旅立ちと楽しい野営
カタクリの町には私の初めてがいっぱいだった。
初めての町
初めての人の温かさ
お母さんのこと
神様のこと
私自身の力のこと
とにかくたくさんのことがあった。
私は今日旅立つ。
お別れはさみしいけど、それと同時に世界にはもっとたくさんの初めてがあるんだってカルナが教えてくれた。
シャスティももっと世界はキラキラしてて色んなきれいもあるからそれをたくさん見ようって言ってくれた。
翠も色んな人たちと出会うのも世界に密かに存在しているらしい精霊さんとかに出会うのも楽しいよって言ってくれた。
「さみしくなるな。」
「死に別れじゃないんだ。またいつかあえるさ」
「また来てくれよ!!」
街の日とたちが色んな声をかけてくれる。
そして、神父さんがやってきた。
教会から出てくるなんて珍しい。
いつも忙しいからでられないって言ってたのに
「フリージアさんこれをお持ち下さい。」
それは、腕輪だった。
幅が2センチほどの純粋な銀色なのに透き通った色をしている不思議な色をしている。
それと、よく見るとすごく複雑で色んなことがみっちりと描かれていた。
読めないなぁ。
カルナたちも読めないって。
けどすごくきれい。
腕につけたらしゅって私の腕にぴったりになった。
これ何?と首をかしげる。
「ギルドカードを確認して頂けた方がわかりやすく説明して下さると思いますよ。」
なるほど。
カードさんお願いします。
ランク:E
名前:フリージア・エトワール
性別:♀
年齢:5
種族:半異世界人
職業:賢者、協奏師
称号:絶望を知る者、幻獣の家族、変態紳士ホイホイ、英雄賢者の正統後継者
属性:陰
体力:E
魔力:C
攻撃:F
防御:E
俊敏:F
練度:C
技:【影操作】【魔力反射】
自動技:【圧縮記憶】【思考速度上昇】【並列思考】
魔道具:賢者の杖、教会の腕輪(EX)
契約
【幻獣】八咫烏:カルナ
【幻獣】ガルディエーヌ・キャット:シャスティ
【妖精】オニキス・ゲル:翠
加護
母の溺愛、母の過保護、元英雄賢者/現神様のお気に入り
カードに表示されてますね。
と言うことは、特別な道具ってこと?
そんじょそこらのアイテムではカードに装備したモノは出てこないらしいです。
教会の腕輪(EX)
教会より送られる幅2センチほどの純銀でありながら透明度の高くとてもきれいな腕輪。
神様にしか読むことの出来ない特別な文字がみっちりと描かれており、この腕輪をつけたモノをぞんざいな扱いをしたりよからぬことを企めば天から天罰が即下ると言われる。(例え国王でも場合によってはヤバイかもと言われるレベル)
幸運が舞い込みやすくなり、教会へ訪れると好待遇を受けることはほぼ確定。
※最高ランク
おぉ
何かすごいですね。
けど、このかっこのEXってなんでしょうね?
で、神父さんが教えてくれた。
この腕輪にはランクがあるらしい。
基本的にギルドランクと同じでFから順に上がってて、最高がSSSの上の私が持っているEX何だとか。
何がどう違うのだろうかと思ったけど、この腕輪には神様しか読めないすごい文字がいっぱい書かれてるけど、私が腕につけた途端、ちょうど甲の辺りに来るところ(カルナが言うには腕時計をつけたときに時計がある辺り)に「EX」ってこの幅ギリギリの大きさで刻印されてた。
よく見たら神様の文字を避けるように書かれてる。
器用ですね。
「ギルド側はこういう待遇は贔屓になるので出来ませんが、教会は関係ありません。例え何を言われようとも、フリージアさんが神様に愛されていることは神父である私が知っています。それに、毎日欠かさずお祈りに来るフリージアさんとその時に毎回あなたが光ってるので他の者たちも認めています。そして何より、これだけ多くの人たちに愛されている。そんな子が神様に愛されているのは言って疑う人間はそうそういないでしょう。」
「ホント助かるよ。これのおかげでちょっとやそっとじゃフリージアを利用する馬鹿がいなくなるってことだよな?」
「そうですね。そんなことをすれば協会側が全面的にその方に敵対することになりますから。フリージアさん、この腕輪は教会に属するモノ全てがあなたを大事にするという意味があります。何かあれば教会を訪れて下さい。」
いいのかな。
こんなに良くしてくれて。
(ぺこり)
お礼を込めて頭を下げる。
「お気になさらないで下さい。もしも、お礼などを考えていらっしゃるのであれば教会を見かけた際はこまめにお祈りに来て下さるか、お泊まりに来て下されば皆喜びますよ?」
そうなの?
