カタクリの町での久しぶり~その2~
【閑話休憩】フリージア 画像-挿絵-で、画像を追加しました。
--フリージア--
カタクリの町に到着し、ご挨拶はとりあえず次の日にしようと言うことでお宿に着きました。
人数も人数だったので最上階の全部のお部屋を借りました。
で、しばらくお部屋を誰がどこにするとか言いつつゴロゴロしてたらオーナーのおじさんがやってきました。
「ようこそおいで下さいました。」
「いきなり悪いね。最上階のフロアを丸々借りちゃって」
「いえいえ!皆様がご利用して下さったという事実だけでこちらは十分得をしております。それにしても、お嬢様はお元気そうで本当に良かった。」
「うん、当時はホントにお世話になったね。この宿で家の子は元気を取り戻したと言っても過言じゃないんだから。」
「そう言って頂けてとても嬉しく思いますよ。それと、この言葉は料理長に言ってあげて下さい。当時の食事は家の料理長が独断で決めて作ったモノですから。」
なんと。
あの時のパン粥やその他の当時の私でも食べやすいご飯は全部料理長さんが全部考えて、作ってくれたんですね。
「そうだったんだね。その料理長と話しをすることは?」
「夕飯を後ほどお持ちしますのでその頃に顔を出すそうです。」
「そっか。それで、その時のお礼としてこれをみんなに配ってくれないかい?」
そう言ってパパは、私お手製ハンカチを渡しました。
「よろしいのですか?」
「是非使って欲しいな。家の子の気持ちだから。」
「そういうことでしたらありがたく。」
「後、オーナーさんと料理長さんにはこちらも」
今度はマフラーです。
込めた魔法は4種のを2つ。
ホントにお世話になったので特別製のを。
「本当によろしいのですか?素人目ですが、ハンカチ以上にこのマフラーはかなりの値段になるのでは・・」
「構わないよ。家で作ったモノだから。使い心地を今度教えてくれればそれでいいから。それに、使ってくれた方が家の宣伝にもなるだろう?」
「そうですな。では、ありがたく頂戴致します。では、ごゆっくり。」
そう言ってオーナーさんは去って行きました。
--オーナー--
いやいや、驚いた。
まさか、あのときの子がわざわざ家族連れでお礼をするだけのためにここに来て下さるとは。
本当に律儀な子だ。
初めて会ったときは孤児にしか見えないほどボロボロだった。
だが、久しぶりに会うと纏う雰囲気もずいぶんと柔らかくなっていた。
本当に大切にしてもらえているんだと分かって嬉しく思う。
それに、まさかこんな高価な代物を頂くことになるとは・・。
確かこのハンカチは、巷で噂になってる”清めのハンカチ”だったはずだ。
それに、こっちのマフラーはあの魔道具化されてると言われているマフラーの中では世界中でも最高の贅沢品と言われる一品だったはずだ。
こんな素晴らしいモノをタダでポンと下さるなんて本当に懐の大きなお方だ。
だが、創立以来続けているどんな相手にも誠心誠意込めて対処することを貫いていて本当に良かった。
さて。
クテン様の期待に添えるようより一層気合いを入れましょう。
--フリージア--
それからしばらくしてお外が茜色から真っ黒になった頃、ご飯は来ました。
パパがお願いしていた通りホントに凄い量が来ました。
で、持ってきてくれたお姉さん達にお礼を告げつつ黄昏達の分を頼むと。
「そちらに関しては、料理長が既に特別メニューを考えて出してくださっているようです。とても好評だったそうですよ。」
それは良かった。
黄昏もハディちゃんもお肉を好むとは言え基本的に雑食ですからね。
それに体が大きいのでそれなりに食べますし。
まぁ、黄昏の場合は神獣なので食事はあってもなくてもどっちでもいいらしいですけど娯楽の一種らしいのでハディちゃんと同じ量をいつも食べてます。
そして、メニューはお肉にお野菜と色んなのがたくさんありました。
その中で1品、ミルクで作ったパン粥がありました。
あ、これ・・。
私がその1皿だけ丁寧に食べているとパパが気づいた。
「どうしたんだい?」
{これ、私がここに来て初めて幸せの味を知ったモノなんです。}
