再会と新制流星の里その名は~癒しの都”ルナール”~
--アルナ--
アホな元貴族退治が無事に終了し、ヴェルヴンの騎士団の皆さんと自己紹介をあらかた済ませました。
騎士団長であるモリオンさんは、騎士さんたちの暴走を収めた後、リア様を抱っこしてうれしそうと言うか幸せそうに頭を撫でつつ再会を喜んでました。
ちなみにその間に騎士さんたちは、美人の親はやはり美人だったとイリスさんとリア様を眺めてつぶやいてました。
気持ちは分かりますよ?
リア様にペチュニア様の写真を見させてもらいましたけど、聞いていた以上に美人さんでした。
リア様を成長したらまさしくこんな感じって風でした。
見た目はすっごくお淑やかで優しそうな美人さんなのに性格はリリさんそのまんまとプラスして戦闘中のリア様を足したような感じだと聞いてるので余計に想像出来ませんけど。
そして、しばらくして落ち着いたところで改めて状況を確認したりします。
「とりあえず、ボスはあっちで磔にしてるけどどうする?」
「ここからですとクラリティ王国が近いですし、最も活躍したのはそちらですのでそちらへ連れて行き、情報を吐かせたりした方が有意義かと。」
「確かにこの場で殺すよりはその方が徹底的にゴミ掃除は出来るよね。」
「ところでリア様、セイちゃんたちが見当たらないようですが・・」
挨拶をした後からいません。
{被害者さんたちの手当や隷属の首輪の破壊などを行ないつつ、被害者さんたちに思う存分ストレス発散をさせてますよ。}
それと、リア様は影さんたちを呼び出してそれぞれが隷属の首輪の破壊を続けているそうです。
・・相変わらず働き者と言いますか頑張りすぎです・・・まぁ、今は状況が状況ですし、被害者さんたちが多いので仕方ないですが。
まぁ、きちんと休んで下さいと言っても影さんたちがぐーたらしてましたけど。
・・・リア様、それは休んでるとは言いません。
同じ台詞を保護者たちが言ってましたがいつものようにリア様はスルーしてました。
で話を戻して・・。
「・・ストレス発散とは?」
いやぁな予感がしつつ聞き返してみると、瞬時に後悔した。
{セイちゃんがひたすら回復させつつ、ずっと被害者さんたちが満足するまでそいつを殴らせているだけです。後、全身の好きなところに落書きと罵詈雑言を吐かせてます。}
うわぁ・・・
どれだけ続くんだろう。
まぁ、それだけのことをしてきたんだし自業自得か・・。
「それでバレク、被害者たちは回復した後はどうするか聞いてる?」
「彼らのリーダー格となる者たちに聞いてみましたが、全員がこの地で暮らしたいそうです。」
「故郷に帰りたいとか余所に行きたいとかなかったんだ?」
「えぇ。お礼をしたいと言うのもあるようですが、我ら以外がいる他の国や町が心理的に信頼出来なさそうというのが本音のようですな。」
「人間不信になるのも仕方がないね。」
「一応種族と人数はイリス様方が連れてきた者たちを含めて集計しましたぞ?」
と言って聞いてみたところ、
ドワーフ14人
エルフ25人
人間42人
竜人族4人
小人族15人
巨人族3人
獣人28人
鳥人族24人
樹人族7人
岩人族9人
角人族5人
人魚族13人
鱗人族6人
爪人族17人
毒人族21人
水人族31人
双子族14組
三ツ目族18人
なんか凄い種族がたくさんなんですけどとか思っていたら翠さんが順番に教えてくれました。
と言うより、凄く多いんですけど・・。
それよりも、一部の種族は基本的にひっそりと暮らしてるくらい会うのが珍しいのに・・そんな人たちをあいつらは捕まえて売り払おうとしてたんだ・・許せない。
まぁ、お仕置きは現在進行形で被害者さんたちが執行中だけど。
それよりも戻ってきてから今は翌日になってるんですけど・・被害者の皆さん休まなくて良いの?
