見た目清楚で中身は非常にはっちゃけためちゃくちゃボインなペチュニアさんとの子じゃないんですか!?」
「リリ!落ち着け!それに色々と失礼だろうが!申し訳ありません!」
気持ちは分かるが、ペチュニアさんに相当失礼なこと言ってるぞ!?
クズ領主はどうでもいいが。
・・てか、ボインはやめろ。
お前も相当な代物を持参してるだろうが。
「気にしないでいいよ・・確かにペチュニアさんのボインはすごかった。・・コホン。ここは僕たち以外は誰もいないし、敬語とかも気にしないから。ダンさんも普段通りのしゃべり方でいいよ。むしろ堅苦しいのは苦手だからやめてほしいかな。」
「そういうことでしたら、お言葉に甘えて・・」
かなり気さくな人のようだ。
「実はさ、その屑領主はペチュニアさんと一切の身体的接触がなかったらしいんだよ。手を触る、肩に触れるとかそういうのを含めて。」
「ということは、ペチュニアさんはあの屑領主とは一切触れることすらなかった・・つまり、フリージアちゃんを産むきっかけになるような行為はありえなかった・・と?」
「そういうことだね。で、話の流れで分かったでしょう?」
「ペチュニアさんはかつてこの国にいた、そして、イリス様と親密な関係にあったということですか?」
「そういうことだね。僕はペチュニアさん以外の女性を愛することはありえないよ。リアちゃんは別だけど」
「よく、フリージアさんがペチュニアさんの娘さんとお分かりになりましたね。」
「彼女はペチュニアさんと見た目は本当にそっくりだからね。それに、今、僕の懐刀が彼女のそばで護衛しながら報告してくれているからね。さりげなく陰から守りながら調べてもらっていたのさ。」
イリス様が耳に着けているイヤリング・・イヤーカフだっけか?それを見せながらフリージアからのお土産かつお守りだと言って嬉しそうに見せてくれた。
そりゃあうれしいだろうな。
娘からの初めての贈り物だ。
しかもお守り・・本当にフリージアはいい子だ。
「まぁ、彼はかなり気配操作が上手だからばれずに陰で警護ができると思ってたんだけど、まさかリアちゃんが先に彼を見つけてそのまま捕獲したのは驚きだったね。」
今は一緒に旅をしているようだよと言いながら教えてくれた。
元々影が薄く、忘れられることが多かったのに加えそこから技術を身に着けた隠密部隊の中でもひときわ気配関係の操作がうまい人物をあっさりと見つけるとは・・何というかさすがだな。
「で、話を戻すね。君たちにお願いしたいのは僕の懐刀であるラウは優秀だけど1人の人間だ。限度がある。だから、君たちには君たちのパーティ・・・いやクランを作って彼女のそばで守り続けてほしい。僕は離れることができないからね。」
クランとは、複数のパーティの集合体のようなものだ。
いわば、個人を集めるのがパーティ、パーティを集めたパーティがクランだ。
学園で言うところの1つのクラスがパーティ、学園全体がクランってことだな。
「我々・・俺たちよりも優秀で信頼できる人たちは他にごまんといるはずです・・どうして俺たちだったのでしょうか?」
「リアちゃんは美幼女だけど、君たちが出会ったときはかなり悲惨な状態だっただろう?初見で美幼女だと言えないほど」
確かにひどかった。
スラムの子どもと言ってもおかしくないほど服も髪も何もかもがボロボロで、虐待の跡もかなりひどかったのを今でも覚えている。
「確かにかわいい子だったり優秀だったりすれば守るやつらはいるさ。けど、それだとだめだ。背中を預けることができるのは見た目で判断せず、利用しようとせずに1人の女の子としてかわいがり、無償で何の見返りがないのもわかった状態で養った君たちだからこそ頼めるんだよ。それに、僕には君たちはとても素晴らしいほど代表的な善人だと判断しているよ。それだけの理由では不満かい?」
イリス様がはっきりと俺たち4人にそう言った。
俺たちはただ、ウルフどもに襲われていたあの子をただ助けたいと思い助け、悲惨な過去を聞いて普通の幸せを知ってほしかっただけだ。
