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グリムさんとデート その6

--グリム--

あらかたの敵は獣魔メンバーだけでどうにかなるほどまで減らすことが出来た。

だが、俺はローズ相手に足止め程度しか出来ず大してダメージを与えることも出来ないどころか俺自身がやられ、リアに助けてもらった。

で、不意打ちよろしくリアにいきなり栄養剤の団子だの魔力回復薬だのを強制的に飲まされ、食わされた。

そのおかげで非常に混乱はしたが、魔力はある程度回復した。



で、リアが奥の手を使い、あいつの動きをどうにかするらしい。

その間に俺があいつの核を潰すんだとか。

それは構わないが、あんなバカでかくて再生力が半端ないやつをどうやって止めるのだろうか。



リアの瞳には魔法陣が宿っており、リアの足下・・正しくはリアの影がリアが内包する魔力がどんどん膨れ上がるのと比例して濃く濃く、漆黒に染まっていく。

そして、その影は沸騰するお湯のようにボコボコと沸き上がる。

その沸騰?は、魔力が膨れ上がるば上がるほど激しくなっていく。


あまりの魔力の濃度と多さに全身の肌が鳥肌になっているほどだ。

しかも、リアから感じる気迫のようなモノを感じる。

何と言うか、王族らしい雰囲気というか、言葉では伝えづらいが、自身よりも魂的なモノの上位の存在のような・・とにかく、絶対的な上位者であり、逆らってはいけない相手だと確信させるほどの気迫。

これは・・気迫と言うよりも覇気と言った方が良いと思う。

人を従える者独特のモノだ。

リアは、間違いなく天才王子であるイリス様の娘であり、クラリティ王国の王族の血筋だ。


{少し待っていて下さい。あいつを黙らせるので、それまで休んでいて下さい。}

「あ、あぁ。」

どこか申し訳なさそうにリアは俺に背を向けたままそう告げる。

俺が怪我・・っていうか骨にヒビが入ってるからその状態で闘わせることを申し訳なく思っているのだろう。

俺は、気にしなくていいと言おうとしたが、それは今は言うべき台詞ではないと無意識に感じ、言葉に出来なかった。

だから俺は、こう告げた。

「その分、しっかりとどめを刺してやるからまかせてくれ。」

(コクリ)

正直言うと、ヒビの入ったところが痛いが、そんなことを言っている暇なんてないし、そんなアホなことを言うこと自体がおかしい。

それに、リアの前でそんな情けないことを言えるはずがないし、冒険者に怪我はつきものだ。

そんなことで毎回逃げていては仕事なんぞ出来ないし、国から出ない引きこもりだ。

そんなのは俺自身が許せない。



だとしても、魔法の天才とリアは密かに呼ばれているが、この魔法はなんなんだ?

影を自由自在に操ることが出来るのは知っているが、これから何が起こるんだ?


そして、



ドッパァアアアン!!!



