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高木瀾(1)
「おい、てめえら、何しやがる?」
警官……それも対・異能力者専門の奴が、ここまで不用心とは……。
しかも、もうすぐ、こいつが巻き込まれる可能性が高いヤクザ同士の抗争が始まろうとしてるのに……。
大体……何で、対異能力犯罪広域警察の上層部は、こいつを、こいつが生まれた場所に転勤させたのだ? どう考えても、ややこしい事態を招く可能性が有るのに……。
「行徳清二さんだな。訊きたい事が有る」
私と仲間は、この警官をふん縛って拉致して山奥に連れて来ていた。
「秋光だ。俺の名字は『秋光』だ。あの糞親父は俺の方から勘当してやった」
「ああ、知ってるが、その父方の親戚に関して訊きたい事が有る。あんたの甥っ子に関してだが……いや、男装してる姪っ子かも知れないが」
「へっ? 清秀の事か?」
「それも有るが……あんたの甥っ子や姪っ子は、そもそも何人居る? そして、その中にどこかの魔法結社に入門した奴は居るか?」
話は、数時間前……夕方ごろに遡る。