ゴブリンの事情と精霊樹への想い
ラウさんが執事さんになったり、私が相変わらず愛でられつつ杖さんの特訓を中心に魔法の練習をしてるとこの里にゴブリンという妖精さんたちがやって来たようです。
地下で過ごしてる彼ららしいですが、どうやら何かに巻き込まれたのか大勢が大けがをしてるらしく、この里にしばらく過ごすことになったらしいです。
そして、今その長さんが事情の説明としてリフさんのいる精霊樹のもとにやってきました。
リフさんたちが言った通りですね。
1メートルくらいの身長で全身が緑でおでこに角があります。
後、人の形です。
で、事情を説明してくれることになりました。
リフさんは、本来の姿であるおっきな狐さんの姿です。
あの人の姿は普段は見せないらしく、見せる相手は一部だけらしいです。
え?私ですか?
私は、リフさんが元の狐さんになってるので人の姿のときよりおっきくなってるおかげでお尻尾もおっきいしもっふもふなんです。
で、そのお尻尾に埋もれてます。
ついでににゃんこサイズのシャスティやラナちゃんたちをもふもふしてもふもふパラダイスです。
カルナは、怖い物知らずだなとか言いながら最近の特等席になりつつあるラウさんの肩にとまってます。
翠ちゃんはラナちゃんと同じサイズにちっちゃくなって右肩にいます。
左肩はラナちゃんの特等席なので。
ラウさんは、執事としての仕事の見せ所とどこかやる気満々でリフさんとゴブリンさんのお茶を出したりしてます。
翠ちゃんはお外(敷地外っていった方が良いかも?)を移動する時(魔物など敵と遭遇する可能性が高い場所)では、頭の上ですがそうじゃない時・・・・敷地内やお家の中など、基本的に安全な場所では右肩にいるんです。
で、左肩にラナちゃんはどこにいても固定です。
あ、ゴブリンさんが話してくれるようです。
「・・・・・・」
ですが、なぜか話しをせずに私をじっと見てます。
気にせずに話してて良いですよ?
リフさんのお尻尾を堪能してるというよりリフさんにお尻尾で巻き付かれて捕まってる状態ですから。
そこにシャスティたちが私に寄り添ってる・・つまりは、強制もふもふ状態ですから。
というより、ゴブリンさんはこの子無視して話して良いの?と困ってる感じっぽい。
「あの・・リフ様・・まず質問をよろしいでしょうか?」
「ん?あぁ、この子?」
「え、えぇ・・・人間がこの里にいることだけでも珍しいというのに、この精霊樹に・・しかも、リフ様ととても仲が良いようなので・・・」
「色々あってここでしばらく預かってるのさ。この子はフリージア・・こう言ったら分かるかな?今代の賢者よ・・しかも正統後継者ね」
「っ!?・・ただの賢者ではなく英雄賢者のと言うことですか!?」
すごい驚いてますね。
リフさんがはっきりと賢者・・しかも正統後継者と言ったのでそれで英雄賢者と分かったみたいです。
賢者にも色々あるらしいですしね。
ただ、賢者の頭に”仮”とか”一応”とか後に”もどき””ぽい”とか”~に近いモノ”ってなったりするのできちんと賢者だけなのはホントにすごーい魔法使いさんでたくさんの種類の魔法を扱える人か、私のように血筋と才能と、運とか努力家とかでなる場合もあるけどそっちは本当の実力者の賢者よりもいないに等しいくらい少ないからです。
「えぇ。まだまだ幼い容姿だけど将来がとても楽しみだよ。この子の家族もとても面白いメンバーが揃っているしね」
「そのようですね・・・妖精族に幻獣様まで・・」
「まぁ、そういうこと。とりあえず、話をしてもらっても?」
「失礼致しました。」
そして、話してくれました。
彼らゴブリンたちはこのフォレストロードの地下深くでひっそりと過ごしていたらしいです。
このフォレストロードは通常の森よりも資源などが豊富だからとても過ごしやすかったのだとか。
そんなある日、仲間がぼろぼろになって帰ってきたらしい。
その時は何も知らない人間たちが魔物と勘違いして襲ったのだと考えやり返しを計画しつつ普段以上に警戒していたらしいです。
ところが、ぼろぼろになって帰ってくるメンバーは日に日に増えていった。
人間の人っ子1人として誰1人として見つけきれない状態で。
それからは、彼らは少数グループに分けて行動・・・ではなく、全員でまとめて行動するという手段をとるようにした。
「そして、奴はいました。」
「奴?」
「えぇ・・・レッサーニーズヘッグ」
「・・・面倒なのが来たね」
どういう魔物なんでしょうね?
