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再会・・と言うより合流 ※挿絵有

145部:閑話-一方異世界では- ※挿絵有

話中の挿絵を更新しました。

--タクミ--

春の大陸に到着しました。

そして、カナミと付き合うことになり、周囲からの後押し?と言うか追い打ち?によって、童貞も卒業しました。



で、思ったのは・・

「ねぇ、タクミ・・」

「ん?」

カナミが遠い目をしながら俺に尋ねてくる。

「うちのクラスってさ・・こんな変態の集まりだったっけ・・・」

「あ、あぁ・・・」

プレイ内容とか、回数とか男女混ざっての猥談が普通に世間話のようにしている有様だしなぁ・・気持ちはわかる。

「シリルさんと合流する前に、元に戻しておきたいけど・・・たぶん、どんな内容も隠さなくなっただけなんだと思うなぁ・・。」

と言うより、そう思いたい。

けっして、変態の集いじゃないと願う!

「そうよねぇ・・。いざというときは、私たちのお兄ちゃんに任せましょう。」

「だね。」

通称みんなのお兄ちゃんこと、シリルさんに期待。

俺たちだけじゃどうしようもないんだ。


たぶん、命のやりとりでいろんな意味で吹っ切れたのと、戦場で背中を預けられる仲的な絆が俺たちに出来たから吹っ切れたらだめなところも吹っ切れた結果が今の男女混ざっての猥談なんだと思う。


ちなみにカナミは、戦闘チームで炎属性で、武器が薙刀。

身長は、女性からすると少々高めの170で、俺は170ぎりぎり届かないくらいだ。

カナミ本人は、身長が高いのを少々気にしてたみたいだけど、俺とほぼほぼ同じくらいだし、俺がモデルみたいで美人だしかっこいいと素直に褒めたところ気にしなくなっていた。


「でも、ちょっとタクミには嫉妬するなぁ。」

付き合うことになってからと言うもの、周囲の警戒はしているとは言え、俺の腕に抱きついた状態でカナミがそう言う。

「何が?」

嫉妬って俺、何かした?

いや、ナニはしたけどとか心の中でアホなことを考えているとおなかをつつかれた。


あの・・くすぐったいんだけど。

「だって、身長は同じくらいなのにタクミってスタイル良いんだもん。」

腹筋は割れてないけど、腕とか足とか含めて全体的に締まってはいる。

細マッチョとは言わないけど、それのなり損ない程度には鍛えられたからね。


基礎の部分はシリルさんに習ってたから贅肉とかの余分なのはなかったけどとことん俺、細かったしなぁ。

なんか、折れそうとか言われてたし。


けど、こっちに来てからは体を鍛えることが増えたし、移動とかも野営とか家事とか戦闘以外でも意外と肉体労働が多いから自然と鍛えられた。

結果として、微妙にあった筋肉がそれなりについたんだ。

錦さんとかすごいぜ?

