仲間
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『はぁ…っ美織、美織!』
「う…あっ…くろ、か?」
『美織!』
校舎内に入ってからあたしはとりあえず美織を連れて自分の教室に逃げ込んだ。
そして一旦落ち着いてから美織に話し掛けた。美織はやっと我に戻ったようだ。
「黒華、ここどこ?…あ…みず、の先生は!?ねぇ、黒華!!」
美織はまた焦ったように大きな声を出してあたしに問い詰める
『美織、落ち着いて。
ここはあたし達の教室で水野の行方は残念だけど分からない』
「そ、そっか…ごめんね、黒華」
『何であやまんのよ…』
あたし何もされてないのに。
そんなあたしに美織は少し笑いながら言う
「私、きっと黒華に迷惑掛けたよね。
…私さ、昔からああいうの苦手で。怖くて震えちゃうの。」
彼女が言う、"ああいうの"とはさっきの人が殺された場面だろう。
『美織、それは「誰かいるかあー?」
「『え?』」
「ちょっとケン、勝手に行くなよ…って、え?」
吃驚。
教室のドアを開けて入って来たのは2人の男子だった。
両方とも黙る。
でもさすがに沈黙もキツくなりあたしはその沈黙を破った
『アンタ達、誰?』
睨みながら2人を見ると、後から入ってきた男が少し笑いながら言った
「あ、ごめん。俺等隠れる場所探しててさ」
「そーそー。隠れる場所探しててここの教室入ったらお前等がいたって事よ」
こいつ等、別に悪いやつには見えないし何も追い出す事はないな…
『そう』
「あの…ここにいてもいいかな?」
『別に、いいけど。』
あたしが許可すると2人はあたし達の前にドカッと座った。
そしてまた沈黙
次にこの沈黙を破ったのは彼だった。
「あの…とりあえず、自己紹介しとく…?」
『そうね。』
「俺は柊晴樹、一年。
…っと、よろしくな」
挨拶の変わりに会釈をする。
晴樹は好青年って感じの爽やか男子だ。
黒髪に切れ長の目で何だか外見まで爽やかだ
晴樹の次に自己紹介をするのは確か晴樹にケンと呼ばれていた男。
「俺はぁ佐川犬斗、アダ名はケン!晴樹と同じく高1!!よっろしくー!!」
「よ、よろしく…」
ケンのハイテンション差に吃驚したのか、美織までも「よろしく」と返していた。
ケンは見た目からしても不良のような感じだった。金髪の髪の両側は跳ねていて犬をも連想させる。
そんなケンはあたし達の方を見て「お前等も自己紹介しろよ!」と言った
2人は自己紹介したのにあたし達はしないっていうのも感じが悪い為、渋々する事にした。
「私は澤田美織、一年。
よろしく」
『…あたしは暁黒華。同じく一年。』
よろしくするつもりはない、という意味を込めてよろしくはあえて言わなかった。
何か言われる?、と思ったあたしは晴樹とケンが黙っていたのでチラリと2人を盗み見る。
2人は吃驚した顔であたしを見てボソリと何か言い出した
「暁、黒華…?」
「一年の暁黒華って…」
『何、あたしが何なの?』
あたしが強い口調でそう言うとケンがへ?と間抜けな声を出した後言った
「まさか、あの暁黒華にこんな状況で会えるとは思ってなかったからよー!」
『あの…?』
「あ?知らねーの?
一年の暁黒華っつったら"美人"だって有名じゃんか!本人が知らないとかサ〜!!」
美人で有名って。
何それ、初めて聞いた
あたしが首を傾げながら、
『それ以前にあたしブスだし』
と言うとまた2人は間抜けな顔をした。
2人に美織がボソリと言う。
「黒華、無自覚なの。変なとこは鋭い癖に色恋沙汰とかには鈍感でさ!」
晴樹が「そ、そっか…」と苦笑い気味に言った後に真剣な顔付きであたし達に向き、言った。
「あの、さ…突然だけど、
俺とケンと君達2人で仲間にならない?」
『はぁ?』
「何言ってんだよ!?晴樹!俺はそんなの聞いてねーぞ!」
ケンの反応からして今、勝手に晴樹が考えた案らしい。
オズオズ、というように美織があたし達に言った
「私は仲間になりたいけど…確か、ルールでチームを組むってダメじゃなかったけ?
ほら、仲間もチームと同じような感じだよね。だから…」