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美幼女のお世話になります。

少々長いです。

それと、1話前に昨日主人公のイメージ図をのっけてみました。

更に言うと、そこから数枚追加で画像・・増えてます。

--シリル--

巨大な狼の群れから助けてくれた超絶美少女に改めてお礼とかを言う前に俺はセリカを引きはがすことに30分はかかった。

・・疲れた。

ホントに疲れた。


最終手段として、美少女の目の前で濃厚キスをしてやってやっとだ。

で、落ち着かせるために俺はセリカを抱き締めたままになっている。


そして、その愛でられまくってた美少女はと言うと全く気にしていないらしくあの巨大猫に埋もれてる。

動物好きなようだ。

ファンタジー的に言うならテイマーなのか?


「改めて、助けてくれてありがとう。それと、うちの連れが迷惑をかけてすまない。」

「シリルって時々パパモードになるよね。と言うよりお兄ちゃんモード?」

幼い頃からちびっ子相手をしていたからか他人のお世話をするのがほとんど癖になっていた影響かセリカがそんなことを言う。

「やかましい。静かにしていなさい。」

「あん♪」

腰にまわした腕に軽く力をかけて抱き締め、セリカの頭に顎をのせるとセリカは嬉しそう。

何か微妙にセリカがおバカになったような気がするんだが気のせいか?

周囲に知り合いが誰もいなくなったのと、社長令嬢って言う身分を一切合切無視出来るようになったから吹っ切れたか?

まぁ・・良いか。

とりあえずスルーしよう。

「で、俺はシリル。國崎識留。こっちはセリカ、天草芹華だ。」

{私はフリージア。フリージア・クラリティ・エトワールと申します。}

おぉ、ミドルネームを生で聞くのは初めてだ。

にしても、最初から思ってたけどこの美少女・・フリージアは声も凄く魅力的だ。

若干ハスキーがかっていて、本人の雰囲気も合わさって凄く良い声だ。

声優とか目指したらあっという間に成り上がれそうだ。

「奈々様かな?日笠様かな?」

「その系統の声だな。」

(?)

「あぁ、ごめん気にしないでくれ。」

(コクリ)

素直だな・・。

大丈夫か?この子。

「君は1人?」

{シャスティたちとお使いの途中です。}

「シャスティ?」

{このにゃんこのことです。}

そうか・・やはりネコだったのか。

こっちの世界では犬も猫も人間よりデカいのが普通なのか。

「と言うよりお使い?」

1人で街を出てまで行くようなお使い?

こっちの世界のお使いはハードだな。

{ゴミをお金と交換してお家を作ってもらう依頼をする予定です。}

「ゴミ?」

フリージアがアレと指さす方を見ると縄でぐるぐる巻きになった状態で色んな意味でぼろぼろになったおっさん。

「えぇっと、あのおじさんは何かな?」

{お金に出来るゴミです。}

この子、以外と毒舌だな・・。

だが、台詞から想定すると

「所謂賞金首ってやつか」

(コクリ)

当たっていたらしい。

だが、このおっさん1人で家を建てるほどの金が出てくるモノなのか?

「このおっさん1人でそんなに金になるのか?」

{正しくは、このおっさんにかかっている賞金と、こいつがため込んでいた分とこれから絞り上げた情報を元に大掃除した全部のお金です。}

「あぁ、芋づる式にまとめて一掃するわけか。」

(コクリ)

なるほど・・だが、1つ言いたい。

「幼女に頼むお使いが色んな意味でハード!」

何?

こっちの世界ってこんなに子供の教育はハードモードなの?


