ゴミとお金を交換、そしてステータス
--シリル--
助けてもらった後、クラリティ王国に到着し、食事をしながら恩人であるフリージアさんのことを色々と教えてもらった。
そして、俺等は彼女のお世話になることになった。
で、彼女たちの用事を済ませた後で、ギルドカードという自己証明書を発行しに行くんだとか。
これがあれば通行証として使えるので通行料がとられることもなく、冒険者として依頼を受けることも出来るから金稼ぎも出来るんだそうだ。
後は、自分の所謂ステータスも分かるらしい。
色々と楽しみだが、まずは彼女の用事を優先するので我慢だな。
楽しみは後にとればとるほど楽しいと言うし、そういう風に思っておこう。
昼飯を食い終わった後、フリージアさんに着いていくこと数分、俺たちはお城にたどり着いた。
昼飯は普通においしかった。
シンプルな味付けだが、焼き加減などは凄く丁度良い感じで思った以上にたくさん食べた。
チラッと目にした教会や、学園もそうだが、今目の前にそびえ立つ城も、どれも凄くきれいな建物だ。
名前は忘れたが、地球のどこかの国に文化財として登録されてたモノと凄く似ている。
それから、門前で門番をしている騎士と遭遇したが、フリージアさんを目にした直後、即座に敬礼をして門を開けてくれた。
俺たちに関しては、ラウさんがフリージアさんが拾ったと一言言っただけで通じてしまった。
・・・ホントにねぇ・・何なんだ。
「なるほどな。そういうことならこちらでその後のゴミ掃除も含めて手配を進めておこう。それとまとめてディフィスに対しては、こちらから依頼をしておこう。」
(コクリ)
「で、その報酬や賃金などは本当に全てそちらにまわしても良いのだな?」
(コクリ)
「わかった。では、受け取った分とその賞金、そしてその後に発生する金も全て報酬と材料などの費用に充てておこう。で、運びに関してはブレインズホークにだな?」
(コクリ)
「では、ギルドマスターを経由して対応させておこう。受け取った分にそれなりに情報があるからな、再度搾り取る予定ではあるが、それほど時間はかからぬだろう。」
「陛下、よろしくお願い致します。」
「任せておけ。大掃除は我が国の醍醐味であり、十八番だ。冒険者たちも兄上やフリージアからの依頼故に喜んで参加するであろうよ。」
で、俺とセリカは所謂謁見の間にいる。
目の前には、騎士団長らしい男性とメイドさん数名、執事数名、大臣らしき人が何人かいる。
内心では、本物のメイドさんだとテンションが上がっていたが場所が場所故に内心に留めて置いた。
実際、そのメイドさんたちってスタイルも良さそうだし、何よりも美人だったし。
・・けど俺はセリカ一筋だぞ?
それはそれこれはこれだ・・といっても、セリカも似たようなモノで、目が凄くキラキラしていた。
後で教えてもらうのだが、ディフィスは、建築関係専門のスペシャリストの集団らしい。
建築と言えばこのチーム!というほどだとか
そして、ブレインズホークは、所謂運び屋のチームらしく、かなり大規模大容量の入れ物の魔道具を持っているらしい。
で、そんな彼らは漫才チームといった方が正しいメンバーの集まりらしい。
色々と面白そうだしいつか会って話をしてみたいな。
まぁ、この国を拠点にしているらしいから会えるチャンスは多いらしいから気楽に、な。
そして、この国の王と王妃がいるわけだが、その人たちはフリージアからすると叔父と叔母に当たるようだ。
・・年齢的にはお兄さんお姉さんって感じで、さすがに血のつながりを感じる。
ホントに美形だ。
けど、髪の色は白銀というか白い。
どうやら、フリージアの髪色は、その異世界人の遺伝子が強かったようだ。
見た目もものすごく似ているとラウさんから聞いた。
まぁ、中身は真逆だったらしいが全く想像出来ない。
誰もが本物を目にしないとそう言う反応になると言っていたが、ホントにその異世界人である女性は何者なんだろうか?
