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癒しの都へれっつごー。そして一方オタ共たちは・・。

--シリル--

武器を無事に購入した俺たちは、クラリティ王国のフリージアさんの家にお泊まりすることになった。

その日の晩にセリカに性的においしく頂かれて大人の階段を登らされたのは余談。

だからセリカ・・人前でギリギリワードはやめてくれよ?

とりあえず抱きつくくらいは気にしないから・・と言うかそれくらいに留めてくれ。





で、朝食が出来るまで時間があるらしいのでその間体を動かすために屋上へ向かう。

そこは芝生のあるシンプルな場所だったが、どこか落ち着くし気持ちが良いところだ。


そこで俺とセリカはラジオ体操を一通り行なった。

ラジオ体操は意外と体力を使うと聞いたことがあって試しとばかりにしっかりと行なってみたら確かにそうだった。

「これ、毎日したら少しは強くなれるかも?」

「だな。訓練とかは必要なんだろうけどそれでも出来ることから順番にだな。」

「で・・フリージアちゃんは何してるの?」

「あぁ・・何だろう。」

俺たちの隣で不思議な踊りをしているフリージアさん。

体をくねらせたりクルクルと回ったりフラフラしていたりと・・何と言うか・・

「ゲームでみた状態異常を起こす踊り?」

「俺は、何かを召喚する儀式を彷彿とさせた。」

なんだかさっぱり不明だ。

「アレは色々と混ぜまくって作ったリアオリジナルの準備運動だよ。」

「あ、翠さん」

お人形さんサイズの美人さんな翠さんがそう語る。

彼女は、妖精族のトップである妖精王なんだそうだ。

とはいえ、彼女曰くその上位である精霊の中位とどっこいどっこいなんだとか。

精霊は下位、中位、上位と3段階に分かれているらしい。

一応精霊とは、どのような存在か聞いてみると、自然の化身であり、人々からすると自然を目に見て分かりやすく信仰する対象のような感じらしく、大袈裟に言えば神様のような存在らしい。

そんなすごい存在がフリージアさんの獣魔としていても世界的な規模で大丈夫なのだろうか。

種族的な役目とか。

で、それを聞いてみると

「妖精族は精霊たちと違って使命とかないし住む場所とかも決まってないから結構気まぐれフリーダムだよ。結果として、自分たちがどれだけ世界に対して徳になることをしたかの結果で精霊に進化するか妖精族のままか決まるんだ。」

