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陰の支配者-私の保護者は猫と鳥-  作者: ミコト
最終章-異世界組攻略編-
175/177

異世界組帰還後(フリージアサイド)

--フリージア--

返品魔法を使ってシルちゃんたちが天界のあの真っ白な空間から光の粉となって消えた。

「・・・うん。無事に帰れたみたいだよ。その後も特に問題なくそれぞれ家に帰れているみたい。」

しばらく目をつむっていた桜華さんが満足そうに笑顔でそう言ってくれる。

「それなら良かった。」

私を含めて全員がホッとした表情になった。

「まぁ、自分たちが思った以上に強くなったことに戸惑ってはいるけどすぐに慣れるよ。」

そう言えば、争いが皆無な世界でしたっけ?

まぁ、シルちゃんたちならすぐに慣れるでしょう。

いざというときは武力行使すれば良いだけですし、心が白から黒に変わることはないって信頼してますし。

そもそも、黒に変わるような人だったらとっくに私が始末してたでしょうし。

私の善悪を見抜く力は潜在部分も含めてわかるんだとここ最近で気付きました。

これも、天使へと進化した影響でその力も強化されたようです。

{桜華さん。お母さん。ご協力ありがとうございました。}

「こちらこそ。異世界召喚魔法の処分と、返品魔法の開発。ありがとう。」

「私も、こんなすごいことが出来る娘がいて誇らしいわ。その魔法の開発のおかげで地球側の神様も発動時は気を遣ってくれることになっているし。発動条件が、善人であることになってるからこそね。その辺りも制限出来てるのはさすがだわ。私なら開発出来たとしてもそこまで設定出来なかったと思うし。」

「えぇ。細かいところまで気を配れてすごく先祖として、先代賢者として誇らしいよ。」

お母さんにも桜華さんにも褒められてすごくうれしい。

ちなみに私、天界に来てからずっとお母さんに抱っこされてほおずりされ続けてます。

シルちゃんたちとお別れしたときも今もずっとです。

私はお母さんのおっぱいを堪能し、アルちゃんは逆におっぱいをお母さんに堪能され、遠い目になったままぐったりしてます。


「さて。あまり長居したら精神的に疲れてしまうからそろそろお別れだね。」

「この場所にいると負荷が?」

「たいしたことじゃないけど、ここは、地上よりも少しだけ精神的に疲れやすいんだ。・・・・その分、回復したら極々まれに半透明のナニカが目視出来るようになったりするらしいけど。」

私の場合は天使だから全く影響ないけどと追記する桜華さんに密かに納得する。

天界とのつながりが強くなると言うのはそう言う部分も意味しているようです。

と言うより最後にぽつりと気になることをつぶやきませんでしたか?

「なるほど。」

「お別れと言っても、いつも見守っているし、リアちゃんだとお祈りすればいつでもこちらの声は聞こえるんだからあえてこう言わせてもらうわね。またね♪」

「またね」

そうして、私たちは意識が遠くなっていった。

偶然とは言え、お母さんとふれあうことが出来てすごくうれしかったですよ。


・・・・どうでも良いことだけど、異世界召喚魔法って名前長いし、禁忌魔法だからわかりやすく拉致魔法って名前に改名してやろうかと思ってる私です。

実際、密かに名前を拉致魔法って言いふらして認知を増やしてますしねー(笑)






ふと気付くと、クラリティ王国の謁見の間でたたずんでいた。


「フリージアよ。大丈夫か?しばらくぼぉっとしていたが。」

{お兄ちゃん、私たちがそうしていたのはどのくらいでしたか?}

「ふむ・・・数分ほどだな。」

なるほど。

体感時間が異なってるようです。


それから、何があったか説明しました。


「・・・なるほど。無事に帰れたか。よかった」

「えぇ。本当に。」

「そなたらも疲れただろう。今日はもう解散だ。君たちであればいつでも歓迎しよう。」

(コクリ)

「本当にご苦労だった。そう言えば、フリージア宛に各地から報酬が届いていた故、まとめて渡しておくぞ。」

(コクリ)

で、受け取ったのはいろんな種類の宝石や鉱石、染め物がロールで丸ごとと、毛皮を加工したモノに、白金貨が50枚、金貨が76枚でした。

「それと、今回の品々を贈ってきた各地と我が国は色々と貿易とかをすることになったぞ。」

どうやら、契約先が増えたようです。

あ、一応言っておきますけど、我が国との契約で言ってしまえば物々交換なワケですが、きちんとお互いにメリットがあるようにしてるんですよ?

