流星・・いや、メルヘンの里?
夏休み!
ということで、パパたちと流星の里にたどり着きました。
ちなみに、キラッキラの、馬車はパパが指ぱっちんしてあっという間に霧散させました。
場所を取らないので、便利ですね。
私も今度試してみようかな?
馬車の仕組みとかの勉強もですが・・・指ぱっちんが出来ないのでそれのやり方からですね。
で、たどり着いた翌日に朝食を済ませたところで改めて質問。
{それで、チラッと見たのですがお庭といいますか、敷地内に動物さんたちがやけに増えていませんでしたか?}
「ん?あぁ、ちょっと前っていうか、あの大戦争もどきが起こる前にふらっと集まってきたんだ。」
敷地内には、ご存じの通りおっきな精霊樹が1本あり、その他は薬草とお花が咲き誇っています。
で、その中でウサギさんがたくさんいました。
雨を降らしているウサギさんだったり、熱心にガーデニングらしきことをしていたりと様々です。
色も・・4色ほど?
ガーデニングラビット
白にやや黄緑がかった毛色に濃い緑の瞳をしたウサギ
その名の通りガーデニングが趣味で、豊かで穏やかな土地にしか留まらず、善人の元にしか居座らない。
クラウドラビット
白にやや水色がかった毛色に紺色の瞳をしたウサギ
雨雲を自身の半径1メートル圏内限定で呼び出すことが出来、豊かで穏やかな土地にしか留まらず、善人の元にしか居座らない。
アースラビット
白にやや茶色がかった毛色にこげ茶色の瞳をしたウサギ
土を豊かにすることが可能であり、水はけ具合の調整などそれぞれの植物に最も最適な具合にすることが出来、豊かで穏やかな土地にしか留まらず、善人の元にしか居座らない。
サンライトラビット
真っ白な毛色に赤い瞳をしたウサギ
半径1メートル範囲内の植物の光合成による養分を蓄える力を高めることが出来、豊かで穏やかな土地にしか留まらず、善人の元にしか居座らない。
大きさとしては、パパの両手にぎりぎり収まるかどうかというくらいです。
「なんか、ここを気に入ったらしくてこの土地の植物とか精霊樹とか全部面倒を見てくれる代わりにここに住みたいってことでな。」
「なるほどね。」
「半分は妖精族だったりするのだが、判定としては動物になるらしい。」
「そうなんですか。」
「雑草は自ら食べ、それぞれの力で育ててくれる。とても優秀じゃぞ?」
「それに、彼らはとても強いんだよ。」
{そうなのですか?}
「あぁ。実は、俺たちがあほどもを殲滅しているときに偶然入り口付近に何羽かいたんだけど、気に食わなかったらしくてねものすごい良い蹴りをしていたよ。大の大人が軽く数メートルぶっ飛んだからね。」
「強っ!?」
「ち、ちなみにリードさんたちは大丈夫だったんですか?」
「俺たちは一度も蹴られたどころか警戒されたことないね。まぁ、自分から近づいてくることは滅多にないけど・・・。」
お父様が微妙に複雑そうな表情になっている理由は、今私、ウサギさんに埋もれてるからです。
お膝の上もその周りもウサギさんだらけです。
おかげでもっふもふです。
どうしてそんなことになってるかと言われると、みんな流星の里のお花畑とかを見たいけどお話をする必要あるし・・ってことで、お外でお話してるからです。
で、ふと気づくと周囲はウサギさんだらけでした。
ついでに言うと、他にも小っちゃくてモフモフな動物はいます。
ですが、お父様たちだと、近づいても逃げられることもないそうです。
どうやら、私と同じで善悪を判断して悪い人なら蹴り飛ばすという感じのようですね。
「かなり数がいたみたいだけどどれほどいるか数えたかい?」
「それぞれ1種類ごとに30羽はいましたわ。」
「結構いるね。」
「そうなると雑草とかだけで餌が足りないんじゃ・・」
「それが、周囲の魔力を吸収することでも食欲は満たせるらしくてね、無理して食べなくても良いみたいなんだ。」
「何という低燃費ウサギ」
「それと、空に同じ種類の鳥がいるみたいだけど?」
「セキュリティバードっていう危険を知らせてくれる鳥なんだ。」
セキュリティバード
善人のみが集う土地にしかとどまらない非常に義理堅い性格をした手のひらサイズの白い鳥
周囲の状況に合わせて全身の色を変えることが可能であり、敵に関しては鼓膜が破れる威力を誇る鳴き声を意識を奪うまで発する。
安全:白
警戒:黄
危険:赤
天候による警戒:緑
天候による危険:紫
「全部で50羽いるんだ。」
「どうしたんだい?ウサギみたいにふらっと?」
「これに関しては、あほどもが何か企んでるのを偶然気づいてそれをひとかけらも残さずに殲滅したら、こいつらを偶然助けてたらしくてな。で、その恩返しというのと、棲み処をここにする代わりにあぁして周囲を警戒してくれるんだ。おまけに、害虫とかいたら餌として食ってくれるからかなり楽させてもらってるよ。」
シマエナガという鳥さんに似てるらしいですが、翠ちゃん・・それどこ情報ですか?