「無理して精霊になりたいと思う妖精族はいたりするのか?」

「いるね。人間と一緒だよ。出世したいと思うか、出世せずに世界を放浪していたいとか」

なるほど。

すごくわかる気がする。


「それで、何をどう混ぜたらあぁなるの?」

「確か準備運動と柔軟体操とバランス感覚を鍛えるのと三半規管を鍛えるのをそれっぽく混ぜてたよ。」

「順番にするのが面倒になってまとめちゃったかぁ・・。」

時間短縮は確かに魅力的だが、アレは見えない何かが壊れていく気がする・・やっぱりフリージアさんはメンタルがすごい強い。


「それにしても、ここはいい国だな。」

心の底からそう思うよ。

ここに来るまでに通りすがった人たちは皆活き活きしていた。

「リアのお父さんであるイリスさんを始めとしたこの国に住む人たちが頑張っているからね。」

ぽつりとつぶやくと翠さんがそう語る。

「俺たちを救ってくれて拾ってくれたのがフリージアさんで良かったと思っているよ。それが一番の幸福だったと思う。」

他の国はまだ知らないが、おそらくろくなことにはなってないと思う。

「けど、あっちに着いてからはみっちりと鍛えるからね。けど、馬鹿なことを考えないようにね。屑に成り下がったらすぐさま食い殺すから。」

「もちろんだ。そうしてもらった方が俺も助かる。」

自分自身が屑に成り下がるのは自分でも嫌だ。

例え騙されたり操られたとしてもだ。

そんなときは死んだ方がましだ。

「セリカって言う大事な許嫁がいるんだから。」

「えへへ//」

「丁度ご飯が出来たみたいだね。行こう」

「そうだな。」

ぽつりと最後の台詞が口から漏れていたらしくセリカが頬を赤く染めながら嬉しそうにしている。






で、改めて思った。

フリージアさんの食欲が一番謎だ。

あの小さな体のどこに吸い込まれているのやら・・。

それと思ったことだが、この世界の食べ物は地球よりもおいしい。

確かに地球の方が調味料の数や材料の活用法の多彩さでおいしいけど、こっちの方が何というか素材そのものの味が良い。

何というか、平成や令和の時代よりも大正やそれより昔の方が野菜がおいしかったというのと同じ感じだと思う。

それに関しては、セリカも同意だった。

それから、朝食を食べた後俺たちはこの国を出た。

「もう行くんですか?」

「あぁ。元々あのゴミを捨てに行くだけだったからな。」

「あぁ、そういえばそうでしたね。後は任せて下さい。その後の依頼の件も思った以上に協力者がいたらしいんで数日あればそちらに行けるみたいですよ。」

「それはありがたいな、よろしく頼むよ。」

「はい。では行ってらっしゃいませ。」

門番の騎士さんとラウさんが軽く話をしてから俺たちは軽く頭を下げて国を出た。

しばらくしてシャスティさんが巨大化する。

やっぱり凄いなぁ。

巨大化する動物は珍しい存在だからこんなのがあちこちにいるとは思うなとはラウさんに言われたけど。

そして、俺たちは行きと同様シャスティさんの背に乗ってラウさんと並走してフリージアさんの故郷である癒しの都へ爆走する。

これから、俺たちのファンタジー世界での生活が始まるんだと思うとワクワクするよな。

そういえば、オタ共であるあいつら・・大丈夫か?

俺たち以上にこういうことに関する知識はあっても度胸はなかったし。

まぁ、自称下僕どもがいるしなんとかなるか。

大抵のことは仕込んでるし。












--???--

昼休み中に恋人同士でいちゃつくカップルをうらやましいと思いつつもそんな幸せそうにしている男性を俺は友人たちと微笑ましく眺めてる。

おっと

俺は、巧美タクミだ。

女っぽい漢字だが、れっきとした男だ。

で、そのカップルはセリカさんとシリルさん。

セリカさんを狙う人たちからするとシリルさんはふさわしくない存在だと思ってる。

確かにシリルさんは大人しめの見た目で私服もかなりシンプルなモノばかりだ。

けど、シリルさんのことを知る俺たちからするとシリルさんほどセリカさんにふさわしい人はいないと思う。

あの人、おとなしい見た目と違ってすっげぇ強いし頭のいいし。

成績だって本人は内緒にしてるけど学年の上から数えた方が早いくらいの成績なんだぜ?

・・本人曰く平均的らしいけど、学年トップ10に収まるのが平均なわけあるか!と毎回思う。


本人は目立たないようにしたいのか何なのか体育とかでは控え目にしてるから平均よりやや上くらいで、上から4分の1くらいの場所をキープしている。

けど、着替えてるときにみた体つきは凄かった。

所謂細マッチョだった。

服着たら細いから分からないけど、とにかくムキムキだった。

なんて言うか、細胞の1つ1つに無駄がないって感じというかとことん筋肉の密度が高いというか。

本人はそれを分かってるのか何なのか基本的に肌を外に出さないようにしてる。


それに、俺と同じオタ共でもある。

と言うか、オタ共である俺たちのグループからするとあの人は神だった。

だってあの人、地味な趣味だとか言ってるけどリアル声優なんだもの!

男性の声は、もちろん女性の声も一切違和感を感じさせないほどの声を出せる。

しかも、優しげな感じも強気な感じも明るい声も悲しい声も、とにかくどんな声でも出せる所謂虹色の声の持ち主だった。

だから、下手すればお気に入りのラノベがアニメ化するよりもシリルさんに声を吹き込んでもらった方が自分の理想的な声だったりする。

よくあるだろ?