と考えているとカルナとシャスティが教えてくれた。
レッサーニーズヘッグ
4足歩行の蛇に似た姿をしたドラゴン
こいつに噛み付かれるか切り裂かれたりと攻撃を食らうとその怪我の大きさに合わせて生命力と魔力を略奪してしまう。
全身にはしびれ毒が含まれており触れるとしばらく動けなくなってしまう。
※一応ニーズヘッグは存在するがこいつはその下位の存在だったりする。
獲得部位:魔石、鱗、牙、爪、魔宝石(呪、毒、生命)
ラウさんが言うには、冒険者さんのBランクの人が10人が全身全霊で戦ってぎりぎり勝てるかどうかという強さらしいです。
その上のAランクだと少なくとも50人は必要らしいです。
どちらもチームプレイが完璧に出来ているのが最低条件らしいです。
{魔宝石とは何ですか?}
「魔宝石は、大雑把に言うと魔石とか魔核の上位の存在だ。」
「確かに大雑把に言うとそうですね。魔宝石は宝石が魔石と同様に膨大な魔力を含むことで生み出される場合と、今回のように強力な魔物がまれに持つ魔核・・つまりは魔石とは別に存在する魔力の塊と更に別に存在する力の塊です。」
「括弧書きで色々書いてあるだろ?その部分はそれが魔宝石によって色々変わるんだ。」
「含まれている力によって魔道具などに加工する用途が変わりますよ。」
「回復魔法関連であれば自動的に回復させたり魔力さえ込めれば誰でも回復魔法を使えるようにするってやり方もあるし、攻撃魔法であれば自身の力の1つとして扱える、防具に使えばその属性に対して非常に強力な防具にもなる。」
カルナとラウさんが交互に説明してくれました。
つまりは、
魔石:魔物が生きて、戦う為の力の源
魔核:戦う為だけに使用する魔力のみを凝縮したモノ
魔宝石:魔核に属性をつけて、更に強力にしたモノ
これは、魔物の中に存在することもあるけど、自然界に存在する宝石・・石のきれいなのが魔石みたいにたくさんの魔力を含んで、その土地に合わせた属性を含んだ場合もあるらしいです。
その場合は、属性のない魔力を多く含んだだけの宝石も採れるらしいですが、その時は加工する時に属性を加えたり、あえて加えずに装備する人を魔力面で補助するような形にしたりするらしいです。
ということらしいです。
なるほど・・つまりは、すごい力を秘めた石なんですね、なるほど。
「だがあいつは、彼(英雄賢者)が退治したはずだが?この精霊樹を腐らせようとしてたわけだし。」
とんでもないことをしてたようです。
「えぇ・・ですので、正しくはゾンビとして甦ったような形なんです・・どうしてゾンビになってしまったのかはわかりませんが・・・そのせいで、ほんらいそいつが持っている毒や攻撃した相手の魔力や生命力を奪う量も桁違いに上がってるんです。・・後、無駄に感知に優れているので・・・」
「近くに偶然いた君たちが狙われたわけだ・・・そうなると、近いうちにここを襲ってくる可能性があるな」
「大変申し訳ありません・・ですが・・このままでは・・」
「分かるよ。君たちが全滅してしまうかもしれない・・それは、自然界にもあまりよろしくないね。」
「ですが、ゾンビになったことで頭が回らないのか言ってしまえば単純馬鹿になってるので正面から堂々と一切合切を無視してここに突撃してくるかと」
「そうか。分かったありがとう。後は、こちらでどうにかするから休んでてくれ。」
「大変ご迷惑をおかけ致しますが、よろしくお願い致します。」
そして、深く深く頭を下げたゴブリンさんはしばらくして里の仮住処の方に帰って行きました。
「ふぅ~。よりによってアレが来るとはなぁ・・・はぁ。」
ため息をつきながら人の姿に戻るリフさん。