腹筋割れてたし、腕とかそれなりにかちんこちんだったから。


シリルさんに一番鍛えられてたからなぁ。

何せ、シリルさんの一番弟子だし。


「けど、カナミもスタイル良いじゃん。昨晩しっかり確認したし。」

「馬鹿//そうだけど、腰とか細いし、すっごい身軽だし。なのにあっちはたくましいしおっきいなんて。」

なぁんか、下の話になってるけどまぁ、男女混ざって猥談してる時点で今更か。

で、照れ顔ごちそうさまです。


俺の戦闘パターン的に俊敏と器用さをメインにあげてたし、そう言う技術も身につけるために体全体を鍛えるようにしたし、三半規管も鍛えた。

それと、動きに支障が出るから体が重くなりすぎないように筋肉もつけすぎないように、そして柔軟に長けた感じにしてたし。


だから、俺は結構な頻度で木登りとかしてる。

高いところの方が見渡しやすいし、狙い撃ちしやすいんだよ。


後は、目も鍛えてるよ。

見えないと始まらないからね。


一方カナミは、技術面と攻撃を鍛えているから相手に特攻して戦うタイプではなく、待ちの構えで襲ってくる相手を撃退する戦闘パターンなんだ。

だから、俺がそのフォローという形で狙撃するから相性は抜群。

ちなみに、体の相性も抜群でした。


いやぁ、もう最高でした。

まぁ、他を知らないし知るつもりもないから比べられないけど。

カナミも同じく。


「カナミだって、くびれきれいだし、おしりも締まってたし、胸だって結構あるじゃん。」

手からこぼれるかこぼれないかの絶妙なサイズでした。

「うぅ//けど、美羽なんてすっごいじゃん。」

あぁ・・聞かないけど、服の上からもドン!ってしっかりでかい!ってわかるくらいだしなぁ。

「あ、あぁ・・。俺としてはカナミくらいのサイズで十分大好きです。」

「ありがと//」


で、そんな付き合いたてでなぜか下ネタで、盛り上がってる謎カップル(俺の自称)を見たクラスメイトはと言うと

「うわぁ・・カナミがでろっでろに甘えてる姿、久しぶりに見た。」

「キリッとした美人さんと思ってたけど、かわいいところもあるんだね。カナミさんって」

「あぁ、ラクは知らないんだっけ?カナミって結構乙女だよ?本人はギャル風の明るい系の猫を3匹くらいかぶってるけど。」

「猫・・」

「けど、ヨシミは何でそんなことまで知ってるの?カナミって、相当仲の良い相手じゃないとちょっとやそっとの友人にすらそんな姿見せないんだけど。・・私だって、知ったのはこっちにとばされる数日前なんだけど。」

「あぁ・・実は、一服盛ったときに。」

「ちょっ!?何やってんの!?」

「大丈夫だって。エールってどんな味なのか気になってお持ち帰り用で数杯もらって、宿の部屋でカナミと飲んでみたらカナミ・・一杯をついぐいっと一気飲みしちゃったんだよねぇ。」

「なんで、いきなり一気?」

「お風呂上がりでのど渇いてるって言うから何も言わずに渡しちゃった♪お酒だって説明しそびれちった!てへ。」

「てへじゃないよ!?それ、ヨシミのせいじゃん!」

「えっへへぇ。本人は覚えてないから大丈夫!」

「それ・・計画的犯行っていわない?」

「もーまんたい!」

あなたにとってもーまんたいでも、そのやらかされた当の本人はここで頭抱えてますよー。

「はぁ・・で?その後は?」

「うん。あっという間に顔が赤くなってでろんでろんに酔っ払っちゃってね。またたび浴びたにゃんこみたいになって私に抱きついたりほっぺすりすりしてたりしてたよ?最終的には私を、抱き枕状態にしてそのまま寝ちゃったけど。そのときの表情が幼い女の子状態だった。・・すっごいかわいかった。」

「あぁ・・カナミって、ぬいぐるみとか実は集めてたりするし、修学旅行とかの写真でタクミの映った写真も注文して部屋に飾ってたしなぁ。」


後ろから色々聞こえる。

で、なんかすっごい気になる情報が聞こえた。

あ、カナミが身悶えてる。


「それマジ!?カナミさんもしてたの?」

「ラク、それどういうこと?」

「え?タクミも同じことしてたから。まぁ、部屋に飾ることはさすがにしてないけど、アルバムに大事にしまってあるよ?」

「マジかぁ。2人ともほぼ一目惚れ状態だったらしいしなぁ。似たもの同士かぁ。」

「俺たちだって似たようなものじゃん。」

「まぁねぇ。けど、カナミみたいに逆プロポーズじゃなかったし。」

「アレは、プロポーズと言うよりほぼ既成事実じゃない?」


「何それ気になる。」

「うぉっ!?タクミいつから聞いてたんだ!?」


すっごい気になってつい首を突っ込む。

「だって、俺、偵察とかよくしてるから聞こえるんだよ。あのくらい余裕。」

「あぁ・・職業柄かぁ・・しくったな。」

「で?俺たちのことさんざんばらしてたんだから吐け。」

「そうそう。私たちの昨晩のアレこれ・・聞き耳立ててたの知ってるんだからね?吐きなさい。」

「げっ。カナミさんにもばれてた。」

「あぁ・・カナミに夢中でスルーしてたけどやっぱり気付いてたんだ?・・聞き耳立てられるのは、どのみち聞こえるからあきらめてたけど。」

「けど、かなり近くまで近づいた状態で気配を潜めた状態だったから絶対にわざとなのは確かだったし。」

「確かにそんな感じだったよね。」

「うわぁ・・俺、バレバレじゃん。」

「で?」

「げ、忘れてなかった。・・はぁ、話すよ。前に露天のおじさんと話してたときにプロポーズしたいけどなにかプレゼントするのにおすすめとかないか聞いたんだ。地元の人だと何かあるかなってさ。」

