異世界電話の試運転と異世界メンバーの久しぶり
--タクミ--
お師匠様を中心に鍛えてもらいつつ、充実した日を送っていたある日、ついに俺たちの故郷である日本にいる俺たちの親と連絡することが可能な魔道具がついに完成した。
横で聞いてたし、知ってる範囲教えたけど、ものすごく精密なイメージと魔力制御・・しかも、複数人が連携して1つでも欠ければうまくいかない超難易度の高いものだった。
けれど、完成した。
これから、試運転するんだけど、すっごいドキドキする。
異世界電話
30cm×15cm×4cmサイズの漆黒の二つ折りの異世界規模で連絡を取ることが可能な魔道具
周囲には、ありとあらゆる衝撃やダメージから保護するための魔方陣が刻まれ、その周りにはその魔方陣を保護するために透明で頑丈な金属に覆われている。
内部を開くと、下側には付与した魔法を保護し、作用を安定させるための魔方陣が刻まれている。
上側には、付与した魔法の座標先の映像を映し、音声を発することが可能。
更に内部に付与した座標に関しては、二度と変更ができない代わりに、その座標であればこの魔道具を発動させる相手の故郷だった場合は、100%作動する代わりにそれ以外が使うことはできない。
尚、目視出来る場所とできない場所には、想像を絶するほど希少なモノを使用しているため、値段をつけようモノなら大国であろうとあっという間に借金まみれになること間違いなし。
※座標 = この魔道具本体:異世界:日本(シュバルツメンバー保護者)
使われている材料も俺たちが想像を絶するほどの希少なモノが使われてるのに加えて、込められた魔法もたぶん賢者であるお師匠様がいなければ絶対に再現できない文字通りオリジナル魔法だった。
俺たちはホントに恵まれていると思うから、心から感謝した。
「見た目は、小型のノートパソコンだよね?」
「だね。外側の周りにありったけ刻まれてるこれは、魔方陣らしいけどここまでの規模になると芸術作品だよね。」
魔方陣自体は、丸だけではなくて四角とか三角とか色々と形があるらしい。
なんか、形によって効果の強弱が違ったりするらしい。
でも、今目の前にあるやつに刻まれてるのはどれがどれ?と言いたくなるくらい、隙間なくいろんなのが描かれているから、解読するだけでも大変だと思う(どれがどれかさっぱりわからないけど)
で、ここまでの規模だとそんじょそこらの人たちには到底無理な技術レベルを求められるらしいからホントに俺たちは運が良いと思う。
中を開くと、ホントノートPCっぽかった。
下側はキーボードじゃない代わりに同じように隙間なく刻まれた魔方陣だらけだったけど、上側の方は、つやつやとした画面が1つあるだけ。
ぱっと見では、音声が流れるスピーカーっぽいのが見つからないけど、映像と同じようにどこかしらか発する魔法が刻まれてるんだろうとファンタジーだし何でもありだよねーと思いつつ深く考えない。
だって、どういう魔法を込めたとか、どんな感じの仕様になってるとかざっくり教えてもらったけど、ざっくりでも魔法素人な俺たちですらレベルがむずすぎてカオスだって思うほどだったから、ホントに技術者としてもこの国でトップレベルなんだなぁって改めて俺たちを保護してくれた人たちの規格外に驚きつつも運命に感謝した。
だってさ、シリルさんたちが偶然にしろお師匠様と出会ってなければ決して今みたいな光景は目にできなかったんだし、お師匠様以外が今目の前にある代物を作り出せるかって思ったけど速攻で無理だって是認で断言した。
なにせ、世界最強の魔法使い”賢者”が他に優秀な人たちと協力して、1つ1つの魔法をひらめきによってうまくかみ合わなければ絶対に完成しなかったんだから。
今目の前にある代物はまさしく、俺たちを保護してくれた人たち以外には絶対に作り出せないまさしく世界に一つだけの魔道具だ。
で、使うときは魔力を込め続ける必要があるらしいから大変だけど、それでも連絡できないよりはずっとマシだし、連絡できないのが普通なんだから贅沢は言えないし、言わせない。