いつか教えてもらおう。
そして、その王様とフリージアさんのやりとりをみているわけだが、状況説明をラウさんがした後は、一方的に王様が喋ってる。
で、フリージアさんは首を振るだけ。
ホントに彼女との会話になれているのだろう。
そんな感じでホントにサクッと話が終わった。
「ではこれからギルドに向かいますよ。」
「わかりました。それにしても、思った以上に早く終わりましたね。個人的にこういうことって時間がかかるモノだと思ってたので。」
主に話しをするまでの待ち時間とか、話し合いの討論等々。
「あぁ、その当たりはリア様だったからと言った方が正しいですね。リア様のことはよくご存じなので、嘘偽りを確認する必要も、実際に話をするまでの待ち時間なども必要がなく、逆に無駄だとみんな分かっていますから。」
「では、フリージアさんでなければもっと時間がかかっていたと言うことですか?」
「そうですね。とはいえ、1時間も2時間もかかりませんよ。少し前にも話した通り、この国は身分が高ければ高いほど優秀です。そのため、そう言う待ち時間などを含む無駄な時間はとことん省きますので、実際に話を聞いて対処するまでが非常に手早いのもこの国の特徴です。他の国で10日かかっていたモノが2~3日か、下手すれば数時間で終わるようなこともよくあります。」
なるほど。
とことん優秀なんだな。
けど、無駄な時間をとことん省くやり方は凄く良いと思う。
あっちにいた頃から思ってたんだよな。
無駄に長い話しとか、余計な手順を踏まないと先に進めないとか。
「さて、到着しましたよ。こちらがギルドです。」
「おぉ。」
ファンタジーでよく聞くような建物とは少し違った。
しいて言うなら、もっと小綺麗で頑丈そうで、大きな建物だ。
中に入ると、カウンターがいくつかあり、テーブルと椅子があちこちにチラホラとある。
壁には張り紙が大量に貼られており、扉もいくつかある。
あの扉はおそらく所謂時間制限で借りることが出来る会議室っぽいところなんだろうな。
イメージ的には、小綺麗な酒場と喫茶店を混ぜたような感じか?
セリカも目をキラキラさせて周囲を見回す。
どうやら、依頼を受けるか、報酬を受け取るか、魔物の部位の換金、新規の登録など要所によって受付場所が違うようだ。
「いらっしゃいませ。あら、クテン様ではありませんか。いかがなさいましたか?」
優しい笑みを浮かべた俺たちよりもやや年上のお姉さんがフリージアさんを幸せそうに眺めて訪ねると、フリージアさんは俺たちを指さす。
フリージアさんたちといるからなのかこの国がいい国だからなのか定番である絡まれたりするあれこれとかは、全くなかった。
周囲を見るとゲスな笑みを浮かべる人も1人もいないから後者だろうな。
と言うより、そう言うメンツはこの国柄を聞いているといても速攻で処理されてるんだろうきっと。
「ん?あら、見かけない子たちね。クテン様のお連れさん?いかがなさいましたか?新規の登録ですか?」
「はい。俺と彼女2人、冒険者の新規登録をお願いします。」
「かしこまりました。では、まずこちらにお名前と性別、年齢をご記入下さい。なお、お金はかかりませんが、再発行には金貨5枚はかかりますのでお気をつけ下さい。」
「分かりました。」
そして、俺たちは言われた通りに書くんだが、文字は先ほどまで通ってきた中のあちこちの看板に書いてある文字はどれも読めなかったので、ラウさんに書いてもらった。
・・後で文字を教えてもらおう。
で、金の価値なんだが、基本的にはこんな感じらしい。
銅貨1枚:100円
銀貨1枚:10,000円
金貨1枚:1,000,000円
地球と比べると1円や10円の桁がないからかなり大雑把だが、大体はこんなモノなんだとか。
それを見ると再発行には凄いかかるな・・気をつけよう。