1晩で治るようなものじゃないよね?精神的に。
とか思っていたら、
「大丈夫ですよ。セイさんがしっかり治して、シャスティさんの団子を食べてこれまでの鬱憤が晴らせるという思いで皆さん元気いっぱいですよ。」
リカルさん・・それ、元気いっぱいとかじゃなくて怒りで暴走してるって言いません?
ドワーフ
通常の人の半分ほどの身長までしか成長しない種族
頑丈な肉体と手先の器用さを併せ持つことから鍜冶を得意とする者が多く、寿命は平均300年。
エルフ
妖精族の血を引き継ぐ種族
非常に美形が多く、一生のうち若い姿のままで見た目で年齢が分からない種族筆頭
寿命は平均400年で、自然と共に生き、魔法の扱いに長けている。
竜人族
ドラゴンの尻尾と角を持つ種族
竜の名がつく通り、頑丈さも力も桁違いに強く、寿命は平均800年
小人族
身長平均50センチまでしか成長しない種族
非常に小柄で力は弱いが、手先が非常に器用なため、複雑な仕組みの道具を造ることに長けている。
寿命は平均50年
巨人族
身長平均3メートルはある非常に大きな体を持つ種族
体の大きさに比例して力が強いが、とても穏やかで優しい性格をした者が多い。
寿命は平均200年
獣人
獣の特性である耳と尻尾を持つ種族
どの動物の特性を持つかはそれぞれの個体によって異なり、身体能力もその動物の特徴となる。
平均寿命は150年
鳥人族
鳥の特性である翼を持つ種族
どの鳥の特徴を持つかはそれぞれの個体によってことなり、身体能力もその種族によって異なる。
平均寿命は100年
樹人族
褐色色の肌を持つ緑色の髪の種族
頭の上には何かしらの植物が成っているが、それぞれの個体によって異なり、一定周期で生え替わる。
頭になる植物を自身の魔力を使用して産み出すことが可能。
平均寿命は500年
岩人族
黒い肌を持つ種族
自身の体のどこかに鱗のように見える岩を宿しているがそれぞれの個体によって異なる。
体に宿る岩を自身の魔力を使用して産み出すことが可能。
平均寿命は500年
角人族
頭に角を持つ種族
角の種類と本数はそれぞれの個体によって異なり、一定の周期で生え替わる。
平均寿命は200年
人魚族
耳がエラの状態になっている種族で、水の中でも呼吸が可能
水の中では下半身が魚の姿に変わり、ものすごい速度で泳ぐことか可能。
陸上では下半身は人の姿となる。
非常に美しい姿をしており女性が多く、プロポーションが素晴らしい者が多い。
歌が好きで上手いが、一定周期で性欲が暴走するが、その間はなぜか妊娠は絶対にしない。(原因は本人たちも不明)
平均寿命は100年
鱗人族
体のどこかに鱗を宿す種族(人魚族や竜人族と間違われることが多い)
種族によって鱗の種類は異なり、非常に頑丈。
平均寿命は100年
爪人族
爪を自由に伸び縮みさせることが出来る種族
それぞれどの動物の爪か異なる
平均寿命は100年
毒人族
爪の色がやや紫っぽい色をしている種族
血には毒が生まれつきあり、毒の種類はそれぞれの個体によって異なる。
爪に毒を宿すことが可能
その毒を使用して薬を作り出す技術を編み出しているため、薬師が多い。
平均寿命は100年
水人族
一見人族にしか見えないが、水の中でも呼吸することが可能で大抵の怪我や病気、状態異常は水さえあれば治ってしまう
水がきれいであればきれいなほどその効力が発揮されるので、水源を無下に扱う者たちが大嫌い。
平均寿命は100年
双子族
何の因果かクォーターまでの血筋であれば100%双子が生まれる。
双子が揃うことで扱うことが出来るコンビネーションによる技や魔法はどんな猛者も油断大敵
平均寿命は100年
三ツ目族
額にある瞳を含め合計3つの目を持つ種族
額の瞳は必ず魔眼であり、どのような能力かはその人々によって異なる。
平均寿命は150年
年齢も性別もバラバラだそうです。
こういうときって若い女性と子供を中心に狙うってよく聞くけど、と思っていたら、そいつはどうやらとにかく珍しい種族だったら老若男女関係なく攫わせていたそうです。
・・とことん屑だな。
「あのバレクさん、こういう言い方は失礼かもしれないのですが、どの種族の方も基本的に自身の故郷に帰ろうとすることが多いのでは?」
「そうじゃな。この中では人魚族や竜人族などは特にそうだな。」
「だから、ある意味では変わり者が固まってるとも言えるかもね。」
「うむ。本人たち曰く、誇りでメシは食べていけないそうじゃ。」
「な、なるほど。」
何と言うか、現実をよく見てる方々なんですね。
変わり者・・確かにそうかもしれません。
自分と同じ種族がほとんどいないのに加えて、対等な存在と思われず下手すれば格下扱いが当たり前な人が多いところに留まりたいと思うのだから。
まぁ、ここはそんな人は存在しないから別だけど。
「と言うよりも、ホントの理由はここが聖地になっているからだと思うけどね。」
「翠さんそれ本当!?」
「聖地?」
翠さんがしれっと言ったけど、聖地って何だろう?
