カタクリの町での久しぶり~その6~
--シャスティ--
リア様が、ギルドで聞いたドラゴンブレスを試すのと同時に超大型スタンピートのクズどもの数を減らすことにした結果、7割ほどは即死、2割は重症一歩手前という感じだった。
さすがリア様ですね!
それに、リア様の弟子でもあるシリルやセリカ、アルナはしっかりリア様にきたえて頂いたことを実戦に活かせていますね。
まぁ、出来て当然です。
おかげで地上にいるデカい飛べないドラゴンを潰すことに集中出来ます。
まずスピードで随一の私が特攻し、次に速い黄昏が続く。
そして、ハディが到着という順になりますね。
今回の戦いでは、ハディの力が最重要となります。
私の力では、傷をつけることは出来ても致命傷を与えることが出来ません。
そして、黄昏ですが私よりは傷は深く可能ですが、それでも致命傷にならない。
例え、黄昏の魔法と並行してもだ。
そのため、ハディの強靱な力が必要となるのです。
作戦・・と言うほどでもありませんが、私と黄昏で急所部分となる表面の鱗を砕き、そこをハディが突くと言う予定です。
そして、私と黄昏はそんなハディを守りながらそいつの気を引きつけなければなりません。
何気に、この巨大な姿で連係プレイをするのは初めてですね。
いつもそんなことが必要になることがありませんから。
ですが、この経験も大事なこと。
黄昏の実力は実際のところまともに戦った姿を見たことがないので知らないが、他のメンバーは翠を除いて全員本気モードのリア様に勝てないのだから。
そうなると、連係プレイは重要となるし、いざと言うときにリア様を助けることが出来ない。
リア様は賢者。
故に、リア様でも敵わない相手が出てこないとも言い切れないし、もしそんな相手にリア様が負けたとき頑張らなければならないのは獣魔である我々ですから。
そしてようやくこいつの元にたどり着いた。
デモンアースドラゴン
悪魔化した全長70メートルのドラゴン
空を飛ぶことが出来なくなった代わりに頑丈さと力強さが他のドラゴンと比べても圧倒的
獲得部位:魔石、魔核、鱗、骨、牙、爪、肉、皮膜、悪魔結晶
悪魔結晶の処分は後々に考えるとして、まずはこいつの硬い鱗の破壊からですね。
「シャスティ!我がやつの足止めをする!」
「わかりました!」
黄昏がそう叫ぶとそいつを地面に氷付けにした。
更に氷に電撃を流すと、やつは叫び声を上げる。
それが痛みから来るモノか怒りから来るモノかの区別はつかないが、怒りの感情は伝わってくる。
それでも、そいつは腕力で無理矢理氷を壊して動こうする。
「くっ!こやつは、我と相性が悪いな。だが、我は神獣、フリージア様へ勝利を捧げるためにも負けるわけにはいかぬのだ!」
黄昏は神獣にふさわしい身体能力も兼ね備えているので、ステータスで言うところのバランス型でしょう。
一方、こいつは魔法関連の技を一切持たない代わりに防御も攻撃力も全て身体能力に特化している、肉弾戦特化。
黄昏の場合、状況に合わせて戦術を切り替えるタイプだが、そう言う相手に脳筋は確かに相性が悪い。
で、私の場合は、こいつと同じ肉弾戦特化ではありますが、こいつは素早さを捨てた代わりに防御と攻撃力がアホみたいに高い。
一方私は、防御はそこそこ程度ですが、その代わり素早さと攻撃に特化しているヒットアンドアウェイを得意としています。
「私が関節を中心に狙います!お願いします。」
そいつの足止めを頼むと黄昏は瞬時に察してくれる。
「承知した!」
足下を氷付けにしながら電撃を流し、そいつの足止めを行ないつつ、そいつが放ってくるかみつきやブレスを躱しながら前足による打撃と爪の斬撃を同時にそいつの顔に向かってたたきつける。
当然狙えれば目などの急所も当然狙う辺り、桜華様の教えを守っているようですね。
桜華様は、今は神となり、リア様を見守って下さっています。
