好みは人それぞれ
--グリム--
俺の両親がいきなり勘違いで土下座しにやってきたり、リアがシリルたち異世界人たちを勝手に呼び出した原因であるアルバトロスという国を滅ぼしに行くことが決定したりと色々と慌ただしい日々が続いている。
だが、リアのマイペースさが原因なのか慌ただしいと言いつつも和気藹々としながらどこかのんびりとした日を過ごしてる。
まぁ、俺自身もリアがやっていた公爵家の仕事を徐々に引き継いでるからそっちも忙しいと言えば忙しい。
とはいえ、リアも現当主であるイリスさんも生涯現役の予定らしく、仕事を俺に丸投げはまずないので分担して対応しているというのが現実だ。
だが、何があっても問題ないようにどの仕事も出来るように覚えつつ、分担する割合も出来るだけ俺が対応するように心がけている。
・・少しでもリアの負担が軽くなるようにと言うのと、イリスさんにおんぶに抱っこはなぁ・・?
そして、現在はリアと言ってしまえば同棲している。
まぁ、イリスさんや魔術師団の5名に、リカルさんたちもいるから2人きりだとかで緊張とかもないから、ちょっとだけホッとしてるが、俺の本音だ。
・・2人きりになりたいとは言わないが、まだ俺のメンタル的な問題で耐えきれないからなぁ・・・そのせいでシリルたちには乙女だとか言われるが不本意だ。
俺はただ、威圧体質が原因でろくに人付き合いが少なかったから、とことん女性と関わることがなかったから耐性がないだけだ。
なくはなかったが、それは仕事としての関わりだからプライベートでは皆無という意味だ。
で、今はシリルたちやイリスさんたち男性陣全員で風呂に入ってるところだ。
そんなに大量の人数で入れるのかって?
それが入れるんだよ。
この今俺たちが住んでいる家を作ったクランが、色々と感謝の気持ちなのか何なのか、地下に超巨大な風呂を作ったんだよ。
きちんと男性と女性で別れてるし、混浴はない。
で、風呂に入ってる・・つまりは裸になってるわけだが、こうしてみるとシリルの体ってすごいな。
なんていうか、筋肉の密度というか無駄なところがないって感じだ。
シルエットは細身だが、肌を直接見ればものすごく鍛えているのが素人目でもわかるくらいだ。
「やっぱ、シリルの体つきってすごいな。」
「そうか?・・そうだろうな。こっちでは気にしてないが、故郷にいた頃は無駄に注目されたくなかったから一年中長袖長ズボンだったし。」
「争いがない世界だし、そうなるとそんな体つきは俺が想像してる以上に目立つのか?」
「まぁな。むしろ武術を習ってる奴だけでも珍しい類いに入るさ。」
「だとしても、グリム。お前も体つきはすごいと思うぞ?シルエットで言うなら俺よりもがっちりしてるし。」
「まぁ、否定はしない。」
色々と鍛えてたしな。
俺の場合は、幼い頃から実践形式で鍛えてたし、シリルほど無駄のない肉体ではないが、それなりに鍛えてる。
見た感じで言うとシリルより多少がっちりとしてる感じだな。
とはいえ、あまり筋肉をつけすぎても動きに支障が出るから極力絞るようにしてるがまだまだだ。
特にシリルの体つきを見てると余計にそれを感じる。
シリルが細マッチョの究極だというなら、俺は細マッチョの中級?と言う感じか?
まぁ、言っているとだんだん何言ってるかわからなくなってきたから端的に言えば、シリルよりは見た目はちょっとだけごついってことだ。
「グリムさん、シリルさんってこの国だと普通より強いくらいのポジションだけど、俺らの故郷だとこっちで言うところのお師匠様レベルの強さって扱いなんだよ。」
「そうそう。むしろ喧嘩を含めて争うこと自体が基本ないし、あったら善悪問わずに人から距離を取られるのが普通だし。」
「なるほどな。そうなると確かに目立つな。」
「けどシリルさん、だからって自分のイケメンも隠蔽しなくて良かったんじゃないの?隠さなければ王子(笑)も鬱陶しくなかったのに。」
「王子(笑)?」
誰だそれ。
話の流れからシリルたちの同郷でつぶす予定の国に居座ってる奴だとわかるがものすごく馬鹿にしている感じがありありとする。
「あぁ、見た目は派手系のイケメンなんだよ?張りぼてのイケメンだけど。」
「そうそう。張りぼてイケメン。」
張りぼて・・すごい言われようだな。
だが、普段からシリルたちを尊敬して絶賛してるこいつらがそう言うってことは、性格がナルシストなのだろう。
そう、目でシリルに聞くと頷いた。
なるほどな。
聞いていると、自分こそがセリカの嫁にふさわしいとか自分で言ってセリカに迫ってるんだとか。
そりゃあ、(笑)とか言われるわけだ。
そのセリカ本人は、シリル以外には一切興味ないみたいだし、リア並みにスルーしてたっぽいが・・そいつの目は節穴か?