リアの影が突然大爆発し、リアを包み込んだまま漆黒の間欠泉が出来る。

そして、間欠泉のようにどこまでも影から沸き上がり続けるが、宙へ舞い上がった影はみるみるうちに姿形を変えていく。

ドラゴンを彷彿とさせる鱗が全身にあり

頑丈そうな腕に鋭い爪

鋭い牙

全てを見透し、あらゆるモノを貫きそうな鋭い瞳

頑丈な胴体




「グォォァァアアアアアアアアアア!!!!!!!」


ハディの咆吼によるトリプルコンボのアレを軽く超えるほどの威力だ。

地震が起こり、空気中の全てが揺れているかと思うほどの威力だ。

全身を漆黒の鱗で覆われ、4本の腕に、そして3桁はあるのではないかと思うほど大量にある頭と長い首。

いわゆる多頭竜だ。

そいつの胴体は、蛇のようにどこまでも長く伸び、腕の1本1本や首などあらゆるモノが巨大で、威圧感も感じる魔力も桁違いだ。



これが、魔法の天才の奥の手。

かつてニーズヘッグヴァンパイアやドラグニルベアー率いるスタンピートをたった1パーティだけで討伐した奥義。


見たことも聞いたこともないワザだ。

おそらくだが、ゴーレム作成の延長線上にあるワザなんだと思う。

影の軍勢を作ったりもしているし、これはその上位のワザなのだろう。

だが、魔法でゴーレムを作る人間はいなくはないが、これほどの威力になるモノを作り出せる奴はこの世界を隅々まで探しても一握りいるかどうかではないだろうか。



そういえば、リアには噂があったな。

確か、リアの影には守護神が住んでいるっていう・・これは、そういうことだったか。

だとしても、本当にゴーレム作成のワザなのか?