それに、我が国と契約する相手にはもれなくその国に潜む悪を滅ぼすおまけ付きです。

ついでに、横領だの何だのとやらかしてる部類も証拠を見つけてはプレゼントしてますが、これは我が国の貴族からすれば当然の義務であり、人によっては趣味です。

むしろ趣味にしてる人が多かったりします。

あまりからだが動かせないところをそういうところで発揮してるらしい。


で、何でこんなにいろんなのがたくさん?

数も種類もえげつない数があります。

と、聞いてみると今回のアルバトロスの件は、前々から問題行動が多かったらしく、その国に雇われてまとめて私たちに殲滅された黒い心の持ち主たちを含めて、被害が多くどうにか対処したかったが無駄に大国だったので対処出来なかったそうな。

それで、今回私たちが跡形もなく殲滅したため、それらに関わっていたり、関係していた関連が全部丸ごと解決したのでそれらの報酬がそれらしい。

後は、通りすがりに魔物のアイテム類や食べ物をプレゼントした村や町の人たちからのお礼も兼ねているそうな。

それが、毛皮とか染め物のようです。

他にも細々と木彫りの置物やアクセサリーだったり、その地域や大陸に関する書物だったりその地域独特の技や知恵の書かれたものといろんなのが入ってました。

で、書物系に関しては言ってしまえば紙の束だったのできちんとまとめて数冊の本にまとめました。

それらの本は、クラリティ王国の複数の貴族の方々がすべて複製して教会に寄贈してくれました。

もちろんオリジナルの方は、私の手元にあります。


そうでした。

言い忘れるところでした。

何かと私は知識を集めたり、リムさんが公爵家のお仕事を請け負ってくれるおかげで暇が出来た影響により、いろんな本を読む頻度が増えたのですが、今も昔も頑張ってる私(周囲の人全員の意見らしい)のためにと、教会にある様々な本を片っ端から複製して下さってるんです。

貴族も一般国民も関係なく全員で対処してくれてるなんです。

複製対象は、ジャンル問わず役立ちそうな内容のモノばかりです。

そのため、創作物はリカルさんとかシルちゃんとか身内が書いてたりするモノや、私個人が持っている”ミカンの大冒険”のような何かと役に立つ知識があるものが例外的に加わっている程度です。


まぁ、私も何かと依頼とかこれまであちこちの口や町をうろついたときに手元に余りまくってるお金で本を購入したり遠くの大陸から仕入れたりしてますけど。

パパも似たようなモノで、同じことをしてます。



え?

そんなに本を集めてどうするのかって?

我が都ルナールへ図書館を作ってそこで都人たちなら誰でも読めるようにする予定なんです。


これまでは、互いに口頭で知識に関しては教えあってましたが、やはり本はあった方が良いと言うのと、息抜き代わりにもなるからという理由です。



それと、おまけ情報ですがこれまでシルちゃんが歌っていた歌はすべて1つ残らず複数の魔道具に込めているのですが、その図書館内限定でBGMとして流れるようになっています。

あ、歌自体はなぜか私があ~とから~とか歌ってるのや、セリちゃんのヴァイオリンも混ざってるらしい。

ここだけの話ですが、その歌とか音楽集の中には1曲だけパパの歌声が混ざってます。

全部を合わせると結構な数の曲が録音されており、それらをランダムに流すのでそれ(パパの歌)が聞けた人はラッキーです。

その事実はパパと私の2人だけのヒミツなのでその事実に誰が最初に気付くのかちょっとだけわくわくしてます。

後、リカルさんがこれまで書いた絵も図書館内や、あちこちに建てる予定になっている仮設ギルドや、各都人たちの家にも飾られることになります。



まぁ、仮設ギルドなのでギルドカードの新規作成も魔物のアイテムの換金も依頼の受領も出来ません。

出来るのは各地にあるギルドからの連絡を受けたり、逆に連絡してもらったり、ギルドカードの更新をするくらい。

後は、教会も兼ねる予定なので、何かしらの儀式も仮設ギルドが窓口になります。

実際に様々な儀式(結婚とかそういうもの)は、精霊樹の前で行うことになります。


それと、今回私がもらったピアノですが、とりあえずどうしましょう?