「あのとき話が盛り上がってたのそれだったんだ?」

「まぁな。で、所謂酒入りチョコレートみたいなものをおすすめされたんだ。」

「みたいなものなの?」

「まぁ、話を聞いてくれ。で、値段はちょっと高いけど、見た目は宝石みたいできれいだし、味も値段を裏切らないって話だったからさ。」

「で、珍しいのを見つけたから一緒に食べよう的な感じでそれを私もらったんだよ。確かに見た目は宝石みたいできれいだったし、味もすごくおいしかったよ。けどさ、それ、入ってたのはお酒じゃなかったんだよ。」

「え?ナッツとかハズレ入りとかのタイプ?」

「だったらよかったんだけど・・それ、媚薬入りだったんだよ。」

全員「え・・」

「そのお店大丈夫なの?」

「あぁ、それに関しては大丈夫。媚薬入りで有名だったらしいし、所謂酔っ払う程度しか効かないそんなに強い奴じゃないらしいから。で、そのお店で媚薬抜きで頼むことも出来たらしいんだ。」

「けど俺さ・・それに気付いてなかったんだよ。その露天のおじさんも、つまりはお酒入った状態なら少しは話しやすいだろうって感じで言ってたらしくて・・」

「あぁ・・微妙に食い違ってたと。」

「そういうこと。」

「で?」

「おいしいねーとか言いながら、他愛ないことを話しながら食べてたんだけど、ふと気付くと8割くらいはヨシミがもっくもくと食べて、完食したところで、事件は起きた。」

なんだその事件ドラマみたいな言い方。

「チョコ自体は十数粒程度だったんだけど、その媚薬って、体質によって効きやすかったりするらしくてさ。」

「薬の効きに差がある感じ?所謂魔法耐性とかとは別枠で。」

「そうそう。」

「私自身もチョコおいしいなぁくらいの感じで食べてただけで途中から記憶がないんだ。」

「で、俺は微妙に耐性があったから俺がここで暴露するけど。ふと気付くとチョコが全部なくなっててさ。ヨシミがおいしかったって笑顔で言うから喜んでくれてよかったなぁ程度で、そろそろ部屋に戻って寝るからーって言って、部屋から離れようとしたんだけど・・」


けど?


「ヨシミに声かけられて振り返ったところでレスラーもびっくりなタックルを食らって押し倒されて、そのまま・・食われました。・・・一晩中ノンストップで。」

全員「・・・」

「で、私はと言うと朝起きたら肌寒いし、全裸だし、隣にラクも全裸で寝てるし。・・寝てると言うより、気絶してるって表現が正しかったけど。」

全員「・・・」

「しかも、私とラクのいろんな液体が全身と部屋のあっちこっちにつきまくってたし、それのにおいで部屋が充満してるしで、言い逃れ不可な状態だったんだよ。」

「ラクの方は?どこまで覚えてんの?」

「あぁ・・押し倒されて、動けないように拘束された状態で絞られ続けたたよ、ノンストップでずーっと・・・。途中何度か気絶して目が覚めたら再度気絶してを繰り返して・・。気付いたら朝で、全身でろっでろな俺とヨシミがいるんだ。」

「私も正直パニックになって、ラクを問い詰めたんだよ。」

「で、俺も軽く暴走してるヨシミにパニックになって、正直に話したんだよ。いきなり押し倒されて襲われたって。」

「けど、当時の私って信じられるか!って思ってて・・ラクが襲ったんでしょ!って思って問い詰めたんだけどさ・・。」

「なんか決定的な証拠でもあったの?」

「うん・・ラクは、手足をベッドに大の字で縛り付けられた状態のまんまだったし、私はラクを抱き枕にしてグースカ寝てる状態だったんだよねぇ。」

全員「・・・」

「で、俺は必死になって言ったんだ。この体勢で襲えるかぁ!!って」

うん、そりゃそう言いたくなるわ。

「そこで、やっと私、落ち着いてさ・・。そこで、責任を取るってわけじゃないけど、ラクが好きなのは事実だったからそのまま付き合うことになったんだ。」

「俺も好きだったからよかったんだけど、前後が逆になって正直複雑な気持ちだったんだよなぁ。ホントはあのチョコを渡して一緒に食べて良い雰囲気のところで告白しようって思ったけど、うれしそうに食べてる姿を見たらさ・・今の関係が崩れるのはいやだなぁって思って告白するのあきらめて、部屋に戻ろうって思ったら襲われたんだよ・・。ヨシミの性欲の強さがすごかった・・。・・何回絞られたんだろう。」

