スリジエの教会と道中でたくさんまとめて遭遇
-フリージア-
写真を撮ってもらい、ギルドカードにデータ登録をしてもらったりした次の日。
私たちは、教会にやってきました。
カタクリの町の教会と似てるけど、ステンドグラスのデザイン?柄?は全然違って、色の組み合わせとかも違った。
カタクリの町のとは違ったきれいさがあって良いなって思う。
この町、スリジエではステンドグラスのデザインはお花がメインだったけど、本物のお花とは違ったきれいさと美しさがあってうっとりしちゃいました//
ちなみに、カタクリの町の教会のステンドグラスは、天使さんが飛び交っているようなデザインでしたよ?
あっちも好きです。
よし。
神様にご挨拶ですね。
まぁ・・視界の端っこでありとあらゆるシスターさんたちが私に向かってなむなむしてる気がするけど気のせいと言うことにします。
で、私自身も神様の像へ向かってナムナムしてるとお母さんと神様の声が聞こえてきた。
-はぁ//かわいいわぁ//-
-ペチュニアさん・・・あなたは相変わらずですね・・・それにしても、あの写真家の女性はなかなか良い仕事をしますね。-
-ホントよね!すっごい良い写真が撮れてるモノ!それに、ギルドカードに登録してくれたから私たちも好きなタイミングで見ることが出来るし!-
-私が賢者として旅をしていた頃はそのようなことはギルドカードには出来ませんでしたから・・変わるモノですねぇ-
-私の場合は、あの写真を撮った頃は既に冒険者を引退してたし、イリスとフリージアちゃんに渡すためだけに撮ってたから登録する意味がなかったのよね。-
-そういうことでしたか。・・確かに言われて見ればそうですね。-
-でしょう?でも・・・-
-どうしましたか?-
-どうしようもなかったのは分かってるのだけれど・・フリージアちゃんにさみしい思いをさせてしまったことはすごく申し訳ないわ・・・。-
-それは・・-
-伝わらないかもしれないけれど、私はフリージアちゃんのことをどうしようもないくらいに愛しているわ。この気持ちは本物よ。・・この気持ちがあの子に伝わって欲しいわ。-
-きっと通じますよ。あなたの愛は本物ですよ。そうでなければ加護としてあれほどまでに強力なモノを授けることなんて神ではない存在には出来ませんよ。-
-そっか・・うん、安心した。-
-よかった・・・あなたは、やはり笑顔が似合いますよ。-
-あら、人妻である私を口説いてるの?-
-そういうつもりではありませんが・・・強いて言うならば・・・-
-言うなら?-
-友人や兄弟のような気持ちに近いのでしょうか-
-なるほどね。分かる気がするわ。-
-それに、私ではなくあなたにはイリスさんが似合いますよ。-
-ありがとう。あの人にも申し訳ないことをしたわ・・-
-ですが、フリージアさんと似たようなことをイリスさんにも与えてませんでしたか?-
-当然じゃない。フリージアちゃんとのつながりであり、私とのつながりを表すモノだし、私が最後にプレゼント出来る唯一のモノだったんだから。-
-【妻の愛】・・・効果はフリージアさんへの加護とほぼ同じようなモノで・・・・ホントにあなたはすごいですね。-
-そんな私の願いを出来る限りとかなんだかんだ言いながら助けてくれる神様、あなたもね。-
-ふふっ、ありがとうございます。-
神様とお母さんは今日も仲良しみたいです。
それと・・お母さん通じてるよ。
聞こえたよ。
お母さんも私と一緒の気持ちなんだね。
お母さんみたいにすごく優しくてすごい人の娘でいられることをすごくうれしく思うよ。
大好きだよ。
そして、ナムナムを終わらせると回復関係の魔法を扱う人たちらしきローブ姿の人たちとシスターさんたちが私に向かって全力で祈りを捧げていた。
その中に神父さんらしきおじいさんも混じってる。
え?
何事?