そんな俺たちにとっては当たり前のことがこれほど認められると気恥ずかしいな。
「いえ・・俺は、ただ・・・フリージアが・・あの子にごく普通の幸せを知ってほしかっただけなんです。それに、あの子を中心に俺たちは以前よりも明るく過ごすことができました。以前よりも毎日が楽しいんです。・・俺たちの方が救われているんですよ。」
「その言葉だけで十分だよ。」
「イリス様、フリージアちゃんは今どこにいるのでしょうか?」
「今かい?今はフォレストロードの中をうろちょろしながら特訓してるようだよ?」
「特訓・・ですか?」
「あの地は、植物関連の魔物が非常に多いですし、通常の森よりも迷いやすい非常に危険な場所ですよ?・・・フリージアちゃんやカルナたち、ラウさんという方が優秀としても場所は他にもあると思うのですが・・」
「その辺りは問題ないようだよ。細かい部分は色々とアレだから言えないけどね。ごめんね?」
「いえ・・少なくとも最低限の安全確保はできているんですよね?」
「それはもちろん。」
「ならよかったです。」
「そういえば、クランをフリージアたちと組むのは構わないのですが、どこで合流するのですか?」
「俺たちが港町へ迎えに行きますか?」
「いや、迎えにはいかないよ。」
「そうなのですか?」
「元々彼女たちの旅のついでにこの国に来て僕に会いに来てくれるということになってるんだよ。迎えに行ったら強要してるようなものだろう?」
「なるほど・・」
「本当は、この国の学園で学んでほしいんだけどね。」
「確かに学園生活は良いですね。学ぶ場としても安全に過ごせる場としても仲間や友を見つける場としても」
「カルナさんならその辺りも想定済みな気がしますが」
「あぁ・・確かに。」
「保護者筆頭だしな。」
「では、彼女たちがここに来るまで俺たちは普通の冒険者としてこの国に滞在すればいいのでしょうか?」
「それでもいいけど、君たちさ騎士と使用人の両方を学ぶ気はないかい?」
「両方ですか?」
「君たちだってリアちゃんのためになりたいだろう?ならば、騎士としての戦い方をはじめ、執事やメイドとしての身の回りのお世話とかも知っておいて損はないと思うよ?他にも、料理だろうがモノづくりだろうが刺繍関係でも建築でも知識を集めてもいいと思うよ?」
そうか
冒険者の戦い方はほとんどが我流
そこに、騎士としての戦い方は全く異なってくる。
騎士とは対人戦が基本で、守るための戦いだ。
それに、執事などの使用人の動きも非常に大事だ。
場合によっては、潜入調査とかでも軽い変装でもそういう動きが役立ったりする。
まぁ、身の回りのお世話とかはシャスティやカルナたちがやるだろうけどな。
だからこそ、そのほかの部分で支えられるようになるのはいいかもしれないな。
鍛えてあげるのもいいだろうし、知識を蓄えてカルナたちとは違う方面で教えてもいい。
モノづくりで喜ばせたり、より便利な生活をさせてやることも、料理を教えてあげても作ってあげてもいい。
ただ守りたい、そばにいたいじゃダメなのか。
具体的にどういう形で守るのか、支えるのか
「はい!イリス様!私騎士とメイド、暗殺術が知りたいです!」
「わ、私はメイドと薬学、植物や地理、お料理や刺繍などを。」
「俺は、騎士、戦闘や護衛としての魔法の扱いに暗殺術、とにかくありとあらゆる戦い方を知りたい。・・あと、執事も」
上から順にリリ、アン、ゼルだ。
すごく性格が出てるな。
俺は・・そうだな。
「俺は、騎士、戦闘と生活で使う魔法の扱い、執事、建築を含む道具などのモノづくり、それに関連する知識について教わりたいです。」
そう。
モノづくりに興味があった。
図体はデカいが細かい作業は嫌いじゃないし自信がある。
だから、魔道具でも小道具でも建物でもなにか色々作ってみて何がしたいのか、自分の興味が向いたものから色々試したい。
「なるほど。リリは表向きでも裏向きでも護衛として。アンはとにかく支援関係を全般。ゼルはオールマイティな戦闘職。ダンは、護衛として、そして技師やモノづくり関連だね。・・良いね。とてもバランスが良いチームだ。良いよ、徹底的に鍛えてあげるよ。」