名前は出来ればフルネームとのこと。
で、小声でフリージアさんに名字がついてる人は貴族と思われるか聞いてみた。
すると、貴族ではなくとも名字を持つ人はいるらしい。
ただ、そう言う人は、過去に祖先か本人が何かしらの功績を残している褒美として名乗ることが許されたと言うことらしい。
つまりは、優秀な人=名字があると考えても良いらしい。
ちなみに、名字があるけど、貴族か否かの違いは、名字がある平民が更に功績を挙げたら貴族になれるらしいので平民の名字持ちの上位互換という扱いなんだとか。
・・けど、定期的に功績を残せないと貴族ではなくなったりすることもあるらしいので色々と大変なんだとか。
性別は稀に種族的な問題で分かりにくかったりするので書く必要があるのだとか。
後は、同じステータスでも性別の違いで同じ数値でもかなりその威力が変わったりすることもあるらしい。
で、年齢も性別と同様で年齢によって同じ数字でも変わってくるんだそうだ。
人によっては偽りの情報を書いたりするらしいが、そういうのを調べる魔道具(魔法が使える道具のこと)があるので、違った場合はちょっとしたお話しがあるらしい。
「はい。こちらですね。では、こちらに血を数滴と魔力を込めて下さい。」
おぉっと?
血はともかく、魔力の使い方なんて分からんぞ?
{口には出さず私の指示通りに動いて下さい。}
フリージアさんの声は頭の中に直接響くとても不思議な感じだったのだが、これは念話と呼ばれる魔法で喋っているらしく、周囲多数に聞こえるようにするやり方と個人にだけ聞こえるようにするやり方と使い分けることが出来るらしい。
聞くと、フリージアさんは喉が弱いらしい。
だから滅多に肉声は出さずにこうして喋っているのだとか。
ちなみに、念話を使った際の相手だが、本来は名前と顔を知っているのに加えてそれなりに仲が良くなければならなかったりと条件が難しいらしいが、フリージアさんの場合はそんな普通の念話とは異なる仕様のものを使っているらしい。
で、今は俺とセリカにしか聞こえないようにしているようだ。
小さく頷くとそのままフリージアさんの声は続く。
{自分の心の中にクモのようなフワフワしたようなモノか、温かい何かを感じませんか?私と出会うまでの間に体力とは違う何かが抜けていくモノを感じませんでしたか?}
俺たちがあのとき感じた違和感に対しても既にフリージアさんには伝えている。
どんなに動いても体力が尽きない、汗をかかない、互いにくっついているとそんな現象を共有出来たと言うことだ。
言われてみると、ほんのわずかだが体力とも精神力とも違う何かを感じた気がする。
{では、その違和感の塊を空に浮かぶ雲をイメージして下さい。その雲は、自分の心臓の鼓動に併せて・・自身の思いに併せて沸いてきます。}
心臓・・つまりは心か。
心に浮かぶ雲
心から溢れてくるモノ。
集中していると心の中から雲がフワフワと少しずつ溢れてきた気がする。
{それが魔力です。では、それを心の中で1つに集め、束ねて下さい。}
この雲のようなものが魔力なのか。
1つに圧縮・・まとめる。
お?
なんだか不思議な感覚だ。
体が軽くなったような気がする。
{その塊を心臓から肩、腕、手のひらまで移動させて下さい。血の巡りのように。川の流れのように。}
血の流れをイメージして心臓から手のひらまで流していく。
うん。
ぎこちないけど少しずつ手のひらに移動してきた。
{では、後は目の前にある水晶玉に触れて下さい。手のひらに集まった分から勝手に吸い取りますから。}
言われた通りに魔力を集めた手を水晶玉に当てると確かに勝手に吸い取られた。
セリカも上手くいったようだ。
なんだか微妙に疲れた気がする。
何と言うか、気が重い感じか?