「フリージア様は神様へ祈りを捧げる時は光るんですね・・カルナさん」
「あぁ、理由は分からんが。」
「カルナさん・・ですかな?」
「あぁ、悪いがあなたは?」
「私はこの教会の神父を務めております。」
「そうか。俺は、この子の獣魔のカルナだ。それで、どうしたんだ?」
「フリージア様は、精霊様方にも愛されていらっしゃるようだ。」
「精霊様?どういうことだ?」
「ご存じありませんか?」
「あぁ、カタクリの町の教会の神父さんには神様に相当愛されてるんだなとは聞いていたが。」
「なるほど。確かにそうですが、フリージアさんはおそらく精霊様に愛されているが故に先ほどのように祈りを捧げている時に光っているように見えていたのだと思いますよ?」
「ように見えるって・・どういうことだ?」
「では、簡単に精霊様に関してご説明致しますね。」
「あぁ、頼む。」
「精霊様とは、自然の力を司る神に近いとても神聖な存在です。位が高ければ高いほど、自然に影響を与える力も大きく、精霊様という存在が近くにいらっしゃるだけで幸福が舞い込み、土地は豊かになるのです。」
「もしも、精霊様に見限られたり嫌われたりすれば逆に悪運が押し寄せたり、その土地からはまともなモノが採れなくなったりするってことでいいのか?」
「全くと言うわけではありませんが、土地は細り、とても運が悪くなるのは確かですね。」
「なるほどな・・・というより、精霊様には位とかってあるのか?」
「位と言うより、我々で言うところの赤ん坊から大人に至るようなモノですよ。年をとるという概念がありませんので比喩ですが。まず、下位の存在では、光の小さな球のような姿をしていると言われており、次に中位、上位となりますが、中位では様々な動物の姿を、上位は人の姿をしていると言われております。そして、最上位の存在は様々な姿になれると言われておりますが、基本的には人の姿をしているそうです。」
「じゃあ、上位と最高位では区別はつけにくいのか?」
「いえ、上位精霊様は子供の姿を、最高位精霊様は大人の姿をしているそうです。そして、精霊様の姿を見ることは基本的に出来ません。」
「どういうことだ?」
「上位以上の存在の精霊様に認められるか、かなり強力な魔眼があれば見れますが・・」
「そういうことか・・ん?じゃあ、フリージアが祈ってる時に光ってるのは?」
「おそらく、大勢の下位の精霊様に普段から取り囲まれているのでしょうね・・それが、祈っている時のみ、神様とのつながりが祈りによってできあがり、その間だけ誰にも姿が見えるようになるのではないかと」
「あぁ・・・」
「ギルドカードにおそらく称号として何かしらの精霊様に関するモノが表示されていると思うのですが・・」
「この間見た時はなかったぞ?」
「それは、カルナさんたちが精霊様に関して知らなかった故にまだ表示されていなかったのではないかと。ギルドカードには、内容によって様々ですが今回を例にとりますと、それに連なる知識があって初めて表示されるのですよ。技ですと、ふさわしい実力をつけるか連なる技を自信の力で発動させて初めて表示されるでしょう?それと同じようなモノですよ。」
「なるほど・・フリージア、ちょっと向こうで確認してみよう。」
(コクリ)
言われてから、部屋の端っこへ移動して確認します。
カードさんお願いします。
ランク:E
名前:フリージア・エトワール
性別:♀
年齢:5
種族:半異世界人
職業:賢者、協奏師
称号:絶望を知る者、幻獣の家族、変態紳士ホイホイ、英雄賢者の正統後継者
属性:陰
体力:E
魔力:C
攻撃:F
防御:E
俊敏:F
練度:C
技:【影操作】【魔力反射】
自動技:【圧縮記憶】【思考速度上昇】【並列思考】
魔道具:賢者の杖、教会の腕輪(EX)
写真:フリージア・エトワール、ペチュニア・エトワール
契約
【幻獣】八咫烏:カルナ
【幻獣】ガルディエーヌ・キャット:シャスティ
【妖精】オニキス・ゲル:翠
加護
母の溺愛、母の過保護、元英雄賢者/現神様のお気に入り、下位精霊の親愛
おや?
