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神獣を救え!-その2-

--アルナ--

団員さんたちやギリさんたちが周囲の小拠点の殲滅戦を行ない、残りのリア様率いるメンバーで本拠地を潰しに流星の里を出発してその目的地である洞窟にたどり着きました。



で、シャスティさんは巨大化し、ハディさん、ラウさん、グリムさん、ゼルさん、リリさんと共に前方に立ち、リア様を私が抱っこした状態で皆さんの中央に、そしてとなりにセイちゃん、その両隣にリカルさんとイリスさん、やや後ろ側でカルナさんが飛びながらやや上から周囲を見渡し、ユウ君が私たちとシャスティさんたちの間くらいにいる。

そして、どうして私がリア様を抱っこしているかというと、リア様は今回は戦いはお休みで、動き回らないようにと言うのと、私が不意打ちを含んだ防御面でかなり優秀だとイリスさんに褒めてもらったこともあり、抱っこしているんです。

その方が私を狙ってもリア様を狙ってもどちらでも私の不意打ち無効化コンボが発動するからです。

まぁ、本音を言えばかわいいかわいい超かわいいリア様が頑張りすぎてしまったから心配して抱っこしてるんですけど。

だって、あのリア様がふらついたんですよ!?

ものすごい数だったし、アレを全て個別に操作していたのに加えて、かなり長い間対応していたからそうなるのも当たり前だったから。

それでも、表情はぴくりとも変化がなかったからさすがリア様って思っちゃったけど。


それにしても、アレだけ普段いっぱい食べてるのにリア様はどうしてこうもスタイルが良くて軽いんだろう?

何気におっぱいも順調におっきくなり出してるし・・まぁ、時々セイちゃんも抱き締めるんだけど、その子の方が更に発育が良いようでリア様よりもおっぱいはやや大きい。

とはいえ、どちらも世間的に同年代の子たちと比べると発育は凄く良い。

それを考えると、身長の方はセイちゃんは順調だけど、リア様は伸びが他の子たちと比べても凄く今一で、そんなに伸びていないような気がする。

まぁ・・・大きさなんて関係なく超絶美少女のおっぱいは色んな意味で神々しいですけどね!

リア様本人からするとその辺りはよく分かってないみたいで、自分自身のことは完全放置で私のおっぱいに夢中。

二人っきりになる(獣魔たちは除く)とず~っと私のおっぱいを舐めて吸ってと繰り返してる。

まぁ、団員たち含む家族だけだとずっと揉んだり顔を埋めたりしてるけど。

ま、まぁ・・リア様何気に上手で気持ち良くてぱ、パンツを履き替えないといけなかったりするけど//

それに、母乳がなぜか出る体質になっちゃったし、それを吸い出さないと体調不良になっちゃうんだよね・・あはは。



コホン。

それはさておき、前方を対応しているメンバーが率先して1つの分かれ道も逃すことなく片っ端から1人残らず潰しています。

あまりにも皆さん優秀で私やリカルさん、イリスさんが対応することがないです。

で、リア様の体質である悪心撃滅が反応して対処しようとするので抱き締めて私のおっぱいに埋めて止める。

リア様が抵抗しようと私のおっぱいを押し避けようとするけどおっぱいはご存じの通り柔らかいから形を変えるだけでリア様の拘束をゆるめない。

おまけにリア様って純粋な身体能力は弱いから私の力でも十分抑えられちゃうんですよね。

ついでに言うと、自分で言うのもアレですけど私のおっぱいって大きいからリア様の頭くらいは軽く挟んじゃうんですよね。

で、どことなくむぅっとしているリア様がそれがまたかわいいんですよね!

じたばたしてるリア様も超絶かわいいですけど!

まぁ、私のおっぱいで主にリア様を拘束してるのでかわいさ倍増してるだけですけど。

かわいすぎてほおずりしちゃいます。


リア様カワイイ最高!