「はい。確かに。では、後はこちらに血をお願いします。」
ナイフを渡され、指先を傷つけ、カードにつける。
するとぴかりと一瞬だけ光り、カードはかなり小さくなった。
ご丁寧に穴も空いており、そこに長さが勝手に変わる細い鎖紐をつける。
うん、ネームタグって奴だな。
聞くと、このネームタグがギルドカードであり、長さは何かしらの魔法が込められているため、つけた本人にあわせて勝手に調整されるらしい。
「これで登録は完了です。一応表示されている情報を登録しますので見せて頂けますでしょうか。尚、この情報に関しては一定数以上の権限のあるギルドメンバーの極々一部だけが閲覧可能であり、外部への公開は一切なく、法律でも厳しく対処致しますのでご安心下さい。」
きちんと対処されているようだ。
「質問良いですか?」
「どうぞ」
「もし、数ヶ月とか数年とか経過したときに例えば職業とか称号とか何かしらに変化があったときは見せないといけないのでしょうか?」
「必要ありませんよ。それと、ギルドカードは所持者の情報をリアルタイムで更新されますが、それらの情報はご本人以外は絶対に閲覧出来ないようになっております。例えギルドマスターでもです。その中で例外があるとすれば鑑定のような他者の情報を視るワザがある場合だけですね。」
なるほど。
後々に変化したら見せなくて良いんだな。
なら良かった。
けど、このネームタグにはギルドランクと名前しかないぞ?
その他の情報はどう見るんだ?
で、冒険者のルールを教えてもらった。
ランクは下から順にF,E,D,C,B,A,S,SS,SSSとあるらしく、ランクにあわせた依頼内容をこなし、それらの達成率と依頼主の満足度などを合算した結果、ランクを上げることが出来るのだとか。
当然ランクが上がれば上がるほど難しいかつ、値段の良い依頼があるようだ。
で、自身のランク以上の依頼は受けることが出来ないが、パーティなど複数人でチームを作っていた場合はチーム内で最も高いランクの人に合わせた依頼が対応可能。
例えば俺がFで、パーティにAランクがいればAランクの依頼が受けられるということのようだ。
そして、依頼には常時対応の分があるらしい。
基本的に依頼主が依頼したモノをメインに対処するのだが、常時対応は薬草や魔物など特定の種類をいくつかで1つの依頼が達成という扱いらしい。
そうなると常時対応の分をこなした方がランクアップが早いのではないかと思ったが、その辺りは、きちんとルールがあるらしい。
その場合、他の依頼のような依頼主の満足度がない代わりに、それぞれの町での周囲のその人たちに対する反応でランクを上げるかどうか決めるのだとか。
つまりは、常時対応の依頼をガンガン対処しているが、町の住人からすると態度が悪くいつも逆ギレしていちゃもんをつけてきたり迷惑をかけているとなれば、ランクアップは駄目というような感じらしい。
よく出来ているな。
「では、ギルドカードの情報の閲覧をお願いします。内容を知りたいと念じれば出てきますよ。その画面は他者へ見せたいと思わなければ絶対に見えないのでご安心下さい。」
なるほど。
ギルドカードを握って内容を知りたいを念じると透明なウィンドウが出てきた。
おぉ、まさしくファンタジー。
ランク:F
名前:シリル・クニサキ
性別:♂
年齢:16
種族:異世界人
職業:軽業師、吟遊詩人
称号:異世界に攫われし者、みんなのお兄ちゃん
属性:温度変換
体力:E
魔力:D
攻撃:D
防御:E
俊敏:C
練度:E
異世界人
異なる世界の人間
あらゆる技を習得しやすい
軽業師
身軽に様々な武器を使用して戦う
重い武器は使用出来ない代わりにある程度の軽さのある武器であればどの武器でも扱うことが出来る