桜華様がいなければ今のリア様はいないと私は思っている。
あの杖は、今のリア様もそうだがあの地獄から抜け出した頃からずっとなくてはならない大事なモノだ。
あの頃と比べるとリア様もずいぶんと成長して下さいました。
見た目”は”ペチュニア様に本当にそっくりです。
中身は、出会って日は浅いですがイリスにとても良く似ています。
リア様こそ、人の上に立つにふさわしいお方です。
いつか、旅を終え腰を落ち使えるとすればクラリティ王国のトップでも良いですが、リア様の性格を考えると癒しの都”ルナール”の領主として穏やかな日々を送る方が向いているでしょう。
私もあの地は好きです。
あの地にいる者たちもとても好意的ですし、こちらが不快にならない範囲をしっかりと把握しているのも良い。
で、目の前にいるこいつだ。
悪魔化していることもあり本来の実力の倍以上になっているのだと翠に聞きましたが、想像以上ですね。
黄昏の氷を尻尾と手足を動かして砕こうとしていますが、氷を張り、電撃を流した状態でヒビが入るのは十数秒。
そこで黄昏が氷を再度張り直し、顔と前足辺りを攻撃し、少しでも動きを封じる。
その繰り返しだ。
私は、まずは動きを阻害するため、私の愛剣”黒月”で4本の脚の関節を何度も攻撃します。
動けなくしてしまい、脚を使えないようにすれば踏ん張ることが出来なくなりますからね。
そうすればせっかくのパワーも踏ん張りがきかず威力は半減します。
我々がそうしている間にハディが到着し、そいつの尻尾の足止めと同時に攻撃し始めました。
どうやらハディは尻尾を切り落とすことから始めるようです。
それはおそらく私たちが隙を作ることを信頼したが故の少しで相手の戦力を削ろうとしたのでしょう。
体の大きさでは、我々3体よりも群を抜いてこいつはデカい。
ですが、魔力操作や力の扱い方を学んだハディは、そんな体のサイズも問題なく対処出来ているようです。
技術により、体格差をカバーして上手く戦えていますね。
そしてパワーですが、かなりの魔力量を使ってようやく鱗にヒビを入れているようです。
これは・・持久戦に持って行かれると不味いですね。
こちらが不利になる。
「ぐぅぅぅっ!何と言う馬鹿力だ。シャスティ!そちらはどうだ!」
「鱗にヒビを入れるので手一杯ですね!ですので斬撃をやめて打撃に切り替えているところです。」
こいつの頑丈な鱗に対して斬撃は対した効力はないようでしたので、私の尻尾と前足を使った打撃で内部から衝撃を加える方面へ切り替えます。
何十発も与えてようやく関節にダメージらしいダメージを与えることが出来ましたが、これは骨が折れますね。
「申し訳ないですがもう少し堪えて下さい」
「うむ。だが、効いているのは確かだ。こやつの力がわずかだが弱まった。」
踏ん張りがきかなくなるという部分の考えは正しかったようですね。
とりあえず、前足2本の関節破壊を早く済ませましょうか。
「シャスティよ!そちらはもう良い!お主は早くやつの核部分の鱗の破壊を急げ!」
「そうすると貴方の負担が多いですよ!」
今でもかなりギリギリでしょう!
「そんなことは気にするな!我は神獣!この程度の困難は乗り越えられて当然だ!」
こういうときは・・
「分かりました。どうにか持ちこたえて下さい。」
「うむ!任せろ。」
この気持ちは何でしょうか。
これが、仲間に背中を預けられる安心感でしょうか。
良いですね。
リア様のため、仲間のために手早く済ませましょうか!
背中側は全身の中で最も硬い部分故に避けるべき。
ならば、側面から狙うのが定番でしょうね。
まずは鱗の破壊。
尻尾の先に魔力をため込みながら、少しでも多く回数をこなしてその部分の鱗へ前足で攻撃をし、魔力がたまれば貫通特化の形で尻尾で渾身の一撃をたたき込む!
ズガン!