「名前の通り聖なる土地のことで、その土地に留まるだけでも精神的な癒しがあるんだよ。それと、心が清い人であれば清いほど魔力の流れ・・魔力回路が発達しやすいんだよ。」
常に浄化の魔法がかかったような土地らしいです。
魔力回路の発達を詳しく聞いてみました。
魔力回路のゆがみを治したり、その回路を太く、そして丈夫にしてくれたりするんだそうです。
魔力回路のゆがみが治るとその分魔力がスムーズに流れるので魔法がスムーズに扱えるし、安定しやすいらしいです。
回路が太くなれば一度に出せる魔力量が増えるので、消費は激しくなるし調整がちょっと難しくなるけど、一撃の威力は一気に高めることが出来る。
魔力回路が頑丈になれば、全身を身体強化したときに威力がささやかながらに高まる。
つまりは、体を頑丈にする負荷が軽くなるんだそうです。
魔力で体を強くすると少なからず体には負荷がかかり、体力の消耗が激しくなるんだそうです。
聖地になった理由は、中央に大きくそびえ立つ精霊樹の存在もありますが、バレクさんたちが徹底的に悪を滅ぼしまくり、自然を大切にしていることがきっかけで、この地に住み着いている動物たちがたくさん集まっていることも原因の1つらしい。
と言うのも、ただ動物が集まればいいと言うわけではなく、善人にしか懐かなかったり、自然豊かな土地にしか生息しない動物たちだからと言うこと。
後は、バレクさんたちが嬉々として薬草やお花などのお世話をするのと同時に浄化魔法をあちこちに定期的にかけていることも原因として数えて良いらしい。
「あぁ・・聖地かぁ・・道理で居心地が良いと思った。」
「それに、彼らがここにいたがるのも分かる。」
「どういうことですか?」
「彼ら・・と言うより、僕たち人族以外の種族は、聖地って凄く憧れの土地なんだよ。平民が王族や英雄に憧れるようなものかな。」
「そんなにですか?」
「そんなものだよ。特に種族によっては幻獣や神獣なんて教会で神様を信仰するレベルですっごいよ?」
とイリスさんが言うのでチラッとその幻獣であるカルナさんとシャスティさんを眺める。
カルナさんは目を背けて気づかないふりをしていて、シャスティさんは喉をごろごろを鳴らしながらリア様に甘えまくっている。
シャスティさんの戦ってるときの凜々しい姿とのギャップが・・。
いつものことだけど相変わらず見慣れない。
で、ハディさんはというとヴェルヴンの騎士さんたちと遊んでいる。
詳しくいうと力比べをしているのか騎士さんたちがハディさんの尻尾を掴んで後ろへ引っ張り、ハディさんを正面や側面から押しているけど、ハディさんがそこでただ踏ん張っている。
騎士さんたちとあんな人数を軽く相手しているからさすがだなぁとか思いつつも何でそんなことしてるんだろう?と思っていたらカルナさんが教えてくれた。
「アレは、よくあることだからスルーして構わない。」
「そうなんですか?」
「あぁ。見ての通りハディは見た目が威圧感があるから初対面だったり見た目で判断するようなのは近寄らないんだ。けど、あぁしてハディの内面を知ってる奴らはあんな感じで遊んであげてるんだ。ついでに力比べをしてるって感じだけどな。」