当然のごとくすっぽんぽん
「・・・・リフ様・・・服を着て下さい」
ラウさんが視線を逸らしながらそう言った。
「あぁ、そうだったね。」
軽く返事をしながらいそいそと服を着るリフさん。
リフさんは人の姿になると自身の力で服を着ないと当然すっぽんぽん。
それと、リフさんは本来の姿はあのおっきな狐さんだから服を着ると言うことがないのが普通。
だから、よく人の姿になった後は服を着るのを忘れてます。
私は特に気にしないし、カルナたちも動物だから当然気にしない。
けど、男の人で大人のラウさんは当然気になる・・というより気にする。
男の人は女の人のすっぽんぽんをみるのが好きらしいけど?と思ったからそうラウさんに言ったら
「・・・否定はしませんが、基本的にそういうことは誰これ構わず・・・は好みません・・」
人によっては、誰これ構わず好きらしいけど、それは倫理?に反するらしいです。
「さて、まずは軽く昔話からかな?」
服を着たリフさんがあの魔物について教えてくれました。
英雄賢者と呼ばれる青年がこの隠れ里に数年ほど住んでいた頃、そいつ・・・レッサーニーズヘッグは現れたらしいです。
と言っても、偶然遭遇したとかたまたま英雄賢者さんがいた頃に精霊樹を腐らせようとするために突撃してきたということ。
それを、彼は討伐したらしい。
それらの部位は呪われており、上位精霊であるリフさんもそれらを浄化する力はなく、彼も持っていなかった。
そのため、精霊綬の土地を浄化する力を利用するため、それらの部位を地下深くに埋め、封印した。
そうすることで長い年月をかけて呪いが解け、完全に解けた時にその部位は全て霧散してなくなるはずだったのだとか。
「けど、誰かがその封印を解き、呪いを強化してしまったようだね。」
「呪い・・とは?」
「こいつを倒すと出てくる部位は全て呪われているんだよ。こいつの特性であるように常に毒を帯びているし、体力も生命力も奪われる。解呪出来れば状態異常に強いモノ(薬?)が作れるとは思うけど、かなり強力だし、私も彼もそっち方面は苦手なんだよ。・・・とりあえず、ここの結界の拡張と強化をしないとね。」
「出来るのですか!?あの英雄賢者様が作ったモノだと聞いてましたが」
「そうだよ。ここの結界は今はこの精霊樹を核として機能している状態だ。私はそんな精霊樹を支え、管理して補助している。元々は、そいつの強襲も愚かな人間どもの愚行などがあったからこそ今後の対策としてこの結界が張られたんだけどね。」
「そうだったのですね・・ちなみにリフ様自身が戦うことは出来ないのですか?」
「ムリだね」
「どうしてですか?」
「ある程度の補助は出来るが、今の私はこの精霊樹を管理する以外で戦う余裕はないんだよ。つまりは、状態維持でいっぱいいっぱいさ。」
「そうなのですね。」
それほどこの結界の管理は気を抜けない大事なお仕事と言うことらしいです。
「それで、強化や拡張はどのように?」
ラウさんは、出来るならどうしてもっと早くしなかったのかと遠回しに聞いてたらしいです。
「それは、フリージアがやるんだよ。」
「リア様がですか?」
私?
「あぁ。英雄賢者の正統後継者であるフリージア・・君にしかできないことだ。」
{私はまだまだ未熟です。そんな大変なことが私に出来るのでしょうか・・}
「心配いらないよ。出来るさ。君の頑張りは私たちが知っている。いつも一生懸命やっていることも知っている。そして、あの英雄賢者に既に勝っている部分が君にはある。」
え?
私なんかが?
首をかしげていると優しく私を抱きしめながらリフさんは言った。
「心だよ」
心?