ふむ。
軽くヒビが入った程度ですか。
気づけばハディと黄昏が足止めをしている状況ですが今は私が鱗の破壊を急がなければ。
私の力ではこいつの尻尾の足止めをするほどの力がありませんから。
ですが、これは魔力が持ちますかね・・いや、持ちこたえて見せます。
そして、私は何度も魔力を尻尾の先にため込んで攻撃を繰り返しますが、何十発と繰り返してようやく鱗が全体的にひび割れ状態となりました。
なんて頑丈なんでしょうか!
不幸中の幸いなのはこいつに再生能力がないことですね。
おかげで魔力がほぼゼロですよ。
と言うより今はほとんど気力と根性だけです。
ですが、この感じでは後20発は食らわせないと完全破壊は出来ません。
魔力が足りない!
それは黄昏も同様。
私以上に魔力消費が激しいですから。
翠のように溶解出来れば良いのですが、彼女は今リア様のフォローに回って手一杯ですし。
最初のリア様のブレスで7割以上を削ることが出来ましたが、あれで魔力はほぼゼロの状態になっているようで、その回復の補助などを行なっています。
その役割は 超・重・要 です。
リア様はとても頼りになる愛する主ですが、私の個人的な意見を言わせてもらうならば丸々数日間は何もせずにゴロゴロして過ごして頂きたい。
そのくらいしなければリア様の抱える負担は軽くならないでしょう。
ただでさえ頑張りすぎなのですから。
・・私は知っているのです。
リア様は疲労がたまりすぎているのに、それを食事の量でカバーしているだけで本当の意味できちんと休まないといつか倒れてしまう。
生き物として大事なのは休むこと。
休むというのは、眠ると言うことです。
眠らなければ何をどうしても回復しないことだってあるのですから。
さて、魔力はほぼスッカラカンで私の純粋な身体能力だけでこいつの鱗を破壊するには軽くヒビを入れるために軽く百何十回は必要になります。
ですが、そんなことを悠長にしている余裕はありません。
そこで、胴体部分のベルトに違和感がありました。
これは、黒月を装備するための特別製ですが、実は小物であれば同様に収納出来ます。
その中に小さな小瓶がいくつかありました。
そうです!
これです。
私は、全力でその小瓶3つを全て同時にその鱗部分にたたきつけました。
すると、瓶はその衝撃に耐えられず速攻で崩れ去り、その中に入っていた液体が混ざり合いながらそいつの鱗を穢していく。
グギヤァァァァァアアアアアアアア!!!!!
おやおや。
アレこそ痛みによる絶叫ですね。
え?
アレは何だったかと?
確か翠からもらったモノですが、
王水というものと、濃硫酸というのと・・何でしたっけ?
まぁ、よく分かりませんがどんなモノでも溶かしてしまうようなヤバイ物体ですよ。
それを混ぜてしまったので翠が言うところの混ぜるな危険という威力増加が起きたので正直エグいレベルの溶かす物体になったようです。
おぉ。
あの鱗がみるみるうちにどろっどろになっていきますね。
ついでとばかりにその奥の肉部分も溶かしてますが。
・・・もしかして最初からこれを使えば早かったのでしょうか?
いやいや。
私がある程度ヒビを入れていたからこそあぁしてあの物体がやつに絡みやすかったのです。
そうでなければ当たり溶けたとしても表面を流れて落ちただけの可能性だってあるのですからうんうん。
ですがアレ・・ある程度落ち着いたところでしなければとどめを刺す予定のハディも溶けるのでは?