あの地獄の5年間から脱出してから本当に生まれて初めて食べて心が温かくなることを知って、感じたのがこれなんです。
「そっか。これが、リアちゃんがこの宿を気に入る理由の1つなんだね。」
パパはそう言いながら納得顔でいつつ、全員がそれを口にする。
「うん、おいしい。」
「凄く心が温かくなるね。」
「けど、ホントこれおいしいね。」
「懐かしいわね。これを食べた後からリアちゃんは雰囲気がすこし柔らかくなったのよね。」
「そういえばそうだった。なんて言うか、生まれ変わったきっかけって感じだったな。」
食べていると料理長のおじさんがやってきました。
そして、そっと中に入ってきた後私と目が合うと目を見開いた後、凄く嬉しそうに柔らかい笑顔を向けてくれました。
当時、このお宿で一番私のことを心配して下さったんですよね。
「お嬢さん、お久しぶりです。あれから世界はいかがですか?」
{お久しぶりです。世界はとてもキラキラしてます。それと、あのとき私に幸せを教えて下さってありがとうございました。おかげで大事な家族や友達と出会うことが出来ました。}
「それは良かった。当時は私の独断の思いつきでこのパン粥を提供させて頂いたのですが、そのおかげでお嬢さんの心を癒すことが出来たのなら幸いです。」
「父親として改めてお礼を言うよ。家の子を救ってくれてありがとう。ここにいるリリ達もそうだけど、この子の心を救ってくれた1人は間違いなくあなただ。」
「いえ、恐縮です。」
「それと、ホントにおいしいよ。いろんなものを食べてきたけどあなたの料理は凄く心が温かくなるね。」
「その言葉は一番嬉しいですね。私に料理を教えてくれた母直伝なんですよ。母は私にとっては目標でもありましたから。」
「そっか。それに、あなたが教会へ祈りに行くようにアドバイスしたんだと聞いたよ?」
「はい。お節介の延長戦程度だったんですよ当時は。ですが、結果としてお嬢さんの手助けになったようで良かった。」
「うん。そのおかげで快適な旅が出来て、無事に僕と再会が出来たんだ。本当にありがとう。お礼の品をオーナーに渡してあるから是非使って欲しい。」
「お気遣い感謝します。ありがたく使わせてもらいますね。では、ごゆっくり。」
そうして、料理長さんは、去って行きました。
--料理長--
良かった。
本当に良かった。
あのとき、ボロボロだった子が今こうして元気そうで幸せそうだった。
それだけで、その姿が見ることが出来ただけで本当に良かった。
それに、本当に良い子だ。
そのお礼のためにわざわざ来てくれるなんて。
良い方々と出会うことが出来たんだね。
それと、お礼としてもらったハンカチとマフラーはどちらも魔法がかかっているあの噂の高級品だった。
まさか、それを作ってるのがあの子の家族だったのは驚きだ。
うん、あの子の気遣いだ。
大事に使わせてもらうよ。
これからの人生でもあの子にたくさんの幸せが訪れるよう教会へ祈りに行こう。
うん、毎日ね。
--フリージア--
料理長さんのご飯は相変わらず心が温かくなるおいしいご飯でした。
「それにしても、リアちゃんホントに人気者だね。」
「だよね。リアがボロボロだったところから養生してたところまで知ってる人たちが集まってるわけだしね。しいて言うなら今のクテン様じゃなくて、過去のリアのことをしっかりと知ってる理解者が集まってるんだね。」
{このお宿どころかこの町に来た頃は、あそこから転移の魔法で飛ばされた着た切り雀状態のまま着替えるものもなかったのでそのままでしたから。}
「当時は、孤児と言っても過言じゃないような状態だったしな。」
「ホントよ。リアちゃん1人だけだったら間違いなく孤児だと認識してたわ。カルナとシャスティがいたからかなり特殊な事情があるんだと瞬時に理解したけど。後は、私とゼル達の総勢で周囲を威嚇しまくったからね!」
凄い良い笑顔でサムズアップしてるリリさん。
そうですね。
当時は、ハディちゃんのように威圧する人がいなかったので主にリリさんがしてましたから。
後、カルナ達は周囲の警戒よりも私の体調を心配するので精一杯という感じでしたし。
・・あの頃は歩くのもやっとこさという感じでしたから。
