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カタクリの町で久しぶり~その1~

--フリージア--

カタクリの町に到着しました。

で、町に入るまでに早速お騒がせしちゃいましたけど、パパのスマイルで全員が分かってくれました。

一応お詫びにハンカチとマフラーをプレゼントしたので大丈夫。

アレは、家の宣伝ってパパは言いましたが実際はパパが趣味の娘自慢してただけです。

家の娘はこんな凄いのが作れるだ凄いでしょ!?と言いたいだけです。


で、それをもらった人は良いように妄想を膨らませているだけです。


「それで、リアちゃん。ハンカチにマフラーはどのくらい用意しているのかな?」

お船の中でずっと影さんたちを出せるだけ出して作りまくってたのに加えて、私自身も空いた時間にせっせと作ってるのを知ってるパパは楽しそうに尋ねてくる。

{ハンカチは、1768。マフラーは、1種が718、2種が527、3種が495です。}

全員「ぶふっ!」

(?)

「リアちゃん!?かわいく首をかしげてるけど数がエグいよ!?」

{1つのことに集中してるので普段よりも効率よく作れました。それに、負担もかなり軽いですよ。}

「・・そういうものなの?」

(コクリ)

そう言うモノです。

色んなのを同時にやってるよりも1つのことに集中した方が楽なんです。

それに、影さんたちもずっと稼働させていたおかげで操作命令がかなり楽になったと言いますか、融通が効きやすくなりました。

例えるなら、これまでならどの武器の素振りをしろとかどれの刺繍をしろとかかなりピンポイントにする必要がありました。

けれど、素振りをしろ、刺繍をしろで種類をランダムにしたり、途中でその種類を切り替えたりすることも勝手にしてくれるように出来ました。


まーお船の中で作った数がその数であって、本当はこれまで売らずに趣味で手元に放置してた分まで合わせるこのくらいあるんですけどね。



ハンカチ:58495

マフラー

1種:6872

2種:5626

3種:4557

4種:3948




ハンカチは元々前から作ってたのでため込んで多分もかなりありますからね。

ちなみにマフラーの1種2種というのは、魔法を込めた数のことですよ?


「まぁ、とりあえず多少配っても大丈夫だってことは分かったよ。」

それと、定期的に販売している数に関しては、私たちが不在している間分の量をまとめて渡してます。


「では、付随する感じで俺は、お嬢様の絵本を1867冊と、風景画を3869ほど用意してきました。」

「じゃあ俺も・・絵本を975冊、種類はバラバラですが用意してきました。」

リカルさんとシルちゃんがついでとばかりに暴露しました。

私の絵本というのは、私のあの5年間のことを描いた絵本のことです。

「あんたらもか!?」

「と言うより、シリル!?いつの間にそんなにたくさん用意してたの!?毎晩私とセッkむぐっ!」

「は~いセリカは黙ってようなー」

セリちゃんが何か言おうとしたけど途中でシルちゃんが止めました。(強制)


「君たちはホントに楽しいね。」

「いや、イリスさん・・商売根性たくましいとしか言い様がないですけど楽しいで済むんですか?」

「良いんじゃない?僕も似たようなモノだし。」

「え"・・ちなみにイリスさんは何を?」

「ん?ちょっと前に作って量産してた強化版浄化魔法の魔道具だよ。形は指輪タイプだね。」

ウチの国では結構ポピュラーですが、指輪タイプは世間的にはかなり貴重です。

基本的に、魔道具のサイズは内容はさておき、せいぜい片手サイズくらいが平均的。

それと比べるとどれほど小型化されていることが凄いか分かりますよね。


ちなみに強化版の浄化魔法は、その威力はすさまじく、普通の浄化魔法が魔力を1込めると1メートル範囲をきれいにするくらいと仮定すると強化版は同じ量の魔力を込めると5メートル範囲をきれいにします。