義理堅い性格をしてると翠ちゃんから聞いてますが、その名の通り助けてもらったお礼を兼ねてこの土地を守ってくれているんですね。
で、いわゆる住み込みでの働き何ですね。
{それと、他にもいろいろいるみたいですね。}
で、教えてもらいました。
ラパンスーリ
濃い緑色をしたチンチラで、落とし穴を作るのが趣味
そして、隙を見て敵認定した相手の装備品を故意に穴だらけにする
敵認定された相手が触れると全身がしびれて動けなくなってしまうが、毒ではなく相手の魔力の動きを固めてしまうことによる拘束のため、呪いに近い。(タイプ:時間制限)
警戒心は非常に強く、善人にしか懐かない。
アサルトヘッジホッグ
真っ黒なハリネズミで、非常に警戒心が強く敵認定されると自身の針を伸ばし、硬化して貫く。
速度は、異世界人が言うところの競輪選手の平均速度ほど。
穏やかな土地を好む。
で、チンチラさんたちは、全部で70、ハリネズミさんたちは100はいるそうです。
とりあえず一言言えるのは。
ちょっと見ない間にずいぶんとメルヘンなことになってますね。
おじい様たちにそういうとなぜか目を背けられました。
なぜに?
それと、どうしてブツブツと偶然だとか癒しが必要だったんだとか言ってるんです?
ちなみに、皆さんのご飯はどうやら自分たちで調達しているようです。
当然、流星の里のお花などを食べたりといったことはないそうです。
後、敵の撃退も率先して行っていたり
ものすごく大きくて深い落とし穴があちこちに仕掛けられていたり
落っこちたまま這い上がろうとしてもウサギさんたちが落とし穴の中の壁際をヌルヌルにさせる何かを塗ってたりして登れないようにしてたりといろんなことをしているようです。
で、倒した後の戦利品はきちんと持って帰ってくるそうです。
・・器用ですよね。
それで、よく私たちはその落とし穴に落ちなかったなぁと思っていたら、その道筋だけはそうならないようにしていたらしい。
後、さりげなく誘導して落とし穴の方にいかないようにしていたんだとか。
すごく頭が良いですね。
で、同じようにして敵認定されると逆に落とし穴の方へ誘導されるんだそうです。
障害物があってそれを避けるように動いたらそこに落とし穴が!
っていう感じらしいですよ?
それと、セイちゃんたちがつぶやいてたのは、見た目が小っちゃくてかわいいのにえぐいとのこと。
否定はしませんよ?
