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依頼・・の前に~ラウの意思~

ギルドマスターのネクターさんからの指名依頼で内緒な場所の採掘場でミネラルゴーレムっていう色んな石で出来た人型のゴーレムをいっぱい倒すことになりました。

報酬は、私のギルドランクをDへ昇格。次に金貨を3枚。ミネラルゴーレムの魔核と魔石を採れた分全て

すごいいっぱいある。

しかも、3日間ずっと潜ってることになるらしく、それまではお宿に帰れないんだそうな。

けど、お薬とかご飯とかそういうのは全部ギルドマスターさんが持ってくるって。

で、色々と弱っちぃ私のために特訓してくれることになった。




ここの中にいる人たち以外(つまり外にいる人たち全員)は中の様子が一切分からないって言う特別な訓練場にやって来ました。



まず、私とギルマスが中央に向かい合うように立ち、端の方でラウさん、カルナ、シャスティ、翠ちゃんが控えている。

巻き込まれ防止のための結界が私とギルマスを囲うように施される。


「幼女にこういうのはあれだが、これは実践を想定したものだ。生半可なやり方じゃ死んじまうと思え。」

その表情はとても真剣だった。

私の目には、灰色に見えていた。

つまり、良い人でも悪い人でもない。

けど、色は透き通ってるから嘘はついていない。


何も反応しなかったことにギルマスは肯定したと理解したらしい。

「俺は土属性が得意でな。それゆえに今回の実践訓練を提案した。・・死ぬ気でこいつらを壊せ。俺を直接攻撃しても構わん。」

そういうと、ギルマスは魔力を練り上げ、それを地面に流し、地面がぼこぼこっと盛り上がり高さ2メートルほどのとても頑丈そうな人型のゴーレムが10体現れた。


カルナたちがすごく慌てた表情で何か言っていたけどこの結界は音も漏らさないようになってるようで何も聞こえなかった。




そして、何の合図もなしに戦いは始まった。

そいつらの動きは普通の人が歩く程度の速度だった。

その辺りはまだまだ手加減してくれてたんだと後で分かった。


私は、陰から触手を5本作り出し、私の全力でそいつらにたたきつける。

魔力と練度がかなり上がっていたからそいつらにそれなりに大きなへこみを作り、後ろへ押しやった。

けど、数センチ。


私は何度も何度も行ったけど、ただへこむだけでそいつらは壊れなかった。

そして、あっという間に私は囲まれてしまい、触手を瞬時に防御の結界に変更する。

数発は防いだけど、そいつらのパンチはすごく重たかった。

だから私の反射もパンチの威力を微妙に削るだけでたかが知れていた。

それに気づいてすぐに跳ね返すイメージではなく頑丈で硬いイメージで作り出した。

それによって、ガチン!という音が何度も続いた。

私は魔力がそれなりに多いらしいからどうにか防いだけど、所詮は子供にしては多い量だ。

それを大の大人・・しかも、ギルマスとなるほどの人が操るゴーレムだったらそう何十回ももつわけがなかった。

あっという間に私の結界は壊れ、なけなしの反撃で杖さんで殴り掛かるけどそいつのパンチで杖さんの攻撃ごと吹っ飛ばされ、結界にたたきつけられる。

地面に落ちるときに触手を召喚したからある程度は軽減出来たけどヤバい。


かなり痛い。

けど、このくらいへっちゃらだ。

あの頃に比べれば!!


私は立ち上がり、パンチによって距離が空いたから再度触手でたたきつける。

今度は距離を走って取りながら攻撃を続ける。


そして、そのやり取りをしているうちにあっちはいっぱいゴーレムがいるからどうにかなるはずもなくパンチされて吹っ飛ばされて攻撃して吹っ飛ばされ手を繰り返していた。



私はボロボロだった。


「もうやめるか?」

ギルマスの声が聞こえる。



やめる?

私が負ける・・・


お母さんに、神様に授かったこの力を使わせてもらってるのに負ける?


良いの?


ダメに決まってる。

子供が大人にかなうはずがない。

わかってる。


わかってるけど。

プライドが許さないんだ!!