今回は、初回起動だからということでお師匠様が代わりに魔力を込めてくれるらしい。
一応どのくらいの消費で済むかとかの確認もあるらしいから気にしなくて良いらしいけど、あまり無茶はさせたくないから手早く済ませよう。
一度だけじゃなくて何度だって起動させれば話はできるんだから。
{とりあえず、開発時に魔力はすでに込めているので、とろ火加減で込めるので後は適当にお願いします。今後は、皆さんが扱うのですからね?使い方は簡単。とろ火加減で魔力をただひたすら込めながらなんか適当につながるように中二病っぽい感じで言えばなんか出るので。}
クラス全員「すごい適当!?」
{起動キーを、付けはしましたがそれっぽいせりふとしか決めてないので具体的には決まってないんですよねー。}
「だと、俺ら以外のやつが悪用する可能性があるのでは?」
{異世界の方の特有の魔力・・今回の場合は、皆さんが思いを込めてくださったときに同時に全員の魔力を登録しているので登録しているこの場にいるあなた方以外が何をしても一切起動しません。むしろ、他の人が魔力を込めるか触れた瞬間にその人の装備品が全部粉々になって、毛という毛すべてが未来永劫失われる呪いをかけておきました。題して、これさえあればつるっつる。}
クラス全員「うわぁ・・・取り扱い要注意だ・・これ。」
一応、盗まれないようにしてくれたり、込める魔力は使う時間だけ長く込める必要はあるっぽいけど、込めるときはかなり少なくまさしくとろ火加減でゆっくりと込めればいいみたいだから、俺らが交代で込めれば何とかなると思う。
それにしても、説明がわかりやすいけどすっごい適当なのがちょっと気になる。
ま、まぁ・・お師匠様はそんな人だし・・。
けど、この間は驚いたなぁ・・・・。
ふと気づくと、俺の膝を枕にして普通にお昼寝してたし。
これに関しては、結構な人が同じような目にあってるらしいけど。
後口にはしないけど、毎朝やってるあの謎の踊りは何なんだろうか。
なんかのゲームの敵キャラが使ってる不思議な踊りにしか見えない謎の踊り。
しかも、それをしてるのがお師匠様ただ一人で、他の人は誰もしてないという更に謎を産む謎の踊り。
あぁ、とりあえずお師匠様が魔力を込めだした。
「で、なんて言おう?」
「とりあえず、中二病っぽいせりふだよね?」
「んー、よし。じゃあ、ニシキよろしく」
「俺っすか!?え、えぇっと・・・我らを導け!古の扉!」
クラス全員「おぉ、かっけぇ。」
ニシキが言うとさらにかっこよさがアップする。
で、言った本人は頭を抱えて恥ずかしがってる。
それを、リーベさんが微笑ましそうに撫でてなだめてる。
さてと・・おぉ、なんかうっすらと映り始めた。
「見えてきたね。」
「だんだんはっきり映ってきたね。」
「けど、どこだろここ?」
「んーなんかすっごい記憶がある。」
「俺も。」
「兄貴と姉御が記憶があるってことは、どっちかの家とか?」
「だと思うが・・・・あ、セリカ。ここってあそこじゃないか?」
「え?どこだっけ?思い出せない。」
「義父さんの個人的に使う会議室。」
「あぁ!そうだそこだ!父様が必要な時しか使わないし、仕事では絶対に使わないから忘れてた。」
なんか、特別な部屋があるらしくそこらしい。
「って、誰かいるぞ。」
「って、あの人は・・セリカ」
「うん、父様だ。けど、父様以外誰もいないっぽい。」
「っていうか、映ってるけど、こっちの声って聞こえるのかな?」
「あ、なんか言ってる。静かにしようよ」
で、耳を澄ますと聞こえるセリフがこれだった。
「はぁ・・・俺は、どこで教育を間違ったのだろうか・・」
クラス全員「・・?」
教育?
何の話をしてるんだ?
っていうか、セリカさんのお父さんって、すっごい堅実な感じでかっこよかったはずなのにすっごい意気消沈してる。
それと、テーブルにあるのは・・アルバム?
