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ごみ捨てへ(生もの)そして新たな・・

--フリージア--

うぅ・・//

リムさんがいきなり恥ずかしいことを言いました。

すごくドキドキしてるし、リムさんがいつも以上にキラキラしてかっこよくてずっと見ていたいのに恥ずかしくて直視できない。

それと、お顔が熱いです。


で、シャスティに埋もれて現実逃避中。

ちなみにリムさんは、自分で言ったことにバレクさんたちのセリフで気づいたらしく顔が真っ赤になってます。

本人は、何でもないという素振りを見せてますけどお顔が真っ赤です。

その部分もしっかりツッコまれて弄られてますけど。



「やっぱり年頃の女の子だね。」

パパが私の隣に寄り添ってシャスティに寄りかかる。

とりあえずパパに抱き着く。

パパは幸せそうに私を撫でてくれる。

「パパ」

「ん?どうしたの?」

「お顔が熱いんです・・この気持ちは・・何ですか?」

「フフっ♪本当は自分で気づくべきものなんだけど、グリムの頑張りに応援するために教えちゃうね。それが好きってことだよ。」

肉声ではこの後話す余裕がなかったので念話に切り替えます。

{パパやカルナたちも好きなのにドキドキしません。}

「僕やカルナたちに対する好きはいわゆる親愛・・家族としての好き。愛にはいろいろあるんだよ?」

(?)

「セイやユウに対しての好きは友愛、友達としての好き。」

{では、リムさんは?}

「それが、恋愛。僕とニアさん、アリスとラウ・・この2人がそれぞれに思う気持ちのことだよ。」

{ずっとそばにいたい、見ていたいと思うのに恥ずかしくて直視できないのもですか?}

「そうだよ。ドキドキが止まらなくて苦しいのにそばにいたいと思う気持ちも、離れて落ち着いても会いたいって思う気持ちも正しいことだよ。」

{ですが、私はまだ子供です。おっぱいもまだ小さいのに?}

「胸は・・別として、子供でもそういう気持ちはあるよ。」

{子供のころの好きは大人になれば無くすものだって聞いたことがあるのですが・・それでこの気持ちをリムさんに伝えて、大人になったときにその気持ちがなくなってしまったらご迷惑では。}

「リアちゃんはどう思う?今の気持ちがたかだか数年で無くしてしまうようなものだと思う?」

(フルフル)

違う。

違う違う違う!

「なら大丈夫。リアちゃん、恋愛には大人も子供も関係ないんだよ。大事なのは気持ち。」

{で、ですが・・この気持ちが本当に恋愛としての好きなんですか?}

「んー、じゃあ、たとえ話だけどもしグリムが他の女の人のことを好きになってしまったらどう思う?」

リムさんが私以外の女性を・・・・・


そう考えるだけで心が冷たくなっていき、涙が止まらない。

「ごめんね。たとえ話だから。」

そう言って私の涙を拭きとりながら優しく抱きしめてくれる。

「けど、いやだって思ったでしょう?」

(・・コクリ)

「好きじゃなかったらいやだって思わないんだよ。」


・・そっか。

これが好きってことなんだね。


私は・・・リムさんのことが好き。


けど・・

{ですが、私は子供、リムさんは大人です。世間ではろりこん?って言われてしまったりしてリムさんは苦労してしまうのでは・・それに、私は子供を産むことは・・そうしたらお母さんと同じ運命をたどることになりますから。}

「んー。まぁ、何とかなるよ。リアちゃんが大人になってしまえば過去なんて関係ないよ。」

(コクリ)

よし、頑張っておっきくなろう。

リムさんをロリコンさんにしないためにも。


・・それと、リムさんのためにもおっぱいをおっきくしよう。




実は既にリムさんの称号にロリコンが加わっていることはまだ私は知らない。








「あ"~~~~~~~~~~~~~~」



・・・・・リムさんどうしたの?

頭抱えてお顔真っ赤な状態で地面をごろごろしてますけど。

というより悶えてます?

隣では、すっごい楽しそうにニヤニヤしてるお兄様。


とりあえず、私のお顔は微妙に熱いままだけど落ち着いたのでリムさんに近づいてつんつん。

・・・まだドキドキは止まらない・・収まるのかな?