威力が桁違いなんです。

おまけ機能として、かなりたくさん魔力を込めると下手なアンデッドにかなり大きなダメージが入ります。

威力は、聖水レベルは軽く越えます。

聖水とは、名前の通り聖なるお水でこれをかけるだけで浄化作用があるのに加え、アンデッド相手には絶大な威力を誇ります。

例えばゾンビがいたとして聖水をかけるとじゅわーっとゾンビのかけられた範囲の体の部分が溶けます。

で、強化版だと灰になります。

強い個体だと灰に出来ませんが、かけた個体以外の近くにいる個体も巻き添えにします。


「それをいくつほど?」

「ん?リアちゃんの慰安旅行だって聞いて魔術師団のみんなが張り切ったらしくてね。出掛けた先でついでに売るモノあるなら持っていくよ?って言ったら、今回開発したこれを持っていって欲しいって頼まれたんだ。確か、ちょうど2万個だったはずだよ?」

ちなみに色は、白銀です。

これは、クラリティ王国で開発したモノだからという理由で、この国の王族の髪色である白銀にしようという声が上がり、そうなりました。

ちなみに、その2万個の内100個だけ白銀ではなく真っ黒のがあります。

性能は全く同じですが、素材が違うだけで対して変わりません。

ホントに色が違うだけ。

まぁ、言わずもがな私の色なんですけどね。

どうやら、レアもの扱いしたかったらしく2万分の100の確率で黒いのが手に入ればあなたは運が良いね!ってことらしい。

しかもそれ、渡すときはホントにランダムで渡すので完全なる運任せで、以外と黒いのを欲しがる人は多かったりします。

・・主に、私・・と言うかクテン信者の人たちなんですけどね・・あはは。


私の場合は、別枠です。

お母さんがお母さんなのでみんなご存じですし。

「凄い数ですね・・。」

「キリの良い数にしたいとか言って、気づけばそのくらいになったらしいよ。」

「あ、私は治癒と回復魔法で安めにして出来るだけ対応して稼ぐ予定です。まぁ、修行と慈善活動も兼ねてます。」

「俺は、パンを露店販売する予定でそれなりの数を作ってるぞ。余所での評判を知っておきたいし、俺の普段の値段で売るつもりだから金がなくて食えないやつがいたらそいつらのためにもなるしな。」

あのお船の中には立派なパンを焼くための窯がありますからね。

{売る場所ありますか?}

「どこかの食い物屋で売ってもらうように頼むか、ギルドに直接頼みに行くさ。」

なるほど。

と言う感じで、セイちゃんとリムさんが付随。


「皆さんがそうなら、私はギルドで軽く助言など出来ればしますね。」

「手伝うわけではないんだな?」

「えぇ。そうしてしまうとせっかくの新婚旅行なのに一緒にいられないではないですか。」

「くふっ!うれしいことを言ってくれる。なら俺は、せめて愛する妻に悪い虫がつかないようにずっと傍にいるさ。」

「うぐっ!」

アリス姉さんとラウ兄さんがいちゃつきバトルを勃発。(結果はいつものように引き分け)


「じゃあ、私はリア様のお手伝いもですが本日泊まる宿でお手伝いさせてもらおうかなぁ。」

「僕は、セイの護衛くらいかな。色んな人たちと模擬戦でも良いけど。」

アルちゃんとユウちゃんがそう言う。

{模擬戦でしたら、もしかするとギルマスさんと出来るかもしれませんよ。}

「リア。そうなの?」

{魔法の扱い方を教えて下さったのはアリス姉さんですが、実戦を想定した魔法の使い方を教えて下さったのはこの町のギルマスさんですよ。凄く教え方も上手でした。}

「へぇー。機会があれば模擬戦したいなぁ。出来なくても話しだけでもしたいかも。」

「師匠。俺もそれ出来れば参加したいです。もし、報酬が必要でしたら音の支配者として喜んで歌いますけど。」



「と言うかみんな稼ぐ気満々!?」

「各地を回るんだからリアちゃんが立派になったことのアピールも兼ねてるけど、リアちゃんと共にいるメンバーだって凄いんだって色んな方面で分からせた方が良いだろう?味方は多いに越したことはないし、我が国のアピールさ。」