お母さんと神様の自慢の娘で後継者だって言えないじゃないか!!!




そして視界の端に心配そうな顔をしているラウさんが見える。


ラウさん・・血のつながりはないけど私のお兄ちゃん。


ラウさんみたいにすぱすぱって斬れればよかったのに・・。



斬る?


そうか!



それがあった!

それに私はまだ全力が出せる!!

いや!!出す!!!


というより


出ろぉ!!!!




陰から触手を10本出し、触手を丸くうねうねしてぷにっとしたモノではなく。

鋭く

硬く

しなやかに


鞭のようにしなやかにしつつも形を丸を長くしたものではなく鋭い剣のようにする。



さっきまではいわゆる鈍器だった。

ゴーレムに鈍器はもっとパワーがあれば別だけど私程度じゃどうにかなるはずがない。


私は、ゴーレムの足を切断する。

さっきまではただむちゃくちゃに攻撃してるだけだった。


今はわかる。

自分の力を十二分に発揮してなかった。


私は周囲の状況を見る。

杖を地面に強く突き刺し、意識を集中させる。

幸いなことに触手とゴーレムの数は同じ。


ならすべて1対1に仕分ける。


壊す必要はない。

動かなくなればいい。

動けなくすればいい。


どんなやり方をしても動かなければいいんだ。


相手を叩き潰す技はたくさん知ってる。

これまでの5年間毎日何度も何度もされたから。


それに、これまでいろんな人たちが戦ってる姿を見てきた。



数体が足を切断されて転び、動きが鈍くなる。

だが、他数体はそうなる前に触手を攻撃して潰そうとしていた。

だから、触手を利器から鈍器へ切り替えそいつの顔面に当たる部分へたたきつけ、隙ができたところで足を切り落とす。

倒した直後に腕を切り落とし、そして他のゴーレムを空いた触手でまとめて同じやり方で転がし腕や足を切り落とす。


これは完全に壊さないとだめだから、私の目で最も魔力が集中している部分を触手を貫通タイプへ切り替えその部分をめった刺しにする。


するとそいつらはただの土くれとなって消えた。


後はギルマス本人を倒せばいい。

私は触手を全て全方位からギルマスへわざとタイミングをずらして一斉攻撃を行う。

初めに鈍器系を、そして貫通系、利器系と織り交ぜて攻撃を続ける。

私の目にはギルマスがどこに魔力を集中しているかがよく見える。

だから集中していない部分を狙う。

けど、ギルマスは慣れてるのかどれも土壁を作ったり自身を硬化して殴ったりけったりしている。

何か騒いでるけど知らない。

どうでもいい。


これは実践。

やらないとやられる。

死ぬのはいやだ。



時折私に土のかけらが飛んでくるけど自身を陰の結界で包み込んで防ぐ。

その間にもギルマスには攻撃を続ける。


けど、そこはさすがギルマス。

私の全力攻撃を強引に土壁で防ぎながらその土壁を自身を中心に放射線状に爆発させて触手たちを全て破壊して、すっごい勢いで私の元へダッシュしてきた。

破壊された分の触手を全て結界の防御に力を注ぐ。

イメージはどこまでも頑丈で硬く。

そして、その攻撃を外へ受け流す。

真正面から受ける必要なんてない。

当たらなければいい。



そのおかげで十数発も防ぐことができたが、その背後から触手で攻撃しても瞬時に対処された。


最終的に私はギルマスの蹴りで結界を破壊され、そのままの勢いで思いっきり蹴り飛ばされた。



どうにか陰の結界で自身を包み込んで防いだから衝撃は軽減したけどヤバいなぁ・・・。



あぁあ・・・やっぱり負けちゃったかぁ・・。


それに、この感覚だと体のあっちこっちで骨が折れたりヒビ入ったりしてるだろうなぁ・・・。



そして私は魔力切れも併せて耐えきれず気絶した。









目を覚ますと神父さんっぽい人が1人とシスターさんっぽい人たちが10人というすっごい人数が私を囲って何か魔法を使ってた。

すごく暖かくて心地が良い。

どうやら回復の類の魔法みたい。

「あぁ!良かった!!」

「ご無事ですか!?神子様!!」

・・・っていうより、神子様って・・・なんぞ?