どのような足場でも活動することが可能であり、場数をこなすと次第に壁や天井も駆けることが出来る
体力がつきやすくなる
吟遊詩人
歌・演技・語りなどあらゆることを魅せることに長けた存在。
歌や絵かき、声帯模写などをはじめ、大抵のことは身に着けることが出来る
練度が上がりやすくなる
異世界に攫われし者
世界規模で拉致られた人
俊敏が上がりやすくなる
みんなのお兄ちゃん
別名年下キラー
年下の相手から好意を寄せられやすくなる
温度変換
温度を変えることが出来る
※上限はなし
ランク:F
名前:セリカ・アマクサ
性別:♀
年齢:16
種族:異世界人
職業:武闘家、アイテムマスター
称号:異世界に攫われし者、ギャップ萌え、恋は盲目
属性:全強化
体力:D
魔力:E
攻撃:C
防御:D
俊敏:E
練度:E
武闘家
武器を扱わずに戦う
武器を扱わずに全身を使った技であればどのような技でも習得しやすくなり、身体能力が向上しやすくなる
アイテムマスター
あらゆる道具を使いこなす
武器でも防具、魔道具、薬などあらゆるものを使いこなす。
練度が上がりやすくなる
ギャップ萌え
見た目とのギャップにより好意を寄せやすくなる
恋は盲目
好きな相手に対してとにかく一直線で、他の異性は一切興味なし
好きな相手に対してのみ、精力向上。
全強化
あらゆるものを強化する
※制限はなし
技などはまだ何も知らないからまだ覚えていないようだ。
ステータスの数字もギルドランクと同じらしい。
それにしても、称号が・・いろんな意味ですごいな・・うん。
と言うか、色んな意味でバラされまくってる気がするんだが・・。
これ見てると、俺自身が何なのか改めて理解した気がする。
と言うかこれ・・異世界転移する前からあった奴じゃないか?
それに名称をつけて魔力をプラスしただけじゃないか?
まず俺だが、
確かにある程度のマット運動とかを始めとした体を動かすようなのは結構得意だし
歌も自称声優に絵描きもどれも好きだしそこそこ得意だし。
よくオタ共からお気に入りのラノベキャラでこんな感じの声質でして欲しいとか言われてよくやってたなぁ。
しかもご丁寧に教室の中で他の連中がいるにもかかわらず。
まぁ、紙芝居とかで慣れてたから普通にしてた俺も俺だが。
・・アレのおかげで地味に女子連中と先生たちから同じような要望が入るようになったんだぞ?
それをお前らはモテモテだの何だのと・・どれだけ不機嫌なセリカを甘やかしてなだめたと思ってんだ。
理性との大戦争なんだぞ!?
まさしく最大の敵は自分自身!って奴だ!
・・全然楽しくねぇ!
と言うか、俺に年下ばかりが集まってたのはこれが原因か!
と言うよりも、年下キラーとか余計なお世話だ!
俺はセリカだけで十分何だよ!
例え一夫多妻制があろうが何だろうがセリカ以外は受け入れるつもりは一切ねぇ!
それと、どれだけ動いても暑くならなかった理由がこれで分かったな。
それに、あの誘拐魔法を使ったアホどもがハズレって言った理由もわかった気がする。
戦いをメインに考えたら確かにこれはハズレと言いたくなる。
けどなぁ・・俺個人としての考えなんだが氷河の世界だろうが火山だらけの灼熱の世界だろうが魔力とかかなり使うだろうけどどんなとこでも快適温度を保てるって凄く便利で素晴らしいって思うんだよ。
だってそうだろ?
誰だって一度は考えたことがあるはずだ。
部屋の中がエアコンで快適空間なのに外に出ると暑くてたまらないって時に外でもエアコンのあの快適温度を保ったまま出掛けたいと!
それを今俺は再現してたってわけだ。
で、肝心のステータスだが、登録した手の初心者にしては高い方じゃないか?