「な、なるほど。」


ちなみに余談ですが、私の故郷である都ですが、そこで作られた薬草や武具はクラリティ王国に定期的に納品されています。

薬草は、通常のモノよりも効力が強いらしく1.5~2倍ほどのお値段で薬師の皆さんが営むクランが買い取り、

武具は武器を売っているあのおっきな建物の皆さんへ全て売っています。

そして、防具に関してはそこから同国の防具を扱う人たちへ配布し、売ってもらっているんです。

性能も防具と言うより魔道具寄りな感じになってることもあり、そこそこ売れてるそうです。

お値段は、材料費がそれほど高くないので意外とお安めと言うこともあり、お金のない冒険者さんたちが中心に買ってくれてるらしく、初心者から中級者くらいのランクの人たちに愛用されてるようです。

上級者になるとさすがに・・とのことらしいですが、初心者から中級者くらいの人たちからすると安くて使いやすく、効果も値段からするととても良いとのことで好評とのこと。

それと、私が収める都産と言うこともあり、縁起が良いという理由で購入する人も少なくないんだそうです。

ちなみに、シルちゃんとセリちゃんが使っている防具はその王国へ売却しているものとは比べものにならないくらい高性能な最高傑作だと都人たちは言います。

出来る範囲での限界ギリギリまで強化した一品ですからね。

試作品ではありますよ?

ただし、どのくらいまで強化・・と言うか、最高ランクが出来るかという意味での試作ですけど。

けれど、そのおかげで王国へ売却するときのランクをどのくらいにするか決定したようなモノですけど。




「んー・・・これ、慰安旅行なのかな?・・私の気のせいじゃなければ営業販売なんだけど」

「奇遇だね。僕もそう思うよ。」

セイちゃん、ユウちゃんが何か言ってるけどスルー。



「それにしても、凄く静かですね・・ま、まぁ・・視線もこっちに集まっているので理由はわかっているんですけど・・。」

私を抱っこしてるアルちゃんが苦笑いしてる。


パパも含めて私たちのメンバーは美形が揃ってますからね。

私ですか?

周囲の人たちがかわいいと言ってるので美形なんだろうなぁとは思いますけど。

自分ではどうかはよく分かりません。

だって、産まれてからずっとこの顔なんですもの。

自分で自分に見惚れることが理解出来ませんし。


で、今は時間も時間なのであちこちにご挨拶にいくのは明日にしてお宿に行きましょうと言うことになってます。

お宿はもちろん初めてここに来たときに泊まったあのお宿です。


それで、街の人たちはと言うと目を見開いた状態のままお口をポカンと開けっ放しで私たち・・と言うより主に私を見てフリーズしてます。

多分私のことが誰なのか気づいたんでしょうね。

特にカルナとシャスティがいますしね。

私だけだとタダのそっくりさんで済むのですが、カルナとシャスティまで一緒だと100%クテンだって分かりますからね。

けど、気にしない。



「こういうときに改めてハディさんのありがたさを痛感します。」

軽く威圧を放ちながらのっしのっしと進んでいるハディちゃんのおかげで私たちに近づく人たちはいません。

ついでに言うと、リムさんも同じように威圧を放ってるので嫌でも近づけないが正解ですけど。

{リムさんもありがとうございます。}

「気にするな。この体質が役に立つならお安いご用だ。それに対した苦労じゃないしな。ホントに軽く息抜きした程度放ってるだけだし。」

「軽く息抜きした程度の威力でその威力なんだね。ホントに威圧関係になるとグリムは優秀だね。」

「ありがとうございます。昔は自分が大嫌いでしたけどね。特にこの体質は。」

気持ちは分かりますよ。

色んな人たちに怖がられるわけですからね。

「けど、あの国に来てからは確かに怖がる人は少なくはないけど、それでも普通に気にせずに接してくれる人たちは多いから凄く感謝してるんですよ。おかげで強くなれたしこの体質もある程度制御出来るようになった。・・それに、守りたい人も出来たしな。」