あ、セリカさんとシリルさんの写真が大量にある。
それと、何か飲んでる・・あ、お酒だ。
「あの子の性格は、いったい誰に似たんだろうか・・・やはり、俺たちの子がシリル君で、セリカは國崎夫妻の子だったのだろうか・・自分でも、すごくしっくりくるんだよなぁ・・産んだ病院は同じだったかな・・」
なんか、すっごい真剣に落ち込んでるんだけど・・何があったのさ・・
「それよりも、シリル君にどう言ったらいいのだろうか・・うちの子のせいであの子は人生を振り回される羽目になってしまったんだ・・。」
なんか、セリカさんがシリルさんの疫病神扱いされてるんだけど・・。
「俺の仕事の影響でアニメオタクになるのは良かったが、まさか現実の人間全員にひとかけらも興味がなかったのは予想外だった・・あそこまでハマるとは思わなかった・・やはり、私が原因なのだろうか。」
あ、セリカさんがアニオタになったのはやっぱりそこが最初だったんだ。
けど、リアルに興味ゼロって・・子供なんだし、徐々に友達が増えたんだから大丈夫だと思うけど。
「で、初めて現実の人間に興味を持ったと思ったら、まさかの一目惚れで自分の婿にすると決定事項だもんなぁ・・・。」
それ、セリカさんが言ってたやつだ。
やっぱり、言われた側も驚いてたんだ。
「しかも、その後は周囲の同級生も先生も全員ガン無視してシリル君にただひたすら大好きアピールをするほど熱中するなんて、幼稚園生がそこまで熱中するなんて思わないから、大人になっても気持ちが同じだったら考えるねって先延ばししたのに、気持ちがさらにブーストするなんてわかるはずないだろう・・。」
あぁ・・・今のセリカさんもシリルさん大好きアピールはすごかったし、高校生活時もすごかったけど幼稚園の頃からだったんだ・・。
「しかも、シリル君はそんなセリカを見て、放っておいたら危険な目に合うかもしれないって責任を持ってしまったせいで、SSみたいなことに変貌したし」
シリルさんが鍛えるようになった理由って、セリカさんのためって聞いてたけど、最初は一目惚れじゃなくて人助けの延長戦だったんだ。
「しかも、ことあるごとにセリカはシリル君に無茶ぶりをかますし・・・普通、ロミオとジュリエットのジュリエットをやってくれって男の子に言わないだろう!しかも、その特技がどれだけレアなのかセリカはよくわかってないし!」
うわぁ・・って、そのころからシリルさんの特技って使えたんだ。
で、セリカさんは視線を外に向けてる。
「で気づいたら、セリカはオタクだと隠してもいないのに清楚なお嬢様って扱いで通ってるし、シリル君は完璧な護衛としてそのまま強化されて育つし」
それで、今の2人になったんだ?
そういえば、シリルさんに申し訳ない的なこと言ってたけど何のことだろう?
「で、それだけならよかったのに、セリカは、シリル君の貞操をすでに奪ってたし・・」
クラス全員「・・・・え」
え?
セリカさんすでに、シリルさんの童貞奪ってたの?
「巧みな技でシリル君を眠らせて、そのまま手と口で小学生後半からずっと弄って、精通もセリカがさせてたなんて・・・そんな事実をセリカたちが行方不明になってから知りたくなかった・・まぁ、セリカたちがいたころだとしても気づきたくなかったが。・・・しかも、自分磨きをするようになってうれしかったのにまさかシリル君へのプレイを充実させるためだけにしていたなんて考えられないだろう!・・一応処女は守っていたから一応線引きはしていたのだろうが・・。」
クラス全員「うわぁ・・」
「セリカ、どういうことだ。」
「えっと、小学校のころにシリルのを手で楽しんで、中学校の頃に口でもするようになって、途中で精通を奪っちゃって、そこから頑張って育てた胸も使ってシリルのを寝てる間にいっぱい気持ちよくさせてました。一応、童貞はこっちに来た時に奪ったから大丈夫だよ?」
「はぁ・・・・道理で、結構な頻度で寝たはずなのにすっきりしたというか疲れたと感じるわけだ・・」
シリルさん、知らないうちにセリカさんに食われてました。
あ、またセリカさんのお父さんが話し出した。
「おまけに、シリル君と既成事実を作りたいっていうから、冗談半分で上の下着を故意に忘れろと言ったが、まさかそれをホントに実行するなんて思わなかった・・本当は、そう言えば、少しは自重するだろうと思っていったのに・・・。」
クラス全員「え・・・セリカさん、それいつのこと?」
なんか、とんでもないことが聞こえたんだけど
「え?こっちに飛ばされた日だよ?ホントは、学校帰りにシリルの家に寄って、ノーブラだってわからせたところでそのまま童貞を奪うつもりだったんだー♪」
クラス全員「おぉう。」
「まぁ、数日のずれはあったけど、しっかり奪ったけどね♪」
やはり、セリカさんにしっかりと食われたらしい。
あぁ、セリカさんのお父さんがすっごい頭抱えてる。
「はぁ・・・俺がもっとしっかり育てていれば、セリカはあんなことを実行するような見た目詐欺な子にはならず、シリル君だってもっと普通の護衛ではなく、子供として育っていたはずなのに・・。セリカの面倒を無自覚に見ていたせいで、小学生のくせに自分の両親の弁当を作るなんてことをしでかすんだ!」
え・・シリルさんそんなことしてたの?