首をかしげると。
「神様に愛された子をお世話することは教会に属するモノからすればとてもうれしいことなんですよ。フリージアさんでわかりやすく例えると、獣魔であるカルナさんたちが主であるフリージアさんのお世話をすることがうれしくて仕方がないのと同じことです。逆もそうでしょう?フリージアさんもカルナさんたちのために頑張りたいと思っているでしょう?」
(コクリ)
「そして、そうすることで喜んでもらえればうれしいでしょう?それと同じですよ。」
納得しました。
ありがとうございますと頭を下げる。
カルナがすごく大雑把に改めて説明してくれたけどこれをつけてたら色んな人が私を馬鹿なことに利用使用なんて考えなくなるんだって。
そんなことをすれば教会に属する関連全員に敵対されたりそんなお店とかを利用出来なくなるんだとか。
教会が属するお店は、回復関連だから調合薬や教育系である本の販売店、教会でお祈りとか、教会を使った特別なこととかが何も出来なくなるんだって。
後は、回復系の魔法を使う人たちも教会を大事にする人たちだからそう言う人たちからも嫌われるんだって。
教会を使った特別なことって何だろう?って思ったら、お祈りとかはもちろん、結婚式とかそういう式典関係?が大体は教会が対応するんだって。
後、ファミリーネームを決めたりするのも何だとか。
なぜに?と思ったら
元々ファミリーネームを持つ人は多くはないらしい。
と言っても10人に1人くらいの感覚でいるらしいけど。
で、何かすごいことしたりしてファミリーネームを名乗って言いよって言ってくれたり決めて良いと認めるのも全部教会何だとか。
つまり、教会は色んなコトしてるから困るのは確実。
教会を敵にするのはギルドで冒険者じゃなくなるよりも大変なんだって。
冒険者じゃなくなっても働き口を改めて捜すだけで大して大変じゃないらしいし。
そして、シャスティはおっきくなってます。
基本的に外を移動するときはシャスティはおっきくなって私を背中に乗せてくれるようです。
私は体力がないからね。
後は、私を背中に乗せていっぱいスキンシップしたいとか撫でて欲しいとか言ってたからいっぱいもふもふしてあげますし、しました。
カルナは、おっきくなりません。
必要でないときにしかならないらしいからいつか見せてくれるよね。
私の手にあるのは腕輪を装備してる以外は杖さんを握ってるだけ。
その他の道具は全部翠がお腹の中に収納してくれてるからほとんど手ぶらなんです。
ちなみに言うと、杖さんは私が手放しても背中にピタってくっつきます。
どうやってくっついてるのか分かんないけどくっついてます。
で、手に取ろうとしたら瞬時に私の手元に移動してきます。
背中にくっついてても動きにくいとかそういうのはないよ?
すごく良い子なんです。
全員「またね~!」
そしていっぱい手を振って私は旅立ちました。
シャスティは私のためにワザとゆっくりと駆けてくれる。
けど、普通のお馬さんよりは早いと思う。
なのにほとんど揺れないからすごく快適です。
それでいてもふもふも素晴らしいです。
カルナはシャスティの頭の上にいて周囲を警戒しつつ毛繕いしてるし、翠は私の頭に帽子のように乗っかってます。
乗っかってると言うより、帽子になってます。
カルナが言うところのニット帽みたいに。
お膝でも良いんだよ?って言ったら、そこが気に入ってるらしいです。
いつもじゃないんだけどね?