「っ!!」

にゃんこみたいにぴょい~んってジャンプして直立したリムさん。

{大丈夫ですか?}

「お、おう!」

あまり大丈夫じゃなさそうですけど、大丈夫らしいです。


そういえば、リムさんのお返事をまだしてませんでした。



アレ?

{シャスティ}

「にゃう?(いかがなさいましたか?)」

{リムさんとお話してた内容は、リムさんが私のこと好きって話でしたっけ?それとも、私が長生きを望むかどうかって話でしたっけ?}

「にゃーうにゃう(ある意味ではどちらもですね。つまり、グリムはリア様が好きだから長生きしてほしいって言ってましたし)」

なるほど

で、私のセリフを聞いたリムさんが

「ちょっと待ってくれ。その前にきちんと言いたい。」

(?)

あれ以上に恥ずかしいこと言うんですか?

それと声が裏返ってますよ?

「・・コホン。」

私が考えていた言葉を翠ちゃんが言ったからリムさんが何事もなかったかのようにスルーしました。

お顔はさらに赤くなりましたけど。

「リア・・いや、フリージア。俺はフリージアのことが好きだ。愛している。結婚だとかどうとかは今は考えなくてもいい。俺はフリージアにふさわしい存在になるためにもっと頑張るから、フリージアが学園を卒業したときに俺のことを好きでいてくれるなら結婚を前提に恋人になって欲しい。」

余計な言い回しは私がスルーする可能性があると察してたらしく言い逃れ不要なセリフでズバッと言いました。


うぅぅ//

ストレートに言われるとやっぱり恥ずかしい。

それに、そんな素敵な言葉で言わないで欲しい。

それほどきれいに言える自信がないですから!


あ、お返事しなきゃ。

けど・・うぅぅぅぅ///

言葉が出ないよぉ!


(コクリ)

私は小さく頷いた。

リムさんはそれで気づいてくれたらしく。

「良い・・のか?」

どこか恐る恐るという感じで聞いてくるので、頑張って近づいてしゃがんでもらい、リムさんの耳元で。

「私も、リムさん、愛してます。待ってます、から」

そう言ってほっぺにチューして巨大化シャスティの背中に乗って逃げました。

ラウさんは微笑ましそうに眺めつつ

「では、行ってきますね。」

さら~っと言ってシャスティと並走します。

生ごみは、私が魔法で縛り上げて地面すれすれ状態で浮かせて引っ張ってます。

引っ張るのはシャスティに影を縛り付けてる感じですし、浮かせてるのでほとんど苦になりません。




けど・・うぅぅぅ///

にゃぁ~~~~!!!!!!

私ってばなんて大胆なことをぉ!!!

そして、ステータスにあった%(パーセント)の部分が95から99へ変わっていたことも私は全く気づいていない。







--アルナ--

リア様もグリムさんのこと好きだっていうのはわかったんだけど・・

うん、だって、あれほど幸せそうに恋する乙女の顔されればいやでもわかるよ。



で・・・グリムさんの耳元で何かをつぶやいてほっぺにキスして早々に脱走したリア様。

それで、放置されたグリムさんはというと

「・・・・・」

しゃがんだ状態で固まってます。

「おや?」

「リカルさんどうしましたか?」

「彼、気絶してますね。」

「え?」

見てみると顔は赤い状態で幸せそうだけど、白目むいてました。

「えぇ・・」

「けど、気持ちはわかるわぁ。」

「リリさんはそう思いますか?」

「えぇ。大好きな相手から耳元でささやかれるだけでも破壊力があるのにあの無表情のリアちゃんよ?あのリアちゃんの笑顔どころかそれよりもレベルの高い恋する乙女の顔よ?一種の殺戮兵器よ?」

「あぁ・・・確かに、リア様の笑顔ですら破壊力上がるのにアレは確かにそうもなりますね。」

「でしょ?けど、意外だったわ。」

「リア様が恋する乙女になったことですか?」

「うん。それもなんだけど、イリスさんやバレクさんたちがキレたり反対したりしなかったことよ。」

「そういえばそうですね。」

大抵は溺愛する娘が彼氏連れてきたら速攻で潰しにかかりそうな気がするのに・・本に影響されすぎかな?