影の軍勢もだが、リアは何かこことは違う世界から呼び出しているのではないかと思うほどだ。

それほど、纏う威圧も内包する魔力も桁違いだし、1つの個体としての生物にしか見えないほどだったからだ。


そして、リアはその多頭竜の中で佇んでいる。


その多頭竜・・影竜と仮に名付けておこう。

影竜は、その無数にある頭で迫ってくる茨を次々と噛みちぎり、その4本の鋭い爪で切り裂いたり、両腕で引きちぎったり握りつぶしている。


まさに圧倒的。

大きさは同じくらいで、茨の本数と影竜の頭の数は同じ数はあるようで、全ての茨の1本1本を全ての頭と腕で対処していた。

リアが茨をちぎり、切り裂き、貫いているがそのたびに瞬時に修復するが、そこですぐにその茨をちぎっていた。


怪獣大戦争とはよく言ったモノだ。


そして、何度も茨を切り裂き、噛みちぎり、引きちぎりながらその長い胴体でそいつに巻き付き、絞め殺そうとする。

そいつは茨の修復と自身の強化で精一杯のようだが、既に桁違いに頑丈になっているせいで動きを制限する程度のようだ。

だとしても、あの面倒な茨の軍勢を1人で全て対処しているだけでも凄い。


そうしている間も俺は隙を探す。

観察していると、あいつの頭は、攻撃には一切使えないようだ。

だって真上向いてるだけでそれ以上ぴくとも動けてないし、動けるのは茨だけっぽいし。

後に、あの頭は周囲から魔力を集めたり、強化する為の頭脳戦?をする為だけの存在であの牙と舌が攻撃に使えることはあり得ないのだと教えてもらった。

あるとすれば、茨で捕まえた獲物を食べてしまうときくらいらしいが。



それからどれほど時間が経ったか分からないが、相手の動きが鈍くなってきた。

回復速度が落ちているのと同時に茨の動きも遅くなっていた。

それと、あの口の部分がどこかだらんとしだしている感じだ。



そして、驚くのはあの影竜は例え茨で首を落とされたとしてもそこから首が2本になって増えて復活すると言うこと。

おまけに、貫かれてもあっという間に影竜の内部で貫かれたり斬られたりして粉々になってなくなってしまうということ。

どうやら、内部はリアの領域だからどんな攻撃も出来るようだ。

おまけに穴が空いたとしても瞬時に埋まるし、そこから腕が生えて攻撃手段が増えている有様。


そうしている間に、俺は準備を整える。

リアが頑張っている。

なら俺も奥の手を使おう。


アレを使うと魔力量的にそれほど長時間出来ないが、威力は圧倒的。

それに、出し惜しみしている場合じゃない。

絶対に一撃で仕留めないといけない。

これは俺自身のポリシーの問題だ。


全身を魔力で纏わせる。

出し惜しみなんてせずに残り全てを使い切るくらい濃く濃く。

纏う魔力は薄く均一に。

込める魔力は量を増やしても、濃度を上げるように、その密度を上げるようにする。


濃く

濃く

濃く

密度を上げて上げて上げる。



よし

準備は出来た。

そして、纏わせた魔力を全て黒炎へと変換する。


すると俺は全身を黒炎で包まれた状態となった。


これが、俺の奥の手である【纏い】

ワザ自体は、出来る人間は数十人に数人ほどといなくはないワザで珍しくはあるがそれほど凄いモノでもない。

だが、俺の纏いはあまりにも威力が高くて危険だ。

だから滅多に使わないように奥の手としている。

理由は、俺が触れるモノは全て燃やし尽くしてしまうからだ。

どんな武器も魔法も肉体も。


だが、これはかなり魔力を消費するから短期決戦でしか使えないから余計に使う頻度は少なくなってしまう。

そして、この技が俺が死神と呼ばれるようになった所以でもある。


だから、本来であれば森の中や草原の中央では絶対に使えないワザなのだが、ローズが問答無用で周囲から魔力や生命力を奪っているから周囲はモノの見事に砂漠化している。

だが、リアは察していたらしくローズと影竜の周囲の地面は漆黒に染まっていた。

どうやら、魔力などを吸い取れないように隔離しているようだ。


そして、獣魔たちをちらりと見ると残りはシャスティとハディ、カルナだけで対処し、翠さんはリアの更に周りをゲルで大きく取り囲んでいた。

どうやら、重ね掛けするようにローズが魔力や生命力などを吸い取れないように妨害しているようだ。

正しくは地中からローズを溶解しているようだが。

それと同時に、リアが斬ったりちぎったりしたローズの茨を回収し続けていたりする。

そして、他のゴーレム共も含めて回収済み。


さすが。





そして、纏の準備も出来た。

小太刀を収納し、両手で物干し竿を握り、そのまま俺に纏わせている黒炎を纏わせる。

全身に纏っているモノと同等レベルで非常に濃く纏われているのに加え、リアの影が刀にだけ纏われている為、威力はあの獄炎レベルだ。


準備は完了した。

それから相手を観察する。

リアが相手を攻撃しまくって内包する魔力を消費させまくっている光景を見ているとふと気づいた。

そいつの頭へ向かう道筋が見えた。

更にその道筋は段々太く、しっかりと見える。


ただし、その道はまっすぐではなくジグザグに進むような感じだ。

気づいたのはホントに偶然だった。