「シャスティ・・あれ何だ?」
「翠に頂いた謎の液体をぶちまけてみました。」
「あぁ・・なるほど。威力は抜群で我もやつの体力を消費させることに成功した故にこちらに協力しに来たが・・アレを落とさないとハディもヤバイのではないか?」
「やはりそうですよね。どうしましょうか。」
「我が丸ごと凍らせてみるか?傷口もそれで塞がるがやむを得まい。」
「ついでに内部の血液も諸々凍らせ、温度を奪ってみては?あぁいうトカゲ類は温度差に弱いでしょう?」
「ふむ、それもそうだな。ふっ!!」
そうしてエグいことになっているやつの傷口はきれいに凍りつきました。
そして、状況に気づいたのかハディがこちらに来ました。
「ハディ。準備出来ましたよ。」
「うむ。思い切りやると良い。」
「俺のワガママに付き合ってくれてありがとう。正直今俺がしていることは獲物を奪っている卑怯なことだ。・・すまない。」
「何を言うのですか。貴方がいなければこうもたやすくなりませんでしたよ。」
「そうだ。お主の力がなければまだ大変なことになっていたぞ。実際我は1人で全身を押さえ込むのはムリだったのだ。お主があの尻尾を押さえ込んでいたからこそ出来た芸当だ。」
「そうですよ。私にもムリです。我々の中で貴方が一番強いのですから。」
「・・ありがとう。」
「そういえばどうして今回貴方がとどめを刺したいと願ったのですか?貴方からこういうことを願うのはかなり珍しいですが。」
「うむ。我もそれは思った。お主は基本的に成果を求めるタイプではあるまい?」
「・・正直分からない。けれど、こいつは俺自身がどうにかしないといけない気がするんだ。それに・・」
「それに?」
「こいつをみていると何かがうずく。特に魔石と魔核のある部分から。」
ハディはワニ型の魔物とはいえ、ドラゴンの血が入っていますからね。
ドラゴン同士何かあるのでしょう。
これも、何かの縁でしょう。
ハディはもしかすると進化する為に必要なプロセスを無意識に察していたのかもしれませんね。
「さぁ。とどめを刺しましょう。ついでに魔石や魔核ももらっちゃいなさい。」
「うむ。さっさとやってもらってしまえ。」
「いいのか?」
「リア様は魔石や素材などはどうでもいいのです。貴方が求めるのであればそれが最優先事項ですよ。」
「あぁ、ありがとう。」
そして、ハディはそいつの傷口からあの謎液体を避けつつ肉を切り裂き、食らいながらそいつの急所となる核をかみ砕きとどめを刺した。
「とりあえず、クリアですね。」
「うむ。たまにはこういう連係プレイも良いものだな。」
「そうですね。日頃の訓練にこうしたチームプレイもした方が良いでしょうね。」
「確かにな。それで、ハディよ。そいつの魔石と魔核はお主のモノだ。どうするのだ?」
ハディは静かに目の前に転がる巨大な魔石と魔核をじっと見つめていたかと思いきや、
ガブリ
かみ砕き、飲み込んだ。
「・・食ったか」
「食いましたね。・・ハディ?大丈夫ですか?お腹壊しますよ?」
「シャスティよ、気にするのはそこか?」
--ハディ--
ずっと俺は、リア様を守ることを頑張ってきた。
だから、敵を倒すという成果がなくても全く気にしなかった。
だが、今回はなぜか体がうずいた。
そして俺の中の何かがあのドラゴンの核を食らえと囁いてきた。
しかもそう感じたのは、あの地上にいるデカい1体だけだった。
だが俺1人でやつを倒すのはムリだった。
そこで、シャスティたちに頼んだらあっさりと手伝ってくれた。
凄く嬉しかったが俺自身は何もお返しをすることが出来ない。
そう言うと、シャスティと黄昏は俺の初めての大きな成果を獲得する手伝いをするだけだから気にするなと言ってくれた。
そして、強くなり、その力をリア様のために使えばそれでいいと。
リア様は命の恩人だ。
見た目だけでも威圧的な俺を可愛がってくれるし優しくしてくれる。
そんなリア様のためにもっと強くなりたかった。
俺はドラゴンの血が入っているから頑丈だが、俺個人の意見ではドラゴンのなり損ないの半端者だった。
そうして、頑張ってそいつの尾を押さえ込んだ。
尻尾は俺も使うがかなり強い部分でちょっとやそっとの拘束じゃ全くの無駄だ。
だから一番力のある俺が頑張って押さえ込んだ。
それからそいつをどうにか倒すことが出来た。
けれど、実際は俺よりもシャスティと黄昏が一番頑張ったのに俺がそれを横取りしただけだ。
そう言ったけれど2人はそんなことないと言ってくれた。
そんな2人が俺と仲間で凄く嬉しかった。
そして、ついにそいつの魔石と魔核を手に入れたがなぜかおいしそうだと体の何かがそれを食らえと叫んでいた。
いつもなら魔石なんかみてもそう感じなかったのにだ。
で、俺はその囁きに素直に従って食らった。
味なんて何も感じなかったが全身が歓喜をあげているような感じになった。
≪条件が達成されました。進化します≫
突然そんな声が俺の中で響いた。
その瞬間全身が燃えるように熱くなる。
「ハディ!?大丈夫ですか?」
「シャスティ下がるのだ。」
「ですが!」
「アレは進化だ。」
「っ!本当ですか!?」
「あぁ。魔力が急激に活性化している。心配はない。」
シャスティと黄昏の声が遠く感じる。
そして熱に耐えているとみるみるうちに目の前に広がる世界がぐんぐん小さくなっていく。
≪クロコディルガーディアンよりアダマンタイトドラゴンへ進化が完了致しました。≫
それから体の熱が収まったかと思うとなぜかあの大きかった黄昏の視線が同じ高さにあった。
「・・・」
「・・・」
「なぜ2人の視線が同じ高さに?」
シャスティと黄昏はこんなに小さかったか?
