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幼女に拾われる高校生ってぶっちゃけどう思う?

--シリル--

世界規模で誘拐された後、更に誘拐魔法・・じゃなくて召喚する魔方陣ぽいやつでだだっ広い平原のど真ん中に飛ばされた。

とりあえず、人のいるところを目指すために、道らしき場所をまっすぐ進んでいくことにした俺、シリルと幼馴染み兼恋人というのが表向きで、正しくは許嫁(仲は超良好)のセリカと歩いて進んでいく。

「そういえば、食料とか武器とか・・ないよな。」

バッグを手に持った状態で転移・・とかもなかったから着の身着のままだし。

「んー、あ。ポケットにやけに歯応え抜群のジャーキーと飴玉数個。後、伸縮式の警棒。」

セリカが持つ伸縮式の警棒は、所謂自衛用だ。

シンプルな作りだが非常に頑丈で、最短20センチ、最長70センチまで伸びる。

で、それは分かるんだがなぜにポケットに普通のジャーキーよりも硬いタイプの奴と、飴玉なんだ?

飴玉は分かるがなぜにジャーキー・・。

「最後の2つは分かるが、なんでジャーキー?」

「旅には干し肉が定番!ってことで、干し肉が見つからなかったのでそれっぽいモノをとりあえず忍んでおきました。本当は放課後に一緒にシリルと食べようと思ってたモノです。」

「なるほど。」

「そう言うシリルは何かありそうですか?」

「ん~、お?ガムとスルメ。それと・・・・・何でもない。」

「何?最後のタメは何!?それと、ガムは分かるけどどうしてスルメ!?私以上に謎よ!?」

「あー、小腹が空いてて適当にポケットに朝つっこんでたのを忘れてた。うぉ!?」

小腹が空いてて何かつまみながら行こうと思って適当に掴んでポケットにつっこんだスルメ。

我ながらなぜにそれをチョイスしたか気になる。

とか思い返しているとセリカにいきなりポケットに・・しかも両側とも手を突っ込まれた。

あの・・胸が当たってる。

と言うより押しつけられてるといった方が良いくらい当たってる!

見た目以上に着痩せするタイプですねとか思ったりする。

だって思春期だもん!

好きな人のだもん!

本人は、分かっててやってるのか無自覚なのか、それともただ単に気にしないのか謎だけど。

気にしないは、ないか。

社長令嬢としての教育もしてるらしいからそういう点は確実に気にするように言われてるはずだ。

騙されたり、襲われたりする隙を作らないようにするためにもな。


・・・で、あまりポケットの中で手をごそごそするのやめてもらえません?

手が男として大事な部分に当たりそうなので・・。

どこかイタズラっぽい笑顔が可愛いけど。


あ"、隠し通そうと思っていた物体が!

「何これ?・・・あ//」

うん・・端的に言うとゴム製品。

ただし、年齢制限されるタイプの色々と予防するタイプの奴。




「・・一応言い訳を聞いてもらえませんか?」

それを手に持った状態で顔を赤くしてどこか期待した顔でチラチラと俺の顔とその物体を交互に見つめるセリカ。

・・その期待に応えたいのは山々ですが、もうちょっと待って下さい。

主に俺の心の準備のために。

「うん//」

照れないで下さい。

気持ちは分かるけど。

「なんかゲスな笑顔の父さんに押しつけられた。」

うん、そうとしか言いようがない。

「何か言われた?」

「あぁ・・・ヤッても良いけど避妊はしろよって・・。それと、ハードなプレイはほどほどになとか。」

俺が言うのもアレだが、親が子供相手に推奨するなよ!

普通は手を出すなって言うモノだろう!!


ホントに嫌になる!!

いつもセリカのかわいさにやられそうになりつつも理性と戦ってるのに追い打ちをかけるなよ!

セリカも待っててくれてるのは分かってるけど、まだ高校生だからせめて卒業してからじゃないとって思ってるんだよ!