最後にぽつりとつぶやいた台詞は耳の良い人だけ聞こえました。

・・私も聞こえました。

他の人たちより五感が鋭いらしいですし、距離も近かったですからね。

それにしても・・もう//

そんな恥ずかしいこと言わないで下さい。

八つ当たり程度にリムさんのほっぺを引っ張る。

対して力はないのでむにょ~んと伸びるだけ。



で、引っ張られているリムさんはというと自分でも恥ずかしいことを言ったと自覚があるらしく顔が赤いまま私の方へ顔を向けてくれません。

で、私にされるがまま抵抗せずにほっぺを引っ張られてます。


「グリム。リアちゃんをよろしくね。」

「う、うっす。これからも努力し続けます。」

「うん。それでいいよ。」

パパが柔らかな笑みを浮かべながらそう言うとリムさんは真剣な表情で頷きました。








「それで、この宿が?」

(コクリ)

「そうそう。懐かしいわぁ。」

「だなぁ。あのときは確か偶然ここを安く借りられたんだったよな。」

「えぇ、そうよ。けど今回は気にせずに通常料金で泊まれるわ。・・せめてものお礼にはなるのかしら。」

「だと思うぜ?お客として来た方があっちも喜ぶだろうし。」

「そうね。」

リリさんとゼルさんが懐かしみながらそう言う。


「へぇ~、ここがそうなんだ。」

「確かリアは、この宿でリリさんたちに丸洗いされたんだよね?ある意味生まれ変わった場所?」

「そうそう。確かそうだった。後、着せ替え人形に生まれ変わったんだって最初辺りは本気で思い込んでたところ。」

「・・・あなたたちはどういう説明をされてるのかしら。」

セイちゃんとユウちゃんがそう言うとリリさんたちが軽く呆れた表情になってる。

で、2人はそーっと視線を逸らしてました。


だって、当時は本気でそう思ってたんですよ。

全身丸洗いされた直後からリリさんたちとお別れするまで隙あらば強制的に着せ替えされてたんですもの。

しかも、脱がせるモノ着せるのも全部リリさんたちで、私は一切動いてません。

全ての行程がされるがままでした。



「いつまでも入口で喋っていたら邪魔になるからとりあえず入ろうか。」

(コクリ)



で、アルちゃんからパパに抱っこが変更されてお宿に入ると受付にはアルちゃんよりちょっと年上と思われるお姉さんがいました。

「いらっしゃいまs・・うわぁ//すごい美人。後すっごいかわいい//」

とか言いながら私とパパに視線がロックオンされたままお顔が赤くなってます。

で、それを見ていた他メンバーはと言うと。

「ですよね-、そうなりますよねー。」

「リアちゃんだけでも破壊力がすさまじいのにイリスさんまで加わると威力が倍加しますよね。」

「うんうん。特にリアへの耐性がない人がこの2人の組み合わせを拝んだらしばらく再起不能になるよね。」

「これ・・私が抱っこしたままの方が多少はマシだったでしょうか。」

「その方が良かったかもしれませんね。」

「後は、気にせずにスルーしても良いんじゃないかしら。どうせ、フリーズするのには変わらないのだから。」

「だなー。フリージア単体でも誰が抱っこしても似たような状況になると思うし。」



で、パパというと苦笑いしながら受付のお姉さんに声をかける。

「大丈夫かい?」

「ふぁ!ふぁい!らいじょうぶでふ!」

・・ホントに大丈夫です?

