美織
「きゃああああ!?」
「逃げろッーーー!!」
ハッ…!
周りの生徒の悲鳴と何処かに逃げて行く生徒達にぶつかってあたしは我に返った。
…とにかく、あたしもこの場から逃げないと殺られてしまう。
踵を返そうとした時、隣に美織が震えながら立っていたのに今気付いた。
『美織』
「ぁ…くろ、か…あれ、先生ぇが…人を、殺し…」
『美織…』
「あ…ぁ…あ…そう…先生が人を…!
い、いやああああぁ!!」
『美織…!』
美織はガタガタと異常な程に震えてその場に崩れ落ちた。
駄目だ、完全に我を失ってる。
そりゃあそうだ。目の前で人が殺されたのを
見たら誰だってこうなる…
美織のこの反応が普通。
…あたしは可笑しいのかも、何も反応がしないから。
美織を見下ろしながらそんな事を思っていると水野が此方に近付いて来ていた。
…片手には血の付いたナイフを、金髪を殺したナイフを持ちながらゆらりゆらりと此方に向かって来ていた。
【ヤバイ】
あたしの脳内は赤信号を示していた。
このままだと…完全に殺される!
あたしは美織に大きな声で言った。
『美織!逃げないと…!』
「ぁ、あ…黒華ぁ…」
『美織ってば!美織!』
「あー…ぁ、あ…いやぁ」
…ックソ!
駄目だ、あたしを目に映してない…
あたしを焦らすかのように前からは水野の影。
もう…美織は見捨てる?
そうよ、見捨てれば…
結局人間何て自分が1番大切何だから。
自分より大切な人何ていないんだから。
あたし…あたしは…
《ねー…黒華は私の親友だよね?》
《さぁー…?》
《えー!何それ!!》
《だって美織煩いし。》
《何それー!!…でも私は黒華のこと親友だと思ってるからっ》
美織を
見捨てない…!!
『逃げないなら…無理矢理にでも連れてくから!!』
あたしはグイッと美織の腕を掴むと無理矢理立ち上がらせ、引っ張って校舎内に逃げた