加護が増えてますね。
下位精霊の親愛
・下位精霊に非常に愛されている存在へ送られる。
・教会で祈るか、神様に連なる者たちへ祈りを捧げると体がその間光る。
・魂の穢れた存在に対して常に通常のあらゆる攻撃の威力が増加する。
・運が良くなる。
なるほど。
よくわかんないけど、カルナたちがいつも私が祈ってる時は光ってるって言ってたのは、つまり下位の精霊さんたちが私と仲良しだからってことなんだね。
見えないけどいつも一緒にいてくれてありがとう。
何もしてあげることは出来ないけど、大好きだよ、これからもよろしくね精霊さん。
「あぁ・・マジだ。増えてる。」
「にゃぁ(さすがフリージア様ですね。)」
「まぁ良いか。」
そして、神父さんの元へ戻る。
当然加護の内容は内緒。
ラウさんにもね・・って、カルナが知らせるなって言ってたから。
「どうでしたか?」
「あぁ、気に入られてるっぽいな。あ、そうだ」
「いかが致しましたか?」
「カタクリの町ではそう言うのをどうして教えてもらえなかったのか分かるか?」
「あの方は非常に優秀ですが、精霊様の関連はあまり知らないのですよ。その分回復関係の魔法が優秀でしたから。」
「そうなのか?」
「えぇ、そして私は回復の魔法関連はカタクリの町の神父様と比べると劣ります。ですが、その分精霊様に関してそれなりに情報を持ってますから。」
「なるほどな。」
「あまり、我々がこうしていても息苦しいでしょう。気安く声をかけてください。では、ごゆっくり」
そう言ったらみんな優しい笑顔を浮かべながらゆっくりと柔らかく頭を下げて去って行く。
ん~
とりあえず、気にしないことにして教会の中を見て回りましょう。
ステンドグラスがきれいだから見て回りたいんです。
そして、お昼ご飯の時間までたっぷりと見て回ってから教会を後にして私たちはナムナムしてたシスターさんたちおすすめの食堂でご飯を食べました。
サンドイッチとかスープとかがメインのところでした。
色んな種類があってあっさり系からがっつり系まであっておいしかったです。
それから私は特訓をするためにギルドの訓練場にやってきました。
ちなみにカルナやシャスティは交代で私が寝てる間に外で魔物と戦ってるらしいです。
まぁ、私よりもずっと強いから別々じゃないと訓練にすらならないって知ってるけどね。
で、翠ちゃんは私に基本的につきっきりだけど、カルナたちがこっそり倒しまくったアイテム類の回収のために少しの間だけ個別で行動してます。
とはいえ、カルナたちがガチの訓練をすると魔物なんてあり得ない数が倒されちゃうから半分くらいは普通に翠ちゃんのご飯になってるみたいです。
翠ちゃんの場合は、私と同じ特訓をしつつカルナたちが倒す魔物のアイテム類を吸収すればそれで十分強くなれるらしいです。
-ラウ-
ギルドの訓練場で俺たちは特訓をしてる。
と言うよりも、フリージア様が特訓するのに付き合うって言うのが本当。
俺は、フリージア様が寝てる間にこっそり自主練してる。
フリージア様は体力も多い方じゃないし、体も頑丈とは言えないから寝てる時間が結構長いんだよ。
だからその時間を使ってカルナさんやシャスティさんも交代で特訓しに行ってる。
で、目の前ではフリージアさんが翠さんと謎の踊りを踊っていた。
ゆっくりだけど、体を曲げたり、くねくねしたり万歳したり背伸びしたりと・・・
かわいいけど・・・謎だ。
一応体をほぐしたり柔らかくするための運動だって分かってるんだが、それでも謎の動きだ。
強いて言うなら不思議な踊りって感じか?