その当の該当者であるセリカも隠しもせずに堂々とシリル以外の人間には興味はありませんが断言してたりするらしいがそれでも迫ってるって・・アホか?
「そう言えば、イリスさん。師匠からペチュニア様と出会ったときはイリスさん以外全員がいろんな意味で衝撃的な出会いだったと聞いたんですけどそうなんですか?」
「ん?そうだねぇ、すごかったよ?」
シリルもシリルだが、イリスさんも脱いだらすごいんだよな。
無駄がないし、なんて言うか体つきに気品がある。
それなのに、実践向けで鍛えられてるからある意味で芸術的だ。
「ニアさんが初めてこの国に来たときは、ドラゴンの魔石と部位をひとまとめにして引きずってやってきたんだよ。裸足で。」
全員「・・・」
なんて、衝撃的な・・。
「で、当時はお金が欲しいから換金して欲しいとギルドに訪ねたみたいなんだけど、さすがにドラゴン丸ごと一式をその場で換金するほどお金がギルド側になくてね・・ちょっとやそっとなサイズじゃなくったらしくて。」
あぁ、だろうな。
ワイバーンよりちょっと上程度ならともかく、その倍以上になると色々と跳ね上がるからな。
イリスさんの言い方から推測すると以前俺とリアで討伐したカイザーローズ並だったんだろうな。
・・・アレも、自己強化しまくってたせいでアホみたいにでかかったし植物のくせになかなか燃えなかったんだよなぁ。
「それで、僕たち王族が買い取ることにしたんだよ。それで、父上が代表してニアさんに手渡しすることになったんだ。そのときに僕は同席してたんだけどそのときがニアさんとの初対面だったんだよ?」
なるほど。
「直接渡したかったのは、顔合わせもかねてですか?」
「そうだね。どんな子か興味があったみたいだ。けど、普通王族に手渡しされるとしたら君たちならどんな感じになる?」
「え?そりゃあ、恐縮しちゃいますよ。」
全員頷いてる。
俺も同感。
「けど、ニアさんは僕たちと顔があった瞬間、頭を下げることもなく仁王立ちで堂々とこう言ったんだ。」
おっさんたちとの話とかめんどくさいからとりあえずドラゴンのお金頂戴?