「あぁ・・そりゃあ、あの人達みたいになるか・・。特に料理長さんはリアのこと凄い心配してたんだね。」
「ねー。誰よりも今のリアちゃんを見て安心してたし、あのご飯食べてるだけでどれだけ気持ちがこもってるか分かるもん。」
「ホントそれ。特にパン粥がおいしかった。」
「そうですよね。私も似たような感じでしたけど、その状況でこれ食べたら同じように感じると思います。あの頃は、食事よりもリア様やイリスさんの気持ちが凄く嬉しかったですね。」
「ある意味ではこのメンバーの中ではアルナさんが一番お嬢様の気持ちを理解出来るのかもしれませんね。」
「あぁ、ですね。けど、ホントにここは優しい人たちが集まってるんですね。この宿に着くまでの間、リア様を見て驚いた表情ばかりでしたけど、凄くホッとした表情の方が多かったですし。」
{冗談抜きのリハビリ状態でしたから。あの頃は、自力で歩くのもやっとという感じでした。杖がなければ歩くのもおそらく無理でしたね。}
「そうそう。杖がなかったらヨロヨロしてそのまま数歩歩いたらこけてたわねあれは。」
「うんうん。おかげで宿の中で杖なしのとこだと本気で気が抜けなかった。特に階段とか」
「そうよね。後はお風呂かしら。お風呂の中でこけたら冗談抜きで命の危機だし。」
「リリ達にも、ホントリアちゃんがお世話になったね。ありがとう。」
「イリスさん気にしないで下さいよ。」
「そうですよイリスさん。私たちは、お世話したくてしたんですから。」
「ははっ。そうだね。これからもそのお節介をよろしく頼むよ。」
「はい。」
「任せて下さい。」
それから、私たちはお風呂と歯磨きを済ませて軽くストレッチをしてから休みました。
お部屋は、私は、獣魔メンバーとアルちゃんです。
アルちゃんのおっぱいを堪能しないといけませんし、アルちゃんの体調を整えるためにも吸わないといけないですからね。
まぁ、毎日してあげてますけど、アルちゃんのお顔がトロントロンの状態で腰砕けになってますけど。
よく分かりませんけど慣れないんですかね?
と思ったら慣れようにもレベルアップ?してるから耐えるのはムリと言われちゃいました。
おかげでアルちゃんはパンツを履き替える回数が増えてます。
ちなみに余談ですが、私がこうして毎日1~2回アルちゃんのおっぱいを吸って、数え切れないほどの回数揉みまくってるおかげでおっぱいがおっきくなってたりします。
つまりは、アルちゃんのおっぱいを育てたのはこの私!
ついでに、私もおっきくなるために同じだけアルちゃんに揉んでもらってます。
最近、身長の伸びはすっごいイマイチですがおっぱいの方が一応順調です。
そのせいですかね?
アルちゃんが私のおっぱいを揉む時、徐々に恥ずかしそうにしてる感じが増してるのは。
アルちゃんに揉まれたりしてるとムズムズすると言いますか気持ち良い気がするのは。
まぁ、気のせいかも?
ということで、まだ言ってませんけど。
気を取り直して翌日
胃袋が成長したのか何なのか食べる量がちょっとずつ増えてる私ですが、おかげでおいしいご飯をたくさん色々食べれるのでお得ですね。
まぁ、お金があるから出来るんですけど。
じゃないとご飯代だけで結構飛ぶんですよ。
それはさておき
「とりあえず、リア様。どこから行きましょうか。」
{教会へお願いします。}
相変わらずアルちゃんに抱っこされてるので歩けません。
「そうだね。ここの神父さんとは話しがしてみたかったんだ。凄く優秀だと噂をよく聞くからね。」
「そうですね。それに、リア様へ教会の腕輪を渡すという形で庇護することを発案したのもここの神父様。つまりは、リア様の恩人でもありますからね。」
「しいて言うなら、クテン様誕生のきっかけですね。」
「そうなるわね。」
「と言うより、露店の人たちですらあんな状態だったのに、教会だと・・どうなるんだろう。」
アルちゃんがそう言うと全員が複雑そうな顔になる。
「あぁ、やっぱりそう思うよね。」
「俺も同感です。タダでさえお嬢様は教会へ顔を出すだけで崇められているというのにこの町となると、想像を絶するかと。」
「そういえば、昔港町にある教会に寄ったとき、リアを目視したシスターが1人目視した瞬間から立ったまま気絶してたこともあったな。」