おまけに翠さんがフリージア様へ柔軟体操?を教えてるから当然同じ動きをしてるから余計に謎っぽさが増える。
まぁ、いつものことなんだが。
そして、しばらくするとフリージア様の魔法である陰魔法でフリージア様の影から出てくる黒くてぶにっとした触手を数本出して形を障壁のようにしたり丸くしたり星の形にしたりと形をいろいろとかを変えてる。
なるべくスムーズに操れるようにするための特訓のようだ。
そして、それらが終わると、ワザとゆっくり動いてるシャスティさんやカルナさんを触手で捕まえようと追いかけっこをしたり、翠さんが障壁型にした影の上に乗ってジャンプしてる。
そのジャンプは少しずつ翠さんの体のサイズを大きくしながら負荷を増している。
ぱっと見はすごくほのぼのする光景だが、特訓としての方面で考えるとすごくよく出来た訓練だと思う。
って言うよりも、3本まで出せるらしいがそれらを全部違う形へ変えたりそれぞれをそれぞれ別々の動きをさせて別々のターゲットを追いかけたりと・・・すごいよな。
フリージア様は相当頭が良いというか、頭の回転が速いらしい。
やっぱりフリージア様はイリス様の娘だよなぁって見ながら思う。
複数を同時にそれぞれ別々の行動をさせて操るのは慣れればなんとかなるらしいが慣れるまでにすっごい大変らしい。
とにかく頭が痛くて。
知恵熱とかに結構慣れるまでは普通になるらしいし、大抵は1体に対して複数本をまとめて使って狙ったりするのが普通らしい。
たとえるならば、両手でそれぞれの手で指で別々の行動をとるような感じだ。
相当大変だって考えるだけでも分かる。
動きはぎこちないし、まだまだ早いと言いにくいからフリージア様は現状は防御専門って感じだが、年齢からすると相当優秀だし、それでもそれぞれを別々のターゲットを狙ってそれぞれの動きをさせてるからそれだけでも十分すごい。
もっとすごいのは、表情とかが全く表に出ないフリージア様の状況をカルナさんたちは察して魔力切れでやばそうになるとすぐに中止して休憩させてるところだ。
なんというか良くも悪くもフリージア様は疲れとかそういうのも表に出さないからな・・。
戦闘とかでは良いんだが・・・なぁ・・・。
その辺の区別とかはさすがに長年の経験って感じかな。
後は、翠さんが近くで控えてるから万が一倒れても問題ないみたいだし徹底的だよなぁ。
気持ちは分かるけど。
あれ?
そういえば、俺・・フリージア様たちと行動してから一度も存在感薄くて忘れられることがないな・・・。
これはあれか?
フリージア様の存在感がすごすぎてその影響か?
まぁ、どうでもいいか。
でも、忘れられずに普通に接してもらえるのは正直うれしい。
フリージア様様だよな。
おっと
フリージア様は休憩のようだ。
それに、カルナさんたちのことだからもう宿に帰るだろうしな。
確か、明日はこの街を出て先に行くんだっけか?
そういえば、フリージア様って毎日星空っていうか月を見てることが多いな?
それも1日も欠かさずに眺めてる。
フリージア様たちがお風呂に行ってる間、カルナさんにさりげなく聞いてみた。
「あぁ、監禁されてた頃からの習慣なんだ。」
予想以上の状況で眺めてるぞ?
「元々は、月を眺める以外はなにもすることも出来ることもなかったからな。今はそれが癖になってるのか、それとも純粋に眺めてるのが好きなのかのどっちか・・・いや、昔と比べて眺めるのが好きなんだろうな。」
「なるほど・・」
分かる気がする。
気分が落ち込んでる時に月って眺めてたらなんとなく癒されるよな?
アレと似た感じか?
「後は、ペチュニアさんを思ってだろうな」
「ペチュニア様を?」
ペチュニア様と月で何か関係あるとかイリス様から聞いた記憶ないぞ?