「まぁ、グリムの場合は大丈夫なんだよ。」

「そうなんですか?」

「あぁ。彼の成績はギルドを通じて知ってるし、依頼以外でも国民の評価は高い。それに、自力で稼いでる分も特に問題ないから将来性も問題なし。おまけに家の宰相がほめるんだよ?彼、注意されないだけでも上々だって言われるほどなのにほめるなんてめったにないよ?」

「そんなすごい人に褒められるって相当ってことですよね?」

「うん。それに、彼毎日料理も特訓も欠かさず行ってるし、リアちゃんを見習ったのか毎日教会に祈りに言って募金もしてるし。暇あれば図書館で本を読んでたりするし。」

しっかり頑張ってた。

しかも聞くと、リア様と出会ってからそれに拍車がかかってるらしい。

「それと、料理店との交流を増やして料理のレパートリーを増やしつつ自分が得意なパン作りについてもアドバイスをして回ってるみたいだよ?彼は、確かに威圧を纏う体質だけどそれで距離を取られるようなことは基本的にないよ。その程度を気にするような人間があの国にはいないし、それだけ頑張ってるから気にしないって人も多いし。」

評価がすごく高かった。

「僕からすれば、リリやバレクたちが思った以上に反対しなかったことだけどね。僕は、自由な恋愛をしてほしかったから相手に問題がなければ反対するつもりは全くないし。身分とかどうでもいいし」

「わしらも同じ意見じゃ。じゃが、一定を超えたいならば試練としてわしらが立ちはだかるのみじゃ。」

「それが、さっき言ってた強くあることと、優秀であることだね?」

「うむ。ただし、リアを悲しませるようなことがあれば容赦はせぬ。」

全員の目に殺気が宿っているけどリア様を見習ってスルーしておきます。

「とりあえず、目が覚めたら俺らでグリムを扱いてやるよ。とことん鍛えてやる。ユウ、お前もだぞ。勇者を継承してるなら余計にな。」

「はい!よろしくお願いします!」



リア様、よかったですね。

私はしっかり応援してます!

グリムさんって、ちょっと怖いけどそれ以外は超優良物件みたいですから!

それに、顔も整ってて結構イケメンさんですよね。

・・・まだ体がこわばって普通におしゃべりすら出来ないけど。










--フリージア--

恥ずかしさを紛らわせるたm・・けふん、生ゴミを早くポイしてお買い物を済ませるためにシャスティには全力疾走で走ってもらってます。

おかげで凄い勢いで景色が後ろに行っちゃいます。

ハディちゃんの全力でおおまかに半日でしたが、シャスティなら2~3時間で着きそうです。

さすがシャスティですね。

で、その隣を平然と並走しているラウ兄さんも普通に凄い。

けどまぁ・・走ることに集中していることもあってこの速度で走りながらの攻撃はムリではなさそうですが難しそうです。


あ、あまりにも自分相手に忙しくてカルナもおいて来ちゃった。

まぁ、ハディちゃんには予めあっちで待ってもらうように伝えてたし、カルナも分かってるよね、うんうん。



で、全力疾走している中、進行方向にはジャイアントウルフの群れが男女の1ペアを取り囲んでました。

そのペアは、見慣れない格好なのに武器らしい武器は棒らしきものを片方の人が持っているだけで、もう1人は手ぶらで・・と言うより格闘技系?

おまけに、どう見てもかろうじての防戦一方でやられる寸前。


このどきどきを紛らわせるのを名目に・・いやいや、見過ごせないので助けましょう。





ジャイアントウルフ

全長5メートルは軽く越える巨体の狼

体のサイズに似合わぬ素早さを兼ね備えているが、その巨体にふさわしい力もある。

口から火をはくことも可能

獲得部位:魔石、毛皮、牙






--???--

飛ばされた後で再度飛ばされた。

しかもこっちがとやかく台詞を言う前に。

しかも数秒ほどにらみつけた後で言われた一言が

「こいつはハズレだな」

だった。


ふざけんな!!

勝手にこっちの世界に誘拐しておいてふざけんな!