みんな平均して両手サイズから片手サイズですけど
鼓膜破壊の鳥さん
大人を数メートル蹴り飛ばすウサギさん
ものすごく速いのに全身を穴だらけにするハリネズミさん
敵認定されると動けなくなったり落とし穴に落ちたり装備品が穴だらけになったりするチンチラさん
頼もしいですね。
で、一通り落ち着いたところでティアさんがガッチガチに緊張したままの状態だったので、おじいさまの元へ差し出しました。
「ティアさんとやら、そんなに緊張する必要はない。ワシらは所詮は戦闘マニアの魔法オタクの集まりなだけじゃ。」
「と!とんでもありません!お、お会いできて、こ、光栄でしゅ!」
かんだ
「・・・・」
「・・・・」
ティアさん顔を真っ赤にしてすっごい必死に視線をそらしてて、それを第三者として眺めてる他魔術師団の皆さんは子供の発表会を眺めているかのようなほっこりとした表情でティアさんを眺めてる。
「そのニュアンスじゃとワシのことを知っていたようじゃな?」
おじいさまはかんだ部分を聞かなかったことにしたようです。
「は、はい!ち、小さいころからの憧れだったんです!」
と頑張って想いを告げたティアさんでしたが、小さいことで
「やった!やっと言えた!キャー!憧れのバレク様が目の前に!握手もしてもらえた!こ、これはこの手は洗わないようにするべきじゃないかしら!キャー!」
すっごいはしゃいでる。
で、普段の凛々しい姿はどこ行ったと言いたくなるほどテンションが上がってるせいで、小声なのに周囲にはっきりと聞こえていた。
そして、そのせいで軽く幼児退行しているような状態。
気づかないのは本人ばかりで、しっかりと聞こえていた周囲のメンツはそれはそれはかわいい生き物を眺めるように眼福という表情になっている。
「うれしいのぉ。ワシなんかが憧れで恐れ多いわい。」
「そんなことありません!バレク様の鉄壁の防御に絶対に守るという強い意志にあこがれ、今魔術師団としてここにいるんです!」
「そうか。では、その期待にふさわしくあるためにより頑張らねばな。」
「はい!応援しています!で、ですが、ご無理はなさらずに・・。」
「まだまだ若い者には負けぬよ。じゃが、気遣いありがとうな。」
「はい!」
おじいさまから後に教わるのですが、おじいさまたちフォルシェンファミリーに憧れる人たちは少なからずいるらしく、稀にここに訪れてくることもあるんだそうです。
ですが、ティアさんほど熱烈なファンは初めてとのこと。
「ティアさんが普段以上にすっごいかわいいことになってるのはツッコミを入れない方が良いよね?」
「そうですわね。あぁして素直な気持ちを表に出す機会は彼女にとってもいい機会ですし、私たちは見て楽しむだけにしましょう。」
「そうだね。」
そして、今みんながすごく真剣な表情でお母さんのお墓の前でお参りしている。
みんなが何を言ったのかはあえて何も聞きません。
私もお祈りします。
お母さんお久しぶりです。
見てください。
パパに会うことが出来ました。
たくさんお友達ができたんですよ。
それに、すっごくおっきくて強い敵にも勝てるようになりました。
これからももっと頑張るので見守っていてください。
それからみんながお祈りを済ませたところでここに始めてくるメンツは全員おじい様たちに捕獲されました。
というのも、どういう魔法を扱うかをとことん調べるためです。
で、アルちゃんに関しては対人恐怖症だと告げてから生贄を差し出してみなかったことにしてウサギさんや鳥さんたちをモフりに行きました。
で、数時間後皆さんそれはそれはぐったりとしてたのでそれぞれの頭の上とお腹の上にウサギさんを乗っけておきました。
ウサギさんたちも動く気はないらしくされるがまま。
他にもいろんな子たちが自ら乗っかりに来てますが見ていて面白いので好きにさせる。
そして、おじい様たちはホクホクとしている。
「疲れました・・ご自身で魔法オタクの一族とおっしゃるだけありますね・・。」
疲弊したアルちゃんがそうつぶやくと全員(調べつくされた人たち)うなづいた。
「ですが、噂で聞いていた以上にきれいなところですね。」
「そうね。確かに見惚れるわね。」
「特にあのでっかい木だよな。」
「あの木・・ただの木ではなさそうなんだが・・・何なんだ?」
「アレは精霊樹ですよ。」
「リカルさんそれマジ!?」
「かなり珍しいんでしょ!?」
「えぇ。色々と縁があったそうですよ。」
「なるほど。」
みんなが見惚れている。
気持ちはわかりますよ。
どこか心の底でほっとしちゃうんですよね。
「だとしても、まさか念動を実際にお目にかかれるとは思わなかったね。」
「そうですわね。それに、他の技の組み合わせも凄く良い。アルナさん、リアちゃんのことをよろしくお願いしますね。皆さんも」
「お任せ下さい!クリアさん、リア様は私の愛する主様ですから!」
満面の笑みでほほえむアルちゃんに微笑ましそうに頷くお母様。
「それと、お主があの死神と呼ばれている者だとはのぉ。」
おじいさまがしげしげとリムさんを眺める。
ちなみに朝ご飯にリムさんが作ったパンを食べたのでとても好評でした。
「どうも・・。リa・・・フリージアさんと仲良くさせてもらってます。」
どこかリムさんはおっかなびっくりという感じになっている。
どうしてそうなっているのかは分かりませんがやけに私に気を使ってると言いますかチラチラと見つめてたり、わざわざ呼び名を改めてたりしてます。
そして、どうしてお父様たちは微妙に目が厳しめな感じになってるんです?