「そういえば、一回、腰ががっくがくになってまともに動けない時があったけどそのとき?」

「そうそう。あのときは、部屋で筋トレしてたらやらかしたってごまかしたけど、真実はヨシミに襲われました。」

「あぁ・・。」


「ヨシミ・・あなた、お酒禁止。」

「何で!?」

「媚薬でそれだもの。お酒なんて飲ませたら今度は、ラク君が腹上死する!」

「・・・」

無言で視線をそらした。

「そこ無言にならないで?少しは否定して?」

ラクは、そういえば精のつく食べ物とか精力剤というか栄養剤みたいなものとか密かに買い集めてたけど、ヨシミさんに襲われる対策をしてたのか。


で、さんざん言われたヨシミさんはというと

「まぁ。さっさと開き直って、初夜の記憶がないのがいやだったからその次の宿に泊まったときにしっかりと襲ったんだけど。」

開き直ったらだめだと思う。

「ラク、尻に敷かれるどころか、猛獣のえさ状態になってない?」

「戦闘では負けないけど、戦闘以外では絶対に勝てる気がしない。・・どんなに気合いを入れていても俺の隙を毎回つくんだ。・・全戦全敗だよ。」

遠い目をしているラクは、そのまま栄養剤を飲む。


最近やけに栄養剤をぱかぱかと飲むようになったなぁと思ったけど、絞られるから死なないようにしてたんだな。


俺も、同じ運命になるのか?

と思い、ちらっと隣にいるカナミさんに視線を向けると。

「だ、大丈夫!そう言うプレイも良いなぁって思ったのはそうだけど、私は・・タクミに襲って欲しいから//痛いのはいやよ?」

くっ!

かわいすぎだろう!

って、しないとは言わないんですね。


で、流れるように栄養剤を飲まされました。

あぁ・・この爛れたクラスメイトたち(自分含む)・・シリルさんにどうにかしてもらおう。

・・さすがにシリルさんでも無理かもしれない。


たぶん・・いや、絶対にセリカさんに襲われてるだろうし。

今のラクと同じ運命をたどってるだろうし。





「っ!!みんな構えて!!なんか来る!!」

全員「っ!」

様々な感知能力を兼ね備えた全体的に小柄なアミさん。

みんなからマスコットキャラ扱いされてる。


危険察知から探索系、そして、敵対察知などホントにいろんな感知能力から察知能力、そして周囲を探索する能力まで何でもござれな彼女にかかれば、大抵のことは察知することが出来る。

そんな彼女がそう叫んだと言うことはかなりやばい何かが迫ってきていると言うこと。


で、俺たちは戦闘チームが非戦闘員を囲うようにして丸になって周囲を警戒する。

俺は、即座に高いところに上り周囲を探索する。


こういうときは、俺は気配を同時に薄くし、みんなも俺には視線を向けず声をかけないようにしている。

これは、相手に悟らせないようにすると言うことと、いざというときに対策しやすいようにする所謂遊撃部隊みたいな扱いだ。


この対策は、そこそこ前からやっている俺たちの生存確率を上げる技。


全員捕まったらそこまでだから。



「アミ、どう?」

「うん、あっちからすっごいたくさんいやな気配がする。」

指さす方向を視力を身体強化して確認すると、うわ。

何だあれ、大量のアリと歩くラフレシア。

それと、なんで、そいつらと一緒に人間が大量にいるんだ?


それを、ハンドシグナルで偶然を装って視線をこっちに向けたメンバーに伝える。

そして、それをみんながそれぞれに伝える。



「ほう?俺たちが見つける前に構えてるとはガキどもしてはそこそこ腕が立つみたいだな。」

「誰だてめぇらは。」

錦さんが威圧を発動しながらそう訪ねる。

こういうときはなめられたらだめらしいから結構錦さんが対応することが多い。


「聞いたことぐらいはあると思うけどな。俺たちはディザスターズだ。」

「へぇ?自称災厄さんがどうしたんだよ。有名人だからすごいでしょって言いたいわけ?残念ながら知らねぇな。今初めて聞いたよ。」

「ちっ。減らず口が。俺たちは最低でもAランクだ。おまけに、こいつのおかげでこんなに素晴らしい力を手に入れたんだ。」

確か、ちらっとギルドで聞いたけど、指名手配されてる集団だったはず。

違法奴隷から、違法薬物の取り扱いに、殺人、強盗、強姦、詐欺ととにかくかなりやらかしてる連中で、そいつらは、自分たちでも言うように冒険者ランクで最低でも上位クラスといえるかなりの実力者だ。