「そうだ心。フリージアがこれまで体験してきた過去は誰よりもキツく、大変なモノだ。地獄という言葉がふさわしいとも、その程度では収まらないとも言えるほどだ。そんな過酷な環境で過ごしながらもひねくれることなくまっすぐで優しい、清らかな心を今も尚持ち続けている。君にとっては当たり前でも同じ経験をして今の君のように清らかな心を保ち続けることはほぼ不可能だ。それほどに過酷なんだよ。」
「そうだぞリア」
{カルナ?}
「あの地獄を生き抜くことができたのはリアの心が強かったからだ。そうじゃなきゃ、とっくに自殺してたと思うぞ。俺なら悪の道に走らずに自殺してる。」
「誇っていい。そして、もっとわがままになってもいい。楽しさも苦しみも悲しみも怒りも全て心の中に押し込めずに外に出してもいいんだ。」
私にとっては、苦しいって涙も憎いという怒りも全部外に出したらダメなことだと思っている。
カルナが言うところの虚勢術と言われるもの。
けど、私はそれを無意識レベルでしてしまっているから意識しようにもそういう感情は表に出てこない。
表どころかそういう感情が心の中に生まれる寸前で消してしまっている。
私にはわからない。
ある人は笑顔は自然に出ると言った。
ある人は、悲しければ涙が出るのは当たり前だと言った。
けど、私にはその当たり前がわからない。
たぶん私は壊れてるんだ。
感情を表に出したりする部分が。
痛かったら普通は泣いたりわめいたりするのが当たり前。
けど、私にとってはそれは意味のないことだと瞬時に決めてしまう。
そして、痛いと感じる・・ただそれだけ。
人は、痛みに耐性があるとすごいことだというけど、カルナたちにとっては子供らしくない私に存在する多くの虚勢術は悲しいものらしい。
「フリージア、今だから言おう。君の影が濃いのは君の力・・賢者としての・・神子としての真の力のごく一部だ。その力をきちんと制御させるにはまず感情が必要なんだ。どんなことにも感情は必要だ。感情によって力が湧いてくる。土壇場で普通よりも多くの力を発揮できる。そんな部分が強力になったものが、賢者としての力だ。そして、最も大事なのは感情をコントロールすることだ。」
{感情のコントロール?}
「君が感情にのまれて暴走してしまうと、多くの人が巻き込まれてしまう。怒りに任せて戦い続け、その負荷に耐え切れずに死んでしまうかもしれない。感情にのまれて周りが見えなくなり大切な家族を傷つけ、殺してしまうかもしれない。・・・そんな可能性だってゼロじゃないんだ。だから知ってほしい。自分自身の感情を、気持ちを。そして、感情にのまれるなとは言わないけど、自分を見失わないでくれ。」
{どうすればいいのですか?}
「信念を持つんだ。」
{信念?}
「自分にとって最も大事なルールを作るってことだ。その気持ちがある限りはその気持ちが芯となり揺るがぬ強さとなる。君はこれからもっと強くなる。強い力は魅力的だ。周囲のやつらも自分自身も狂わせてしまう。そうならないでほしいんだ・・・そうならないためにも・・・私は・・心配なんだ・・」
私を抱きしめる強さが強くなった。
そして、リフさんは震えていた。
リフさんは心配してくれている。
そして、私が壊れないか、狂わないか恐れているんだ。
私はリフさんを抱きしめ返しながら答える。
{信念なのかはわかりませんが、私にとって一番大事なことはカルナやシャスティ、ラウさんに翠ちゃん、ラナちゃん、天界にいる神様やお母さん、お父さんかもしれないイリスさん・・私のことを大切にしてくれる、愛してくれる人たちと笑って楽しく過ごしたいんです。私は、そんな血のつながりなんて関係なく心のつながりを大事にしたいんです。}
「うん・・うん・・」
{私はこれからもいろんなところを見てまわり、いろんな人たちと出会うんだと思います。そうなると嫌いな人もいっぱいいると思いますが、その分私を大事にしてくれる優しい人たちともたくさん出会います。そうして私の大切は増えていきますが、そんな人たちが少しでも楽しくて幸せな日々を送れるようにしたいんです。・・・私は・・・・私の信念は私を大切にしてくれる人たちや家族の笑顔を守ることです。}
「そうか・・そうか。揺るがぬ信念はもうあったんだね。・・だからこそ、フリージアは今もなお強くあり続けるんだね。・・・ありがとう。」
{どうしてありがとうなのですか?}
「その言葉はね・・・かつての英雄賢者も全く同じことを私に言ったんだよ。君は本当に彼にそっくりだ。また、同じセリフを聞くことができるなんて・・・それだけで十分なんだ。ありがとう・・ありがとう・・。」
リフさんは、泣きながら笑顔でそういった。
私は、リフさんを抱きしめながら何も言わずに寄り添った。
で、落ち着いたところで本題へ戻ります。