とりあえず落ち着こう。

そのために、最初から確認しよう、うん。


俺の名前は、國崎クニサキ識留シリル

今年丁度高校2年になった一人っ子。

髪は、眉や耳にかからない程度の長さで、身長も170。

見た目も平凡で、性格も普通でそこらによくいそうな奴だとよく言われる。

名前は、見ての通り所謂キラキラネームとか言われる奴そのものだからそれでよくからかわれた。

と言うより、からかわれている。

両親は、共働きでサラリーマンとキャリアウーマンだ。


で、朝食を食べて学校へ行き、授業は俺の好きな教科ばかりで良いことづくめだった。

そして、幼馴染みの芹華セリカ、天草芹華と共に昼休みに弁当を食べた。

身長165で、スタイルは本人曰く黄金比ピッタリらしく、それが自慢らしいが細かい数値などは教えてくれない。

まぁ、嫌われてまで知りたいとも思わないが。

で、キリッとした性格と見た目で、美人な委員長と言えばこの人!って感じの見た目。

実際すっごい美人だし。

とはいえ、俺たちは幼い頃からずっと一緒にいる。

幼稚園の頃からずっとだ。


同級生や友人たちには、幼馴染み兼恋人と言っているが、実際は許嫁。

彼女の両親は、大手企業の社長さんとその秘書。

確か、会社はラノベを主に出しているとこだった。

それと兼用して秘書である彼女の母親は、イラストレーターとしても活躍しており、非常に上手い。


で、なんで平々凡々な俺と社長令嬢である美人な彼女が俺と許嫁かというと、俺の両親は彼女の両親が働く会社で働いており、どちらもそこそこ役職は上だったりする・・役職名は忘れたが上から5番目前後くらいだったはずだ・・どっちも。

それで、どう関係するかというと、その前に説明しなければならない。

俺の父は趣味で小説を書いており、母は、そんな父の手助けをしている。

時折書籍化されたりするんだが、知っている人は知っているが、知らない人は知らないという赤字にはなってないね、ギリギリと言うくらいの売れ行きだ。

その程度で仲良くなれるはずはないのは分かる。

もうちょっと聞いてくれ。

で、俺なんだが趣味で絵描きと歌、モノマネというか声優ぽいものを嗜んでいる。

所詮は素人だから、上手い!ってほどじゃない。

ネット経由の顔も知らぬ友人数名に聞いてもらったら、100点満点中60前後となんとも微妙な感じだ。

彼ら曰く、素人でそれだけとれるなら十分すごいと言われたが個人的には微妙だ。

一応男女どっちもいけるし、どっちの声も点数はさっき言った通り微妙だが、違和感は感じない。

つまりは、俺が女性の声を出しても「あ、これ男だ」と思われないくらいは出来る。

とはいえ、実際に声優を目指しているわけでもないのですっぱり言うと役に立たないワザだ。

まぁ、一発芸程度には受けるけど。


そして、歌はというと、カラオケが趣味と言った方が正しいかもしれない。

と言う感じで、俺の趣味を組み合わせ、両親の描いてるラノベを合わせると、紙芝居の完成だ。



そして、本題に入るぞ?

そんな中、近所のびちっこたち数十人をまとめて面倒をみることが月に数回俺はあるんだが、その時にちびっ子たちにせがまれ、紙芝居をするようになった。

どうしてそんなことをしているかというと、両親がそれなりに忙しいのと、趣味の小説書きを進めたりしている時に、子供心ながら俺は邪魔したくないと思い、基本的にワガママを言わないようにしていた。

そんなときは大抵外でよく遊んでいたわけだが、なぜか同級生でも年上でもなく年下が集まるようになっていた。

ホントに理由は分からない。

で、面倒見は良い方なので面倒をみているとそのちびっ子たち経由でその親たちがそのことを知り、褒めてくれた。

と言うより迷惑かけてごめんとのこと。

とはいえ、俺も楽しかったから気にしないで欲しいと伝えたわけだが、それから子供の相手が出来ない近所の親グループから俺が時折預かり、面倒をみるのがほぼ習慣化している。

月数回とは言え、大抵土日は全てちびっ子相手になってるから、毎週と言った方が正しい。


で、両親に子供向けのショートストーリーをいくつか書いて欲しいと頼み、その内容を元に俺が絵を描き、紙芝居を作った後、ちびっ子相手に紙芝居を読み上げるんだ。

ついでに紙芝居を始めるときは適当にテレビで聴いた歌をランダムに歌っている。

紙芝居を始める合図なんだぜ?一応。

と言うより、ちびっ子たちが紙芝居を始める前は必ず歌って欲しいとは言ってきたから要望に応えてるだけだが。


そして、その紙芝居はそこそこ評判で、それを小学校3~4年の頃からずっとしていることもあり、最近では子供以外でも暇だった大人や、通りすがりの人も見に来てくれるようになっていた。

