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ルナール出発、そして学園再開

--シリル--

師匠であるフリージアさんを筆頭に様々な人たちにきたえてもらいつつも和気藹々と楽しく過ごしていた俺たちの元に建築業のメンバーたちが到着し、ものすごいハイペースに建物を作っていた。


結果として、わずか十数日であの場所にいた人たち全員分の家を作り上げてしまった。

ホントにその早さと見事な技術に拍手喝采である。


で、そんな俺たちは、現在が夏休み中だと知り、ルナールを出てクラリティ王国に行く師匠率いるエトワール家メンバーとその部下のメンバー揃って出発することになった。



そんな俺の目の前でさみしいと言いつつも行ってらっしゃいと笑顔でやりとりとしている師匠とフォルシェンファミリーの皆さん。

ホントに良い家族だと思う。

家族は血のつながりがなくても出来るんだと改めて実感出来てうれしい。

そして都人のみんなも寂しがりつつも行ってらっしゃいと笑顔で言っていた。






それから、俺たちはイリスさんが魔法で作った芸術品にしか見えない結晶で出来た馬車に乗り、それをハディさんが引いていた。

ライガーである黄昏さんは巨体故に隣で並走していた。

その背中の上で師匠はのんびりとしつつシャスティさんを愛でていたけど。

師匠は相変わらずマイペースだ。

と言っても無表情ながら超絶美少女だから凄く絵になる。




「それにしても、ルナールって都、ホントに癒しの都だったね。」

芸術品にしか見えない馬車から顔を出して並走している黄昏さんの尻尾を撫でてるセリカがそう言う。

黄昏さんはというと、しょうがないなぁと言う顔で仕方なしに尻尾を差し出している感じだ。

「けど、確かに癒しの都って確かにピッタリな名前だったな。」

薬草が豊富で効能も聞くと他の町などで売っているモノよりも高い

精霊樹を始めとしたあの草花による目で見て癒され

様々な種族がいるからこそ様々なことが聞けて楽しいし、興味深いことも聞けるし、自分とは違う姿の都人たちをみているのは楽しい

そして、バレクさんたちを始めとしたあの地に住むあの人たちが率先して周囲に潜むアホどもを殲滅するから安全

おまけに、ものすごくたくさんいた動物たち

さすがはファンタジー世界と言うべきなのか周囲を警戒してたりトラップを仕掛けていたり草花を育てていたりしていたが、撫でたりしても逃げもせずにされるがままだった

「ちなみにあそこに住んでる動物たちって怒らせたら結構やばいんですよ?」

「セイちゃんそうなの?」

師匠と共に黄昏れさんの背に乗ってその背をモフモフしていたセイちゃんが言う。

彼女は、主に回復関係の魔法が得意らしい。

「周囲を警戒していた鳥さんは鼓膜破壊レベルの轟音を発しますし、あのウサギさんたちは蹴ると大人くらいは軽く数メートルぶっ飛びますし、見ての通りトラップを仕掛けてるチンチラさんに、爆走して相手を串刺しにするハリネズミさんって感じですから。」

「見た目がかわいいからつい油断しちゃうんですけど、改めて聞くと色んな意味で最強だよね。」

「ねー。ユウも乗らないの?」

「もうちょっと走ってからにするよ。」

「ムリはしない方がいいよ?」

「大丈夫だよ。隠さなくて済むようになったから思い切り動きたいんだ。力と体力が有り余っちゃうんだよ。まぁ、訓練中は別だけどね。」

ユウ君が馬車を引くハディさんと並走している。

彼は、ぱっと見はかわいいから女の子にみられがちらしいが、俺は子供の相手をよくしていたこともありきちんとその場で速攻で見抜くことに成功した。

その時のユウ君はものすごく嬉しそうにしていて正直見た目は美少女だった。


そんな彼は、剣を主に使った接近戦特化のようだ。

で、見た目と違って体力とパワーはかなりあるらしい。


それを聞いてると、師匠とこの2人のスリーマンセルって凄く組み合わせとか相性が良いよな?