{そういえば私しか自己紹介してませんでしたね。このにゃんこはシャスティ、こっちは翠ちゃん、こっちはラナちゃんです。}

巨大猫がシャスティ、動く人形っぽい人?が翠、で、あのまりもがラナか。

何と言うか不思議な組み合わせだ。

狼とかゴーレムとかをテイムしていると思ったけどその辺りも俺たちの知る常識とは違うようだ。

{それでお兄さんたちはどうしましたか?とりあえずお洋服はどうしますか?ファッション?}

「着替えがないんだよなぁ。それとファッションじゃない。」

{未来に生きる系ではないんですか?}

「そんな世紀末なファッションは好みじゃない。」

そして、あの謎のゲルから服が出てきた。

{どうぞ。}

「あ、どうもありがとう。いつか返すから。」

{余ってるので差し上げます。}

「じゃあありがたく。」

もらったのは、長ズボンにシンプルなシャツ、それと薄手のコート

全体的に黒っぽいけど、不思議と暑くないし着心地が凄く良い。

よく聞くファンタジーだと質が低いから着心地が悪いとか聞くけどそうでもないらしい。

そして、セリカはワンピースと薄手のコート、それとハイソ。

こっちは白。

おぉ。

シンプルだからこそセリカの美しさが活かされる。

そして、広がる絶対領域!

分かってるよ!よく分かってるよこの子!


「これ、着心地が凄く良いね。」

{リーリスさんのお店で買いました。}

「その人って有名な人?えと、こっちには来たばかりで・・」

{凄く優秀な方ですよ。クラリティ王国の偉い人御用達です。}

王国のトップが好むのか、それかなり優秀ってことじゃないか。

この子何気に、知り合いの方でも凄いようだ。

{それで、お兄さんたちはどこから来たんですか?見慣れない服装と言うよりも、違う匂いがします。}

何気に鋭いなこの子。

だとしても違う匂いって・・犬みたいな子というな・・。

それと、ずっとネコの獣人と思ってたらただの髪の癖だったのは地味に驚いた。

「えぇっと、ずっと東の方から来たんだ」

極東ってよく聞くしな、これで通じるか?

だが、現実は甘かった。

{嘘は必要ありません、事実だけを言って下さい。}

即答で嘘と見抜かれた。

「な、何で分かるの?」

{私の前で嘘は一切通じません。どんな些細なことでもです。}

怖い・・こっちの世界の幼女怖い。

けど美少女。

「信じられないかもしれないけど、俺たち異世界から来たんだ。」

そして、ここに飛ばされるまでのことを一通り嘘偽りなく伝えた。




で、

{そうでしたか。遠渡はるばるご苦労様です}

と凄くあっさりとした返事だけだった。

なんか、となりの国から来たんだ-、そうかーわざわざご苦労なことでー

くらいの軽いテンションだった。


・・この子、凄い肝が据わってるな。

「え!?リアクションそれだけ!?もっと驚いたり嘘だ!とかの反応はないの!?」

さすがにセリカがツッコミを入れる。


だが、予想と斜め上の反応が戻ってきた。

{私にそう言う反応を求めているのがそもそもの間違いです。}

「え?」

{私からすると驚いたり怒ったりといった感情がものすごく薄いので、そう言う普通の人間の反応がそもそも理解出来ないのです。}

この子もかなり苦労しているのだろう。

感情が薄いと言うより育たなかった・・いや、自然と育つような環境ではなかった。

それほど過酷な人生を送ってきた可能性がある。


・・この辺りはあまり深入りしない方が良さそうだな。

「そうか。だが、俺たち以外に異世界人を見たことがあるのか?」

{直接はありませんよ。}

そのため、あっさりとした返事と共に聞いてみると、少し含みのある答えが戻ってきた。

「ってことは、聞いたことはあると?」

(コクリ)

「知ってる人?」

(コクリ)

「そっか。」

少なくとも過去を含めて異世界人がゼロと言うわけではなさそうだ。

「あ!ねえねえ!さっきのあの黒い奴ってフリージアちゃんの魔法!?」

セリカが食いついた。

凄いぐいぐい行くから俺が一生懸命抱き締めてなだめる。

だが、フリージアは特に気にすることもなく。

(コクリ)

と頷き、自身の地面から触手っぽい黒いのを1本呼び出した。



「・・・」

「・・・」

(?)

