好きな授業は真面目に受けて嫌いな授業は不真面目に
好きな授業は真面目に受けて嫌いな授業は不真面目に
小学校、中学校と聞き慣れ親しんだお馴染みの授業開始の合図、チャイムが授業前にすっかりどんよりとして暗くなった静寂の中に鳴り響いた。普通は楽しいお昼時も終わって、友達と話す時間も終わって、また50分間座りっぱなしで教員の長い話を聞かなければいけないという現実に絶望し、目をそむけたくなるような人もいると思う。事実、俺のクラスは30人ほどで5人1列が6つある中で俺の席は一番窓側の列の前から2番目だからクラス全体がよく見えるけど、少しクラスを見渡せば何人かは腕で顔を隠しながら机に突っ伏してるし、明らかに狸寝入りしている奴もいればマジで寝てる奴もいる。それほどまでにこれからの5限目をやりたくないんだろうな。ちなみに現在の5限目は理科で科目は生物なんだが...この授業が最高に楽しいのに何故だか俺の周りの奴は「生物の授業ヤダ」だの「受けててつまらない」だの言うんだよな。最高の授業じゃん、みんな何言ってんの?
そんな中、理科の教師が教室に到着した。授業を始めるという宣言とともに全員が立ち、「お願いします」と言って分離礼を行う。そしたら息を合わせて全員が着席する。授業は嫌がるくせにこういうところでは息ピッタリだな。そしたら教科書で授業範囲の場所を教師が言ったとおりに開く。開いたらメンデルの法則という何とも楽しそうな範囲だ。中学の時もやったが、何回聞いても興味深い。だって、必ず優性遺伝と劣性遺伝は3:1で遺伝するんだからな。生き物って不思議だよな。俺は多分今、目をキラキラさせて興奮しているんだろうな。でも、何故だか他の奴らはすげぇ暗い顔して項垂れてる。
「何でみんな突っ伏してるんだ?最高の授業じゃん」
生物ほど心躍る授業はないだろ。だって、光合成などの中学で習った範囲の復習はもちろん、中学ではできなかったより高度な場所まで踏み込めるんだぞ。臓器の構成とかそれぞれが担う役割とかランゲルハンス島などの細胞系はもちろんのこと、DNA(デオキシリボ核酸)の塩基構成などの範囲からバイオームに関して生息している生物の違い、林床の構成、各地の気象条件とそれによる植物の生育状況、種類の違い。...どれをとっても最高すぎるだろ。とかなんとか思っていたら、俺の後ろの奴まで突っ伏してる。名前は「紅日英二」この学校で俺と対等に会話できる数少ない俺の親友だ。こう言っちゃなんだが、俺は学年の中だとかなり成績が上のほうだからやたら上に見られることも多い。そのせいか、あまり対等な立場で話してくれる奴がいないんだよな。
「お~い。起きろ、授業中だぞ」
「よく授業を抜け出す奴がよく言うよ」
俺が先生の邪魔にならないくらいの静かな声でそう語りかけるとそういってむくりとダルそうに頭を上げた。艶やかな桃色の妖艶な長い髪を起き上がる動作に従ってサラサラと舞う。整った顔立ちから発せられる視線は鋭い。紅の瞳を細めてまるで睨むように俺に向けられている。おいおい、そんな目で俺を睨まないでくれないか。お前背がでかいのもあって怖いんだが。しかも顔は眉間にしわを寄せていてまるで病気になったみたいに暗い顔だ。そんなに嫌なの?
