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カタクリの町での久しぶり~その5~

タイトルロゴ作ってみました。

挿絵(By みてみん)

悪魔化したドラゴンの群れ率いた超大型スタンピートがカタクリの町を襲って来ました。

数も総数だと1万を軽く超えるほどのもので、半分はドラゴンの中でも上位を占めるとても強い個体なのに、悪魔化しているので更に強化されているので凄く大変そう。


けれど、頑張らないとこの町どころかこの大陸すらも危ういので、超全力で頑張ります。






デモンスカイドラゴン 1体

悪魔化した全長50メートルのドラゴン

その巨体で地上戦よりも空中戦を得意とするドラゴンだが、その体格にふさわしい力と頑丈な体を持っている

獲得部位:魔石、魔核、鱗、骨、牙、爪、肉、皮膜、大悪魔結晶




デモンアースドラゴン 1体

悪魔化した全長70メートルのドラゴン

空を飛ぶことが出来なくなった代わりに頑丈さと力強さが他のドラゴンと比べても圧倒的

獲得部位:魔石、魔核、鱗、骨、牙、爪、肉、皮膜、悪魔結晶




タイラントワイバーン 8000体

10メートルサイズにまで巨大化し、半悪魔化していることも影響し、爪と牙、鱗が通常種よりも強化されている

非常にどう猛であり、1体いるとタイラントワイバーンとワイバーン関係なく集まってくる

獲得部位:魔石、牙、爪、鱗、皮膜、骨、肉、、悪魔結晶の欠片、稀に火炎袋




アーミーグラフィシ 5000体

5メートルサイズのハイエナであり、最低でも500体規模の群れを作る。

また、非常に子だくさんであり、群れから離れることもないため、3日放置すると数は軽く倍加することで有名なので数はあまり当てにならない。

また、半悪魔化しているため、通常種よりも動きが素速くなっている

獲得部位:魔石、毛皮、牙、悪魔結晶の欠片




アーミータイラントアント 10000体

3メートルサイズのありであり、非常にどう猛

半悪魔化しているため、通常種よりも体は非常に硬くなっている

群れの規模は、最低でも3000体であり、数が増えやすく、群れ同士が1つにするため、最低数はあまり当てにならない。

獲得部位:魔石、甲殻、悪魔結晶の欠片





改めてあの軍勢を眺めて分かったことは、デモンスカイドラゴンがこの特大スタンピートのトップ(ボス)であり、その次にデモンアースドラゴンのようですね。

そして、あのワイバーンがデモンスカイドラゴンの配下で、あのハイエナがデモンアースドラゴンの配下

で、所謂歩兵?なのがあのアリの軍勢のようです。


どれも、悪魔化していることも影響し、このスタンピート内では最も弱いアリですら軽くAランクはある。

「それで、マルス。今集まってる冒険者たちのランクは大体どの辺りなのかい?」

「あぁ・・最も高くてBランク、他が平均Cランクですなぁ。おまけにBランクも全体の1割程度しかいない。」

今回集まっている冒険者さんたちの人数は1000人しかいません。

「それは・・多分、いや、全員この町の防衛に力を入れてもらった方が良いね。」

「やはりそうなりますか。」

パパとマルスさんがそう語っていると1人の青年が声を上げる。

「ギルマス!どうしてですか!」

「お前らが数人で固まってアリ1匹倒している間に他のアリに食い殺されて終わるからいたって無駄だってことだ。」

「そんなことありません!」

「あの幼女の威圧に腰を抜かさない程度の実力を持ってからにしろ。そのくらい軽く出来なきゃ今回のスタンピートじゃあ数秒と持たずにあいつらの餌だ。いくら優秀な治癒、回復師がいようが時間の無駄だ。」

「・・・」

どうやら、私がギルドで不意打ちをしていたアレに紛れていたようです。

「僕もマルスに賛成だよ。みんなを軽く見たけど君たちが全力で頑張ってもせいぜいあのアリの1割をつぶせる程度だろうね。ただし、君たちの大半はそいつらの腹の中だけど。」