確かに低い部分は結構あるけど、俊敏とか一部は既にCだし。
初期値が高い時って後々にレベル上げしたときに他のよりも上昇値が高かったりして最終的にそれがカンストしたりしてすごく強くなったりするし。
良し頑張ろう。
で次にセリカ。
ステータスは俺と高い部分と低い部分は違うが俺とどっこいどっこいってかんじみたいだ。
称号は・・許嫁だし恋人だし幼馴染みだから問題ないけど普通におれ相手にべた惚れだってバレバレだな。
後、セリカが疲れなかった理由はこれだな。
アレは所謂身体強化をしていたから消費する体力が少なくすんだのに加えて、魔力も自然回復する分で追いついていたから疲れ知らずだったんだな。
こうして俺たちの職業を見てると俺は俊敏をメインに置いた一撃に重さを重点的にするタイプではなく手数でせめるタイプだと思う。
後、吟遊詩人は・・しいて言うなら後方支援って感じか?
で、セリカはアイテムマスターがあるから万能タイプだな。
けど、俺以上に戦闘向けだな。
何と言うか、俺と真逆で一撃に威力の高さを念頭に置いたタイプだ。
かなり俺たちってガンガン系っぽい?
回復系アイテムを揃えておく必要があるっぽいな。
それか、吟遊詩人って職業だし、そういう感じの歌とかあったりするかも?
フリージアさんに聞いてみよう。
迷ったときの天才幼女。
・・絵面だけだと相当ひどいな。
けど、地球じゃないしファンタジー世界だからそう言うモノだということにしておく。
「シリル!シリル!」
「分かったから落ち着け。気持ちは十分分かるから、な?」
「うん!」
自分のステータスを見て感動でテンションが爆上げされてるセリカをなだめる。
何と言うか、感動に振り回されて微妙に幼児退行してないか?
いつもならうんじゃなくて、えぇとかはいってきちんと言ってた気がするんだが・・まぁいいか。
で、その情報を受付のお姉さんに見せる。
「はい。確認致しました。これから早速依頼を受けますか?」
「いえ、別件で動く用があるのでまたの機会に。」
ラウさんが代わりに答える。
「かしこまりました。」
「あ、その前にこれの換金をお願いします。」
「かしこまりました。」
あ、俺たちを襲ったデカい狼のか。
他にも色々混じってるっぽいな。
それらは通りすがりにフリージアさんたちが倒した分なんだろうな。
「集計が完了致しました。金貨6枚銀貨70枚ですね。」
「確かに。」
「ご利用ありがとうございました。」
あの・・早速エグい値段が目の前に・・。
俺、金貨って目にするのはまだ相当先だと思ってたんだけど・・。
そして俺たちはギルドをでた。
「そういえばアレをお金に交換して依頼をすると聞いてましたけどアレってお城を経由して依頼されることになったんでしたっけ?」
「そうですよ。ですのでこちらで動くことはもうないですね。」
「ちなみに、どんな依頼をする予定だったんですか?」
「既に伝えましたが被害者の皆さんは種族がバラバラで人数がそれなりにいます。ですので、それぞれの種族にあわせた家を建ててもらえるように頼んでいます。後は、家具を始めとしたそれぞれが生活のために必要な道具や施設の建築なども含みます。」
「あぁ。端的に言えば生活環境を整えるためなんですね。」
「そういうことです。」
それなら確かに必要だな。
「ではお二人の分ですよ。」
と言ってラウさんはいきなり俺とセリカにさっきのお金を2等分にして渡してきた。
「いやいやいや!受け取れませんよ!俺たちで倒したのってせいぜい5体くらいでしたし!」
「その金額でお二人の装備を整えるんですから受け取りなさい。」
「わかりました・・ありがとうございます。」
「ありがとうございます・・。」
そう言われると否定出来ないじゃないですか!
