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トカゲ娘の憂鬱  作者: 西野朔太郎
1/5

1、トカゲ男の憂鬱

(雌の目には、この景色はどう映るのだろうか。)

 地平線に夕暮れの太陽が落ち、地表と空がオレンジや赤や青や灰色になっている様を、2匹の雄トカゲがじっと眺めていた。地平線が見える崖の上に2匹はじっとたたずんでいた。彼らは、我々現代人が思うような4本足でちょろちょろと動き回るそれではなく、体長は2m近くあり、頭が大きく発達し、2本足で立っていた。尻尾は長く、後背部から長く伸びている。人間のように2本足歩行ではあるものの、トカゲのようにウロコはあるし、色合いなどは緑色のトカゲであった。

 一匹のトカゲが声を出した。

 「おいペッパ。どうした黙りこくって。」

 その声は早口で高音で、少しせわしない。

 ペッパと呼ばれたトカゲは、もう一匹の顔を見た。

 「いや、夕日が綺麗だと思ってね。そう思わないか?ソルト。」

 ペッパは、隣に座っている青色ウロコのトカゲに、おっとりとした口調で言った。

 「お前は本当に感傷にふけりやすいタイプだよ。だからいつも馬鹿にされるんだ。」

 ソルトは、夕日の美しさに心を奪われたくないように、目をそむけた。

 「自分を誤魔化すことはないよ。美しいものは美しいんだから。」

 ペッパはソルトを蔑むような目で見た。


(僕は、こんな世界に生まれるんじゃなかったんだ。)

ペッパは、一人心の中でつぶやいた。

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