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それぞれの家系と里帰り

カイザーローズ戦があったあの日から10日以上経過した今日この頃。

私はすっかりたまった疲れは癒され、普段通りの食事量と睡眠時間に戻りました。

とはいえ、食事量が微妙に増えた気がします。


まぁ、気にしない気にしない。


卒業生としての提出物を無事に提出したリクトさんは、卒業試験という名の模擬戦しごきに備えて特訓中です。

と言っても、普段よりも模擬戦がハードになっているだけです。

主に私が相手をしています。

「はぁ・・はぁ・・。」

{今日の模擬戦はこのくらいにして残り時間は基礎訓練にしましょうか。}

「そう・・だね・・。ふぅー。今日もありがとうね。」

{いえ。私も訓練に付き合ってもらっているようなモノなのでお互い様です。}

「そっか。それにしても、フリージアさんはやっぱり強いね。全く勝てる気がしないよ。」

魔力制御の練習をしながら素振りをしているリクトさんがそう言う。

{ですが、リクトさんはどんどん強くなっていますよ。影さんたちの人数も15人まで増えてますし。}

「そうなんだけどね。」

苦笑しながらそう答えるリクトさんはもっと頑張らないとなとどこか楽しそうにつぶやいていた。





「そうだ言い忘れてた。」

ある日、学園で午前中の授業(自習だけど)を受けているとネルさんが思い出したって感じで何か言い出した。

「何をですか?」

「明日から30日間は学園お休みだから。」

「いきなりですね!?」

「あぁ、そういえばそうだった。」

「すっかり忘れてたわ。」

「どうして30日間も休みなんですか?」

「ん?そりゃあ夏休みって奴だからだよ。」

「確かにそろそろ夏の季節ですけど。」

今いるところは春夏秋冬の春の大陸です。

基本的に温かくて穏やかな天候が続く大陸ですので、基本的に雪が降ったり世間が紅葉に溢れたりなんてことはありません。

ですが、多少の温度の差は出ます。

夏の時期だとなんとなく普段よりも暑くなりますし、冬だと肌寒くはなります。

{長期間のお休みのことをそう呼ぶのですか?}

「らしいよ?1年の中で今の時期だけ1ヶ月間休みがあるんだ。初代学園長が学園なんだから夏休みがなくちゃ駄目だろ!と言い出したのがきっかけらしいけど。」

時々聞きますけど、初代学園長さんは不思議な人ですね。

「な、なるほど・・。」

「そんなわけだからよろしくー。」






「夏休みかぁ。ユウ君とセイちゃんはどうするの?」

「僕たちは故郷には帰りませんよ。1ヶ月あってもちょっと遠すぎるので。」

「帰れはしますけど、数日くらいしかいることが出来ませんし。」

「そうなんだ?じゃあ、何するの?」

「僕たちはリアについていくことにしました。」

「へぇ、いいね。」

「リクトさんたちは?」

「俺は、帰る予定だよ。」

「俺もだな。帰って家の手伝いしないとお袋にどやされる。」

「私もかな。」

「そうなんですね。手伝いって、ジャンさんの家って何してるんですか?」

「ん?いわゆる商人だ。」

「そうなんですか?」

「あぁ。主に、金物屋だよ。」

「武具を売っているんですか?」

「いや、工具とか調理器具みたいな戦いでは使わない範囲って言うか、生活に必要なモノから生活を支える為の道具を扱ってるんだ。まぁ、家は売ってるだけで作ってるのは昔から贔屓にしてる鍜冶士経由なんだけどな。」