俺たち「よろしくお願いいたします!」
「うんうん。その代わり、自由時間はほとんどないものだと思ってね?睡眠も食欲も性処理も徹底的に管理するから♪」
楽しそうに一部とんでもないことをボロッと言ったぞこの王子様。
一部管理してほしくないのがあるんだが・・。
「あの・・一部余計なのが混じってませんか?」
「ん?大丈夫だよ。みんなにいろんな意味で積極的で上手な専属メイドさんをつけてあげるから。まぁ、全員妊娠しない体質に加えて、サキュバスと同じ特性とかをなぜか持ってるわけありメンバーだったりするけど、みんな美人だしかわいいし明るく楽しく過ごしてるし、君たちなら喜んで襲ってくるから。時と場所はしっかりわかってるし、色々と優秀だから教わることも多いからそんなないよ?」
「・・そう言う問題なのでしょうか?」
「娼館とかより良いでしょう?何が起こるかよくわからないし、お金もそれなりに高い。それに比べてこっちはしっかり安全だし、後ろめたさもないしお金もかからない。あ、もしかしてメンバー同士でする予定だった?なら辞めさせるけど。」
「ぶふっ!」
「けほ!けほ!!」
ゼルとアンがむせた。
リリは苦笑い、俺は・・・うん。
「おや?まぁ、強要はしないから。でも一応毎日タイミングを合わせてするかどうか許可はとるようにはするから。まぁ、拒否以外は言わなくても勝手に始まるけど。無言は肯定さ。」
お望みなら性行為で朝起こしてくれるとか、夜這いとかハードなプレイまでなんでもござれだよと明るく言われてしまった。
・・・・一応俺も男だ。
うん・・。
専属の子が心の底からよしとしてるなら受け入れよう・・・うん。
ちなみにゼルは、リリをチラ見しつつも頭を壁に打ち付けたりしてる・・落ち着け。
アンは、期待した表情で顔を赤くしつつも俺をちらちらと見ている。
・・・素直に行っても大丈夫なのか?・・思い違いだったら色々と怖いんだが・・今後のパーティ同士での付き合いとか。
まぁ、その日の夜に俺の元にアンが夜這いに来たのは驚きだったが。
結局、アンは本番行為がどう言うのかは分かってはいても俺が上半身裸になったところで抱きつく以上は限界だったらしく顔を赤くしたまま気絶してた。
・・その日は俺と一緒のベッドで寝ることになった。
だってさ・・気絶しつつも俺に大しゅきホールドしたまま離れなかった(抱き枕派なのだろうか?)し、すごく幸せそうな表情で寝ながらほおずりしてたし・・手は出してないぞ!?
ホントだぞ!?ただ、押しつけられている胸の感触をひっそりと堪能はしたが揉んでないからな!?
むしろ手を出さなかった俺を褒めてくれ!
・・・すっごいムラムラする・・この興奮をどう解消するべきかと思っていたところで夜這いその2であるメイドさんが音もなくやってきた。
ちなみに、クール系で胸が大きい人だった。
だが、俺たちの現状を瞬時に把握したらしく、アンに正面から大しゅきホールドされたままだというのに器用に俺のをしっかりと一方的に絞り尽くしてから満足そうに去って行った。
俺に一言もなく、本番もなくただひたすらに口で絞っていた・・・あまりにも上手くて瞬殺だったが・・・うん。
気持ち良かったのは確かだし、そのおかげでアンを襲わずに済んだから・・・気のせいと言うことにしておこう。(ひっそりと感謝しつつ)
「一応世間的な肩書は、僕専属の部隊に入ることになるから。」
「いきなり専属ですか?・・うれしいですが」
「君たちみたいな善人は貴重なんだよ。善人だからこそそばにいてもらいたいのさ。」
「わかりました。これからよろしくお願い致します。」
俺たちは、クラリティ王国でイリス様専属の少数精鋭部隊としてこれからここでお世話になることになった。
フリージア。
次会うときには、頼りになる家族として守らせてくれよ?
俺だって、フリージアの良い兄としていたいんだからな。
ま、メンバー全員に言えることか。
あれ?