どこにおいてどう使おうかちょっとだけわくわくしてます。

まぁ、一旦私のお部屋に置いておきましょう。




そして、そのピアノですが実際に弾いてみたところ、セリちゃんが言っていたとおり、すごく透き通ったようなきれいな音が出るピアノでした。

それに、すごく弾きやすいし、何よりすっごく楽しい。

なんと言いますか、私専用にカスタマイズされているような感覚すらあります。

で、しばらく弾いていて周りに言われて気付いたことなのですが、このピアノ、どうやら演奏するとそのピアノを設置した国の中であれば隅から隅まで音が響き渡る仕様だったようです。

しかも、どの場所にいてもうるさいこともなく音が小さすぎることもなくちょうど良い音量で聞こえるという。

すごいんですよ?


つまりは、クラリティ王国内で弾けば、お城の中を含めて、国の中であればどこにいても聞こえちゃいますし、ルナールで設置して弾けば、都内隅々まで聞こえてしまうんです。

それを聞いて

迷惑であれば辞めるけれど?

と言ったら、

全員がとんでもない!是非お願いします!聞かせて下さい!!

と、口を揃えてすっごい形相で言ってきたのにはちょっと驚きました。


そして、そのピアノの演奏の話には続きがあり、喧嘩によって殴り合いをしていた人や、言い争いをしていた人たちがその演奏を聴いてあっという間に仲直りしてしまったというエピソードがちょいちょい報告があります。

まぁ、教会メンバーだとその演奏が流れ出すと聞こえる間ずっと祈ってたりするらしいけど私は知らないことにしました。





あ、そう言えばリムさんから以前よりも私は表情が少し豊かになりつつあると言われました。

だからどうしたと言われてもさぁ?としか言い様がありませんが、周囲の皆さんはうれしそうでした。

・・そういえば、笑顔を故意に作ることが以前よりも楽になりましたし、そのときの皆さんの反応が以前よりも面白いことになってましたね。

なんと言いますか、顔が赤いというか、鼻から赤いのが出る確率が上がったとかそんな感じの。






「ふむ、そうか。無事に帰ったか。」

「異世界人が元の世界に帰れたって、歴史上初ですよね学園長?」

「そうじゃな。噂程度でもそう言う情報はなかった故、確かに初じゃろうな。その功績はわしらこの世界で生きる者たちからすればたいしたことはないが、異世界人・・あちらの世界から拉致された者たちからすればとても大事なモノじゃ。フリージアよ。本当によく頑張ってくれた。お主の頑張りがあったからこそ彼らは元の世界に帰れたのじゃ。」

(コクリ)

今、学園長のおじいちゃんとネルさんとお茶しながらシルちゃんたちのことをお話中です。

「本当にこの功績は誇っても良いよ。つまりは、世界でたった1つの儀式魔法を編み出したと言うことなんだから。禁忌魔法である異世界召喚魔法が偶然とは言え編み出されてから数千年の歴史で唯一だ。本当にすごいよ。こんなすごい光景を目にすることが出来たんだ。」

「わしも同感じゃ。しかも、異世界の光景を異世界電話によって見ることも出来たし話すことも出来た。とても貴重な体験じゃった。」

「うん。魔法がなく、科学?が発展した世界。本当に何から何まで異なった世界なんて本当にすごかった。」

「確か、科学とはありとあらゆる現象を解明し、人為的に作り出すことじゃったな?」

{そういう風に伺っています。だからこそ異世界人は魔法のイメージ力が私たちこちらの世界の住人よりも強固なのだと確信しました。}

「確かに。」

「火がどうして燃えるか。氷がなぜ冷たく硬いのか。それらを事細かに知っておれば確かに同じ魔力量を込めても異世界人の方が威力が上がるのも納得じゃ。」

「それで、卒業したらフリージアさんはどうするの?」

{まずはリムさんと結婚の儀式を行います。}

「そうじゃな。卒業したら結婚すると言っておったからな。」

(コクリ)