「フリージアにとっては天国って雲の上とかじゃなくて月か月の向こう側にあるって思ってるんだよ。」
「へぇ・・」
「まぁ、元々はペチュニアさんから月にはウサギが餅つきしてるとか言ってたのを俺が教えたからそう考えた可能性があるが。」
「そういえば、俺も似たようなことを昔イリス様を経由してペチュニア様がそういうことを言っていたと聞いたことがあります。」
「多分それだろうな。そろそろ上がってくるみたいだな。満足したか?」
「はい。ありがとうございます」
-フリージア-
ふぅ。
今日の訓練も終わっていっぱい疲れたけど翠ちゃんやシャスティが甲斐甲斐しくお世話してくれてカルナが細かくアドバイスをしてくれながら心配してくれる。
それから、ラウさんにおんぶされてお宿に帰ります。
ラウさんって、さりげなく助けてくれるからお兄ちゃんみたいだよね。
そして、明日は街を出るので私は早めに寝とけとカルナに言われたのでお休みなさい。
その日の夢の中では私はたくさんの色んな色の光の球に囲まれながら色んな子たちの笑い声に囲まれて遊んだ夢を見た。
夢から覚めた時にはすっかり忘れてたけど、その時はこの子たちが精霊さんたちだったのかなって思った。
だって、覚えていないのにすごく楽しかったって気持ちはしっかり残ってたんだもの。
それはさておき、朝ご飯を食べてから私たちはそそくさと町を出発しました。
なんというかこの町ではあっさりと平和に終わりましたね。
と言うよりカタクリの町でのことが濃密だっただけみたいだけど。
で、そんな感じでいつものように大きくなったシャスティの背中に乗って先に進んでいると進路方向がなぜか空が暗かった。
それがあったのは町を出発して2日くらい経った時でした。
すごい妙なタイミングだなぁと思ってた。
「なんだあれ?」
「グルルル(魔物の群れのようですね。)」
「マジか・・・・アレ・・スルー出来ないよな・・」
「えぇ・・俺の目から見てもあの大群はこっちに迫ってきてますね・・・。良いのか悪いのか周囲には町も人も誰もいませんしね・・・。」
-あれ、スカイネイチャーだね-
「翠知ってるのか?」
-こんな魔物だよ?-
スカイネイチャー
空飛ぶ野菜と果物の大群で、全長は平均で直径3メートルほど。
それぞれが種を飛ばして攻撃をして来るのに加え、その種はありとあらゆる場所や相手から魔力を奪うが、大抵は突進してくることがほとんど。
自身に向かって攻撃してくればその種を敵に植え付けて生命力を奪ったりすることもある。
奪った魔力や生命力を糧に自身の仲間を増やして行く。
尚、こいつらは1体残らず対処するまで一度ターゲットとして決めた相手はどこまでも追い続けるストーカー体質である。
獲得部位:魔石、果物か野菜、まれにそれらの種
※野菜や果物は倒した魔物のサイズそのままであり、種は普通に育てても魔物化することはないが、非常に巨大化し、ちょっとやそっとじゃ腐らないほど強い生命力を保有している。
お空を飛べるお野菜さんと果物さんの大群さんみたいです。
それと、ストーカーさんらしいです。
「マジか・・めんどくせぇな・・。だが、やらなきゃやられるよな・・」
「ですね・・・が、頑張りましょう。」
「そうだな。フリージア!自身の身を守ることを一番に考えてくれ!翠!シャスティ!ラウ!やるぞ!」
-りょーかい-
「グルル(いつものフォーメーションですね)」
「もちろんです。」
(コクリ)
-ラウ-
まさかの出発して2日後に空飛ぶ巨大な野菜と巨大な果物の大群が襲って来た。
タイミングは運が良かったからフリージア様の準備が出来たところでちょうどそいつらが襲って来た。
そして俺は、2本の剣を抜刀する。
俺の剣は双剣と言って、普通の剣よりも細く、一撃一撃は軽くとも連続攻撃による手数の多さと早さを念頭に置いた戦い方をするモノだ。
翠さんが巨大化してフリージア様の近くで控えながら襲ってくる(と言うか飛んでくる)魔物を自身の体に取り込み、フリージア様は自身をすっぽりと影で覆い、襲ってくる敵をポヨンと跳ね返して敵同士をぶつけ合ったりしている。
自身を守ることを一番にしろとカルナさんに言われたが故に反射の結界を張ったんだと思う。
そして、空中で動きがフリージア様のおかげで隙が出来たところをカルナさんが毒針を飛ばしながら次々に毒殺していく。
シャスティさんは飛んでくるそいつらを攻撃しつつ大ジャンプしながら攻撃してと繰り返す。
で、俺はシャスティさんとは違う方向から襲ってくるそいつらを攻撃している。
こういうときは一撃一撃の強さよりも手数の多さが必要だからすごく俺としてはもってこいな状況だ。
まぁ・・・敵が飛んでるから襲ってこないとなかなか攻撃出来ないんだが。
数は総勢200いるかどうかという数で、半分くらいどうにか倒していたところで残りの奴らが感づいたらしく突っ込んでくることを止め、種を飛ばしてくるのみの攻撃をし始めた。
対処は可能だが防戦一方だ。
シャスティさんが大ジャンプしてどうにか対応してるが徐々に高度を上げてるせいで届かなくなっていく。
故に唯一対処出来るカルナさんだけでは手はずが足りなさすぎる。
これ・・・・ピンチじゃね?