お宿にいるときはお膝の上だし。
でも、なぜか私の頭の上を気に入ってます。
まぁ、シャスティは普通のにゃんこサイズだとずっと私のお膝の上だしね。
カルナは、シャスティたちと違ってそこまで積極的にスキンシップすることはないからほどよい距離感で寄り添ってくれる感じです。
でも、いっぱいお話ししてくれる。
優しいし、頼もしいんだよ?
私のことを大事にしてくれてるのは知ってるからその距離感がカルナとしては居心地が良いのは知ってるから無理強いはしないし。
シャスティはいっぱいスキンシップして欲しい!って感じだからいっぱいかわいがってあげます。
あの場所にいた頃からずっとそうです。
翠はシャスティと違ってスキンシップを好まなくはないけど、ぴったりとくっついて寄り添ってるだけで良いんだって。
私限定でなでなでもギュ~もお好きにどうぞ?って感じ。
私以外だと問答無用で攻撃してくるけど、シャスティとカルナを除く。
「グルル(あちらで休憩をしましょう)」
「そうだな。フリージア、お昼ご飯だ。」
-○○-
翠は種族的な理由なのか食事が大好きです。
おいしいのも強い敵を食べちゃうのもどっちも好きなんだって。
カルナとシャスティは鳥さんで猫さんだから獲物は襲い掛かる側だけど、翠はどっちかというとひっそりと待ち構えて近くに来たところをバクン!だから違いはと言うと、翠は自分自身が罠って感じかな。
隠密のすっごいのが翠は出来るから音がたたないようにひっそりと死角から敵に近寄って隙を見て体を大きくさせてそいつをバクン!と包み込んでそのままとかして食べちゃうの。
強いよ?
けど、全部溶かす前に体からペッ!って出しちゃうの。
何でだろうな~って思ったらそのままだと売ったり出来るのまで全部溶かして食べちゃうことになるからだって。
あの町でいっぱいお金もらったし、依頼もちょいちょい頑張ったから貯まってるのにね?
それに、あの町では結構な頻度でおごってくれたりプレゼントしてくれたからほとんどお金使ってないからいっぱいあるよ?
って思ったら、
「金はあってもないと思うようにしなきゃ駄目だ」
ってカルナが言う
「グルル(フリージア様、手元にお金があると思って稼がずにのんびりとしていると気づけばお金はなくなっているのですよ?)」
そう言うモノなの?
「シャスティの言うとおりだ。たとえばだ。今手元に銀貨1枚分のお金があるとする。その状態でこんなにあるんだから働かなくてもまだ言いさとか言って贅沢をやりたい放題やっているといざって時・・・本当に金が必要なとき・・怪我をして治してもらうために他の冒険者に頼むときに使おうとした金が手元にない!ってなると大変だろ?」
確かに
言われるとそうですね。
冒険者のお兄さんたちも言ってた。
お金は気がついたら使ってしまうとかすぐに使ってなくなっちゃうとか
「そうならないためにも稼げるときに稼いでおくこと。それと、必要なとき以外は極力お金は使わないようにするモノだ。まあ、支障が無い範囲であれば気にせずに使って良いんだけどな。お小遣いってそういうのは言うんだ。」
そっか
じゃあ、カルナがこれだけ使って良いって言った分は好きにして、それ以外は基本的には使っちゃ駄目ってことだね?