さすがに互いに高校生で妊娠とか笑い話にもならねぇよ!

って言うかそれ、確実に俺が最低男にしか思われないじゃねぇか!


「あぁ・・義父様ってそう言う人だったわね。フレンドリーというか、オープンな人というか。・・その・・楽しい人よね。」

「うん・・ストレートに言わないでくれて助かるよ。だから余計に、セリカのお父さんみたいな感じは凄く憧れる。」

うちの両親は仕事は出来る人だが、中身は正反対だ。

社内でも、ギャップがひどいで有名な夫婦だったりする。

大抵のことはオープンにしてて隠しごとはしないから良いと言えば良いし、いつも見ていて楽しい人でもあるからある意味誇らしいんだ。

何と言うか親子の距離じゃなくて先輩後輩くらいの感じが近い気がする。


で、セリカの両親は何と言うか堅実で、とても家族思いな人だ。

所謂クールで格好いいオーラが内面からにじみ出るタイプ。


ホントに憧れるよ。

俺としては、セリカの親父さんみたいになるのが夢で、目標だったりするし。


「私はどっちのお父様も好きよ?だからいつも楽しい!」

「ありがとう。さて・・それを返してくれるかな?」

いつまでその年齢制限されるゴム製品を両手で大事に握ってるのかな?

「えへぇ」

とかわいく笑いながらセリカの内側の胸ポケットに仕舞われてしまった。

俺たちは今、ブレザータイプの制服を着ているわけだが中に着ているカッターの胸ポケットにしまわれてしまった。

くっ!

そこから取り出すには、セリカの胸を触ってしまうじゃないか!

しかも、胸を張ってポケットの隙間をなくしやがった!

おまけにポケットの奥にきれいになおされてる。

「私としては?いつでもウェルカムだし?出来婚でもいいよ?」

「っ!!・・・・それは嬉しいし、俺としてもいつも理性と戦ってるわけだが、それを実現してしまうと俺は自力で金稼ぎが出来ないくせに社長令嬢を孕ませた最低男っていう不名誉な称号を得てしまうのが嫌なんだ・・。だから、もう少し待って欲しい。せめて自分でそれなりに稼いでから。俺は自分の実力でセリカを養いたいんだ。」