そういえば
「イリス様質問を1つよろしいですか?」
「いいよ?何?」
「ではどうしてペチュニアさんはイリス様とではなくあのクズ領主と婚約を?」
「あぁ・・これも内緒で頼むよ?」
俺たちは全員頷いた。
「知ってるかどうか知らないけど、ペチュニアさんは確かに強い人だったよ、流星姫なわけだし。」
「流星姫!?ペチュニアさんが!?」
りりが相当驚いてる。
アンもゼルも声には出さないが相当驚いてる。
当然俺も
流星姫の話は有名だ。
敵対すれば町ごと廃村のごとくぼろっぼろになるとか気に入られれば予言を1つもらえるとか料理が相当旨いとか色々と逸話があるしどれも真実らしいし。
まさか、ペチュニアさんがそうだったとは・・道理で噂は聞いてもお目にかかれないはずだ。
「で、彼女は強かったけど病弱だったんだよ。大変なんだよ?彼女自身は結構ハイテンションな人だから・・豪快に笑いながら吐血してるのが普通だったよ。」
「そうでしたね・・・ペチュニア様は全く気にしてませんでしたが、周囲にいる我々にとっては相当悩まされました。」
お姫様もそう言う。
・・うん。
何か想像出来る。
「そんな彼女と僕は結婚して楽しい生活を送りたかったさ。けど、この国ではどうしても土地的な問題で手に入れることが出来ない薬草とかがあったんだよ。」
「では、流れ的にそのクズ領主のところが?」
「そう。あそこは黒い話は相当有名だけど薬草関係の取り扱いには優秀だった。それで生計を立ててると言ってもおかしくないレベルだね。土地に愛されてる場所だよ。」
「では、療養のために?」
「それもある」
「・・”も”?」
「うん。街の人たちとは仲良くしてて、良い領主だとか思われてるけど裏話とか色々と知ってるし関わってる側からすると相当な腹黒でいけ好かない奴だったからね。引っ捕らえるにしても証拠がないからどうしようもなかった。そんなときにペチュニアさんが」
「じゃあ私がそいつの膿を出させるだけ出させてあげるわ。・・・と、吐血しながらはっきりとおっしゃってましたわ。」
「で、僕たちも僕たちだけどそんなことを頼みたくはなかった・・けど、滅多にない彼女のわがままだったから・・」
「私たちのためにと・・ご飯と寝る場所、楽しい思い出の恩は返さないと私自身が許せないとおっしゃって・・・」
「何を言えませんでしたよ・・あの目は決意した目でしたから。」
「・・」
「で、そのサポートとしてとある家族をスパイとしてさりげなく送り込んでね・・・やっと証拠が揃ったと言うときにはペチュニアさんは・・・でも、彼がしっかりとペチュニアさんの思いを無下にしないためにしっかりとやってくれたから今あのクズ領主は犯罪奴隷として採掘場に監禁している状態で働かせ続けてる。」
「本当は、今のフリージアさんを見せて徹底的にたたきつぶしたかったけど顔を見せるのもおこがましいからね。休憩時間も食事も満足にやらせずに働く以外の時間はほぼゼロにしているよ。彼は過労死させる予定だからね。」
「ついでに言うと、そこの監視者を経由してそいつには自分の娘だと思っていた子はクラリティ王国の王族の血筋を引いていて、お前の血は一滴たりとも流れていないと言った後に今どれだけ素晴らしい子として成長しているか、そいつが何をしてたかに対するあれこれも毎日隙あらば囁き続けていますわ。」
「たしかその監視者は異世界人が言うところの黒歴史?という記憶を触れた相手から引き出すことが出来る特殊っこだったかな?」
「そうですわ。体は過労死させるために徹底的に動かさせ、心は黒歴史というもので崩していく。・・死ぬまでですわ、うふふ♪」
姫様はすごくかわいいが、Sなところがあるっぽい。
「それは素晴らしいね。逃げだそうとかそういうのは大丈夫かい?」
「あの鉱山の外にはSSSランク冒険者でないと対処出来ないほど強い魔物がわんさか沸いている場所ですから、逃げれば余計に死ぬだけですわ。」
「すごいね。監視者たちは大丈夫?」
「それはもちろん。あそこの魔物たちはなぜか奴隷にしている奴ら以外には見向きもしませんから・・不思議ですわぁ。」
こてんと首をかしげているところも大変かわいい。
・・と言うよりこの王子様お姫様兄妹は本気でキレてるな・・そりゃそうか。
「そこの魔物たちは、他の魔物とは生態系が異なるのだろうな。」
「そうですね。」
「で、話を戻そうか。今は、その町は存在しないよ?」
何がどうなった!?