「安心しろ、今週はまだ1日目だ」
「そういう問題じゃないだろ。お前マジで週2日ペースで授業サボるじゃん」
え?だって嫌いなものとか将来必要と思わないものなんて受けるだけ時間の無駄じゃない。何律義に嫌いな教科とか全部受けるんだよ。サボればいいじゃん。進級とか進学に影響なければ大丈夫だろ。
「だって将来必要ないものとかつまらない授業なんて受ける意味が分からないもん」
「それ俺が生物に一番言いたいことなんだけど...」
???何を言っているんだこいつは。生物ほど受けてて楽しい授業ないだろ。節足動物の足の節目がどうなっているのか、さなぎの中身はどうなっているのか、生物は何故そもそもこの地球上に誕生したのか、考えるだけで夜も眠れないくらいだ。生物は素晴らしい。逆に俺からしたら数学の時間で数式を見て大興奮しながらうっきうきで数式を問いていくお前の感性が理解できないんだけど。何?あの数学Ⅱとかいうiとaとbで構成された不可解極まりない式を息を吐くように問いて全問正解しやがって。
(ここで説明を入れておこう。隼は重度の生物好きでもやはオタククラスなのだ。対して紅日は重度の数学オタクである)
?誰か俺のこと生き物オタクって言わなかった?事実だけど。
「...なんかオタクって言われた気がする」
やべ、思わず口に出した。
「奇遇だな、俺もだ」
驚いた。こいつも同じだったらしい。なんか誰かが俺たちの話をしている気がするんだよな。ただ、今はそんなことはどうでもいい。教師が黒板に書いた文字を話しているせいで俺もこいつも一切板書できていない。今ノートほんとに真っ白だからな。板書はしないとテストにも備えられなくなる。
「まぁ、とりあえず板書はしとけよ」
俺がそう促すと、紅日はめんどくさそうに返事して板書を始めた。さて、俺もやんないとな。
俺はそう思ってシャーペンを手に握ってノックし、シャー心を出した。長さを短く調節したら準備完了。黒板とノートに本格的に向き合った。
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さて、授業も始まってからちょうど半分が経過した。2:10にはこの楽しい時間も終わってしまうと考えると、少し名残惜しい気がする。比較的3年生が始まって2週間ほど経って新しいクラスにも少し慣れてきたが、やっぱり好きなものが終わる瞬間っていうのは嫌だな。今は今日の授業範囲のメンデルの法則について先生が補足説明をしているところだな。
「メンデルの法則は必ずー」
3:1、何度聞いても不思議な法則だ。みんなも初めて習ったとき不思議に思わなかったか?生き物の遺伝子には必ず優先的に表れる優性遺伝子と後回しにされる劣性遺伝子があって、エンドウ豆の場合は丸い形のものが優性遺伝、しわしわのグリーンピースみたいな形のものが劣性遺伝。だが、この二つは必ず優性遺伝子を継いだものが3個、劣性遺伝子を継いだものが1個、何代重ねようとすべて現れる割合は3:1になる。これほどまでに不思議なものはない。それに、何もこれは植物に限った話じゃない。人間の血液型においてもこれが言える。血液型は正確には二つで表されることは知っている人も多いが、仮にAaの血液遺伝子とAoの血液遺伝子を持つ両親の間から生まれた子供が4人だった場合、エンドウ豆と同じく3:1となる。もちろん例外もあるだろうけど、なんで植物も動物も生き物としての形は全く違うのに、なぜ同一の法則性が当てはまるのか。そもそも生物として形様子は違えど、何故体のつくりが細胞からできているというところは共通しているのか、人間、クマ、シカ、イノシシ、サルといった哺乳類もタイやサメといった魚類もカエルやイモリといった両生類。カラス、タカのような鳥類。ヘビ、トカゲ、カメなどの爬虫類。植物全般はすべて多細胞生物、複数の細胞から体が構成されている生物だが、何故臓器の機能も食べ物も生き方も何もかも違うのに、どうしてオスとメスが交わることによってオスの遺伝子とメスの遺伝子が合わさって子孫を残すというところだけは共通しているのか。さらにその中でも虫は精砲という精子の塊をメスの生殖器に付けることでより多くの精子をメスに送り込んで子孫を残りやすくなるようになったり、植物は動けないため生殖細胞のある花粉を風に飛ばしたり虫に利用したもらったりして子孫を残したりと様々な工夫が施されている。また、何故誰に教えてもらったり、アドバイスをされたわけでもないのにこのようなことになるのー
「隼君!」
「!?」
いきなり理科の教師に名前を呼ばれたもんだから思わず肩を震わせてしまった。いきなり話しかけられたらそりゃびっくりするだろうけど...多分俺が悪いな。一度考えたら止まらない性格だから、多分考えごとにのめり込みすぎて先生の話が全く聞こえてなかったんだろうなぁ。
「今気づいたんですか!?5.6回は呼びましたよ!」
え?そんなに呼んでたの?全然気づかなかったんだけど。全然耳に入れてなかった。体が耳ふさいでたんじゃ?