それがどうしたの?と言いたげに首をかしげてるだけだった。

この子は、何と言うかホントにかわいいな。

ちょっとした仕草が、普通ならぶりっこだの何だのと思われがちなのにこの子の場合は一切の下心なしでホントに無自覚でやらかしてる。

・・この子の保護者って、もしかして自分の力でしっかりと生きていけるようになって欲しいって願いを込めてこんな過酷なお使いをさせてるんじゃないだろうか。

後は、一緒に来ているシャスティ率いる獣魔たちが優秀故に信頼しているかだな。

「えぇっと、これ?」

(コクリ)


うん・・・どうしよう。

何の魔法かさっぱり分からない。

あのときは黒いドーム状だったし、武器にも纏わせていた。

同じ素材を使っているのは確かだけど、その素材というか元が全く分からない。

「何と言う魔法なの?」

{アレは触手さんです。}

うん・・聞きたいのはそこじゃない。

(?)

「うん、そっか。じゃあ、火属性とか水属性とかで言うと何になるのかな?」

とりあえず頭を撫でてあげつつ聞いてみる。

この子の髪さらさらで気持ち良いな。

{私は陰です。}

「陰?影じゃなくて?」

(コクリ)

その後、辛抱強く聞いてみて分かったことは、所謂陰と陽の陰の属性だから自由度がものすごく広いと言うこと。

それと、主に影を操っていると言うこと。

で、さっきのはあの影を所謂具現化させているようだ。


そこでセリカにぽつりと言われたのは、

「やっぱりシリルってお兄ちゃん属性だよね。子供の相手が凄く上手。」

とのこと。

素直にお礼を言っておこう。

深入りすると面倒なことになりそうだし。



「それで、本題なんだけどあっちに行けば町が村はあるかな?良ければどのくらいで着くかも知りたい。」

{あちらにはクラリティ王国がありますよ。}

町ではなく国か。

どんな国か聞いてみたら、ありとあらゆる書籍が集まり、その影響で学園があり、吟遊詩人を始めとした様々な物語に溢れた国らしい。

この世界の文字が読めるかは分からないが、楽しみだ。


で、距離は歩いて軽く3~4日はかかるそうだ。

と言うのも、この世界には大きく4つの大陸があり、その内の1つが今いる春の大陸。

他にも夏秋冬とあり、それぞれの大陸がその名の通りの大陸らしく、夏の大陸ならば火山が活発な場所であり、冬の大陸であれば雪と氷に溢れた大陸らしい。

他にも小さな島はあるらしいが、大体はそんな感じなんだとか。


そして、この4つの大陸はものすごく広いらしく、その影響で国と国、町と町の間が凄く離れているのだそうな。

{よろしければお連れしましょうか?私もそちらへ行く予定ですから。}

「いいの?お礼というお礼が何も出来ないんだけど・・あるのがこれくらいだし。」

脱ぎ捨てたブレザーとギザ十。

{お洋服は大事にとって置いて下さい。破けている分もリーリスさんに直してもらいましょう。大事なモノでしょう?}

「ありがとう助かるよ。」

カッターはともかく、ブレザーとズボンはなぁ・・。


で、この子はギザ十をつまみ上げる。

{こちら、頂いても良いのですか?}

「あぁ。俺たちの世界の金で下から2番目の価値だけど、縁がギザギザしているのはそこそこ珍しいモノなんだ。・・って言っても、それくらいだけどな。」

せいぜい20円ちょっとくらいにしかならないと聞いたことがあるしその程度だ。

だが、その十円、無駄にぴかぴかだ。

{では、こちらを報酬として頂きます。}

「それでいいのか?」

{お金には困っていませんし、私が欲しいと思ったモノが偶然これだった。ただそれだけですから。}

純粋にそれが、気に入っただけのようだ。

「ありがとう。よろしく頼むよ。」

(コクリ)

凄く幸運なことに偶然ポケットに入っていた十円で国まで連れて行ってもらえることになった。


「それにしても、話を聞く限り、この大陸でそのような怪しいことを噂で聞くこともないので他の大陸のどこかでしょうね。」

「うわぁ!」

「きゃぁあ!どこ!?いきなりどこから出てきたの!?」

突然俺たちよりちょっと年上の執事服を着た濃い緑色の髪の男性が出てきた。

マジでどこから出てきた!?