キャ~♪


・・落ち着こう・・うん。

リア様がかわいいのがいけない・・じゃなくて、接近戦対応のメンバーが優秀すぎるのがいけないんです。

だって、相手が悲鳴を上げる前にとどめを刺しての繰り返しなんだもの。

相手が1人気づいたら既にやられていて、他の敵がそれを見かけたときには他のメンバーがとどめを刺しての繰り返しだし。

おまけに素速いメンバーが多いので余計に。

シャスティさんとかラウさんとか。

この2人速い・・速すぎる。

特にラウさん。

まるで暗殺者と言いたくなるくらい気づけば相手の死角に回り込んでいて急所を貫いてるし、そしてふと気づくとまた違う相手の死角にいるし。

イリスさんの懐刀と呼ばれるだけは確かにある。

確かに強い。

リア様を1人で護衛出来るとイリスさんが太鼓判を押すだけはある。


それと、イリスさん・・・ホントに強い。

強いというより凄い。

リア様のお父上だと実感させられる。

だって、イリスさんの主武器である弓矢・・・いつ構えた?と言いたくなるくらい狙いを定めて撃つまでが速すぎて分からないんだもの。

おまけに狙ったところにピンポイントに寸分の狂いもなく当てちゃうし。

人と人の隙間を縫って脳天のど真ん中を射貫いてるんだよ?

それを4本同時撃ちで全部。

何度もだよ?


凄すぎるって言葉で収まらないよね?

と言うよりも人と人の隙間を抜けて撃つが1回ならまだ分かりますよ?

けど、ターゲットを狙い撃つ間に障害物が大量にあるのに加えて、人と人の間を5回6回とくぐり抜けてるんだよ!?

おまけに全部その人たち動き回ってるんだよ!?

異世界人が言うところの針の穴を数メートル先からくぐらせようとするレベルでむちゃくちゃだよ!



「相変わらずイリス様の弓術は神業ですね。」

あははと笑いながらそういうのはラウさん。

軽~く言ってるけど、この人も規格外。

この人が気配を消すと目の前に堂々といても気づかないんだもの。

おまけに素速いし音ないし動きに無駄がないし。



あ、そういえば。

「ラウさん・・今更なんですけど、私の後見人・・・と言いますか養子として受け入れて下さってありがとうございました。」

「あぁ、気にしないで下さい。俺もアリスも好きでやってるだけですから。それに、職業柄色々と暇なようで1分1秒と油断出来ないので、こちら側の都合もあるんです。」

職業柄・・あぁ。

ラウさんは騎士さんだからいざって時にすぐに動けるようにしとかないといけないし、アリスさんは将来的にはギルドマスターになるらしいし、そうなるといつ緊急事態になるかわからない。

2人とも一緒にいることは出来てもいつどんな状況になるか分からないから常に構えておかないといけない。

けど・・

「それと私の何の関係が?」

そう首をかしげながら告げるとなぜか顔を赤くしながら答えてくれた。

「あ、あぁ・・・その、近い将来アリスと・・その・・こ、子供が出来たときに姉として傍に居て欲しいんです。俺たちも家族を第一にするつもりですが、常に傍にいてあげられるわけじゃない。そんなときに守ってくれる存在が必要なんです。」

あぁ・・なるほど。

顔が赤くなったのは子作りの方面ですね?

2人は仲良しですしバカップルですからね。

リア様が面白いと言ってましたよ?

で、ラウさんは更に言葉を重ねる。

「それに、あなたの過去がリア様に少し似ていたから放っておけなかったと言うのもあります。」

リア様の過去・・。


リア様の専属メイドとして改めて傍にいることが出来た数日ほど経った後、私はリア様の過去について教えてもらっている。

私のことを考えて言葉を濁してくれてはいたんだけど、それでもかなりひどかった。

私もさんざんな過去を持ってると我ながら思ってるけど、リア様はそれを軽く上回っていた。


色々と納得してしまった。

私は涙を抑えることが出来なかった。

リア様の無口無表情も無関心さも私を救ってくれたことも全部、自分自身が過去にされたことの影響一つだったから。

リア様は自分自身のような悲惨な運命を辿らせないように私を救ってくれた。


イリスさんやカルナさんたちがリア様に過保護な理由もシャスティさんがリア様に甘えまくっているのも周囲が異常なほどにテンションを上げて楽しい雰囲気にすることも、必要以上にリア様を構いまくっていたのも。