「その鍜冶士さんたちはそういうのを作る専門の人たちなんですか?」

「あぁ。だから武具とか戦闘に使うようなモノは造らないんだ。」

「ジャンの実家は結構人気なんだよ?」

「リクトさん、そうなんですか?」

「そうそう。子供でも安全に使えるような調理器具から、初心者でも扱いやすいモノを主に扱ってるんだよ。」

「それに、日々のメンテナンスも凄く簡単だし、凄く長持ちするからジャンの家を知ってるご婦人たちは必ず扱ってるほどよ。」

「すごーい!」

「あはは、ありがとうな。だが、玄人相手だと評価は今一なんだよ。」

「そうなんですか?」

「あぁ。彼らはいわゆる一生モノを選ぶからそう言う方面からすると何か物足りないらしい。まぁ、昔からのやり方を変える気はないし家を贔屓にしてくれる人たちはみんな変わらないで欲しいって言われてるしな。」

「へぇー。」

「それに、値段も凄く良心的なの。」

「ぶっちゃけ、利益はそこそこ数が売れてるからどうにかなってるけど1つ1つの分は結構原価に近かったりするんだけどな。」

「大丈夫なんですか?」

「大丈夫大丈夫。利益よりも贔屓してくれる人たちを優先してるだけだし、副業として冒険者として依頼を家族揃ってそれぞれ受けたりもするし。」

「結構パワフルですね」

「家族揃って俺の同類だしな。」

「ジャンの家は商人の一家だけど、武闘家としても有名なんだよ。」

「そうなんですか?」

「まぁな。代々拳と蹴りを扱った武術をな。まぁ、流派とかないし、全員喧嘩殺法だけどな。」

「流派はないのに先祖代々武闘家・・不思議ですね。」

「変わってるだろ?ご先祖様曰く、戦い方は自身がそれぞれで見つけ出すモノで教わるモノじゃないんだとさ。だから、教わるのは拳と蹴りを扱った戦い方の基礎と肉体を鍛えることだけだし。」

「それでジャンさんの主武器はメリケンサックなんですね。」

「まぁな。ちなみに、リクトさん家は作家なんだぜ?」

「そうなんですか!?」

「まぁね。」

「何を書いてるんですか?」

「大まかに言うと歴史かな。」

「歴史ですか?」

「うん。過去の偉人から魔物、国に大陸と、ジャンルはそれぞれが決めるんだけど、その中で決めたモノを一生かけて調べて、それを本にするんだ。代々作家として受け継いでいると言うより、先祖代々同類しか産まれてこないって言うのが現実だけどね。」

「作家と言うより、考古学者と言った方が正しい気がしますね。」

「そんな感じだね。当然表に出しても問題ない内容だけに留めているけど、家の家系は色んなことを知りたいって言う所謂知識欲が強い家系なんだ。俺も似たようなモノだから立派な同類だよ。」

「なるほど。」

「だから、決まった場所にとどまることはなく世界を放浪してるんだけどね。数年とか数ヶ月留まっては移動を繰り返してるんだ。」

「なるほど。そうなるとリクトさんの決めたジャンルは魔物ですか?」

「そうだよ。」

「へぇー、じゃあ、シスカさんの家は?」

「家は、美学よ。」

「美学?」

「あらゆる美しさを追求しているのよ?ジャンルは、自身が決めるのよ。」

「シスカの家系は様々な方面で凄い人たちを産み出した凄い家系なんだ。」

「どんな人たちがいるんですか?」

「ある人は彫刻家として、ある人は踊り、絵師って色々だよ。他にも、装飾品を作り出したり、美容品だけを作り出す調合師に置物とか作ることに特化した人もいたね。」

「リクトさんの言う通りよ。他にもあらゆる髪型を追及した人もいたし、整体師と言って体のゆがみを直して美しい体型を作り出す人もいたわ。あ、料理人として食べて美しくすることを追及した人もいたわ。」

「ホントに範囲が広いですね。」

「じゃあ、シスカさんは?」

「私は人の心よ。」

「心?」

「えぇ。所謂内面の美しさを追求しているの。確かに見た目も大事だけど、内面によって見た目をより美しくすることも台無しにすることも出来る。心が美しければ見た目はより美しくなるのよ!」

