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名無しは記憶喪失の奴隷と旅に出る。  作者: 葉渡純
緊急依頼『奴隷狩り』
34/52

幕間【神のみぞ知る】


正直、読まなくてもあまり本編に支障はないかもしれません。





突如なんの前向きもなく、私の視界からバランの姿が消えた。


こんな状況でも私の頭はこの世界に適応したためか、妙に冷え切っていて冷静だ。


吹っ飛んだバラン。

けたたましい音と共に床に倒れる教会の扉、舞い上がる砂埃。

視線をバランが吹き飛ん多方向とは逆に向ける。

もしかしたらゲーレルターの部下の残党かもしれない、自然と身構える。


そして――


「Oh……」


思わずアメリカンな反応をしてしまったが、仕方がないだろう。

入って来た相手がちょっと予想外だったのだから。

真っ赤な顔で教会に入って来たのはシャーレイだった。

完全に目が据わっている。

……おっと、これはやばいんじゃないだろうか?


「私の許可なくナナシと逢引とはいい度胸じゃないか野蛮人!」


完全に酔っ払っている割には滑舌がしっかりしているなぁ、と変なところで感心してしまう。


「何しやがんだクソ女!!」


扉の下敷きになっていたバランも無事なようで、さっきまでのしんみりした空気はもう遥か彼方へと消え去ってしまいました。


「問答無用ここで会ったが百年目死ねぇ!!」

「んな昔から知り合ってねーわ!!」


飛びかかるシャーレイ、それを避けるバラン。

うわーいつもより血気盛んだなぁ。

教会内で暴れまわる二人を見ているとシャーレイに続くようにアルとトリムさん、そしてノラがやって来た。


「も、申し訳有りませんナナシ様……あの、まさかシャーレイ様が、その……」

「あ、大丈夫なんで気にしないでください」


トリムさんの言いたいことはわかる。

私もまさかシャーレイが酒乱だなんて思わなかったし……いやもうあれ酒乱とかいうレベルじゃないけどね。


椅子をなぎ倒し、床に穴を開ける二人を見る私の目は多分死んでいる。


よし、シャーレイはお酒禁止な。

今日から禁酒だ。


「――あれ、キャロルは?」

「キャロルならノラとの飲み比べに負けて酔い潰れた人を介抱してるよ」

「あちゃー、回復役も大変だ……なんだって?」

「彼、見かけによらず酒豪だね」


HAHAHA

なんて楽しそうに笑うアル。

こいつも恐らく酔っ払ってるな、なんかいつもより陽気だし。


私は心の中でキャロルに土下座する勢いで謝罪しまくった。


医者とか回復役が多忙な理由がわかる気がする。

飲み会でも人が倒れるようじゃおちおち休んでられないよね。


暴れまわる二人を止めることができず、私は手にしていた酒を一口。


とても美味しいお酒だが、酒の肴がちょっと物騒だなと苦笑いした。


そしてお約束というのだろうか。


翌日、当然のようにシャーレイは記憶をなくしていた。



シャーレイとバランの戦いの勝敗?



実は私も覚えていないのだ。

ノラがやってきたところまでは覚えているのだが、その後すぐに眠ってしまったようで目が覚めるとお屋敷のベッドの上だったから。


そこで二人の勝敗の行方はまぁ――うん。



私も気になるがここは――『神のみぞ知る』ということで。





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