「あの後ね。その家族たちは相当鬱憤がたまってたらしくリアちゃんを悪魔の子だの何だのといった奴ら全員を社会的な死をたたきつけて、精神的に粉みじんにしてやったらしくてね。後はゴーストタウンになったから壁だけ残して建物類を全部なくして一面花畑と薬草畑にしたんだよ。・・あそこはペチュニアさんが眠る土地だからね。」
「・・そんなことが。」
「そのご家族には是非お礼が言いたいわ。」
リリの目がマジだ・・。
「そのご家族とはどのような?」
「カルナたちから聞いたことない?かなりの強面の青年なんだけどね?」
「あ!聞きました!強面兄ちゃんが対処してフリージアちゃんにランダム転移の使い捨ての魔法で逃がしてくれて、あの杖を渡してくれたと。」
「そうそう彼彼。」
「あの方は何者なんですか?あの杖も元々はその方のじいさまという方からの餞別だったらしいですし」
「あの家族はね、かつての英雄賢者と呼ばれた方の唯一弟子になった子の子孫なんだよ。」
「え!?英雄賢者様に弟子がいたのですか!?」
「数年とかそのくらいだったらしいけどね。唯一弟子として認められた貴重な存在だったし、彼の教えのおかげでその弟子は世界的にも有名な魔法の探求者になったわけだし。」
「魔法の探求者!聞いたことがあります!優秀な魔法使いで彼の手に掛かればできないことはほとんどないと言われるほど多才な魔法使いと!」
「そうそうその人だよ。そんな彼は、この国で僕たちの助けを先祖代々してくれてたんだよ。そんな彼らはペチュニアさんによって救われた恩があったからねそのお返しをしたかったそうだよ。」
「恩・・とは?」
「ペチュニアさんは予知が出来るんだよ。かなり限定的らしいけどね。そのおかげで救われたことはかなり有名でしょう?」
「はい!流星姫のお告げですよね!それによって救われた町や村は数知れないと!」
俺も聞いた。
無償で寝泊まりさせてくれたお礼とかでかなりやばい予言を告げて去って行くらしいが、その予言は百発百中。
・・改めて聞くとペチュニアさん・・強いな・・それと、自重しないのな。
「そのお告げで、助かったことがあったんだよ。他にも彼女の笑顔にも救われたらしいしね。・・僕たちもね」
言われて納得する。
写真で見たペチュニアさんは相当な美人だ。
あの方の笑顔は癒し効果は十分ある。
・・その分退屈しない性格のようだが。
「で、影ながらサポートしつつも、リアちゃんは産まれ、知っての通りあんなことがあった。彼らはペチュニアさんの忘れ形見であるリアちゃんの不遇を許せなかった。だから、自重しなかったんだよね。そんな彼らがあそこまで本気で社会的にも物理的にも大暴れしたのは初めて見たよ。」
あははと笑いながら言っているが、相当なモノだと察する。
「では、彼らは今この国に戻ってきているのでしょうか?」
「いや、彼らはペチュニアさんのお墓の墓守としてあの場所から動く気はないらしいよ。文通とかヘルプで呼べば来てくれるし助けてくれるけどね。」
「そうでしたか。・・・結局あの町って名前は何だったのですか?フリージアちゃんは場所も名前も分かってなかったので・・」
「あそこかい?名前はあったけど町として機能しなくなったからね辺境の地として新たしく名前をつけたんだ。ペチュニアさんが眠る場所だから”流星の里”ってね。」
流星姫が眠る場所ってことか。
すごく良いと思う。
「彼ら以外の人間は基本いないよ。と言うより寄りつかないだろうね。彼らは全身全霊で全ての障害をたたき壊すっていうのを嬉々としてやってるし。・・だからその周辺は魔物がほぼ皆無で盗賊関連も片っ端から消滅してるらしいしね。」
・・・自重しなくなったのか、彼らは。
「まぁ、動物とか野良の妖精とかがちらほら集まってるから観光スポット的な状態になってるけど、彼らが許すはずがないからね。今回の一件を物語として近寄る善人たちには話して納得してもらってるところだよ。人物名も流星姫以外は全員うやむやにしたからリアちゃんだとは気づかれないよ。あ、クズ領主は個人情報は調べて分かった範囲だけでも嬉々として出しまくってるけど。膿は徹底的に出して、他の人たちにも知ってもらわないとね♪」
