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陰の支配者-私の保護者は猫と鳥-  作者: ミコト
最終章-異世界組攻略編-
169/177

アルバトロス消滅作戦その1

--シリル--

アルバトロスへ到着し、タイプ:アルケンタヴィス(タクミ命名)へと変化した師匠とガチモードのグリムが国全体を威圧しまくってる中、俺自身が覚悟を決め、国の状況を目にして激情したところ、なぜか見た目が変わりました。


で、ステータスを見るとなんかすごいことになってた。




ランク:A(二つ名=音の支配者/黒夜叉)

名前:シリル・クニサキ

性別:♂

年齢:19

種族:氷炎人

職業:軽業師、吟遊詩人

副職:絵本作家

称号:異世界に攫われし者、みんなのお兄ちゃん、アイドル

属性:温度変換

体力:S+

魔力:SSS

攻撃:SS-

防御:A

俊敏:EX

練度:SS+


衣類:混合岩の装備セット、演者のヘアバンド

武器:吟遊詩人の魔双剣(炎・氷)

装飾:クラリティ王国公爵家の証、誓いの指輪


攻撃技1:【体術】【感情強化】【切断強化】【貫通強化】【豪脚】【射撃】

攻撃技2:【凍結】【炎熱】【冷気支配】【熱気支配】【衝撃波】【多重奏】

武器1:【剣】【短剣】【二刀流】【双剣】

補助技:【アクロバティック】【虹色の声】【威圧】【熱源感知】

自動技:【武器舞踊】【武器舞踏】【絶倫】【精豪】【並列思考】


契約

【妖精】雷鳥:エクレール


加護:賢神の加護





まず、ステータスが全体的にえげつないくらい強化されてる。

数値だけだと、グリムやアルナさんと並んだ。

そして、種族が変わってるし、技も一部変化してるようだ。

後、加護がついてる。




氷炎人

ありとあらゆる冷気と熱気・・つまりはこの世に存在する温度を支配する。

自身を中心とした一定空間の火・水・氷関係の属性魔法はすべて無効化させる。

【冷気支配】【熱気支配】をノーコストで使用可能となる。

種族特性として、白髪に左右が紅と蒼の瞳を持つ。



【冷気操作】→【冷気支配】

どんなモノでも冷やし、操ることが出来る。

【冷気操作】が進化しており、纏う冷気は、蒼から透明になる。



【熱気操作】→【熱気支配】

どんなモノでも熱し、操ることが出来る。

【熱気操作】が進化しており、纏う熱気は、紅から白になる。




賢神の加護

英雄賢者である月神桜華による加護。

扱う魔法を使用する際にかかる負荷を減少させる。

追伸

本当は進化が終わるまで10日はかかるけど、特別に時短にしておいたよ。By.桜華




これは・・技として扱っていたモノが、俺の種族特性として扱えるようになった・・つまりは、魔力などを一切消費せずに使えるようになったってことか。

種族特性によってノーコストで扱えて、発動した際、脳にかかる負荷も事実上ほぼゼロ。

元々脳にかかる負荷は半分以下だったんだが種族特性によって更に激減してるからな。

それで更に加護によって減るからほぼゼロってわけだ。

それに、纏う光も、透明と白に変わったようだ。

確か、氷は純度が高ければそれだけ硬く透明に、光は白に近い方が強いと聞いた記憶がある。

なるほど、文字通り上位へ至った訳か。

で、種族が種族だからその色に変わったと。

軽くその場でジャンプしたり手をグーパーして確かめるが、基礎の身体能力もずいぶんと跳ね上がってるみたいだ。

試しに、手元に冷気と熱気をそれぞれ作り出すと、透明の光の粒子と白い光の粒子がくるくると手元を包みこむ。

確かに、魔力は一切消費しないようだ。

それに、姿が変わる前よりもたやすく扱うことが出来る。

何というか、コントローラーで操っていた感覚が自身の手と足を動かす感じに変わったくらいの変化だ。


その代わりに、発動させるときちんと意識する必要はあるが、慣れれば師匠が影さんたちを操るように片手間でも扱えるようになれるな。

まぁ、その感覚は10分も動けば慣れるな。

だとしても、ここが極寒大陸だと言うこともあって冷気を操るのがものすごく威力過多になるな。

何というか、この国全体くらいは内側までしっかりと隅々まで容易く凍結出来るくらい。

まぁ、威力自体も以前よりも威力が熱気も冷気も上がってるのは確かだ。

冷気だと、最低気温

熱気だと、最高気温の上限値がかなり広がったといった方が正しいだろう。

とはいえ、熱気を操るのもノーコストだからやろうと思えば国丸ごと灰燼にしちゃうくらいは余裕だけど。

後、師匠ほどはなくともそれなりに眠る時間があるかと思ったが、そうならなかったのは桜華さん・・現神様のおかげだったのか。

・・感謝します、南無南無。



「え、えぇっと・・シリル?どうだった?」

「なんか知らんが、種族進化したらしい。」

「つまりは強くなったってこと?」

「だな。俺が扱ってた冷気と熱気の魔法がノーコストで扱えるぞ。ついでに言うと、この国程度なら丸ごと消滅出来るだろうな。」

「・・・」

「兄貴がガチチートに目覚めた・・。」

「ヤバい・・いろんな意味でヤバい。」

「白いシリルもかっこいい//」

「覚醒したお兄ちゃんはその瞳と声で私の心を萌えさせる。」

・・・深くは追求するまい。

「とりあえず、色々言いたいことはあるだろうが行くぞ」

全員「おう!」


あぁ、それにしてもむしゃくしゃする。

師匠とグリムのおかげで屑の大半は泡を吹いて意識を失っているが、近くには、明らかに被害者だろうっていう者たちが倒れている。

しかも、暴行を加えられたような跡や、身につけている衣服が乱れていることから何を強要されていたのか想像も容易い。



正直、ここまでいらいらするのは俺が住む県にいたヤクザの一族と隣の県にいたマフィアの一族を1人残らず壊滅させたとき以来か?