-◎-
翠もそう言ってる。
よくよく思えば、あの町でカルナがこれくらいは使って良いって言ってくれたりしたお金がお小遣いって言うんだね。
なるほど。
お昼は町にいたときに無駄に大量にもらった食べ物類でカルナがあまり日持ちしない奴を優先して食べることにしました。
と言っても、普通にしてて2~3日は持つ奴で翠のおかげでそれなりに持ちはするんだけどそれでも永久じゃないし、もらったのが食べる前に食べられなくなっちゃうのはもったいないからね。
だって、あの町にいたときに結構な量を結構な頻度でプレゼントされまくったんだもの。
生の果物なんてザラです。
途中から私が超がつくほどの小食だと気づいたところで食べ物は日持ちするタイプに変化し、アクセサリー系?が結構な頻度で。
髪飾り系から、イヤリング系、ブレスレットに指輪、腕輪に腕輪っぽいけど脚とか二の腕とかにつけるタイプとかネックレスとかなんか色々。
・・・・どれも高そうなんだよね。
で、カルナは当然いらないと言ったけど全員が気持ちだからとか言って押しつけてそのまま逃亡。
結果として私はそういうのをつけるはずもなく翠のお腹の中に収納されっぱなし。
けど、アリスさんからもらった桜っていうピンクの花柄がワンポイントの黒いシンプルな髪ゴムを使ってます。
私の髪はふくらはぎの辺りまであるからすっごい長いからせめて後ろに束ねてた方が良いって言ってくれました。
アリスさんのお気に入りらしいのですごく気に入ってるんです。
で、髪型はポニーテールです。
これだと首の辺りがすっきりするし意外と動きやすいんだよね。
まぁ、訓練代わりに移動するとき以外はおっきいシャスティの背中の上なんだけど。
みんなもかわいいねって言ってくれた。
なんか私らしいねって言ってもらえた。
一番うれしかったのは、カルナが私のお母さんがよく好んでしていた髪型だって言ってくれたこと。
後、シャスティがお母さんがポニーテールを気に入ってた理由は今の私と大体似たような理由で動く時に楽だからという理由だけ。
さすが親子ですねと翠から言われました。
お母さんとおそろいって思えてちょっとうれしい。
じゃあ髪は切らないの?
と一度聞いたことがある。
そしたら、全員からもったいないと言われ、そのままを進められ、あっという間にこの髪のお手入れの方法を教わりました。
・・そしてシャスティと翠が覚えました。
私は一応覚えた程度です。
だって、二人が率先してしてくれるんだもん。
お風呂でも髪を整えてくれたりとかも。
そういえば、あちこちでお姉さんたちに髪をきれいにするための道具とか液体とかなんか色々くれた。
すっごい量だったなぁ。
そこまでして長い髪が好きですか?
まぁ、お母さんも長かったらしいからおそろいと思ってるから気に入ってるけどさ。
そういえば、シャスティはそのための消耗品関係の調合のレシピをあちこちで確認しまくって材料とかも含めてお勉強しまくってたね。
なんか街を出る頃には完全にマスターしたとか喜んでたけど。
聞くと、その材料とかは思ったより簡単に集まるモノばかりだったらしく、他ので代用も出来るほどだったとか。
まぁいいや。
よくわかんないからシャスティにお任せ。
後、翠が私の髪がポニーテールにしてる状態で揺れてると猫の尻尾みたいと言って、シャスティがおそろいですねってすごくうれしそうだった。
まぁ、私の外套は猫さんの耳がついてるしね。
そして、野営は思った以上に楽しかった。
確かにお宿みたいにベッドも壁も天井もないけど、テントでお泊まりも楽しいし、翠がベッドの代わりに薄く広がってくれるし、お腹が冷えないように首元まですっぽりと包み込んでくれるし。
すごく心地の良い暖かさにしてくれるし、ぷよぷよして気持ちが良いの。
それに、お外だから町ではあまり意識して見上げなかった星空がすごくきれいに映るの。
毎日お月様を眺めていたあの頃よりもずっときれいでずっと輝いて見えた。
眺めながら思ったことは。
私の気持ちの変化でここまで星空はきれいに映るんだって。
私はお月様も星空も好きだ。
と言うより夜空が好き。
どんなときもいつも私を優しく照らしてくれた。
時々流れ星を見せてくれたり、色んな星座を見せてくれる。
星座は、毎日ぼんやりと眺めていた時にカルナが楽しみ方の1つとして教えてくれた。
お月様もまん丸だったり三日月さんだったりして楽しいし、時々赤くなったり青くなったりする。
いつも私を楽しませてくれた。
と言うより当時はそれしか楽しみがなかった。
それから今こうしてあの頃とは違う気持ちで眺めている。
あの頃と何も変わらずにきれいに輝いているきれいな星空。
やっぱり星空って大好き。
きれいだなぁ。
そして、眺めている内に私はいつの間にか寝てしまうの。
こうして星空を眺めながら寝ちゃうとすごく良い夢を見れる気がするの。
起きたら覚えてないけど、とても幸せだった気持ちは心の中に残ってるから。
星空を眺めていると私の中でたまっていく嫌なことや悲しいことをすっと溶かしてくれるような気になる。
なんというのかな?