「カルナさんそれ本当?」
「あぁ。まぁ、そこの神父さん曰くよく気絶する人だから放置して良いって言ってたから結果としてそのまま放置されたんだけどな。けど、しばらくしたら何事もなかったかのように働いてたけど。」
「メンタルが強いのか弱いのか・・。」
「何と言うか、この町の人たちってリアのこと、他の町や教会の人たちよりも輪をかけて神聖視してるよね。」
「うんうん。あ、教会が見えてきたよ。」
で、教会へ足を踏み入れると早速シスターさんたちが出迎えてくれた・・・んですけど。
「ようこそいらっしゃいま・・・・」
「・・・・ま、まさか、お嬢様!?」
「え!?お嬢様!?お嬢様がこちらにわざわざいらして下さったのですか!?」
「・・はっ!は、早く神父様へ知らせに行かないと!!」
「わ、わた、私がいきましゅ!」
「うわぁ・・予想以上だ。」
「うん、予想以上に大パニックになってる。」
「と言うよりここの人たちはリアのことクテン様とか神子様とかじゃなくてお嬢様呼びなんだね。」
「リアがボロボロだった頃から知ってるメンツが揃ってるからなぁ。特にここは。」
何と言うかホントに大パニック状態です。
呆然としてフリーズしてる人が大半で、慌てふためきつつも私に向かってナムナムしてたりしてます。
後、正気が残ってる人は固まってる人たちをたたき起こしたり、神父さんに知らせに行ったりしてます。
これ・・お礼代わりにマフラーを渡したらこの人達どうなっちゃうんだろう?
まぁ、渡すけど。
--カタクリの町の神父さん--
あのお嬢さん・・フリージアさんがこの町を出て早6年が経過した。
それからここに訪れる人は増えた。
フリージアさんのことを思い祈る人が大半だが、治癒や回復魔法を扱う者たちは、その腕を磨くことにより一層力を入れた。
本当に良い傾向だ。
おそらくは、あのボロボロだったあの子のことを自分自身の手で治してあげることが出来なかったことを悔やんでの行動なのだろう。
それでいい。
そうして腕を磨けば、あのお嬢さんのためにしろそうでないにしろ、無駄には決してならないのだから。
で、昨日の夕方辺りから町が騒がしい。
巨大な飛行艇でこの町に誰かが来たということくらいしか分からないが・・まぁ、気にすることではないだろう。
とか思った翌日
「神父様ぁ!!神父様ぁ!!大変!大変です!!」
「何を騒いでいるのですが・・。」
はしたないですよと言いながらなだめるが、その興奮は収まらなかった。
・・ホントにどうしたんだ。
いつも君は、おとなしく礼儀正しい子だっただろうに。
「お嬢様が!!お嬢様がこちらにいらしたんです!!」
お嬢様ねぇ・・・どのお嬢様だ。
お金持ちの女の子はどの子もお嬢様だ。
誰のことを指しているのかさっぱり分からない。
「どのお嬢様のことを指してるんだい?落ち着きなさい。」
「ですから!!フリージアお嬢様です!クテン様です!!神子様です!!」
「っ!?あ、あの子が!?」
話しの流れを推測するに飛行艇を持つような家族か、一族と行動を共にしており、ここに何かしらの用事で訪れたと。
「とにかく!!早くこちらへ!!」
大興奮している様子から悪い扱いをされているわけではなく大事にされているのだというのは察することは出来たが・・。
「分かったから落ち着きなさい。私も年なんだ。そんなに慌てて引っ張られては。」
「はい!」
うん・・・わかってないね。
まぁ、仕方あるまい。
そして、暴走しているシスターの1人に引きずられるように連れてこられた場所に彼女はいた。
あぁ、ホントにあの子だ。
とても健康そうで、健やかに過ごしているようで本当に良かった。
纏う雰囲気もとても柔らかくなっている。
それから共にいる方々も本当にあの子を大事にしているのだとすぐに理解出来た。
「お久しぶりですね。お元気そうで何よりですよ。」
{お久しぶりです。おかげさまでこうして元気で楽しく過ごさせて頂いております。}
ほう。
これは、念話か。
軽くみる限り全く喋れないわけではなさそうだが、普段はこうして話しているのだろう。
おそらくは数言は話せる程度か。