セイちゃんはやけに興奮した感じで目をキラキラさせてるし、ユウちゃんはリムさんに頑張れと言葉を発さずに応援してる。
パパは、やっぱりそうなるよねという感じになってる。
とりあえず気にしないことにしました。
で、一通り落ち着いたところでアルちゃんが私に声をかける。
「あの・・リア様。」
(?)
「リカルさんの様子が・・・その・・調子が悪いのではないのでしょうか・・。」
すっごい心配そうな表情でリカルさんを見つめる。
それに合わせて団員たちやパパ、ユウちゃんたちもリカルさんを見つめて心配そうな表情になる。
で、言われてリカルさんを見ると俯いてプルプルしていて息が荒くなっていた。
・・あぁ。
{放置していても大丈夫ですよ。}
「ですが・・」
「・・アレ?あまり効果ない」
セイちゃんがリカルさんに治療を施したようですが効果なし。
まぁ、当然ですよね。
で、私がそう考えたのをパパは気づいたらしく。
「リアちゃんは何か原因が分かるのかい?」
(コクリ)
「僕たちもリカルが心配だから対応をお願いしても良いかな?」
(コクリ)
対応と言っても・・
{リカルさん、我慢しなくても良いですよ。}
と言うだけなんですけど。
すると全員が我慢?と首をかしげると。
「お嬢様・・ありがとうございます。」
ぽつりとリカルさんはそうつぶやくとふらりと立ち上がり、数歩ほど私たちから距離を開ける。
そして、それまでずっと俯いていたリカルさんですがそこで突然私に視線を向ける。
その視線はそれはそれは活き活きとした目になっていた。
あぁ、やっぱりですか。
「くはは・・くはは・・・ふはははははは!!」
突然声高らかに笑い出した(翠ちゃん曰く王様っぽい笑い方)リカルさんを見て全員がギョッとした表情になる。
ただし、私、獣魔メンバ-、おじいさまたち、ラウ兄さんだけはそれを知っているので驚かない。
「リアちゃん!リカルさんがいきなりおかしくなったよ!?」
「あぁ、セイ。気にするな、アレはリカルの特性みたいなモノだ」
「特性?」
「カルナ、どういうことだい?」
「まぁ、見てればわかるさ。」
そして、リカルさんはものすごい速度で絵を描き始める。
「ふはははは!素晴らしい!素晴らしいではないか我らが王よ!さすがは我らが王だ!迸る!ほとばしり魂が高ぶる!王に仕え数年と経つが未だに我が魂を業火にさらすとはさすがだ!ふはは!ふははははは!!さぁ!描こう!我らが王の新たな奇譚を我が描き後世へ伝えていこうではないか!それこそが我が我らが王の為に居続ける鎖となろう!さぁ!見せてくれ我らが王よ!我が魂を灰燼へと成す業火をかざすのだ!ふはは!ふはははははははははは!!!」
「リカルのアレは久しぶりに見たの。」
「そうですわね。」
「相変わらず楽しそうだね。」
「大分リアへの耐性とかも増えたから治ったのかと思ったら純粋にネタ切れで落ち着いてるだけだったわけだな。」
「リカルさん大丈夫なの!?大丈夫じゃないよね!?どう見ても誰かに取り憑かれてるよ!?」
「そうなんですけど、効かないんです!浄化が一切効かないんです!!」
おじいさまたちは懐かしそうにほほえんでるだけですが、その他であるリカルさんのあの姿を初めて見た人たちは大混乱。
「あぁ・・お前ら落ち着け。」
「だけどカルナさん!」
「良いから落ち着け、アレは放置しても問題ない。」
で、ジト目でなだめるカルナが落ち着かせたところで改めて説明する。
「リカルは、ツボったって言うか、絵にしたくてたまらなくなるときが稀にあるんだ。そうなると、見ての通り豹変する。」