「//・・うん。」

頑張って告白した。

頑張ったのにセリカの方がストレートに言ったから何か負けた気がする。

けど、嬉しそうだからまぁいいか。









それにしても・・・

「どこまで歩いても何にもないな。」

「ねー。魔物の1匹もいないね。・・いたらいたで大変だから良いけど。」

「魔物がいない世界なのか?」

「どうなんだろう?」

本当に、どこまで行っても何もない。

主に建物とか敵っぽいのとか。


って感じで運が良いのか悪いのか何にも出会わずに先へ進んでいく。

周囲は見渡す限り草原ばかりだが、道には草は生えていないので道に迷わずに済むのは凄くありがたい。

少なくとも距離はさておき、町には最終的に確実にたどり着くという意味なんだし。




・・・で、何時間歩いた分からないが凄い歩いた。

で、疲れて休憩がてら手持ちの食料で腹をごまかす。

「飲み物がないのはアレだけど、ジャーキーにスルメで長期間かめるタイプだったのは不幸中の幸いよね。」

「だよなぁ。それで、パンだのおにぎりだの持ってたとしたらこっちほど満腹感はなかっただろうしな。」

確かに腹はふくれるだろう。

けど、所謂噛み応えがないから満腹するにはいささか足りなくなる。

だが、スルメなどは知っての通りとにかく噛む必要がある。

硬いし。

だが、噛む量が多いと、それだけ少ない量で満腹感が得られる。

それは、今みたいな状況にはとてもありがたいことだ。


「それにしても、いつもより疲れない気がする。いつもなら確実に疲れてるはずなのに。」

「そうなのか?俺は、それなりに疲れたけど。」

一応鍛えてるから体力はある方だがな。

「そうなの?体力を上げたりする力が私の魔法だったりするのかな?」

「ファンタジー世界だし、その可能性はありそうだよな。自己パブ系?」

「と思う。それにしても、それなりに動いてるからあっつい!」

ずっと歩き続けているせいかそれなりに体の体温が上がっているから当然と言えば当然だ。

「そうなんだよなぁ・・。」

「どうしたの?と言うより何でブレザー着たままで平気そうなの?」

セリカはブレザーを脱いで腰に巻き付け、カッターは胸元2つまでボタンを開けている。

おまけにカッターをスカートから出した状態。


うん・・気持ちは分かるけど、色々とよろしくない光景だ。

端的に言うとエロい。

「何でか分からないけど、暑くないんだよ。と言うか丁度良い温度。」

「え?・・・まさか」

俺でも不思議だ。

いつもならブレザーを脱ぎたいと思うくらいには体は温まっているはず。

なのに着たままで丁度良い。


とか考えてたらセリカが真正面から抱きついてきた。

「セリカ!?」

「あ!やっぱりそうだ!シリルのが気持ち良い!」

「何が!?それと、色々とよろしくない台詞になってるからきちんと言おうな!?後、当たってる!当たってるから!」

「当ててるのよ?」

「定番の台詞頂きました!けど、色々とヤバイから離れてくれるかな!?」

「襲っても今なら周りに誰もいないから・・良いよ?」

抱きついて胸を押しつけた状態で頬を赤く染めて上目遣いはやめて下さい。

俺の俺が大変なことになりそうなので。

・・今凄い必死で理性でねじ伏せてるから追い打ちはやめようね?

「・・やりません。それで、何が気持ち良いんだ?」

「シリルにくっついてると凄く丁度良い温度なの。」

「温度?生きてるエアコンとでも言う気か?」

「それよりも快適!」

「素直に喜んで良いかどうか微妙な台詞をどうも。」

生きた家電製品扱いはやめて下さい。

「もしかしてシリルの魔法は温度を扱うタイプだったりするんじゃない?」

「じゃあ何か?セリカも俺も無自覚に魔法を扱っていると?」

「と考えたら納得するわよ?」

「確かに。だとしたらその魔法を扱う素を消費しているはずだろ?かれこれ数時間以上経過してるのに特に体力疲れ以外は感じないがどう思う?」

「魔力的なモノが多いのか、自分相手だから消費がすっごい少なくて自動回復で間に合ってるとか。」

「後半が可能性高そうだな。」

「でしょ?」

「なら、セリカが抱きついてからやけに元気になるのも同じ理由か?」

「こっち?」

「そっちじゃありません。そこから手を離しなさい。」

「は~い。・・後のお楽しみにする//」

俺の・・男の急所を撫でないで下さい。

で、色っぽい笑顔でそんな台詞をつぶやかないで下さい。


一応言っておくが、キスしかしたことないし、それ以上のことは全くないからな!?

セリカの胸も揉んだことないからな!?

・・セリカに押しつけられたことは意外としょっちゅうあるけど。


コホン。

「で、歩きにくいから抱きつくのをやめようか?」

「じゃあ、これで。」

「・・まぁいいか。」

結局俺の腕に抱きつくようにしがみつきながら俺に寄りかかっている。

胸が、俺の腕を挟み込む。

・・・ん?

さっき抱きつかれた時から思ったんだが・・まさか。

「な、なぁ、セリカ?」

「ん?」

「セリカ・・俺の気のせいか?装備品がいささか少ない気がするんだが?」

凄い遠回しに伝えるのを頑張った!

「んふふぅ。」

悪戯っぽい笑顔で俺の耳元でこう囁いた。

「シリルの理性を木っ端みじんにして襲って欲しいって相談したら下着をとれって相談受けたの。」

「誰にそんなとんでもないことを言ったのかな!?おまけになんていうことをアドバイスしてんだその人は!」

と言うか気のせいじゃなかった!

セリカ・・ノーブラだ!

なんてこった!