「ご安心ください!!しっかり治しましたので!!」

確かに、どこも痛くないですね。

すごく快適です。


「それと、あのくz・・・・コホン、ギルドマスターにはたっぷりとお灸をすえておきましたので。」

何か言いかけましたか?

あ、気にしたら駄目なんですね、わかりました。

「あ、これどうぞ。」

お菓子をくれた。

それとジュース。



そんな至りつくせりのあれこれが行われた後その人たちは去っていった。

去り際に全員がすごく恍惚な表情で握手や頭なでなでをしていきました。

その中で、女性限定で私を抱きしめてました。

果物とかお菓子とか色々置き土産に強制プレゼントしてから。




後は、当然カルナたちがすっごい心配してくれた。

すごい痛かったけどあの時に比べたら対したことはない。


で、ラウさんがすっごい泣きそうな顔で私を抱きしめている。

「よかった・・・本当に良かった・・・ぐすっ・・」

かなり心配してくれてたみたいだったので、大丈夫っていう意味を込めて私も抱きしめてほっぺをスリスリしておいた。

するとさらに優しく抱きしめてくれた。


しばらくの間、私はこのままだった。

どさくさに紛れてラウさんに甘えたり顔をすりすりしながら色々と堪能してましたけどね。

だって、ラウさんって見た目細いのに意外と良い体してるんですよね。

それに、どこかさわやかな匂い・・えぇっと・・ミント?っていう香りがするの。

好きですよ?







とりあえずラウさんが放してくれないのでそのまま抱きしめられた状態ですが、カードさんお願いします。








ランク:E

名前:フリージア・クラリティ・エトワール

性別:♀

年齢:5

種族:半異世界人

職業:賢者、協奏師

称号:絶望を知る者、幻獣の家族、変態紳士ロリコンホイホイ、英雄賢者の正統後継者、神子

属性:陰

体力:D

魔力:A

攻撃:F

防御:E

俊敏:F

練度:A


攻撃技:【影操作】【魔力反射】【性質変換】

補助技:【念話】【奉納】【心意加増】

自動技:【圧縮記憶】【思考速度上昇】【並列思考】【心の瞳】

魔道具:賢者の杖、教会の腕輪(EX)、幸運のイヤーカフ

写真:フリージア・エトワール、ペチュニア・エトワール


契約

【幻獣】八咫烏:カルナ

【幻獣】ガルディエーヌ・キャット:シャスティ

【妖精】オニキス・ゲル:スイ


加護

ペチュニアの溺愛、ペチュニアの過保護、元英雄賢者/現神様のお気に入り、下位精霊の親愛







ステータス的には変化はないけど、練度と防御の部分は上がってはいるみたい。

で、なんか色々増えてますね。

それと、技のところがまたわかりやすくなったね。

あ、カードさん詳しくお願いします。





神子

教会関係者をメインに神様や精霊と言った魂の位の高い者たちに愛されているがゆえに、慕われる者に贈られる称号

運が良くなり、回復や治癒関係の魔法や道具が自分自身に通常より効きやすくなる。




【性質変換】

自身が操る陰の性質を変化させることができる。

硬くすることも柔らかくすることもイメージ次第で自由自在。



【心意加増】

自分自身が決意した瞬間に自動的に発動する。

発動すると、その思いの強さに比例して魔法を操るという動作すべてが自動的に最適化される。

代償として、効果が切れると非常に眠気が襲ってくる。





私が戦ってるときにやった分だ。

頭を柔らかくしないとだめですね。




で、ずっとラウさんに抱きしめられてます。

{あの・・ラウさん?}

「リア様・・申し訳ありません・・・今だけ・・今だけで良いので、お兄ちゃんと言って甘えてくれませんか?」

抱きしめたままラウさんが放してくれません。

けど、すりすりとほっぺをすりあわせてたりするけど、時折泣いてるんだと音で分かった。


ふむ・・相当参ってるようですね。

{お兄ちゃん・・大好きだよ。}

精一杯甘えたつもりで話しかけながらぎゅっと抱き着いてラウさんのほっぺにキスしてみた。


するとさらにぎゅっと抱きしめられた。




5分後

「ありがとうございます。失礼いたしました。」

とりあえず落ち着いたみたい。

抱きしめるのは終わったけどずっと撫でられてます。


・・お宿に帰ったらもっと多めに甘えておいた方がいいですね。



というより、どうしてラウさんの目は鋭くなってるんでしょう?