こっちが体力切れと魔力切れでやられちゃうパターンじゃね?
冗談抜きでやばくね?
すると、カルナさんが
「フリージア、俺はアレを使う・・ちょっと離れててくれ」
(コクリ)
「あぁ、任せろ。」
カルナさん?
アレって何?
毒の次は何を吐くの!?
すると、カルナさんの体がみるみるうちに巨大化していく。
そしてあっという間に全長10メートルはある巨大な姿になった。
「クワァァアアアアアアア!!!!!」
すげぇ・・・でかいだけじゃない。
でかくなった分ものすごい強くなったって俺でも分かる。
これってシャスティさんの巨大化と同じ力か?
その辺りはさすがに教えてくれないしな。
カルナさんもシャスティさんも妖精族かそれに関するくらいのかなり優れた種族だろうとは思うが、これはその力なんだろうと思う。
それから先はホントにあっという間だった。
カルナさんが全力で羽ばたけばそれだけで爆風が起きるし、飛ばす毒針も嘴からだけじゃなくて全身から飛ばしまくってるし飛距離も威力も上がってるし。
全身から・・・なんというか翼の羽を飛ばしてくる鳥形の魔物がいるんだが、それに似たような感じかな?
多分そんな感じだ。
ちなみに俺は冗談抜きで飛ばされそうだったのですっごい申し訳なかったけどフリージア様の結界の中にいた。
当然身をもって守るつもりなので申し訳ないと思いつつも抱きしめて俺の全身で覆い隠してるような感じになってる。
大人の女性だったら間違いなく胸を触ってる体勢だろうなぁとかどうでもいいことを思いつつ、フリージア様が予想以上に華奢でかわいくてかわいくてやばかったし、スキンシップが出来てラッキーとか思ってしまった。
も、もちろん全身全霊で護ってるんだからな!?
当然翠さんとシャスティさんも全身でフリージア様が吹き飛ばないように自身の体で護っていた。
うんわかるよ。
だってさ。
そうじゃないとカルナさんの攻撃の余波・・っていうか爆風で吹っ飛ぶし。
まぁ、シャスティさんたちも分かってたっぽいけど。
そりゃそうか。
それとフリージア様はどこまでも優しいお方なのでそんな巨大化したシャスティさんと翠さんまでもすっぽりと覆う結界を張っていた。
おいおいおい・・・かなり無茶してるだろ!?
