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エメラルド・ダイナソー  作者: HasumiChouji
第二章:家族の思い出
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篠原千晶(5)

「あっ……忘れてた……騷ぎを起こしてる奴らは……」

「寒いのに、ご苦労な事だな」

 続いて筑後川から出て来たのは……河童の群れ。

 「隠れているとしたら地上」と云う思い込みで探索範囲を狭めていた……いや、狭めていたと云う意識さえ無かった。

 そして、河童の群れに向かって走る銀色の閃光。

 瀾だ。

 護国軍鬼を着装し、手には一・五mほどの棒。

 河童達が、その棒で打たれる度に青白い閃光が走る。

 だが……。

 その攻撃は護国軍鬼の装甲に傷1つ付けられなかった。

 それどころか、あくまで「命中しかけた」だけに過ぎない。

 しかし……その()()()は、異様に延びた腕から発射されていた。

「何だ……ありゃ?」

 どうやら、その腕を延ばせる河童は、自分の攻撃が有効だと勘違いしたらしい。

 急速に腕を縮め、今度はナイフを抜き、続いて腕を延し……。

 一瞬で腕を掴まれた。

 続いて瀾は、腕ごと河童を振り回す。

 次々と河童に薙ぎ倒される別の河童達。

「何をしてる。全員で協力してかかれ」

 空中に居る何者かが大声でそう言った。

「おい……あれ……」

「ああ……」

 その声には「言霊」が込められていた。

 精神操作系の「魔法」だ。

 だが、続いて……轟音。

「うっ⁉」

 烏天狗のようなシルエットの何かは……空中を走る衝撃波らしきものをギリギリで避ける。

 続いて、筑後川の対岸にとんでもない「気」が出現。

 それは……デフォルメされたティラノサウルスのように見えた。

 しかし、その正体は、形なき「気」の塊だ。

 そいつは、口から「気」を吐き出し……だが、空飛ぶ「何か」も「使い魔」を呼び出した。

 水色の海蛇。

 それが、空中に居るヤツの周囲に巻き付き、恐竜が吐いた「気」をかろうじて防ぐ。

 そして、空中のヤツは、不利を悟ったのか、飛び去っていく。

 一方、地上では……。

「おい、少しは手伝え」

 瀾と河童達の戦いは……瀾の方が有利だが、さっきまでに比べて、河童達が協力して瀾に立ち向かっているようだ。

 2匹の河童が背後から瀾にしがみ付き……それに別の河童が水中銃で狙いを付け……残念ながら次の瞬間、しがみ付いてた2匹は、あっさり振り解かれ、銃を構えてた奴も、銃を撃つ間もなく、瀾に肉薄され腹に一撃を食らう。

「やるか」

「そうだな……」

「オン・アニチ・マリシエイ・ソワカ」

「オン・バサラ・クシャ・アランジャ・ウン・ソワカ」

 日の光のように見える私の「気」と、炎のように見える関口の「気」は、残りの河童達に次々と命中していった。

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