こうして改めて口に出すとちょっと照れますね。

「その後は?この国で今までみたいにすごすの?」

{実は前々からリムさんと相談していたのですが、ルナールに引っ越そうと思っているんです。}

「ほう?」

「まぁ、領主様だしね。そうなると、魔術師団長とか公爵のお仕事はどうするんだい?」

{公爵のお仕事は、リムさんがメインでしてくれますが、ある程度の資料は限定的な転移魔法でやりとりすることになります。}

「つまりは、資料とかそう言うモノだけを飛ばすモノだね?」

(コクリ)

{後は、魔術師団自体は元々私がいなくても活動出来てましたので、影さんを定期的にこの国まで飛ばして対応するか、通信の魔道具でやりとりする予定です。時折顔は出す予定ですが。}

「それなら魔術師団側もフリージアさんなら問題ないね。」

「そうじゃな。彼らは皆優秀じゃからな」

「それで、引っ越す理由は?あっちにいる後見人の人と一緒に過ごすため?」

{それもありますが、あちらに住んでいる方々は元々私が筆頭に拾ってきたので、改めて領主として本格的に頑張りたいと思ったので。}

後恥ずかしいので言いませんが、リムさんとの子供はルナールで穏やかにのんびりと過ごさせたいと思ってるんです。

後は、お母さんのお墓があるのでそちらも理由の1つです。

「なるほどのぉ。あの都に住む者たちは幸せ者じゃな」

「そうですね。そこまで気を遣ってくれる人が都のトップなら、誰もがうらやむね。」

{トップに立つと言うことはそういうのは義務であり当然だと思っていたのですが違うのですか?}

「実際そうなんだけど、人によっては最低限しかやらずに部下に丸投げして一切やらなかったり、悪いケースだと自分がトップとしていてやるんだから平民である貴様らは俺のために働け!みたいなひどい扱いをする人だっているんだ。」

「典型的な屑領主の例じゃな。まぁ、我が国が関わる場所でそういうのは皆無じゃが。」

「率先してつぶしてますからね-。むしろ、交易とか貿易とかしているときに対応相手のそう言う黒い部分もついでにあぶり出してつぶす手伝いをするのも人によっては普通だったりするしね。」