接近戦に遠距離戦、そして回復・補助

おまけに3人とも同級生で友達同士。


うん、最高じゃないか。

それに、師匠もだがこの子たちも黒髪だった。

本人たち曰く祖先に異世界人が混ざっていることは聞いているらしいから、異世界人の血を濃く受け継いだ隔世遺伝とかなのだろう。


「だとしても、あのかわいさでその強さか・・世界は広いんだな。」

「かわいいのにエグいですよね・・。」

ちょっとだけ苦笑いしているセイちゃんがそう言う。

確かにそうもなるよな。

かわいいから愛でたいのに本人はとんでもなく強いとか・・問題ないと言えばないけどどこかむなしい気持ちになる。

まぁ、その代表格が師匠なんだが。




「でも、ハディさんは力に体力があるのは聞いてましたけど、ホントに凄いですね。」

「だよね。」

馬車に乗っている人数は、軽く10人を超える大人数だ。

それを全く苦労せずに軽々と牽いている。

本人(本ワニ?)も、全く問題はなさそうだ。

むしろ楽しそう。

役に立てることが嬉しいらしい。

ホントにハディさんは、性格イケメンだよな。

縁の下の力持ちだ。


それと、俺の勘だが・・。

「普通の馬よりも速いですよね?」

「だろうな。軽く倍のペースで進んでるぞ。実際、シャスティと黄昏のスピードが規格外だってだけだ。」

やはりそうだったか。

あのスピードが普通の世界とか恐ろしすぎる。

「このペースだとどのくらいになりそうですか?」

徒歩と巨大猫による爆走のペースという極端な2つしか知らない。

「大体1回野宿をして翌日の昼前後につくくらいだよ。」

「そのくらいなんですね。と言うことは、普通の馬車だと野宿が2回くらいですか?」

「そのくらいになるだろうね。下手すればもっとかかるよ。ハディはパワーもスピードもだけどスタミナもかなりあるから途中休憩がほとんどいらないんだ。せいぜい昼休憩程度のが1回あれば十分なわけだし。このスピードで丸1日走る計算でも。」

「改めて聞くと、とんでもないですよね。」

「リアちゃんの獣魔たちは僕からみても十分過ぎるくらい頼もしいからね。」

カラカラと楽しそうに笑ってるイリスさんにそう教えてもらう。


だが、俺は知っている。

この人も十分規格外の実力の持ち主だと言うことを。

だってこの人、数百メートル先の相手の脳天をピンポイントでど真ん中で1発で貫くんだぞ?

しかも連続で百発百中。

それが、どんなに障害物があろうともお構いなしでターゲットだけ貫くんだ。


こんな実力がもし地球とかであれば金メダリストたちも真っ青だ。





そんな感じで道中は凄く平和だった。


周囲で敵らしき相手が出会った瞬間に速攻で潰されていく光景が何度も繰り返されただけ。

それが何体いようがどれだけサイズが大きかろうがお構いなしで即殲滅だった。


その日、野宿をしているとき、ご飯などのあれこれを済ませ、後は寝るだけという頃、師匠は獣魔たちに囲まれて夜空を見上げながら静かに歌っていた。

静かで穏やかな歌だった。

歌詞もないものだったが、どこか心が穏やかになるとてもいい歌だった。

「良い歌だね。」

セリカが隣でそう言う。

この場にいるメンバーは全員心地よさそうに耳を澄まして聞いている。

「そうだな。思い出のある歌なのかな。」

「そうかも。何か歌い慣れてる感じがするし。」

「俺たちはホントに幸運だった。」

師匠たちと出会ったことから癒しの都”ルナール”の都人たちと仲良くなれたこと等々。

そう言う意味を込めて言ってみたらセリカは静かに肯定する。

「うん。あのときはホントにどうなるかと思ったもん。いきなり呼び出されたかと思ったら速攻で捨てられて、挙句の果てに像サイズの狼の群れに襲われるとか。」

「これでもかなり鍛えたつもりだったけど、アレ相手に数体しか対処出来なかったからな。」

「今なら殲滅も出来るけど、あの頃を考えたら十分だったと思うよ?多分他の人たちだったら1体も倒せないどころか傷をつけられたかも怪しそうだし。」

「それもそうだったな。」

「ホントに師匠には感謝しかないよ。私たちを助けてくれたのに、更に寝床においしいご飯まで無償でくれるんだもん。」

「普通は助けてもらっただけで終わるだろうからな。・・あっちでは頑張ってギルドランクを上げて金貯めてさ、俺たちを助けて良かったって、弟子として雇って良かったって思ってもらえるように頑張ろうな。」