まぁ、そのヤクザもマフィアも住んでる県丸ごと支配してるようなかなり規模のでかいとこだったらしいが、俺からすればそんなことはどうでも良い。

そいつらが俺たちが住む町を喧嘩の会場にしやがったせいで、父さんや母さんはおろか、セリカにニシキ、ニシキの部下連中も巻き込まれて怪我をしたんだから。

正しく言うと、ニシキとその部下連中は、その現場に偶然いた関係ない人たちを怪我させないように体を張って守っていたから、言ってしまえば名誉ある勲章だな。

確かその後からだったかな、俺になんか二つ名みたいなのが出来たのが。

何だったか忘れたし、大抵お兄様としか呼ばれないからまぁ、どうでも良いか。


とりあえず、屑共は1人残らず殲滅して良いと師匠に言われてるし、この力の練習台として盛大に気の向くままに暴れてやろうか。





--タクミ--

ヤバい・・いろんな意味でヤバい。

種族進化して髪とか目の色が物理的に変わって一際かっこよくなったのもそうだけど、国の現状を見てぶち切れてるのがもっとヤバい。

何せ、目つきだけで全身が凍り付きそうなくらい鋭くなってるし、表情も無そのものだ。

それに、全身に透明な光と白い光の粒子がこれでもかと纏わせてるし・・。

あんなとげとげしいシリルさんを見るの初めてだし、近くにいるだけで冷気とは違う寒気がする・・。


後・・・

「ヤバい・・兄貴が・・・・ヤバい・・・ヤバいヤバい。」

ニシキが、顔を真っ青にして全身を震わせてる。

あのニシキが・・だ。

どんなときも特攻隊長として頼もしかったニシキが・・だ。


「ニシキ、大丈夫?」

「・・・・なわけあるか。冗談抜きで今の兄貴には近づかない方が良い。」

「そりゃあ・・あれだけ怒ってるから下手に刺激はしたくないけど・・」

滅多に怒らないシリルさんがぶち切れてるんだからさ・・怖すぎて近づきたくないって言うのが本音だし。

「・・・・・そう言う問題じゃないんだよ。」

「あ、あぁ・・アレ、あのとき以来だなぁ・・」

「あのとき?」

遠い目をしてそうつぶやくセリカさん。



「ちっ、邪魔だ・・・どけ。」

心臓を鷲掴みにされたかと思うくらいとげだらけのシリルさんの声がそう言った途端、この国で敵だと思われる人たちが1人残らず首から下が凍り付いていた。

ついでに、国そのものも建物も城壁も道もすべて凍り付いていた。

「てめぇ!なにしやg-」

「うるせぇよ。」

「っ!」

「死にたくなければ黙ってろ。」

(コクコクコクコク!!)

凍り付いた敵1人がシリルさんに文句を言おうとしたけど、その人の片耳と片腕が一瞬で斬り飛ばされ、切り口も凍結させたところでシリルさんと目が合ったらしく顔を青ざめつつ速攻で従順にさせていた。(強制)


って言うかシリルさん・・・マジギレしてるじゃん・・・。