全員「・・・・」
うわぁ・・なぜかすっごい簡単に想像出来る。
俺は、なにげにちょこちょことペチュニアさんのことは聞いてたから苦笑いと引きつった表情が6対4くらいで済んでたけど、異世界組は引きつった表情10割という感じでフリーズしてる。
「いやぁ、いろんな意味ですごかったね。宰相以外全員がびっくりしすぎて固まったね。怒る気も注意する気もみんな失せちゃってねぇ。ニアさんはすがすがしいくらいのすごい良い笑顔ではっきりとそう言ってたよ。」
すげぇ・・・いろんな意味ですげぇ・・。
実際は、不敬罪どんとこい状態だけど。
「で、さすがに礼儀がねぇ?だから、形だけでも良いから謝って。それからお金はちゃんと渡すからっていったんだけど、めんどくせぇの一言で僕たち王族以外全員瞬殺されたんだよ。衝撃波一発で全滅。」
つえぇ・・。
この国の騎士ってガチで強いし、連係プレイとか含むと、倍以上強くなるのに瞬殺かよ・・。
さすがリアの母親。
「で、次は僕たち王族が餌食かなぁとやられる前提で構えてたらいきなり吐血して倒れるしね。いやぁ、驚いた驚いた。」
そう言えば体が弱かったんだったな。
「それ・・大丈夫だったんですか?いろんな意味で。」
「うん。なんか父上とかはあまりの急展開にさすがにあたふたしてたけど僕が代表して看病したんだ。今思えば一目惚れだったんだろうね。気付いたら体が動いて助けに向かってたし。それからは、自動的にニアさんの監視役という名の保護者枠は僕で決定したよ。ニアさん自身も僕以外には誰1人として言うことを聞く気がなかったからね。確かに振り回されたし大変だったけど、すごく楽しかったよ。僕を身分無視で接してくれたし、絶対の信頼があったからすごく心地よかったんだ。」
確かに大変な目にもたくさん遭っただろう。
けど、すごく懐かしそうにうれしそうにほほえむイリスさんの表情を見ているとホントに幸せだったんだと実感出来る。
「あ、それで話は変わるけど、全員・・・女性のどこに最初は目がひかれる?」
「おい・・タクミ・・・いきなり性癖の話かよ。」
「いや、だってこういうときくらいしか言えないじゃん?それに、俺らの世界だと魔法は存在しないし、争いがない世界だから価値観が変われば、そういうところも見方が変わるのかなって。例えば、見た目はどうでも良いから強ければ良いとか、特定の属性の魔法が扱える人ならどんな人でもOKとか。」
「あぁ、そういうことか。」
「んー、そう言う風習は正直良くあるよ。この国だと特に気にしてないし本人たちが互いに気に入ればそれでよしって感じだけどね。実際、家系によっては特定の属性以外はダメっていう決まりがあったり、剣だけで一定基準以上じゃないと許さないとか戦いメインなこともあるし、魔道具作成で一定基準以上のを作れれば許すとかもあるし。まぁ僕は、そういうのはどうでも良かったけど。ニアさんに一目惚れだったからそのまま結婚だったし、ニアさん以外の女性でそういう風に見たこともなかったから。だから、僕の場合は、自然と惹かれて気付いたら好きだったって感じかな。まぁ、見た目でと聞かれると目かな。あのまっすぐで純粋な強い意志が籠った目に惹かれたんだ。」
そう言えばリアの目もまっすぐだったし、なにげに一目惚れした理由の一つはリアのそのまっすぐな意思のこもった目だったな。
「幼馴染みからの恋人って感じですね。」
「そういうのあこがれるよなぁ。小さい頃から一緒に過ごしていた異性が年を重ねるごとにきれいになっていって兄弟視線から気付いたら異性としてみてたって言う感じ!」
「だなぁ。じゃあ、言い出しっぺのタクミはどうなんだよ?」
「俺?まぁ、顔はきれいなら良いなぁとは思うけど、お互い趣味を隠さずに楽しみ合えれば良いなぁと思うな。」
「あぁ・・オタクって意外と嫌がられるパターン多いからな。」
「そうそう。それに、趣味を隠して一生をともにするって絶対精神的に疲れるし、どうせ好きなら隠し事なしで好きになりたいしなって貰いたいじゃん?まぁ、体のどこって言われたら脚だけど。」
「脚かぁ。」
「なんて言うか、スラッとしたラインってきれいって言うかかっこいいじゃん?」
そう言えば、こいつの彼女であるカナミの脚はタクミが言うとおりスラッとしたバランスが整った感じで鍛えられてたな。
「あぁ、わかる。じゃあ俺か」
ニシキか。
「俺の場合は、喧嘩が多かったし、精神的に強い人が良いなと思ってたな。」
「精神的?」
「あぁ。本人が物理的に強いかどうかは正直どうでも良い。けど、ちょっとやそっとの争いごとで戸惑わないで欲しいんだよ。俺が守ってくれるから安心だとかで信頼してくれるか堂々としてて欲しい。」
「あぁ。なんて言うか心の底から信頼してくれる人って感じ?」
「そうそう。まぁ・・胸がでかい方に自然と目が吸い寄せられるのはあらがえないから100%内面って訳じゃないけど。」
ニシキはシンプルに巨乳好きか。
そして次にシリルだった。
「俺もなんて言うか物心つく前からセリカから迫ってきてたし、イリスさんと似たような感じなんだよなぁ・・。まぁ、正直スタイルが良かったり顔がきれいな方が好きと言えば好きだが。」
シリルらしいな。
ある意味こいつは、セリカにそう言う性癖も刷り込まれてるような気がする。
「そう言えば、師匠はアルナさんの胸によく埋もれてるし、その人の内面にすごく敏感だけど、男性の見た目で好むところってあるのか?そう言う点、婚約者のグリムは何か知ってるか?」
「んー、そうだなぁ・・。シャスティさんたちが影響してるのか何なのか知らんが、良く俺の匂いはかいでるな。」
毎朝パンを焼いているせいかリアが言うには俺からは焼いた麦の良い匂いがするらしい。
「あぁ・・確かに。」
「けど、一緒に過ごすようになって気付いたんだが、俺の手を良くなで回したりほおずりしてることは多いな。」
「手?」
「そう手。」
「あぁ、そう言えば僕もそれ、良くされるね。」
イリスさんもだった。
「あ、そう言えば俺もされた。」
「俺もだぜ?」
タクミにニシキも?