アニメ化して喜んだものの、妄想してた声とイメージが違うってやつ。

あれが、シリルさんだとほとんどないんだよ。

というより、理想そのものの声をドンピシャでしてくれるんだよ。

その得意技も、俺が興奮して教室のど真ん中で頼んじゃったせいで他の恋愛小説を好む女子連中や渋い小説とかを楽しんでたりする先生たちもシリルさんに頼んでは感動してたりするし。

本人は苦笑しつつもしてくれたからすごくいい人だと思う。

と言っても苦笑しつつも楽しそうだったしな。

それにあの人凄く優しくて面倒見が良いから一度知り合った人は必ずあの人なしの生活が出来なくなるとか陰で言われてる。

そのせいなのか何なのか年下にすっごいモテる。

特にちびっ子。

実の兄弟や親よりも下手すれば懐くほどだ。

あの人家事万能だしなぁ・・。

おまけに本人強いし。

過去に不良グループにいじめられている人たちがいたときは1人で全員を伸してたし。


後、一番思うのはあの人何で着飾らないの!?

一見地味系の文系な見た目だけど、あの人着飾ればすっげぇイケメンなのに勿体ない!

表情も優しげな笑顔しか見せないけど・・いや、それだけでも十分イケメンだけど、あの人が趣味を語るときや演じているときはすっごいキラキラしているんだよ。

何と言うか内面から触れてくるイメージ?


だというのにすっごい鈍い。

特に異性相手に。

まぁ、本人は恋人であるセリカさんにべた惚れだから問題ないと言えばないけど、恋人がいるというにもかかわらずシリルさんを狙う女性は結構多い。

それに気づいてない。

まぁ・・・セリカさんが凄い必死に大好きアピールをして牽制してるからと言うのもあるけど。



で、話を戻す。

昼休みが終わってそろそろ授業かーと思っていたらいきなり部屋が魔方陣ぽいナニカに囲まれて光った。

で、気づけばラノベでよくでてそうな良くない魔法の実験場ポイ場所だった。

俺を始め、クラスにいたメンバーを片っ端から眺めてくる黒ローブの怪しさ満点な奴が当たりとか色々言ってる中、セリカさんとシリルさんをみてハズレと言った。

そして、違う魔方陣に放り投げた後、光ったかと思ったら2人が消えた。

どこかに飛ばされたんだと思う。

俺を始めとした2人を慕うメンバーは全員必死で2人に手を伸ばしたが騎士らしき奴らに取り押さえられて手は届かなかった。


せめて2人に救いの手がさしのべられるように願うことしか出来ない俺はホントに役立たずだ。

「兄貴たちをどこへやった!!」

「貴様落ち着け!」

「それが落ち着いてられるか!何がハズレだ!!兄貴がハズレなわけないだろうが!」

自称シリルさんの下僕を名乗る代表格が1人ブチ切れる。

彼は、にしき

元々はヤンキーで犯罪は犯さずともそれでも悪評は尽きない悪い意味で目立っていた。

で、そんな彼がセリカさんに絡んだ。

・・シリルさんのことを知ってる人からすると一番やっちゃいけないことなのに。

何でってセリカさんはシリルさんの大事な人。

と言うか、シリルさんの逆鱗そのもの。


結果としてキレたシリルさんにボコボコにされた。

何と言うか圧倒的だった。

相手は喧嘩で負け知らずとか言われてたのに一切シリルさんに怪我を負わせることが出来ずに一方的にボコボコにされてた。

まぁ、当然と言えば当然だ。

あの人、隠してるけど影で色んな武術を幼い頃から習ってるし。

それにあの人、やらないけどバク宙もバク転も軽々こなせるんだぜ?

で、それはさておきそんなヤンキーはボッコボコにされた結果丸くなった。

生活態度も凄く真面目な人になった。

その辺りも徹底的にシリルさんが調教・・コホン、鍛え直したっぽい。

その結果、彼はシリルさんの狂犬になった。

で、彼に従ってたヤンキーグループも全員シリルさんの下僕になった。


まぁ、彼らがキレてもおかしくない。

魔法も何もない世界で素で強いあの人がハズレとかおかしいだろ。

例え魔法が戦闘向けじゃなくてもあの人本気でヤバイ人だぜ?