国丸ごとホントに凍りづけにしちゃったし、被害者さんたちだけは全員器用に凍結されておらず、白い光の粒子が包み込んでいる。

その光に包まれた途端その人たちはどこか安心した表情で意識を失っていた。

・・そっか、あの光で暖めてるんだ。

この国・・というか、大陸は極寒大陸だから。


まぁ、自分自身を痛めつけてた人が速攻で氷像になったのに加えて、さっきのやりとり。

おまけに、シリルさんが自分たちを包み込ませている同じ光を纏ってたらそりゃ安心するよね。


・・今は、ぶち切れてるから優しい王子様像は皆無だけど。

その美貌が影響して怖さが倍増してたりするけど言わない、と言うより言えない。


ちなみに、被害者さんたちはアルナさんとリカルさんが連携して飛行艇にせっせと運んでは治療して寝かせてる。

このごたごたが終われば、ルナールに連れ帰ることになるだろうしね。



そして、俺たちの出番なんてぶち切れたシリルさんの後ろをただついて行くことしか出来ない俺たちにあるはずがない。

で、こっそりと珍しくシリルさんから微妙に距離を取って引きつった表情になってるセリカさんに尋ねる。

「それで、さっきのあのとき以来って?」

「え、えぇっと・・・何年か前に、私たちの故郷でかなり大規模な抗争があったの覚えてる?」

「覚えてるよ?確か、セリカさんも巻き込まれたんだよね?」

「私も覚えてるよ?何せ自分たちが住んでる町で起こったことだし。確か、どこかのヤクザとかのグループ同士の喧嘩だったんでしょ?」

「うん・・私たちが住む県を丸ごと裏で支配してるかなり規模の大きいヤクザの一族と、隣の県を支配してるマフィアグループがなぜか私たちの町で争いだしたんだ・・。あのときは、ニシキとその部下の人たちが体を張って被害が出ないように頑張ってくれたからちょっとした怪我を負った人は多くてもどうにかなったんだ。」

「ニシキそうなの?」

「あ、あぁ・・。かなりヤバいのはわかったから、声を掛け合ってそこから逃げる時間稼ぎをしたり巻き込まれそうになったところを体を張ってかばったり、応援を呼んだりとかしてかなりヤバかったな。おかげで俺も部下連中も終わった後は全員ぼろぼろだったぜぇ。」

「それで、その後ってどうなったの?」

「あ、あぁ・・・そこから何だけど・・。きっかけは、私とシリルのご両親が巻き込まれたことだったんだよねぇ・・。」

遠い目をして言ってるセリカさんの台詞にちょっと気になるところが・・・。

「え・・嘘でしょ?」

すっごい嫌な予感がする・・。

「うん・・タクミの予想通り。今みたいにシリルが本気でぶち切れたんだぁ。結果として、翌日にはそのマフィアグループもヤクザグループも1人残らず全身ぼろぼろで、病院送りにして恒久的な”隷属宣言”をしたんだぁ。その対象は、シリルと県のお偉いさん数人と町のお偉いさん数十人とシリルの知り合いの警視庁のトップの人と、芸能界の複数の会社のトップの人たち全員に・・。」