リアが攻撃するときに一部だけ違和感を感じたような気がしてその部分を観察していたからだ。



じっと見つめているととっさに今進め!と俺の中の何かがつぶやき、その意思にそって全力で走る。

その道筋通りに駆けていると面白いくらいに茨と接触することがない。

まるで俺を避けているような、俺自身に気づいていないかと思うほどだった。

そして、俺が駆けていくと俺が走った部分に近い部分にあった茨が片っ端から燃え上がっていく。

近づくだけで燃やしてしまう俺の力はこういうときは非常に便利だ。


駆けて駆けて駆ける。

ヒビの入った骨が凄く痛いが我慢出来る。

それに、俺自身なぜか笑いが止まらなかった。


リアが俺のサポートをしてくれる。

俺にとどめをまかせてくれた。

俺自身、残りはリアがやるから離れていろと言われる可能性だって危惧していた。

足手まといだと言われる可能性だって感じていた。

だが、リアはまかせてくれた。

その期待に応えられることの素晴らしさに俺自身歓喜していた。


そして、俺はそいつの顔部分の周囲にある花びらの元まで駆け上がった。

その勢いを利用して思いっきりジャンプして刀を両手で逆手に持ち、

「燃やし!貫けぇぇ!!!」

残り全ての魔力も全身に纏わせている黒炎も全て刀へ込め、そいつの口の中の喉の奥深くを貫く。

その瞬間刀に濃縮していた黒炎が圧縮から開放するようにものすごい勢いで燃え広がり、漆黒の火柱を引き起こす。

俺は、その炎による熱風で吹っ飛ばされたが、

「お疲れさん」

「カルナ、サンキュー」

巨大化したカルナの背中の上で受け止めてもらった。

俺自身、吹っ飛ばされているときに残りの魔力も使い果たしていたから纏いも解除されていたからな。



そして、内部から燃やされているローズは奇声を上げる。

だが、リアがそれに合わせて影竜の頭を1つだけ残し、その他の頭を全て蛇腹剣のようなしなるように曲がる刃を作り出し、それで全身を全方位から貫いた。

更に、それだけにとどまらず、貫いている刃は1本1本がサボテンのように全方位へ針を伸ばす。

そして、影竜が自身の長い体で縛り上げる。

メキメキ、メシメシという音を立てながら全身を潰され、内部から燃やされ、斬られ、貫かれているそいつは魔力を回復させるが、修復が追いついていない。


{翠ちゃん}

リアがそう言うと、翠さんが地面から全方位を包み込むようにゲルで襲い、そいつを溶解していく。

リアと翠さんと俺の黒炎によるトリプルコンボによりそいつは息絶えた。





「終わったな」

「だな。」

「お疲れさん」

「そっちもな」

カルナの背中の上であぐらをかいてその柔らかな羽を撫でながらそう告げ、地面へ降りてもらった。





「やったな。お疲れ」

{お疲れ様でした。みんなもお疲れ様でした}

「ぐぁう(お疲れ様でした)」

「ニャー(お疲れ)」

「こんな大規模なのはニーズヘッグヴァンパイア以来じゃないか?」

「そうだね。あのときとは別方面で大変だったね。」

「あのときはあいつ1体だけだったしな。」



と、ある程度の片付けを済ませたところで

{この辺り一帯をどうしましょうか。}

「あー。確かにこのまま森に囲まれた砂漠にしておくのは心苦しいな、確かに。」

ローズによって食い散らかされ、森の中央がぽっかりと砂漠になっていた。

確かにこのまま放置は遠慮しておきたいな。

「じゃあ、これを植えておこうよ。」

翠さんが何かの種の袋をいくつか取り出した。

{翠ちゃんそれは?}

「ちょっと成長速度が早くて無駄に頑丈ででっかい木の種だよ。」

「翠さんはどこでそれを?」

「ちょっと昔に、砂漠を緑溢れる地にしようと頑張った人の代物だよ。」

聞くと、その人は結果としてその砂漠を見事に緑溢れる地に出来たらしい。


だが、

「けど、ちょっと頑張りすぎて森どころかジャングルになっちゃったんだ。だから、無駄に余らせた種を私がもらったんだよ。」

正しくは、当時、まだ妖精族ではなく魔物だった翠さんが溶解して証拠隠滅をしていたらしい。

世間一般ではゲル種はあらゆるモノを溶解してしまうから、収納する力なんて持っている固体が珍しいからな。

確かに下手に燃やしたりするより確実な証拠隠滅だ。

で、それを翠さんはもらったと。

「翠、それが増えすぎて今植わってる木々が駄目になることはないんだな?」

「ないよ?あるとすればこれの影響を受けて木が種類関係なく色んなのを実らせるようになるくらいかな。」

どうやら、ランダムに果物をつけるようになるらしい。


それから、俺たちはその木の種をばらまいた。

追加で、無駄に収納していたらしい土をかぶせるようにばらまき、水を作り出す魔道具を利用して蒔いた。

「後は、これをこうして・・ほいっと。」

翠さんが手のひらサイズの透明な球体に魔力を込めて適当に放り投げた。

そしてそれは地面に当たった瞬間にパリンと音を立てて割れ、それと同時に水の波紋のようにその球体から発する何かは周囲へ地面を伝っていく。

すると、ものすごい勢いで木が生えた。

それはあっという間に十数メートルレベルを優に超える位でっかくなった。


・・・成長早すぎないか?