・・・うん。
相当キレてるな・・わかるけど。
そりゃそうか。
かわいい娘がひどい目にあってたわけだし。
彼らにとっては信頼する相手の娘さんなんだからな。
「だから、適当なタイミングでそこに足を運んでみなよ。君たちは行って目にする権利はあるはずだよ。任務として実際に見聞きして嘘偽りなく情報を持ち帰るってのをお願いしたいからさ。君たちだってペチュニアさんのお参りはしたいだろう?」
あぁ・・イリス様はやっぱりいい人だ。
リリが実際キラキラとした尊敬のまなざしでみてるし。
リリは、フリージアとの件の後から善悪に敏感だからな。
「さて、話しはおしまい。これからよろしくね神子様守護部隊のみんな」
俺たちははいと返事をした。
「あ、そうだ。ギルドから人員増加の依頼が来てた?」
「そういえば、結婚した職員が固まっていたせいで人数が減ってしまったと報告がありましたわ。」
「んーでは、どこかから異動させますか。」
「あのイリス様・・」
「ん?ダン?何か提案?」
「身内びいきになるのかもしれませんが、1人おすすめしたい職員がいるのですが・・」
「誰だい?一応こちらでも調べはするけど。」
「俺たちがいたカタクリの町でギルド職員をしているアリスという女性です。」
「あぁ!あの子か!」
「ご存じで?」
「もちろん。ギルド職員になる為の試験のときに全てのジャンルで満点を獲得して、彼女のアドバイスによって上位ランクの冒険者がかなりの人数が上がってるからすごく有名だよ?」
「・・そういえば、アリスさんのアドバイスはすごく的確でわかりやすかったな。」
「それに美人だしな。」
「なぁに?アリスさんみたいなおしとやかでクールな感じが良いの?」
「え!?いや!嫌いじゃないけど、俺はもうちょい明るい子が良いというか!あはは!!」
リリとゼルの会話は・・うん。
ゼルの言い方はごまかしのようにも聞こえるが、事情を知っているとしっかりとりりが好みだといってる。
うんうん。
なかなかやるな。
けど、リリは微妙な顔してるな。
アレは、自分は該当するが自分が好み?気のせい?思い込みが激しい?と
気のせいではないし合ってるが、それを真実と受け取って良いのか悩んでる感じだな。
・・うん、ゼル頑張れ。
・・ってか、アリスさん何気にハイスペックだった。
美人なのは認めるがな。
けど、ここ最近はなぜか未亡人のようだと言われていたが・・・あ、フリージアがいないからか。
あの子がいた頃は相当幸せそうだったからな。
その時の幸せオーラにやられて告る奴は結構いたしな。
最終的には全て一蹴されてお断りされてたが。
「それに、リアちゃんも懐いてたし、アドバイスとかも色々受けてたはずだよね?」
「はい。アリスが担当してましたし、俺たちが依頼でいないときは率先してお世話してたようですし。」
しばらく一緒に過ごしてたらしいが、その間のアリスさんはかなりご機嫌だったとか。
「よし、じゃあアリスって子をこっちに異動は決定。ギルドマスター経由で伝達させないとね。リアちゃんがこの国にしばらく滞在する可能性があるからって言えば大丈夫だよね?」
「えぇ。それにこちらの方が規模が大きいので給料も多いでしょうし、移動中の賃金もこちらで出す予定ですわ。」
「良いことづくめだね。じゃあ、またあの子にお願いしようか」
そして、アリスさんは俺たちと同様荷物と共にドラゴンに強制運搬される運命が決定した瞬間だった。
・・怪我しないように到着時間とか聞いて構えとかないとな。
さすがに空中ポイはヤバイし。
ちなみにあのドラゴンはこの国で育てたのは確かだが、実際は外猫のごとくあちこちをうろついており、この国にいることが多いだけなんだとか。
そのため、この国にとどまるという意味で名前はいらん!と言われ、無名のままうろついてるのだとか。
報酬は、彼が欲しいときにご飯を与えると言うことである。
・・ドラゴンに金を渡しても食えないのでいらんと拒否されるだけらしいし。
フリージア、まさかのリアルお姫様