気配が全く読めなかったんだけど!?


俺、あっちの世界で格闘技とか色々学んでるから気配を読むのはそこそこ自身があったんだけど。

「いつからと言われましても最初からですよ。」

「えぇ・・」

「よく存在感がないって言われるんですよ。目の前にいても放置されがちで、あはは。」

あははって・・。

「改めまして、ラウと言います。リア様、この幼女様のお父上の懐刀を勤めており、現在は護衛役兼本日の保護者役です。」

この子・・やっぱり貴族だよな?

護衛がつくほどだし、どう見ても平民なんかじゃない。

と言うより、この子の父親って何者?

「こちらこそ自己紹介が遅れてすみません。」

「いえいえ。自己紹介されるだけ凄いですよ。それすらなくスルーされることもよくありますから。」

「えぇ・・」

と言うよりも、この子何で幼女様って妙な呼ばれ方されてるのにスルーしてるの?

さっきから思ってたけどこの子のスルースキルのレベルが高すぎる。


「あ、それでこの大陸じゃないって本当ですか?」

「えぇ。この大陸についてはイリス様、リア様の父君より聞いております。その時に些細な噂話を含めてもそう言う話しは聞いたことがありません。」

ホントにこの子の父親何者だ!?

聞いてる限り、ユーラシア大陸よりも広そうな大陸全体のことを網羅してるとか。

「じゃあ、私たちはどこかの大陸で呼び出され、この春の大陸に捨てられたと?」

「と言うより、捨てられた場所が偶然春の大陸だった、ただそれだけではないでしょうか。」

「なるほど。」

「それよりもリア様、あまり遅くなっては・・。まぁ、あちらで1泊してから戻りましょう。事情を説明しているうちに時間はかかりますから。」

(コクリ)

「ではお二人ともシャスティさんの背に乗って下さい。」

「はい。シャスティさんお邪魔します。」

巨大猫の背に乗るために一言言うと軽く頷き、うつぶせになってくれた。

まぁ、さっきまでフリージアに撫で回されてご機嫌だったけど。

その光景を見る限りではホントにただの飼い猫だった。

何と言うか戦ってるときとのギャップが凄い。


そして、シャスティの背中に乗る。

一番前にフリージア、次にセリカ、そして俺だ。

「えへへぇ。」

凄い蕩けた表情でフリージアを抱き締めほおずりしている。

そして、そんな世間ではあまりお見せ出来ない表情になってるセリカを特に気にすることなくセリカの頭を撫でてるフリージア。

何でだろうか。

セリカが妹でフリージアが姉に見える。

ラウさんに言ってみるとよくある光景なんだとか。

凄く落ち着きがあると言うか精神的に大人っぽいから年上に見えることがよくあるとのこと。


なるほど。

肉体年齢と精神年齢が違うってことか。


そして、フリージアの魔法でなぜか俺とセリカはシャスティに縛り付けられる。

「えぇっと、フリージアさん?なんで縛り付けてるのかな?」

(?)

「いや、首をかしげられても・・。どうして縛るのかな?」

{そうしなければ振り落とされるからですよ。}

「そうですよ。そうしてもらわないと吹っ飛びますよ?」

「そう言うラウさんは乗らないんですか?」

「えぇ。俺は並走します。」

こっちの世界の人間は色んな意味でたくましい。


「では、全力で捕まってて下さいね。」

ラウさんの台詞を実感したのはそれから数秒後だった。




で、1時間もしないうちにクラリティ王国と思われるデカい壁に囲まれた場所の入口までやってきた。

俺とセリカは全身がガクガクだった。

凄かった・・

シャスティが速すぎる。

何と言うか、スーパーカーレベルだった。

だというのになんでラウさんは、平然と並走出来てるの!?

こっちの世界の人間ってこんなに違いがあるの!?