多分でっかい狼とかに囲まれても数体くらいはたやすく蹴り殺すんじゃないか?

で、

「うぅぅ・・」

1人痛みで悶えてる黒ローブ1人

アレは、シリルさんがせめてものやり返しなのかなんなのか消える寸前におそらく全力で蹴りを鳩尾めがけて放ってたからそれがきれいにクリティカルヒットしてた。

何で全力かと思ったかというと、あの黒ローブ、数メートルぶっ飛んだし。

内心でざまぁ!って思ってたけど、他のクラスのメンバーもそんな感じだった。


後に蹴り飛ばされた彼は、骨が数本ヒビが入っていたのは余談。



その後、無理矢理おとなしくさせられた彼を筆頭に俺たちは王様らしき無駄に着飾ったおっさんのもとへ連れられてきた。

何か凄い偉そうだったから端的に言うと、

・この国は危機に面している

・その原因は春の大陸にある大国、クラリティ王国という魔王が住む国から進撃を受けているから

・表向きはいい国だと言われているがそれは所詮表向き

・裏では悪いことは何でもしている超絶ブラックな国

・今いるこの国を滅ぼした後はそこを拠点に世界征服を企んでいる

・自分たちでは対処出来ないから異世界からその戦士たちを呼び出した


とのこと。

で、助けて欲しいんだと。

当然帰る手立てはないのかと聞いたとも、そしたら自分たちは知らない、クラリティ王国にいる魔王を倒せば手がかりがあるはずだ

だそうだ。

で、

「任せて下さい!必ずや魔王を打ち倒して見せましょう!」

とか言い出す自称王子(笑)。

世界は自分が中心に回ってると思い込んでる正義(笑)。

名前は勇二。

見た目は確かにイケメンだ。

派手なタイプ。

で、どこぞの社長の息子なんだそうだ。

で、彼はセリカさんを狙っている筆頭だが、セリカさんはシリルさん以外は一切興味なし。

あるとすれば俺らみたいなオタ共とのアニメ談話。

あの人のギャップは正直驚くけど慣れてくると楽しい人だ。


本人曰く自分こそがふさわしい存在らしいけど、シリルさんを知ってる俺等からするとバカじゃねぇの?と言いたくなる。

シリルさんが本当の意味での王子だし。

自分がした偉業を自慢にせずに友人である俺たちやセリカさんを大事にする凄く他人思いな人だ。

何より、あの人が鍛えてるのだってセリカさんを守るためなんだぜ?

幼いころからセリカさんのために鍛えてるんだ。

それを本人は、誰にも言わずにその思いを自身の中だけにとどめてる。

それに、困った人を放っておけないすごくお人よしだ。

・・それで救ってもらった人は結構多い。



で、そんな王子(笑)に賛同するのは彼の取り巻き連中と彼に惚れてる女性連中だけ。

それ以外のメンバーは全員従う気は皆無だった。

だって、シリルさんやセリカさんにあんなことをしたのを目にしてるから、信用出来るはずがない。

それに俺たちは誘拐されてるんだ。

だというのに謝ることすらなく殺し合いをしろだぜ?