道理で抱きつかれた時にいつも以上にむにゅむにゅすると思った!


「ん?お母様よ?」

「娘になんてとんでもないことを吹き込んでるんだあの人は!・っ!まさか!下まで故意に忘れてきたとか言わないよね!?」

「うん。お母様からノーパンは他の人に覗かれる危険性があるからだめだけど、ノーブラは触られないか透けない限りバレないから大丈夫って!さすがお母様!」

うん・・気をつけてる点が違う!

「・・俺、普段から理性を働かせるので精一杯なんだけど。理性を壊したらホントにやばいんだけど・・止まらないと思う。」

「止まらないで良いよ。シリルは優しいからSM的なモノはないって知ってるから!」

「確かにそういうのは興味ないし、痛くしたりされたりするのが良いって感覚は全く分からないけど、なんでそう断言出来るんだ?・・実際そうだけど」

「うふふ~♪シリルが私を襲わないように毎晩スッキリしてるのは知ってるんだよ?当然おかずの場所も♪」

「っ!?」

「大丈夫!捨てたティッシュを回収したりなんてしてないから!私はそんなせこいことをせずに本体から直接頂きます。」

「色々と危ない台詞が飛び交ってる!それホントにヤバイから!と言うか・・・・・見られた?・・マジで見られた?」

確かに家は隣同士だし、窓越しに行ったり来たりするのは軽く出来るけどきちんとカーテンは閉めてたし、扉に鍵も閉めた。

それに、布団で自分を覆い隠して、両親がどっちもいないのを確認したのに!

「毎日じゃないよ?私がうっかりを装って着替え途中を見せたりしたときに将来の旦那様を満足させるために日々勉強させてもらってます。・・シリルのおっきい//」

いやぁぁぁあああ!!!

見られた!!

俺の大事なところが元気になってから果てるまでしっかり堪能されてた!

と言うよりどうやって見たの!?

隠しカメラ!?

隠しカメラなの!?

「と言うか、今しっかり装ってって言ったよね!?」

「うん。良いじゃん。ホントは今日の放課後にシリルの部屋にお邪魔して抱きついてノーブラだって気づかせたところでシリルをおいしく頂く予定だったし。」

「待って!待って!?俺が襲われるの!?と言うか、悩殺相談したところで食う気満々ってよく許可とれたな!?特に義父さん!」

「シリルが襲うことはなくて安心だけど、男としてどうなんだ?とのことで、お母様のアドバイスとセットでそのまま男にしてやれ、ついでに既成事実を作って逃がさないようにしろって。シリルほど理想ぴったりな男は初めてだから絶対逃がすなだって」