「ハディさんって見た目と違って凄く優しくて頼もしいですからね。けど、力比べが遊びなんですか?」
よく私の傍に静かに寄り添ってくれてますし、背中に乗せてもらったときは私に気を使ってくれてるし。
走るのも好きらしいから一緒に走ってあげても良い気がするけど。
「走るのはいつでも出来るが、全力で力を出すのはなかなか出来ないんだ。対抗出来るのはリアの本気バージョンとバレクさんくらいだ。」
あ、そっか。
ハディさんは素の力でもものすごく強い。
だから、あぁして全力が出せる機会を増やしてあげてるんだ。
「まぁ、自分の力がどれだけハディに通用するようになったか力試ししている節はあるがな。」
その辺りは普段から戦いに身を置いているからしょうがないかなぁ。
「ホントに部下がご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
ホントに申し訳なさそうな表情になってるモリオンさん。
あぁ・・ホントに楽しそうにハディさんと遊んでるもんね。
「ハディも楽しそうだから気にしなくていいよ。」
「お気遣いに感謝致します。ですが、フリージアちゃんがイリス様のご息女だとは思いませんでした。母方については陛下より伺ってましたが、父方は誰か分からないと伺ってましたので。」
「リアちゃん自身も知ったのはこっちに来てからだからね。正直リアちゃんとはその時が初対面だったし。ラウを経由して写真をもらったから姿を知ってたくらいだからね。」
「そうだったのですね。ですが、周囲から何か意見が合ったりしたりと大変ではありませんでしたか?」
凄く気を使っているのが分かる。
その証拠に凄く心配そうな表情になってるし。
「大丈夫だったよ?リアちゃんはホントに見た目”は”ニアさんと瓜二つだから。それに僕自身がニアさん以外と特別仲の良い異性って妹と母上くらいだったからね。他は大抵信仰相手って感じだったかなぁ。」
”は”の部分が若干強調されていたのはスルーしておきましょう。
あぁ・・メイドさんたちみたいな身の回りのお世話をする人たち(つまりは私の先輩方)は、憧れというか普段から眼福という感じで精神的にもお近づきになりたい!って思う人は意外といなかったりするし。
なんか、そう言う思いをすることすらもなぜかかけらもないんだよね、不思議なことに。
まぁ、後は守るべき相手から守られないようにどんな些細なことでも見逃さないようにすることと、自身を強くすることに精一杯でそれどころじゃないというのが現実だけど。
私は・・・まぁ、守るべき相手に癒されながらだから先輩方と比べると結構お気楽だったりします。
それでも、リア様に鍛えてもらってるのでメキメキと上達してるし。
・・守るべき相手に鍛えてもらっている点はスルーして下さい。
「確かにそうですね。ですが、こうして話をして分かりましたが性格と言いますか内面はイリス様そっくりではありませんか。」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。」
確かに内面はイリスさんそのままだよね。
穏やかで優しいところや頭が良いところとか。
そして何よりも美人!
とにかく美人!
傾国の美女が速攻で土下座するレベルで美人!