清められるような感じって言うのかな?
そんな感じで、私がぼんやりと星空を眺めている時はカルナもシャスティも翠も誰も私に声をかけずにそっと近くに寄り添ってくれる。
そんな感じで野営に少しずつ慣れていく中私はふと思う。
あの父親と言われているあの男・・・・本当に私の父親・・血のつながった親なのかなと
何を言ってるのか自分でも分かんないんだけど、私の心の中に感じる人同士のつながりにあの人間とは何もつながりを感じないんです。
この気持ちも感覚も誰1人にも話したことはない。
これまでこのつながりを感じたのは、
杖さんを通じて神様と
私の心を通じてお母さん、カルナ、シャスティ、そして翠だ
このよく分からない気持ちと言うより能力?にきちんと気づいたのは翠と契約した時。
血を渡した時に私の中に見えない何かが・・心と心がつながるような感覚があった。
そして、名前をつけるとそのつながりは強くなった。
それと、お母さんだと聞いてすぐに分かったのも、この感覚のおかげでもある。
だって私は1回もお母さんの声を聞いたことも、写真で知ってる見た目だけで、どんな性格だったかも知らなかった。
なのにあのとき頭の中に響いてきた時すぐにお母さんだと分かったのは、その声を聞いていると私の心につながりを感じたからだ。
それ以外に人たちからは一切感じたことがないし、あの父親らしき人とも一度もない。
初めは、絆としてのつながりがなかったから感じなかったと思ったけど、あれだけ優しくしてくれたアリスさんとはこの心のつながりを最後まで感じたことはなかった。
それで星空を眺めながら私なりにまとめた結果として、これまでつながりを感じた人たちの共通点は、心以外にきちんとしたつながりがあったってこと。
神様とは賢者としての後継者の証でもある杖さん
お母さんとは血
カルナ、シャスティ、翠とは獣魔とその主としての契約
そうなると、あの父親とはお母さんと同様血のつながりを感じるはずだ。
なのに感じない。
それを証明する方法もないし、あいつに会う気も会うことも出来ない。
どこなのかもあいつの名前も町の名前すらも分からないんだから。
まぁ、いいか。
あいつのことは忘れましょう。
あいつとのつながりがあってもうれしくないことばかりだし。
夜は星空を眺め、日中はおっきくなったシャスティの背中に乗って移動しつつ、合間に魔法の特訓と体力作りの運動。
で、ちょいちょい採取とかして、魔物討伐したり森の中で寄り道とかして自然の神秘とかをカルナとシャスティに見せてもらったりした。
後は、実際に実物を見ながらお勉強とか。
自然の神秘って言うのは、森の中にいっぱい生えている木の葉の隙間から太陽さんの光が差し込みながら空気中でキラキラとしてたりとか、虹が二重になってたり、お月様の虹が実は白かったり、まん丸の虹だったりと色んな自然のきらきらを見た。
実際は滅多に見れないらしいんだけど、森の中とかで町の明かりとかがほとんどなかったり運が良かったりして色々見ることが出来ました。
世界はこんなにも色んなきらきらに溢れていているんだってカルナに教えてもらった。
もっと知りたい。
世界のきらきらを
そんな感じで私たちはあちこち寄り道して見て回りながら先に進む。
後、星空だけじゃなくて夜明けとか朝方に見えるお月様とかも見たし、もやが掛かったりしてちょっとだけ不思議な感じに見えたりと楽しかった。
けど、気のせいかな?