全部

全部リア様が持って生まれるべきものをその5年の間で全てなくしてしまったから。

わがままであることどころか自身の思いを表に出すことすら出来なかったから。

そのなくしたものを再びリア様の中にあるようにしているんですね。



リア様の心の強さは才能なんかじゃなかった。

強くなければ存在することが出来なかったんだ。



今私の腕の中でされるがままになっている愛しき主様は私が絶対に守らないといけない。

救ってくれた恩もあるけれど、リア様は絶対に幸せにならないといけないんだ。

与えられるべき幸福を与えてもらえなかったから可哀相なんかじゃない。

リア様にとっては、いつ死んでも構わないと思っているし、死こそが最も幸福なことだとその5年間のせいで思ってしまっている。

みんなはリア様のその考えをただすために。

リア様が子供らしくわがままになって欲しいから。





と、そんなことを振り返りつつも周囲を見ていると冗談抜きでやることがない。

やるとすれば戦いに参加しようとするリア様を私のおっぱいで埋めて参加させないようにすることと愛でること。




「皆さん本当に優秀ですね。やることがないですね。」

リカルさんがのほほんとほほえんでそうつぶやいている。

うん・・そう言ってるけどリカルさん・・自然な動きで死角から襲い掛かってくる人の脳天を小指サイズの小さな塊を飛ばして貫いてますよね?

と告げると

「そう言うアルナさんも気配を消して襲い掛かろうとする人を悉く薙ぎ払ってますよね?」

リカルさんからふいっと視線を逸らしてリア様を愛でる。


だって、私の不意打ち無効化コンボが勝手に発動するんだもの。

相手が透明になっていようが気配を消そうが素速かろうが関係なく全て動きを止めて思いっきり壁や天井にたたきつけられるんだもの。

気づいたらそれをした後だったんだもの。

で、それをリカルさんがさっさととどめを刺してるだけですもの。


あぁ・・リア様そのかわいさで私を癒して下さい。

なので、癒してくれるだけで十分なので私のおっぱいをそんなに揉まないで下さい。

お家に帰ったら好きなだけ揉んで良いですし吸って良いですから。

まぁ、リア様は揉んでるんじゃなくておっぱいと腕で拘束されてるからそこから脱出しようとしてるだけなんですけど。

でも、力が弱いから軽くじたばたされるだけで全く苦労しない。

そんなところもかわいいんですけどね!

かわいすぎてほおずりしちゃうので余計にリア様は抜け出せない。

なのでリア様、抵抗するためにじたばたされると余計に母性をくすぐられるだけなので無駄です。

無駄と言うよりご褒美です。





で、ここものすごーく広くて深い洞窟なんですけど、入って2~3時間ほど現在経過したところですが、ものすごい速度で嬉々として特攻しに向かった人たちによって既に残りの未攻略の場所は3箇所となっていた。

何でそこまで分かるかというと、リア様がしれっと超小型の影さんを作り出して分かれ道が出来るとその数だけ分裂して進むを繰り返していたので隅から隅まで調査していた結果、すっごい精密な地図が出来上がったんです。

当然ムリしたら駄目でしょとか色々言われてはいたんだけど、リア様はず~っとパン(細いけどものすごく長い)をもぐもぐしながらの対処だったので一応軽く注意だけで終わった。

リア様は消費した分は食べて回復がメインでサブがお昼寝って感じみたいだからのようです。


で、相手に余計なことをされないように隠し財産ぽいモノや魔道具に武具などは1つ残さず翠さんが回収していました。

それに翠さんはどんなに巧妙に隠してあっても所謂隠し扉や隠し部屋を1つ残さず見つけているので文字通り1つ残さず回収していました。

ついでとばかりに潰した相手の装備品も回収して死体も【溶解】しているみたいなのでお片付けは楽々?



残りの未攻略の場所は1つはあの神獣様がいるところで、1つがボスである元貴族の屑がいるところ、最後に神獣様の魔力で作り出している魔道具を作り出し、保管している箇所だ。

それと、被害者たちはやはりここにも凄い数の人たちがいました。

彼らに関しては、セイちゃんが護衛役としてユウ君と共に順番に癒し、シャスティさんお手製のお団子(栄養剤)を食べさせて休ませています。

で、彼らには全員奴隷の首輪と呼ばれるモノがつけられていました。

奴隷の首輪は、装着した人の魔力を奪い、その魔力でその人の全てのステータスを強制的に下げて、主として登録した相手に絶対抵抗出来ず言いなりにしてしまうとても恐ろしいモノです。