「むしろ趣味の範囲に収まる者もおらんかったか?」

「あぁ、いますねー。まぁ、この国の貴族の半分はそうですけど。」

どうやら、悪心撃滅とは私からすれば体質ですが、この国だと風習で、ありふれたモノのようです。



「改めて思うが、お主が入学してからはあっという間じゃったな。」

「そうですね。ふとこの間まで入学してすぐだった気がしますよ。」

「ちょいと腐りかけていたこの国の教師たちが入学式そうそう殲滅され」

「いじめをする学年を虐められる本人を鍛え上げて思い切りやりかえし」

「国どころか大陸を救い、多くの被害者を救った」

「・・改めて思うとおとなしく学生らしいことしてないような?」

「・・・じゃな。らしいと言えばらしいが。」

{むしろ、学園では落ち着いて過ごせる時間という認識でしたね。}

「何かと仕事仕事仕事じゃったからなぁ。」

「仕事に追われる中、学生としている間はそれを忘れることが出来る・・うん。普通の人と忙しいのとそうではないのが真逆だね。」

「じゃが、その部分も無事に改善された。故に読書や刺繍が趣味としてのんびり出来ておるから良いではないか。」

「ですね。あ、結婚の儀式の時は是非声をかけてね。お祝いしたいから」

「わしも同感じゃ。儀式に参加させろとは言わんから、終わった後でも祝わせてくれ」

{ありがとうございます。・・今思えば、リムさんは身分で言うと近衛騎士ではありますが平民になりますよね?}

「そうじゃな。」

「それがどうしたの?」

{いえ・・貴族とは結婚相手は貴族同士と言いますか愛のない結婚が多いと言うよりそれが普通だと耳にしたので}

「あぁ・・・確かに貴族と平民が結ばれるケースは滅多にないね。」

「むしろ貴族から平民に落ちて結婚するパターンと、何かしらの功績か力・能力で貴族との結婚を認められるかじゃな。まぁ、かなりのレアケースじゃが。」

{そうなると反対の意見が多いと言うことですよね?}

「そうなるね。」

{ですが、リムさんとの時は反対も一切なく認めるどころか祝福する声しかありませんでした。それが少々不思議で・・うれしいのは確かなのですが気になりまして}

「確かにそのケースを知ってたら気になるよね。」

「貴族と平民が結ばれないというのは世間一般では普通じゃがこの国では全く関係ないのじゃ。」

(?)

「お主も知っての通りこの国は実力主義じゃ。」

(コクリ)

知ってます。

「戦う力も考える力も守る力も作る力も。とにかくありとあらゆる面で優秀さを求められる国じゃ。故に、結婚相手もこの国では政略結婚なんぞせずに自力で相手を惚れさせろ。身分なんぞ無視してしまえ!がこの国の風習なのじゃ。」

{どうしてですか?}

「普通、貴族同士で結婚するというのは、互いの家同士の力を利用し合うからなんだ。財力を含む、力を求めるから愛のない結婚をすることになるわけだけど、そうなると平民と結婚してもプラスがないという判断になっちゃうんだ。」

{だから、平民と貴族の結婚は嫌がられるんですね。}

「そういうこと。けど、この国ではそんなやり方で力をつけるのはむしろ邪道だと思われてるんだ。」

「まぁ、恋した相手が自分よりも上の身分だったという場合は別じゃが、相手が平民でも成り上がって見せろ!家の格や実力を落とすくらいなら貴族なんぞ辞めてしまえ!って感じなんだよね。」

{貴族と平民が結婚してもその家の力を落とさなければ良い。むしろ、落とすならその程度だったとしか思われないからこそ、結婚相手の身分はどうでも良くなると。}

「そういうことじゃ。そんなちゃちなことを気にするやつはこの国に必要ないと初代国王は言ったそうじゃ。」

なんかすごく仲良くなれそうな気がします。

って、私もその血を受け継いでるんでした。

{つまりは、今回だとリムさんは身分を無視して純粋に能力を認められていたからこそ反対されなかったと言うことなんですね。}

「そうだね。彼は本当に努力家だから。」

「学園に通っておった頃は、常に勉強してるか自身を鍛えているか冒険者として働いてるかと、とにかく忙しそうじゃった。まぁ、その下地があったからこそ今そうしてお主の隣を歩けるほどの実力者になれたのじゃがな。」

すごくうれしい。

うぬぼれかもしれないけど、私のために頑張ってくれたんだと思うとすごく心がほかほかする。

「さて、そろそろお昼の時間だからお話はここまでにしようか。」

(コクリ)






今回の件をきっかけとして、私の活躍は1周りどころか2周り3周りも大きく偉大な人物扱いされてしまうようになりました。

そのおかげと言いますか、そのせいと言いますか、とにかくシルちゃんたちが故郷に帰ってからしばらく経った頃からリーリスさんのお店を中心に売られているお洋服の種類でとある種類が人気になっています。

全く同じというわけではないのですが、まずは和服。

これは、私が普段身につけている服装が和服に近いと言うことも影響しているようです。

正しく言うと、ワンピースに腕に和風っぽい袖をくっつけてるだけで和服ではないんですが、一応和服扱いされているため、似たようなデザインで色違いが販売され始めました。

後は、シルちゃんたちから聞いた情報を元に編み出された制服というデザインです。

男性バージョンだと学ランとブレザー。

女性バージョンだと、セーラーとブレザーです。

けど、夏バージョンと冬バージョンと呼ばれる涼しいタイプとあったかいバージョンにそこからそれぞれ別れるらしく種類で言うと2種類とは言いにくいようです。

で、更に色を変えたり、上から袖無しのセーターを羽織ったり、首元のリボンをネクタイにしたりなくしたりと色々とアレンジされるようなので細かく言うと種類は多いようですね。