全員「・・・」

降伏じゃなくて、隷属という時点でどれだけシリルさんに対する恐怖がヤバかったのか言わずともわかる。

その証拠とばかりに、ニシキはぶち切れシリルさんはトラウマになったっぽいし。

「しかも、書類と動画の両方で証拠を取ってるし、厳重に保管されてるんだよ?数も1つ2つどころじゃないし、保管した場所もさっき言った人たち全員がそれぞれ持ってる。」

「そのあ、後は?」

「2グループは、盛大なトラウマを抱えたねぇ・・。何せ、両腕と両足が複雑骨折に背骨も折れて、全身打撲に内臓もいくつか破裂して、去勢だったからねぇ・・。1人残らず、下っ端から幹部まで全部ね。」

全員「・・・」

「それからは、その2グループは、そう言う悪いことから完全に縁を切ったね。まぁ、関わってることは洗いざらい吐いたからその辺りの関連も警視庁のその人を筆頭に一掃したらしいよ?で、そういうのから足を洗ってからは、シリル・・と言うより私の安全を確保するためにあちこち動き回っては、そう言ういざこざを対処してるらしいよ?」

シリルさん・・・あなたはホントに日本にいた頃からチートだったんだね・・。


ちなみに、シリルさんによって全身ぼろぼろにされた人たちは全員病院送りだったことから数ヶ月ほど近隣の病院が満杯になったんだとか。

まぁ、そのまま逮捕された人もかなりいたらしいけど。



「で、そのときにニシキやその部下の人たちが体を張って守ったり、シリルがその人たちを始末したのに加えて日頃から何度も強盗とか色々つぶしてたし、ニシキたちが事実上シリルの部下的立場で日頃から慈善活動してたのが影響して、その功績をたたえて、障害を打ち破る英雄”ウルスラグナ”って呼ばれるようになったんだよ?しかも、その呼び名はそのときに同席した県の偉い人たちと警視庁の人たち全員が認めた呼び名で、感謝状と表彰状にもシリルの名前とその呼び名が書かれてあるんだよ?」

全員「そんな偉い人にも認められたんだ・・」

この世界で言うところのギルドカードに二つ名が出来るレベルじゃなくて、王様とかが勲章とともに与える呼び名みたいなすっごい名誉あるモノって言った方が正しいよね?

「ちなみに、シリルの家にその呼び名を刻印して作った世界で1つだけのオリジナルコインも特別に作られて、贈られてるんだよ?使われてる素材もそれだけのために用意したガチの超高級品なんだとか。・・それを保管するガラスケースごとプレゼントされたんだってさ・・。しかもそのガラスケースってさ・・ガチの世界有数の美術館とか博物館とかで使われるようなマジモノ。」

全員「・・・」

本気度がすげぇ・・。


道理で、シリルさんのご両親が”ウルスラグナ”の父とか母とか呼ばれるわけだよ。

そうなるのも至極当然だよ。

ちなみに、そんなとんでもないモノを貰ったシリルさんのご両親はと言うと、リアクションはやっぱりうちの子すげぇだけだったそうな。

・・いろんな意味で尊敬するよ。


そして、その当の本人はと言うとそれから更に進化してるから冗談抜きで災厄と化していた。

お師匠様も実際、上空で大変身してるし、龍を複数呼び出して全部国を取り囲むように宙を漂ってるし、放たれる威圧感は1匹残らずえげつない威力だ。

さらに、定期的にあの影の爆弾を周囲で爆破させてるから、さっきから国中が爆風と地震に襲われてる。

おまけで城壁の向こう側にはあちこちでキノコ雲がポンポン出来てる。

そのキノコ雲のサイズとか見てると、あの白黒テレビで見た原爆レベルだと思う。



あぁ・・・お師匠様の弟子って言うのも納得だよ。

今の現状を2人がそれぞれ単独で国丸ごと様々なやり方でぼこぼこにしてるところを見たら弟子だと思わないのがありえない。


「シリルさんが、冗談抜きでヤバいんだけど・・。」

「冗談抜きで前世は物語の英雄なんじゃないの?」

「だよね・・。」

「シリルさんのご両親が前世の記憶がないか聞くのもしょうがないと思う。・・私もたぶん聞く。」


「ちっ、この国の騎士共は根性なしかよ・・・邪魔だ。」


ドカァァァァアアアアン!!!!