「それは貴方が想像以上に巨大化したからですよ。自分をみなさい。」
微妙に呆れた顔をしたシャスティに言われて自分をみてみると確かにデカくなっていた。
アレ?
それに、手足がなくなって胴体が長くなってる。
リア様が言うところのトカゲ型から蛇型に変わった感じだな。
もしかして俺は進化したのか?
というよりアダマンタイトドラゴンってなんだ?
【幻獣】アダマンタイトドラゴン
漆黒の体で、全長50メートル、幅3メートルはある世界で随一の頑丈さを誇る蛇の姿をしたドラゴン。
鱗の1つ1つがアダマンタイトと同様の硬さを誇っており、魔力を纏わせることで更に硬くすることが出来る。
空が飛べない代わりにより頑丈に、より力が強くなっている。
また、力も非常に強く、その顎は大抵の鉱石はかみ砕き、その全身を使った締め付けはアダマンタイトもたやすくねじ曲げる。
走るのが非常に速く、通常の馬の2~3倍の早さで走れるが、泳ぎも得意。(泳ぎでは馬が走る平均ほどの速さ)
使用技:【魔力硬化】【身体硬化】【身体強化】【筋力強化】【自己回復】【殺気】【咆吼】【威嚇】【衝撃波】【小型化】
俺、幻獣になってる?
と言うより、ワザが増えている?
魔力を使って硬くしたり肉体を硬くすることも出来るのか、これは便利そうだ。
それに、これまで使っていたワザは進化する前よりも何倍も強力になったように感じる。
だが、最後の1つはなんだ?
【小型化】
自身の体の大きさを長さ30センチサイズにまで縮めることが出来る。
これがあれば、町の中でもリア様と一緒にいることが出来る。
体が大きいという理由で離れ離れにならずに済む。
自分の能力を把握したところで気になっているらしい2人に伝えた。
「見た目にふさわしい力を手にしたようだな。おめでとう。」
「全体的に強くなったのは確かですね。体が大きくなった分硬さも強さも向上したとみて良いでしょうし、その他のワザも幻獣へ進化したのですから期待します。おめでとうございます。」
「ありがとう。けど、さすがに疲れた。」
「そうだな。確かに疲れた。」
「えぇ。アレは堪えた。」
「他の雑魚共はどうする?」
「私は正直ムリですよ。もう元のサイズに戻りたい気分です。」
「俺も、【小型化】しておきたい。」
「我も魔力がすかすかだ。無理矢理力尽くで抑えていたこともあり全身ががたがただ。」
「まぁ、なんとかなるでしょう。大元の1つを倒せただけでも十分の成果でしょう。」
「そうだな。」
「じゃあ、さっそく【小型化】しとく。」
で、やってみたら確かに30センチサイズだった。
「ふむ、確かに小さいな。」
「力などは変化はありますか?」
シャスティに言われて軽く確認すると、
「落ちてるけど、進化する前くらいは出せるみたい。」
「それだけ出せれば十分ですね。」
「それにそれほどのサイズになればフリージア様の懐に潜り込んでお守りすることも可能だ。」
「それは良いですね。」
「2人とも今日はありがとう。これからもよろしく。」
「うむ、よろしく頼むぞ。」
「よろしくお願いします。これからも期待していますよ。」
リア様、俺倒した。
進化出来た。
もう動く程度の体力しか残ってないけど、リア様頑張って。
「だが、聞いていた以上にこの悪魔結晶というモノは禍々しいな。」
「えぇ。これはただ破壊するだけでは周囲に影響を及ぼすようですし・・やっかいですね。」