ちょっと前から誰かが見てるような気がするのは
でも、そういうのが敏感なシャスティが感じないから気のせいだよね。
-??-
あの方の指示で俺は遠くのモノを視るための魔道具と、音を聞くための魔道具を使ってペルランナーっていう大人の人間1人を背に乗せられるほどの大きさのものすごく速く走って移動することが出来る鳥の相棒の背に乗ってものすごい遠くからとある方を観察している。
ストーカーではない。
れっきとした任務なのだ。
おう・・っといけない。
喋ったら駄目なんだ。
あのお方の指示で、あの子・・フリージア様のことを見守りながら情報収集している。
俺は、あのお方よりカタクリの町からEXランクの教会の腕輪を授けられた人物がいるという話を聞き、その人物の名を聞いてなぜか驚いた表情をしつつその子について調べて欲しいと依頼を受けた。
しかも、絶対に敵対するなとか、嫌われるようなことはするなよ!?と泣きが入りまくりながらしっかりと注意された。
・・・しかも、嫌われたら俺死ぬからな!?自殺してやるからな!?と猛毒の小瓶を隣に置いて真剣な表情で言ってた。
・・やっべぇ・・これマジだと思って敵対されないように・・むしろ仲良くなれとか言いつつも極力バレないようにしろって言う無茶ムリを聞きつつもとりあえず離れて観察中。
俺はホント運が良い。
ある程度の情報は、あの鳥・・・・はカルナだっけ?そのカルナが事情を説明せざるを得ない状況に結構遭遇したおかげである程度は知ることが出来た。
まぁ・・本当はあのにゃんこ・・シャスティだっけ?その子の喋ってることが分かれば良かったんだけど、それはムリ・・俺人間だもん!
で、分かったことはあの子の名前はフリージア。
父親に名前すら与えられず、監禁され、産まれて数ヶ月経つか否かと言う頃に夜泣きがうるさいというそれだけの理由で実の父親に喉を潰され、満足に食事を与えられることもなく、暴力のみが教われるという生活を産まれてから現在の5歳になるまでずっと続いていたのだとか。
普通なら衰弱死してるか、逆恨みして人殺しとかする気がするが、フリージア様は運が良いことにあのカルナとシャスティによって生きながらえ、一般常識を教わり、心が清らかなまま生きてきた。
そして、表ずらばかり良い父親の人物は領主だが、秘密裏に暗殺者に依頼を出していた。
結果として、町の住民からのちくりによって大失敗し、公式に裁かれることとなり、現在は奴隷生活を送っている。
そして、そのちくりを行なった青年の行いによってランダム転移によってこの大陸に飛ばされたらしい。
で、後は道中に魔物との戦いでピンチの時に偶然通りがかったCランク冒険者のパーティに救われ、あの町で養生していたらしい。
あの子がいつも持っている杖は見た目は噂に聞く賢者の杖だが、本物だという噂と見た目そっくりな妖精の杖だって言う声の2つがある。
そしてあの子が使う魔法は影を使った闇魔法の一種のようだ。
あの地獄の生活の影響か、無表情が通常で、どんな強者が殺気を至近距離から放とうとも何をしようともぴくとも反応しない肝の据わった幼女。
町に来た頃はまともに風呂すら入れない環境だった故に、服はぼろぼろ髪はばさばさととにかくすごかったらしいが、道中助けた冒険者の女性2人によってとことん洗われ、髪を整えた結果、超絶なる美幼女に激変した。
それによって、町では無表情でもあらゆる人物があまりのかわいさに膝から崩れ落ちるという光景が繰り広げられているが本人は分かっていない。
・・ホイホイ系の称号をとっている可能性あり
彼女の獣魔の活躍によってカタクリの町はスタンピートから救われ、教会の神父様には気に入られ、教会に属する者たちからは神の愛し子とか呼ばれている。
多くの人に愛されていることも理由の一つだが、毎日教会でお祈りをしているのに加え、祈っている間、なぜか本人は光ってると言う不思議。
相当神様に愛されているので、それに該当する称号を持っている可能性もある。
結果として、最高ランクの教会の腕輪を神父様は授けることになったらしい。
理由としては、あれほど神様に、多くの人物に愛されている故に、よからぬことに巻き込まれることを想定し、ギルドではそういうのは贔屓になると確信し、授けることにしたらしい。
俺も神父様と同じ結論を出すと思う。
むしろ大賛成だし、あの方もその報告を聞いてよくやったとか叫んでたし。
・・にしてもすごいなぁ。
俺、かなりの人たちに影薄くて存在感薄いとか言われて隣にいて手を握って歩いてるのに存在をすっぽり忘れられたことなんてしょっちゅうだったんだぜ?