「よし、通れるようになったな。」

全員「・・・」

えぇっと、現在目的地であるお城までたどり着きました。

で、そこを守る門ですが、そこを警備している騎士というか門番はシリルさんの国丸ごと凍結したので、同様に凍り付き気絶してる。

そして、シリルさんは透明の光の粒子と白い光の粒子を合成し、圧縮し、大爆発させ、門を吹き飛ばしました。

おまけとして、近くにいた騎士は問答無用でぶっ飛んでいきました。



「今だ!全員やれ!」

「うっせぇよ。」



ドカァァァァアアアアン!!!!



「寒い土地のくせに害虫共が鬱陶しい。」

全員「・・・」

今度は、魔法使いとか弓術士とかの遠距離組が俺たちに向かって魔法とか矢とか放ってきたけど、その魔法も矢も、放つ人間も全員さっきと同様、1人残らずぶっ飛んでいきました。


「余計なことをされても鬱陶しいな。・・・これでいいな。」

全員「・・・」

そして、ぶっ飛ばした後、あちこちの壁に貼り付け状態にして凍りづけにしてました。

ついでとばかりに武具は1つ残らず回収済み。

モノは、リリさんが回収済みです。

ちなみに言うと、国中で凍りづけにされてる人たちのは翠さんが回収済みです。

下着以外全部です。


それから、門だろうが扉だろうがすべて爆破して開けるというダイナミックなことをしながらシリルさんは淡々と進んでいく。

ちなみに、メイドさんや執事さんたちはと言うと、シリルさんの表情を見た瞬間速効で身につけている武具をすべて外して土下座してました。

で、シリルさんが一言

「お前らは俺たちの敵じゃない。逃げる場所があれば好きにすればいい。場所がないなら国の外にある飛行艇に降伏宣言でもしろ。ここでの用事が終われば連れて行って貰うように頼んでやるよ。通りすがりでも師匠の収める都でも構わん。」

全員高速で首を縦に振ってお城から飛び出していきました。


後に、敵認定しないで!という感じで飛行艇へ降伏宣言しに行き、後に回収した被害者さんたち含めて、帰り際にある国や町へ旅立ったり、ルナールへ住むようになったり、どこにも居座らずに世界を放浪することにしたりと言った感じだったのは、このドタバタが終わった後の話。

ちなみに、ルナールへ住むことになった人たちの割合的に言うと、被害者さんたちは全体の7割で、メイド・執事さんたちは4割でした。

イリスさんが良い人材が増えたと言ってたよ。

特に、こんなアホな国を治める傲慢王の相手をするほどの猛者だしって、ついでに言ってたけど。

後に、被害者さんたちは、癒やしの都”ルナール”に住んでる人たちとあっという間に仲良くなったよ。

なにせ、境遇が似たようなモノだったから、とのこと。




「あ・・・あの・・」

「ん?」

で、速攻で去って行く人たちの中で1人のメイドさんがすっっっっごい低姿勢でシリルさんに声をかけてきた。

そして、さすがにシリルさんも敵ではないからか、あの凍てつく瞳には多少の優しさが戻ってた。

「陛下・・と申しますか、皆様が目指していらっしゃる場所は、この先を左に曲がった先にある巨大な扉の向こうになります・・・。」

あぁ、場所を教えてくれたんだ。

って言うか、こんだけドッカンバッカン鳴ってるのにあの張りぼてイケメン率いる俺らの同郷と傲慢王はそこにヒッキーなん?