シャスティさんたちも瞬時に察したが、そのサイズじゃないと吹っ飛ぶと分かってるが故にどうしようもなくて戸惑っている・・。
俺は、魔力をフリージア様へ譲渡する。
そのくらいしか手助けすることが出来ないからだ。
魔力譲渡って言うのは、魔力操作ができる奴なら誰でも出来る技で、文字通り自身が保有する魔力を相手に渡す技だ。
それをするためには服越しでも肉体的な接触が絶対不可欠なんだがな。
たま~に服越しでは意味ないとか心臓に近いところを直接触らないと駄目だとか嘘ついて女性の胸を生で揉もうとするのもいたりするのは余談。
フリージア様頑張ってくれ。
そして、カルナさんは最後の1体まで全て討伐を終えた。
「フリージア・・・・スマン・・思った以上に迷惑をかけたみたいだな・・・」
すごい申し訳なさそうな感じで話しかけるいまだに巨大化したままのカルナさん。
「フリージア様?もう解除しても大丈夫ですよ?」
おや?
返事がない。
フリージア様の体のサイズ的にすごい抱きしめ心地が良いし良い匂いがするしでくらっとしつつもちらっと確認すると目をぎゅっと閉じて杖にしがみつく形でフリーズ中。
「ガウ!(フリージア様!!)」
(!・・・?)
「グルル(魔法は解除しても大丈夫ですよ。)」
(コクリ)
シャスティさんが一吠えしたらどうにかなった。
そして、少々さみしく思いつつもフリージア様から離れる。
・・・でも、フリージア様がもしペチュニア様みたいに素晴らしいスタイルの大人に成長してたら絶対にやばかったよな?
主に、大人の女性の胸を揉んだのか!?とかそんな感じで。
今だからある程度は幼いからとかで済むわけだし・・うん。
もったいないなとか思いつつもホッとする。
だってさ・・・間違いなくこの3匹とイリス様に殺される自信があるもん俺。
そして、カルナさんは元のサイズに戻り、フリージア様は魔力切れですっごいフラフラしてたのでシャスティさんと翠さんに介抱されてる。
その間、俺とカルナさんで手分けしてアイテム類の回収をしました。
食い物関係は放置しておくと魔物が集まってくるし、魔石類も当然集まってくるから回収するが、あまりにも数が多いからな、種は・・・適当にばらまいて知らんぷりしておくか。
ただのでかい野菜と果物しか育たないし問題ないしな。
実は種を落とす類いのはなぜか小さい巾着袋に入ってるんだよな。
で、その袋は中身を一通り蒔いたらさらさらと砂になって消えるという不思議。
というわけで種は適当にまんべんなくばらまいておきました。
カルナさんが飛んであっちこっちでまんべんなく手伝ってくれたので大丈夫だろう、うん。
い、一応森の中とか草原とか紛れてもぱっと見は問題なさそう(と言うことにしてる)なところ中心にしてるからな?
いや、持って帰っても良かったんだけどさ・・・それらを回収する頃には一通りの巨大な野菜と果物を回収しまくってたせいで面倒くさいというか、飽きてたんだよな・・うん。
カルナさん共々。
にしても・・・無事に済んだけどさ・・・えっぐい量の食い物が集まったな・・。
ちなみに、疲弊しまくってる俺等を狙ったその他の魔物もいたが、シャスティさんと翠さんたちが揃って討伐してしまっていた。
で、現在はシャスティさんの背中の上に俺とフリージア様、翠さんが並んで乗っている。
フリージア様は疲れたらしく(それもそうだ)お昼寝を始めてしまったので、俺が背もたれ、翠さんが体を冷さないようにするためと転げ落ちないようにするために全身で覆っていた。
無表情が通常モードでも寝てる姿はすごくあどけなくてかわいくてひっそりとフリージア様の寝顔を堪能しつつ背もたれとして役目を果たしつつフリージア様のお昼寝の妨げにならない程度のスピードで俺たちは先に進む。
フリージア様みたいな妹が欲しいなぁ・・・。
心の中だけなら妹と思っても問題ないよな?
イリス様も兄代わりに頑張れ的なこと言ってたしな!
う、うん。
ちなみに、数十日後、この周辺の土地は巨大な野菜と果物によるジャングルが超大規模なのが出来上がってたりして、周辺を通る人たちが驚きつつも必要な分だけ収穫して旅の糧にしたりという習慣が出来上がったりするのはここだけの話であり俺たちが知らないこと。
日曜日も投稿致しますが、3日も投稿致します。