「あはは...すみません。ちょっと考えごとしてました」
「またですか...毎回毎回何を考えれば先生の話まで聞こえなくなるんですか」
教師が少し呆れたような顔で俺を見てくる。やめて、なんかゴミを見るような目で見られてる気分になるからやめて...
「今回はちゃんとしてますよ。多細胞生物たちはオスとメスに分かれて別々の遺伝子を交わらせることで子孫を残すけど、なんでそれは動物も植物も共通なのかとか」
俺からしたらマジでちゃんとした理由なんだけど、聞いた先生は苦笑いしてるし、クラスの奴らは9割がはにゃ?と言っているように首を傾げたり、真顔で思考停止してショートしたりしてるんだよな。そんなに変な理由なのか?
「...情熱を持つことはいいですが、今はそれを授業に注ぎましょうか。それより答えてください。この場合は丸としわ、どっちになりますか?」
教師がそう言ってチョークを持った右手で黒板を指した。黒板には俺が書き終わったところの横に図形が書かれていて、ひし形を4つくっつけて、上に大文字のAが二つ、その斜め隣に小文字のaが二つ書かれている。メンデルの法則を理解しやすくするためのよく用いられる図だ。よく見ると、四つのうちAとaが交わる三つはすべて埋まっている。最も上のところにあるひし形にはAA、その両隣にはAa、一番下のところにはaaと書かれている。教師が指しているのはaaのところだからこの場合は劣性遺伝のしわのほうが出てくるな。
「えーっとそこは劣性遺伝が二つそろっているのでしわですね」
教師からは正解と言われお墨付きをもらった。こういうのもあるから楽しいんだけどな。しばらくすると教師は再び黒板と向き合って俺はノートと向き合った。あと少しこの時間を楽しむとしようか。すると...
「お前さ、なんでそんなこと考えられんの?」
「普通じゃね?」
紅日は今日一番の鋭い目つきで俺のことを睨み付けた。怖い...
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さらに時間が経過して、先生の話とチョークが黒板をひっかく音が静寂な空間に鳴り響き切ったころ、再び聞きなれた音が鳴った。俺以外の大体の奴は歓喜の音だろうし、俺にとっては最悪の音だ。まぁ、みんな高校生にもなって授業が終わったことでパレードなんてしないけど、心の中では多分「やっと終わったよ」って感じですげぇ喜んでる奴が大半だろうね。俺からしたらこんな楽しい時間が終わるなんてマジで嫌だけど。
授業を終わらせるチャイムが鳴ったと同時に教師が皆に復習を促している。授業で習ってもそれが引き出すことができなかったら意味がないからな。生物なんて何の役に立つのかと思って勉強しない奴がいるらしいけど(紅日とか紅日とか紅日とか)、逆に自分らの体の構造とかそういったの学んどいて損はないだろ。自分自身の体の異常とかそれが何で発生しているのとか、そういったことを考えるのに絶対必要だって。事実、俺自身腹痛がどういう原因で発生しているのかを痛み方から分析して病院行って助かったことだってあるし、役立つって。
俺が心の中で必死に虚無に向かって生物の知識の必要性を訴える中、クラスに号令がかかる。みんなやりにやったであろう起立してから姿勢を正して「ありがとうございました」の感謝の言葉とともにクラスそろって一礼するやつだ。