「心理学に近い感じですね。」

「偏ってるけどそれに近いだろうな。」

「ちなみに、シスカの家系は全員漏れなくかわいいモノ好き。」

「あー。」

「なるほど・・。」

セイちゃんとユウちゃんが生暖かい表情でシスカさんを見つめる。

で、そんなシスカさんは私を膝にのせて満面の笑みで愛でてる。

「皆さん凄いですね。セイちゃんとユウ君の家系はどのような?」

シスカさんに捕まっておっぱいに顔を埋められてるアルちゃんが聞く。

・・・シスカさん器用ですね。

私を膝にのせて愛でつつアルちゃんのおっきなおっぱいに顔を埋めて両方を同時に楽しむなんて。

おまけに片腕は私の頭を撫で、もう片手はアルちゃんの腰に回ってしっかり拘束してる。


そんなアルちゃんは、お返しとばかりにシスカさんと私を撫で回してる。

私ですか?

私はお勉強してますよ。

両側にはおっぱいが至近距離で揺れてたりするけど気にしない。

「私の家は、代々治癒や回復魔法を中心に調合薬なども含めてとにかく治すことを追及しているんです。なので、基本的に医師の家系と言った方が近いかもしれません。」

「僕の場合は、剣術を中心に農業を営んでる程度ですよ。貴族でも領主でもないですし。」

「そうなんだ?農業って何を育ててるの?」

「麦ですね。種類は1年を通して色々作ってますよ。」

パンを作る為のものから、飲み物、ミソなどの調味料関係、またはそのまま主食として食べるモノと麦と言っても色々種類があるらしくそれらを1年を通して色々作っているらしいです。

「農業しながら剣術なのね。」

「麦を狙うのが色々いるのでそれらを自力で対処する為ですよ。」

魔物から盗賊など襲ってくるのはホントに色々らしいです。

「確かにユウの実家は領主でも貴族でもないですけど、市民としてはかなり貴族に近いんですよ?育ててる土地はすっごい広いし、ユウの故郷では村のみんなのリーダー格ですし。」

「すごいじゃない。」

「あはは、ありがとうございます。父さんを含めてご先祖様が凄かっただけですよ。」

「みんなすごいねー。ちなみに家は旅人だよ。」

「旅人?」

「うん。一箇所に留まらずに常に世界中を放浪して回ってるんだ。」

「そうなんですか?」

「まぁねー。だから得意なことって言われると野営とかサバイバルとかお金に頼らずに生きていく為の知恵と技って感じかな。」

「ネルさんはそう言うけど、ネルさんの家系は各地を回って学園に通えない子供たちに勉強を教えたり、悪事を働く人たちをあらゆるやり方で退治したりしてるんだよ?」

「すごーい!」

「世間では密かに”正義の旅人”って呼ばれてる家系なんだぜ?」

「その呼ばれ方は相変わらずムズムズするなぁ。名前負けしてる気がするよ。父さんも母さんも俺と同じことを言ってるんだけどね、みんなそう呼ぶんだ。」

「そんなことないと思うけどなぁ。」

「うんうん。」

ふむ。

みんな凄いですね。

{私の家系は血筋だけで大したことないですね。}

と人ごとのように言ってみると。

全員「そんななわけないでしょう!」

と一言一句揃ってツッコミをもらいました。

(?)

「だって、リアちゃんのお母さんは世界中で有名な流星姫だし、お父さんは天才王子であり予言者イリスさんだよ?おまけにこの国の王族だし」

「そうそう。この国の王族は先祖代々あらゆる偉業を成し遂げてるんだよ?」

{偉業ですか?}

「うんうん。」

「世界でも有数の大国で、知っての通りあらゆる書籍が集まり、おとぎ話からあらゆる歴史まで集う調べものをすることに関したら右に出るとこはないと言っても過言ではないレベルだし、この国の建造物はどれも世界でも有数の観光地っていうそんな凄い国をつくりあげたんだ。」