「翠・・・アレは何だ?」

「成長速度を高めるのと同時に土の栄養を爆上げする使い捨ての魔道具だよ。」

「・・・・そうか」



ホントにあっという間に元に戻った。





「最後にこのような素晴らしい光景を目にすることが出来るとは何と言う幸運か。」

突然聞こえてきた声は、年配の男性の声だった。

その声がする方へ目を向けるとそこにいたのは10メートルサイズのトナカイだった。

だが、

「体が・・透けている?」

そう。

体が透けていた。

まるで幽霊のような感じだ。

だが、いやな感じはしない。

むしろ優しい・・温かい雰囲気を感じる。

「驚かせて済まない。我は元々この地で長く生きていた者で、あの植物の怪物によって我らの仲間たちと共に食われてしまった。」

そうか・・おそらくはこのトナカイはこの森の主のような存在だったのだろう。

{助けが遅れてしまい申し訳ありませんでした。}

リアは深く深く頭を下げた。

俺もシャスティたちも全員それに合わせて頭を下げる。


ホントにそうだ。

もっと早く気づいていれば助けることが出来たかもしれなかったからだ。


だが、そのトナカイは穏やかに俺たちの謝罪を受け取った。

「気にしないでおくれ。生物はいつか死ぬモノ。それが少々早まっただけだが、気持ちは受け取っておこう。こちらも謝罪をしたい。お主たちの手助けをほとんど出来なかった。」

ほとんど?

「何かしてくれていたのか?」

「対したことは出来なかったが、枯れてしまった草木が奴の元へ向かうように倒れさせ、生きている草木は燃えぬようにした程度だ。」

そうか。

どこか不自然に燃えるモノと燃えないモノがあると思ったがそういうことだったか。

{そんなことはありません。アレだけでも十分助けになりました。}

「姫君にそう言ってもらえて光栄ですな。」

動物にすら姫君と呼ばれるのか、リアはさすがだな。

{これから天国へ行くのですか?}

「あぁ。」

{何か手伝うことはありますか?}

「森を元通りにしてくれただけで十分・・と言いたいが、歌を歌ってはくれないだろうか?」

{歌・・ですか?}

「あぁ。あなた様の歌を聴きながら逝きたい。」

{私の歌でよろしいのですか?}

「あなた様だからこそですよ。」

リアだから?

何かあるのだろうか?

・・まぁ、気にしなくてもいいか。



そして、リアは歌う。

歌詞のない歌だ。

ゆったりとゆっくりと、そして穏やかな歌。

どこか心が軽くなるような気持ちになれる。


そして、リアの歌を心地よさそうに俺たちと共に聴いていたその他に大勢いた半透明の動物たちは静かに穏やかにほほえみながら頭を下げて光の粉となって消えていく。

そして、トナカイも静かに消えていく。

「ありがとう。勇気ある者たち。対したモノではないが、あいつが居座っていた場所の近くに礼を用意してある。本当にありがとう」

そう言いながら静かに深く頭を下げながらトナカイも穏やかにほほえみながら消えていった。





俺たちは、静かに空へ向かって黙祷を捧げた。









しばらく、俺たちは休憩しつつ食事を済ませた後、言われた場所へとやってきた。

「何なんだろうな?」

「そんなのあったか?」

周囲は翠さんがあらかた食い尽くしてたんだよなぁ。


するとリアが何か見つけたらしくとある方向を指さす。

「あっちに何かあったのか?」

(コクリ)

「とりあえず行ってみよう。」

5分ほど歩いたところに行くとそこには小さなほこらのような子供が1人ギリギリ入れるほど小さな建物が1つあった。

「こんなのがあったなんてまるで気づかなかった・・。」

{この中でしょうか?}

「だろうな・・とりあえず開けるか。」

(コクリ)


中を開けるとそこには、金と銀の玉が1つずつあった。

「球だな。」

「球だな。」

{金の球と銀の球ですか。}

「リア、略して言ったら駄目だよ?」

{つまりは、金t}

「っ!?」

翠さんがいらぬことを口にして、リアが素直に言おうとしたので俺は瞬時にリアの口を両手で塞ぐ。

(?)