「黄昏が凍らせて意味あったりする?」
「うむ・・ないよりマシ程度だろうな。だが、それほどかからずに溶かされそうな予感がする。」
「とりあえず直接触れないようにしてまとめておきましょう。この戦いが終わったところで改めて考えましょう。」
「それもそうだな。」
とりあえず、黄昏が氷の中に閉じ込め、その周りを土で固めて転がして町に持っていくことにした。
他の雑魚共のがあちこちに凄い数が転がってるけど後で翠が回収するよね。
だからそっちは放置で良いけど、こっちは悪魔結晶はデカいから色々危ないしな。
--フリージア--
覚醒を使って全力モードになって、【守護者召喚】で頭がいっぱいあるドラゴンに変身。
その時に、そのドラゴンを作り出す核として、私自身と相手が悪魔と関連しているのでパパから悪魔滅殺剣とか言われてる破邪の蛇腹剣を利用しています。
元々【守護者召喚】は、私自身を核とすることで瞬時に私が思い描く姿形、能力を持つように姿を変えているんです。
なので、今回は破邪の蛇腹剣を核とすることでこのドラゴンの全ての攻撃に悪魔滅殺の効果を付与しているような感じです。
【威圧】【覇気】【魔力反射】【物理反射】【武器舞踊】【武器舞踏】を私の魔法全てに纏わせ
【圧縮記憶】【思考速度上昇】【並列思考】【指揮】で、たくさんある頭を全て同時に操り
【一点集中】【心意加増】で敵を倒すことだけに意識を集中させて威力を高め
【読唇】【速読】【視力適用】【ショートクさんの耳】でどこを狙えば一番敵の被害が多いか狙いを定め
【影操作】【衝撃波】【性質変換】【切断強化】【貫通強化】【圧縮強化】で、早速教えてもらったドラゴンブレスを私なりに構築して威力を上げられるだけ上げて
【射撃】【投擲器】で発射
そして、結果として7割ほど殲滅し、2割ほど重症を負わせることに成功しました。
それから、たくさんの腕が生えている大きな人の姿へと姿を変えて私が持つ武器全てを持たせて雑魚共を潰しながら大ボスのもとへと進みます。
その時にちょっと工夫しているのですが、巨人の髪をワザとその身長と同じほどの長さにしてその髪1房1房全てをドラゴンへと変化させています。
そうすることでそのドラゴンの頭全てが【射撃】をしてくれるようにしています。
元々大量のワザや武器を扱えるようにしていたのはこんな感じに【守護者召喚】の時の専攻パターンを広げるためだったんですから。
当時は、ドラゴンの姿で暴れ回ることしか出来なかったのでもっと違う戦法がないと駄目だってニーズヘッグヴァンパイアを倒したときからずっと考えてたんですから、エヘン!
さて、さっきの私オリジナルのブレス(と言うより爆弾)でかなり大盤振る舞いしちゃったので魔力がごっそりと9割ほど削れちゃったので覚醒の効果と【精神統一】で無理矢理急速に回復させます。
その時に翠ちゃんが周囲の雑魚共から私の攻撃を阻害させないように殲滅しながらせっせと私に治療薬を使ってくれています。
結構これ、負荷がかかるんですよ。
しかも今回は、攻撃の威力を高めるときに普段の倍以上思考を加速させて集中させていたので余計に負荷が大きい。
おまけにこれから、大ボスと戦うんですからもっと負担が増えちゃうのは分かっちゃう。
だから翠ちゃんがものすごく必死で治療をしてくれています。
心配かけてごめんね?