俺が心の中で必死に虚無に向かって生物の知識の必要性を訴える中、クラスに号令がかかる。起立してから姿勢を正して「ありがとうございました」の感謝の言葉とともにクラスそろって一礼する。それが授業が本当に終わるという真の合図だ。その言葉を聞いた理科の教師が教室を去ったと分かった瞬間にクラス全体が和気藹々とした雰囲気へと戻る。ほとんどの奴らがあと一時間だから頑張ろうという気持ちなんだろうな。ま、その気持ちは否定しないけど。...物足りないな。あとで家に帰ったら、教科書を読み返してみるとしよう。意外と好きな教科の教科書って絵本感覚で読めるからな。特に生物多様性のところなんて俺にとっては図鑑だ。初めて中学で理科の教科書をもらった時のワクワク感と言ったらそりゃもうすごいのなんのってー
「あ゛~~~~~、やーーーっと終わったーーーーー」
紅日がすごい長い間の抜けたため息をついた。喜びすぎだろこいつ。数学と英語の授業が終わった時の俺みたいな顔と反応してるじゃん。てか、今更になって思うけど、多分その時の俺を見たときのこいつらの心境俺と同じなんだろうね。てか、6限目はなんだ? そう思って時間割表を見ると英語の嫌な2文字が見えた。おいおいマジかよ。よりによって俺が数学より嫌いな英語かよ。マジで英語って何言ってるのかわかんないんだよ。ThisとThatの使い分けとかどういうときにbe動詞を使うのか何なら接続詞って何?どういうときに使うの?意味が分かんない。頭の中?マークがぐ~るぐる。わかる人多いんじゃない?さて、サボるか!
「サボらせねぇよ?」
げっ!紅日に回り込まれた。こいつ身長186㎝あるから回り込まれると出し抜けなくて面倒なんだよな。事実、俺がサボらなかった日は大体紅日に止められた時だ。しかもこいつ柔道部なのもあって力めちゃくちゃ強いんだよな。以前、サボろうと休み時間中に教室抜け出そうとしたらこいつに襟掴まれた挙句片手で教室の中に投げ飛ばされて強制的に戻されたからな。いや何とか手を床について着地できたけどマジで死ぬかと思った。普段柔道部の重量級同期投げてるくらいだからな。身長が170㎝前後の俺なんて紅日からしたら簡単に投げられる対象なんだろうけど。さすがにあんな思いをもう一度するのはごめんだし、ここはおとなしくすることにする。
「ちぇ、素早い奴め」
「おん?今日はずいぶんおとなしく食い下がるな」
いつも強引に抜け出そうとするから警戒されても無理はないけど。
「あんときお前に投げられたから」
「あぁ、あんときあんまりにもお前が食い下がらないからイラついてたわ」
こいつ!イラついてたってだけなら口で言えや、人を投げるなや!口で言われても俺聞かないだろうけど。
「お前なぁ...」
「ん?」
疑問符に見せかけた威圧やめろや!お前の場合満面の笑みで圧かけてくるからブチギレた奴とはまた違った恐怖があるんだよ。
「はは!なんかすごい気配感じると思ったら紅日が珍しく圧かけてる」
突然ガヤガヤした教室に甲高い声が混じり始めた。こいつとやり取りしているから気付かなかったけど、声がしたほうを見ると扉があけられていてそこには俺らと同じく冬用の男子用制服に身を包んだ小柄な子が立っていた。こいつも紅日と同じく俺の親友。名前は「月銀沙夜照」紅日とは対照的に小柄でハキハキとした声でしゃべる無邪気な性格してる。紅日は結構物静かなほうなんだがな。紗理亜を彷彿とさせるような銀髪だけど、髪は肩にかからないくらいのショートヘア。中性的な見た目からどっちかわからないと言われる。俺は薄々気付いてるけど言葉には出してない。それは多分紅日も同じだと思う。そういった話題は沙夜照の本質にかかわることだから基本的に出さない。本人は俺たちが薄々気付いていることを知っているのかはわからないけどな。でも、いつも俺たちにぐいぐい来る明るい性格でいるのならばそんなに気にしてないと思う。こいつは感情や気分の隆起がすごいわかりやすいからそういった異変があったらすぐわかると思うからな。