誰が聞いても大丈夫じゃなさそうなんですけど。

「そうかい?このメンバーで泊まりたいんだけど部屋はあるかい?」

「ちなみに、ご予算は・・?」

「いくらでも良いよ。」

「ご宿泊はどれほどのご予定でしょうか?」

「そうだね。4泊だね。」

「そ、それでは、最上階のフロアを貸し切りで金貨7枚でいかがでしょうか。お風呂にお食事もセットれふ。」

最後噛みましたね。

と言うより、おめめがぐるぐる状態です。

お仕事は普通に出来てますけど大丈夫ですかね?

で、頭を撫でようかと思いましたけど、そのお姉さんのメンタルが保たないとか言われたのでしてませんけど。

「それでお願いしようかな。」

「はい・・・あの・・多いようですが・・」

パパ、金貨10枚渡しました。

「うん。娘が6年くらい前にここでお世話になったからね。」

「6年前ですか?」

ここでようやくお姉さんは正気に戻ったようです。

お顔は赤いままですけど


で、私をじーっと見ながら。

「申し訳ありません。私はここには2年前から在籍しているので・・」

「そっか。なら、支配人か料理長さんに伝えておいてくれるかい?多分娘の容姿を伝えれば通じると思うから。まぁ、ムリして言う必要はないよ。とりあえずとっておいて。」

「は、はい。ありがとうございます。あ、鍵はこちらになります。お部屋はあちらの階段からお上がり下さい。はっ!ご、ご案内!ご案内しなきゃ!」

「大丈夫だよ。そこから上がれば良いんだね。3階のフロア全てだから迷わないよ。」

「あ、ありがとうございます。お食事はお時間になったらお部屋にお持ち致しますので。」

「あ、そうだ。食事なんだけど僕たちの人数の2倍は持ってきて欲しいんだ。」

「ふぇ?は、はい。承知致しました。・・そっか、あのお金はご飯代だったんだ。では、ごゆっくり。」

最後にぽつりとつぶやいて納得した表情で頷いてました。

「あぁ、そうだ。家の獣魔でこの2人が体が大きいんだけど、そっちの庭か小屋は借りれるかい?」

「はい。お客様用ですのでご自由に利用出来ますよ。」

「そっか。じゃあありがたく。」


そして、黄昏とハディちゃんはお庭にあるおっきな小屋に行きました。

食事は持っていきますし、出来るだけ会いに行きますからね。

2人も分かってくれてますのでのんびりとお話ししながら休むそうです。

元々2人はお家の中よりお外の方を好むんですよね、本当は。

なので丁度良かったりします。

基本的に私の我が儘でお部屋に一緒にいるだけですし。






--宿のお姉さん--

はぁーーーーー。

やばかった。

こんなに緊張したの、生まれて初めてだよ。

と言うより、お母さん美人過ぎる!

それと娘さん超かわいい!!

何と言う超絶美形親子!!

あまりにも美形過ぎて心臓が止まるかと思った。


けど、4泊であの人数でご飯を2倍にするにしてもお金多いよね?

6年前かぁ・・オーナーに聞いたら分かるかな?