予言者の二つ名を持つパパの台詞に全員が反論出来ませんでした。

パパ自身もかなりの実力者だと有名ですし、予言者の二つ名は未だかつてその予言を外したことがないことで有名ですからね。

せいぜい外れたとしても、ニヤピンですし、違う要因で同じような目にあったりするようですし。


「で、ですgっ!?」

「うっせぇなぁ。文句あんならこの程度耐えてみろや。」

リムさんが軽くキレて、遠慮無用で威圧を発動しました。

結果として、7割が気絶、その他が全員腰を抜かしていました。

「ちっ!これで分かっただろうが。俺のさっきの威圧に軽く耐えられなきゃアリ1匹倒すことなんざ出来ねぇよ。」

「グリムは器用なことが出来るな。わざわざ威圧の威力をその魔物と同じ程度に調整するとはな。」

「まぁ、威圧は俺の専売特許なんで。」

「なるほどなぁ。確かにお主の威圧は群を抜いて威力が強いな。」

「どうも。けど実際、俺やシリル達はこのメンバーの中では最弱ですし、最低でも俺等レベルがなけりゃ到底生き残れませんよね?」

「まぁな。10匹程度であれば良かったんだろうが今回の場合は数でモノを言う個体ばかりだ。純粋に10匹いれば脅威が10倍というわけじゃない。軽く倍加はするだろうしな。」

1+1+・・10ではなく、1+1+・・で途中からその数だけ倍加するという感じですからね、今回の場合は。

群れればやっかいになる種類が特に多いのに加えて、その群れの数が多ければ多いほど脅威になるのがエグいほどいますから。










「リアちゃん、ムリしたら駄目だよ?何かあったらすぐに言ってよね!?絶対に治すから。」

{ありがとうございます。その時はお願いしますね。セイちゃんもムリしたら駄目ですよ。}

「それこそ大丈夫だよ。結果として治す人数が凄い減ったし。」

「こんなところで言うのもアレだけど、リアの奥の手って見るの初めてかも。」

ユウちゃんがそう言うと全員が頷く。

「そういえば、リア様の奥の手って見たことないですね。どんなモノかも聞いたことないですし」

「僕もそういえば知らないね。この中で知ってるのは黄昏以外の獣魔メンバーとグリムくらいかな?」

「えぇ!?イリスさんも知らないんですか!?と言うよりリアちゃん話してないの!?」

(コクリ)

「そんなサックリ返答されても・・・」

{話さずとも生活に支障は無いですし}

「ま、まぁ・・そうなんだけどね。」

{それに奥の手はバラさないからこそ奥の手なんですよ。}

「た、確かに・・」

{後、これを使うときは敵を跡形もなく滅ぼすときなので町の中で使うと言うことはその町もろとも壊滅させるということでもあるのでお気をつけ下さいね?}

ニコッと微笑みながらそう言うと全員の顔が引きつりました。

で、リムさんが小声でこんな状況でみたい笑顔じゃないとつぶやいてました。

ふむ?

翠ちゃんからこういうときは笑顔で言った方が説得力があると前に教えてもらったのでやってみたんですけどね。

後、最近大抵の人が私の表情の変化に気づいてくれる程度にはなれたのでお披露目でもあったんですけどね。

ですが、ホントに良い感じですね。

全員リアクションはともかく素直でした。







そして、奴らはやってきた。










--シリル--

師匠の激レアなスマイルを頂いたのは嬉しいが、もらった状況と台詞の内容がアレだったので素直に喜べなかった。

本人は分かってなさそうだけど、あの台詞の後の笑顔はどこか薄ら寒いモノを感じたので本人が想像している笑顔とは意味が違っているような気がする。

ま、まぁ・・多分翠さんの入れ知恵なんだろうけど・・あの人?は、何を考えてそんな妙なことを師匠に吹き込んでいるのだろうか。

翠さんは、俺たちと同じ世界出身の転生者らしいし、こっちでもあっちでも長生きだったそうだから知識が豊富なのは知ってるけどノリとテンションが俺たちと近いんだけど・・。