だけど、これは私が賢者として存在している理由でもあるから。
これは、私が倒さないといけない。
理由は分からない。
けれど、さっきからずっと頭の中で悪魔を倒せ悪魔を殲滅せよという声が聞こえてくるんです。
そして、あの大量爆殺の時にこんな声が聞こえてきました。
≪進化の条件が整いました。進化しますか?≫
で、戦ってる最中だったので戦いが終わってからにしてと即答しました。
すると
≪進化を一時的に停止し、エクストラミッションを継続致します。≫
そのなんとかミッションって言うのはよく分からないけど今はそんなことを気にしている場合じゃないのでスルー。
本当は、勇者であるユウちゃんとタッグでやるべき何だろうけど、ずっとこいつだけは私1人で倒さないと駄目って気がしてならないんです。
それに関しては、ユウちゃんも了承してくれています。
何か大事なことなんだと分かってくれました。
なので、その分周囲の群れは殲滅するって言ってました。
けど、嬉しいな。
アルちゃんやシルちゃん、セリちゃんの3人は私の弟子として私が鍛え上げました。
まぁ、鍛えたと言うより悪い点を指摘してただひたすら模擬戦をしてあげただけで師匠らしいことは出来てないんですけどね。
後は彼ら(彼女ら)が率先して実戦を、依頼や他のメンバーとの模擬戦を通じて学んだからこそ、今あぁして多くの敵をスムーズにつぶせているのですから。
だから、私はそんなすごい弟子達に師匠としてふさわしいと思ってもらうためにも全てを出し切ってこいつを倒す。
もしかしたら、私はこの戦いでこの体が保たないかもしれないけど、そんなことを気にしている暇はない。
今は、正直私の能力と高いステータスのごり押しと翠ちゃんのバックアップでどうにかしているけれど、限界義理ギリアウトの段階まで全力を引き出している状態ですから。
それに、肉体のリミッターも実は解除してるし。
あの地獄の5年間が影響しているのか、私は意識的に肉体のリミッターを解除することが出来ます。
人間とは、力を数%しか発することが出来ないのだとか。
理由は、多く力を出しすぎると肉体が保たずにぼろぼろになってしまうから。
そうならないように存在する重要なモノが痛みや疲れを感じるということ。
そして今私は、痛みを感じると言う部分を意識的に無視することが出来るので気づけばこんなことが出来るようになりました。
ただ、今までバレていないのは体を動かすことに対するリミッターではなく思考速度から五感等の全てぱっと見では気づかない内面部分のリミッターを外しているから。
こうすることで、覚醒を使ったときの数倍の威力で魔法を扱うことが出来るし、発動までの速度も同じく数倍です。
けど、これは当然代償として私の体は結構やばいことになったりします。
体の内部が結構ヤバイかもなぁ。
まぁ、気にしない。
賢者として、桜華さんの子孫としてお母さんの娘として英雄として全ての障害を薙ぎ払って死んじゃうのは名誉だから。
さぁ、デモンスカイドラゴンよ。
私と殺し合いをしましょう。
おまけ
リア「昨日はにゃんこの日でしたね。」
カルナ「にゃんこ?・・あぁ、2月22日か。人間ってホント不思議なこと思いつくな。何の日なんだ?猫を愛でるか猫を楽しむ日なのか?」
リア「にゃんこになりきる日では?」
カルナ「コスプレとかか?」
リア「いえ、行動そのもの・・いえ、生き様を丸々にゃんこを同じことをするんです。」
カルナ「・・・・・それ、色んな意味でやばいわ。」
リア「どうしてですか?」
カルナ「真面目な人間もくずなやつも全員猫みたいなコトしてみろ・・色んな意味で視界の暴力だ。」
リア「それを撮影して後々の交渉材料としてとっておくと凄く楽しそうですね」
カルナ「間違ってはいないがなんて恐ろしいことを思いつく幼女なんだ。」
リア「思いついたのは、パパですよ?」
カルナ「はぁ・・・・」
リア「?」
カルナ「あぁ・・そういうところはホントお前ら親子だよ。・・ペチュニアさんもその同類だったし、イリスさんがただの真面目なはずないよな・・はぁ・・。」