そして視線はギルマスに。



「ギルドマスター?よろしければ俺とも模擬戦をよろしいですか?良いですよね?」

にっこりとほほ笑みながら言ってるけど、私の目には怒ってますという感情と、笑顔で言ってるけど否定なんてさせないよ?という声がどこからともなく聞こえた気がした。







そして、ラウさんとギルマスの模擬戦が行われることになった。

ちなみにギルマス、教会側の人たちのありとあらゆる人たちから小言とおしかりの言葉を大量にもらったのに加え、教会関係のお店(教会含む)を10日間は使用禁止というお仕置きを食らったらしい。

それは私たちが知らないこと。





-ラウ-

良かった・・本当に無事で良かった・・。

あのくz・・ギルドマスターは俺の心の中にあるブラックリストにリストアップ既にしている。

当然カルナさんたちもだ。


確かに実戦を想定するのであればある程度の怪我は仕方がないとは分かっている。

だが、あんなに幼いのにあそこまで遠慮なくするなんて頭がおかしいだろ!!!


でも、リア様はやっぱりすごいとも同時に思った。

あれほど攻撃されても吹っ飛ばされても表情はさすがに歪んでいたが、一切気にせずに戦いを続け、自身の動きを修正して戦いの中で成長していたんだから。

それに、実際あの戦いで強くなったのも確か。


でも・・だとしても俺自身の気が済まない!!!


戦いが終了し、リア様が気絶した直後に神父様たちを呼びに行ったのは俺だ。

俺のことを町の噂か何かで聞いていてくれたおかげで比較的スムーズに対処してくれた。

本来であればそれなりにお金が掛かるのだが、ギルマスにヤリ返しついでに請求するからとのことで俺たちが出す必要はなかった。

それどころか、色々とリア様に食べ物をくれた。

リア様はある程度は回復はしているがいまだに栄養失調であるのは確かだ。

すごくありがたい。

現在は、巨大化してるシャスティさんが体全体で眠っているリア様を包み込んでいる。

翠さんは、薄らとリア様の体全体を包み込み、体を温めてくれている。

カルナさんは、どこか安心した表情でリア様を見つめつつ、ギルマスをにらみつけている。



でも、本当に良かった。

あのきれいな肌に傷が残らなくて本当に良かった。

寝顔もすごく安らかだしな。


でも、我ながらこれほど気が狂うとは思わなかった。

すっごいリア様には迷惑をかけてしまったし、気を使わせてしまった。

ま、まぁ・・その分大変幸せな目にあったから良いんだが・・//

ほんのりと優しい花の香りがするし、無表情でもすごい優しいし、念話で伝わってくる声もものすごいかわいいしな。

はぁ・・リア様カワイイ。



で俺は、笑顔で半ば強引にギルマスと模擬戦をすることにした。

こういうときじゃないとこいつには八つ当たり出来ないだろ?