そして俺たちは、まともに動く体力がなく、シャスティさんの背に乗せてもらっている。

フリージアは横で歩いているからちょっとだけ情けない気持ちになるが、ホントに歩く体力がないんだ・・。




「アレ?姫様、お早いお戻りですね。ってラウさん。どうしたんすか?何かありました?」

「あぁ。ちょっとゴミ捨てにな。それと、大掃除の準備と依頼をな。」

「あぁ、なるほど。それですね。」

「あぁ、それだ。」

「俺丁度交代の時間何でそれ持っていきますよ。ついでに情報を絞っておきます。」

「その後のことも頼んでいいか?その報酬で別の依頼を駆けようと思っていたところなんだ。」

「分かりました。じゃあ、そういう風に通達しておきます。」

「よろしく頼む。」

縛り上げられていた賞金首はそうして門番の騎士へ渡された。

「うす。で、そっちの2人は?」

「リア様が拾いました。」

え!?

そんな適当な説明で良いの!?

「あぁなるほど。じゃあ大丈夫っすね。ギルドカードはありますか?」

「持っていないです。」

「同じく」

そんなカード知りません。

「なら、通行料をお願いします。」

「これで良いか?」

「十分です。ではどうぞ。」

「じゃあ後のことを頼むな。」

「任せて下さい。」


そしてあっさりと通れた。



何でだ!?

と言うよりも、姫様って何だ!?

この子ホントに何者だ!?

と言うか俺たちペットじゃないんだけど!

人間だけどなんで拾われたで通じるの!?



「そう言うモノです。あきらめて下さい。」

ラウさん、俺の心を読むのをやめて下さい。

「それに、俺がリア様に拾われた人間一号ですから、あはは。」

この子前科あったよ・・。

既に人間拾ってたよ。

「いやぁ、影から見バレしないように守ることが仕事だったのにあっけなく見つかって捕獲されましたね。目の前にいても存在感が薄すぎてスルーされる俺が全力で隠密状態だったにも関わらずですよ?」

それは凄い・・。

ホント何者何だこの幼女。


「色々と話したいこともあるでしょうし、食事でもしながらにしましょう。」

空を見上げると丁度真上に太陽がある。

そういえば月は1つだった。

そう言う部分は地球と同じなんだろうな。



そして、連れられた場所は大型の大衆食堂って感じだった。

「いらっしゃいってクテン様じゃないですか。ようこそおいで下さいました。ご注文はいかが致します?」

何でフリージアはクテン様と呼ばれてるんだ?

で、ラウさんが代わりに答える。

「リア様、どうします?」

(?)

首をかしげてるだけだった。

「あぁ、お任せですね分かりました。」

何で通じてるんだ?

慣れか?慣れなのか?

「お二人はいかが致しますか?」

「えぇっと、何かメジャーなモノと言いますか、おすすめ的なモノを。」

「俺もそれで。」

「では定番のを選んでおきますね。じゃあ注文しますね。」

「はいどうぞ。」

「肉の盛り合わせセットを味付け4種類分と大皿サラダを4皿、パンを12個、ドリンクは果実水を人数分で1人分だけジョッキで、デザートにフルーツの盛り合わせを10人前でお願いします。」

ちなみに、肉の盛り合わせセットは1つで3~4人前、大皿サラダは1皿で2人前はあったりする。

「毎度!」

え!?

スルー!?

スルーなの!?

「あのラウさん!?多くないですか?」

「え?一応控え目ですけど。」

何を言ってるんだと言いたげに言うラウさんに顔が引きつる。

この人・・文系的な顔しておいてどれだけ食べるんだよ!

それと、何で周囲の人たちも全員うんうんと至極当然という感じで頷いている。

この人の大食いは当たり前らしい。

「はいお待ち!」

「早っ!」

数分くらいで来たぞ!?

「あはは!兄ちゃんは何を驚いてるんだ。うちは早い旨い、値段が微妙で有名なんだ。」

「早い安い旨いじゃないんかい!」

「値段には自信がないんだ。まぁ、気にせず食ってくれ。」

なるほど、分かる気がする。

まぁ、こっちの世界の値段の平均が分からんけど。


「それで、なんでフリージアの方に?」

ラウさんじゃないの?