「まさかの両親ダブルに相談してアドバイスしてた!?」

俺、こっちに飛ばされて良かったかも。

召喚されてなければセリカが言ってた通り童貞卒業(強制)で、召還されたあの場所で歓迎されたとしてもそのまま襲われておいしく頂かれてただろうし。


・・・父さんが言ってた通りだな。

父さんも母さんに不意を突かれて襲われて既成事実を作らされてそのまま結婚したって言ってたし。

まぁ、父さんも俺と同様に理性を働かせて頑張って手を出さないようにしてたのにその相手が襲ってきて防御不可状態だったらしいし。


親に似るってこういうことなのか。


・・・腹をくくるか。

「わかった。」

「シリル?」

「・・避妊はするからな?妊娠は、もっと安全を確保して稼ぎも安定してからだから。・・あっちに帰れるかどうかも分からないし。」

「っ!うん!・・・これ、もっとない?」

「・・町で探すか。」

ゴム製品のそれと同じのがあるか不明だけど、それっぽい何かはあるよな多分。

そっちもだけど、精力剤も買っとこう。

1回や2回でやめてくれなさそうだし。





「と言うか何でそっち系の話しばかりしてるんだ?」

「だって、シリルの匂いが好きで好きでたまらないのに抱きついたらこんなに気持ち良いんだもん。幸せすぎて襲いたくなっちゃうよ。」

「今は襲わないで下さい。」

「うん。今”は”襲わない。」

はの部分が強調されてた気がするけど気にしない。


セリカは匂いフェチか・・。

何もつけてないんだけどな・・まぁ良いか。



「ちょっと暴走しすぎだ。落ち着け。」

「うん・・ごめん。色々と不安だったのと最近スキンシップが少なくてさみしかったんだもん。あ、後最近おっぱいの成長が著しいんだ♪」

「あぁ・・・ごめん。胸に関しては・・・黄金比がどうのとか言ってなかったか?それだと黄金比崩れるぞ?」

「そうなんだけど、おっぱいは大きくても問題ないんだよ?さすがにギネスレベルはアレだけど、そこまではまずないだろうし」

「だろうな・・俺も勘弁。」

「スリーサイズ教えてあげようか?それとも直接確認する?」

腕にこれでもかと押しつけられてるので大まかにサイズは分かるけど・・これは、C?

どれがどのくらいってサイズがよく分からん。

「落ち着け・・確認は・・後の楽しみにしとく。・・ホントはまだ先の予定だったけど、はいこれ。」

「これは?」

「ちょっと特殊なボイスレコーダー。」

「特殊?」

「そこの画面は予め登録した画像リストを指定した順番に表示させてくれるんだ。」

「紙芝居のデジタル版みたいな感じ?」

「そう思って良いよ。で、そこにはちょっとしたショートストーリーを録音してる。」

「もしかして・・私のために?」

「あぁ。おまけでソーラーパネル付きだから充電不要。これに吹き込んだりネタ考えたり絵描いたりするのに忙しかったんだ。セリカを放置しがちだったのはホントにごめん。」

合計5時間はあるそこそこ長いストーリーだ。

シナリオも絵も台詞も全部俺が考えたホントに俺オリジナルストーリー。

異世界に迷い込んだ少女が世界を救い、家に帰るために頑張る話しだ。

ちなみに、その主人公の少女はセリカだ。

絵もセリカをアニメっぽく変えてるけど、声は俺が頑張ってセリカに似た声を吹き込んだ。

ショートストーリーだからきちんとハッピーエンドで終わってる。

「ちょっとつたないところもあるかもしれないけどさっ!?」

セリカにいきなり抱き締められた。

「嬉しい!嬉しすぎてどうにかなりそうだよ!」

「けど、父さんたちほど上手じゃないし。」

「そんなことない!最近の紙芝居のお話しは全部シリルが考えてるのだって知ってるもん!それに、大好きなシリルが私のために作ってくれたモノ以上に凄いプレゼントなんてあるはずがないよ!」