それから俺たちはそれぞれ高そうな部屋に案内された。

そこで、就寝時間になったところで俺を中心に王子(笑)嫌いメンバーで集まった。

基本的にシリルさんのことを知ってる人はほぼ全員王子(笑)は嫌いな存在だ。

だって、シリルさんと真反対の存在で男の俺でも嫌だって思うし。

あの自画自賛がイラッとするし。

「どう考えてもおかしいよな?」

「あぁ、おかしい。兄貴をあんな目に遭わせおいて他人事みたいに言ってる時点で何か裏がある。」

「まず、ここはファンタジーでありがちな異世界だよな?」

「だろうな。いきなり王様コスプレのおっさんと騎士コスプレのおっさんたちが揃ってるとか痛すぎだろ。」

「確かに。」

「それに、シリルさんにセリカさんが凄く心配。」

「だよなぁ。」

「兄貴なら何とかしそうな気もするが、この目で見て安心したい。」

「それは俺たちも一緒だよ。」

「じゃあ推測でもいいけど、あの王様の言ってることどう思う?」

「ただの喧嘩上等なだけじゃね?」

「俺もそう思う。もしホントだとしたら何でわざわざ大陸を越えてわざわざここピンポイント?」

大まかに地理についてここに案内してくれた美人なメイドさんに教えてもらった情報を開示する。

春夏秋冬の4つのでっかい大陸が四方を囲むように存在しているらしい。

「普通狙うなら自分たちのいる大陸を征服してからだよね?それに、なんでこんな大陸狙うの?他の大陸が良さそうじゃない?」

ここは多分冬の大陸。

だって、窓の外がすっごい吹雪いてるし寒そうだし。

「だよなぁ。何かあったとしても氷河大陸もどきを狙うくらいなら他のとこ狙った方が利益はありそうだし。」

秋の大陸とかで食べ物系を狙っても良さそうだし。

「ってことは、侵攻したいのはこの国の方じゃない?」

「やっぱりそう思う?」

「だよねぇ。」

「となると、まずやることはここを出て春の大陸へ向かうことかな?」

「何でわざわざ春の大陸に?」

「寒いのが嫌だって言うのもあるけど、ここから抜けた先でまず敵国へ向かうとは思わなさそうだし。」

「そう言うモノ?」

「パニックになってたのもあるけど、俺たちって多分チキンって思われてたんだと思うんだ。となるとわざわざ敵国に向かって行くような度胸はないと考えて他の大陸へ言ったと思わないかなぁと。」