「何か勘違いしてませんか?」

「え?」

「この中で一番食べるのはこっちの幼女様ですよ?」

「え!?嘘でしょ!?」

「何だ兄ちゃん知らないで一緒にいるのか?」

「有名なの!?」

「おうともよ!かわいくて強くてそして胃袋の中が異次元につながってるで有名なんだぜ?クテン様は。」

「それでずっと思ってたんですけど、何でフリージアはクテン様と呼ばれてるんですか?」

「そんなのは、クテン様が神子様だからに決まってるじゃねぇかよ。」

「神子様?」

「何だそんなことも知らないのか。」

「彼らは拾われた人間2号3号なのでこれから説明するところなんですよ。」

「なるほどな。なら奥の部屋使ってくだせぇ。」

「ではありがたく。」

それから奥の部屋に移動して食事を再開。

味は何と言うか大雑把で所謂男飯って感じがするけどどれもおいしい。



で・・・・彼らが言っていたのは正しかった。

フリージア・・君のその細くて小さな体のどこにどれだけの量が収まるのかな?

本人は食べ方もきれいだし、黙々と食べてるからぱっと見は大して食べてないように見えるが、よくよく見てるとペースが落ちてないしずっと食べてるし。

で、気づくと結構な量がなくなっているという不思議。

「で、セリカは何してるんだ?」

「え?この子のお腹どうなってるのかなって。」

幼女のお腹を撫で回して何してるかと思えば・・。

「それでどうだったんだ?」

「プニプニすべすべで最高です!」

「そこじゃない!」

なんで幼女相手に変態まがいなことをしてるんだ。

「あ、そうだった。全然ぽっこりしてない。・・ホントにどこに行ったんだろう?けど軽い。」

ひょいっと軽く持ち上がった。

この子はホントに体重も軽いらしい。


「で、話しをしても大丈夫ですか?」

「あ、すみません。お願いします。」

ずっとスルーしてたけどシャスティさんは普通の猫サイズになっていた。

聞くとこのサイズが普通であっちは変身したからなんだとか。

「まずリア様がクテン様と呼ばれている所以は元々は神子様と呼ばれていたからです。」

「はい、先ほど聞きましたけど、どうして神子様なんです?御両親のどちらかは神様に近い存在だったりするんですか?」

「と言うより、彼女は神様がいるとされている天界と交信することが出来るんです。」

「お告げの親戚みたいなモノですか?」

「似たようなモノですね。天界でやりとりされている会話が時折聞こえてくるようです。」

「なるほど。それで神子様。」

「じゃあ、騎士の人たちに姫様呼ばわりされてた理由は何ですか?」

セリカはなぜかフリージアを膝にのせて愛でつつご飯を食べてる。

・・その状態でもフリージアはスルーして食事中なんだな。

ある意味尊敬するよ。

「じゃあ、軽く問題です。彼女のフルネームは?」

「フリージア・クラリティ・エトワール」

「で、この国の名前は?」

「クラリティ王国・・・・・ん?」

「国の名前とミドルネームが同じ?」

「あのラウさん?ミドルネームが国の名前ってもしかしなくてもその国のトップにしか許されなかったりするモノだったりします?」

「しますね。」

「ってことは・・・」


この子は、王族!?

「リアルにお姫様!?」

「血筋的にはそうなりますね。」

「ん?血筋的にはとはどういう?」

「彼女の父親であるイリス様は、元第一王子でありこの国では天才王子、予言者と呼ばれるほど優秀なお方です。」

親も親でとんでもないチートだな!

「で、自分の娘第一に考えた結果、あっさりと王位継承権を捨てました。」

「はぁ!?」

いくら家族のためと言ってもそんなにあっさりと捨てられるものなのか!?