「いえいえ。こうして元気な姿を見ることが出来ただけでも私は幸運ですよ。」
「初めまして、僕はイリス。イリス・クラリティ・エトワール。リアちゃんと血の繋がった父親だ。この子がお世話になったみたいで本当にありがとう。」
白銀の髪の方、この方があのクラリティ王国の天才王子と名高いイリス様だったか。
見た目はペチュニア様と瓜二つだが、内面は本当にそっくりだ。
そうか。
家族が見つかったんだね。
とても優しそうな方だ。
噂で聞いた王位継承権を娘さんの為だけに破棄したと言うのも事実だろう。
「いえ。本当に健やかに過ごしているようで嬉しく思います。」
「今日は・・と言うより今、この子がこれまでお世話になった町を順番に回っているんだ。」
「左様でしたか。わざわざありがとうございます。」
わざわざそのために飛行艇を飛ばしてここまで来て下さったのか。
本当にお優しい方だ。
それから、お嬢さんお手製らしいあの噂の”清めのハンカチ”をこの教会全員分と私だけ4種の魔法が組み込まれたらしいマフラーをもらった。
あのときのお礼らしいので、ありがたく頂戴したが、こちらがもらいすぎなような気もする。
軽く聞いているだけでもかなり高価な物だろう。
それに、使われている生地もとても質が良いものだ。
だが、そのことを告げてもそれだけ嬉しかったのだから受け取って欲しいと言われてしまった。
そう言われると受け取る以外のすべがないではないか。
そうして、金貨数枚ほど寄付して彼女たちは去って行った。
多くの人に慕われ、大事にされているんだな。
良かった。
本当に良かった。
神よ。
私にこのような機会を授けて下さったことを感謝致します。
やはり、あの時、最高ランクの教会の腕輪を授けることにして良かった。
私の考えは正しかった。
それと、まさかセイ様まで共にいらしたとは驚いた。
教会に勤めるモノは必ず知っている重鎮である貴族の1人。
今、フリージアさんの友人でもあるらしくあの方からも感謝の気持ちを頂いた。
そして、私に治癒と回復魔法を使い、去って行った。
・・自分自身への治癒と回復は私の場合は効かなくはないものの効果はイマイチなんですよね。
ですが、自分に対してはたいしたことはなくとも他人に対しては絶大な効果を誇っていたことが幸いし救える人は多かった。
そして、セイ様のおかげで体はとても快調だ。
さて、出来るだけ長く生き、救えるだけ多くの人を救い、善なる道へ導きましょう。
フリージアさんを始め、あの方々の未来が明るいことを願いましょう。
こうして、再びお姿を拝むことが出来たことを感謝致します。
--フリージア--
相変わらず柔らかい雰囲気で優しいおじいさんでした。
マフラーも渡せましたし、ホントに私のことを心配してくれたんだと実感しました。
{セイちゃんのこともご存じでしたね。}
「あぁ、まぁね。私の家というか一族は職業柄もあるんだけど、教会を支えるための一族だから。と言うより初代様が教会とかなり親密な立場だったからその名残みたいなモノかな。」
あぁなるほど。
聖女ですから、教会側で言うところの私と似たような感じなんですね。
「ホントに優しい方だったね。」
「あぁ、あの頃と全く変わらないようで良かったよ。俺等とリアの話しを真面目に聞いてくれてこちらの気持ちも共感してくれたんだ。」
「普通なら子供の戯れ言だとか言って無視することだってあり得たのに、当時のボロボロだったリアちゃんを見てもその態度だったことに関してはホントに出来た人だと思うわ。」
「だよなぁ。俺がその立場だったら治しはしても話しは言葉半分で聞き流して可能性があったし。」
「うん。僕も話が出来て良かったよ。ホントに良い人だね。」
「はい。凄くお優しい方でしたね。不思議と私、あの人から対人恐怖症が出ませんでしたし。」
「アルナさんがそうなるってかなりのことじゃない?」
アルちゃんの対人恐怖症は完全完治していません。
超警戒心が高いと言う感じの今ですが、普通にお話しが出来るほどでしたからね。
それから私たちは、ギルドへ向かうことにしました。
もちろんギルドマスターのおじいちゃん目当てです。
ちなみに私、アルちゃんにずっと抱っこされたままです。