「あぁ、あの傲慢王のことだとあり得そう。」

「俺も賛成だ。」

「私も」

「けど、危険も多いらしいし知識や実力をある程度ため込んでからの方が良さそうじゃない?」

「うん。だね。」

「じゃあ、俺たちは肉弾戦で鍛える。」

「私たちは魔法かな。」

「俺たちも魔法を鍛えるよ。」

「器用貧乏でもいいから幅広く鍛えるつもり。」

「じゃあ、こっちは回復とかサポート関連かな。」

「そういうの自信ないしお料理とかそういうのを頑張るよ。」

「なら、こっちで情報収集とかしておくよ。」


で、一通りの目標を決めたところで軽くため息が聞こえてきた。

「はぁ・・シリルさんの紙芝居が聞きたい。」

「分かる。あの人の紙芝居って格上だよな。色んな意味で。」

物語の内容も絵も全てシリルさんお手製で、全部シリルさんが声を入れてくれるオリジナル紙芝居。

元々は、シリルさんの御両親が内容を考えてたらしいけど最近は全部本人作。

アレ凄く面白いんだよな。

それに、あの人の声って・・

「シリルさんの声って凄く安心するんだよね。」

「それは思う。色々あってイライラしたり悲しい時ってシリルさんの声聞いてたら凄く癒されるモノ。」

「兄貴は、敵には容赦ないけど身内には凄く優しいよな。」

「お前はいつもシリルさんにお世話されてるしな。」

「それはそっちもだろ?」

「まぁ・・な。」

「あの人同級生なのに時折年上オーラあるし。」

「まさしくみんなのお兄ちゃんだよね。」

全員が頷く。

「実際、シリルさんをお兄ちゃんと呼んだ人はこのクラスの大半はそうよね?」

「うん・・アレは、つい言ってしまう。」

「言わないのが無理があるだろ。」

王子(笑)一派以外は全員シリルさんをお兄ちゃんと呼んだ実績がある。

兄貴や兄さんではなくお兄ちゃんである。

理由は言っちゃった本人たちも不明。

下級生からは、お兄様呼びがほぼ固定されてたけど。

「はぁ・・セリカさんがうらやましい。あんな素晴らしい人が許嫁だなんて。」

全員「え?」

「え?・・あら?もしかして知らなかった?と言うより私バラしちゃった?」

おっとりとした美羽さん。

彼女はセリカさんと凄く仲の良い女性だ。

セリカさんは俺たちと同類のオタク。

そのおかげで女性同士の友人は少なかったりするんだが、そんなのを一切気にせずに仲が良いのが彼女だ。

「兄貴と恋仲で結婚前提で付き合ってるのは知ってたけど許嫁だったのか!?」

「許嫁ってことは御両親は了承済み!?」

「らしいわよ?こっそりシリルさんの普段の行動を確認したら理想の人間見つけた!つばつけとけ!ってなったらしいわよ?」

「つばって・・・」

「と言うより、さっさと既成事実作って絶対逃がすなとか言われたってセリカは言ってたわよ?」

「セリカさん・・」

おとなしそうな見た目にそぐわずなんでそんなにアグレッシブなんだよ・・。

と言うか、シリルさんが毎日理性を抑えてセリカさんを甘やかしてるその頑張りを無下にしないであげて?

あの人凄く頑張ってるから。

いつもセリカさんが抱きついてきたり耳元で囁かれたり膝に座ってきたり腕に抱きついてたり手作りお弁当をあ~んしたりと色々と仕掛けてるのをシリルさんすっごい必死になって理性を抑えてるんだから。


・・何でだろう。

シリルさんがおいしくセリカさんに頂かれる未来しか見えない。

普通男女逆じゃないかと思うけど、普段を知ってると納得する。

「兄貴・・ご愁傷様。あきらめて姉御に食われてくれ。」

やっぱりそう思うよな?