と、カルナが凄いシンプルにわかりやすく言ったら、全員がとりあえずは納得したらしい。
「そういえばリカルさんってビルドアーティストだったっけ。」
「ビルドアーティストの噂には性格が豹変するって話があったわね。」
「アレはそういうことだったか・・てか、そのまんまじゃねぇかよ。」
「リアちゃんが前に言ってたのはこれのことだったんだね。」
「確かに豹変だよ。」
ユウちゃんとセイちゃんが言ってるのは入学式の頃にチラッと話したときのことのようです。
で、リカルさんは小動物の群れに埋もれてもふってる私に今回はスイッチが入ったようです。
「と言うより、何回も見たことあるけどリカルさんって描くの速いよね。」
「あぁ・・手元が見えない。」
「それであの完成度だからね・・・ホントびっくり。」
「ちなみに、あのモードになったら普段以上にペースが上がるのとついでにその速さに比例して絵の完成度も上がる。」
「パネェ・・」
で、しばらく経つとリカルさんは絵を描き終わったらしく。
「ふぅ♪ケホッ、ケホッ。」
それはそれは大満足という感じで満面の笑みでした。
そして、その絵を仕舞うと何事もなかったかのように座り、お茶を飲む。
それを見た一同はと言うと
「・・何事もなかったかのように元に戻ったね。」
「・・リカルさんってあぁ言う人だったんだ。予想外」
「同感だわ。真面目でおとなしい人だと思ってたけど・・。」
「人は見かけによらないんだな・・。」
「そうだな・・。」
なぜか色んなリアクションをしてました。
まぁ、気にしない。
その後は、とても穏やかに食べたり思い出話をしたりして過ごしました。
「なるほどのぉ。アルナのその現象はとても珍しいな。」
アルちゃんが当時魔法が使えなかった時のことを私に助けてもらい、鍛えてもらった頃を話したみたいです。
「理屈としてはあり得なくはない。けれど、それは数十年・・いや、数百年に数人いるかどうかと言うくらい珍しい現象だよ。」
「そうなんですか?確かに、教会の図書館で調べてもほとんど情報がなかったのでお手上げだったんですけど。」
「じゃが、リアとの出会いは本当に幸運じゃったな。リア以外に気づく人間は早々おるまい。」
「はい。私もそう思います。リア様ほど魔法に精通しているお方はそうそういないと思います。リア様に弟子入りして改めてリア様のすごさを思い知りました。」
アルちゃんの魔法特訓に私は綱引きもどきをしています。
というのは、私が影の球体を作り出し、それをアルちゃんが自身の魔法で動かし、主導権を奪い取ると言う遊びです。
私側では、主導権をとられないようにして、アルちゃんは主導権を奪う。
シンプルに言えば魔力制御を用いて主導権を奪い合うので、奪い合うと言うことは相手よりも魔力制御が上手と言うこと。
まぁ、一度も負けたことはないですけど、アルちゃんはいつも熱心なのでメキメキと実力を伸ばしてます。
「ですが、リアが魔術師団長になるとは予想外でしたわ。まぁ、父親もですが。」
「僕が元第一王子という肩書きが公爵よりも未だに強いせいでね、城の中でも仕事内容に関しての質問もしょっちゅうだよ。まぁ、相談屋を主にしてるからそっちの依頼の一部という扱いだけどね。だから、リアちゃん自身もお城での役割があった方が良いと思ったんだ。いざと言うときの就職先という保険扱いでもあるけどね。」
「確かに。」
「さすがは天才王子だね。」
「予言者よりもそっちを言われることが多いなぁ。なのに二つ名は予言者を優先されたから未だに不思議だよ。」
「二つ名とはそう言うモノですよ。」
「ちなみにリアちゃん、ニアさんは流星姫と呼ばれてるわけだけど、そっちよりも当初は魔法の天災、神災って呼ばれてる方が多かったよ。歩く自然災害とか。」