「頼むから、その台詞は言わないでくれ。」

色々とよろしくないから。

(?コクリ)

よく分からないけど駄目なら仕方ないかと言う感じでとりあえず分かってもらえた。


ふぅ・・・


ちなみにカルナは当然翠さんに注意していた。

翠さんは爆笑してたけど。




「この球・・何なんだろうな?」

カルナたちを悩んでいる間、リアは首をかしげながらつんつんと2つの球をつついている。

俺もとりあえずつついてみる。



うん・・ただの球だな。

だが、何か妙な感じがするんだよなぁ・・。


そして、リアがおもむろに蛇腹剣でつつこうとした。

だが、何の抵抗もなくするっと突きささり、そのまま銀の玉はリアの蛇腹剣に吸い込まれてしまった。


で、俺はと言うと、なぜか俺の物干し竿でつつこうとして同じように金の玉は同じくするりと突きささり、吸い込まれた。



「・・・・」

「・・・・」

{武器のご飯だったのでしょうか?}

フリーズしているとリアが斜め上の感想を告げた。


うん・・ホントかわいい。

とりあえず頭を撫でる。


「・・・翠。どう思う?」

「んー。多分だけど、武器の性能を上げてくれたって感じかな。」

「どういうことだ?」

「魔力を注いで武器を強化してるけど、その威力が1.5倍になった感じかな。」

{魔力を1で武器の性能を2にしていたのが3にしたというイメージですか?}

「多分そんな感じ。」

なるほど・・。

つまりは、俺が黒炎を纏わせると普段以上に威力が上がるようになったと。

それは地味だが凄いな。

ホントに凄いモノをもらっちまったみたいだな。

人助け・・まぁ、人じゃないが、それでも誰かの為になれたんだから結果として良かった良かった。

にしても・・・つっかれたぁ!






--フリージア--

あのでっかい花のお化けを倒し、トナカイさんたちの為に歌い、言われた通りにその近くを探すと小さなお家があり、その中には金色と銀色の球がありました。

それを蛇腹剣でつつこうとしたら吸い込まれてしまいました。



で、ギルドカードを見て確認と思いましたけど、お空は茜色に染まっていたのと疲れたので私たちはここで野営して、早々に休みました。







翌朝、朝食を済ませ、身支度を整えてからカードを確認しました。

怪我などは昨晩の内にシャスティの調合薬で治療済みですよ?

リムさん含めて全員。











名前:フリージア・クラリティ・エトワール(悪心撃滅体質)

ランク:B(二つ名=魔鏡姫/夜叉姫)

パーティ:ハリーファ(リーダー)


性別:♀

年齢:11

種族:能**

身分:公爵、クラリティ王国魔術師団長

職業:賢者、協奏師

副職:刺繍屋

称号:絶望を知る者、幻獣の家族、変態紳士ホイホイ、英雄賢者の正統後継者、神子クテン、狩人、アームズマイスター、断罪者


属性:陰

体力:C+

魔力:SS+

攻撃:D+

防御:E

俊敏:D

練度:SSS


攻撃技1:【影操作】【射撃】【影纏】【影翼】【人形劇】【影移動】【衝撃波】

攻撃技2:【魔力反射】【物理反射】【性質変換】【切断強化】【貫通強化】【硬度強化】【束縛強化】【圧縮強化】【覇気】

武器1:【刀】【大剣】【剣】【短剣】【槍】【薙刀】【鎌】【斧】【かぎ爪】【弓】【蛇腹剣】【鎖鎌】

武器2:【杖】【鞭】【棍】【棒】【槌】【盾】【扇】【星球モーニングスター】【投擲器スリングショット

補助技:【内外念話】【奉納】【心意加増】【精神統一】【アクロバティック】【合気】【威圧】【暗器】【鉄壁の心】【月翼】

自動技1:【圧縮記憶】【思考速度上昇】【並列思考】

自動技2:【心の瞳】【ショートクさんの耳】【心の歌】【騎乗】【武器舞踊】【武器舞踏】

覚醒:【侵食】【拡張】【守護者召喚】


衣類:精霊のストール、精霊樹のローブ

武器:聖華の杖、聖木せいぼくの義手、邪滅の蛇腹剣

装飾:教会の腕輪(EX)、幸運のイヤーカフ、クラリティ王国公爵家の証(儀礼剣)