そのせいで毎回カルナさんが頭抱えてるし、隣でイリスさんは苦笑いしてるだけでのほほんとしてるからある意味カオスな状況になってるけど。

・・で、それを見て楽しんでいるシャスティさんというのがいつもの光景。


だとしても確かに師匠の奥の手は見たことも聞いたことがない。


で、俺とセリカが以前対応したミートマンたちのスタンピートの時の何十倍どころか何百倍という規模を対処することになった。

どの個体も軽くAランクを超える実力に加えて、数が増えると増えた分だけ脅威となるので事実上SSSランク以上の超高難易度ルナティックのスタンピートだと思う。


でも、1度でもスタンピートを体験したことがあってよかった。

じゃなければ、今以上に落ち着かなかっただろうし、足手まといとして町の防衛として回されていた可能性だってあったんだから。

「ねぇ、シリル。こんな時に言うのもあれなんだけど、師匠と共闘出来る日が来てうれしく思ってる私がいるのっておかしいのかな?」

「いや、俺も同じ気持ちだ。」

ハルトも任せろとはさみをしゃきんしゃきんしている。

エクレは危なければ助けますという意気込みは感じるが基本的に俺から離れる気はないらしく俺の肩の上から離れる素振りがない。

まぁ、良いか。

ちなみに、エクレはその体を電撃に変換することが出来る。

まぁ、攻撃系はそれしかないのだがその威力は折り紙付きで鉄をボロボロにしてしまうほどの威力を誇っている。

可愛い見た目に騙されてはいけないのである。

それは、師匠もそうだが・・というか、見た目詐欺筆頭だし。






気合を入れ直して剣を腰から抜き、全身に蒼と紅の光の粒子を纏わせて構えたところでシャスティさんとカルナさんが巨大化した。

シャスティさんの巨大化はちょいちょい見るがカルナさんの巨大化は何気に初めて見た気がする。

シャスティさん同様体が大きくなる程度で見た目の変化はないらしいがどことなく凛々しい感じがする。

「カルナ、背中に乗せてくれるかい?」

「俺の背中から撃つんだろ?構わないが、俺も攻撃に回るから乗り心地は悪いぞ?」

「その程度問題ないよ。」

「なら、セイ。お前も乗れ。」

「僕がしっかり固定させるから落っこちることはないよ。」

「はい。」

どうやらイリスさんとセイちゃんはカルナさんの背中からの対応をするようだ。

「では、リア様。私とリカルさんはどうしましょうか?」

{リリさんとゼルさんの支援をお願いします。}

「かしこまりました。」

「承知致しました。」



{全員下がっていてください。私が一撃で削れるだけ削りますから。ただ、2回目は使えないのでその後は大元以外はお願いします。}

師匠がそういうので素直に下がる。

師匠の言葉は絶対なのである。

というか、なぜか師匠の言葉は丁寧なのに否定できない謎の威力があるから断れないというのが本音。

おそらく大技を使うんだろう。

大技を使うなら想定せずとも魔力を多く使用するのは分かるし、少しでも数を減らして俺たちの負担を減らそうとしてくれる師匠の思いに素直に感謝する。

それに、師匠があの大ボスを対処してくれるんだ。

俺自身も、その期待に応えてより一層気合いを入れ直さないとな。



というより、師匠のガチ戦闘を目にするのは初めてな気がする。

大抵シャスティさんたちのフォローだけで終わるし、影さんたちを操る程度だし。


そして、師匠からえげつない威力の魔力を感じ取ったところで瞳に魔法陣が宿る。

イリスさんが言うには、師匠オリジナルの技の1つらしく、魔法とかの威力を強化するモノのようだ。

で、師匠の影が漆黒に染まりお湯の沸騰のようにものすごい勢いでボコボコと泡立つ。

何なんだ!?

こんなの一度も見たことないぞ!?

それに、師匠の足元の影からえげつないほどの魔力を感じるんだけど。

しかも、感知しようと一切してないのに肌がビリビリするほどだ。

実際、俺にくっついてるセリカは鳥肌がたってるし顔が引きつってるし。


で、隣で待機していたカルナさん(巨大版)が俺に気づいて羽で撫でてくれる。

うわぁ。

これ、すっげぇ気持ちいい・・・モフモフと軽く現実逃避していたらカルナさんが教えてくれた。

「あれがリアのガチモードだ。普段は技術を磨いているから威力とかは効果範囲を広げたり手数を増やす方面を中心にしてるから大したことないように感じるが、今のリアは本気で敵を殺すことメインに思考も含めてしているからな。・・下手に近づけば巻き添え食らうぞ。アレ、端的に言うとリアが出来ることすべてを1つの技に合わせた技で、文字通りの全力全開の大技だ。正直俺らが束になっても正直敵う未来が全く見えないからな。」

