説明
水野敦子
彼女は三十路という年にも関わらず容姿が10代後半のような若さで生徒男女問わず人気者の女教師である。
あたしは好きではないけど。
水野はいつもニコニコ笑っていてその笑顔の裏には絶対に黒い何かがある。
…と、あたしは思っている。
水野はマイクを校長から受け取ると一礼して口を開けた
「今日から受けて貰う授業の説明をします。この授業は全校生徒、1・2・3学年問わず強制で受けて貰います。
この授業でやってもらう事はまず……
人を殺す事です!」
「は、あ…?」
「あー…簡単に説明しますね。
まず貴方達にはこの学年の生徒と殺し合いをして生き残った1人だけを勝者とします。
勝った者には賞金30億とホシイモノを一つプレゼントしますよ。
えっと…ルールは5つ!
1.携帯電話は使用しない
2.途中棄権はなし
3.絶対に逃げようとはしない
4.チームを組むのは禁止
5.私達に歯向かわない
この5です。
それではー…」
「お、おい!意味わかんねぇんだけど!?どういう事か説明しろよ!!」
水野の言葉を遮り、怒鳴ったのは金髪のガタイのいい男。
「説明しろって…今したじゃないの」
「は!?テメェふざけんのも良い加減にしろよ!さっきからふざけた事ばっか言いやがって!」
「…ふざけているのはどちらでしょうね?」
「…ヒッ!」
『っ…』
水野は見た事がないような増悪の顔で金髪を睨みつけた。
「何、今の…」
隣の美織も水野の顔を見たようで顔が引きつっていた。
あの顔見たら誰でも顔引きつるよな…。
何て思いながらまた水野に視線を移す
水野の顔はもういつものニコニコ顔に戻っていた。水野はニコニコしているが目は笑っていない。
「あなた、このゲーム…いえ、この授業を信じていないの?」
「…っ信じる訳ねぇだろ!急に呼ばれて殺人紛いの授業をする、何て現実味無さ過ぎ何だよ!!」
…確かに彼が言ってるのは正論だ。
急に「この授業では人を殺します!」何て言われたら度の過ぎた冗談か嘘だと誰もが思うだろう。
水野は彼の言葉にウンウンと軽く頷きながらニコニコ顔で言った
「あー、ウンウン、そっかそっかー…
急にこんな話されたら信じる物も信じられないかー。
じゃあ、
1人誰か殺せば信じてくれるかな?」
「…あぁ…?」
唖然
正に今のこの状況はその言葉そのものだった。あたしもだ。