「喜んでもらえて良かった。ホントはセリカの誕生にプレゼントに渡そうと思ってたんだ。」

「そうだったんだ。じゃあ、お返し!」

そう言って俺はセリカにキスされた。

しかも濃厚な奴。



5分か10分か時間の感覚が分からなかったが、凄く長く感じた。

「シリル、大好き。」

「俺も大好きだよ。」

セリカの幸せそうな顔が見れたなら結果オーライだな。


それから、夜になり交代で夜の番をしながら野営をしてから翌朝に先に進む。

野営をするのが初めてで色々と大変だった。




そしてしばらく進んでいると、獣の呻き声が突如として聞こえてきた。

「っ!」

俺は瞬時にセリカを背にかばいながらその声のする方へ意識を向けると凄くでかい狼の群れがいた。

軽く50は越えてるだろうというくらい。

と言うかデカすぎだろ。

象レベルサイズとか・・

「ある~ひ~もりのなか~いぬさんに~であ~った~」

軽く現実逃避ぎみにセリカが歌う。

ツッコミを入れるとすれば森の中でもないし、犬と言うより狼だ。

と言うよりあんなばかでかい狼がいてたまるか。

「犬ってレベルか?」

「どっちかというと狼。サイズ的にはフェンリルレベルって言いたくなる。・・私の幸せタイムを邪魔しやがって。」

最後にぽつりとつぶやいたときのセリカは何と言うか怖かった。

目が据わってて背景が黒かった。

って、冗談を言っている場合じゃない。

どうやら俺等を格下扱いしているらしく周囲を囲った後、2頭だけ来た。

「シリル、私だけ逃げろとか言わないわよね?」

強気な笑顔と共にセリカがそう言う。

ホントはそう言いたいだが、セリカと共に人生を歩む俺の答えは。

「当然だ。共に駆け、共に未来を切り開く!」

俺は、ブレザーを脱ぎ捨てて拳を構える。

「格好いい!さすがシリル。」

「サンキュー、行くぞ!」

「はいな!」

脚に力を込めて一気に1頭の狼の懐に潜り込み、下から上へ思い切り蹴り上げ、その勢いに乗って2撃目の蹴りを入れる。

「参ります!」

俺がそのままバク転をしながら距離をとったところでセリカが狼の前脚に警棒を振う。

ボグッ!と言う音を立てて狼がふらつく。

骨が折れたようだ。

見た目に騙されがちだが、セリカは結構腕力がある。

そして、俺がその隙を見て大きくジャンプし、体を宙で回転させて勢いをつけてかかと落としを頸椎に向けて放つ。

そこで、骨が折れ、息絶えた。

その証拠としてきれいな石と毛皮、牙が落ちており、それ以外は霧になってきた。


魔物がいるのは確実らしい。

「このまま殲滅出来ると思うか?」

セリカと背中合わせになった状態で聞く。

「正直持久戦は確実だろうからムリだろうね。」

「やっぱりか。どうにか道を作って逃げるしかないな。・・脚で負ける気がするがここでなぶり殺しよりはマシだ。」

「本当なら絶望してるはずなのに何でだろうね。シリルとなら何でも出来る気がする。」

「俺もだ。ここで死ぬかもしれない。だが、」

シリル・セリカ「ただで死ぬわけがない!」

「最後まで抗ってあげるわ!」

「当然だ!行くぞセリカ!」

「了解!」

そして俺たちは頑張った。

だが、相手の数の方が多かったし、上手だった。

5頭までは倒せたが、そこから先は数に押し負けた。

どうにか躱していたからなんとかなっているが、腕や脚、腰にはあちこち切り傷があり、血がそこそこ流れている。

「悪い、セリカ。結婚もする前に」

「そんなこと言わないでよ。私は最後までシリルと一緒にいるだけでも幸せだもん。」

俺もセリカもボロボロだった。

そして、俺を嬲っていた狼どもはもう遊ぶ価値がないと判断したのか一気に俺たちに襲い掛かってきた。

俺は最後のあがきでセリカに覆い被さるようにかばうが、その時頭の中に声が響いた。


{しゃがんで下さい。}


凜とした少女の声だった。

普通なら戸惑うのだが、その時はなぜか従わないといけないと思った。

その声はセリカにも聞こえていたらしく瞬時に俺たちはしゃがみ込んだ。

その直後、周囲が一気に明るくなった。

さっきまで狼どもに囲まれていたから暗かったのにだ。



おそるおそる周囲を見ると俺たちを囲っていた狼がきれいに真っ二つに分かれた状態でまとめて十数頭死んでいた。

「え?」

「何?」