しかも、無理矢理外そうとすると首を絞めてそのまま殺してしまうのです。


奴隷は、存在します。

ただ、基本的に犯罪奴隷という犯罪を犯した人への罰として人以下の存在とする処置です。

それ以外には存在しません。

遙か昔には、借金奴隷というお金が払えないので身を売ってお金を稼ぎ、借金を完済して初めて奴隷として解放される日とたちもいたそうですが、現在は存在しませんし、いてはならないと世界中で決められています。

ちなみに犯罪奴隷は解放されることはありません。

一生奴隷です。

せいぜい、鉱山で一生働くか、誰かに買われてその人の扱い次第で人生がどうなるか異なる程度です。


ただし、違法的に無理矢理捕まえてお金を稼ぐひどい人たちもいます。

とても厳しく規制されてますし、奴隷の扱いでは1人1人しっかりと裏を確認して本当に奴隷か確認されるのが普通ですが、所謂裏の世界でやりとりされ、そう言う規制を違法的にやり過ごして売買されているのも現状。

そういうのをしているのが所謂裏世界なんです。

裏世界の完全撤廃に関しての対処で最も有名なのはペチュニア様で、大陸全土での大騒動になった奴隷大解放事件です。

そして、クラリティ王国です。

他の国も頑張ってはいてもそのやる気と撤廃する頻度のすさまじさではクラリティ王国が圧倒的。

さすが正義に染まる国と呼ばれるだけはあります。

それと、この国は身分が上になるとなるほど強い人や頭が良い人が増えるという世間的には非常に不思議な国なのです。

なので、そう言う人たちは普通にお仕事をしているのにちょっとしたことをきっかけに悪い人を捕まえて処罰を受けさせています。

他の国では実力や対処する人たちを考えると真逆なのでこの国で守る側の人たちは別の意味で必死です。

主に守るべき人に守られるということがないようにするために!

・・私もその一人ですし・・あはは。


けれど、それでもこの国は私のようなメイドやラウさんのような騎士さんを目指す人からすれば憧れの国で、最も勤めたい国。

身分による差別も種族による差別も全くなく、純粋な実力主義なので正しく評価されるからです。


で、話しを戻しますね。

そしてそんな凄く危険な奴隷の首輪は、普通であれば奴隷を扱う奴隷商という専門職の人が解除して外すか、呪いの解呪に精通している人であれば外すことが出来ます。

どうやら、奴隷の首輪のその先ほど説明した能力は呪いの種類に当たるからのようです。

とはいえ、ちょっとやそっとの解呪では決して外せないので基本的に奴隷商に頼むしかない。


けれど、その中にも例外はある。

例えば、リア様のように魔力を目視出来る人や、どんな状態異常も対処出来るようなラナちゃんのような存在や、どんな魔力でも食べてしまうような翠さんみたいな存在。

リア様だと魔力を目視して、その呪いの核の部分を潰してサクッと首輪を外してますし

ラナちゃんがくっついてその呪いを吸収して食べてしまい、ただの首輪にしてしまったり

翠さんのように呪いの魔法も首輪もまるごと【溶解】してしまう。


この人たちは例外中の例外です。

ま、まぁ・・・セイちゃんも解呪の実力も桁外れらしくサクッと解呪して外してたけど。


「人ごとのように言ってるけど、アルナ、お前も規格外だから。」

ジト目でカルナさんに私はツッコミを食らいました。


・・だって、出来ちゃったんですもの。

念動の力で首輪に宿る呪いの魔力を固定して動けなくしてそのまま魔力を動かして隙間をつくって、その隙間にそって首輪を切断してみたらサクッと外せたんです。

念動のすさまじさを改めて実感しました。


実はこれ、いざって時のためにってイリスさんを筆頭に教えてもらったことなんです。

練習としてただの魔力の宿ったわっかを木の枝に取り付けて、それを外す練習です。

失敗すればわっかの効力で木の枝が折れちゃいます。

とはいえ、誤って人の腕などにつけてもぎゅっと握られる程度なので、木の枝でも軽くへこむ程度なのでつけられても無理矢理引きちぎることも出来るので安全です。

まぁ、厳重管理されてる魔道具の一つですけどね。

で、それの対処と私の魔法は凄く相性が良かったので実戦してみたらホントに簡単でした。

私の力である念動はただ動かすだけで、呪いが発動するキーは対象外らしいので、例外中の例外なんだとか。


改めて私ほどリア様の護衛としてふさわしい存在はいないとイリスさんに褒めてもらいました、えへん!