「//・・・コホン。では、結界の強化について説明します。」
さっきまでのことが恥ずかしかったらしく顔を赤くしつつそっぽ向いて何事もなかったかのように説明してるリフさん・・かわいいです。
お尻尾が恥ずかしいってアピールしまくってるのでごまかせてませんけど。
「と言っても、精霊樹へ魔力を守りたいという気持ちを込めて送り込むだけなんだよね。・・細かい部分は、正統後継者の賢者であるフリージアにしかわからない。」
(コクリ)
私は、精霊樹にぺたりと抱き着くように張り付く。
目を閉じて心を精霊樹へ寄り添うようにする。
とても清らかで温かいものを感じる。
そして魔力を精霊樹から感じる流れに合わせてゆっくりと魔力を流し込む。
気持ちは、優しい子たちみんなを守りたいと願って。
なんとなくわかる。
どういう風に魔力を流せばいいのか。
どうすればいいのか
精霊樹が何を求めているのかなんとなくわかる。
ゆっくり、ゆっくりと流し込んでいく。
属性は何もいらない。
純粋に守りたい気持ちがこもっている魔力だけを流し込めばいい。
どこまでも純粋な魔力だけ。
守りたいという気持ち以外は一切いらない。
それ以外のものはすべて取り除いて流し込む。
みんなを守りたいと思う。
そして、精霊樹は頑張ってほしいという気持ちと無理はしてほしくない、長生きしてほしいという気持ちを込める。
こもってしまう。
精霊樹はここにいる間私のことを静かにやさしく見守ってくれる。
英雄賢者さんを見守り、リフさんを見守り続けている。
すっごい長生きだからこそ、無理はしてほしくない・・けれど、みんなを守ってほしいという気持ちもあるから頑張ってほしい。
すごく矛盾したことを言ってるし、むちゃくちゃなことを言っているのは十分わかっている。
けれど、私にとっての大切は精霊樹も含んでいる。
だから、私の魔力が精霊樹の力になるのなら限界以上でも使ってほしい。
ここで訓練している間、私はそんな精霊樹への気持ちが日に日に増していたようにも思う。
その時は純粋に長生きでいろんな人たちを見守り続けていた精霊樹がもっと長く生きてほしい、元気でいてほしいとそれだけを願っていた。
その特訓の時にすでに無意識のうちに私は魔力を精霊樹へ流し込んでいたのだと今ならわかる。
けど、今回のことを聞いてその気持ちと同時にみんなを守ってほしいと思っている。
たぶん私はひどいことを言っているんだと思う。
私にはみんなを守る力がないとは言わないけど、長い間は無理。
責任転嫁って言葉が一番似合うんだと思う。
だから、私は悲しかった。
悔しかった。
私が未熟で愚かだからずっと頑張り続けていた精霊樹に責任を押し付けるしかできないのだから。
ごめんね?
ごめんね精霊樹。
こんな未熟な私の代わりにみんなを守ってなんてめちゃくちゃなことを言って。
ずっと見守って、守り続けてたのに・・頑張り続けていたのにもっと頑張れってひどいことを言っている。
気づけば私は涙をボロボロとこぼしながら魔力を流し込んでいた。
精霊樹
私、頑張るから。
あなたに責任を押し付けなくてもいいようにもっと強くなるから。
だから、今は私の代わりにみんなを守ってほしい。
私は多分長生き出来ないから。
だから、今ある私の力を全部持って行っていいから・・・お願いします。
気づけば魔力はすっからかんになった状態で立っていることもできず私は精霊樹に寄り添ったまま膝から崩れ落ち、涙を流し続けていた。
気づくとリフさんに膝枕されてました。
目の前にはリフさんのおっぱいとその向こうに優しい笑顔。
「ありがとう。無事に強化できたよ。」
良かった。
けど、おっぱいがおっきいからリフさんの素敵な笑顔は半分くらいしか見えませんでした。
「それとありがとう。精霊樹のことを案じてくれて。あれほどきれいな気持ちと涙は見たことがない。それほど君の気持ちは美しかったよ。」
何か言おうとしたけどリフさんは指先で私の口をそっと抑えてウインクした。
それからしばらく私はリフさんに撫でられながら膝枕されてました。
「実はねフリージア」
リフさんは私が持つ杖さんを見ながらつぶやく
「君が持つ、英雄賢者から譲り受けた賢者の杖はこの精霊樹からできているんだよ?」
{そうだったのですか?}
「あぁ。なんとなくだが、杖から感じるものと精霊樹から感じるものは同じではないかい?」
そう言われて杖さんをそっと撫でると精霊樹から感じていた清らかで暖かなもの・・全く同じものが流れていた。
そっか。
ずっとそばにいてくれたんだね。
ありがとう。
私頑張るから。
あなたにふさわしくあるために
するとふわりと暖かい何かが私の中に流れ込んできた。
「おや?どうやら精霊樹から相当気に入られたみたいだね。」
(?)
「おそらく加護・・と思うけど認められたようだね。」
(?)