その辺りのデザインは販売しているお店によって別れるらしく、最近ではお店をはしごしてどのお店のデザインが好みか探すのがはやりになっているようです。


まぁ、その辺りがきっかけで、他のお洋服のデザインもその辺りを参考にして更に新しい種類を編み出されているようです。

その代表とも言えるのが和服です。

純粋なタイプもありますが、和服を洋服に近づけたような新しいジャンルっぽいのを編み出すお店もでているのでお洋服ブームがクラリティ王国では来ているようです。




それで、1つ不思議なところを言えば、私が普段身につけている和服もどきなワンピース。

これと全く同じ色合いはどのお店も売ってないんですよね。

しかもデザインも全く同じは皆無です。

と言うのが、袖がワンピースと別れているタイプがないんですよ。

なぜにないのかリーリスさんに聞いてみたところなんか作ろうにもなぜかしっくりこないらしい。

そんな感じで似たようなモノはあっても全く同じはないんです。


あぁ、そうでした。

セリちゃんの影響で男装する女性が増えてるんですよ。

前々からいはしたんですけど、それはあくまでも戦闘をメインに考えた結果動きやすい服装を選んだ結果が偶然男装っぽかったと言うだけ。

それが、セリちゃんがおしゃれとして男装を結構普段からやっていたことも影響してそう言うおしゃれもありだと思う女性が増えているようです。

例えば帽子もキャップのつばを後ろに向けてかぶるとか、長ズボンにシンプルなシャツだけにするとかまぁ色々と。


そう言うおしゃれもありだと思うようになっていた女性たちのほとんどが、可愛いモノよりもかっこいいモノを好む人たちが多かったようです。

女性だからと言って、ふわふらひらひらが全員大好きというわけではないですからね。

ふわっふわなかわいい系を好む人もいれば、キリッとした美人系を好む人もいますし、そうなれば、男性っぽい荒っぽい感じや言ってしまえば俺様系な感じを好む人だっています。


そういうのにあこがれてはいたモノの、女性がそう言う格好は周りに奇異な目に見られてしまうのではないかという不安があったようです。

けれど、セリちゃんを中心に異世界メンバーがそんなのはおかしくない!むしろ推奨!と力強くアピールしていたことが影響している模様。



そして、戦闘ばっかりな男性陣もそんな新しいジャンルのおしゃれを楽しむようになった女性陣に影響されたのか何なのか、おしゃれや自身の身だしなみを気にする男性が増えました。

髪がぼさぼさでも服が汚れてたりほつれていても一切気にしないと言う人が多かったのですが、シルちゃんが身だしなみに気をつけつつもしっかりと戦闘面でも貢献していたことで、腕っ節だけでは生きていけないと思うようになったようです。

そのため、戦わない日はおしゃれな服を着るようになったり、装備以外の服や自身の見た目がおかしくないか、みっともなく見えないか普段から気をつけるようになったようです。


実は密かにギルド宛に依頼を出す依頼主から腕っ節は良いし礼儀も正しいけれど身だしなみをもう少し整えてくれないかというクレームではないけれど要望は上がってはいたようです。

それが、シルちゃんの影響で気をつけるようになったことで結果として報酬の上乗せもわずかながら上がり、ギルド側も良い冒険者に依頼を任せてくれてうれしいと評判も上がってと良いことづくしだったようです。


まぁ、私からすれば元々その辺りは気をつけてたので何を今更を思いますが、よくよく思うとそういうのを気をつける人って大抵潔癖な人かお金に余裕がある人ばかりでした。

お金がないから身だしなみを整える余裕もないと言う考えの結果、そういうのを気にしない人が多かったようです。

それがお金がなくてもある程度は整えることが出来ることをシルちゃんが一緒に依頼を受けた冒険者たちと雑談ついでに話したことで人から人へと情報が周り、気にする人が増えた・・・と言うことらしい。




シルちゃんたちが故郷に帰ってみんなさみしがってはいますが無事に帰れたことはすごく喜んでいましたよ。

桜華さんやお母さんから教会で祈っているときに楽しく過ごしていることは聞けているので心配はしていませんが、これまでこちらの世界で頑張ったことは絶対に無駄にはなりません。


だから、苦労した分楽しく、悔いのない人生を送って下さいね。






私の弟子としてすごく誇らしかったですよ。

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