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ゲームスタート

水野はクスクスと笑いながら「そっか、そっかー」と1人頭を抱えて笑う


そんな彼女にもう以前の面影はなく、ただ狂気の色だけが見えた


彼女は何処からか、いやスカートのポッケからナイフを取り出した。


ナイフは小さくもなく、大きくもない…普通のナイフだった。



『…可笑しい』


そう、可笑しいの。


「な、にが…?」


ナイフを持った水野を見て怖気付いたのか、美織の声は震えていた


『水野がナイフを持っているというのに警備員どころか、他の教師も水野に駆け付けない…可笑しいと思わない?普通なら急いで取り押さえるでしょ』


そう…

いま、ここには警備員だって教師だっている。


なのに誰も駆け付けてこない。

皆澄ました顔してる。



美織はまだ視線を水野に向けたまま、先程よりも震えた声で言う



「…黒華くろかな、にが言いたい、の…?」


本当は分かってる癖に。

美織はその真実を受け入れたくないんだね。


でもさ、

真実は受け止めなきゃ前に進めないよー…?





『ここにいる、教師・警備員…

生徒以外の人達は皆、

共犯だって言うコト』




「…っ…そんな馬鹿みたいなことが…「アーハッハッハッ!!」



しんー…


美織の言葉を遮って言った狂気じみた笑い声はナイフを持った水野だった。



「うふふ、ひぃっあ、は…

だ、れ、に、し、よ、う、か、なっ♪」



心底嬉しそうに言った水野はナイフを持っていない方の手で人差し指を私達に指しながら自分の声に合わせて指を右へと動かしていく。


右に、右に…


ピタ、と止まった指はあの金髪の男を指差していた。


「きーめた。

殺すのは貴方ねぇ」


ニタァと笑った水野はもう狂ってるとしか言いようがなかった。


初めて…人に恐怖を感じた…


金髪男はさっきまでの威勢はどこへ行ったのかガタガタと震えていた


そんな彼に御構い無しに水野は近づいて行く。そしてー…


「お、おい…や、やめ…ろよ!…やめ、ぅ」


「うふふ、あひっんふぅあひゃひゅ」


ナイフを振りかざした


「いやあああー!!」

「きゃあああ!?」


何処からか劈く悲鳴が聞こえた。

でもそんな声さえも聞こえない位に目の前の光景に目を奪われていた。


正に地獄絵図だ…


水野は躊躇いもなく、金髪男の心臓目掛けてナイフを振りかざしたのだ。


水野の顔には金髪の血が飛び散っており、金髪は左胸にナイフを刺され、目が白目で手がまだピクピクしている。


なんなの…

目の前で人が殺されて…



《あれ、瀬奈せなぁ?…瀬奈?…どこに、い…る…え、い、いやああああ!?》



『…っ…!』


"アノコト"を思い出しちゃダメ。

もう忘れるって決めたのに…!


あたしの混乱した脳内を掻き消すように水野の高らかな声が響いた。




ーこの時から…



「ゲームスタート!!」



この言葉で何かが崩れていく音がした。

いつもの平穏な日常が、非日常に変わっていく気がした





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