「隼たちは生物の授業だったんだ~。生物はあんまり好きじゃないな~」
あ~そうだ。こいつも生物嫌いだった。
「でも次は英語だね!僕はもう終わっちゃったけど二人は6限目なんだ。いいな~、僕も受けたい」
...言い忘れていたが、こいつは英語が大の得意分野。京都とか言ったら当たり前のように海外の人と話す。英語がペラペラすぎる上に発音がネイティブのそれだから同じクラスだった時に逆に先生が聞き返したり、何言ってるのかわからなくなって海外の先生が登場するなんてことはザラにあった。
「そういえば、紅日は何であんなに怖い笑顔してたの?」
いや唐突。
「あー、こいつが3限目と4限目を連続してサボった上に6限目もサボろうとしたから止めてた」
「あはは~、相変わらずだな~」
沙夜照はいつも笑顔だが、この時に浮かべたのかどちらかと言ったら苦笑いだった。こいつも紅日も俺よりは真面目だから授業はちゃんと受けてるだけになんも言えねぇ。
「でも、さすがにサボりすぎちゃダメだよ?学業が危うくなるからね。もし同じクラスだったら僕も止められるんだけどな。紅日大変でしょ」
「まぁな。この前はどうしても抜け出そうとするから思わず襟掴んで投げ飛ばしたし」
「僕も参戦する?空手使えるけど」
おいおい待て待て。何サラッと武力行使前提の会話で進めてんの?紅日はさっき言ったように柔道部だし、沙夜照はこう見えてうちの学校の空手部最強だからさすがに2対1はキツいんだが。
「待て待て。お前まで参加したら抜け出せねぇじゃん」
俺は思わずバッと立ち上がった。
「だってそれが目的だもん。2年生のころ隼の脱走防止に僕がどれだけ手を焼いたと思ってるの?」
沙夜照が少し頬を膨らませて俺のことを睨んだ。まぁ、紅日と違ってキリッとした目つきじゃないし怖くはないんだが...こいつの身長が162㎝だから必然的に上目遣いになるし何なら顔可愛いからそういうこと言われるとこっちも強く出れないんだよな。本人に自覚はないんだろうけど。男なら堕とせるぞその顔。
「...悪い」
ちなみに沙夜照の言ったとおり、2年の時に同じクラスだったけど週3日ペースで止められた。ちなみに脱走に成功したのは俺が攻撃さばいて抜け出せたとき。何故だか喧嘩ならこの二人に負けたことないんだよな。俺も剣道部だからかな?
「ありゃ、素直だね」
お前まで言うか。
「じゃ、珍しいものも見れたことだし僕はそろそろ戻るよ。ばいば~い」
沙夜照は横断歩道を渡る小学生ばりに手を挙げてフリフリと振りながら自分のクラスへと戻っていった。今日はサボれなさそうだな。 「さて、お前もしっかり受けような」 紅日は俺の袖を掴んでる。服がすごいしわしわになるくらいでブレザーに指食い込んでくるんじゃないかとひやひやする。こいつリンゴ片手で簡単に潰すからな。握力強いんだよマジで。
「はぁ~、しょうがねぇ」
しぶしぶ鞄から英語の教科書を取り出して授業を受ける体制に入る。聞いてて退屈だけど、さすがにこの状況なら逃げ出せなさそうだ。まぁ、これが終わったら帰れるんだしあと少しの辛抱、我慢するとしよう。
この時の俺は忘れていた。この後説教されるかもしれないということを。
今回、誤字などあったら教えていただけると嬉しいです。