しかも、俺たちを中心にぐるりと丸く取り囲んでいた狼の中で死んでいたのは、まっすぐ直線上にだけ。

その空いた空間の先を見ると彼女たちはいた。


蒼い月を彷彿とさせる巨大なネコの背に乗った黒い髪の女の子だ。

少女・・と言うより幼女。

濃い紫と銀のオッドアイに、猫耳らしきモノがある黒い髪。



正直見惚れていた。

俺もだがセリカもそうだった。

美少女ってこの子のことを言うのかと思ってしまう。

だが、俺たちが見惚れていようが狼からすれば関係ないことだ。

お構いなしで襲い掛かろうとしてきたが、今度は黒い透明感のある何かが俺たちをドーム状に取り囲む。

そして、それに当たった瞬間ガキン!と言う音を立てて防いだ後、ポヨンという音を立てて狼どもをはじき返す。

それから、いきなりそのドーム状の何かは針のようなモノを周囲に伸ばして一気に串刺しにしていた。


彼女が軽やかにバク宙しながら巨大猫から飛び降りたかと思いきや、その猫はその長い尻尾で掴んだ剣?らしきモノで狼どもへ駆け寄る。

速い。

目で追うのがやっとという速度だ。

しかも攻撃が凄く無駄がない。

あの狼どもがあっという間にやられていく。

「アレはビームサーベル!!」

その光景に大分余裕が出来たのかセリカが興奮したようにそう叫ぶ。

うん、セリカならそう言うと思ったよ。

だが、やはり不安なのか何なのか俺の後ろから思い切り抱きついている。

とりあえず頭を撫でる。


そして、彼女に向かって数頭の狼が襲い掛かってくる。

って!

彼女はこのドームの中にいない!

「危ない!」

だが、彼女は分かっていたらしく腰に下げた剣を抜き、薙ぎ払った。

「蛇腹剣だ!」

それで1頭がやられ、そのまま伸びた状態の剣を黒い何かが覆われ、大剣のような形になり、1頭を切り払い、その影を槍上に姿を変えた後、逃げ出そうとする1頭を串刺しにする。

だが、そこで死角から襲い掛かってくる1頭がいる。

「後ろだ!」

俺さが叫ぶとそれを聞いた直後に黒い球体がそいつの攻撃を押さえ込み、その隙を見て大鎌の状態になった剣で首を狩る。

凄い。

本当に強い。

それにアレだけの種類の武器を巧みに使いこなすなんて強いのに加えて凄く器用だ。

そうしている間にあのネコが残り全てを退治したようだ。

彼女は剣についた汚れをふるい落とし、仕舞う。


すると俺たちを囲っていたドームが消え、彼女の肩にいる手のひらサイズの・・人?が緑色のゲル状の何かを作り出し、周囲に散らばる狼が落としたモノ(アイテム?ドロップ品?)を包み込んだ。

その直後そのゲルを仕舞うと狼ドロップも消えた。



{ご無事ですか?}

あぁ、この声は間違いない。

さっき俺たちの頭の中に響いた声だ。

「あ、あぁ。助けてくれてありがとう。」

(フルフル)

首を横に振る幼女。

どうやらあまり喋るタイプではないようだ。

だが、気にするなとのこと。

表情から感情を読むには俺の読心レベルは低いらしく無理だった。

だが、ある程度の推測でどうにかなりそうだ。

にしても、美少女だなぁ。

すっごい無表情だけどそれが気にならないレベルで美少女だ。

「で、セリカ?どうした?」

さっきから俯いた状態でプルプルしてる。

「もう我慢出来ない!」

と叫んだ後、突然セリカはその美少女を抱き締め、自分の胸に埋める。

「もうなんてかわいいの!?キャ~!!」

「落ち着け!自己紹介もなしでいきなり抱き締める奴がどこにいる!」

「ここにいる!そして、そんな些細なことは気にしない!美少女は愛でるモノだ!」

「開き直るな!自己紹介は些細なことじゃない!人として大事なことで些細なモノ扱いしてはいけないモノだ!」

セリカの気持ちは分からなくはない。

実際、これほどの美少女一生のうちにお目にかかれることはおそらく1回あれば良い方だ。

しかもそれは、テレビで見かけるレベル。



とりあえず、自己紹介とお礼と、町の場所とか距離を教えてもらおう。

その前にセリカを落ち着かせて引きはがさないと・・はぁ。


にしても、されるがままに撫で回され抱き締められてる美少女は抵抗のての字もない。

何と言うか慣れてるのか?

まぁ、セリカみたいなのがおそらく身近にいるのだろう。


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