まぁ、戦いにすらならないんだけどな。



そいつが魔力を練り上げ地面からゴーレムを創り出そうとしている。

リア様の時と比べ、10秒も経たないうちにゴーレム共は出来上がる。

囲まれてしまえば大変だっただろう。



だが




「っ!?・・・・・っ・・い、いつの・・まに」

「やはり俺との相性は良かったようですね?」

まぁ、簡単に説明すると知っての通り俺はスピードタイプの剣士だ。

しかも、前に話したと思うが俺はかなり気配・・・と言うより存在感が薄い。

それは俺にとってのマイナス面でしかなかったが、イリス様に褒められ、その点を技術方面でも鍛えた結果、ありとあらゆる隠密に関連する技を大量に取得している。

音を消したりということも可能なんだ。


つまり、俺はスピードタイプの剣士というよりは暗殺者タイプなんだよ。

一撃一撃は軽いが早い為、威力があろうとなかろうと速攻で一撃をたたき込むことは出来る。

しかも、とことん見る目も鍛えたんで相手がどういう行動をとろうとするのか等を分析してそれに併せてそいつの急所を見つけることも得意だ。

視線の動きに体の動かし方とかな。

それに合わせるように風で音消しや気配の操作などを行なう。

俺は風の魔法が使える。

だが、普通の奴らと違って自身に纏わせるか自分の周辺に影響を与える程度で遠距離による行使が出来なかった。

それも、特訓のおかげで自分自身のマイナス面を武器に変えたんだ。


その功績もあって俺は、表向き情報収集等のスパイ活動を行なっている騎士だが、真の立場としては暗殺者であり、影の護衛でもある。

影と言っても通常の騎士でありつつ、敵味方の判別をし、場合によっては処分するということだ。


そうじゃなきゃ、イリス様に単独でリア様の護衛とサポートを任されるはずないだろ?




結果、そいつがやらかす前に気配を消せるだけ消して死角に潜り込み、首に剣を突きつければ終了だ。

攻撃させなければ強さなんて関係ないだろ?

急所が分かれば防御の硬さなんてあまり関係ないだろ?


どうだ?

どんなに強くても手も脚も出ずに負ける気持ちは?


ぼっこぼこにされるよりも屈辱的だろ?



そして、俺は俺の心にため込んでいた思いを殺気を全力で込めながらそいつの耳元に囁いた。

「次、リア様に余計なまねしてみろ・・・次は容赦なくその首をはねるぞ。あの子のためなら俺はこの国に世界を喜んで敵に回ってやるよ・・・・覚悟しろ」

「・・・・」

「返事はどうした・・今この場で切り落としてやろうか?」

「・・わ、分かった。」

「次はないからな」

「あ・・あぁ・・」



ふぅ。

ちょっとすっきりしたな。

ギルマスにも俺の気持ちは伝わっただろう。


いやぁ。

久々に全力で殺気を放ったな。

リア様に対する気持ちもあってこれまでよりも濃密なのが発動した気がする。



イリス様の時もそうだったが・・・・いや、リア様の時の方が俺の騎士としての思いが強い気がする。

いや、イリス様に忠誠はもちろん誓ってるんだが、なぜかリア様の方を優先しろと俺の中の何かがそう言うんだよなぁ。


・・・・ん~

万が一・・本当に万が一、イリス様の騎士を止めて、一般の冒険者としてリア様を護ることになる可能性だってあるしな・・今日の報告の時に言っておくか。

イリス様に謝りたいし。




「お・・お前は・・確かラウと言ったな?」

「えぇ、それがいかがなさいましたか?」

「い、いや・・属する国はどの国か念のため教えてもらえないだろうか?騎士・・・であろう?」

気づかれたか・・・

だが

「なぜ、答えなくてはならないのでしょうか?関係がありませんよね?依頼はキチンと遂行致しますのでご安心を。」

「いや・・・もしや、お主が”暗紅騎士”なのか?・・と思ってな・・」

「へぇ~?知ってるんですか?俺のことを」

「あ・あぁ・・・・噂に聞いたとおりだったからな・・」

「色々と面倒なのでご内密にお願いしますね。」

「あぁ、もちろんだ・・本当に済まなかった・・幼子に非常にやりすぎてしまった・・・」

「以後気をつけて下さいね?俺以上に強くて過激な家族は大勢いるので。」

そりゃあね?

俺を筆頭に、イリス様に、神様、ペチュニア様(幽霊になってるし天界にいるけど)、それにカルナさんにシャスティさん、翠さんもいる。

ただではすまないメンツだと思うぜ?