「それに、この国が世界で一番最初に学園を作り出して世界中にそのあり方を広めたのよ。」

「そうだったんですか!?」

「そうそう。それに、国同士の交流に貿易もこの国は凄く盛んだし。」

「それと、この国の王族って昔から色んなことに関して天才的だったらしいし。」

「例えばどう言うのですか?」

「世界中でも有名な演奏家や歌手にダンサーがいたこともあったらしいし」

「あらゆる美食家を魅了した料理人もいたわね。」

「他にも、釣りや発掘、採取、考古学とあらゆる面での所謂天才がいたらしいよ?」

「こう言ったらアレだけど、王族らしからぬ王族だったね。仕事とかは完璧だったらしいけど。・・あぁ、今もか。」

「それに何より、身分や種族による差別がなく、そういうの関係なく仲良しな人たちしかいないんだ。」

{確かに凄いですが、言い張るほどのことですか?}

「そうよ?他の国や町だとどうしても身分による差別があったりするし、なかったとしてもどうしても身分差による精神的に距離感があるというか溝があるのよ。」

そういうものなんですね。


「だから、フリージアさんの家系は、代々偉人を輩出しているんだよ。フリージアさん本人を含めてね。」

なるほど・・。

「それで思ったんですけど、よくそれで他の国同士が結託して取り込もうとしたり籠絡しようとしませんでしたね。」

「あー、それはあり得ない。」

「そうなんですか?」

「うん、だって籠絡しようとしたら逆に籠絡させるほどの美形が産まれる確率がなぜか100%な家系だし、何より先祖代々美形であればあるほど本人が強いことで有名だから。」

「何その規格外。」

「けど、イリスさんとかリアちゃん見てると納得する。」

「それと、不思議なことに魅了を含めた精神的に作用する魔法とか薬が絶対に効かないんだよね、この家系は。おまけに、嘘に凄く敏感で、悪事を毛嫌いすることでも有名なんだ。」

「そう言う技や魔法を受け継いでるんですか?」

「ん-、それがどうとも言えないんだよね。」

「そうなんですか?と言うより、それ、なんでネルさんが知ってるの?」

「ん?結構有名だよ?だって、この家系はそういうこと隠す気ゼロだし。」

どうやらご先祖様は普通に周囲に知られても気にしないようです。

私もですけど。

「な、なるほど・・。」

「それで、どうとも言えない理由って?」

「確かにそう言う魔法や魔眼を持っている人も祖先の中にはいたらしいけど、所謂野生の勘でそういうのを見抜く人もいたからどっちなのか本人たちを含めてよく分からないらしいんだ。」

私の場合は技と魔眼ですけど、パパの場合は勘と言いますか第六感ですね。

「何か規則性はないんですか?」

「いや?両方あるパターンもあったらしいし、なくてもそういうのを補助したり強化する技を持ってる人もいたらしいし、全く持ってない人もいたらしいしとにかくバラバラ。ごく稀に技も野生の勘もないのに全て偶然でどうにかしてしまう凄く運がいい人もいたりしたらしいし。」

「何と言う・・。」

「謎が増える・・。」

「改めて聞いてると、全く王族らしくない・・。」

「あーうん・・。」

「とにかく多芸だな・・この国の王族って・・。」

「だからこそ、守りたい支えたいと思って人が集まるのよ。」

「確かに。」




「で、話がそれたけどフリージアさんはどうするんだい?」

{流星の里に帰る予定です。皆さん私との再会を心待ちにしているそうですから。}

「そっか。」

{私も会いたいですし。}

「うんうん、ホントかわいいわ。」

「分かります。」

アルちゃんのおっぱいに満足したらしいシスカさんと、おっぱいを堪能されたアルちゃんは今度は2人がかりで私を抱き締めて撫で回してる。

おかげでおっぱいに挟まれてます。

そこに、セイちゃんが後ろから抱きついてますけど。

「まぁ、フリージアさんは色々と忙しい身だし、ゆっくりと羽を伸ばしてきなよ。」

(コクリ)