写真:フリージア、ペチュニア、イリス


契約

【幻獣】八咫烏:カルナ

【幻獣】ガルディエーヌ・キャット:シャスティ(装備:黒月)

【妖精王】ロワ・ゲル:スイ

【??】ウールスフィア:ラナ

【魔物】クロコディルガーディアン:ハディ


加護

ペチュニアの溺愛、流星姫ペチュニアの過保護

元英雄賢者/現神様のお気に入り、桜華おうかの子孫

下位精霊の親愛、上位精霊:リフの溺愛、精霊樹の巫女






魔力と練度がどちらも1段階上がったみたいですね。

それにしても、色々と新しく覚えたみたいですね。





称号

断罪者

最も強い女の子(美少女)にのみ与えられる称号。

正義の味方としての行動をとると守った対象より崇拝されやすくなる。

※初代断罪者との血のつながりがあるモノ限定で授かることが可能な称号(猫耳巨乳幼女)



【衝撃波】

自身の武器と魔法より衝撃波を出すことが出来る。

威力は魔力量に依存する。


【切断強化】

自身の武器と魔法の切断時の威力を増加させる。

イメージにより威力が依存する。


【貫通強化】

自身の武器と魔法の貫通時の威力を増加させる。

イメージにより威力が依存する。


【硬度強化】

自身の武器と魔法の切断時の硬さを増加させる。

イメージにより威力が依存する。


【束縛強化】

自身の武器と魔法によって縛り上げる威力を増加させる。

イメージにより威力が依存するが、稀に相手をMに目覚めさせることがあるので注意。


【圧縮強化】

自身の魔法により圧縮する際の威力を増減させる。

威力は魔力量に依存する。


【覇気】

相手に自身が核上だと実感させやすくなり、相手の敵意を喪失させやすくなる。


【鉄壁の心】

ありとあらゆる精神状態に影響する魔法を無効化する。


【月翼】

翼を月の光に照らすことにより、魔力回復速度をささやかながらに向上させる。

満月の日の場合、回復速度は通常よりも向上する。



どれも凄いですね。

言ってしまえば地味ですけど、かなり便利なワザばかりですね。

後、称号の括弧書きは何なのでしょうか?

初代断罪者さんは猫耳でおっぱいがおっきくて背が低くて童顔だったのでしょうか。

・・まぁ、気にしない気にしない。


ん?

そうなると私は、初代断罪者さんとも血のつながりがあるんでしょうね。

・・どこかのタイミングで断罪者と呼ばれた人のことを調べてみた方が良いかもしれませんね。


それと、蛇腹剣の名前が少し変化してますね。





邪滅の蛇腹剣

ありったけの浄化魔法と魔力が込められ、浄化作用のある魔方陣が描かれたことにより、色が純黒に染まったマジックメタルとメタルスパイダーの糸を使用した非常に頑丈で軽い蛇腹剣

直刀で両刃剣、長さは通常の平均ほど、幅は通常より狭く、かなり軽くしなやかであり、頑丈に出来ている

刃部分は黒銀に輝き、その刃には破邪の力が宿っているため、実体がなくとも悪霊でも亡霊でも関係なく斬れば強制昇天出来る。

鍔部分へ魔力を流しながら念じると剣の状態と鞭の状態に切り替えることが可能

※追加事情

鍔の部分が漆黒の天使の翼のように両側に広がるような形へと変化している。

魔力を込めると通常の1.5倍の威力で発揮され、邪な思いすらもこの剣で貫けば強制的に反省させることが可能。




翠ちゃんが言う通り強化されてるみたいですね。

それと、鍔部分は凄くシンプルな教会の十字マークみたいな感じで横棒がくっついてるだけでしたけど、翼みたいに確かに変化してました。

きれいですね。

これからもよろしくお願いしますね。

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