それで、セリカは習い事が忙しかったので偶に見に来てくれた。

学校ではいつも一緒だが休みの日は勉学で忙しいらしいからな。

で、そのことをセリカの両親が聞きつけたらしく、部下を数人しれっと見に行かせ、評価と感想を聞いた後、本人たちも実際に見に来たらしい。

・・その時は変装か何かしていたのか、俺が紙芝居に集中していたから気づかなかったんだがな・・。

で、かなり気に入ってもらえたのと、複数やっている内容が素人にしては上で、学校での成績も平均とトップの間と悪くはない感じ。

ついでに生活態度も二重丸。

そこで、彼らは俺を気に入ったらしい。


それで何で許嫁?と思い、言われた当初聞いたんだが、彼ら曰く、自分たちの仕事に関わりそうな範囲の趣味を複数嗜んでいたことと、それなりにレベルは高い。

それプラス、普段の生活態度や成績も悪くない。

そんな人物を探していたんだとか。

おまけに両親が同じ会社で評価もよく、仕事もよく出来てると言われ、それが更に良かったんだとか。

後は、美人なセリカ相手に俺が見た目で判断せず、身分で態度を変えることもなく叱るときはしかり、楽しむときは普通の同級生・友達として楽しむ。

そんな普通の態度でいたことがセリカに気に入ってもらえたらしい。

・・セリカは言わなかったが、俺の父経由で教えてもらった本当の理由は、セリカがそんな俺のことを好きになったから両親がその気持ちを汲んでくれたんだとか。

で、気持ちだけでどうにかなるモノでもなく、一応身元調査をしたらさっき言ってた通り、俺の趣味が素人にしてはレベルが高く、やけに幅広かったこと。

両親がそんな感じで良い感じだねってことになったんだとか。



とまぁ、そんな感じで許嫁だがまだ学生だし、周囲が色々とうるさいのでとりあえず内緒と言うことになっている。

まぁ、仲はすごく良いから早く結婚しろとか友人に言われてるんだがな。



で、話を戻すぞ?

そんな彼女との昼休みが終わり、そろそろ授業が始まろうとしたところで突然魔方陣らしき謎の文字と記号、図形が部屋全体に広がった。

そして、いきなり部屋が真っ白になったかと思いきや、気づけばファンタジーでよくありそうな気がする薄暗い何もない無駄に広い部屋だった。

怪しい道具や見たこともない文字や図形まみれでどう考えてもよろしくない方面の魔法の実験室って感じだった。

そこで、順番に数秒ほどにらみつけた黒ローブ姿の連中に当たりだのハズレだのと順番に俺を含む同級生たちを見ていく中、俺とセリカだけがハズレと言われた。

そして、何の説明もなくいきなり光る魔方陣らしきモノ(飛ばされたときのと違う形だった)の中に放り込まれて再度眩しくなった。

視界がなくなる前に見えた最後の光景は、友人たちが俺に向かって手を伸ばしつつも騎士らしき連中に押さえつけられている姿だった。

まぁ、仲が良かったのは少数で他は良くも悪くもない感じだったんだが・・それでも半分くらいは仲が悪かったな。


で、再度気づけばどこまでも続く平原のど真ん中。



・・・うん。

親父たち経由で色々とラノベのネタ探しついでに話していた異世界転移って奴ですな。

転移と言うより召喚か。

さながら誘拐魔法だな!



・・・・


ふざけるな!

余計にわけわからんわ!

おまけに、説明もお話しも何もなしかい!

金もくれず、武器も装備品もくれず・・まぁ、腰に下げていた剣で切られなかっただけましか。

って言うか、誘拐しておいて送り返すんじゃなくて捨てるんかい!