暗紅騎士・・・・ずいぶんと懐かしい呼び方をしてくれたよ・・このおっさん。

リア様が寝ててくれたし、カルナさんたちは後々もツッコミを入れずにスルーしてくれたから良かったけどな。


俺がそう呼ばれるようになった理由は、過去に反乱を企てている町があると言う噂を聞き、俺が単独で調査することになったことが過去にあった。

調べた結果、その町にいる奴らは全員が犯罪者だったりそれに関わったりして表向き指名手配されている奴といない奴はいるが、全員がいわゆる心の黒い奴らばかりだった。

しかも、反乱を企てるターゲットは俺が属するクラリティ王国だけではなく、その他の国もあり、既にいくつかの村や町はその犠牲になっていることが判明した。

結果、報告をしたところ捕まえても即処刑になると聞いた。


その最中にそいつらのイリス様に関する悪口を聞いてしまった。

結果、俺はキレた。

今回みたいにな。


で、全員、捕まえても処刑になると聞いていたからな。

遠慮なく全員を惨殺した。

1人残さずな。


逃げようとしても大量に仕掛けていた魔道具によって手足が吹っ飛び動けなくなったところを俺が殺す。

そして、次々と殺していった。


全員を殺した後は、その町を丸ごと焼却したり爆破したりして跡形もなく消し去った。

そのゴミ屑云々になったモノは別の魔道具を使って土に全部埋め、ものすっごい成長速度が速く生命力が異常に強い植物を大量にばらまいて跡形もなくしてやった。

その間に、血で汚れた俺の装備品類は全てその時に同時に焼却処分して着替えているから、証拠も一切ない。


まぁ、後で近くの川できれいに洗い流したけどな。




その後は、そいつらに関わっていた闇組織に属する奴らをイリス様がピックアップし、闇組織討伐として別部隊が編制され、殲滅する大プロジェクトが行なわれたが、その中でも俺は気配を消したまま、そいつらをどんどん殺していった。


それらの任務が一段落つき、俺の出番がなくなった頃、その任務に就いていた奴らが気配もなく、姿形も分からない謎の騎士が大量の犯罪者を惨殺したという話しがなぜか流れ、その姿は返り血によってドス黒いような赤い色をしている騎士だったとだけ伝えられた。

結果、暗紅騎士という名前が仮でついていたんだが、いつの間にか恐怖の代名詞みたいな感じで一部で密かに呼ばれるようになったんだ。



結構前の話なんだけどなぁ・・なんでこいつ知ってんの?

まぁ、良いか。

結構マジな殺気を放って黙らせたし、口止めもしっかりと念押ししてしておいたし。



さて、今日はもう解散らしいし、宿に帰るか。

そして、リア様で癒されよう。







その日の夜、俺はイリス様に今日の出来事を報告した。

あぁ、リア様は俺のことを案じてくれたのかすっごい甘えてくれてとんでもなくかわいかったです。

ずっと抱きついててくれるし、ご飯はあ~んしてくれてな。

気を使わせて申し訳ないという気持ちといつも以上にかわいくて悶えるというダブルパンチで大変だったが、その分すっっごい癒された!!



「-と言うわけで、物理的には仕留めてませんがしっかり黙らせておきました。後、俺の二つ名がギルマスにだけバレました。」

-そっか、了解。リアちゃんたちは聞いてなかったか、気にしてないからスルーしてくれてたんだね。ギルマスについては、今回はラウが動いてくれたしこっちは特に何も追求はしないでおくよ。でも、よくやったよ!-

「はい。・・それと・・・・」

-どうしたんだい?-

「俺・・今回の件で分かったんですけど・・・その・・」

-いいにくいことかい?-

「はい・・・イリス様の直属の騎士としては・・・」

-大丈夫だよ。聞かせて欲しいな。-

「はい。・・俺、イリス様にはすっごい感謝してますし、その思いも本物です・・ですが、最近・・リア様に対する想いがすごく日を増すごとに強くなっていくんです・・・イリス様とリア様のどっちを優先するのかと聞かれると即リア様を選んでしまうほどに・・」