「うん。それと、何か感謝の気持ちでプレゼントも出来れば良いなぁ。けど、そこらに売ってあるのだとどれも師匠は持ってそうだし・・と言うより、興味なさそうだし。」

一応ピアス(耳に穴を開けないタイプ)や腕輪は着けているようだが、ただのアクセサリーというわけではなく魔道具らしいし。

「だなぁ・・文字通り花より団子だし、師匠は。だからさ、材料とかを自分たちで手に入れてオリジナルの何かを作ってプレゼントしよう?」

「うん!そうしよう。けど、まだまだ先のことになりそうだけどね。」

「だとしても、千里の道も一歩からだぞ。」

「分かってるよ。慌てて数段飛ばしで走って失敗して師匠たちに迷惑をかけたくないもん。」

「ならいいよ。それにしても、きれいな夜空だな。」

地球だと建物の明かりとかでほとんど星が見えなかったし、よく見えるような場所には暇がなくていけなかったしな。

「ホントきれいだよね。こんなにたくさん星が見えるのは初めて。」

「セリカ」

「ん?」

星空を眺めながらセリカを呼ぶと、セリカは視線を星空に向けたまま耳を傾けてくれる。

「俺、これからも頑張るから、これからもよろしく。」

「うん。こちらこそよろしくね。」

「まずは、自分たちの地盤固めだな。それと並行して」

「クラスのみんなの捜索だね。イリスさんたちが対応してくれるって言ってたけどそれでも自分たちである程度は探らないとね。」

「おんぶに抱っこはこれ以上はなぁ・・」

恩を受けすぎてるのにそのおかえしを受け取る気皆無のあの親子にホントに申し訳なく思うからな。



そんな感じで穏やかにその日は過ごした。







さて、クラリティ王国での一日がこれから始まるんだな。

基本的に日中は師匠たちは学校へ通い、その間俺たちは午前中は特訓と勉強、午後に依頼を受けるスケジュールになってる。

そして、夕方頃に師匠が帰って来たら特訓を師匠とする。

ルナールでしていた1日のスケジュールと違うとすれば午後の時間が訓練や勉強か、都人たちとの交流や彼らの作業の手伝いをしていたのが依頼を受ける形に変わっただけだ。



「そういえばセリカは、その大剣はどう?」

「師匠にたくさん魔力操作の指導をしてもらったおかげである程度実戦でも使えるようになったって言ってもらえる程度にはなったよ。」

「おぉ。」

それは凄い。

師匠のアドバイスは非常に的確だ。

どうやら体内の魔力の流れが見えるらしく、どこにムラがあるとかどこが弱いとかピンポイントに指摘してくれる。

けど、指摘するだけで先ほどセリカが行ったような台詞を含む褒め言葉に該当されるモノは滅多にない。

結構辛口評価だしな。

「そう言うシリルはどうなの?」

「純粋な扱いには大分慣れてきたよ。けど、魔法を発動させる点がどうしてもぴんとこないんだ。」

純粋に剣術としてなら実戦でも問題ないと言ってもらえている。

元々体を動かして戦う点に関しては実戦で経験を積んでいくしかないと言われてるのもあるけど、剣に関しては純粋に扱った経験が少なかったからそっちもとにかく数をこなしてとにかく振って振って慣れて行けと言われている。