まーそのせいでリア様を含めてその人たちに神聖視されてますけど、リア様を習って気づかないふりをします。



「3箇所の内、まずはどちらからしましょうか。」

ラウさんが周囲を警戒しつつイリスさんに声をかける。

「まずは魔道具の・・そうだね仮に研究所と名付けようか。その研究所から対処しよう。普通ならボスを倒してからなんだけど、リアちゃんと翠がいるからね。下手に神獣様から対処して研究所の方に何かしかけられていたら対応出来ないからね。」

「そうですね。」

イリスさんの言う通り、今のメンバーを考えたら研究所から対処した方が一番安全で確実である。

もし神獣様がいる場所から対処したとして、このメンバーなら大丈夫だろうけど、いくつか問題がある。

まず、あの部屋自体に何か仕掛けがあった場合

次に、神獣様が騒いで相手に気づかれた場合

次に、次に下手に神獣様に施されている装置を解除しようとして誤作動を起こしてしまう場合

など、リスクが多い。


で、ボスを先に対処しても良いんだけど、この場合相手が神獣様を盾にしたり魔道具を利用して何かやらかす可能性などが考えられる。

だから、研究所を先に対処すべきなんだそうです。

主に、保管されている魔道具全ての没収(翠ちゃんの食料♪)と、神獣様の安全確保。

後は、敵ボスの奥の手?があると仮定してそれを根元から潰しておくということです。




そして、研究所に侵入

そこには厳重に鍵やトラップがしかけられていましたが、翠さんがトラップを全て【溶解】し、鍵も自身を鍵穴に滑り込ませてピッキングした後にその鍵穴から扉全てを【溶解】する。

鍵を開けてからじゃないとトラップが作動するようになっていたらしい。


・・うん、さすが翠さんとしか言い様がないです。



中には、人1人が軽く収まりそうなほどの大きさの筒状の何かが並び、地面から天井までびっちりと設置されている棚には例の魔道具が並べられている。

おまけにその筒状の何かに取り付けられた管のようなモノが大量に伸び、天井を通じて地面へ潜っている。


「おそらくこの筒状のが神獣様の魔力を奪って魔道具にため込み、魔物寄せの道具として変換させているんだろうね。」

(コクリ)