「シリルさん・・それマジ?」
「あぁ。二人とも働いてて忙しそうだったし、料理は出来るようになりたかったからな。」
「シリル君がそんなだから、親と子の中身が逆だと言われるんだ。」
やっぱり、言われてたんだ?
「そんなに、シリル君には迷惑をかけているというのに私の後を継いでくれると言ってくれる・・そんなにお世話になってもいいのだろうか・・本来なら彼は、アイドルだろうが声優だろうが、警視庁だろうが簡単に努めることが出来るというのに全て、私の後を継ぐからと言って断るんだ・・。ものによっては、世界でも有名な大企業や部署だってあったのに・・。絶対そっちの方が儲けたし、シリル君の趣味から言ったら絶対に楽しかったはずなのに。・・それに、町の中のほぼ全ての子供たちの面倒を休みの日は欠かさずやってたのも絶対にセリカを育てていた弊害だ!」
あ、もう育てたって断言しちゃうんだ?
「シリル君がそんなんだから、國崎夫妻から幼稚園の頃に強くなりたいから何か学びたいと頼んだ以来。一切わがままを言わないから、酒でも盛れば素直になってくれるかとか、セリカに性的に襲わせて理性を壊せばもっとわがままになってくれないかとか言ってくるんだ・・・。すでにセリカはやりたい放題しているのにそんなのを容認すれば確実にセリカはシリル君を食っていた!それは、さすがに高校卒業するか、3年生になるまでは待つべきだろう!?親が、子の貞操を軽く扱ったら親失格だろう!?・・・・すでに、俺よりもずっと年下のシリル君にほぼセリカは育ててもらったような状況で言える立場ではないが。」
なんか・・・・すっごい、セリカさんのお父さん、自分を責めてるんだけど。
「セリカ・・お前どれだけ、義父さんを困らせてるんだよ」
「うぐ・・私が思った以上に、迷惑かけてた・・。」
「ホントに義父さんを困らせるなよ・・あの人、すごい忙しいのにセリカのためだけに開いてる時間を無理やり作ってるんだぞ?」
「う、うん・・。」
すごい子供想いな人なんだな。
「って・・どうしよう。すっごい考えこんでるっていうか、1人愚痴大会してるところで声かけるのってあまりよくないよね?」
「そこなんだよなぁ・・けど、あまり長引かせて師匠に負担をかけるのもあれだし。」
どうしようかと思って悩んでたら、まさかのお師匠様乱入。
{まどろっこしいですね。}
クラス全員「え?」
俺らが、乱入してきたお師匠様に混乱してたら、突如としてお師匠様がセリカさんのお父さんに声をかけた。
{剛さん、お久しぶりです。}
お師匠様の声は、頭の中に直接響く感じだから、普通に声をかけるよりもすごくはっきりと聞こえるんだよね。
「っ!?前に聞いた、白髪幼女の声がする!どこだ!もう飲みすぎたか!?俺、酒にこんなに弱かった!?」
なんか、すごいパニックになってるんだけど。
{こっちです。酔ってるかどうかは知りませんよ。}
「こっちか!・・・・・・・・あ」
あ、目があった。
「っ!フリージアちゃん!無事だったんだね!?あの場所からちゃんと保護者の元に帰れたんだね!?」
(コクリ)
あの場所?