だが、本来の使い方にはまだ届いていない。

アレは、俺の魔力に反応して炎と氷の属性として登録されている。

つまりは、あの剣に氷を纏わせたり炎を纏わせたりできるということの証なんだが、その肝心の炎と氷を発動させるという部分がどうしてもわからない。

「シリルの魔法って温度を変えるって魔法だもんね。」

一応アドバイスとしては、自分で自分の限界を決めるなと言われているから頑張っているが俺の中のナニカがまだ何かが足りないと言っていて出来ていない。

「温度を変えるのに炎と氷って極端すぎないか?」

「シリルならその到達点まで行けるって証拠なんだから頑張ろうよ。」

「頑張るよ。だから、時々温度を限界まで上げてみたり下げてみたりしてるけど炎や氷が出るほどまでは届かないんだよ。」

「魔力操作とかの練度が足りないのかな?それとも、イメージがまだ甘い?」

魔法はイメージ力と魔力の量、そして魔力を上手に扱う練度で威力や精度が変わってくるらしい。

そのため、詠唱もただの自己暗示のようなもので、自分が扱う魔法のイメージを固めやすくするためにあるので、なくても良いらしい。

ただ、儀式魔法などのような特殊な段取りが必要だったりする規模の大きいものだと必要だったりする例外はあるらしいが。

「だから、とりあえずは練度を上げて魔力操作をメインにしてるよ。それで、セリカの方はどう?」

「自分自身相手だと他の人たちがする初歩の身体強化よりは強力なのが出来るようになったけど、それ以上に使えそうな気がするんだけど中々思いつかないのと、何か足りない気がするんだぁ。」

「そっちもか。とりあえず慌ててもしょうがないし出来ることから順番に頑張ろう。いつか機会があるさ。」

「うん。あ、クラリティ王国見えてきたよ。」

「相変わらずデカいな。けど、建物はどれもきれいだ。」

「文化遺産レベルの建物ばかりだよね。」

その後は、何事も問題なく門をくぐり、その場で現地解散となった。

グリムは、この国で1人暮らしをしており、パン屋と冒険者を並行して営んでいるらしい。

で、セイとユウは学園の寮に住んでいるのだとか。

そして、アリスさんとラウさんは仲良く1つの家を持っているらしくそっちに。

そんな感じで各自別れ、俺たちは初日にお世話になったあの家である師匠たちの家に行くことになった。

ちなみにあの芸術品の馬車だが、イリスさんが指パッチンで速攻で霧散させていたので文字通り跡形もなかった。







「とりあえず、夕ご飯まで時間があるから町の中を軽く案内するよ。着替え用の服とかそういうのを纏めて買っておきたいだろう?」

「まぁ、欲を言わせてもらえればそうですね。ありはするのでなくても問題ないと言えばないですけど。」

師匠がストックしてたのを3セットほどもらったのがあるし。

「それもあるけど、リーリスと顔合わせをしておこうかなってね。」

「リーリスさんって確か、この国の上層部の方々がお気に入りの衣服店の方でしたよね?」

「そうだよ。一般の国民たちでも着れるようなランクの服もあるんだけどね・・あまり好んで利用する人は少ないんだよ。」

「値段もその感じだと高すぎるというわけでもないのにですか?かなり優れてるのでしたらどうして利用しないんですか?もったいない・・。」

普通そう思うよな?

着心地が良く、値段も悪くないなら間違いなく行くよな?

ちらっとセリカを見るとうなづいた。

「あぁ・・たぶん行けばわかるよ。彼?は、すごく親切だから見た目で判断しないでくれるとうれしいな。」

「わかりました。」

見た目?

それと、彼の後になぜにはてながつく?