そんな感じでその日は終わりお家に帰りました。

ユウちゃんとセイちゃんも一緒です。

と言うのも、2人もついてくるからです。

ちなみに、リムさんも来ることになってます。

朝、この国を囲う城壁の門前で待ち合わせです。

「明日からよろしくお願いします。」

「お願いします。」

「うん、こちらこそよろしくね。それにしても、よくよく聞いていると僕たちの祖先は色んな人たちが集まってるね。元々多芸でフットワークが軽い人たちが家の家系は多いんだけどね、その中でそれぞれどの方向に偏る関わってたから結果としてそんなことになったんだよ。」

「なるほど、言われてみると納得します。」

「ちなみに、ニアさんの家系は料理研究で有名なのは知ってる?まぁ、故郷での話しらしいから世間的にはあまり知られてないみたいけど。」

「そうだったんですか!?」

「うん。まぁ、栄養士だったり美食家だったり料理人に料理評論家だったりとバラバラだけどとにかく料理に関してのスペシャリストの家系なんだよ。ニアさんの場合は、調味料限定の料理研究家だったけどね。」

「へぇー。」

「イリスさん、料理研究家に料理評論家とはなんですか?」

「まず料理研究家は、名前の通り料理のレシピとかを研究して増やしたり、料理を教えたりする人のことだよ。後、料理評論家は、食べて改善点を指摘する職業だよ。大抵は、バレないようにそっとレストランとかに行って食べて、後日手紙とかでその評価を送ったりするんだ。」

「なるほど。どうしてバレないようにするんですか?」

「そうしないとその時だけ上手く作ろうとする人がいるからだよ。」

「あ、なるほど。普段の味を知る為に来ているのですからそうしないと確かにそうなりますね。」

「そういうこと。」

「だとしても楽しみだね!」

ルミエールさんがとても楽しそうにそう言うと、ティアさんが苦笑しながら答える。

「気持ちは分かりますが失礼のないようにして下さい。」

「分かってるよ。」

「とか言いながらティアの尻尾は正直だな。」

アースさんがケラケラと笑いながらティアさんの尻尾を見てる。

そのお尻尾を見てみると凄く楽しみですと自重してます。


「こ、これは!そ・・その・・・わ、私の・・憧れのお方なんですもの//」

顔を赤くしてもじもじしながらそう言うティアさんは普段のキリッとした感じとは全く違う感じになってるけど、凄くかわいい。

「ティアはあのファミリーのどなたが憧れなの?」

微笑ましそうに見つめるエアロさんだけど、お尻尾はとても楽しそう。

「実は・・バレク様です。」

{おじいさまですか?}

「はい・・。あの頑丈な壁を作り出す実力も振うハンマーの威力といい・・あの強さに憧れてたのです。そして何よりも、一度守ると決めたら必ず守りきるところが格好いいなぁと。幼い頃からの憧れなんです。」

なるほど。

確かにおじいさまは強いですからね。

頑丈さだけで言うと魔法でも肉体でもどちらをとっても私が知る中で随一で、まさかのハディちゃんと良い勝負が出来るくらいの頑丈さなんです。

私の場合は所謂万能型の防御ですが、おじいさまはとにかく硬さに特化しているので方向性によっては私は全く勝てません。

{確かにおじいさまの頑丈さは凄いですね。ハディちゃんと頑丈さでもパワーでもどちらとも良い勝負が出来ますから。}

「ハディさんと!?」

「それはホントに凄い。」

「ものすごく頑丈だと聞いてたけどそこまで行くのか・・・すげぇ。」

「僕も彼らと会うのは久しぶりだなぁ。」

「何年ぶりになりますか?」

「そうだね・・7年・・8年は経ってるね。」

{そういえば、私がランダム転移される前から紛れ込んで情報収集をしていたんでしたか?}

「そうだね。で、その情報収集の間に溜まりに溜りまくった鬱憤は一度爆発した後はもう収まりを知らなかったらしくてね、自重とか遠慮とかも一緒に飛んで行っちゃったみたいなんだよねあはは。」