「ギルドカードをチェックしてご覧?」
(コクリ)
カードさんお願いします。
ちなみに、私が持つカードさんは神様の加護によって普通のギルドカードよりも親切で世話焼きさんにグレードアップしてたらしいです。
他の人たちのカードはそういうことはないらしいです。
ランク:D
名前:フリージア・クラリティ・エトワール
性別:♀
年齢:5
種族:半異世界人
職業:賢者、協奏師
称号:絶望を知る者、幻獣の家族、変態紳士ホイホイ、英雄賢者の正統後継者、神子
属性:陰
体力:C
魔力:S
攻撃:E
防御:E
俊敏:D
練度:S
攻撃技:【影操作】【魔力反射】【物理反射】【性質変換】【杖術】
補助技:【念話】【奉納】【心意加増】【精神統一】【アクロバティック】
自動技:【圧縮記憶】【思考速度上昇】【並列思考】【心の瞳】【ショートクさんの耳】
魔道具:賢者の杖、教会の腕輪(EX)、幸運のイヤーカフ、精霊のストール
写真:フリージア・エトワール、ペチュニア・エトワール
契約
【幻獣】八咫烏:カルナ
【幻獣】ガルディエーヌ・キャット:シャスティ
【妖精】オニキス・ゲル:翠
【??】ウールスフィア:ラナ
加護
母の溺愛、母の過保護、元英雄賢者/現神様のお気に入り
下位精霊の親愛、上位精霊:リフの溺愛、精霊樹の巫女
魔力と防御以外は一通り増えてますね。
魔力と防御は、見た目は変化はありませんが増えてはいるようです。
後は、技が1つと加護ですね・・・でも、これまでとは何か違うようです。
それと、リフさんが教えてくれたことがあり、加護のなんとかの親愛とか溺愛などの違いです。
どうやら加護のランクのようで、最も下位なのかなんとかの加護とそのまま。
そこから上位になるのが親愛や溺愛で、どれがどれほどのランクなのかは文字通りなんだそうです。
なので、なんとかの友達や親友などだと友達のような付き合いをするような効果や威力になり、親愛だと親が子供に愛情を注ぐような感じになるらしいです。
細かい部分はよくわかんないけど、大体そんな感じらしいです。
・・そうなると今回のこれは・・・どう判断すれば良いのでしょうか?
それと、全く内容が分からない技もありますね・・・。
とりあえず、カードさん教えて下さい。
【杖術】
杖を使用したありとあらゆる技の総称。
戦いに使うか、防御か、魅せる技か、どう扱いどう使いこなすかはあなた次第。
日々努力することで練度と攻撃、場合によっては防御が上がりやすくなる。
【ショートクさんの耳】
複数のありとあらゆる音を同時に聞いても全てを同時に把握することが出来る。
その技はまさしくタイシさん
精霊樹の巫女
精霊樹のそばにいる間、身体面、精神面の治癒力が向上する。
精霊樹へ祈りを捧げることで祈った精霊樹が存在する森の状況がその森に存在する木々を経由してその周囲の状況を把握することが出来る。
祈っている間は、祈る以外のありとあらゆる動作が一切使用出来なくなる。
森の中で迷わなくなり、食べ物に関することで困ることがなくなる。
ありとあらゆる動物と意思疎通がなんとなくで出来るようになる。
天界とのつながりが強くなり、馴染みやすくなる。
※精霊樹に認められた証であるの木のシルエットが淡い黄緑色と淡いピンク色のマーブルに手のひらに刻印される。
この耳のことは、どうやらまとめて色んな人があれこれ言っても同時に分かるって言うことらしいです。
すごいですね。
でも、しょーとくさんとたいしさんって誰のことなんでしょう?
まぁ、それはどうでもいいですね。
それと、確かに私の手のひらにはこの精霊樹さんと同じ形の木のシルエットがありますね。
色は、すごくきれいだなって思います。
それに、すごくお得なことがいっぱいですね。
動物さんとお話しが出来るようになりますし、森の中で迷子にならないで済みますし、ご飯も心配しなくて良いみたいです。
どうやらご飯に困らないって言うのは、毒が入ってるかどうかとか、食べられるか食べられないかがなんとなくで分かるようになるらしいです。
カルナからは、野生の勘が鋭くなったようなモノだって言ってました。
というよりも、天界との・・って何のことでしょう?
それもとりあえず気にしないでいいですね。
・・・ってあれ?
よくよくみるとリフさんの加護が親愛から溺愛に変わってる・・・。
まぁ・・気にしないでいいですね。
そして、いよいよレッサーニーズヘッグとの戦いが迫ってきていた。
次回は5月5日(土)にも投稿致します。
その次はいつものように6日の日曜日ですよ?