何か見た目にコンプレックス的なものがあったりする人なのだろうか。






「あらぁ!イリス様にフリージアちゃんいらっしゃい。リカルさんにアルナちゃんもいらっしゃい。獣魔たちは相変わらずねぇってまた増えてる?それと、人も?」

「やぁ、久しぶり。獣魔は見ての通り増えたよ。彼は黄昏だ。大きな子だけど優しい子だから。」

「やはりそうでしたか。それで、そちらの男女ペアはどちら様で?」

「こっちはシリル、こっちがセリカ。リアちゃんの弟子としてしばらく家で面倒を見ることになったんだ。それで、彼らの普段着と肌着関係をいくつか見繕って欲しくてね。」

「承知いたしましたわ。もしよければ、戦闘用の肌着や下に着るためのも見繕いますわよ?」

「お願いしてもいいかい?」

「もちろんですわ。フリージアちゃんのおかげで懐が温かいので。」

「それは良かった。信頼できるリーリスだからリアちゃんの刺繍品の販売を任せられるんだよ?」

「光栄ですわ。ちょっと待ってくださいね?」

そう言って去っていった彼は・・・オカマさんだった。



なるほど。

確かに、近寄らない人がいるのもわからなくはない。

まぁ、驚きはしたが俺もセリカも特に問題ない。

けど・・。


「お待たせしました。まず普段着と下着5セットずつ。それで、こちらが戦闘服の下に着てくださいな。」

普段着用の分はこれまで俺らが使っていて、師匠からもらったのと同じだ。

それと、戦闘服の下にと言われてる分を見るとぱっと見は体にぴったりフィットするタイプの長そでシャツだった。

「伸縮性があるので動きの阻害はなく擦れる音もありませんわ。それに、ある程度の攻撃であれば防ぐことも可能ですわ。」

色も紺色のとてもシンプルなタイプだった。

効果も聞いてるだけでも十分すごいし、奥の部屋を借りて実際に来てみると確かに言われた通り動きの阻害はないしとにかく動きやすい。


この人、ホントに出来る人だ。

確かに、贔屓にするよこれは。

優秀だ。

人は見かけによらないとはまさしくこういうことだな、うんうん。

「全く問題なさそうだね。さすがリーリスだ。」

「ありがとうございます。それと、彼にはこれをプレゼント♪」

「ん?」

どう見てもヘアバンドだった。

黒くて絵柄が何もないシンプルなタイプで、幅も3センチほどとスポーツ用とかでありそうなくらいのやつ。

そして、なぜか楽しそうにしているリーリスさんに俺はヘアバンドを強制的に装着させられ、髪もそれに合わせて上に逆立ててしまった。

すると、セリカと2人ですごいはしゃぎだした。

「やっぱりそうだったわ!私の見込み通り!いや!見込み以上だったわ!」

「リーリスさん最高!シリル超かっこいい!」

ものすごくテンションが高くなった状態で息があったらしい2人は楽しそうにハイタッチをしている。

と言うか、髪を逆立てるだけで変わるものなのか?

と首をかしげていると

「シリル君?君今度からこれを絶対に身につけておくように。」

「何か理由が?」

「そうした方が絶対に良いからよ!ちなみにそれ、かなりいいモノよ。」




え?

試しにステータスを・・ないだろうけど一応。







ランク:F

名前:シリル・クニサキ

性別:♂

年齢:16

種族:異世界人

職業:軽業師、吟遊詩人

称号:異世界に攫われし者、みんなのお兄ちゃん

属性:温度変換

体力:C

魔力:D

攻撃:B

防御:D

俊敏:C

練度:D


衣類:混合岩の装備セット(胸当て、肘当て、肩当て、籠手、臑当て、腰当て、ブーツ)、演者のヘアバンド

武器:吟遊詩人のミスリルソード(炎・氷)

装飾:クラリティ王国公爵家のコイン


攻撃技:【体術】【感情強化】

武器1:【剣】【短剣】【二刀流】

補助技:【アクロバティック】【虹色の声】【威圧】

自動技:【武器舞踊】【武器舞踏】【絶倫】







・・・増えてる。

何これ?






演者のヘアバンド

身に着けることで装着者の魅力を最大限まで引き出すヘアバンド

黒く3センチ幅のシンプルなつくりをしている

また、何かを演じることに対しての実力が伸びやすくなる

魔力を込めると硬質化する。





硬くできるなら額を守れるし、俺個人のことを考えるとすごくいいものじゃないか?

魅力を引き出す云々はどうでもいいけど、声優にしろ俳優にしろ一緒くたにして吟遊詩人として活躍するならこれはあった方が良いだろうな。

より上手になれるならありがたい。

まぁ、趣味なんだけど。


それにして、何気に着け心地良いし、髪が多少伸びてもスルーしてよさそうだし楽だな。

何気に眉を過ぎたり耳元を隠すよう長さって鬱陶しいから切ってたけどこれなら多少は切るまでの時間稼ぎができる。

切るのがめんどくさいんだよね・・というより、切りに行くのがめんどくさい。

床屋代かかるし。

まぁ・・こっちだとそういうのはなさそうだから、誰かに頼む感じになりそうだけど。

そういえばセリカが俺は髪を伸ばせばもっとかっこよくなるとか言ってたな。

髪を長くするのは面倒くさいんだがなぁ・・。

それに、地球だと校則違反だったから聞こえないふりをしていたがこっちだと問題ないし伸ばしてみるか?