「あははって・・・」

「その結果が流星の里が作られたことと、悪心狩りをモットーにしている今の姿なんですね・・。」

「けど、気持ちは分かるわ。私もあの人たちと同じ立場にいたら同じことになってるモノ。」

リリさんが当たり前だと堂々と言い張る。

「けど、その名に恥じない強さも優しさも併せ持ってるから憧れるのは俺も分かるなぁ。」

ゼルさんがうんうんと頷く。

「そういえばリリさんとゼルさんはフォルシェンファミリーの皆さんと会ったことがあるんでしたっけ?」

こてりと首をかしげるアルちゃんに対してゼルさんが頷く。

「あぁ。凄く良い人たちだった。それに、すっごい強かった。」

「それは賛同するわ。というより、戦い、敵を狩ることに生き甲斐を感じているって感じだったし、心の底から活き活きしてたモノ。」

「だというのにどうしてあぁも毎回懲りずにアホどもというか指名手配されてるメンツは集まってくるのかしら?」

「それだけあの場所は魅力的だってことなんだよ。」

「やはりペチュニア様の・・」

「うん。他にもあの場所はきれいだから乗っ取って観光地として稼ごうとか考えてる輩は多いけど、他にも色々と良からぬことを企む奴はいるんだ。他にも真偽を確認する為にスパイとか送り込もうとしてるのもいるっぽいけど、どんなネズミ1匹でも逃さずに仕留めるのが彼らさ。」