となりを見ると、セリカが倒れている。

とりあえず、そっと抱き起こして様子を見る。

うん、怪我はないみたいだし、息苦しそうもない。

ただ気絶しているだけみたいだ。

「セリカ、おい。起きろ」

「んぅ~・・ん?おはよう?」

「寝ぼけてるだろ。状況分かってるか?」

「ん~・・ん?」

ぼ~っとしたまま周囲をくるっと見た後、いきなり叫ばれた。

「これは、まさしく異世界召喚!召還後に転移!これこそがファンタジー!!」

「うん・・分かったから落ち着け。」

やっぱりこうなった。

彼女は知的なキリッとした美人さんな社長令嬢だが、両親の仕事内容の影響か、大のファンタジー好き。

所謂オタク。

俺もオタクだが、彼女は俺以上。

と言うより、うちの学園内でギャップが凄すぎる筆頭というか代表格。

まぁ、その他は知らんが。

そのこともあって、学園では結構浮いている存在だったりする。

俺の場合は、オタ友がいたから少数でも友達がいたが、女性のオタクはほぼゼロだったから基本的に俺と男のオタ共とセリカというセットだった。

オタ共以外の男どもは大抵が見た目と身分を中心に見ていたから基本的にチャラ男枠だった。

それもあってオタ共以外とは仲が悪かったんだけどな。

セリカが美人なのに恋人だから嫉妬されたんだ。


で、話を戻して・・。

「なぁ、とりあえず町らしいとこを目指さないか?いつまでもここにいて、安全だって言う保証はないし、通行人もいるかどうか分からないし。」

それに、あの魔方陣から察するに魔法のある世界だと仮定しているが、そうなると大抵魔物とか言われる怪物が出てくる可能性も高いし。

「そうね。魔物とか出てきそうだけど、私たち戦うすべとかないし安全第一よね。」

さすが、分かっている。

とはいえ、オタク知識だが、俺もセリカも。

「とはいえ、道はどこだ?」

「ん~?あっちのアレじゃない?」

指さす方を見ると確かに草原と違って草の生えていない道らしきモノがまっすぐある。

らしきモノと言っている理由はばかでかいからだ。

なんて言うか、道路は道路でも4車線とか6車線レベルで広いのに線も何もないから余計にでかく感じる。


そして、道に着いた後、ふと気づく。

「なぁ・・木・・デカくないか?」

「えぇ・・大きいわね。」

なんて言うか、普通の木って高さは数十メートルはあっても幅は1メートルあるかないかくらいが平均だと思うんだが、縦も横も倍以上ある。

まるで俺たちが小人にでもなった気分だ。

「それで、右左、どっちに行く?どっちを見ても町らしき物体はかけらも見えないわよ?」

「そうなんだよなぁ・・。運任せにするか?」

「それもそうね。どっちかに行っても確実にあるだろうし。距離が違うだけで。」

「じゃあ・・これで。」

ポケットに入ったままだったギザ十の小銭。

何で入っていたかは俺も知らん。

「コイントスね。」

「そうそう。」

で、ピンと指で弾き、両手で挟み込む。

「じゃあ、私が裏で右。」

「じゃあ俺が表で左」

どっちでも良かったので適当に決めた。

そして、手を開くと裏だった。

「じゃあ右ね。」

「だな。このギザ十が幸運のアイテムになれば良いな。」

「普通の十円玉より地味に貴重だしきっと幸運は籠もっているわよ。ポケットに入ってたのも偶然なんでしょ?」

「まぁね。」

「ならこれは運命よ。さぁ行こう!」

「車も何もないんだから体力は温存するべきだぞ-。気持ちは分かるが落ち着け。」

「はぁい♪」

畜生・・そんなに無邪気な笑顔を向けないでくれ。

惚れ直してしまうから。


冗談はさておき、先へ行こう。

あの場所に残された友人たちは心配(他の連中は仲良くなかったしどうでも良い)だが、どうしようもないし、どこのどんなとこかさっぱり分からんし、今は気にしない。

なるようになるさ。

だから、あいつらも俺たちのことを気にせずに自分たちの心配からしてくれ。



さて、俺たちのファンタジー1日目はこれからどんな運命になるのだろうか。

セリカほどじゃないが楽しみだ。

それにもしあれなら、俺やセリカも何かしらの魔法が使えるようになっていれば良いな。

だとすればどんな魔法だろうか、楽しみだ。



思った以上に長くなったので分けます。

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