マジかよ・・。

シャスティさんもハディさんうんうんと頷いている。

しかも、あのワザを使って師匠が負けたことはタダの一度たりともないんだとか。

マジなのか・・。


そして、突然師匠の沸騰している影が間欠泉のように大爆発し、師匠がそれに包み込まれてしまう。

思わず駆け寄ろうとしたらシャスティさん(巨大版)の肉球で押しつぶされる。

「落ち着きなさい。カルナの言葉が理解できませんでしたか?近づいても構いませんが死ぬだけですよ。」

「は、はい・・。」

肉球の感触を堪能している自分と注意してくれれば押しつぶさなくてもいいじゃないかと思ってる自分がいる。


そして、その間欠泉は空中で無数に枝分かれし、どこまでも伸び、太くなっていく。

それから、鱗のような模様が全身に出来、そこから間欠泉の最先端が顔らしきものになる。

その顔は、次第に

強靭なあご

すべてを砕く牙

見ただけで貫かれそうな鋭い瞳

それは、見間違うことなくドラゴンだった。


あらゆるものを切り裂く爪に腕が4本

一度振るえばすべてを薙ぎ払う長い尾

数えきれないほどの竜の頭


そして、そのサイズは全長300メートルサイズはあると思われる超巨大な体。



グォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!





その咆哮は、この大陸全てを振るわせ、空気中全体がビリビリと感じ取るほどのものだった。

アレは、間違いなく


「ヒュドラ・・」

全身に鳥肌が立っている状態で俺がぽつりとかろうじてつぶやくとカルナさんが答える。

「アレ、お前らの世界だとヒュドラっていうのか。俺らは普通に多頭竜って言ってたがな。実際ヒュドラって名前の魔物はいはするがな。」

頭が多い種類をそう呼んでいるのか・・。

あれが、師匠の奥の手。

魔法の天才の本気の本気。

「アレがリアの奥の手。リアのあの膨大な技と高いステータス、そしてリアの想像力と記憶、技術のすべての集大成。」

師匠が普段、様々な技術を学んでいたことも、多くのことを同時にまとめて対処していたのも全てこの技を磨き上げるため。

やっぱり師匠はすごい。

あんな凄い人が俺たちの師匠なんだと言うことに歓喜溢れてしまう。



そして、そのヒュドラの頭(おそらく100はある)が一斉にスタンピートに顔を向けて顎をガパリと開いた。

顔の方向は、よくよく見るとスタンピートにまんべんなく向いているような気もする。


「何だ?」

カルナさんも初めて見る動きらしい。

で、そのヒュドラ(影の竜なので影竜と呼ぶ)の顎に黒い球体が1つの顔に対して1つ出来上がる。

その球体は、キュイィィンという音を立てながら巨大化していく。

「・・なんていう膨大な魔力を凝縮しているのだ。」

「リア、あれからまた強くなったんだな。」

楽しそうにしつつも引きつった顔になってるマルスさんと俺も頑張らないとなとつぶやきつつ感心してるグリムがそうつぶやく。

その球体には、ホントにあり得ないほどの濃密な魔力が凝縮されているといやでもわかる。

そして、その球体はあの影竜の頭よりも大きくなっていく。

あまりにも、濃密な魔力に体がぞくぞくする。


それから、影竜は一斉にその球体をスタンピートへ向けて解き放つ。

ランダムに、広範囲に広がって飛んで行った球体は地上と空中にいるそいつらに着弾した瞬間ものすごい大爆発を何度も一斉に起こした。




ズドォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!

ズドォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!

ズドォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!

ズドォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!

ズドォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!