おまけに隠密関係の技をホイホイとっていく内に称号に”存在なき者”っていう文字通り存在感がなさ過ぎて生きてる?存在してる?とか言われるのを持ってるんだぜ?
それに加えて、すっごい遠くから見守ってるのにバレかけるとか・・マジすげぇ。
で、俺があの子を見守る本当の理由
それは、フリージア様が今回俺に依頼してきたあの方の娘なんじゃないかって話が出てきたんでそれを調べているんだ。
そうなったきっかけは、あの子が名乗っているファミリーネームだ。
エトワール
それはかつて、あの方が唯一愛した人物と同じファミリーネームであり、その方以外とは一度も体を重ねていないほどだ。
あの方の身分的には色々言われるんだけど、他の兄妹がいるからそっちに任せたとか普通に言ってるんだもんなぁ・・あの方の方が優先順位的には上なのに。
でも、偶然同じファミリーネームの可能性もあるから調べてるんだけどさ・・・あの方に聞いたその女性の特徴・・・性格は全然似てないけど、見た目とかはすっごい似てるんだよなぁ。
年から考えるとちょうど娘さんって考えてもおかしくないし、あの方がその女性との間に子供をこしらえたタイミング的にもぴったりなんだよなぁ。
え?
あの子の父親は今奴隷になってるクズなんじゃないかって?
実はさ、あまりにも裏でやってることがひどかったろ?
で、俺の知り合いの部隊がそいつから吐かせるだけ情報を吐かせた結果、あいつは一度もあの女性と夜を共にしたことはなかったらしい。
むしろ、仲が良かったのは最初辺りでだんだんそいつの性格を知ったらしいその女性は毛嫌いして完全放置してたらしい。
おまけに部屋には鍵をかけて、無理矢理扉を開かないようにトラップを部屋の中で仕掛けるほど。
で、その結果そいつは父親じゃないってはっきりしたんだ。
・・本当は、あの方の側近のあの人の【血族検査】っていう特別な魔法で調べれば一発なんだけどさ。
・・・間違いないんだろうけど・・それと、どっかでフリージア様と仲良しになってあの方のいる国に案内しないといけないけどどのタイミングにしようかなぁ。
あの子すっごい楽しそうなんだもん。
邪魔したら駄目だって分かるぜ?
だって、確かに無表情だけどすごく見とれていたのは分かるくらい色んな自然の神秘にぽんぽん遭遇して見てたんだもん。
俺もついでに見ることが出来てすっげぇラッキー
いやぁ、アレは誰が見ても見惚れるよ。
それに、アレを見たら確かに生きたいとかもっと世界の色んなところを見て回りたいとか思うようになるよ。
あの鳥・・カルナはすごい賢いな。
教育もすっげぇからあの年でもう文字をほとんど読めてるし。
どうしよっかなぁ・・どのタイミングでお話しして接近しようかなぁ・・・
多分間違いなく、あの子は俺の主の唯一愛した女性、ペチュニア様の娘で間違いないと思うんだけどなぁ。
さすがに聞き回ることなんて出来ないからすっげぇ大変。
あ、そろそろ主様に報告の時間だ。