って、リアは手が好きなのか?
翌日、本人にそっと聞いてみたところ、手が好みだったことが判明。
どうやら、人によって手の皮膚の硬い部分や肌の色で、日頃どんな風に頑張っているのか見えるから面白いしその手でいろんなモノが作られるからたくさんの未来がこもっているので興味深いらしい。
後は、俺の場合はその手でリアを撫でたりパンを作ったりとリアの好きが生み出されるから好きなんだと言われた。
・・・正直言うとリアって性教育とかされてるのかすごく気になる。
なんて言うか、結構特殊な人生歩んでるからそう言う部分はまだ教わってないような気がするし、そんな状況での旅の道中に教育係のメンツがそういうことを教えるかと問われると正直無理だと思うし、俺も教えない。
ってなると、アルナの胸に埋もれてるのは百合とかそう言うのではなくスキンシップの延長戦みたいなモノなのだろう。
・・・って、もしかしてこの流れだと近い将来リアと結婚することになるわけだが、俺らの子供のことを考えるとそういうことをする前にそういうところから俺が教えることになる・・のか?
カルナたちにそっと聞いてみたら教えるのは無理だと逃げられ、それなら同性のアルナに頼もうとしたらリアに無自覚にヤラれてるから無理ですと顔を赤くして顔を背けてたし・・・。
・・・マジか。
ある意味では一番ヤバい課題が残ってんじゃねえか・・どう教えるんだよ!?
初夜のドキドキ以上に、純真無垢な子に教えながらという状況がプラスとか上級レベルどころじゃないんだけど!?
・・・はぁ、内容が内容だけに誰に相談すれば良いんだよ。
「で、グリムはどうなんだ?スタイルとかは師匠は見た目が幼女だし、内面以外でどういうところが好みなんだ?やっぱり顔か?」
あ、そうだった。
性癖の話だった。
「あぁ・・・確かに顔は好みだし、内面がほとんどだが、最近は尻から太ももまでのあのスラッとしたラインが良いなぁと思うことは増えたな。なんて言うか、男でも尻の形でそいつの日頃の生活が見えるし。」
なんて言うか、男女とわずだが姿勢から体全体のシルエットを見るだけでなんとなく戦闘パターン以外にも私生活がだらしないか否かまで、以外とわかるしな。
「あぁ・・確かに男でもアイドルで顔とかは良いのに尻のラインがアレだとなんとなく残念な気になるよな。」
その点、リアは体のラインというかこの場合はスタイルと言うべきか。
スタイルは抜群だ。
無駄な肉はついてないし、尻の形も腰のくびれもどれも俺個人としてはまさに黄金比。
「わかる。そこのラインが良かったら内面も自然と磨かれてるような気がするし。」
「そう、それなんだよ。リアの場合、そのラインがすごくきれいなんだ。日頃の努力とかがすごく見えるからすごく誇らしくてな。まぁ、腰のくびれとかスタイルが良いって言う部分が好みだって言ってしまえばかっこつけな言い方なんてへったくれもないんだけどな。」
「まぁ、胸より尻派って聞こえるし、グリムの気持ちはわからなくもないな。」
「胸が良くても腰のくびれの有無でその美しさが半減するとかわかりそうでわかりにくいところだし。」
「ホントお前らがそう言う話でわかってくれて良かったよ。じゃなかったら、俺は、胸より尻派としか思われなかっただろうし。」
「あぁ・・否定しない。すごく微妙なラインだしな。」
まぁ、俺も男だしリアの身長からすると大きめな胸もあのくびれた腰も大好きだけどさ。