「で、お二人には装備品を購入して頂きますが、ここでは武器だけ購入します。」
「アレ?こういうときって防御を最初に固めるために防具か、何かしらの魔道具だと思ったんですけど。」
「防具と魔道具はこれから向かう場所にいるメンバーに作ってもらうので必要ありません。ですので、武器だけが作れないんですよね。」
これから向かう場所はフリージアさんの故郷であり現在ご家族とその部下に当たる人たちや友人たちがいるところに行くらしい。
聞くと、そこには様々な種族の人たちがたくさんいるらしいが、その人たちは先ほどお金と交換されたゴミおっさんが違法奴隷としてとらえていた人だそうだ。
奴隷はやはりこの世界に入るらしい。
だが、犯罪を犯した人だけしかならない所謂犯罪奴隷だけなんだとか。
違法奴隷は見つけ次第厳しく処罰するらしいが、借金奴隷はかなり昔に世界全土で禁止にしたらしい。
そして、奴隷になれば開放されることは死以外にあり得ないそうだ。
「それはありがたいんですけど、お手数かけるくらいでしたらさっきもらったこのお金で買った方が・・」
「あぁ、ご心配なく。試作品を試してもらうようなモノですから。」
なるほど。
もらえる代わりに使い心地とか含めたデータ収集に協力するわけですね。
「そういうことでしたらありがたく。」
なら、どんな武器が良いかな。
色々と想像を膨らませるのは凄く楽しい。
そして、やってきたのはものすごくでかい建物。
なんて言うか3階建てのでっかい建物。
それから中に入ると剣や槍、ハンマーなど様々な武器がところ狭しと並んでいる。
ラウさんからは金貨3枚分は使い切って問題ないと言われている。
武器に出し惜しみしていたら命に関わるし、自分に合ったモノを探すのに値段を自重していては冗談抜きで生きていけないからだそうだ。
何が良いかな。
「フリージアさん、何が良いと思う?」
職業とかも全て見せてるし何かアドバイスを下さい。
{深く考えずに好きなモノを選んではいかがですか?}
「え?それで大丈夫なの?」
{好きになれない武器は実際に使いこなせるようになりたいとは思いませんよ。お洋服と同じです}
あぁ。
気に入らない服を買ってもタンスの肥やしになるのと一緒か。
「そうだね。そうしてみるよ。」
(コクリ)
「フリージアさんの武器はここで?」
{杖はご先祖様から引き継いだモノですが剣はそうですよ。これもなんとなく引き寄せられたので試しに振ってみたら良い感じだったので買いました。}
なるほど。
勘で選ぶのもありか。
所謂運命にゆだねるって奴だな。
「・・で、セリカはいつまでくっついてるのかな?動きにくいんだけど。」
「良いじゃん。こうした方がナンパされずに済むし、シリルと離れたくないもん。」
「・・そうか」
言葉だけ聞くと自画自賛だが実際セリカは美少女だしスタイル良いし、あっちでもしょっちゅうあったし。
さて、武器はどれにしようか。
・・・・防具は買わない予定だけど、せめてセリカにブラを買わせないと・・。
いつまでもノーブラは俺の理性がヤバイです。
だから、セリカ。
俺を悩殺するモノを探さなくて良いからおとなしく武器を探しなさい。
敵を倒す武器です。
俺を悩殺する別の意味での武器は探さなくてよろしい。
そうやって俺の理性崩壊の追い打ち・・追撃はやめなさい。
ちなみに、あのゴミおっさんは、1人で金貨50枚になり、ため込んでいた分は全てオークションに流された結果、金貨300枚になったそうな。
そして、そいつから絞り出した情報を元に潰して回った裏組織を上位の冒険者を始め、騎士たちが嬉々として対処した結果、彼らからの厚意により一部が建築代にと加算された。
その値段は、金貨70枚。
かなり規模がでかかったのと、ものすごくため込んでいたようだ。
それでも対処した彼らにもかなりの金額が手元に残ってたらしいので驚きだった。
そして、そんな大規模なゴミ掃除をするきっかけになったフリージアさんに何も報酬が残らないのは可哀相という意見が出た結果、伸縮自在な革素材っぽい腕輪の魔道具を2つ渡されることになった。
それは、どうやらそれをつけると動物などが人間の言葉をしゃべれるようにする優れものらしい。
後、大量のお菓子が渡された。
どれもご丁寧に長期間保存出来るモノばかりで、種類も超豊富だった。
・・凄くフリージアさんの好みを知ってる人たちだと密かに思う俺だった。