表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【花】シリーズ

銀木犀が薫る頃

作者: 鷹真

放課後のチャイムとともに、友達は連立って帰って行った。

僕は校庭の片隅で、ひとり・・・。

傍らにあるのは、銀木犀。

仄かに甘い薫りが、僕の緊張を少しだけ和らげる。


春の頃―――

君を初めて見たのは、入学式。

沢山の生徒たちの中で、僕は君を見つけた。

君は、友達に囲まれて、楽しそうに笑ってた。

一瞬で僕の心は、撃ち抜かれて、その後の入学式の記憶がない。

君は、隣のクラスだった。

接点がないと落ち込んだけれど、放課後に奇跡が起きた。

僕は、叫びそうになったよ。

入ろうと決めていた陸上部に、君の姿があったから。

僕はフィールド競技。君はトラック競技。

君は風と戯れるように走る。楽しそうに。

僕はますます君に魅かれていったんだ。


初めての公式の大会で、君から話しかけられた。

あの時、僕は、うまく話せただろうか。

判らないけれど、それを切っ掛けに、少しずつ話をするようになって。

君の事も少しずつ知っていった。

君がお気に入りの場所も知った。

校庭の片隅にある銀木犀の傍のベンチが君のお気に入り。


―――ふわり。甘く薫る。

部活の終わったその後に、君がここに来るのを僕は知っている。

だから、急いで片づけをして、僕はここに来たんだ。

銀木犀を見ながら、ぼーっと立っていた僕の隣に、君はそっと並ぶ。

そして、君は目を閉じて、甘い薫りを吸い込んだ。

この薫り好きだな。君がそう言うから・・・。


緊張で震える手を、ギュッと握る。


銀木犀が薫る頃。君に伝えよう。

―――君が好きだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