で、両隣にはリリさんとパパが左右にいます。
そして、常に私の頭を撫でてます。
まぁ、いつものことなのでスルーしますけど。
ギルドでふと思いましたが、お話しの中でよく聞く”お約束”というやつを体験したことないですね。
まぁ、大抵シャスティやハディちゃんが周囲に威圧を垂れ流して強制的に黙らせてるからなんですけど。
で、ギルドに足を踏み入れると、ギルドの中がしんと静まりかえりました。
けど、スルーして受付へ行きます。
「さすがリアちゃんこれすらもガン無視なんだ。」
「その度胸を少し分けて欲しい。」
「それは同感。」
ユウちゃんのつぶやきにシルちゃんが同意しているけどスルー。
アルちゃんはと言うと、私という精神安定剤と、私の対応を見習って周囲の人たちはいないモノと判断して全スルーしてます。
で、フリーズしている受付のお姉さんにパパが声をかける。
「申し訳ないけど、ギルドマスターと話しをすることは出来るかな?」
「ふわぁ//・・はっ!え、えと・・そのぉ・・」
パパに見惚れて惚けてましたけど瞬時に正気に戻ったモノのまごまごしてます。
多分どこの誰か分からないのにいきなり会わせろって言われてもなぁ・・ってことなんでしょうね。
それをどう説明すれば良いか言葉が出ないという感じでしょうか。
でパパもそれを察したのか、ギルドカード(パパのと私の2つ)と公爵家の儀礼剣をセットで差し出した。
ギルドカードだけで良いのに何で?と思ったけど、確かにギルドのランクと貴族としてのランクがダブルであったら一番どこの誰か分かりやすいですよね。
この町に入ってきたときに聞かれたから同じやり方をしているみたいです。
何度も言われて2回出すより1回でまとめて出した方が楽ですしね。
「あ、は、拝見しま・・・・・・」
あ、また固まった。
「っ!?っ!?っっ!?!?!?しょ、少々お待ちくだしゃいぃぃぃ!」
声なき悲鳴を上げながら大パニックになってるなぁと思ったら語尾をかみながら奥に走り去ってしまった。
後、足下がおぼつかなかったらしく軽くこけたりぶつかったりしながらでした。
・・あのお姉さん大丈夫かな?
「彼女大丈夫かな?」
「気持ちは分かりますが、受付嬢としてはまだまだ甘いですね。その程度驚いても態度と仕草、言葉使いには現さないようにするモノです。」
「アリスはちょっとやそっとのことじゃぴくともしないからね。大抵のことには驚かないから凄く好評だよ?けどまぁ、その表情を変えてみせるとかほざいてる連中もいるけど。」
主にアリス姉さんの満面の笑みが見たいというアリスさんファンの人たちです。
「私の笑顔は安くありませんよ。身内以外に見せるつもりは早々ありません。」
「それもそうだね。まぁ、無理矢理じゃなく健全だったらある程度は良いと思うけどね。」
「そうですね。それが世のため人のためになるならば。」
根元の部分はパパとアリス姉さんは似ているのかもしれませんね。
世のため人のために身を惜しんで頑張る姿とかね。
--カタクリの町のギルマス--
ふむ・・ここ5~6年は面白いのがいなくてつまらん。
活きの良いのはいるが、所詮はただ良いだけで、面白くはない。
つまらん。
まぁ、あの幼女が特別だったと言えるがな。
初めて見たときはタダの幼女だった。
付き添いの獣魔2体は桁違いだったが、アレは保護者が凄いだけで獣魔というくくりを除けばその主はやはりタダの幼女だった。
だが、あのスタンピートが終結した後、実戦を想定した魔法訓練の手ほどきをしたが、面白かった。
最初は確かにおぼつかなかった。
だが、訓練を続けていくごとに目に見える速度で成長していった。
そして、ワシの目の前で魔法反射を自力で編み出した。
当時はただ面白い幼女だと思う程度だったが、よくよく考えれば魔法に長けた老人でも魔法の受け流しが限界だったのに伝説とまで言われた実現不可能な魔法最高峰技術である魔法反射を幼女が編み出した。
しかも1回や2回ではない。
幼女の魔力が続く限り常に反射は続いていた。
アレは間違いなく本人の力だ。
その技術も素晴らしかったが、実戦を想定した魔法の使い方が上手かった。
視界の広さ
魔力消費量
自身の立ち振る舞い