余りにもすさまじく、爆風で吹っ飛びそうになった。

というより数人は飛んで行った。

「うわぁ・・アレ、ある意味じゃあ私たちのせいだよね・・。原爆のときとか世界大戦の時ってこんな感じだったんだろうなぁ。」

セリカがぽつりとつぶやく理由もわかる。

超巨大なきのこ雲がいくつも出来るほどの規模のその爆発は白黒のテレビで見た原爆を彷彿とさせるほどのものだった。

数だけで言えば、こっちの方が上だろうけど。

と言うよりこれは、原爆を一度に複数個、解き放ったような感じだと思わせるほどの威力だ。

むしろ、ラグナロクとかハルマゲドンとか言われる規模だと思う。


それと、セリカのせいと言っているのはおそらく師匠にドラゴンブレスを教えたことを言っているのだろう。

例え、ドラゴンブレスのことを言ったのがマルスさんだったとしても俺やセリカも嬉々として俺らの世界で伝えられているドラゴンについて色々話したのも確かだ。


「わぁお。・・カルナ、アレでどのくらい消し飛んだ?」

「あぁ・・7割はいったな。残りも大半はそれなりにやられたっぽいな。」

全員が絶句している中、目を見開いて驚いているイリスさんとカルナさんがそんなことを言い合っている。

けど・・師匠マジですか・・。

おそらくあの頭1つ1つを師匠は全て操作しているんだろうけど、あの球体1個だけでもえげつないほどの威力だったのにそれが頭の数だけだから100は軽くあるだろう。

それを一度にまとめてとなるとどれだけの魔力などが必要になってくるのか想像もつかない。


すると、師匠の影竜が姿をスルスルと変えていった。

今度は、巨大な人間の姿だった。

だが、腕の数がすごく多く、持つ武器の数も多種多様だ。


「今度は千手観音?」

「カルナさん、アレヒュドラの姿だけじゃないんですか?」

「アレは、姿かたちもリアのイメージ次第だ。だから、どんな姿にするかも、どんなことに長けた姿を作り出すかもリア次第だ。」

さっきは、あのブレスを放つための姿だった。

今は、武器を大量に扱うことに長けた姿に変えるためにこうなったと。

つまりは接近戦に切り替えたのだろう。

やはり、あの遠距離の大技は多用は出来ないようだ。

まぁ、そりゃそうだよな。

アレだけの濃密な魔力を何十、何百と出してるのに、師匠自身はあんな巨体のゴーレムを作り出して行使しているのだから。


というより、姿かたちすらも師匠のイメージ次第なんて・・。

師匠ってホントすごいな・・。


そして、千手観音(多種多様の大量の武器装備済)が、ずんずんと全ての敵を薙ぎ払いながら大ボスの元まで進んでいく姿を眺めながらカルナさんが指示を出してくれる。

・・だとしても、アレだけの大技を出した師匠は魔力の消費は大丈夫なのだろうか?

あの巨人の中で漂う師匠の表情は見えないし、あの師匠の表情を読み取る技術は持たないので分からないが。

・・ムリしないで欲しいが。

「さて、気合を入れ直すぞ。獣魔メンバーでデカブツを潰す。だから、俺とイリスさんが空の連中を一掃する!他のやつらの殲滅は頼むぞ。」

「はい!」

そうだ。

あんなすごい人が師匠なんだ。

だから、弟子としてふさわしい功績を残すためにも頑張らないとな。

これまでお世話になったんだ。

少しでも、俺らを弟子にしてよかったと思ってくれるように。




「ふっ!模擬戦の時も思ったが、やはりお主らやるな。」

「はぁっ!ありがとうございます。とはいえ、最近ようやく師匠に好敵手と思われるようになった程度ですよ。」

「そうなんですよっ!師匠にまず遊び相手と思われるようになるまでホントに時間かかったんですから。やぁっ!」

片っ端からアリやハイエナ共を斬りまくりながら先に進んでいく俺たちだが、その中で紛れて同じように殲滅戦に参加しているマルスさんが感心したように呟いている。

と言うか、さすがギルマスにまで上り詰めた人だな。

両手に鋭く、そして長い爪を炎で作り出し、それで敵を切り裂いている。

そして、肘と踵には、炎の刃が出来ており、全身を無駄なく動かして同じように切り裂いている。

更に周囲には炎の球体が複数漂っており、自身の死角となる部分の相手が近づくと自動的に敵を貫くか、炎に包み込んで殲滅している。

無駄が少なく、そしてとても効率的だ。

「と言うよりシリル。お主はホントに非戦闘職か?」

一応俺は吟遊詩人だと伝えているし、名前の通り吟遊詩人は戦闘には向かない職業だ。

「そうですよ。一応軽業師でもありますけど。」

「なるほどな。その身軽さはそこから来ていたか。その逆にセリカは一撃が重いな。重騎士か?」

重い装備を身につけ、更に重たい武器を扱う職業のことらしい。

「一応武闘家ですよ。そういえば、マルスさんは何なんですか?」

「ワシか?ワシは、炎闘士だ。」

「拳を扱う職業ですか?しかも炎特化の?」

「まぁ、そういうことだ。打撃が良いときはそうだが、今回の場合は斬撃の方が効率が良いからな。」

斬撃と打撃を上手く使い分けているのだろう。

さすがだ。

「だとしてもシリル。お主の魔法は面白いな。ただの炎と氷ではないのだろう?」

「あまり大声で言いたくはないのですが、正しくは熱気と冷気を扱っているんですよ。」

「なるほどな。確かにあまり他人のワザやあれこれを詮索するのはルール違反だからな。ここにいるメンバーはお主以外の部外者はワシだけ故に聞いただけだ。ここだけの話にするつもりだ。」

「それなら良かったです。」

「それにしてもお主らの師匠はちょっと見ない間にずいぶんとレベルアップしたようだな。」

「えぇ・・正直あの奥の手は今初めて見ましたし、聞きました。」

「ほう?だが、あの噂はそういうことだったか。」

「噂ですか?」

師匠は噂が盛りだくさんだからどの噂だ?