マジで役立たずだな。

「そうか。ありがとうな。」

「い、いえ!」

「礼だ。」

何かをシリルさんは握らせた。

「っ!ありがとうございます!」

「ほら、さっさと行け。巻き込むぞ。」

巻き込まれるぞじゃなくて、巻き込む前提なんだ・・。

「はい!ご存分に!」

そして、満面の笑みで去って行った。


「あ、あの・・シリルさん・・・何を渡したの?」

ちょっとだけ雰囲気が解凍されたから今のうちって感じで聞いてみた。


「あぁ。師匠のハンカチ。」

大量に貰ってたから配ったとのこと。

あぁ・・そりゃあ喜ぶわ。

「まぁ、ちょっと師匠に手伝って貰って俺のサインも刺繍して貰ってる特別製だけど。」

うぬぼれみたいでアレだけど一応アイドルらしいしなと言いながらシリルさんはこちらに顔を向けずにそう言う。

シリルさんのサインが、お師匠様のハンカチに・・って、それ・・。

いまや、超有名な売れっ子アイドルと化している音の支配者のサインって、誰もがのどから手が出るほど欲しがるモノなのにそれが、お師匠様お手製の大人気な超縁起物のハンカチにわざわざ書かずに刺繍されてるなんてプレミアモノじゃない!?


と言うか、言わないし、言えないけど、あのぶち切れ状態のシリルさんに助言とは言え声をかけたあのメイドさんすごいよね。

俺らですら声をかけるのに勇気が出なかったのに。







で、

「貴様!まt-」

「どけ」



ドカァァアアアアン!



「無礼m-」

「うるせぇよ。」


ドカァァアアアアン!


「ま、まt-」

「邪魔だ」


ドカァァアアアアン!




全員「・・・・」


会話とは言葉のキャッチボールだと聞いたことがあったけど、今目の前に広がる光景を目にして思ったのは、会話とは言葉の千本ノックなんだなぁと思いました。

相手が侮辱だろうが交渉だろうが問答無用で一撃でぶっ飛ばされてます。


そして、引きつった表情のままフリーズする傲慢王と、完全にぶち切れ状態で凍てつく瞳プラスの威圧がダダ漏れで、さっきから速攻で瞬殺しまくってるシリルさんを見て完全におびえてるクラスメイトたち。

俺たちはと言うと、引きつった表情のまま表情が固まってます。

・・これ、後で顔をマッサージしないと固まって戻んないかも。



で、クラスメイトと傲慢王以外全部全滅(ぶっ飛ばされた後は、1人残らずきちんと氷像になってる)しました。


そこで、シリルさんは一応一撃必殺はやめました。

一応会話はするようです。


「き、貴様何者だ!」

「お前に名乗る必要があるか?」

「なっ!?」

「無礼だぞ貴様!」

お、張りぼてイケメンがなんか言い出した。

「それに、俺のセリカを返せ!貴様らもなぜそんな奴のそばにいる!そいつは何者だ!」

なんか、すっごい偉そうなんだけど。

で、俺のって言ってるけど、セリカさん冗談抜きでシリルさん以外興味ゼロだぞ?

そして、セリカさんはというと。

「・・・・名前なんだっけ?張りぼてイケメンとか王子(笑)意外に全く思い出せない。なんて言うか、で落ちキャラ?」


全員「・・・」

見事に名前を忘れてました。

おまけに覚えてるのが漫画で当て馬役にされるだけのキャラ程度の認知度でした。

「まぁいいや。覚える必要もないし、覚えるつもりもないし。」

さすが

「なっ!?そうか、貴様か!貴様が洗脳したんだな!?」

なんか言い出したぞ。

「返s-」

「黙れよ。」

「-っ!?」

シリルさんの眼力で速攻で黙った張りぼてイケメン。

「最初に言っておくが、俺の俺のと言っているが、いつお前のものになったんだよ。そもそも、セリカはモノじゃない。セリカの運命はセリカ自身が決めることだ。本当に愛しているというのなら、たとえ嫌われようともセリカの幸せのために努力し続けるのが普通じゃないのか?」

すげぇ・・やっぱり、シリルさんかっけぇ!