-そっか・・-

「騎士として大変申し訳ないと思いまして・・」

-それでいいんだよ。-

「ですが・・」

-僕にとってはね?ラウとの関係は上司とその配下とかではなくて、先輩と後輩くらいの気持ちなんだよ。これまでの働きも今の働きもすごいし、よくやってくれてるのは当然知ってるよ?けど、それはラウ自身の技と力、知恵によって作りだしただけで、僕のためってわけじゃないでしょう?ある程度は僕のためではあると自分で言うのはアレだけど思ってるよ?-

「もちろんです。」

-けどそれは、恩人としてでしょう?-

「それは・・・・・そうかもしれません。」

-でしょ?けど今は、リアちゃんに対しては護衛対象かもしれないけど、兄代わりとして心の底から護ってあげたいと思ったんでしょ?-

「はい」

-それは、僕がラウの立場だったとしても同じだったと思うよ?-

「そうなのですか?」

-うん。だってそれは、恩人よりもずっと大事な家族愛とかそう言う部類の気持ちなんだから・・立場よりも家族を普通は選ぶでしょう?僕だってそうだ。-

そっか・・・

リア様がかわいくてしょうがなかったり、心配でたまらなかったり、色んなことを教えたりお世話するのが楽しい・・これは騎士として仕事に夢中になってるんじゃなくて・・・

「いつの間にか本当の兄としてリア様のために動くことがうれしかったし楽しかっただけだったんですね。」

-そうだよ。神子騎士様?-

「・・・・その・・・神子騎士とは?」

-え?だってリアちゃんは神様にも精霊様にも愛されてるから協会関係者からは神子様ってそう呼ばれてるでしょう?-

「えぇ」

-なら、その神子様を護る兄である君は、まさしく神子様を護る騎士様・・つまり!神子騎士だよ!-

それは・・・何というか・・・

「すごいムズかゆいですね・・・うれしくはありますが」

暗紅騎士の時は、どうでも良かったと言うのと、鬱陶しい呼ばれ方だとしか思わなかったけど、神子騎士は・・・うれしいけど気恥ずかしいな・・・

何というか、俺なんかがそんなすごい呼ばれかたしても良いのかと思うほど・・。

-僕は今のラウでも十分すごいと思うけど、もし、名前負けしてるとかそんな感じのことを思ってるなら、それにふさわしい存在になるようにこれまで以上にリアちゃんのために頑張れば良いと思うよ?-

「イリス様・・」

-それに、大事な大事なリアちゃんをそうやって安心して任せることが出来るのは僕はラウしかいなかったんだ。僕の一番優秀な騎士だからね。-

「ありがとうございます・・その言葉だけでもすごくうれしいです。頑張ります!」

-うん、頑張れ。明日はゆっくりと休むんだよ?-

「はい。」

-ついでにリアちゃんをいっぱい甘やかしてあげてね?僕の代わりにね。鬱陶しいと思われない程度にね-

「はい。頑張ります。」

-よろしくね、じゃあね-

そして通信は終了した。




やっぱりイリス様はすごいな。

俺の気持ちをしっかり分かってくれて、俺の気持ちをすごく尊重してくれた。

それに、騎士としてあんなに信用してもらえるなんてそれ以上の誉れはないよな!!


よし!

ホントイリス様の言うとおり名前負けしてると思うほどすっごい呼び名・・・神子騎士・・・にふさわしい存在になれるように頑張ろう!

リア様のために。



とりあえず、寝るか。


リア様が一緒に寝たいから早く戻ってきてとお願いされてるし、数日前から一緒に寝るのは当たり前になってるしな。

まぁ・・・リア様が抱き枕派で俺がその抱き枕代わりになってるような気もしなくはないが、気のせいと言うことにする。

だってさ、

今は枕になってくれてる翠さんやそばで寝てるシャスティさんたちが抱き枕になろうと思えばなれるのにならずに俺に譲ってくれてるところがな。



さて、明日はいっぱいリア様を休ませてあげないとな。

今日はたくさん動いたしな。

楽しい1日にしないとな。

明後日は大変だし。

次回は21日に投稿致します。

その次はいつも通り25日の日曜日投稿です。

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