「一度決めたら一切の妥協もなく必ず成し遂げますからね。」

うんうんと頷くリカルさん。

「そういえばバレクさんってすごく優しいおじいちゃんって感じだったよね。」

「ね。けど、それと同時に凄い安心感があるよね。」

「うんうん。すごく強いって魔力を感知しても見た目でもどっちでも感じたし。」

おじいさまは肉弾戦も魔法戦もどちらも強いですからね。

まぁ、接近戦と防御戦特化ですけど。

「あら?2人はバレクさんに会ったことがあるの?」

「はい。入学式を境にリアちゃんを経由して。」

「へぇ。」

「短い期間でしたが、鍛えてもらったりもして凄く充実しました。」

「あぁ、僕がリアちゃんの父親だって分かる前のことだね?」

「はい。」

「色々話したいこともあるだろうけど、今日はもう寝ようか。明日もそこそこ早めに出るわけだし。」

「そうですね。」

「そういえばイリスさん、どうして朝早くに出るんですか?何か理由が?」

「ん?朝の時間帯は涼しいからね。涼しい内に家を出たいじゃないか。」

「あぁ、なるほど。」

「確かに家を出た途端に熱気が来たら気が滅入りますね。」

「それもあるけど、人の出入りが少ない内に出た方が良いと思うんだ。ただでさえ僕たちは目立つんだから。」

「あぁ・・確かに。」

アルちゃんのお膝の上で愛でられてる私を全員がチラ見して意味深に頷く。

「まぁ、後は彼らも早く娘に会いたいだろうからね。・・気持ちは凄く分かるから」

穏やかにほほえむパパは、そう言うとみんな凄く納得したという感じで強く頷いてました。

そんな感じで休みました。








「やぁ、グリム君。早いね。」

「イリスさんに皆さんおはようございます。お邪魔する側なんで。それに、早起きはいつものことなんすよ。」

「あぁ、パン屋さんだからか。」

「えぇ。今日の昼ご飯にと一応作ってきましたんで。」

「それは楽しみだね。毎日君のパンはみんなでおいしく頂いてるよ。」

「お気に召してもらってありがたいっすね。」

翌朝、門前でリムさんと合流した私たちです。

「けど、グリム。私たちもお休みの日はあちこちで食べ歩きとかしたけど君が焼いたパンが今も昔も一番だよ?」

「ルミエールの言う通りです。腕は確かです。誇って良いですよ。」

「朝飯が旨いとその日一日頑張るぞって気持ちが高まるんだ。良い仕事してるぜ?」

「あはは・・これからも期待に添えるように頑張ります。」


「ぐ、グリムさん・・お、おはよう・・ござい・・・・ます。」

「ん?おぉ、おはよう。俺に挨拶出来るまでなれたか。頑張ってるみたいだな。」

感心した感じでリムさんが声をかけるのはアルちゃん。

いつもより声は低くなってるし、おそるおそるという感じだけど挨拶が出来た。

対人恐怖症なアルちゃんからするとずいぶんと進歩してます。

まぁ、私を抱っこした状態で巨大化してるシャスティの背中からチラッと顔を半分出してる状態ですけど。

けど、リムさんはアルちゃんが対人恐怖症だと知ってるので気にせず明るくいつもよりゆっくりと喋っている。

リムさんはそう言うさりげない気遣いが出来る良い人です。



「アレ?イリスさん、ここから移動ってどうするんですか?馬車か何か雇ってるのかと思ったんですけど。」

「ん?ちょっと考えがあるから大丈夫大丈夫。」

カラカラと笑ってるパパに首をかしげる魔術師団のみんな。


確かに馬車がないです。

シャスティにカルナがおっきくなっても人数が多いので無理とは言いませんが狭いです。



「い、イリス様!?それに姫様まで!?」

「やぁ、ご苦労様。」

「きょ、恐縮です!」

門番をしているお兄さんがカチンコチンになってる。

「朝から勢揃いでいかがなさいましたか?」

パパに私、シャスティたち獣魔チームに、魔術師団の5人、リリさんにゼルさん、アルちゃん、リカルさん、ラウ兄さん、アリス姉さん、ユウちゃん、セイちゃん、リムさん

いっぱいです。

「今日から学園は長期休みだからね。リアちゃんの後見人がいるところにやっかいになりに行くんだ。」

「姫様の後見人といいますと、バレク様方ですね?」

「あぁ。彼らもリアちゃんと会いたいだろうからね。」

「そうですね。気持ちは凄く分かります。ゆっくりと羽を伸ばしてきて下さい。皆さん毎日忙しそうですから。」

「あぁ・・否定はしないよ。」

軽くほほえむパパに苦笑いの門番さん。

「それにしてもずいぶんと早い時間に出るんですね?」

「注目を浴びそうだから人が少ない内にね。」

「あぁ・・納得しました。あ、あまり長話は迷惑でしたね、失礼致しました。どうぞ」

「あぁ、ありがとう。君も頑張ってね。」

「ありがとうございます。姫様も行ってらっしゃいませ。」

(コクリ)

どこか幸せそうな表情の門番さんを後にして国を出ました。

さて、パパはこれからどうやって移動するつもりなのでしょう?


おまけ

フリージア「今日は七夕の日でしたっけ?」

カルナ「そうだな。どういう日か覚えてるか?」

フリージア「恋が真面目人間を駄目人間に変身させてしまう代表的なお話しで、最後は神様に丸投げするわがまま放題で人間失格な夫婦でしたよね?」

カルナ「間違ってない・・間違っていないが、なんでリアは毎回悪意に満ちた解釈しかしないんだ!」

イリス「あはは!そりゃあニアさんの子だからね。」

カルナ「どういうことだ?」

イリス「彼女もリアちゃんと全く同じ解釈をしていたからだよ?」

カルナ「はぁ・・こういうところで血のつながりを知りたくなかった。」

フリージア「カルナお疲れですか?」

カルナ「そうだな・・どこぞの天然姫のせいでな。」

フリージア「?」

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