そのせいで、やられた人たちの数が半端じゃないから気をつけろって聞いてたけど、しくったな。

もっと、そいつらの情報を集めてルートを確認しておけばよかった。


それに、なんだあの腕輪。

すっごい魔力を感じるけど、どことなくいやな気配がする。

それと何で、あの魔物の軍勢はそいつの言うことを聞いてるんだ。



まさか。


「まさかとは思うが、そいつのおかげでその魔物どもを言うこと聞かせてるとかじゃねぇだろうな。」

「それもまさかさ。こいつは偶然見つけたものだが、俺は魔物使いだ。魔物を従わせる力を増強させるものなんだが、こいつがあればどんな魔物でも問答無用で俺の配下にすることが出来るし、数の上限も無視できる素晴らしいアイテムさ。」

それなら、腕ごとあの腕輪を外させるか、腕輪を破壊すれば良いのでは?


けど、今はまだ動くべきじゃないな。


「で、俺たちに何のようだよ。」

「言わなくてもわかるだろ?おまえらみたいなのは、良い値段で売れるだ。てめぇら、1人残らず捕まえろ。手足の1本や2本は気にするな。殺さなければな。」

「へっへっへ、なら多少の味見も良いんですかい?」

「1人か2人は残しておけよ。値段が下がる。」

「そう来なくっちゃ。」


「全員防衛陣形!!」

所謂命大事になことだ。


今のように非戦闘員を中央に、その周りに遠距離技が扱えるか、サポートできるメンバーが丸く囲い、その周りに接近戦特価のメンバーが更に丸く囲う形になる陣形のことだ。

これは、周囲を取り囲むようにいる今のようなときに考えた陣形だ。


そして、戦闘は始まった。


「だらぁっ!」

俺たちの特攻隊長枠の錦さんが一番近くにいる奴らを殴り飛ばす。

身体強化と自身の属性で拳を硬くして殴る錦さんの拳は大抵の敵を吹っ飛ばす。

先手を油断していたのか、そいつらも殴り飛ばされ、隙を与えずに錦さんがガンガン突っ込んでいきながら次々に殴り飛ばしていく。

「何油断していやがる!さっさとやれ!」

敵の大将がそう叫ぶと瞬時に俺たちを狙い、襲ってくる。


その辺りの意識の切り替えの早さは強いって聞いてたぶんあるな。

「俺たちも行くぞ!」

全員「おう!」

そして、全員が襲ってくるそいつらと戦う。

その中で、鑑定持ちのリリさんが俺に視線を向けずにハンドシグナルを送ってくれる。


彼女は、アメリカかどこかのハーフで金髪でキリッとしたクールな人。

ちなみに扱う武器は、槍で、日本にいた頃から習っていたらしいのでかなりの熟練者。



で、送ってきた内容は、あの大将の腕輪だけど、魔物使いの魔物を従わせるという力を増加させるもの。

端的に言うと、魔物限定の洗脳魔法が込められたものらしい。


けど、それを腕から外しても次にテイムするときには意味があるけど、すでにテイム済みだったら外しても意味がないようだ。


それと、密かに魔物をつぶしたらどうかと思ってたけど、倒せば【獣魔認識】っていうテイムした獣魔の有無やどこにいるかを認識させる力で気付かれてしまうらしい。


今は、魔物どもが俺たちを囲って、人間どもが俺たちを襲っている状態。


俺は、炎と雷の矢を2本ずつ作り出して、同時に後方支援している奴らの首の頸動脈を狙い撃つ。

そこだと、出血多量でもやれるからかなり重宝している。


しかも、



「がぁぁぁぁ!!」

「どうした!ちっ!スナイパーが潜んでいやがったな!?気をつけろ!スナイパーがいるぞ!」

ちっ、ばれた。


まぁ、撃った直後に場所なんて移動してるけど。

同じ場所に居続けるなんて初心者がやることだ。


で、何したかって、炎の矢だと触れた瞬間に対象を焦し、雷の矢は、触れた瞬間に電撃が走る。

しかも、血液を通じてだから、通常よりもダイレクトに効くから、言ってしまえば防御無視の攻撃って感じだな。


にしても、数が多いな。



数を比較すると魔物はたぶん3桁は軽くいるし、敵の人間は100人近くいる。

なのに俺たちは、十数人程度。

しかも、戦闘員はその半分ちょっと程度。

非戦闘員は、少人数のグループで対処はしているけど、ほぼ防戦一方。


「きゃっ!」

「捕まえたぜ嬢ちゃん。」

カナミが捕まった!