「あぁ。あの子の影には神が住んでいるという噂があったんだ。」

それは初めて聞くかも。

だが、言いたいことは分かる。

アレが師匠の奥の手だと聞いていたから納得するが、何も聞かない状態でアレを見れば、影に潜んでいる何かが飛び出てきたと感じるだろう。


「で、お主らも凄いが。あのグリムだったか?あの青年もなかなかやるな。」

「あいつは強いですよ。何しろ死神ですし。」

カイザーローズという超巨大なロ○ズバトラーみたいなSSSランクの魔物をたった1人で足止めしたこともあるらしいし、その前にパウダースフィンクスっていうデカくて硬いスフィンクスの姿をした平均Sランクであるゴーレムを数十体をほとんど1人で倒したこともあるらしいし。

それに何より、師匠が信頼し、実力を認める1人でもある。

「正義の死神とはあいつのことだったか。」

正義の死神?

死神と呼ばれつつも人助けをしてたからそんな呼び方をされるようになったのだろうと推測するが、あいつもあいつで面白いことになってるな。

「あいつもこんなところにまで知られるほど有名人だったのか。」

「お主も人のことは言えんがな。」

それは言わないで下さい。




それにしても多いな。

分かっていたがホントに多い。

ただ、数は多いがミートマンのスタンピートの時と比べると多少は余裕がある。

他にも俺以上の実力のメンバーが揃っているし、互いにフォローしているから軽く呼吸を整えるくらいの隙は作ってくれる。

それにこいつらは、群れて対応されると非常に面倒くさいが、1体1を繰り返すように続ければ動きが単調だから対処がたやすい。


で、視界の端でリリさんたちも戦っているのが見える。

リリさんやゼルさんは冒険者としては師匠よりもずっと先輩だ。

そのこともあり、修羅場はいくつもくぐり抜けているようで戦い慣れていることが軽く見てもすぐに分かる。

その中でも、アルナさんとリカルさんペアは予想以上だ。

アルナさんが念動によって飛んでくる魔法も魔物も問答無用で空中でも地上でも動きを封じ込め、その間でリカルさんが爪先程の小さな石の針を飛ばして急所を突いてとどめを刺し、アルナさんも黒い扇子で的確にとどめを刺している。

あの2人の動きが非常に噛み合っている。

さすが、師匠専属の侍従ペア。

師匠の護衛としてクラリティ王国中でトップレベルだと言われているだけある。

特に良いのは、見た目で判断出来ないことからどんな状況でも対処可能と言うことと、武器らしい武器を持たずに瞬時に対応出来ることだ。

剣や槍のような明らかに武器です!って言うモノだと護衛であることを隠そうとしてもすぐに分かってしまう。

そう言う点を考えると護衛というのは見た目で判断されないようにするスキルは非常に大事なモノだ。

それもあって俺は、自身の体の線を見えにくい服装をするようにしているし、年中長袖長ズボンなんだ。

他の連中は目立つのが嫌いだからそうしていると思っているみたいだがな。

まぁ、俺の場合幼い頃から鍛えていることもあり、ぱっと見は細いが、細胞1つ1つを鍛え上げているので脱げばガッチリとしていて俺の筋肉を見た瞬間に気づかれてしまう。



それはさておき、イリスさんとカルナさんの空中ペアがパネェ。

あの2人が唯一遠距離戦を得意とし、空中戦を可能としているからそのたった2人だけであのワイバーンの群れを対処してくれている。


だが、ホントに凄い。

カルナさんの毒針のガトリングで次々と毒殺し、イリスさんの百発百中の結晶の矢の流星群で次々と打ち落とされていく。

カルナさんは全身から毒針を飛ばせるので数で対処出来るのは分かるが、イリスさんは一度に結晶の矢を5本同時に飛ばし、その5本の矢は空中で1本で100本に分割され、合計500本の矢が全て敵の急所に当たっているんだ。

1本もミスはない。


師匠も規格外だけど、イリスさんは別の意味で規格外だ。

精密射撃方面において世界最強ではないのだろうか。




さぁ、敵はまだまだいるが師匠に負けないように頑張るぞ!

陰の球体の大爆発の連発のイメージは、ナルトの尾獣玉をイメージしてもらえればOKです。

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