あぁ・・魂が慰安旅行中とか鑑定で書いてあったとこか。
「確か、あの時つながったのは偶然だと聞いていたけど・・・まさか!」
{はい。私の部下と協力して、とりあえず完成しましたよ。後ろに映っているのが、シルちゃんの自称兄妹メンバーです。}
「あ、あぁ・・わかる。わかるよ。まず、セリカ、しばらく見ない間にずいぶんと奇麗になったね。」
「父様、久しぶり。色々あったけど、元気でやってるよ。あ!そうだ!見てみて!」
「左手薬指に指輪?・・・まさか!」
「うん!シリルとしっかり既成事実作って、毎日襲った結果、結婚したよ!」
「そうか、おめでとう。今は言葉しか言えないが、まずはそう言っておこう。」
「ありがとう!父様のアドバイスのおかげだよ!」
満面の笑みでセリカさんがそういうと膝から崩れ落ちた。
「あ、あぁ・・・し、シリル君はいるかい?」
「えぇ、いますよ。お久しぶりです義父さん。」
「あぁ、久しぶり。君も随分とカッコよくなった。それに前以上に頼もしくなったみたいでうれしいよ。」
「義父さんもお元気そうでよかったです。」
「だが、まずお礼よりもこっちを言いたい・・・うちの娘がホントに申し訳なかった!」
「あ、謝らないでください。・・なんだかんだで、セリカのことは愛してますし、楽しい日々でしたから。セリカが俺が知らないうちに貞操を奪っていたことも、今さらだと思っていますし、それをしてないセリカは、それこそセリカじゃないですよ。」
「理解してもらえていることがホントに申し訳ない。」
「あ、あはは・・あまり思いつめないでください。とりあえず、あまり時間がないのでこっちの状況を改めて伝えますね。ある程度は師匠から聞いてるとは思いますが。」
「あぁ、頼むよ・・・時間がないってどういうことだい?こっちと連絡が取れるようにする道具をフリージアちゃんが作ったんだろう?」
「えぇ、そうなのですが、こうして動かすためには魔力・・えぇっと、エネルギーが必要なんです。それを今、師匠が替わりにしてくれているんですよ。」
「っ!?また、君らはフリージアちゃんの負担になっているのか!?じゃあ、早く言いなさい!これ以上その子の迷惑になるなんてホントに申し訳ないじゃないか!フリージアちゃんホントに申し訳ない!」
{今回は、この道具の試運転で確認するためでもありますし、私は力を持て余しているので大丈夫ですよ。だから、シルちゃん、さっさと要件を済ませなさい。}
「はい」
「君の様なしっかりした子がいれば、こちらも安心だ。」
そして、こっちの状況をしっかりとシリルさんが伝えた。
「って感じで、今は現況の国をこちらの世界的にも問題だったようなので対処する準備中です。」
「なるほどね。危険な目にはあまりあってほしくないが、状況が状況なら仕方がないね。とりあえず、俺がこちらの保護者メンバーに無事だということを伝えておくよ。今の状況も録画しているから。」
「助かります。」
って、録画してたんだ・・。
さすが。
って、もしかしてお師匠様と初めて会った時もそうやって録画したから、あっさりと俺らの親メンバーもすんなりと頷いたんだろうなぁ。
「で、ちょっと割り込んで申し訳ないね。」
イリスさんが入り込んできた。
肩にはカルナさんがいる。
あぁ、異世界だってわかるようにしてるのか。
ちなみに今は、外にいるから後ろでは黄昏さんが通っていたり、巨大な羊が歩いてたりするけど。
「初めまして、セリカの父君ですね。」
「え、えぇ、天草剛と申します・・・もしや、フリージアちゃんの?」
「えぇ、イリス・クラリティ・エトワールだよ。今、彼らを保護している国の元第一王子で、今は公爵家当主をしてるんだ。リアちゃんがメインで彼らを保護してるけど、リアちゃんの保護者としても、僕も責任をもって彼らの安全を保障するから安心してほしい。」