「それはさておき、あの2人について町で情報収集すれば何かわかったりするかな?」

「んー、よくあるパターンなら名前が珍しいから目立つとか見た目で異国の人っぽいとかだけど・・」

「見た目はメイドさんたちに聞いてみたけど、俺らみたいな黒目黒髪は、珍しくはあってもうわさ話になるほどじゃないらしいよ?」

「ちょっと珍しいで収まる程度か・・なら名前は?」

「そっちこそ無理じゃない?だって・・」

「あぁ・・それこそ兄貴と姉貴の名前は地球だと目立ってたけど、こっちだと全く違和感ないな。」

「だよね・・。キラキラネームのすごさを改めて知った。」

シリルさんは名前がキラキラネームだから中学のころまでは結構言われたらしい。

セリカさんはギリギリセーフって感じだったけど。


「それにしてもさ・・」

「ん?」

「うちのクラスの男連中ってなんでそんなに体格が良いの?」

男女ごちゃ混ぜでラフな格好をしてる俺らだが、女子からそんな声が上がる。

「そうか?」

「だってそうでしょ。うちらの勝手な思い込みだけどオタクとかってすっごいガリガリか太ってるかだって思ってたし。」

家のクラスの男子は全員シリルさんほどじゃないけどそこそこ筋肉はある。

「あぁ。そりゃあそうだろ。」

「なんで?」

「だって、俺ら、シリルさんに鍛えてもらってたし。」

「あの人そんなことまでしてたの?というよりシリルさんって強いのは知ってたけど教えられるほどなの?」

「知らねぇのか?兄貴は、過去に拳銃もった銀行強盗共を素手で伸して制圧して警察から感謝状をもらってるんだぜ?」

「何それ!?」

「他にも、不良グループを10人纏めて壊滅させたとか、ナイフを持ったコンビニ強盗数人を纏めて叩き潰したりとかしてるけど。」

「あの人どれだけチートなんだよ。」

「なんでシリルさんってあんなに強いの?」

「アレ?知らないのか?シリルさんって格闘系のを複数幼いころから習い続けてるぞ?」

「複数?ちなみにどんな?」

「えぇっと、空手、柔道、サバット、ボクシング、剣道、少林拳。他にも、殺陣とか擬闘とかも習ってるっぽいし」

「すっごい数が多いんだけど・・というより最後の2つは何?」

「ほらあれだよ。ドラマとかでバトルシーンでよく見るあのアクロバティックな動きをしてるあれのことだよ。」

「あぁ!ジャッキーさんとかの!」

「そうそう。あぁいう動きをするためのやつ。」

「通りで片手間にバク中とかバク転とか出来るわけだよあの人。」

「マジで?」

「まじまじ。この間は、2階の窓から軽々と飛び降りてたし。」

「何してんのあの人!?」

「なんか、セリカさんがかっこいいとこ見たいっておねだりしたっぽいよ?」

「とことんセリカさんに弱いんだな・・。」

後、みんなには言ってないけどセリカさんも合気道と剣道を習ってたりする。


「あの人・・どこに向かってるんだろう?習ってる範囲が広すぎない?」

「何というか、飽きることない護衛?」

「だね。」

「さすが兄貴だ!それらも全部姉御のためって理由だけでずっと続けてるんだし。」

「ホントまっすぐな性格でかっこいいよねー。」

「ねー。セリカさんがうらやましい。」

「というか、あの人着飾ったり髪型変えればいいのに・・ホントにもったいない。」

「それ思った!なんでしないの?すれば絶対学園1のイケメン王子なのに!」

「だよね?王子(笑)みたいななんちゃってよりも完璧な王子様の出来上がりだよね?」

「やっぱりそう思うよね?」

「次再会したら絶対に服装も髪型も改造してやる。」

うわぁ・・女子連中がなぜかシリルさんを改造する気満々になってる。

気持ちはわかるから止めないけど。


「それよりさ。どのタイミングでどんな理由でここ出る?」

「兄貴に教わってる俺の意見だが、基礎をある程度覚えて自分の力量を把握したくらいで良いと思うぜ?」

「錦さんどうして?」

「兄貴が言うには、どんなに頑張っても実践による経験に勝るものはないからある程度下地が出来たらとにかく実践で鍛えるべきだ。机上の知識が実践で役立つわけがないだろ。だって。」

「あぁ・・確かに。」

「じゃあ、タイミングはそれでいいとして、出る言い訳はどうする?黙って脱走する?」

「それは最終手段として、実践で鍛えたいとか言って堂々と出ればいいんじゃない?いつまでも同じ拠点にいたら強くなれないとか言ってさ。」

「じゃあ、それにプラスしてこの国のすばらしさを世界中に広める旅に出ますとかは?」

「あぁ。それいいね。・・・するつもり皆無だけど。」

「それに、他の国で知識を蓄えたいとか言ってもいいかも。」

「それか、世界中がやばいんなら他の国や大陸でも困ってる人がいるわけだしそれらを救うためにもこの国を出るべきだってあっちの言い訳を利用しちゃうのは?」

「ありだね。じゃあそんな感じで。」

「だとしても、シリルさんが飛ばされる寸前にしたあの蹴りは凄かったね。」

「おもわずざまぁ!って言いそうになったよ。」

「漫画だけでしか見ない光景が目の前で見れたからね。人間が数メートルぶっ飛ぶって言う光景」

「と言うより、あんな状況でも少しでもやりかえしてた兄貴はさすがだぜ!」


そんな感じで俺らの今後の目標は決まった。

にしても、シリルさんに鍛えてもらってたのがまさかこんな形で役立つとは思わなかった。

鍛えてもらってた理由は、アニメ聖地巡りで少しでも電車代を浮かせるために長時間歩けるようにって理由だったのにな。

後は、家族に少しでも自慢の息子だって思ってもらいたいって思いもあったけどな。




セリカさんに、シリルさん待っててくれよな。

まぁ、2人ならどうにかしてそうだけどこの国の王様の言うことが嘘にしろホントにしろ大変な目に巻き込まれてないことを祈るよ。


というよりも、俺らはこの国に留まって政治の駒になりたいんじゃない!

自由気ままにこの世界を楽しみたいんだ!

シリルさんたちと楽しく旅がしたいんだよ!!



あぁ!

シリルさんの紙芝居が見たい聞きたい!

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