「くっ!」

「なんだ、ガス欠かよ。」

「がぁっ!」

錦さんが、みぞおちに重い一撃を食らった。


さすがに錦さんとはいえ、あの数・・しかも、かなりの実力者に過去まれた状態だと魔力が切れるのは仕方がないと思う。

けど、錦さんは元から素の身体能力が高いから対抗していたけど、あいつら相手だとそれも防戦一方になってしまう。


「ニシキ!」

「おっと、おまえさんはこれから俺たちとお楽しみだ。」

「リーベを離せ!!」

リーベさんも捕まった!


っていうか!

カナミを離せ!!!


俺は、【高速思考】で、頭の回転速度を速め、雷の矢を4本ずつ連続で何十発もカナミを狙った相手を狙い撃つ。

当然そいつらの逃げ場をふさいで腕を使えないようにすべての矢の飛ぶ位置は計算済みだ。


「はぁっ!」

「ぐっ!」

その隙を狙ってカナミがみぞおちに強烈な蹴りを放った後、薙刀で斬首する。


ほぉっ。



けど、俺たちはほぼやられたような状態だった。






「ちっ。手こずらせやがって。てめぇら!命が惜しければ余計なまねはするんじゃねぇぞ。」

女性陣の数人が捕まった。


少しでも動けば、やられる。

首に突きつけているナイフには毒が塗られているみたいだ。



俺も、隠れていたら遠慮なく人質を殺すと言われたので、出てきた。


だが、そこでぼこぼこに殴られた。

「やめて!タクミを離して!!」

「馬鹿だなぁ。そこで動けなくした状態で目の前でおまえを犯すんだよ。最高だろ?」

「ふざけないで!」

「ふざけてなんていないさ。俺たちはいつでも本気だ。」

腐ってやがる。


けど、マジでやばい。

こんなところで、負けるのか?


俺も、錦さんも男性陣はぼこぼこにされて身動きがとれないし、武器も奪われた。

他のメンバーも捕まってしまった。



シリルさんごめん。

再会する前に俺たち、死んじゃうみたいだ。




けど、最後くらいシリルさんに会いたかったなぁ。


なぁ、神様。

もし、いるのなら。

俺たちを見てるのなら。


これまで、神なんていないって思ってた屑な俺だけど今だけは祈らせてくれ。


俺はどうなっても良い!

みんなを助けてくれ!!





「凍結」

静かに

けれど、はっきりと響き渡る男性の声。


その声が聞こえた瞬間、人質を捕まえている奴らの腕が凍り付き、武器が地面にこぼれ落ちる。


そして、再度同じ男性の声が響く。

「炎熱」

その声が聞こえた瞬間、近くでジュッという音が鳴る。


すると、俺たちを縛っていた縄が灰になっていた。

何?

いきなり何?


それと、俺たちの周りをくるくると回りながら包み込んでいるこの紅の光の粉は何?

俺たち全員が何が起きているのか全くわからなかった。


「誰だ!さっさと出てこい!人質がどうなっても良いのか!」

「俺の弟妹をやらせる隙を与えると思うのか?」

「何を言っt-」

「氷炎双波」



ズドォォォン!!


同じ声が聞こえたと思ったら今度は、大将を含むかなりの大人数(半分くらい)が突如として起きた爆発に巻き込まれて吹っ飛んだ。


そして、そいつらが苦しんでいる間に再度凍結という声が響いたと思ったら、人質を含む俺たち全員を巨大な氷が取り囲んだ。



って、なんて規模の魔法だよ。

上位ランクを軽く超えるぞ!?


そして、スタンとその氷の頂上に着地する1人の男性がいた。


肩を超える黒い髪を後ろで1つに束ね

黒い防具に包まれた服装

黒い瞳は、俺たちを優しく見つめ

2本の紅と蒼の剣を握り


俺たちは全員涙を流した。

ずっと


ずっと会いたかった人




全員「おにいちゃん!」



やべ。

名前じゃなくて、ついそっちで呼んじゃった。

せっかくのシリアス展開+最高の演出なのに、最後の最後でシリアスブレイク


そして、クテン様制服バージョンを作ってみました。

挿絵(By みてみん)

ちらりとのぞく、ガーターベルトが良い感じ


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