リア様もイリスさんの台詞に頷く。

-そして、アレが神獣さんの魔力を奪ってため込むこの装置の核みたいですね。-

リア様が筆談で語る。

その視線の先を見ると、幅だけでも5メートルはありそうなほどの巨大な筒状のモノがあった。

それは、天井いっぱいいっぱいまで伸びていてとても巨大だ。

その根元にはボタンらしきモノが並んでいる板状のモノがある。

おそらくアレがアレを動かす部分なのだろう。


それをリア様が目の魔力を集中させてにらめっこ。


「リアちゃんどう?」

-止めるには特定の魔力が必要なようです。その魔力の登録は既にされているようです。-

「ほぼ確実にボスの魔力だろうね。」

「じゃあ、それ以外ではどう?」

-それ以外で下手なことをするとため込んだ魔力を全て爆発させるみたいです。-

「ちっ、なんて面倒なモノを。」

威力はここら一帯であるこの洞窟のある付近をもろとも消し飛ばすほどだとか。

-とはいえ、私たちには関係のない仕掛けですが。-

とリア様の続く台詞に全員が首をかしげる。

「リアちゃんどういうこと?」

-みてて下さい。安全につぶせますから。-

「うん、信じるよ。」

とイリスさんとリア様が話した後、

-アルちゃん。この装置の中だけで構わないので全ての魔力を止めて下さい。-

あぁ、なるほど。

奴隷の首輪の時と似たような感じですね。

「分かりました。・・っ!これでどうですか?」

範囲が広くて魔力も濃いからちょっと大変だけど、どうにかなるね。

-それで大丈夫です。そのままこことこことここの範囲だけ魔力をなくして下さい。-

指を指してクルリと輪を描いた範囲内にある魔力を動かしてそこだけ言われた通り魔力をなくす。

すると、リア様は蛇腹剣をその魔力をなくした範囲の中央にぷすりぷすりと数回ずつ突き刺す。

その後、他にも数カ所ほど同じように魔力をなくすように言われて、そこを再度ぷすりぷすりと突き刺すと言うのを繰り返した後、

-翠ちゃん。-

「オッケー」

翠さんがその突き刺した複数箇所の内、ど真ん中に一箇所だけ深く突き刺した箇所にゲルを滑り込ませていく。

-リムさん、そこの管を切り落として下さい。-

「わかった。」

グリムさんがこの研究所の入口付近に伸びている一際太い管をきれいに一刀両断する。

-アルちゃん。翠ちゃんのゲルにその中にある魔力を全て流し込んで下さい。管を通じている部分全てです。-

「はい。」

言われた通り、管を通じて全ての魔力を翠さんのゲルに流し込む。


「・・・・うん、全部吸収したよ。」

-アルちゃんありがとうございます。後は大丈夫です。-

「はい。」

-翠ちゃん、全部お願いします。-

「あいよ~」

と空っぽになった筒状のモノと管は1かけらも残さずに翠さんに【溶解】され、棚も棚に並べてある魔道具も全て翠さんのご飯になりました。


そしてここは文字通りスッカラカン。

「うん、次に神獣様のところにしかけられているのを潰しに行こうか。」


そして、私たちは神獣様の元へ向かいます。



・・・って

「その、その前にリア様?」

(?)

あの・・さっきまでのやりとりがどういうことなのか説明して欲しいんですが・・かわいく首をかしげられてもこっちが困ります。

主にかわいすぎて!

・・じゃなくて。

「先ほどまでのやりとりがどう言うことなのか教えてもらえませんか?」

-私が蛇腹剣で突き刺していた箇所はあの魔道具の要となる部分です。-

「つまりは、あの装置の最も大事な部分をピンポイントに潰し、最後に内部にたまっていた魔力も根こそぎ翠さんに食べさせることで消滅させたということですが。」

(コクリ)

ただ魔力を吸い取るだけでは再び吸い取っていくだけだ。

リア様はそうならないように吸い取れないようにあの装置を(神獣様がわからすると)比較的安全に認証用の魔力なしで止める(と言うより壊す)為に奴隷の首輪の時と同じように核となる部分を壊した。

そして、修理して再び使うと言った今後のことをふまえて根こそぎ跡形もなく翠さんに食べさせたと。

おまけに魔力を吸い取ってから装置を食べさせていたのも、誤作動を起こさないようにするため。


確実なやり方でさすがリア様。


ずっと放置されているけどボス部屋は周囲にしかけられているトラップ類を全て破壊したついでに音消しの魔道具をこれでもかと仕掛けているので私たちの行動はバレていない。

ついでに言うと、その部屋の中から外に出てくることはないらしいのに加え、その部屋にはボス以外誰もいない。

更に言うと、ボス以外の人間は全て処分済み。

魔道具のある部屋と神獣様のいる部屋に誰もいないのはボスが道具を大事にしているため、余計なことをされないようにすることが原因らしく、それが私たちにとっても都合が良かった。



だとしても、部屋から誰1人として出てこないのも変だなぁと思う。

とか考えていると

「あぁ、音消しの魔道具とかトラップとか仕掛けるついでに扉はしっかりと溶接しといたぜ。」

「グリムに便乗して扉周辺の壁や地面は僕の結晶で固めておいたよ。サービスで普段より分厚くしておいたからね。」

グリムさんが満面の笑みでサムズアップと共にそう告げ、それに便乗するようにそれはそれは美しい笑みを浮かべるイリスさんが続いた。



「そ、そうですか。」

リア様も徹底的だと思ったけど、やっぱりイリスさんは立派なリア様の親です。

血のつながりを感じます。

「あはは。最後にそこに押し込むときが大変そうですね。」

引きつった表情に私がなっているとラウさんが楽しそうに笑ってる。

・・笑い事じゃない気がするんですけど。

後、そのまま放置したらそれだけで食べ物なくて外に出られずにそのまま退治出来ちゃいそうな気がするけど、私たちの手で対処しないと確実性がないからその考えはスルーします。


それと、楽しそうに翠さんが類は友を呼ぶとつぶやいている




・・・・・すっごい否定しづらい台詞です。


その2人以外も大体似たようなメンバーが揃ってるしとは、決して口に出来ないですね・・うん。

と、とりあえず神獣様のいる部屋に向かいましょう。

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