それでも、リアが抱きついてくれたときについ視線が言ってしまう最初の部分はおしりから太もものところだし、リアを抱っこしたときや俺のひざにのせた時にリアのお尻や太ももに触れてしまう時が一番うれし恥ずかしな気持ちが大きいのは否定しないがな。
まぁ・・性欲を表に出せる限界がそこまでなんだがな。
さて、いよいよシリルたちの因縁に決着をつけるときだ。
--フリージア--
いよいよシルちゃんたちを禁忌とされる魔法、異世界召喚を使って呼び出した冬の大陸の愚かな国アルバトロスを滅ぼす予定が確定しました。
そして、余談ですが私はどうやら男性の手(特に指)が好みだったことが判明しました。
なんと言いますか、リムさんにそんな感じの質問をされて答えているうちにそうなのかーって自分で納得しちゃったんですよ。
で、リムさんには内緒ですけどリムさんの手でほほを撫でられるとリムさんの匂いに包まれるし、手から伝わるぬくもりに、すごく気持ちよくなるんです。
撫でて貰うのは好きですし、手を見ているとその人が何を頑張っているのかどんな気持ちを込めてるのかがよくわかるので面白いですし。
それと、リムさんはどうやらおっぱいよりもお尻と太ももが好きなようです。
だって、リムさんのお膝に乗ったり抱っこして貰ったときにリムさんのおててがよくさわさわしたりふにふにしたりしてますし。
まぁ、リムさんには何をしても良いよって言ってるのでスルーしてますけど。
むしろ偶然を装って私からサービスしちゃいますけど。
お膝に乗ったり抱っこをせがんだりおんぶされてみたり?
で、飛行船を国の入り口近くで出して、メンバーが中に入っていく間、近くにいた人たちがすごく興味深そうに眺めてます。
あまりそこらでほいほい拝めるようなモノではないですからね。
で、私の私用の乗り物ですというとあっさりと納得されました。
クテンの名はかなり便利です。
大抵のことはクテン様だからで通じます。
最近だと、姫様だしで通じることも増えたけど気にしない。
そして、いざ出発というところでセイちゃんとユウちゃんが乗り込んできた。
{学園はよろしいのですか?}
「うん、無事に卒業資格を入手したからね。」
「私も同じく。一応戦いに行くんだしやれることは多いと思ってさ。私ならみんなもその国の悪くない人たちも救うことが出来るからお得だよ。」
{わかりました。私は上空から国全体を警戒して獣魔たちに指示を出すことがメインになりますから、ユウちゃんはシルちゃんたちと同行して私の代理をお願いします。セイちゃんも同様にお願いしますね。場合によってはシャスティを連れて好きに動いていただいても構いませんから。}
「了解」
「オッケー」
そして、船は飛び、冬の大陸を目指して進みます。
現在異世界組が嬉々として船のあちこちを探検したり運転したりしてます。
「そうだ師匠!どうせだからシナリオを作りませんか?」
突然、セリちゃんがそんなことを言い出した。
「セリカはいきなり何を言ってるんだ?」
軽くジト目になって呆れた表情になってツッコミを入れるのは相方のシルちゃん。
「だってさ、言っちゃえばこっちの勝ちはもう決定事項じゃん?」
「最終兵器がスタンバイしているしな。」
今私のことを妙な呼び方しませんでした?
「それで、国民たちも逃げ出してるとはいえ、師匠って見た目が超絶美幼女だし、ぱっと見に威圧感がないから」
「見た目も明らかにって感じにして、その国にいる連中全員にやらかしたことを暴露してもそれを信じさせるような勧善懲悪の物語に沿って演じた方が効率的だと?」
「そう!」
「それ意外とありかもな。」
リムさんが意外なことにのってきた。
(?)