「あなたのような、立派な方がいてくださるだけでもとても安心です。それと、フリージアちゃんから軽く聞いてますが、その国はちょっとした悪人すらも国民たちが率先して対処しているから安全な国なのでしょう?」
「そうですよ。正義に染まる国と言われてるだけありますし、敵認定されたら人生終了とも言われてますから。」
「集まるではなく染まると言っているだけで十分理解しました。よろしくお願いします。万が一、こちらに帰れなかったとしても、こうして話が出来るだけでも十分だ・・ホントにありがとう。」
「こちらもできる限りそちらに帰れるように努力するから。」
「言葉でしか尽くすことが出来ないこの気持ちがもどかしいですが、よろしくお願いします。」
「うん、その表情だけで十分伝わるよ。親を思うこの気持ちほど尊いものはないから。」
「えぇ、あ!あまり長々と話してはフリージアちゃんの負担になるのでしたね!」
「ある程度は大丈夫だけど確かにそうだね。」
「では、ある程度の事情も聴きましたし、そちらにいるメンバーからの伝言も全て記録しているから、こちらのことは心配しないでくれ。」
「そうだ、父様。テレビ局とかあほな取材とかで面倒なことは起きてない?大丈夫?」
「あぁ、それに関しては心配しなくていい。”シスターズ”が率先して潰してるから。」
「そっか。なら大丈夫だね。とりあえず、こっちからしか連絡できないっぽいけど、また、連絡するね。」
「あぁ、元気で何よりだが、あまり迷惑をかけるんじゃないぞ。」
「は~い。」
「はぁ・・すみません。よろしくお願いします。」
そう言って、ぷつんと画面は真っ暗になって消えた。
で、思ったことは、セリカさんのお父さんは思った以上に苦労をため込むタイプだったってことかな・・。
ちなみに、そんな苦労を背負いまくってる実の父親をみたセリカさんはというと
「父様・・・私の前だと穏やかにほほ笑んでたのに、実はあんなにため込んでたんだ・・。」
「義父さん・・俺の前でも穏やかだったけど・・あそこまで俺に申し訳なく思わなくてもよかったのになぁ。なんだかんだ言ってもセリカとともに人生を歩むと決めたのは俺なんだからさ。・・だからセリカ、少しは自重しろ。特に義父さんを困らせるような行為はほどほどにしとけ。」
「はぁ~い・・あそこまで父様が追い込まれてたなんて思わなかったから、気を付ける。」
うん・・・俺たちも予想外だった。
けど、俺たちのことの状況を伝えられたのはすごくありがたいと思うし、もし帰れなかったとしてもこうして連絡がとれるってすごくいいことだしね。
言い方を変えれば、外国に住んでて、連絡だけ取るような感覚なわけだし。
にしても・・
「お師匠様のことすっごい心配してたね・・。」
{私が、進化中で休んでいたところにいたころに、偶然お話ししましたが、剛さんは、あそこで私が迷子になってると思ってたようです。}
「あぁ・・言ってしまえば、ご令嬢が1人で迷子になってるって認識されちゃったんだ。」
言われてみれば、そう聞くとすごく心配するよね。
特に護衛とかそういう人たちが大騒ぎになってるんじゃないの!?って。
「それと、セリカさんのお父さんとお師匠様の態度がさ・・社長令嬢相手にかしこまってる平社員って感じだったね。」
「あぁ・・俺らのことを保護して、面倒見てるし、実際俺らの命の恩人でもあるから、すごく申し訳ないって気持ちが大きかったんだと思う。」
あぁ・・確かに。
俺も同じ立場だったら、同じ感じになると思うし。
「・・・って、”シスターズ”ってなんだ?」
「え?シリル知らないの?シリルのファンクラブだよ?」
「・・・」
「私が聞いた限りだと4桁超えたとかなんとか。中にいるメンバー1人1人が身分とかも結構バリエーション豊富だからありとあらゆる情報網を使ってるらしくて、情報収集に関してはそこらの情報屋よりも優秀だとか」
「はぁ・・・深くは考えまい」