「さて、ずっとスルーしてたけど彼らの元に行こうか。」
色々と話しはしてましたからずっとスルーしてましたけど、セイちゃんたちが実行している被害者さんたちのストレス発散という名のお仕置きがず~~っと続いてます。
それはもう、ボコスカと色んな音が聞こえてましたとも。
「おぉぅ。何か予想以上の光景が続いてるよ。」
「被害者たちは・・くたびれて寝てるけどすっごいすっきりした顔ね。」
「すっきりというかやりきったぜって顔って言うか。」
「普通は暴言を吐くことすらさせてもらえずに連れて行かれるか殺されてるし。」
「そう言う機会を与えてもらえるのはせいぜい捕まえた人が思いついたときと被害者たちがそんなことをする余裕があるときだけだしな。」
「確かに。」
魔術師団の皆さんが遠い目をしながらしみじみと語っている理由はそのストレス発散の結果です。
人数が人数と言うことで1人殴るの10回、蹴り10回、罵詈雑言は複数人同時で30分、落書きは5行分ほどと決めていたらしいです。
で、全員が終わったらしくそれはそれは満足そうな表情で地べたで大の字になって爆睡中。
そのクズの元凶はというとここに来る前にセイちゃんとユウ君が思いっきりやりかえしていたから精神力も体力も1%残ってる?って感じだったのにプラスしてそれらのやり返しが死なない程度の治療で続けさせられていた結果、全身痣だらけきり傷だらけに、罵詈雑言の落書き、髪の毛はまだら状態で引き抜かれ、白目を剥いて泡吹いて気絶してました。
骨折とかは一応治しているっぽい。
まぁ、その場で放置はしてないので十字架に磔状態にして逆さまにしてるみたいですけど。
頭に血を上らせるという地味な嫌がらせが継続中。
「セイ、ユウ。」
「あ、イリスさんお話しは終わりですか?」
「まぁね。そっちは終わったのかい?」
「はい。応急処置などは皆さんがして下さってたので思った以上に時間をかけずに終わらせることが出来ました。一応被害者の皆さんの経緯などは全て聞いてまとめてます。・・・リアちゃんの影さんが。」
書く量が多かったのか紙束や本のような状態ではなく巻物が何本もありました。
で、影さんたちはと言うとやりきったぜって感じで汗をぬぐってる。(かいてない)
「ありがとう。」
「ついでに、あの屑からも情報は搾り取っておきました。これホントに便利ですよね。」
と言いながらユウ君が渡していたのは針のようなモノがついた丸い物体。
「使う相手が限定されるから対応には注意が必要だけどこういうときは便利だよね。うん、それらもまとめて預かっておくよ。」
それは、対象者へ突き刺すことで相手の記憶をコピーするモノらしいです。
ただ、所持するだけでもかなり厳しい審査などがあるので極々限られた人しか持つことが許されない品です。
・・イリスさんたちだし、その辺りは問題は全くないねうん。
「後は、これをルイスに渡せば後はなんとかしてくれるだろうね。」
しばらくしてイリスさんがぽつりとつぶやく。
「それで、彼らはそのまま放置で大丈夫なのかい?」
「あぁ・・一応掛け布団は全員にかけるので大丈夫かと。」
「それにイリス様。天気も良いですし風邪を引くことはありませんわ。」
「それなら良いけどね。それに、全員分の家がまだ出来ていないからね。」
「ある程度であればワシの魔法で出来るのですが細かい部分まではさすがに・・」
「それでも十分だよ。とりあえず彼らを取り囲むように家を作ってくれないかい?きちんとした家はディフィスに頼む予定だから。依頼料は、こいつらがため込んでたのを丸ごとあげれば足りるかな?」
{私も無駄にため込んでるのでプラスも可能ですよ?}
「僕も同じだから僕ので足りなかったらお願いね?」
(コクリ)
{と言うよりも、私たちの懐から出す前にこいつらの懸賞金をプラスすれば良い感じでしょうか。}
「だろうね。後は、こいつらから絞った情報で〆た奴らの懸賞金を出せば十分だろうね。」
「あの、お二方・・奴らがため込んでいた分を出すだけでも十分どころか多すぎると思うのですが・・。」
「だろうね。」
「分かってたのですね・・。」
「うん。軽くみたけど装飾品も武具もかなり良いものだったしね。」
数も質も桁違いでしたからね。