「なんていうかさ、ただクラリティ王国を敵に回したから潰しに来ましただと、それでもいいが、何をやらかしたのか他の連中は疑問に思わないだろ?」
{クラリティ王国を敵に回したのだからしょうがないかで深く考えないと?}
「そうだ。それなら、シナリオを作ってその通りにやれば、自然と注目され、罪状を言えば自然と耳にするし、クラリティ王国を敵に回した以上にヤバいことをしでかしたんだとわからせた方が圧倒的に良い。」
「そういうこと!それなら、グリムをメインにやろうよ。」
「俺か?」
「そうそう。この時こそ、グリムの威圧体質をガンガン使って物語の魔王とか邪神みたいに演じちゃえば圧倒的だと思うんだ!」
「セリカが言うのも一理あるな。グリムがこのチームのボスだとわからせた方が連中も速攻で理解するだろうし、グリムも愚かなことをしでかした国を潰したっていう功績を持てるからエトワール公爵家を継ぐことに関してもいいんじゃないか?」
「そうか。そのくらい出来たんだから公爵家のことを考えたらそれも十分ありだな。」
「そして、シリルがグリムの幹部として私たち異世界チームを率いるリーダーとして盛大に悪即斬として演じちゃえばばっちりだと思うんだ。何せ私とシリルはあの連中に速攻で捨てられたわけだし、捨てた相手が自分たちのお気に入りの連中よりも圧倒的に強くなってるのに加えて敵側としてやってくるんだから最高のざまぁ!になると思うんだ。」
「やられっぱなしは性に合わないし、それアリだな。」
「でしょ!?」
「じゃあ、そのシナリオを考えないとな。」
「だね!」
なんか予想しない方向に盛り上がってますけど、確かに一理ありますね。
私の功績は別としてリムさんの功績として今回の国潰しはいいプラスになるはずですし、それが異世界チーム含む私たちのモチベーションアップにもつながるのならば一石二鳥ですしね。
さてさて。
どんな物語になるのやら。
ちょっと楽しみですね。
「それで話がそれますけど、魔王って実のところこの世界にいるんですか?」
{存在はしますよ。ただ、いくつか種類がありますが}
「種類?」
(コクリ)
すごく簡潔に言っちゃうと、魔物が進化して、行きついた最高点の一つが魔王です。
魔物の場合は、善か悪か、獣姿か、人の姿かによって、妖精か精霊か、幻獣か、何になるかは変わってくるので、魔王の場合は人の姿に最も近くなった存在です。
そして、人が悪に染まり進化すると魔族になるわけですが、そこからさらに進化すると魔王になります。
まぁ、魔族の後で、魔王ではなく悪魔になるケースもありますが、それは例外です。
私が天使に進化したように何かしらの条件があるようです。
「じゃあ、単純に魔王=悪とは言えないってことですか?」
{魔族から進化した場合は悪の化身ですが、魔物から進化した場合は人の姿になりたいという願いからなので、その魔物次第では悪ではないですね。}
人と仲良くなりたいという願いから人の姿になるために魔王になる魔物も実際いますからね。
「なるほど。そうなると、物語的な言い方で世界の敵と言えるとすれば、魔族と悪魔ですか?」
{魔族の場合は、魔族から生まれた子供が100%悪かと言われると微妙なところがありますがね。}
「あぁ・・親が悪でも子が悪とは限らないわけですか。」
(コクリ)
「魔王と一言言っても結構ややこしいですね。」
{魔物や人にも善悪があるように魔王にも色々あるので、個性と言ってしまえば単純ですよ。}
「なるほど。じゃあ、悪魔っていない方が良いのでは?」
{基本的に、地獄に連行される愚か者たちを管理しているのが悪魔です。なので、いないとお仕置きする者たちがいません。なのでいないと困りますが、たまに私たちが今いるこっちの世界にやって来て好き勝手して来るようなのがいるわけですが、それは、殲滅すべき対象です。}
「つまりは、地獄にいる限りは必要な存在でも、こっちの世界にやってきたらただの害悪だと。」
(コクリ)
色々とあるんですよ・・色々と。
みてみんの方へ、陰の支配者2の主人公の画像を投稿しました。
ネタバレ?になると思いますので、気になる方は見に行って下さい。
こちら側へ、投稿するのは陰の支配者2がスタートしたときです。
いつになるか言ってしまうとネタバレのようなことになるのでそこはお楽しみに。