お母さん・・どれだけやらかしたんですか。
「あの・・イリスさん、ペチュニア様がほとんど危険物扱いされてる気がするのですが・・。お体はリア様以上に弱かったんですよね?」
「そうだね。けど、魔力の多さと魔力制御のすさまじさのごり押しで普通の人以上の機動力を発揮してたからね。アレはほとんど魔力だけで動き回ってた感じだったね。それに、一切ため込むことなんてしないし、周囲にもさせないから。おまけに察しの良い人だったからあっという間にどんな内容の隠しごとも強制的に吐かされてたね。」
パパが微妙に遠い目をしている。
「あぁ・・そうじゃったな。」
{おじいさまも何かご存じなのですか?}
「あぁ、ペチュニア様はのぉ・・最も多かったのは不正を必ず見つけ出しては一欠片も残さずに全ての情報をクラリティ王国内に留まらず各村や町、国に余すことなくばらまいていた。おまけに、指名手配犯のような悪党や下衆なことを企む輩などペチュニア様からすると都合の良い玩具じゃった。」
「玩具・・・」
全員が引きつった表情になっている中、セイちゃんがぽつりとつぶやく。
「そうだったそうだった。ホント凄かったよ?ホントに察しの良い人だったからどんな人混みだろうが森の中だろうがリアちゃんが言うところの悪心の持ち主は必ず見つけ出してトラウマを植え付けるまで魔法でとことん遊んでいたよ。で、相手は命乞い代わりに情報をホイホイ話してくれるからホントに助かってたよ。」
「ちなみにどのようなお遊びを?」
「装備品を全て身につけた状態でいかに肉体を焼かないように装備品と全ての毛を燃やすかということをしてたり、乗り物酔いを極限までひどくするとどうなるか風の魔法で振り回していたり、雷をどれだけ高威力でそいつの近くに落とせるかの距離を測ったり、年齢制限されるような縛り方をそいつらで練習して、その縛り方のまま町のど真ん中に放置したり、ミミナシホウイチもどき?とか言って両耳以外の全身全ての毛をむしり取った後で落書きしてそれを消せないようにして放置したりとホントに色んなことをしてたよ。・・・僕も女装させられたりして遊ばれてたなぁ。」
パパが遠い目をしている。
で、お母さんはホントにやりたい放題だったらしい。
そして、あらゆるトラウマを植え付けられた人は数知れずと。
「た、確かにそれほどやらかしていればそんな呼びかたされるのも納得が出来ますね。」
「だ、だね・・。」
私もお母さんを見習ってもっと色んなことを学んで相手の心を折るやり方を覚えないといけませんね。
まずは、お母さんのような性格になりきるところからでしょうか。
パパが言うには、私が殺る気になったときはそっくりらしいのでお母さんになりきった状態で【覇気】と【威圧】とかを同時並行で使えば効果ありますよね。
他にも、あえて笑顔でそれらを使ったり、逆に一切表情を変えずにする手も効果ありそうですね。
その辺りは皆さんの反応を見ながら検証してみましょう。
「あ、あの・・・リア様?何か恐ろしいと言いますか、ことを考えませんでしたか?」
む、さすがはアルちゃん。
気づかれた。
なので、とりあえずにっこりとほほえんで抱き締めてほっぺにチューしてごまかす。
「キュー・・」
すると、許容を越えたらしく顔を赤くして寝てしましました。
とりあえずウサギさんたちを乗っけて膝枕して上げる。
ちなみにリリさんにうらやましそうな顔を向けられたので同じことをしてあげたらすっごい色っぽい表情になって腰砕けになってました。
さすが翠ちゃん直伝技ですね。
効果は抜群です。