「で、そのまま平民になるにはいささか問題があったので公爵家に収まりました。そのため、この国での初代公爵家となってます。ですので、リア様は血筋的には王族ですが身分的には公爵家令嬢です。」

確かに

国の中枢的なものを知り尽くしてる人をそんなホイホイと一般市民には出来ないよな。

「どっちにしてもとんでもなかった!」

「ちなみにこの国は身分が上がれば上がるほど本人が強くなるという他の国と比べると少々異なる性質があります。」

「それ、守る側が守られる側から守られると言う未来が見えるんですけど。」

「えぇ。ですので皆必死です。」

そりゃそうだろ。

存在意義を疑われるようなことになってるんだし。

「それと、この国は別名正義に染まる国と呼ばれてます。」

「え?正義が集まる国とかじゃなくて?」

「えぇ、どんな悪党も強制的に心を入れ替えるか、この世から退散するかのどちらかですので。そして、身分のない国民の場合は長くいればいるほど強くなります。そんな国ですので暗殺者だろうが何だろうがターゲットにやりかえされ、玩具にされた挙句情報を搾り取れるだけ搾り取ってとことん潰して回るので、我が国を敵に回す国は敵認定された瞬間に人生終了と言われてます。」

とんでもない国だった!

けど、それだけいい国ってことだよな。

きちんと実力を評価されるってことなんだろう。

身分関係なく。

それを聞いてみると

「その通りです。身分による差別などは全くなく、とにかく実力主義です。と言うよりも身分=実力の評価する証という扱いになりつつあります。他の国は違いますよ。」

「なんだかこの国のことが分かった気がします。」

「そして、この国では、美形であればあるほど優秀と言われています。」

「そうなんですか?」

「えぇ、理由は不明ですが昔から顔が良ければ良いほど知識・実力・魔法いずれかが非常に優秀でした。それは今もです。」

「へぇ~」

「じゃあ、フリージアさんは?」

王族と聞いたから呼び捨てはどうだろうかと思いさん付けをしてみた。

様付けにした方が良かったか?

「リア様に関しては、まさしくその代表格ですね。この国屈指の魔法の天才ですよ。」

「やっぱり凄い子だったんだ。」

「身分を抜きにしても個人で非常に有名人ですからね。」

「さっきのクテン様みたいなのですか?」

「えぇ。それ以外にも魔鏡姫とも呼ばれてますし。」

「魔鏡姫?」

魔法の鏡?

鏡・・・魔法・・・鏡・・ミラー・・リフレクト・・あぁ、もしかして。

「魔法の反射が十八番ってことですか?」

「よく分かりましたね。その通りです。」

「あの、反射って防ぐよりも凄そうなんですけどどれくらい凄いんですか?」

「ランク付けするとすれば、ただ防ぐだけでは初級、攻撃することで相殺、もしくは回避は中級、魔法の軌道を逸らしたり、受け流すと上級、そして反射となれば最上級です。」

「レベルマックスを100としたら、初級が10、中級30、上級70、最上級100って感じですか?」

凄い適当に数値化してみたけど。

「そのくらいでしょうね。そのたとえで行くと、上級が扱える人数は数パーセント、最上級だと現在世界中で知られている情報ではリア様たった1人ですね。」

「すごっ!」

まさに天才だった。

そういえば、あのドーム状のやつも狼の攻撃を防いだ後、跳ね返してたな。

他にも火を噴いてもそれを普通にはじき返してたし。

あのときは、この子の剣技があまりにも凄くて見惚れてたからスルーしてたけど。

「とまぁこんな感じであらゆる面で最強幼女ですので、拾われたのがリア様で良かったですね。財力も凄いですよ。親も稼いでますけど本人もかなり稼いでますから。」

「こんなに小さいのに既に自活しているとは・・」

やっぱりこっちの世界の人たちはたくましい。

「ちなみに、今着ている服と共にお二人がもらったタオルですが、それに刺繍されているのもリア様作ですよ。」

「え!?」

汗もかくしとのことで、ハンカチよりタオルの方が使い勝手がいいよねってことで服と共にもらったタオル。

普通のより長めで、タオルだが首に巻けば短めのマフラーとしても使える優れもの。

かなり丈夫で速乾性もあるらしい。


で、そんなタオルだが俺とセリカでそれぞれ水色とピンクの単色でシンプルだが、縁をやや濃い色で彩られ、四隅には植物の蔦がクルリと巻いたものが描かれて非常におしゃれだが、その1つの角には俺のには白虎に竜が巻き付いて戦っている様子が描かれ、セリカのには、炎を纏った朱雀と神々しいフェンリルが争っていた。