その証拠として、張りぼて王子以外の女性陣(こっち側もあっち側も)全員顔を赤くして見惚れてる。

男性陣はと言うとこっち側限定でさすがかっこいいという感じであこがれが更に高まってる感じ。

まぁ、あっち側の女性陣はシリルさんに最初っから見惚れっぱなしだけど。


って言うか・・

「ねぇ、カナミ・・もしかしてあいつら・・」

「えぇ・・間違いなくわかってないわね。」

「だよね」

シリルさんのことに気付いてない。

髪色が変わったと言っても顔立ちはそのまんまなんだけど・・って、そう言えば学校では髪は下ろしてたし、表情も纏う雰囲気もシリルさんの演技力で地味系を全力で演じきってたから結構変わるか。

それに、今は完全に感情を隠すことを辞めてるし、そう言う演技も辞めてるのに加えて、髪型も伸ばしてるし後ろに流してるしで結構変わってるしね。

後、セリカさんに言われて知ったんだけど、声質も微妙に学校では変えてたんだとか。

少しだけ声のトーンを上げてたんだとか。

シリルさんの地声って同級生男子と比べると微妙にトーンが低いんだよね。


「とりあえず黙ってろ。俺らがここに来たのは、てめぇが違法魔法を扱ったことと、その被害者の扱いによる断罪によるこの国の消滅だ。」

「何をバカなことを言っている!」

「そうだ!世界を滅ぼそうとする魔王を倒さないとならないんだぞ!」

「バカじゃねぇの?」

「はぁ!?」

「そもそも、世界規模で拉致した奴の言葉を鵜呑みにするとかどれだけ平和な頭してんだよ。」

「・・・」

「それに、異世界から人間を拉致するってことは、空間に穴を開けると言うこと。それによって世界が滅ぶ可能性も異空間に吸い込まれて二度とかえって来れなくなる可能性だって十分あり得るんだぞ。空間に穴を開ける危険性は、軽く考えただけでもわかることだろうが。」

「・・・」

「後さ、一方的に敵認定してるみたいだが、お前らは他の国でどういう評価をしているか調べたのか?裏取りは常識だろうが。そんなこともせずに一方的に決めつけるとか、ただのバカ以外なんと言えと?」

「・・・」

「まぁ、何を言おうが、俺1人にこんだけびびってるならなんと言おうと全員始末すれば俺の意見が通るんだけどな。」

「そんなことが許されると思っているのか!!」

「ていうか、違法魔法を扱ってる時点で決定事項だし、俺を止められるって言うならやってみろよ。俺1人にこの国の戦力は後ここにいるお前らだけなんだけど?それに、外には俺より強い人たちが殺る気満々で構えてるんだけど?さっきから聞こえてるだろ?あの爆発音。全部師匠1人の仕業だぞ?」

はい、これがホントの完全論破!!

で、見苦しい傲慢王はなんかほざきだした。

「そ、そうだ。何が望みだ!金か!女か!何でも用意してやろう!」

「見苦しいな。金は自力で稼いでるからいらんし、女も馬鹿にしてんのか?嫁が1人いるなら他の有象無象なんぞいらねぇよ。それに、求めるモノは貴様の首とこの国にあるすべてだ。こちら側で完全にありとあらゆる資料は破棄させて貰う。今後二度と違法魔法である異世界召喚魔法を扱わないようにするためにな。」

「な、なっ・・貴様!さっきから何者だ!何を名乗れ!」

「なんだ、お前はともかく、そっちの連中もまだ気付かねぇのかよ。」

「な、何を言ってるんだ・・」

「ひどいな。一緒に勉強をした仲だって言うのに」

全員「っ!?」

全員がシリルさんの顔をじっと見てだんだん目を見開いていく。

「お前は・・まさか!!」

「やっとわかったのかよ。俺の名はシリル。クラリティ王国魔術師団長兼エトワール公爵家令嬢、フリージア様が弟子の1人、”音の支配者”の國崎シリルだ。」

おまけ


エトワール家家訓


誇りとナルシーで、お腹はふくれない

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