それに、あの美形親子は間違いなく貴族様だよね。

服もきれいだったし礼儀正しかったし、一緒にいる人たちの一部はどう見てもメイドさんに執事さんに騎士さんだったし。

だとしても、あのメイドさんのおっぱいおっきかったなぁ。

うらやましい・・と言うより、ちょっと揉ませて欲しかったかも。

っといけないいけない。

「オーナー、失礼します。」

「おや?どうしたんだい?何か問題でも?大人数のお客様が来たようだけど。」

「そのお客様より6年前に娘さんがお世話になったからとのことでお金を多めに下さいまして・・。」

「6年前かぁ・・どんなお客様だったか分かるかい?」

「すっごい美形親子でした!後、メイドさんに執事さんに騎士さんまで連れてました。娘さんが超絶美少女でした。いや、美幼女?」

「幼女・・いや、美形なのは分かったから髪色とか見た目の特徴を教えてくれないかな?」

「はっ!そうでした。確か、そのお母さんである貴族様が言うには娘さんの特徴を言えば通じるそうなので、娘さんの特徴だけお伝えしますね。」

「ふむ、娘さんだけならか・・まさかな。」

「オーナー?何か心当たりが?」

「いや、偶然かもしれない。続けてくれ。」

「はい。黒髪ストレートで太ももくらいまである凄く長い髪の凄くかわいい女の子ですっごい物静かでした。」

「黒髪幼女・・その子、大人サイズの杖とか持っていたかい?」

「あ、ありました。後剣も。」

「そうか・・それと獣魔はいたかい?」

「その子のかは分かりませんけどいましたよ。」

「どんな子たちだったか教えてくれるかい?」

「えっと、脚3本のカラスと蒼い毛並みの尻尾の長い猫と動くお人形とウールスフィアと巨大なワニとライオンと虎が混ざったような大型獣でした。」

「っ!!その子たちの名前は分かるかい?」

ん?

オーナーの目が見開いた。

知ってる人だった?

名前は、確か受け付けるときに書いてもらった分だと・・・

「えぇっと、全員分の名前が書いてあるので順番に言いますね?イリス・クラリティ・エトワールさん、フリージア・クラリティ・エトワールさん、次に・・」

「っ!やはりそうか!!あのお方がいらして下さったのだな!!」

2人目の名前を言ったところでオーナーのテンションが限界突破した。

え!?

ホントに知り合いだった!?

「あの、オーナー・・その美人さんたちのことご存じなんですか?」

「ご存じもへったくれもあるか!あのお方こそが、クテン様だぞ!?それに、そのお前が母親と言っているお方は母親ではなく父親だ。」

「え!?」

父親!?

あの超絶美人は男性!?

うっそぉっ!?

それに、あの美幼女が、クテン様!?

確かに噂に聞く通り・・いや、噂以上にかわいかったけど!

「それに、その名は間違いなくクラリティ王国元第一王子、エトワール公爵家、予言者イリス様だぞ!?」

「えぇっ!?」

しかもあの美人さんタダの貴族様じゃなくて王族の血筋!?

と言うか、公爵家!?

貴族では、ダントツトップ!!


・・って、思ったけど貴族様ってすごく傲慢ってイメージだったし、実際傲慢なのばっかりだったけど、世の中にはそうじゃない良い貴族様もいるんだなぁ。

あんなに美人で内面も美人なんて最高じゃないですか!!


「こうしてはいられん!その方々の部屋はどこだ!」

「ふぇっ!?人数が多かったので最上階の全フロアを4泊分で貸し切ってます!ちょっと割り引いて金貨7枚と言ったら10枚くれました!後、ご飯は全員分の2倍は欲しいって頼まれました!あ、それと、大型獣の2体は、外の小屋を使ってます。」

「そうか。外にいる獣魔への食事はこちらから出すんだ。何が好みか確認してからな。」

「はい!」

「こうしてはいられない。ご挨拶に向かわねば!全員に伝えるんだ!今回の上客は、最高ランクだ!全力でおもてなしをするんだ!クテン様だ!クテン様にあのクラリティ王国トップのファミリーだと言っておけ。」