分析力
観察力
細かく言えばまだまだ挙がるが、あの訓練の時間帯だけでそういう部分にまで着眼し、身につけた。
その成長速度はすさまじく、成長すればSランクくらい軽く成れるだろうと思っていたが、ホントにあの幼女は6年後にSランクに昇格した。
今では、教会では神子・・いやクテン様と崇められ、ギルドでは魔鏡姫と讃えられ、指名手配されるような黒い連中からは夜叉姫と恐れられるとんでも幼女に進化した。
おまけに血の繋がった家族が見つかったらしく、その親がまさかの流星姫とクラリティ王国の元第一王子であるあの天才王子だったのは驚きだった。
まぁ・・驚いたのは確かだが、同時に納得した。
あれほどの頭の回転の速さと魔法関連の天才的なまでの成長速度。
親がどっちも規格外なんだ。
そのくらい軽くこなせるだろう。
だが、ワシもまさか自分が魔鏡姫を産み出すきっかけになるとは予想外だった。
・・・正直ワシが編み出させたわけではなく、特訓に付き合っていたらあっちが勝手に編み出しただけなんだよなぁ。
どうすれば出来るかワシに聞かないで欲しい。
目の前で幼女が勝手に編み出して自力で出来るようになっただけだし。
まぁ・・あの子のことだ。
どうにかしてやり返そうとして気がつけば出来ていたとでも答えるだろう。
あの子は天才だが感覚派で、モノを教えられるような感じではなさそうだ。
だが、教えられたとしても出来るとは思わないが。
それで出来るなら魔鏡姫と呼ばれることはなかっただろうしな。
なぜなら、未だに魔法反射が出来る人物はあの幼女1人なのだから。
で、ある日
飛行艇がこの町にやってきた。
はぁ・・またクテン様の噂を聞きつけてどこぞの貴族が来たか。
とか思ってたが、その飛行艇が飛んできてから町の中が騒がしかったり逆に静まりかえったりしていた。
何だ?
何なんだ?
どんな飛んでも貴族が来たんだ?
とか、頭の片隅で考えつつ窓の外をぼんやり眺めていると扉がものすごい勢いでノックもなしで開いた。
すぱーんとかではなく、どかぁぁんって感じだ。
「ギルマしゅ!ギリュマス!大変れす!!」
「落ち着け。まず、人間の言葉を話せ。」
何を慌てているんだ。
パニックになりすぎて言葉が変になってるだろうが。
クレーマーなら困った表情になるだろうし、とんでもない魔物の部位を持ってきたんならここまで慌てないだろうし。
ホントに何なんだ。
「何を慌てているんだ。まるで、物語の英雄が目の前に現れたみたいな戸惑いぶりだぞ。」
なんてなと冗談交じりで言ったのだが・・・
「その通りです!」
断言された。
おまけに即答された。
えぇ・・・
「何?お化けでも出たの?」
あの世から英雄のお化けがお客さんとしてやってきたの?
やだわぁ。
そんな面倒くさいこと。
巻き込まないでくれない?
実力はそこそこあるけどお化け退治は専門外なんだけど。
「ち・が・い・ま・す!生きてます!超絶美少女と巨乳メイドさんと超絶美女とその他諸々の美男美女軍団が来たんです!!おまけに身分も実力も最高な超優良物件です!」
おいおい・・
言いたいことは分かるが、言い方が親父臭いぞ。
と言うか、おばさん臭い。
なんで、結婚相手の条件として最高みたいな言い方してるんだこいつ。
「・・で?」
これ以外何を言えと?
「で?じゃないですよ!!早く来て下さい!」
「なんで顔の良い貴族連中のためにわざわざ顔を出さねばならんのだ。面倒くさい。」
「何を言ってるんですか!元はと言えばギルマスが元凶なご家族なんですよ!?」
「ワシ!?」
ワシいつの間にどこぞの貴族のお家騒動に巻き込まれてたの!?
「とにかく来て下さい!超絶美少女がギルマスをお呼びなんです!美少女ですよ!美少女!!あ、けど、美幼女かも?」
うん・・とりあえず呼び出してるのはその親らしき人ではなくその顔の良い幼女だって言うのは分かった。
だが幼女かぁ・・
覚えのある幼女は、年齢的には少女だったはずだが・・成長がゆっくりなのか?
けど、ホントにあの幼女?
と、頭の隅で考えつつワシはパニックだったやつに引きずられていった。
で、引きずられていった先にいた幼女は、確かに考えていた通り知っている幼女だった。