「でしたらどうして金額の追加をお考えに?」
「規模が大きいし、種族もバラバラだから彼らに併せて家を作ってもらったりついでに家具とかを頼んだら結構かかりそうだからね。」
「なるほど。」
「その前にきちんと申請しないと駄目だろうなぁ。」
「イリスさん、何を申請するんですか?」
「ん?この土地をクラリティ王国の土地の一部だと言うことと、ここを正式に町として登録するんだよ。今は、僕たちエトワール家の所持地という扱いなだけだからね。」
「となると、町民たちがいるから所謂領地ってことになると言うことですか?」
「そういうことだね。」
「領地と所有地の違いって何ですか?」
「そこに住む人がいるかどうかだね。まぁ、細かく言うと一定の人数を上回ったら領地って感じかな。人数がいるからある程度の税を納める必要があるから。所有地だとそれがないんだ。」
「と言うことは、ここは所有地から領地に変わり、税金を納める必要があるってことですか?」
「そうだね。まぁ、税に関しては問題ないと思うんだよね。」
「そうですか?」
「うん。この地は薬草が豊富だからそれをメインにしても良いし、今回の被害者たちがそれぞれ物作りに長けているからそれらを売ってもいい。」
「あ、そっか。」
「詳しいところは彼らと直接やりとりする必要があるけどね。」
「その申請と同時に依頼を出すとなると早い方が良いですよね?」
「そうだね。とはいえ、被害者たちがある程度落ち着いてからだね。」
「確かに、みんなストレス発散出来たとは言っても心身共に疲れてるだろうから。」
「それで、一番大事なことがあるんだ。」
「大事なこと?」
「それはここの名前さ!」
「え?流星の里じゃ駄目なんですか?」
「あぁ、皆勘違いしているようであえて言うが、流星の里とはそう呼ばれるようになっただけで我らは一度たりともそう名乗ったこともその名がこの地の名前だと決めたこともないぞ?」
「そうだったんですか?」
「うむ。我らがこの地を除く者たちに毎回内容を伝えていたのじゃが、其奴らがそう呼ぶようになった。そして、面倒故にそのまま定着してしまっただけなんじゃよ。」
「なるほど・・」
「と言うわけでリアちゃん、お願いね。」
イリスさんはいきなりリア様にパスした。
で、リア様はと言うとしばらく首をかしげた後ぽつりと肉声でつぶやく。
「・・・ルナール」
「ルナール?」
「どういう意味の言葉なの?」
(?)
さぁ?って感じできょとんとして首をかしげるリア様。
・・あ、これ本人は分かってない。
「あぁ・・これは、カルナさん。」
「あぁ。あのときと同じだな。」
苦笑いしているカルナさんとラウさんがそう言う。
何か心当たりがあるみたい?
「ラウさん?カルナさん?あのときって?」
「ん?俺たちのパーティ名もリアがその時に今みたいに思いついた言葉だったんだ」
「なるほど。」
リア様に聞いてみると、称号に新しく増えていたらしい【断罪者】を眺めているときになんとなく思いついたらしい。
リア様のことだから何か関係があるかも?
けど、断罪者ってどこかで聞いたことがあるような気がするんだよなぁ・・どこだっけ?
今度、教会の図書館に調べに行こう。
「意味はさておき、良いんじゃないかな?」
「そうですね。言葉の響きも私は好きです。」
「さんせー!」
「じゃあ、ここは癒しの都”ルナール”で決定だね。」
イリスさんが癒しの都と頭につけました。
「癒しの都・・言い得て妙ですね。」
「薬草の産地としてもですし、聖地としての癒しもですし。」
色んな意味で癒しがここには溢れてますからね。
そして、ここ流星の里はその名を改め、癒しの都”ルナール”となりました。
後に、ルナールとはかつて断罪者と呼ばれた人の通り名だったと知るのはリア様の種族が明らかになったときだと知るのはもう少し後の話。
あ、そういえば神獣様、大丈夫なのかな?
定期的にセイちゃんが治療してくれてるし、あの精霊樹の根元であるペチュニア様のお墓の近くに寝かされてるおかげなのかもう全快らしいけど。
どうやら、精霊樹って近ければ近いほど精神的な癒しとかの効果が高まるらしいです。
まぁ、シャスティさんの塗り薬も使ってたし、ラナちゃんが毒素?とかをあらかた吸収してたらしいけど。