「は、はい!」

そう言ってオーナーは凄い勢いであのお客さんのお部屋に行った。

・・凄い勢いだった。


っと、そうだった。

すんごいお客さんがやってきたって言いに行かないと。


で、あちこちに言って回った結果、全員がオーナーみたいなことになった。

特に私の先輩達。

つまりはお客さんの相手をする人たち。

後、料理長。


けど、先輩達は私が渡しに行くんだとかはしゃいでる感じだったけど料理長はすごくホッとした表情というか、安心した表情だった。

「料理長そのお客さん・・えぇっと、クテン様のことご存じなんですか?」

「あぁ。・・そっか、あの子はちゃんと幸せなんだな。本当に良かった。」

「クテン様がここに来たときのお礼がしたいのも兼ねてここに来たと言ってましたけどここに泊まっただけじゃないんですか?」

凄く懐かしそうに料理長は語る。

「そうだなぁ。普通はそうなんだが、クテン様の場合は別なんだ。」

「別?」

「あぁ。初めてここに来たときは服も体も心も全てボロボロだった。で、全員の意見を無視して俺はぱん粥をその子のために作ってあげたんだ。調子が悪そうだったし胃もそこまで受け付けてくれなさそうだったからな。」

家の料理は朝昼晩と1週間の日でメニューが決まってるからちょっとやそっとじゃ変更がないんだよねー。

それを変更、しかも料理長が独断でしたんだから周囲の人たちはさぞ驚いたと思う。

「それは、料理長と言うよりほかの料理人さんたちが驚いたんじゃ・・」

「あぁ。かなり言われたな。けど、全員の意見を無視して行なって結果として良かったよ。俺の勘は当たってたんだ。」

「と言うと?」

当時のクテン様は、孤児のようにホントにボロボロだったそうな。

風邪引いてたとか?

「この宿に来るまでまともな食事自体を食べたことがなかったらしくてな。ほとんどの食事を胃が受け付けないほど弱ってたんだよ。それで、俺が独断で作ったパン粥は、嬉しかったらしい。幸せの味がしたんだって・・心の傷を少しでも俺のパン粥が癒したんだそうだ。」

「って、料理長ファインプレーじゃないですか。」

「あぁ、ホントにそうだったよ。それで、普通のメニューを出してたらほとんど食えなかっただろうし、今こうして再びここに来てくれることもなかったと思う。あの子の様子はどうだった?」

「無表情でしたけど、雰囲気は凄く柔らかくてみんなに愛されてるって感じでした。」

うん、雰囲気が凄く柔らかくて幸せそうだった。

無表情でもそう私が直感で感じるほどだった。

「そうか。ホントに良かった。」

「料理長は挨拶に行かないんですか?」

「俺は料理長だ。行くとすれば俺の料理を食べて下さっている時だ。」

「そうですね。あ、料理長。ご飯は全員分の丸2倍は軽く欲しいそうです。」

「そうか。元気そうで、食べれないものもなさそうだったか?」

「勘ですけど、元気いっぱいだと思いますよ。胃も体も。」

素人目だけど、健康そのものって感じだった。

「そうか。よし、気合いを入れるか。」

「それと、外に2体の大型獣がいます。ワニとライオンと虎が混ざったような2体です。」

「なるほどな。じゃあ、気合い入れるか。」

「また、勘ですか?」

「あぁ。勘で作ってみてその獣魔本人に好きか嫌いか確認すれば良い。嫌なら俺の責任にすれば良いさ。」

「何気に料理長の料理に関する勘ってよく当たりますよね。」

「神父様からのアドバイスだったからな。」

「神父様から?」

どんなアドバイスなんだろう?

「自分がそうしたいと思ったことを貫きなさいだってさ。やりたいようにやって、後悔がないようにしろってさ。実際そうやって今までやってきたからな。」

「なるほど。」


さてと、

少しでもこの宿が良い宿だって改めて認識してもらうために気合いを入れますか!

私の頑張りの1つが誰かの心を救えることが出来たなら良いな。




後に、クテン様からクテン様お手製の浄化魔法付きのあの噂の”清めのハンカチ”を私を含んだこの宿のメンバー全員に頂いたのは凄く幸運でした。

ちなみに柄は、かわいくデフォルメされた鳥でした。


私の宝物にしようっと。

それと、明日から毎日教会に祈りに行こう。

少しでもこの感謝の気持ちをクテン様を遣わせて下さった神様に伝えるために。

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