ものすごくよく出来てるとは思ってたがまさかのこの子作・・ホントに多才だな。

「ちなみに浄化というきれいにする魔法も込められているので魔力を込めるだけできれいになりますよ。」

「へぇ~」

とことん優れものだな。

それと教えてもらったのは、こうやって浄化をタオルやハンカチの刺繍の部分に浄化の魔法を刻み込んでいるらしい。

それが出来るのは、現状フリージアさんだけらしい。

所謂特許的なモノがとられているらしい。


で、それを一定数を売り出しているので一定額が収入なんだとか。

それと並行して冒険者としての報酬があるんだとか。

彼女自身が縁起物扱いされていることもあって非常に大人気なんだとか。

直接依頼すれば服全体に刺繍してもらうことも可能らしい。


「それに彼女には優秀な教師が着いているので学園でも才女として有名ですよ。」

「へぇ~ホントに何でも知っているんだね。」

{何でもは知りませんよ。知っていることだけです。}

「っ!?」

「なぜにそのネタを知っているの!?」

(?)

無自覚か!?

そういえば、俺たちのぼろぼろの服装を見て普通に世紀末的なボケがあったし普通に俺等のネタに反応してたよな、この子。

それに、目の色でスルーしてたけどこのきれいな黒髪・・美少女とはいえ顔立ちはどう見ても俺たちと同じ日本人の顔立ち。


よし、試してみるか。

「雲の中には?」

{空飛ぶお城}

「トンネルを抜けると?」

{雪国}

「飛べない豚は?」

{ただの豚さ}

「黒ウサギと言えば」

{YES♪}

「1万年と?」

{2000年}

「やっぱりそうだよな!?君、俺等と同じ日本人だよな!?異世界人だよな!?」

ここまできれいに正解出来てるのが証拠だ!

(フルフル)

「いやいやいや!君はそうは思っていてもどう考えても俺等と同じ異世界人だろう!?そうじゃなかったらそこまで俺等の世界の知識が分かるはずがないだろう!?」

結構ジャンルをばらけさせて聞いてみたが全部正解

いくら知ってると言っても守備範囲広すぎないか!?

まぁ、そんなことを知ってる俺も俺だが。

「彼女は、本当に異世界人ではありませんよ。・・半分」

「え?半分ってどういう?」

半分・・もしかして

「御両親のどちらかが異世界人と言うことか?」

(コクリ)

なるほど。

異世界人に会ったことがあるってそういうことだったか。

だが、それなら直接あったことがあるとあのとき言ってたはずだ・・もしかして・・・

「もし、言いたくないなら言わなくていいんだが、その異世界人ってもう・・・」

「えぇ、難産でした。」

やはり、亡くなられていたか。

幼い頃に親を亡くした悲しみは俺には分からないが、そう言う子は近所にいたからなんとなくは分かる。

だから、あえて追求せずに違うことを話す。

「それで、この後どうするんですか?お二人の用事を先にするべきだと思ったのですが。」

俺等の気持ちを察してくれたのかラウさんはそのまま話を続けてくれた。

「そうですね。お二人には申し訳ありませんが、先にこちらの用事を優先させて下さい。その後で、ギルドカードの作成から対応させてもらいますので。」

「お世話になる側なのでお気になさらずに。」

「そう言ってもらえて光栄です。それでお二人はこのまま俺等と共に行動するということでよろしかったですか?もし、別行動したいと言うことでしたらそういう風にサポート致しますが。」

「ご迷惑を承知で、お世話になりたいです。俺等、この世界のことを全く分からないですので、そういうところを含めて教えて欲しいです。」

「私も同じ意見です。それに、助けてもらった恩も返したいですから。」

「わかりました。では、リア様に弟子入りという形で進めておきますね。」

シリル・セリカ「はい。よろしくお願いします。」


こうして俺等は、超絶美少女のお世話になることになりました。

116話の部分に画像を割り込ませたのでもしよろしければご覧下さい。


今後も作者の気まぐれによって画像はちょいちょい増えていきます。

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