最近だと髪の長い男性は珍しくないし。


「ね?」

「確かに俺個人からすると魅力的なものですね。硬くできるので防御も上がりますし、良いんですか?もらっても」

「えぇ。それに関してはお金はいらないわ。その代わり、毎日欠かさず身に着けていなさい。」

これをつけているだけでお金がいらないならありがたいな。

「ありがとうございます」

「なんとなく察してたけど、シリルは髪を上げるとかなり雰囲気が変わるね。」

「イリスさん、そんなに違いますか?」

「結構変わるよ?自分のことだからイメージはつきにくいだろうけど、シャスティの変身前と後くらいあるよ?」

「そうなんですか?」

そんなに変わるものなのか・・?

イリスさんがそういうならそうなんだろう。

よくわからんけど。




その後、ギルドで道中に倒した分を換金し、明日から対応する依頼を決めるための下見を軽くしたり、あちこちの露店などを見て回ったりして過ごした。

道中、グリムが営むパン屋にも行った。

グリムが作るパンはルナールで毎日食べていたから知っているが店は知らない。

あいつが作るパンはホントにおいしかった。

あっちでも時折パン屋を巡ってウロウロしたことがあったがその中でもぶっちぎりだった。

意外とこじんまりとした店だったが店のタイトルは奇抜でも落ち着いた雰囲気で俺は好きだった。





「そういえば、シリルは同郷のみんなへの伝言はアレで良かったのかい?」

「はい。下手に聞き耳を立てられて良からぬ奴らに何かされたら嫌ですし、アレならあいつらだけに伝えることが出来ます。」

ギルドで、イリスさんを通じてギルドマスターらしいおじいさんと今回の俺たちのことを話して俺たちと同郷と思われるメンバーが登録された国を調べてもらった。

普通ならそう簡単に許されることではないらしいが、俺たちの知っている情報とイリスさんの推測とイリスさんと師匠のおかげであっさりと信じてもらえた。

この国ではイリスさんと師匠は身分的にも知名度的にも圧倒的に凄かった。

今回はホントに感謝した。

この人たちがいなければ絶対にここまでスムーズにことは運べなかっただろうし。


俺が伝えた伝言は「ノワール パーシュテ ファム」だ。

まぁ、簡単に言うと「黒 子供 女」って地球のどこぞの外国語の単語だ。

要するに師匠である黒髪幼女のことだ。


この単語を伝える相手は、錦だけにした。

錦という名前の相手にとある質問をしてこう答えたら伝えるようにとお願いしてある。



俺が言った質問は、強さと弱さを言え、だ。

で、その答えは、あいつなら必ず強さとは俺であるクニサキシリル、弱さとは過去の自分と答えるだろうからな。

あいつにとっては俺は絶対の存在らしい。

まぁ、確かに性格矯正はさせてもらったが、予想以上に効果があったらしく俺の番犬になった。

それに、周囲にも迷惑をかけず、真面目な奴になったからそんな彼の両親からも感謝の言葉を言われたことがあったほどだし、問題ないだろう。

そんなわけで彼にとっては自身の過去は最大の黒歴史なわけだ。


「と言うより、そのニシキって子はそんなにわかりやすいのかい?」

「えぇ、元々は素行の悪い奴だったんですけど俺が”教育”したので現在はとても真面目で他人思いな良い奴ですよ。その結果、俺の自称番犬になっているので。」

「なるほどね。そう言う子はホントに強くなれるよ。」

「イリスさんもそう思いますか?」

「まぁね。」

さすがイリスさんだ。

俺と同じ意見だった。



さぁ、錦。

お前なら、それだけの単語で俺が言いたいこと分かるはずだ。

俺は楽しくやっているからお前らは、やりたいようにやれ。




そんな感じでその日はのんびりと観光した。

翌日からは、師匠たちは学園へ通うらしいので、俺とセリカはカルナさんたちに午前中は勉強と訓練をしてもらい、午後は俺とセリカ2人でギルドで依頼をこなす予定だ。


依頼は大変そうだが、ファンタジー代表の冒険者としてのお仕事だ。

色々と楽しみだ。


さて、そのためにも今日は早く寝よう。

だからセリカ・・襲うなとは言わないけど、5回もしないからね?

せめて2~3回に留めてね?

毎日5回も襲われて絞られたらこっちの身が持たないからね?

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